自己都合退職でも国民健康保険料は減免されるか

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
自己都合退職でも国民健康保険料は減免されるか

この記事のポイント

  • 国民健康保険減免失業自己都合で調べている人に向けて
  • 非自発的失業者の軽減が自己都合退職で使えるかどうかを離職理由コードから判定し
  • 対象外だったときに残る所得減少減免や徴収猶予までを実際の届出手順に沿って整理しました

結論から書きます。自己都合で会社を辞めた場合、国民健康保険料の減免が受けられるかどうかは「自己都合かどうか」では決まりません。決めるのは、ハローワークが交付する雇用保険受給資格者証に書かれた離職理由の番号です。この番号が31、32、33、34のいずれかなら、自己都合と呼ばれていても保険料の軽減を受けられます。それ以外の番号だったときに何が残るのかも含めて、順に整理します。

減免の可否は「自己都合」ではなく離職理由の番号で決まる

国民健康保険には、失業した人向けの軽減制度があります。正式には「非自発的失業者にかかる軽減」といい、倒産や解雇で職を失った人が、在職中と同じくらいの保険料負担で国民健康保険に入れるようにするためのものです。名前に「非自発的」と入っているので、自己都合で辞めた人は無関係だと思い込んで調べるのをやめてしまう人が多いのですが、それは早すぎます。

この制度の対象は、雇用保険の特定受給資格者と特定理由離職者です。特定受給資格者は倒産や解雇で辞めた人、特定理由離職者は雇い止めや、正当な理由のある自己都合で辞めた人を指します。つまり制度の側は、最初から「正当な理由のある自己都合退職」を対象に含めています。

判定に使うのは、雇用保険受給資格者証または雇用保険受給資格通知の「離職理由」欄に書かれたコードです。自治体はこの番号だけを見ます。本人が自己都合だと思っているかどうか、会社がどう説明したかは関係ありません。

保険料を計算する際に、失業された方の 前年の給与所得を30/100 とみなして計算します。 出典: city.adachi.tokyo.jp

前年の給与所得を100分の30とみなす、というのが軽減の中身です。前年に給与所得が300万円あった人なら、90万円だったものとして保険料を計算し直します。国民健康保険料の所得割は前年の所得に比例するので、ここが3割になれば所得割も大きく下がります。正直なところ、これは「軽減」という控えめな名前に見合わない規模の効き方をします。

自己都合でも対象になる4つの番号

具体的なコードを並べます。特定受給資格者にあたるのが11、12、21、22、31、32。特定理由離職者にあたるのが23、33、34です。このうち、自己都合と呼ばれる離職で該当しうるのは次の4つです。

31は「事業主からの働きかけによる正当な理由のある自己都合退職」です。会社から退職を勧められて辞めた場合がここに入ります。書類上は自己都合と書かれていても、退職勧奨があったならこの番号になりえます。

32は「事業所移転等に伴う正当な理由のある自己都合退職」です。勤務先が引っ越して通えなくなったケースです。

33と34は「正当な理由のある自己都合退職」で、34は被保険者期間が12か月未満の場合です。ハローワークは、この「正当な理由」の中身を具体的に示しています。体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力や聴力の減退などで辞めた場合。妊娠や出産、育児で辞めて受給期間の延長措置を受けた場合。父母の死亡や疾病のために扶養が必要になって辞めた場合や、常時看護が必要な親族の病気で辞めざるを得なかった場合。配偶者や扶養すべき親族と別居を続けるのが難しくなって辞めた場合。結婚による転居、保育所の利用や親族への保育の依頼、事業所の移転、自分の意思に反した引っ越し、鉄道やバスの廃止や運行時間の変更で通えなくなった場合。これらはすべて「正当な理由のある自己都合」に含まれます。

ここで重要なのは、この判定をするのはハローワークだという点です。市区町村の国民健康保険の窓口は番号を見るだけで、番号そのものを変えることはできません。離職理由に納得がいかない場合は、国民健康保険の窓口ではなくハローワークに相談します。ハローワークは、実際は退職勧奨だったのに自己都合とされている場合などは相談するよう案内していて、事実関係を調査したうえで離職理由を判定すると説明しています。

