全世界の高配当株の投資信託を比べる|信託報酬・分配の回数と連動する指数 2026


この記事のポイント
- ✓全世界の高配当株に投資する投資信託を
- ✓運用会社の公式資料で比べます
- ✓eMAXIS・SBIなどの信託報酬
全世界の高配当株に投資する投資信託は、米国だけ、日本だけの高配当株ファンドと比べて本数が少なく、2026年に入ってからも新しいファンドが設定されています。同じ「全世界の高配当」でも、指数に連動するのか、運用会社が地域ごとに銘柄を選ぶのか、年に何回決算をするのかがファンドごとに違います。
この記事では、全世界(日本を含む)の高配当株に投資する主な投資信託と、比べ方の参考として先進国や世界の好配当株に投資するアクティブ型のファンドを、運用会社が公表している交付目論見書・交付運用報告書・ファンドのページの数字で並べます。数字は2026年11月時点で確かめたもので、純資産総額は2026年10月30日(10月31日は土曜日のため、その前の営業日)の値です。比べ方と公式の数字を整理するところまでを扱い、どれを選ぶかは読み手に委ねます。
全世界の高配当株の投資信託とは
全世界の高配当株の投資信託は、米国、欧州、日本、新興国などの株式のうち、配当利回り(株価に対する1年間の配当の割合)が高い企業を中心に組み入れる投資信託です。投資信託とは、多くの投資家から集めたお金を運用会社がまとめて運用し、その成果を口数に応じて分ける商品のことです。1本で多くの国と企業の高配当株に分散して投資できます。
全世界の株式に幅広く投資するファンド(いわゆるオール・カントリー型)と比べると、配当利回りなどの基準で銘柄を絞り込むため、組み入れる国、業種、企業の顔ぶれが変わります。全世界の株式に投資するファンドと、全世界の高配当株に投資するファンドでは、組み入れる企業の顔ぶれが違い、値動きも同じにはなりません。どちらが良いということではなく、何を組み入れる商品なのかが違います。
米国だけ、日本だけの高配当株ファンドとの違い
米国の高配当株ファンドは米国企業だけ、日本の高配当株ファンドは日本企業だけに投資します。全世界の高配当株ファンドは、それらを地域をまたいで組み合わせる商品で、組み入れる地域の配分がファンドごとに違います。たとえばSBI全世界高配当株式ファンド(年4回決算型)の交付運用報告書によると、2026年2月20日時点の配分は、SBI米国高配当株式マザーファンドが49.6%、SBI欧州高配当株式マザーファンドIIが23.5%、SBI日本高配当株式マザーファンドが13.1%、SBI新興国高配当株式マザーファンドが12.6%でした。全世界とはいえ、米国の比率が最も大きいことが分かります。
比べるときに見る項目
全世界の高配当株の投資信託を比べるときに、公式資料で確かめられる項目を先に整理します。
信託報酬と実質コスト
信託報酬とは、投資信託を持っている間、毎日少しずつ差し引かれる運用の費用のことです。年率で表示され、基準価額(投資信託の1口あたりの値段のこと)はこの費用を差し引いた後の値で計算されます。
実質コストとは、信託報酬に、株式を売買したときの売買委託手数料、有価証券取引税、海外での保管費用などを加えた、実際にかかった費用のことです。交付運用報告書の「1万口当たりの費用明細」の合計(%)で確かめられます。総経費率は、運用報告書に載っている、購入時手数料と売買委託手数料などを除いた費用の総額を年率で表した数字です。海外の株式に投資するファンドは、売買や保管の費用が信託報酬の外でかかるため、信託報酬だけでは実際の負担が分かりにくい点に注意が要ります。
年4回決算のファンドの交付運用報告書は6か月ごとに作られ、費用明細の合計はその6か月の費用です。この記事の表では、費用明細の合計(計算期間つき)と、年率の総経費率の両方を載せています。
純資産総額、設定日、為替ヘッジ
純資産総額とは、そのファンドが運用している資産の合計額のことです。設定日とは、そのファンドの運用が始まった日のことです。為替ヘッジとは、外国の通貨と円の交換レートの変動による影響を小さくするための取引のことで、この記事で取り上げるファンドは、いずれも交付目論見書で為替ヘッジを行わないとしています。そのため、基準価額は株価の動きに加えて円高・円安の影響を受けます。
購入時手数料と信託財産留保額
購入時手数料とは、買うときに販売会社に払う手数料のことです。「ありません」と定めたファンドと、上限の料率だけを定めて実際の率を販売会社が決めるファンドがあり、後者は同じファンドでも買う証券会社や銀行によって料率が違うことがあります。信託財産留保額とは、解約するときに基準価額から差し引かれ、ファンドに残される費用のことです。こちらもある・なしと料率がファンドによって分かれます。短い期間で売る可能性があるなら、確かめておきたい項目です。
連動する指数、決算の回数
