臨床検査技師になるまでの道のり|必要な資格と、働きながら取る方法


この記事のポイント
- ✓臨床検査技師の資格の取り方を
- ✓社会人からの再進学という4つの角度から整理しました
- ✓取得後のキャリアと認定資格まで解説します
臨床検査技師の資格の取り方を調べていると、「大学に行かないと無理なのか」「社会人からでも間に合うのか」という2点で手が止まる人が多いはずです。結論から書きます。臨床検査技師は国家資格で、受験資格を得るには文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した養成課程を修了することが原則です。つまり、独学で受験して合格するというルートは存在しません。ただし、養成課程には大学、短期大学、専門学校という選択肢があり、修業年限も学費も大きく違います。社会人が働きながら通える形の課程もあります。
この記事では、受験資格を得るためのルート、養成校ごとの学費と期間の違い、国家試験の中身、社会人から目指す場合の現実的な進め方、そして資格を取ったあとに何が起きるのかまでを順に整理します。「資格を取ればゴール」ではないという点が、この職種を語るうえでいちばん重要な前提になります。
臨床検査技師という資格が、医療のどこに位置しているのか
まず制度の全体像を押さえておきます。臨床検査技師は、臨床検査技師等に関する法律にもとづく国家資格です。医師の指示のもとで、患者から採取した血液や尿などを調べる検体検査と、患者の体に直接機器を当てて調べる生理学的検査を行います。心電図、脳波、超音波検査、呼吸機能検査といった検査は、この生理学的検査に含まれます。
ここで多くの人が誤解するのが、「検査は誰でもできる作業なのではないか」という点です。正直なところ、この誤解は根強いと感じています。実際には、生理学的検査のうち法令で定められた範囲の業務は、臨床検査技師の資格を持たない人が行うことはできません。名称についても同様で、資格を持たない人が臨床検査技師を名乗ることは認められていません。資格の要否や業務の範囲は法令改正で見直されることがあるため、最新の内容は厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/)の公表資料や、志望先の養成校の入試相談窓口で確認してください。
もうひとつ、市場の側の話をします。医療機関の検査部門は、この20年ほどで大きく形を変えてきました。かつては院内の検査室ですべてを完結させる体制が主流でしたが、現在は検体検査の一部を外部の検査センターに委託し、院内では緊急性の高い検査と生理学的検査に集中させるという分業が広く行われています。この構造変化は、臨床検査技師の働き先が「病院の検査室」だけではなくなったことを意味します。受託検査を行う検査センター、健診センター、製薬企業や医療機器メーカーの学術部門、治験を支援する企業、公衆衛生の研究機関など、資格を土台にした進路は複数あります。
つまり、資格の取り方を考えるときは「どの養成校に入るか」だけでなく、「取ったあとにどの方向へ進みたいのか」まで含めて逆算したほうが、学校選びの精度が上がります。大学と専門学校では、卒業後の進路の傾向がはっきり違うからです。この点は後半で詳しく書きます。
需要の構造は「人が減っても検査は減らない」
高齢化が進むと、医療機関を受診する人が増え、健診の受診率も高まります。検査は診断の入り口であり、治療の効果判定にも使われるため、医療そのものが続く限り検査の件数がゼロになることはありません。一方で、検査機器の自動化は着実に進んでいます。かつて手作業だった工程が自動分析装置に置き換わり、1人あたりが処理できる検体数は増えました。
この2つを合わせると、「検査の総量は増えるが、単純な作業量あたりの人手は減る」という方向に進んでいることが読み取れます。ここから導かれる実務的な結論はひとつです。自動化しにくい領域、つまり患者と直接向き合う生理学的検査、判断を要する形態学的検査、機器や試薬の精度を管理する品質保証の領域に強みを持つ人ほど、長く必要とされます。資格取得を目指す段階から、この方向性は意識しておく価値があります。
受験資格を得る主なルートを整理する
臨床検査技師の国家試験を受けるには、受験資格が必要です。受験資格を得る経路は複数ありますが、実際に多くの人が通るのは次の3つです。
ルート1:4年制大学の臨床検査学系の学部・学科