対象になるのは離職日時点で65歳未満の人に限られます。高年齢受給資格者と特例受給資格者は対象外です。

軽減される期間は「離職の翌月から翌年度末まで」

期間の数え方が独特なので、ここは丁寧に見ます。軽減の対象は、離職日の翌日が属する月から翌年度末までです。足立区は、令和8年6月30日に離職した場合、令和8年7月から令和10年3月までの保険料が軽減されると例示しています。

つまり、いつ辞めたかで軽減される長さが変わります。年度の前半に辞めた人は2年近く軽減が続き、年度末近くに辞めた人は1年強で終わります。退職の時期を自分で選べる立場なら、ここは知っておく価値があります。

もうひとつ、雇用保険の失業等給付を受ける期間とは別物だという点も大事です。基本手当をもらい終わったら軽減も終わる、という誤解がありますが、そうではありません。国民健康保険に入っている間は、途中で就職しても引き続き対象になります。ただし国民健康保険の資格を失えばそこで終わります。就職して勤め先の健康保険に入った場合がこれにあたります。

軽減期間の途中で再び離職して、また国民健康保険に入り直した場合は、残っている期間の軽減を続けられることがあります。この扱いは自治体に相談することになっています。

所得割だけでなく、均等割や平等割の7割・5割・2割軽減を判定するときも、給与所得を100分の30にした額で判定します。所得割が下がるだけでなく、均等割の軽減にも届きやすくなるということです。大阪市は、すでに国民健康保険の被保険者がいる世帯に新しく資格を取得する人が加わる場合、その年度の再判定は行わないと補足しています。

そもそも国民健康保険料は何で決まっているのか

軽減の効き方を理解するには、保険料の組み立てを知っておく必要があります。国民健康保険料は、大きく分けて4つの区分でできています。医療分、後期高齢者支援金分、介護分(40歳から64歳までの人が対象)、そして子ども・子育て支援金分です。

それぞれの区分の中で、さらに計算方法が分かれます。所得に応じてかかる所得割、世帯の人数に応じてかかる均等割、1世帯あたりでかかる平等割です。自治体によって平等割がないところもあります。

非自発的失業者の軽減が効くのは、このうち所得割の計算に使う給与所得を100分の30にする部分と、均等割や平等割の軽減判定に使う所得を100分の30にする部分です。逆に言えば、もともと所得が少なくて所得割がほとんど出ていない人には、あまり効きません。退職前の給与が高かった人ほど、効き方が大きくなります。

大阪市は、この子ども・子育て支援金分について「子どもがいる世帯のみにかかる保険料ではありません。保険料『区分』の一つですので、子どもがいない世帯にもかかります」と説明しています。名前から誤解されやすいところです。

実際の金額の感覚をつかむには、自治体が公開している試算例が役に立ちます。

30歳・令和7年の収入が300万円の方 ▷ 約339,000円(軽減なし)   1納期あたり33,900円 出典: city.adachi.tokyo.jp

足立区の単身世帯の試算例では、30歳で前年の収入が300万円の人が年間約339,000円、収入200万円なら約234,000円、収入100万円なら約114,000円(2割軽減該当)とされています。40歳以上になると介護分が加わるので、同じ収入300万円でも約420,000円に上がります。収入が3分の1になると保険料が3分の1になるわけではありませんが、所得に連動する部分がかなりの割合を占めていることは読み取れます。

退職直後の人が驚くのは、この請求が「今の収入」ではなく「去年の収入」で来る点です。収入が止まっているのに、働いていた年の水準で計算された保険料の通知が届きます。非自発的失業者の軽減は、まさにこのズレを埋めるための仕組みだと理解すると、制度の意図がつかめます。

なお、保険料には賦課限度額という上限があり、世帯の所得がどれだけ高くてもそれ以上にはなりません。上限に達している世帯では、軽減や減免を適用しても保険料が変わらない場合があります。大阪市も、保険料が最高限度額に達している世帯については軽減額や減免額が発生しない場合があると注記しています。