ベンチマークとは、ファンドが連動を目指す、または運用成績を比べる基準にしている指数のことです。全世界の高配当株のファンドには、MSCIの高配当利回り指数に連動を目指すものと、ベンチマークを設けず運用会社が銘柄を選ぶものがあります。決算の回数は、分配金が出る可能性のある回数で、年1回、年4回、毎月に分かれます。
全世界(日本を含む)の高配当株の投資信託の比較表
日本を含む全世界の高配当株に投資する主な投資信託を、信託報酬の低い順に並べました。数字は各運用会社の交付目論見書、交付運用報告書、ファンドのページで確かめた2026年11月時点のものです。
| ファンド名(正式名称) | 運用会社 | 連動する指数・銘柄の決め方 | 信託報酬(税込・年率) | 実質コスト(費用明細の合計と計算期間)/総経費率 | 純資産総額(2026年10月30日) | 設定日 | 決算・分配の回数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| SBI全世界高配当株式ファンド(年4回決算型) | SBIアセットマネジメント | ベンチマークなし。米国・欧州・日本・新興国の4つのマザーファンドを通じ、各地域で配当利回りが市場平均を上回るように運用会社が銘柄を選定 | 0.055% | 0.267%(2025年8月21日〜2026年2月20日)/0.11% | 375.88億円 | 2024年10月1日 | 年4回(2・5・8・11月の20日) |
| SBI全世界高配当株式ファンド(年1回決算型) | SBIアセットマネジメント | 上と同じ運用方針 | 0.055% | 0.534%(2024年10月16日〜2025年8月20日)/0.22% | 54.53億円 | 2024年10月16日 | 年1回(8月20日) |
| eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)配当払出型 | 三菱UFJアセットマネジメント | MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス高配当利回り指数(配当込み、円換算ベース)に連動 | 0.165% | 運用報告書の発行前 | 55.70億円 | 2026年9月30日 | 年4回(3・6・9・12月の14日。初回は2026年12月14日) |
| eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)資産成長型 | 三菱UFJアセットマネジメント | 上と同じ指数に連動 | 0.165% | 運用報告書の発行前 | 48.13億円 | 2026年9月30日 | 年1回(9月14日。初回は2027年9月14日) |
注:費用明細の合計は、計算期間が1年に満たないもの(6か月、または設定から最初の決算まで)を含み、年率ではありません。総経費率は各交付運用報告書に記載の年率です。eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬は純資産総額5,000億円未満の部分の率で、5,000億円以上の部分は0.1628%です。購入時手数料と信託財産留保額は、表の4本とも「ありません」です。出典はSBI全世界高配当株式ファンド(年4回決算型)の申込メモ・費用のページ、eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)配当払出型のファンドのページと、各ページから開ける交付目論見書・交付運用報告書です。
表の数字の読み方
信託報酬だけを見ると、SBI全世界高配当株式ファンドの0.055%が最も低い水準です。ただし、実質コストの列を見ると、年4回決算型の6か月間の費用明細の合計は0.267%でした。内訳は、信託報酬が0.028%、株式の売買委託手数料が0.144%、有価証券取引税が0.068%、保管費用などのその他費用が0.027%です。運用会社が銘柄の見直しを随時行う運用で、株式の売買にかかった費用が信託報酬より大きくなっています。年1回決算型の0.534%は、設定から最初の決算までの約10か月間の数字で、運用を始めた時期の売買の費用を含みます。
eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)は2026年9月30日に設定されたばかりで、交付運用報告書はまだ作られていません。実質コストは、最初の決算後に公表される運用報告書で確かめることになります。指数に連動するファンドは、指数の銘柄入れ替えに合わせた売買が中心になりますが、実際の売買の費用がどの程度になるかは、報告書が出るまで数字では分かりません。
連動する指数と銘柄の決め方
全世界の高配当株のファンドは、銘柄の決め方が大きく2つに分かれます。
MSCIの高配当利回り指数に連動
eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)は、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス高配当利回り指数に連動を目指すインデックスファンドです。インデックスファンドとは、指数と同じ値動きを目指して運用する投資信託のことです。交付目論見書では、この指数を次のように説明しています。
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス高配当利回り指数とは、MSCI Inc.が開発した株価指数で、親指数(MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス)の中から、配当の持続性・成長性、財務品質、株価パフォーマンスなどのスクリーニングを経た銘柄のうち、配当利回りが親指数の1.3倍以上である銘柄が採用されます。 出典: 三菱UFJアセットマネジメント eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)配当払出型 交付目論見書
高配当利回り指数は、親指数の中から配当利回りが高く、配当を続けられそうな企業を絞り込んだものです。財務品質は、自己資本利益率(ROE)、利益の安定性、負債比率などで評価されると、目論見書の注に書かれています。同じ目論見書に載っている対象インデックスの国・地域別の構成比率(2026年5月末時点)は、先進国が85.7%(23の国・地域)、新興国が14.3%(24の国・地域)で、国別ではアメリカが48.9%、日本が8.1%、スイスが5.9%、イギリスが4.6%、台湾が3.9%でした。全世界の指数でも、米国の比率が最も大きくなっています。
運用会社が地域ごとに銘柄を選ぶ
SBI全世界高配当株式ファンドは、ベンチマークを設けず、米国、欧州、新興国、日本の4つのマザーファンド(実際の運用を行う親の投資信託)を通じて投資します。交付目論見書によると、各地域で平均配当利回りが市場平均を上回るように銘柄を選ぶことを基本とし、予想配当利回りが市場平均と比べて高い銘柄を中心に、配当の状況、企業のファンダメンタルズ、株価のバリュエーション(割安さの評価)などを勘案して選別します。銘柄と比率の見直しは随時行い、マザーファンドへの配分の比率も随時変更するとされています。目論見書には、業種の分散を図れないことがあり、基準価額の変動が市場動向と乖離することがあるとも書かれています。
指数に連動するファンドは、指数のルールで銘柄が決まるため、何に投資しているかを指数の算出会社の資料で確かめられます。運用会社が選ぶファンドは、月次レポートや運用報告書で、その時点の配分や組入銘柄を確かめることになります。
マザーファンドの組入上位で中身を確かめる
運用会社が銘柄を選ぶファンドは、運用報告書の組入上位の銘柄を見ると、どのような企業に投資しているかが分かります。SBI全世界高配当株式ファンド(年4回決算型)の交付運用報告書(2026年2月20日決算)に載っている、4つのマザーファンドの組入上位3銘柄は次のとおりです。基準日はマザーファンドごとに違い、その後の入れ替えで変わっている可能性があります。
| マザーファンド(基準日・組入銘柄数) | 組入上位3銘柄と比率 |
|---|---|
| SBI米国高配当株式マザーファンド(2025年8月20日・77銘柄) | ALTRIA GROUP 4.4%、BROADCOM 4.1%、GOLDMAN SACHS GROUP 3.6% |
| SBI欧州高配当株式マザーファンドII(2025年8月20日・77銘柄) | BANCO DE SABADELL 2.9%、ERSTE GROUP BANK 2.4%、BAWAG GROUP 2.3% |
| SBI日本高配当株式マザーファンド(2025年10月10日・101銘柄) | ソフトバンク 3.5%、三菱UFJフィナンシャル・グループ 2.8%、SBIホールディングス 2.4% |
| SBI新興国高配当株式マザーファンド(2025年12月22日・62銘柄) | ALAMTRI RESOURCES 5.4%、PETROBRAS 4.4%、ORLEN 3.4% |
報告書の業種の欄を見ると、欧州のマザーファンドは上位3銘柄がいずれも銀行、新興国のマザーファンドは上位3銘柄がいずれもエネルギーでした。地域ごとに、配当利回りの高い企業が多い業種が違うことが読み取れます。米国の高配当株のファンドや日本の高配当株のファンドをすでに持っている場合は、全世界の高配当株のファンドの中にも同じ地域の高配当株が入っているため、重なりを確かめておくと、同じ地域や業種への集中を避けやすくなります。
先進国・世界の好配当株に投資するアクティブ型との比較
「全世界」と名の付かないファンドの中にも、先進国や世界の好配当株に投資する投資信託があります。決算の回数や費用の水準を比べる参考として、運用会社が銘柄を選ぶアクティブ型の2本を載せます。投資する地域の範囲が前の表のファンドとは違う点に注意してください。