保健学科の検査技術科学専攻、臨床検査学科、医療検査学科といった名称の課程です。修業年限は4年で、卒業と同時に国家試験の受験資格が得られます。大学ルートの特徴は、臨床検査技師の受験資格に加えて、他の資格の受験資格や研究の基礎が同時に得られる場合があることです。大学によっては、細胞検査士の養成コースを併設していたり、健康食品管理士などの関連資格に対応していたりします。
大学院への進学がしやすいのも大学ルートの利点です。製薬企業の研究職、大学病院の検査部で研究にも関わるポジション、医療機器メーカーの学術職などを視野に入れるなら、4年制大学から進むほうが選択肢は広がります。逆に、とにかく早く現場に出たい人にとっては、4年は長く感じられるでしょう。
ルート2:3年制の専門学校・短期大学
臨床検査技師を養成する専門学校や短期大学の課程です。修業年限は3年で、大学より1年早く現場に出られます。カリキュラムは国家試験の出題範囲と実習に集中して組まれているため、密度が高く、時間割の余白は少なめです。
専門学校ルートの実務的な利点は2つあります。1つは、学費の総額を抑えやすいこと。もう1つは、卒業までの期間が短いぶん、社会人から入り直す場合の機会費用が小さくなることです。一方で、大学院進学や研究職を目指す場合は、卒業後に編入や進学の追加ステップが必要になることがあります。
ルート3:医学部・歯学部・獣医学部などの課程を経る道
医学、歯学、獣医学、薬学の課程で所定の科目を修めた人に受験資格が認められる場合があります。ただしこれは、もともと別の専門課程に在籍していた人のための例外的な経路であり、「臨床検査技師になりたいから医学部に行く」という選び方は現実的ではありません。該当しそうな人だけが確認すればよい経路です。
なお、細かな要件は制度改正で変わることがあります。自分が持っている単位や学歴で受験資格が得られるかどうかは、必ず厚生労働省の公表資料と、受験を検討している年度の国家試験の受験案内で確認してください。ここは自己判断で進めてはいけない部分です。
どのルートを選ぶかの判断軸
判断に迷ったときは、次の3点を並べて比較すると整理しやすくなります。
第1に、卒業までにかけられる時間です。3年と4年の差は、20代前半なら誤差に近いかもしれませんが、30代以降で家計を支えながら学び直す人にとっては、生活設計そのものを左右します。
第2に、卒業後に進みたい方向です。病院の検査室で検査業務に就くことが目的なら、大学と専門学校で就職の可否に決定的な差が出るわけではありません。研究や開発に軸足を置きたいなら大学のほうが素直です。
第3に、通学可能な範囲に養成校があるかどうかです。臨床検査技師の養成課程は、看護師の養成課程ほど数が多くありません。地方在住の場合、選択肢が実質的に1校か2校に絞られることもあります。この物理的な制約は、他のどの条件よりも先に効いてきます。
学費と期間の現実的な見積もり
学び直しを検討している人にとって、いちばん具体的に知りたいのは金額でしょう。養成校の学費について、次のような整理があります。
学費については、国公立の場合は入学金28万2,000円、年間の授業料53万5,800円です。一方、私立の大学・短大の場合は学校によって異なり、入学金は25〜30万円、年間の費用(授業料、設備費、実習費など)は約140〜170万円がおおよその相場です。また専門学校の場合、入学金10〜20万円、授業料などの年間費用は約100〜120万円ほどです。医学部・歯学部の学費はここでは割愛しますが、私立の場合は上記以上の費用が必要になります。 出典: guppy.jp
この数字を、修業年限をかけて総額に置き換えてみます。国公立大学であれば、入学金と4年分の授業料でおおむね240万円前後。私立大学であれば、年間140万円から170万円を4年で見積もると560万円から680万円の幅になります。専門学校の3年課程なら、年間100万円から120万円で計算して300万円から360万円あたりに収まります。ここに教科書代、白衣や実習道具、実習先への交通費が加わります。
ここで見落とされがちなのが、機会費用です。社会人が仕事を辞めて全日制の養成校に通う場合、学費そのものより、通学期間中に失う収入のほうが大きくなることがあります。3年間フルタイムの収入がなくなる影響は、学費300万円より重い場合が多いのです。この点を計算に入れずに「学費は貯金でなんとかなる」と判断すると、途中で生活が回らなくなります。