番号が合わなかったときに残る道

離職理由コードが該当しなかった場合、つまり正当な理由のない自己都合退職だった場合は、非自発的失業者の軽減は使えません。ここで諦める人が多いのですが、まだ道はあります。

多くの自治体が、所得の減少を理由とした減免制度を用意しています。大阪市を例にすると、所得が減る原因になった事実が起きた月以降の世帯見込所得が、前年に比べて10分の7以下になる世帯について、保険料の所得割を減免するという仕組みです。退職、倒産、廃業、休業、営業不振などが原因として挙げられていて、自己都合退職もここに含まれます。

所得が減少する原因となる事実(以下「所得減少事由」といいます。)が発生した月以降の世帯見込所得が、前年比10分の7以下となる世帯 (退職・倒産・廃業・休業や営業不振等のため、世帯見込所得が大幅に減少する世帯) について、医療分・後期高齢者支援金分・介護分・子ども・子育て支援金分保険料の所得割を減免率表に基づき減免します。 出典: city.osaka.lg.jp

大阪市の減免率表では、所得の減少率が30%以上40%未満なら減免率30%、50%以上60%未満なら50%、90%以上100%未満なら90%、所得がゼロになれば100%という段階になっています。所得減少率は「(1 − 1年間の世帯見込所得 ÷ 前年の世帯所得)× 100」で計算します。

ただし、これは自治体ごとに条例で決める制度です。減免の割合も、対象になる所得の下がり方も、申請の期限も市区町村によって違います。大阪市の数字をそのまま他の市に当てはめることはできません。住んでいる市区町村の国民健康保険担当課に「退職して所得が大きく下がったのですが、減免の制度はありますか」と聞くのが確実です。

もうひとつ見落とされやすいのが、非自発的失業者の軽減と所得減少減免は排他ではないという点です。大阪市は、非自発的失業者の軽減を受けている人については、給与所得を100分の30にした所得で計算した減免額を、軽減後の所得割から減免すると説明しています。両方に当てはまるなら両方が効きます。

申請しなくても自動で効く軽減がある

退職して収入が下がった人が、まず確認すべきなのがこの7割・5割・2割軽減です。世帯全員の所得の合計が基準額以下なら、均等割と平等割が自動的に減ります。申請は不要です。

大阪市の令和8年度の判定基準は次の形です。7割軽減は「43万円+10万円×(給与所得者等の数−1)」、5割軽減は「43万円+31万円×被保険者等の数+10万円×(給与所得者等の数−1)」、2割軽減は「43万円+57万円×被保険者等の数+10万円×(給与所得者等の数−1)」。給与所得者等の数が2人以上の世帯でないと、10万円を掛ける部分は計算に入りません。

この軽減は申請不要ですが、条件がひとつあります。世帯全員の所得が判明していることです。大阪市は、所得が未申告の人がいる世帯には軽減も減免も適用されないと明記しています。退職して収入がなくなった人が「申告する所得がないから申告しなくていい」と考えて放置すると、この軽減が効かなくなります。所得がゼロでも申告は必要です。ここは、放っておくと年間で数万円損をするタイプの落とし穴です。

このほか、未就学児の均等割を5割軽減する仕組み、18歳未満の被保険者について子ども・子育て支援金分の均等割を10割軽減する仕組み、産前産後期間の保険料を軽減する仕組みなどがあります。産前産後の軽減は届出が必要で、出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間(多胎妊娠なら3か月前から6か月間)が対象です。

届出のしかたと、離職票では受け付けてもらえない理由

非自発的失業者の軽減は届出制です。自動では適用されません。必要なものは2つだけです。

ひとつは「国民健康保険特例対象被保険者等該当届」という書類。自治体のサイトからダウンロードできることがほとんどです。もうひとつが、雇用保険受給資格者証または雇用保険受給資格通知の写しです。

ここで最もつまずきやすいのが書類の種類です。足立区は「離職票では受付できません」と明記しています。離職票は会社が発行する書類で、退職した直後に手元に届きます。一方、雇用保険受給資格者証や受給資格通知は、ハローワークで求職の申込みをして受給資格の決定を受けたあとに交付されるものです。離職理由のコードが確定するのはハローワークの判定を経たあとなので、離職票の段階では判定材料になりません。

