提案で触れる指標の選び方で変わる、リスティング広告運用の案件の取り方


この記事のポイント
- ✓リスティング広告運用の案件の取り方は
- ✓提案でどの指標を話すかで結果が変わります
- ✓CPAとROASとCV数のどれを軸に置くか
リスティング広告運用の案件が取れる人と取れない人の差は、スキルの差だとよく言われます。結論から言うと、それは半分しか当たっていません。差が出るのは、提案の場でどの指標を話題に選ぶかです。
CPAを軸に話す人、ROASを軸に話す人、コンバージョン数だけを話す人。同じ実力でも、この選び方ひとつで、発注者の反応はまったく変わります。なぜなら、発注者が気にしている数字と、運用者が得意な数字は、しばしばずれているからです。
この記事では、リスティング広告運用の案件の取り方を、提案で触れる指標という切り口から整理します。どの数字を軸に置けば話が前に進むのか。逆に、どの数字を先に出すと相手が引くのか。営業チャネルの選び方と価格の伝え方も含めて、順に見ていきます。
発注者が本当に見ている数字は、運用者が見ている数字と違う
まず前提の確認です。リスティング広告運用の受注者が日常的に見ている指標は、CPA、CVR、CTR、クリック単価、インプレッションシェアといったあたりです。これは管理画面が返してくれる数字であり、運用の巧拙を測る道具として合理的です。
ところが、発注者が経営判断に使っている数字は別のところにあります。広告を出す企業が最終的に見ているのは、売上と粗利、そして新規顧客の獲得数です。広告費はコストの一項目であり、CPAはその内訳にすぎません。
この差が、提案の場ですれ違いを生みます。運用者が「CPAを2割改善できます」と話しても、発注者からすると「それで結局いくら儲かるのか」が見えない。逆に、発注者が「問い合わせをもっと増やしたい」と言っているのに、運用者が「まずはCTRの改善から」と返すと、話が噛み合わない。
正直なところ、この噛み合わなさは受注者側の責任が大きいと考えています。管理画面の言葉で話すほうが楽だからです。ですが、案件を取るための会話は、相手の言語で行う必要があります。
提案で最初に置くべき指標は、コンバージョンの「定義」
指標そのものより先に確認すべきものがあります。何をコンバージョンと数えるかです。
問い合わせフォームの送信をコンバージョンとするのか、電話の着信も含めるのか、資料請求と見積依頼を区別するのか、来店予約はどう扱うのか。ここが決まっていない状態でCPAを議論しても、数字は動くけれど意味は動きません。
提案の場でこの確認をすると、発注者側の反応が変わることが多い。理由は簡単で、この質問をしてくる運用者が少ないからです。多くの提案は「うちならCPAを下げられます」から入ります。定義から入る提案は、それだけで差別化になります。
そして、この確認は受注後の自分を守ります。定義があいまいなまま契約すると、成果の評価も後からあいまいになるからです。
CPAを軸に置くべき案件と、そうでない案件
CPAは、獲得1件あたりにかかった広告費です。分かりやすく、比較しやすい。ただし、CPAを軸にすると議論が「安くする」方向に固定されます。
CPAが軸として有効なのは、獲得した顧客の価値が均一な商材です。たとえば、単価が一定のサブスクリプションや、決まった価格の商品。1件あたりの価値が同じなら、獲得コストを下げることがそのまま利益になります。
一方、獲得した案件によって金額が10倍違う商材では、CPAは危険な軸です。安い獲得ばかりが増えて、売上が伸びないという事態が起きます。BtoBの受注型ビジネス、リフォーム、不動産、法人向けのシステム導入。このあたりは典型例です。
こういう案件では、CPAではなく、受注につながったコンバージョンだけを数えるか、ROASを軸に置くべきです。提案の場で「御社の場合、問い合わせの中身に幅がありそうなので、単純なCPAより受注ベースで見たほうが正確だと思います」と言えるかどうか。これが、案件の取り方を分ける一言になります。
ROASを軸にするときの落とし穴
ROASは、広告費に対する売上の比率です。ECのように売上が即座に確定する商材では、最も実態に近い指標になります。
ただし落とし穴があります。ROASは売上ベースの指標であり、粗利を見ていません。粗利率が低い商材では、ROASが高くても赤字になります。
この点は、費用構造を具体的に置いて考えると分かりやすくなります。