負担を軽くする手段としては、日本学生支援機構の奨学金、養成校独自の特待生制度や授業料減免、医療機関が実施する修学資金の貸与制度などがあります。特に医療機関の修学資金は、卒業後に一定期間その施設で勤務することを条件に返還が免除される形が一般的です。条件と期間は施設ごとに異なるので、応募する前に契約内容を書面で確認してください。「返さなくていいお金」ではなく、「勤務で返すお金」だと理解しておくのが正確です。
私が学び直しの相談を受けたときに、必ず確認していること
編集の仕事で医療系の学び直しを扱う際、取材や相談の場で私が最初に確認するのは、学費でも偏差値でもなく「実習期間に働けるかどうか」です。臨床検査技師の養成課程には、医療機関での臨地実習が組み込まれています。この期間は平日の日中が完全に埋まり、アルバイトを続けるのが難しくなります。ここを織り込まずに学費計画を立てて、実習の学期だけ収入がゼロになって慌てる、という話を何度も聞いてきました。
実習が何年次のどの時期に、何週間入るのか。この1点を入学前にオープンキャンパスや入試相談で聞いておくだけで、資金計画の精度はまったく変わります。学校案内のパンフレットには週数までは書かれていないことが多いので、口頭で確認する必要があります。
国家試験の中身と、合格までの学習設計
養成課程を修了する見込みが立つと、次は国家試験です。試験は年に1回、例年2月頃に実施され、合格発表は3月です。出題範囲は幅広く、医用工学概論、公衆衛生学、臨床検査総論、臨床検査医学総論、臨床生理学、臨床化学、病理組織細胞学、臨床微生物学、臨床免疫学、血液学といった科目群から出題されます。
試験対策として実務的に効くのは、次の3つの順番です。
第1に、過去問を科目横断で回すこと。臨床検査技師の国家試験は、出題の傾向が比較的安定していると言われます。過去5年分から10年分を繰り返し解くことで、頻出テーマの輪郭が見えてきます。
第2に、画像と形態の問題を早めに潰すこと。血液像、病理組織像、微生物の染色像、心電図波形といった「見て判断する」問題は、テキストを読むだけでは伸びません。数をこなして目を慣らす時間が必要で、直前期に詰め込むのがもっとも難しい領域です。
第3に、計算と単位の処理を確実にすること。臨床化学や医用工学の分野では、濃度計算や単位換算を含む問題が出ます。ここは正解が一意に決まるため、落とすと純粋な失点になります。
養成校の多くは、最終学年に国家試験対策の科目や模擬試験を組み込んでいます。合格率は学校ごとに公表されていることが多いので、学校選びの段階で確認しておくとよいでしょう。ただし、合格率の高さだけで学校を選ぶのは危険です。国家試験に合格しそうな学生だけを受験させる運用をしている学校もあるためで、合格率と同時に「入学者数に対する国家試験合格者数」を見たほうが実態に近づきます。この数字は公表されていないこともありますが、入試相談で聞けば答えてくれる学校もあります。
社会人が働きながら取ることは可能なのか
「働きながら臨床検査技師の資格を取りたい」という需要は確実にあります。ここは誠実に書きます。フルタイムの仕事を続けたまま、夜間だけで受験資格を得られる養成課程は多くありません。看護師のように准看護師から進む中間ルートもないため、基本的には全日制の養成課程に通う必要があります。
そのうえで、現実的な進め方は次の3パターンです。
1つ目は、夜間部を設けている養成校を探す方法です。数は限られますが、夜間または昼夜開講の課程を持つ学校は存在します。修業年限が長くなる場合があるため、総額と期間を必ず確認してください。
2つ目は、いったん退職して全日制に通い、生活費を貯蓄と奨学金、そして時間の融通が利く仕事で補う方法です。実習期間を除けば、夕方以降や週末に働く余地はあります。この場合、シフトが固定される仕事より、作業時間を自分で決められる在宅の仕事のほうが学業と両立しやすくなります。
3つ目は、医療機関に検査補助や事務の職として勤めながら、修学資金の貸与制度を使って養成校に通う方法です。制度を持つ施設は限られますが、卒業後の就職先が事実上確保される点が大きな利点です。
いずれにしても、「独学で受験だけする」という選択肢は存在しません。ここを勘違いしたまま参考書を買い込んでしまう人がいるので、最初に確認しておくべき点です。
資格を取ったあとに待っている、もうひとつのスタートライン
国家試験に合格し、免許を取得すると、臨床検査技師として働けます。ただし、この資格は到達点ではありません。