| ファンド名(正式名称) | 運用会社 | 投資対象と銘柄の決め方 | 信託報酬(税込・年率) | 実質コスト(費用明細の合計と計算期間)/総経費率 | 純資産総額(2026年10月30日) | 設定日 | 決算・分配の回数 | 購入時手数料の上限 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 先進国好配当株式ファンド(3ヵ月決算型) | 三菱UFJアセットマネジメント | 日本を含む世界主要先進国(MSCIワールド インデックスの構成国)の株式のうち、割安で好配当が期待される株式。ベンチマークなし | 1.375% | 0.783%(2025年11月8日〜2026年5月7日)/1.40% | 1,212.03億円 | 2016年2月9日 | 年4回(2・5・8・11月の7日) | 3.30% |
| みずほ好配当世界株オープン | アセットマネジメントOne | 日本を除く世界の好配当株。ベンチマークなし(参考指数はMSCI KOKUSAIインデックス) | 1.54% | 0.941%(2025年12月9日〜2026年6月8日)/1.61% | 50.90億円 | 2005年6月15日 | 毎月(8日) | 3.3% |
注:購入時手数料は上限で、実際の料率は販売会社が定めます。信託財産留保額は、先進国好配当株式ファンド(3ヵ月決算型)が換金申込受付日の翌営業日の基準価額に0.15%、みずほ好配当世界株オープンが0.3%です。出典は先進国好配当株式ファンド(3ヵ月決算型)のファンドのページ、みずほ好配当世界株オープンのファンドのページと、各ページから開ける交付目論見書・交付運用報告書です。
この2本は、信託報酬が1%を超え、購入時手数料もかかる場合があります。運用会社が企業の調査をもとに銘柄を選ぶ運用の費用を含む仕組みで、インデックスファンドとは費用の考え方が違います。費用の水準だけで良し悪しは決まらないため、比べるときは、投資対象の範囲、銘柄の決め方、決算の回数、費用を同じ形の表に並べて見るのが確実です。
費用の差は10年でいくらになるか
信託報酬の差を金額にすると、どのくらいになるかを計算します。将来の運用成績は仮定せず、費用だけを比べる計算です。前提は、100万円を投資して残高が100万円のまま変わらないものとし、信託報酬(税込・年率)だけを10年間かけた単純な計算です。
SBI全世界高配当株式ファンド(0.055%)とeMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)(0.165%)の差は年0.11%で、100万円なら1年で1,100円、10年間で11,000円の差になります。eMAXIS 高配当全世界株式(0.165%)と先進国好配当株式ファンド(3ヵ月決算型)(1.375%)の差は年1.21%で、1年で12,100円、10年間で121,000円です。
ただし、前の節で見たとおり、SBI全世界高配当株式ファンドは信託報酬の外で売買の費用がかかっており、信託報酬の差がそのまま実際の負担の差になるわけではありません。インデックスファンドとアクティブ型の比較も、投資対象と運用の方法が違う商品どうしの比較です。この計算は、毎年かかる費用の差がどのくらいの金額になるかをつかむための目安として使ってください。
毎月3万円を10年間積み立てる場合は、元本が少しずつ増えるため、平均の残高は元本の合計360万円のおよそ半分の約180万円になります。この平均残高に年1.21%の差をかけると、1年で約21,780円、10年間で約217,800円という目安になります(運用による増減は含めない概算)。
この記事は特定の商品の購入を勧めるものではありません。購入の前には、各ファンドの目論見書(投資信託説明書)を読んで確かめてください。目論見書は、比較表の下にリンクを載せた各運用会社のファンドのページから、PDFで読むことができます。
分配の回数と分配金の仕組み
全世界の高配当株のファンドには、同じ運用方針で、決算の回数だけが違うファンドが2本ずつ用意されている例があります。SBI全世界高配当株式ファンドは年4回決算型と年1回決算型、eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)は配当払出型(年4回)と資産成長型(年1回)です。
同じ運用方針でも、分配の方針が違う
SBI全世界高配当株式ファンドの交付目論見書では、年4回決算型は「経費控除後の配当等収益等を中心に分配することをめざします」とされ、年1回決算型は「信託財産の成長を優先し、原則として分配を抑制することとします」とされています。同じ銘柄に投資していても、分配金を定期的に受け取るか、受け取らずにファンドの中で再投資を続けるかで、選ぶファンドが分かれます。分配金とは、決算のときに投資信託の資産から投資家に支払われるお金のことで、分配金が出るとその分だけ基準価額は下がります。