例えば、粗利が500円の商品のリスティング広告の平均クリック単価が100円だったとします。ユーザがリピート購入をしないと仮定すると、広告をクリックしたユーザのうち5人に1人が購入しないと赤字になります。リスティング広告は競合性が高いため、実際の購入率は1割に満たないことも珍しくありません。 出典: medix-inc.co.jp
購入率が5分の1必要なのに、実際には1割に届かないことがある。この構造を提案の場で共有できると、話の質が一段上がります。「広告を回せば売れます」ではなく、「この粗利だと、この購入率が損益の分かれ目です」と言える運用者は、発注者から見て信用できる相手になります。
そして、この計算をするには、発注者から粗利の情報を引き出す必要があります。踏み込んだ質問ですが、聞けるかどうかが受注の分かれ目です。答えられない発注者もいますが、そのときは「ざっくりで構いません」と幅で聞けば十分です。
業種によって、置くべき軸は入れ替わる
指標の選び方は、業種の構造で決まります。代表的なパターンを並べておきます。
ECや通販では、売上と粗利が即座に確定するため、ROASと粗利率の組み合わせが軸になります。ここで注意すべきは、リピート購入の有無です。初回購入だけを見て赤字でも、2回目以降で回収できる商材なら、初回のCPAは高くてよい。この会話ができると、発注者は「事業を理解している人」という評価をします。
BtoBの受注型ビジネスでは、問い合わせ件数ではなく、商談化した件数と受注件数が軸になります。広告の管理画面だけでは追えないため、発注者側の営業データと突き合わせる必要があります。提案の場で「御社の営業管理のデータと広告の数字を紐づけられますか」と聞けるかどうか。ここが取れると、他社と同じ土俵に乗らずに済みます。
店舗ビジネスでは、来店や予約が最終成果ですが、Web上で完結しません。電話の着信計測や、来店時のクーポン提示など、オンラインとオフラインをつなぐ計測の設計そのものが提案の中身になります。数字が取れない前提で「感覚で回す」と言ってしまうと、その時点で議論が終わります。
士業や医療のように広告表現に規制がある分野では、指標の前に表現の可否が論点になります。何を書いてよいかが決まらないと、広告文の改善という打ち手そのものが使えないからです。規制の解釈は分野ごとに異なるため、判断が必要な部分は所管する省庁の情報や、専門家の確認に委ねるのが安全です。
初回の商談で聞いておく5つの質問
指標の話を成立させるには、情報が要ります。初回で聞いておきたい質問を挙げます。
1つ目は、何をコンバージョンと数えるか。すでに触れたとおり、ここが出発点です。
2つ目は、1件の獲得がいくらの売上と粗利につながるか。幅で構いません。この数字がないと、いくらまで広告費をかけてよいかが決まりません。
3つ目は、いま何が課題と感じているか。件数が足りないのか、単価が高いのか、質が悪いのか。この3つは打ち手がまったく違います。件数不足なら予算やキーワードの拡張、単価高騰なら構成や品質の改善、質の問題ならキーワードと広告文とランディングページの整合性。課題を取り違えたまま提案すると、的外れな内容になります。
4つ目は、これまでどこに依頼していて、なぜ変えるのか。前任者の批判をする必要はありませんが、何が不満だったのかを知らずに提案すると、同じ地雷を踏みます。報告が来なかったことが不満なら、報告の設計を提案に含めるべきです。
5つ目は、社内で誰が意思決定するか。担当者が納得しても、決裁者が別の指標を見ていれば話は進みません。決裁者が見ている数字を担当者から聞き出しておくと、提案書の構成が変わります。
この5つを、専門用語をほとんど使わずに聞けるかどうか。案件の取り方で最も再現性が高いのは、実はこの質問設計の部分です。
提案で触れないほうがいい数字
軸に置くべき指標がある一方で、先に出さないほうがいい数字もあります。
ひとつ目が、他社事例の改善率です。「前の案件でCPAを40%改善しました」という話は、聞こえは良いのですが、相手の商材とは関係のない数字です。しかも、改善前の状態が悪かっただけかもしれない。発注者の側も、その手の数字を何度も聞かされています。
ふたつ目が、細かい運用の指標です。品質スコア、インプレッションシェア損失率、オークションインサイト。これらは運用者にとって重要ですが、初回の提案で持ち出すと、相手は理解できないまま「難しそうな人」という印象だけを持ちます。専門用語で相手を圧倒する提案は、短期的には権威に見えて、長期的には契約に至りません。