臨床検査は新しい技術や機器が日進月歩で現れる分野で、日々の勉強は欠かせません。また、臨床検査業務の中には資格が必要な場合があります。医療の進歩にともなって臨床検査の種類は幅広く多彩になっており、非常に専門性が高くなっています。こうした専門性を保証するため「一級臨床検査士」「認定輸血検査技師」といった認定資格制度があり、これらの資格がなければ携わることができない業務も少なくありません。多くの臨床検査技師は、スキルアップのために日々の業務や学習を通じて知識・経験を深めていきます。「臨床検査技師国家資格」の取得は、まさにスタートラインなのです。 出典: guppy.jp
この構造は、キャリアを設計するうえで決定的に重要です。国家資格は「検査業務に就く入場券」であり、その先の専門性は認定資格と実務経験で積み上げていくものだからです。細胞検査士、認定輸血検査技師、超音波検査士、認定血液検査技師、認定臨床微生物検査技師など、領域ごとに認定制度が用意されています。多くは実務経験年数を受験要件としているため、就職してから数年後に挑戦することになります。
ここで戦略的な話をします。認定資格は、取れば取るほど良いというものではありません。むしろ、自分が勤める施設で扱う検査の量が多い領域と、認定資格の領域を一致させるほうが効果が出ます。たとえば超音波検査の件数が多い施設で超音波検査士を取れば、そのまま担当領域が広がり、シフトの中心に入れます。逆に、施設でほとんど扱わない領域の認定を取っても、実務で使う機会がなければ更新のための研修負担だけが残ります。
給与水準と、その数字の読み方
年収の話も避けずに書いておきます。臨床検査技師の給与を紹介している資格情報サイトでは、令和3年の賃金構造基本統計調査をもとに、平均年収はおよそ496万円、月収でおよそ33万円台、賞与は年間で90万円前後と整理されています。あわせて、経験年数が長いほど、また施設の規模が大きいほど水準は上がるという傾向も示されています。もとになっている統計そのものは厚生労働省が公表しているので、最新年の数字を見たい場合はそちらで確認してください。
この平均値は、あくまで全体を均した数字です。読み方には注意が必要で、経験年数と施設規模で上下するという但し書きのほうが実務的には重要です。新卒で入職した直後の水準は当然これより低く、経験を重ねて夜勤や当直、オンコール対応が加わることで上がっていきます。
学費と照らし合わせて考えると、私立大学ルートで600万円前後を投じた場合、回収には相応の年数がかかります。専門学校ルートで330万円前後なら、回収の見通しは立てやすくなります。ここでも「早く卒業して働き始める」ことの経済的な意味は小さくありません。ただし、大学ルートは研究職や企業への進路が開けるぶん、生涯で見たときの選択肢が広がる面もあります。どちらが得かは、目指す方向によって逆転します。
転職市場から見た、資格の使い方
臨床検査技師の免許を持っていると、転職市場での動きやすさが変わります。医療職の中でも、勤務先の種類が比較的多い資格だからです。
病院の検査部、クリニック、検査センター、健診センター、献血ルーム、製薬企業の臨床開発部門、CRO(医薬品開発業務受託機関)の臨床開発モニター、医療機器メーカーの学術やアプリケーションスペシャリスト、公務員としての衛生研究所勤務。これだけの幅があるため、ライフステージに合わせて働き方を変えやすい資格だと言えます。
たとえば、病院の検査部で夜勤を含むシフト勤務をしていた人が、育児期に健診センターへ移って日勤のみの勤務に切り替える、という動きは珍しくありません。健診センターは繁忙期と閑散期の差が大きいという特徴がありますが、深夜帯の勤務がない施設が多く、生活リズムを整えやすい環境です。
企業側への転職では、検査の実務経験そのものが評価されます。臨床開発モニターや医療機器メーカーの学術職は、医療現場の言葉が通じることを前提にした仕事で、検査室での経験が直接の武器になります。ただし、企業側の求人は病院ほど数が多くなく、募集が出るタイミングも読めません。転職を考えるなら、常時応募するのではなく、条件に合う募集が出たときにすぐ動けるよう準備しておくほうが現実的です。
転職の際に効く準備は、資格の追加取得よりむしろ「経験の言語化」です。どの検査を年間どれくらいの件数扱ってきたか、精度管理でどんな役割を担ったか、新人指導や機器の導入にどう関わったか。この3点を具体的に説明できる人は、面接での説得力がまったく違います。検査の件数や機器の型番まで書ける職務経歴書は、それだけで実務の解像度を伝えます。
医療職の専門性は、隣の領域へも延びる