つまり順番が決まっています。会社から離職票を受け取る、ハローワークで求職の申込みと受給資格の決定を受ける、受給資格者証または受給資格通知をもらう、それから市区町村の国民健康保険の窓口に届け出る。この順番を飛ばせません。国民健康保険の加入手続き自体は退職後すみやかに(多くの自治体で14日以内と案内されています)行い、軽減の届出だけ後から出す形になります。

届出は窓口だけでなく郵送でもできる自治体が多く、大阪市のように行政オンラインシステムで受け付けているところもあります。足立区は区民事務所では受け付けず、区役所の国民健康保険課の担当窓口だけで扱うと案内しています。こうした細かい取り扱いは自治体ごとに違うので、行く前に確認したほうが早いです。

なお、所得減少減免のほうは申請制で、期限の考え方も違います。大阪市は「減免を受けようとする月の納期限までに申請」が必要で、特別な理由がない限り申請があった月以降の保険料が対象になると説明しています。遡っては効きません。減免の申請は年度ごとに必要で、世帯主が変わったら出し直しになります。

退職の時期によって、受けられる期間が1年近く変わる

軽減の対象期間は「離職日の翌日が属する月から翌年度末まで」でした。この一文が、退職の時期によってどれだけの差を生むかを具体的に見ます。

年度の始まりに近い時期、たとえば令和8年4月に離職した人は、令和8年5月から令和10年3月までが対象になります。おおよそ1年11か月です。一方、令和9年2月に離職した人は、令和9年3月から令和10年3月までで、13か月ほどになります。同じ制度でも、受けられる長さが1年近く違うことになります。

これを知っていると、退職日を自分で決められる立場の人は選択肢が増えます。ただし、ここだけを見て退職時期を決めるのは危険です。雇用保険の基本手当の所定給付日数は被保険者であった期間で変わりますし、住民税の納め方も退職月によって変わります。国民健康保険料の軽減だけを最適化しても、ほかで損をすることがあります。

もうひとつ、年度をまたぐときの注意点があります。軽減は年度ごとに保険料を計算し直す形で適用されるので、離職した年度と翌年度で保険料の通知が別々に届きます。翌年度の通知を見て「軽減が効いていないのでは」と思ったら、まず届出が反映されているかを窓口で確認します。届出を一度出せば期間中は継続して適用されるのが通常ですが、世帯主が変わったり、いったん国民健康保険を抜けて入り直したりすると扱いが変わることがあります。

期間の途中で就職した場合も整理しておきます。国民健康保険に入ったままなら軽減は続きます。就職して勤め先の健康保険に入ると国民健康保険の資格を失うので、そこで軽減も終わります。その後また離職して国民健康保険に戻ったときは、残っている期間の軽減を続けられる場合があるため、自治体に相談します。

国民健康保険以外の選択肢と比べる

そもそも国民健康保険に入るのが最善かどうかも、同時に検討しておくべきです。退職後の健康保険の選択肢は3つあります。国民健康保険、勤め先の健康保険を2年間続ける任意継続、そして働いている家族の健康保険の扶養に入る方法です。

任意継続は、退職時の標準報酬月額をもとに保険料が決まり、原則として2年間変わりません。協会けんぽの場合、退職時の標準報酬月額が32万円を超えていたら32万円で頭打ちにして計算します。家族を扶養に入れても保険料は増えません。手続きの期限は退職日の翌日から20日以内で、これを過ぎると選べなくなります。

家族の扶養に入れるなら保険料の負担はゼロです。ただし収入の基準があり、年間収入130万円未満(60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者は180万円未満、19歳以上23歳未満で配偶者以外は150万円未満)かつ扶養者の年間収入の半分未満、といった条件を満たす必要があります。日本年金機構は、この年間収入に雇用保険の失業等給付も含まれると明記していて、基本手当が日額3,612円以上になると扶養から外れる届出が必要になると説明しています。失業給付をもらいながら家族の扶養に入り続けることはできない場合が多い、ということです。