三つ目が、成果保証を思わせる数字です。「必ず何件取れます」「最低でもこの水準まで下げます」。広告のオークションは競合の動きで変わるため、保証はそもそも成立しません。断定すれば案件は取れるかもしれませんが、履行できなければ信頼を失います。
案件を取る経路は、指標の話ができる場に絞る
指標の話ができるかどうかは、そもそもどの経路で案件に出会うかに左右されます。経路によって、提案の深さが変わるからです。
プラットフォーム経由
案件掲載型のサービスでは、募集要項に対して応募する形になります。応募者が多いため、書類の段階で絞られます。ここで効くのは、募集内容に対する具体的な返答です。「広告運用の経験があります」ではなく、「募集要項にある商材だと、獲得単価より受注率のほうが論点になりそうです」といった、相手の課題に踏み込んだ一文。
ただし、この経路には手数料の問題があります。仲介型のサービスでは報酬から一定割合が差し引かれるのが一般的で、継続案件では年単位で無視できない額になります。個人的には、まずどこかで実績を作り、本命の継続案件は手数料0%で直接つながる仕組みへ移していくのが合理的だと考えています。額面が同じでも、手元に残る額が変わるからです。
紹介と既存クライアント経由
最も成約率が高い経路です。すでに信頼が担保されているため、提案が指標の議論から始められます。
紹介を生むために必要なのは、営業ではなく報告の質です。月次のレポートが読みやすく、次の打ち手が明確に書かれていれば、発注者はそれを社内や取引先に見せます。そこから声がかかる。運用者にとっての営業活動は、実は納品物の中にあります。
情報発信経由
自分で情報を発信して、そこから問い合わせを受ける経路です。時間はかかりますが、価格競争に巻き込まれにくいという特徴があります。
ちゃんとした新規案件のお問合せが1件ありました。なんと『YouTube動画を見て』とのことでした。やってみるものですね。 出典: kwmlabo.com
こういう経路が成立するのは、発信の中身が「指標の話」になっているときです。単に実績を並べるだけの発信からは、問い合わせは来にくい。逆に、業種ごとの損益分岐の考え方や、コンバージョン定義の決め方といった実務の話を出していると、同じ悩みを持つ発注者が反応します。
副業として始める段階では、発信の量を追う必要はありません。月に1本でも、指標の話を書き続けるほうが効きます。
抱き合わせで入る経路
もうひとつ、実績が薄い時期に使われてきた方法があります。別のスキルとセットで提案し、広告運用の枠を確保するやり方です。
例えばもう10年以上前の話ですが、僕の場合、Webサイト制作の経験があれば、「広告運用をやらせてもらえるのであればWebサイト制作を100円でやります」と言って集客していたことがありました。 出典: kwmlabo.com
正直なところ、この極端な値付けをそのまま真似するのはおすすめしません。安値で入った関係は、その後の値上げが極めて難しいからです。ただし、考え方そのものは今でも有効です。ランディングページの改善、計測タグの設置、レポートの整備といった周辺の作業を提案に含めることで、広告運用単体では取りにくい案件に入り込める。
この場合も、価格をゼロに近づけるのではなく、範囲を明示したうえで妥当な金額を提示すべきです。値引きではなく、範囲の設計で差をつける。ここが、長く続く受注と使い捨てられる受注の分かれ目になります。
価格の伝え方で、指標の議論が続くかどうかが決まる
提案の最後に来るのが価格です。ここで多くの提案が崩れます。
広告運用の報酬形態は、広告費に対する一定割合、月額固定、時間単価の3つが主流です。業界では広告費の20%前後という水準がよく使われますが、代行会社の側にも幅があります。
実際に、リスティング広告の運用代行を代理店に委託する企業は年々増加しています。ただし代行会社は数百社あり、手数料率から得意業種、対応範囲まで会社ごとに大きく異なります。選定を誤れば、月額予算の20%以上を手数料として支払いながらコンバージョンが伸びない、という事態にもなりかねません。 出典: grill.co.jp
発注者はこの記事のような情報を読んでいます。つまり、「手数料を払ったのに成果が出ない」という失敗を警戒している。だから、価格を提示するときは、金額そのものより「その金額で何が行われるか」を先に説明する必要があります。
具体的には、月に何回の調整を行うのか、レポートには何が含まれるのか、どこまでが範囲外なのか。この3点を書面で示すと、金額の妥当性が判断できるようになります。逆に、範囲が書かれていない見積もりは、金額の大小に関係なく警戒されます。