もうひとつ、視野を広げる話をしておきます。検査の知識は、医療現場の外でも需要があります。医療系の記事や資料を書く仕事、医療機器の取扱説明書やトレーニング資料の作成、検査データを扱うシステムの要件定義など、専門知識が前提になる業務です。
在宅で受けられる業務委託の仕事にも、医療や科学の知識を求めるものがあります。文章を書く仕事の相場感を知りたい場合は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場が参考になります。職種ごとの単価水準と、経験年数による広がりが整理されているページです。医療機関のシステムやデータ基盤に関わる方向に興味があるなら、ソフトウェア作成者の年収・単価相場も併せて見ておくと、技術職側の水準がつかめます。
こうした副業や兼業を検討する場合は、勤務先の就業規則を先に確認してください。医療機関は副業に関する規定が厳しい場合があり、届出制になっていることも多くあります。ここは自己判断で始めず、必ず所属先のルールに沿って進めるべき部分です。
市場を長く見てきた立場からの観察
フリーランスと在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、資格職の人が外の仕事に触れたときの伸び方には、はっきりした傾向があります。
長く続く人は、単発の作業を数多くこなすことより、「この領域はこの人に聞けば早い」という関係を1つか2つ作ることに時間を使っています。臨床検査技師のような専門資格を持つ人の場合、これは特に効きます。医療の言葉が通じる書き手や監修者は、探している側からするとなかなか見つからないからです。1件目の依頼を丁寧に返した結果、同じ依頼者から継続的に声がかかるようになる、という流れを何度も見てきました。
もうひとつ、金額の話ではなく手取りの話をしておきます。仲介を挟む取引では、報酬から一定の割合が差し引かれます。同じ予算でも、中間マージンが乗らない直接の取引であれば、依頼する側はより多くの量を頼めますし、受ける側の手取りは厚くなります。運営者として見てきた限りでは、この差は単発では小さく見えても、継続案件になった瞬間に効いてきます。手数料0%という条件の価値は、1件あたりの金額よりも、続けたときに残る額の差として現れるものです。
資格の学習期間中に、時間の融通が利く仕事で生活を支えるという選択も、この観点から考える価値があります。シフトが固定される仕事と違い、作業時間を自分で決められる仕事なら、実習や試験の時期に合わせて量を調整できます。どんな業務があるかを知る入り口としては、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事が参考になります。専門知識を前提にした業務の種類と求められる水準が整理されているページです。
資格取得のプロセスを、逆算で組み立てる
ここまでの内容を、実際に動くための順番に並べ直します。
第1に、通える範囲の養成校を洗い出します。臨床検査技師の養成課程は数が限られるため、この段階で選択肢が絞られることが多く、以降の判断の前提になります。
第2に、修業年限と学費の総額を並べます。3年課程と4年課程で、学費だけでなく失う収入も違います。両方を足した金額で比較してください。
第3に、実習の時期と期間を確認します。ここが働けない期間になります。オープンキャンパスや入試相談で、何年次のいつ、何週間なのかを聞いてください。
第4に、資金の調達手段を決めます。奨学金、特待生制度、医療機関の修学資金。修学資金を使う場合は、返還免除の条件になる勤務年数と勤務先を書面で確認します。
第5に、在学中の収入源を決めます。実習期間中は働けないことを前提に、時間の融通が利く仕事を選んでおくと計画が破綻しにくくなります。オンラインで完結する打ち合わせのやり方については、Zoom・Teams・Google Meetを比較|フリーランスの打ち合わせに最適なのは?【2026年版】で各ツールの違いが比較されています。学業と両立しながら在宅で仕事を受ける場合、打ち合わせの環境は最初に整えておくべき部分です。
第6に、卒業後の進路を仮置きします。病院の検査室か、検査センターか、企業か。仮置きでかまいませんが、方向が決まっていると学校選びも実習先の選び方も変わります。
この6つを紙に書き出した時点で、「臨床検査技師の資格の取り方」という漠然とした問いは、具体的な選択の連続に変わります。調べる順番を間違えると、学費の比較だけに時間を使って、通える学校が1校しかなかったという結論に後から気づくことになります。制約の強い条件から順に確認していくのが、遠回りに見えて最短です。