比べ方の順番はこうなります。まず家族の扶養に入れるかを確認する。入れないなら、任意継続の保険料を自分で計算し、国民健康保険料を市区町村に試算してもらう。そのとき、非自発的失業者の軽減が使えるかどうかを含めて試算してもらう。軽減が効く場合、国民健康保険のほうが任意継続より大幅に安くなることがよくあります。

比較の期限は任意継続の20日です。国民健康保険の試算を待っているうちに20日が過ぎると、比較する意味がなくなります。

窓口で何を聞けば一度で終わるか

制度の名前が長く、担当も分かれているので、窓口で何をどう聞くかを決めておくと往復の回数が減ります。聞く相手と内容を分けます。

市区町村の国民健康保険担当課に聞くことは5つです。第一に、非自発的失業者の軽減を受けた場合と受けない場合で、年間の保険料がそれぞれいくらになるか。第二に、離職理由コードが該当しなかった場合に使える所得減少の減免があるか、あるならその割合と申請期限はいつか。第三に、7割・5割・2割軽減の判定に必要な所得の申告が済んでいるか。第四に、軽減が適用される期間の始まりと終わりの具体的な年月。第五に、保険料の納期がいつで、分割や徴収猶予の相談ができるか。

ハローワークに聞くことは2つです。離職理由のコードが何番になっているか。そして、実際の退職の経緯とコードが食い違っている場合に、見直しを相談できるか。ハローワークは、実際は退職勧奨だったのに自己都合とされているようなケースは相談するよう案内していて、事実関係を調べたうえで離職理由を判定すると説明しています。

持っていくものも決めておきます。雇用保険受給資格者証または受給資格通知、マイナンバーが分かるもの、本人確認書類、前年の源泉徴収票か所得が分かる書類、印鑑(自治体によっては不要)、そして国民健康保険特例対象被保険者等該当届です。届出書は自治体のサイトから印刷して記入していけば、窓口での滞在時間が短くなります。郵送で済ませられる自治体も多いので、遠方の人は先に電話で確認します。

聞き方のコツをひとつ。「軽減されますか」ではなく「私の離職理由コードは33です。この場合の年間保険料と、軽減がない場合の年間保険料を両方出してもらえますか」と具体的に聞きます。窓口は制度の可否だけを答えることが多いので、金額まで出してもらうには金額で聞く必要があります。

減免が通らなかったときと、通ったあとにやること

どの制度にも当てはまらなかった場合でも、保険料をそのまま滞納するのは最悪の選択です。多くの自治体が徴収猶予や分割納付の相談を受け付けています。滞納が続くと、通常の保険証にあたるものの代わりに短期のものが交付されたり、医療費をいったん全額自己負担する扱いになったりします。払えないことより、相談しないことのほうが結果を悪くします。

国民年金も同時に考えます。会社を辞めると厚生年金の資格を失い、20歳以上60歳未満なら国民年金の第1号被保険者への切り替えが必要になります。国民年金保険料は令和8年度で1か月あたり17,920円です。日本年金機構には免除制度と納付猶予制度があり、失業を理由にした特例の扱いもあります。納付期限までに納めないまま放置すると、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取れない場合があると明記されているので、払えないなら免除の申請をしておきます。免除の手続きをしたかどうかで、将来受け取る年金額も変わります。

軽減や減免が通ったあとにも、やることがあります。所得状況が変わったら届け出ることです。大阪市は、再就職や事業の回復などで所得の状況が変わった場合は必ず届け出るよう求めていて、届出がなかったことが判明した場合は減免を取り消すことがあると書いています。通ったから終わり、ではありません。

収入の立て直しを、保険料の設計とセットで考える

保険料の軽減は、あくまで支出を抑える話です。生活を戻すには収入の側を動かす必要があります。ここからは、そちらの話をします。

退職後に収入を立て直すとき、最初にぶつかるのが「前年の収入で請求が来る」という時間差です。国民健康保険料も住民税も、前年の所得を基準に計算されます。収入が止まった年に、収入があった年の請求が届く。非自発的失業者の軽減はこの時間差を埋めるためにある制度ですが、対象外だった人はこの差を自力で埋めることになります。