小規模な案件では、広告費の割合で計算すると報酬が小さくなりすぎることがあります。月の広告費が10万円で割合が20%なら、報酬は2万円。ここに毎週の調整と月次レポートを載せると、時間あたりの単価はかなり低くなります。この規模帯では、最低月額を設定するか、月額固定の形にするほうが現実的です。
なお、広告費の下限についてはこういう指摘もあります。
設定できる予算に下限はないため、理論上は1円から出稿可能。ただし、リスティング広告はオークション形式で表示順位が決まるため、予算設定が低すぎると競合に負けてしまい、広告がほとんど表示されないこともあります。トライアルで効果検証する場合は、月額10〜15万円程度から始めてみるのがおすすめです。 出典: valueagent.co.jp
検証に耐える予算規模がある、ということです。これは提案の材料にもなります。予算が小さすぎる相談を受けたとき、無理に受けるのではなく「この予算だと検証が難しいので、まずはこの規模まで積むか、対象キーワードを絞る形にしましょう」と提案できる。断る力も、案件の取り方の一部です。
契約に落とすときの注意点
価格が合意できても、契約の書き方で後から揉めることがあります。案件の取り方の最後の工程として、押さえておくべき点を挙げます。
まず、成果の定義を数値の水準としてではなく、業務の内容として書くこと。「CPAを1万円以下にする」と書くと、達成できなかったときに債務不履行の議論になります。オークションの相場は競合の動きで変わるため、結果を約束するのは無理があります。代わりに「月4回の入札調整と検索クエリの精査を行い、月次でレポートを提出する」というように、行う業務を定めるのが一般的です。
次に、広告費の立て替えを受けないこと。運用者が自分のクレジットカードで広告費を支払う形にすると、発注者からの入金が遅れたときに、自分の資金で数十万円を負担することになります。広告アカウントは発注者名義で作り、支払い方法も発注者側に紐づけるのが安全です。
そして、報酬の支払期日を明記すること。2024年11月に施行されたフリーランス保護新法では、発注者は取引条件を書面または電磁的方法で明示し、成果物を受け取った日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定めることとされています。制度の適用範囲や個別の判断は取引の形態によって異なるため、詳細は公正取引委員会や厚生労働省の公表情報を確認し、疑義があれば専門家に相談してください。
アカウントの権限も決めておきたい項目です。契約終了時に、これまでの運用データを誰が保持するのか。発注者名義のアカウントであればデータは発注者に残りますが、運用者側が作ったアカウントで運用していた場合、引き継ぎの段階で揉めます。開始時に決めておけば、終わり方も穏やかになります。
副業として始める人が、最初に整えるべきもの
ここまでの話は、実績のある運用者だけのものではありません。副業から入る人にも同じ構造が当てはまります。
副業で始める場合、最初の1件をどう取るかが最大の壁になります。ここで多くの人が実績の不足を理由に応募をためらいますが、発注者が本当に警戒しているのは実績の少なさではなく、任せたあとに何が起きるか分からないことです。だから、応募の段階で「最初の1か月で何をするか」を具体的に書くだけで、印象は変わります。現状の確認、計測の点検、除外キーワードの整理、初回レポートの提出。この4つを並べるだけでも、行動の輪郭が見えます。
必要なのは、指標について語れる下地です。自分のサイトや小規模な出稿で構わないので、コンバージョンを定義し、計測を設置し、数字を読んで打ち手を決めるという一巡を経験しておく。この経験があると、提案の場での言葉が具体的になります。
計測まわりの理解は特に重要です。タグが正しく発火しているか、重複計測が起きていないか。ここが崩れていると、その上のすべての議論が意味を失います。技術的な下地を体系的に押さえたい方にはCCNA(シスコ技術者認定)のようなネットワーク系の資格もありますが、広告運用との距離はやや遠い。優先度は、計測とデータの読み方が先です。
提案書やレポートの書き方に不安があるなら、文書作成の型から入るのも手です。ビジネス文書検定は報告書や提案書の構成そのものを扱います。指標の話ができても、それが文章で伝わらなければ案件にはつながりません。