分配金は保証されない
分配金の金額と有無は、決算のたびに運用会社が分配方針に基づいて決めます。SBI全世界高配当株式ファンドの交付目論見書にも、分配金額は委託会社が決定し、あらかじめ一定の額の分配を約束するものではなく、分配金が支払われない場合もあると書かれています。ファンドのページの分配金の履歴を見ると、過去の分配金の金額は確かめられますが、それは過去の実績で、将来の分配金を示すものではありません。
分配金の税金と為替の影響
NISA口座の外(特定口座や一般口座)で受け取る分配金のうち、元本の払い戻しにあたらない部分(普通分配金)には、個人の場合20.315%の税率で課税されると交付目論見書に書かれています。元本払戻金(特別分配金)には課税されません。NISA口座で持つ投資信託の分配金と売却益は非課税です。たとえば特定口座で普通分配金を1万円受け取ると、20.315%の税率なら税金は約2,031円で、受け取る金額は約7,969円です。NISA口座なら1万円をそのまま受け取ります。年4回決算のファンドを特定口座で持つと、決算のたびにこの差が生じます。海外の株式から受け取る配当には、その国で税金が差し引かれる場合があり、交付目論見書では、外国税額控除の適用によって分配時の税金が異なる場合があるとも書かれています。個別の税額は、国税庁の案内や口座のある金融機関で確かめてください。分配金と税金の関係は高配当投資信託を利回りと税金で見極める記事でも扱っています。
為替ヘッジを行わないファンドでは、外国の株式から受け取る配当も外国の通貨で入ってくるため、円に換算したときの金額が為替の動きで変わります。円高になると、同じ配当でも円での金額は小さくなり、基準価額も下がりやすくなります。為替の値動きをどこまで受け入れるかは、分配金を受け取るかどうかと並んで、自分で決めておきたい点です。
NISAのどの枠で買えるか
NISAには、つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)があり、生涯の非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)です。いずれも金融庁のNISA特設サイトで確かめた数字です。
つみたて投資枠の一覧には載っていない
金融庁の「つみたて投資枠対象商品届出一覧(対象資産別)」(2026年10月23日時点)を確かめると、この記事で取り上げた全世界・世界の高配当株のファンドは、いずれも載っていませんでした。一覧に載っている高配当株や配当に着目したファンドは、日本株と米国株を対象とするもの(例:SMT 日本株配当貴族インデックス・オープン、楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド)でした。一覧は金融庁のつみたて投資枠対象商品のページで確かめられます。
成長投資枠では、毎月決算型が対象外
成長投資枠では、整理・監理銘柄や、信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託などが対象外とされています。金融庁のNISA特設サイトは、次のように注記しています。
①整理・監理銘柄 ②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外 出典: 金融庁 NISA特設ウェブサイト「NISAを知る」
実際に、毎月決算のみずほ好配当世界株オープンの交付目論見書には「当ファンドは、NISAの対象ではありません」と書かれています。一方、SBI全世界高配当株式ファンド、eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)、先進国好配当株式ファンド(3ヵ月決算型)は、交付目論見書で成長投資枠の対象とされています(販売会社により取扱いが異なる場合があるとの注記つき)。
比べるときの手順
ここまでの内容を、実際に比べるときの手順にまとめます。どれも運用会社の公式サイトで自分で確かめられる手順です。
1つ目は、投資する地域の範囲を確かめることです。ファンド名に「全世界」とあっても、日本を含むか、新興国を含むかはファンドごとに違います。交付目論見書の「ファンドの目的・特色」と、運用報告書の地域別の配分で確かめます。
2つ目は、指数に連動するのか、運用会社が選ぶのかを確かめることです。指数に連動するファンドは、指数の説明を目論見書と指数の算出会社の資料で読みます。
3つ目は、分配金を受け取りたいかどうかで、決算の回数を選ぶことです。同じ運用方針で年4回と年1回のファンドがある場合は、その中で選べます。
4つ目は、信託報酬に加えて、交付運用報告書の費用明細で売買委託手数料や有価証券取引税などの実際の費用を確かめることです。新しいファンドは、運用報告書が出るまで実質コストは分かりません。