在宅ワークやフリーランスの市場を20年見てきた立場から言えば、このタイミングでやりがちな失敗が2つあります。ひとつは、目先の現金が要るあまり、単価を見ずに数だけ受けてしまうこと。もうひとつは逆に、準備が整うまで動かず、貯金が減るのを眺めてしまうことです。どちらも共通して、自分の作業1時間がいくらで売れるのかを知らないまま判断しています。

先に相場を知るだけで、判断の精度は変わります。職種ごとの単価はソフトウェア作成者の年収・単価相場著述家,記者,編集者の年収・単価相場のような年収データで確認できます。前職の業務知識をそのまま値段にできる領域を探すなら、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のような分野別のまとめが、どんな依頼が動いているかの見取り図になります。書類作成や事務代行に寄せるなら、ビジネス文書検定のような、文書の型を証明できる資格が取引先への説明材料になります。

手数料の構造も、保険料と同じ固定費として見ておくべきです。仲介サービスを通すと報酬から一定の割合が引かれます。年間の売上が積み上がるほど、この差は軽減で浮いた保険料に匹敵する金額になります。手数料0%で直接取引できる形を1本でも持っておくと、同じ仕事量でも手取りが厚くなり、依頼する側も同じ予算でより多く頼めます。運営者として見てきた限りでは、長く続いている人ほど、単発の作業を数でこなすのではなく「この人に任せると楽だ」と思われる関係を少数つくることに時間を使っています。

保険料を経費として扱えるかどうかは、独立後の申告で必ず出てくる論点です。個人事業主の保険料は経費にできる?仕訳と確定申告の方法で、どれが必要経費でどれが所得控除になるのかを整理しています。公的な保険とは別に自分で備えを用意すべきかを考える段階なら、30代の生命保険おすすめ|子育て世代の保障設計が家族構成に応じた考え方の目安になります。

最後に、判断が分かれる部分について。軽減や減免が適用されるかどうか、金額がいくらになるかは、離職理由のコード、住んでいる市区町村の条例、世帯の構成、前年と今年の所得で変わります。一般にはここで説明した順番で確認できますが、可否と金額は市区町村の国民健康保険担当課に確認してから判断してください。離職理由そのものに納得がいかない場合の相談先はハローワークです。

よくある質問

Q. 自己都合で退職した場合、国民健康保険料の軽減は受けられますか?

離職理由のコード次第です。雇用保険受給資格者証または受給資格通知の離職理由欄が31、32、33、34なら、自己都合と呼ばれる退職でも非自発的失業者の軽減の対象になります。体調不良、妊娠や出産、家族の介護、配偶者の転勤に伴う別居の解消、通勤が不可能になった転居などが「正当な理由のある自己都合退職」に含まれます。判定はハローワークが行います。

Q. 非自発的失業者の軽減では、保険料はどのくらい下がりますか?

保険料を計算するとき、前年の給与所得を100分の30とみなして計算します。所得割は前年の所得に比例するので、大きく下がります。均等割や平等割の7割・5割・2割軽減を判定するときも、給与所得を100分の30にした額で判定するため、均等割の軽減にも届きやすくなります。具体的な金額は市区町村で試算してもらってください。

Q. 軽減の届出に離職票を持っていけば足りますか?

足りません。必要なのは雇用保険受給資格者証または雇用保険受給資格通知の写しで、離職票では受け付けないと自治体は明記しています。受給資格者証はハローワークで求職の申込みをして受給資格の決定を受けたあとに交付されます。国民健康保険の加入手続きは先にすませ、軽減の届出は受給資格者証が手に入ってから出す流れになります。

Q. 離職理由のコードが該当しなかった場合、ほかに使える制度はありますか?

多くの自治体が所得の減少を理由とした減免を用意しています。大阪市の場合、退職などで世帯の見込所得が前年比10分の7以下になる世帯について、所得割を減免率表に基づいて減免します。また、世帯の所得が基準以下なら申請不要の7割・5割・2割軽減が自動で適用されます。内容は自治体ごとに違うので、住んでいる市区町村に確認してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月4日最終更新:2026年9月23日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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