在宅で完結する仕事を広く見ておきたい方は、在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるで全体像を確認できます。作業環境については在宅ワークに最適なネット回線|光回線vsホームルーターの選び方、時間の使い方については在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックが参考になります。副業では作業時間が限られるため、環境の整備が成果に直結します。
市場データから見た、案件の取り方の現在地
最後に、市場の側から見た話をします。
広告運用の周辺では、依頼の中身が変わりつつあります。広告の配信だけを切り出して発注するケースは減り、計測の設計、ランディングページの改善、CRMとの連携までを含めた相談が増えている。この流れは、隣接領域の募集内容にも表れています。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事を見ると、マーケティング施策と技術要件が同じ依頼の中に並んでいることが分かります。生成AIを業務にどう組み込むかという相談はAIコンサル・業務活用支援のお仕事の領域に、レポートや管理画面の自動化はアプリケーション開発のお仕事の領域に、それぞれ隣接しています。
報酬水準を考えるときは、隣接職種の相場も参考になります。技術寄りの作業を含むならソフトウェア作成者の年収・単価相場、提案書やレポートの作成比重が高いなら著述家,記者,編集者の年収・単価相場が目安です。広告運用はこの両方の性質を持つ職種であり、どちらに寄せるかで年収の伸び方が変わります。管理画面の操作だけを引き受ける形では、単価は上がりにくい。
在宅とフリーランスの市場を20年運営してきた立場から見ると、案件を安定して取り続けている人には共通点があります。提案の場で、自分の得意な指標ではなく、相手の事業が動く指標を選んでいることです。CPAの改善が得意でも、相手が売上を見ているなら売上の話から入る。この切り替えができる人は、初回の商談での通過率が明らかに高い。
運営者として見てきた限りでは、もうひとつの共通点は、断る基準を持っていることです。予算が検証に足りない案件、コンバージョンの定義が決まらない案件、成果保証を求めてくる案件。これらを受けないと決めている人ほど、受けた案件で成果を出し、そこから紹介が生まれています。案件の取り方を考えるとき、取る技術と同じくらい、取らない基準が効いてくる。これは長く市場を見ていて確信していることです。
そして報酬の受け取り方も、長期の年収を左右します。仲介の手数料が毎月引かれる経路と、直接契約で受け取る経路では、同じ仕事でも手元に残る額が変わります。継続する運用案件ほど、この差は積み上がります。稼ぐ力を上げる方法は単価交渉だけではなく、受け取り方の設計にもあるということです。
よくある質問
Q. 提案の場で、最初に確認すべきことは何ですか?
何をコンバージョンとして数えるかの定義です。フォーム送信だけなのか、電話や来店予約も含めるのか。ここが決まらないままCPAを議論しても評価の基準が定まりません。定義から入る提案は数が少ないため、それ自体が他の応募者との差別化にもなります。
Q. CPAとROASは、どう使い分ければよいですか?
獲得した顧客の価値が均一な商材ではCPAが有効です。案件ごとに金額の幅が大きいBtoBや受注型のビジネスでは、安い獲得ばかり増えて売上が伸びないため、受注ベースの計測やROASを軸にします。ただしROASは売上ベースなので、粗利率の低い商材では損益と一致しません。
Q. 実績が少ない段階で、どうやって案件に入り込めばよいですか?
ランディングページの改善や計測タグの設置、レポート整備など周辺の作業を含めた提案で入る方法があります。ただし極端な値引きで入るのは避けてください。安値で始まった関係は後から値上げが難しく、範囲を明示して妥当な金額を出すほうが長続きします。
Q. 広告運用の報酬は、どの形で受けるのが安全ですか?
広告費に対する割合、月額固定、時間単価の3つが主流です。月の広告費が小さい案件では割合方式だと報酬が過小になるため、最低月額の設定か月額固定が現実的です。いずれの形でも、調整の回数とレポートの内容、範囲外の作業を書面で示しておくことが重要です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ
プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス
経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方