5つ目は、購入時手数料と信託財産留保額を確かめることです。上限だけが決まっているファンドは、口座のある販売会社で料率を確かめます。
6つ目は、NISAのどの枠で買うかを確かめることです。この記事で取り上げた全世界・世界の高配当株のファンドはつみたて投資枠の一覧になく、毎月決算型はNISAの対象外です。
値動きの要因
全世界の高配当株のファンドも、元本が保証されるものではなく、基準価額は下がることがあります。たとえばSBI全世界高配当株式ファンドの交付目論見書の「投資リスク」の欄には、株価変動リスク、為替変動リスク、カントリーリスクなどが挙げられ、新興国市場は市場規模や法制度などが限定的で価格変動性が大きいことなどから、カントリーリスクが先進国に投資するよりも高くなると書かれています。比べるファンドの「投資リスク」の欄を、それぞれ読んでおくと安心です。全世界の株式全体の投資信託や新興国の投資信託との比べ方は、新興国投資信託をリスク許容度別に比べた記事にもまとめています。
在宅で働く人が全世界の高配当株の投資信託を見るときの視点
フリーランスや在宅で働く人は、会社員と比べて収入の月ごとの変動が大きく、分配金を「もう1つの収入」と考える人もいます。ただ、分配金の金額は決算のたびに変わり、為替の動きでも円での金額が変わります。分配金を生活費の一部として受け取るか、資産を増やす期間として再投資に回すかで、比べるべきファンドの決算の回数は変わります。配当で生活費をまかなう考え方の試算は資産5000万円で配当金生活は可能かを計算した記事で扱っています。
フリーランス・在宅ワークの市場を20年見てきた運営者の立場から言えば、収入の波がある人ほど、まず数か月分の生活費を預金で確保し、そのうえで長く持てる金額だけを投資に回している人が、相場や為替が大きく動いた時期にも売り急がずに済んでいる印象があります。投資を続けられるかどうかは、結局は本業の収入の安定にかかっています。職種ごとの報酬の相場は、たとえば研究者の年収・単価相場のように公開されており、自分の収入の見通しと照らし合わせる材料になります。
もう1つ、運営者として見てきた限りでは、仲介の手数料を引いた後の手取りで仕事の条件を考える人ほど、投資信託でも、信託報酬だけでなく売買の費用や税金を引いた後の成果で考える傾向があります。この記事の表で見たように、信託報酬が最も低いファンドでも、売買の費用がそれを上回る期がありました。公式の資料を開いて、費用明細の内訳まで確かめる手順を身につけておけば、新しいファンドが出たときにも同じ物差しで比べられます。
よくある質問
Q. 全世界の高配当株の投資信託は、つみたて投資枠で買えますか?
金融庁のつみたて投資枠対象商品届出一覧(2026年10月23日時点)には、この記事で取り上げた全世界・世界の高配当株のファンドは載っていませんでした。SBI全世界高配当株式ファンドやeMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)は、交付目論見書で成長投資枠の対象とされています。最新の扱いは金融庁の一覧と販売会社で確かめてください。
Q. 指数に連動するファンドと、運用会社が選ぶファンドは何が違いますか?
指数に連動するファンドは、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス高配当利回り指数のような指数のルールで銘柄が決まります。運用会社が選ぶファンドは、配当利回りや企業の財務などを運用会社が分析して銘柄と比率を決め、随時見直します。どちらも交付目論見書の「ファンドの目的・特色」で確かめられます。
Q. 信託報酬が低ければ、実際の費用も低いですか?
必ずしもそうとは限りません。SBI全世界高配当株式ファンド(年4回決算型)は信託報酬が0.055%ですが、2025年8月21日〜2026年2月20日の費用明細の合計は0.267%で、株式の売買委託手数料と有価証券取引税が大きな割合を占めていました。信託報酬とあわせて、交付運用報告書の費用明細を確かめると、実際の負担に近い姿が分かります。
Q. 年4回決算型と年1回決算型は、どちらを選べばよいですか?
同じ運用方針でも、年4回決算型は分配金を受け取る機会が多く、年1回決算型や資産成長型は分配を抑え、ファンドの中で再投資する運用が中心です。分配金を定期的に受け取りたいか、受け取らずに運用を続けたいかで選ぶ項目です。分配金が出るとその分基準価額が下がり、分配金の額は保証されない点も併せて確かめてください。
この記事について
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監修:@SOHO編集部
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この記事を書いた人
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