独自データから見える、資格職と在宅ワークの接点
在宅ワークの求人情報を扱っていて見えてくるのは、専門資格を持つ人向けの業務が、思われているより静かに存在しているという事実です。医療や科学の知識を前提にした執筆、監修、資料作成、データ整理といった業務は、募集の件数こそ多くないものの、応募できる人が限られるぶん、条件が安定しやすい傾向があります。
職種ごとの単価水準を横に並べて見ると、専門知識が要求される領域ほど、経験年数による単価の伸び幅が大きくなっていることが読み取れます。著述家,記者,編集者の年収・単価相場のページでは、書く仕事の全体的な水準が確認できますが、そこに医療という専門領域が加わると、扱いは変わってきます。誰でも書ける記事と、資格保有者でなければ監修できない記事とでは、依頼側が用意する予算の桁が違うためです。
同じことは、資格そのものにも言えます。ビジネス文書検定のように、業務の基礎を証明する資格と、臨床検査技師のような業務独占性のある国家資格とでは、キャリアにおける役割がまったく違います。前者は仕事の進め方の品質を担保するもので、後者は仕事に就くこと自体の条件になるものです。この違いを理解しておくと、「資格を取れば仕事が来る」という誤解から距離を置けます。
IT分野の資格でも構造は似ています。CCNA(シスコ技術者認定)のような技術系のベンダー資格は、実務経験と組み合わせて初めて評価される性質のものです。臨床検査技師の認定資格制度と同じで、資格単体ではなく、資格が指し示す実務の中身が評価されます。
医療分野のデジタル化に関わる仕事に興味があるなら、AIコンサル・業務活用支援のお仕事やアプリケーション開発のお仕事にも目を通しておく価値があります。前者は業務プロセスの改善を支援する仕事、後者はシステムを作る側の仕事で、どちらも医療現場の実務を理解している人材を必要とする場面があります。検査室での経験は、こうした領域で「現場が何に困っているかを説明できる人」という形で活きます。
最後に、資格の取り方という問いに戻ります。臨床検査技師になるには、指定された養成課程を修了し、国家試験に合格するという道を通る必要があります。近道はありません。ただ、その道のどこを通るか、通りながら生活をどう支えるか、卒業後にどの方向へ進むかについては、選択の余地が大きく残されています。制度が決めているのは入口の形だけで、その先の設計は自分で組み立てるものです。学校のパンフレットを開く前に、この記事で挙げた6つの確認事項を先に埋めておくことをおすすめします。
よくある質問
Q. 臨床検査技師は独学で資格を取れますか?
取れません。国家試験を受けるには、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した養成課程を修了して受験資格を得る必要があります。大学、短期大学、専門学校のいずれかに通うことが前提で、参考書だけで受験できる資格ではありません。受験資格の要件は改正されることがあるため、最新の受験案内で確認してください。
Q. 大学と専門学校では、どちらを選ぶべきですか?
病院や検査センターで検査業務に就くことが目的なら、修業年限が3年で済む専門学校のほうが学費と機会費用を抑えられます。大学院進学、研究職、製薬企業や医療機器メーカーの学術職を視野に入れるなら4年制大学が有利です。通える範囲に養成校があるかどうかを先に確認するのが現実的な順番です。
Q. 働きながら資格を取ることはできますか?
フルタイムの仕事を続けたまま取得するのは難しいのが実情です。夜間や昼夜開講の課程を持つ養成校は数が限られ、臨地実習の期間は平日の日中が埋まります。退職して全日制に通い、時間の融通が利く在宅の仕事で生活費を補う進め方や、医療機関の修学資金貸与制度を使う方法が現実的な選択肢になります。
Q. 資格を取ったあとも勉強は必要ですか?
必要です。検査の技術と機器は更新が早く、業務によっては認定資格が求められます。細胞検査士、認定輸血検査技師、超音波検査士などの認定制度があり、多くは実務経験年数が受験要件です。勤務先で件数の多い検査領域と認定資格の領域を一致させると、実務で活かしやすくなります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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