ハンドメイドの著作権で困らないための題材選びと確認の手順


この記事のポイント
- ✓ハンドメイド著作権の疑問に
- ✓著作権法と商標・意匠の条文から答えます
- ✓題材を決める前の確認手順を6段階で整理しました
ハンドメイド著作権という言葉で検索する人の多くは、「この題材で作って売っても大丈夫か」という一点を知りたがっています。結論から書きます。判断が分かれるのは作品そのものではなく、材料と題材の出どころです。生地や型紙や手芸本には販売元が決めた利用条件があり、キャラクターやブランド名には著作権とは別の権利がかぶっています。この記事では、著作権法の条文と特許庁が扱う権利の役割分担を整理したうえで、題材を決める前に踏む確認の手順を6段階に分けて示します。
ハンドメイドで関わる権利は著作権だけではない
最初につまずくのは、「著作権」という1語で全部を考えようとする点です。手作りの作品をつくって売る場面では、性質の違う4種類の決まりが同時に関わります。どれが問題になっているかを切り分けないまま調べても、答えは出てきません。
1つめが著作権です。著作権法は、守る対象をこう定めています。
著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。 出典: laws.e-gov.go.jp
著作権の特徴は、登録の手続きがいらないことです。著作権法第51条は、著作権の存続期間は著作物の創作の時に始まると定めており、作った瞬間から権利が発生します。保護される長さは、原則として著作者が亡くなってから70年です。つまり、イラストや絵柄を無断で写して作品にすると、相手が届け出をしていなくても権利の問題になります。
2つめが商標権です。こちらは著作権とちがって特許庁への登録が前提で、守るのはブランド名やロゴといった「目印」です。だから、デザインとして優れているかどうかは関係がなく、「同じ区分の商品で、登録されている目印を使ったか」が判断の軸になります。人気ブランドの名前をタグに入れると、絵柄を1本も写していなくても商標権の問題になります。
3つめが意匠権で、こちらも登録が前提です。守るのは物の形や模様、色の組み合わせといった見た目のデザインです。アクセサリーや雑貨の形そのものを守りたい場合は、著作権ではなく意匠登録が本筋になります。手続きと費用は特許庁の意匠の案内に出ているので、自分の作品を守る側に回るときはそこから読み始めるのが早いです。
4つめが不正競争防止法です。他人が売り出した商品の形をそっくり写して売る行為を禁じる決まりがあり、登録がなくても使えます。ただし対象になる期間には限りがあるため、長く守りたいなら登録の道を選ぶことになります。
この4つは、確認する相手が違います。著作権なら権利を持っている作者や出版社、商標権と意匠権なら特許庁の検索と権利者、不正競争防止法なら相手の販売状況です。「調べたけれど分からなかった」という声の多くは、この入口を間違えています。
著作権が守るのは表現で、作り方やアイデアは守られない
著作権法第10条は、守る対象の例として、絵画や版画や彫刻などの美術、写真、地図や図面などの図形を挙げています。ここに書かれているのは、どれも「かたちになった表現」です。逆に言えば、かたちになる前のアイデアや、作るための技法は著作権の対象にはなりません。
この線引きは、手作りの現場でかなり実用的です。たとえば、あるあみぐるみの「増し目を入れて丸みを出す編み方」は技法であってアイデアなので、それを真似て別のぬいぐるみを編んでも著作権の問題は起きません。一方で、その技法を説明した文章、手順の図、工程の写真は、それぞれが著作物です。手芸本の説明ページを写して自分の販売ページに貼れば、技法を使うこと自体は自由でも、説明の表現を写した点で問題になります。
もう1つ知っておくと落ち着けるのが、侵害と判断されるには2つの条件がそろう必要がある点です。1つは、相手の作品に似ていること。もう1つは、相手の作品を見て作ったこと(依拠といいます)です。同じ材料が手芸店で売られていて、同じ構造で作れば誰が作っても似た形になる、という場合は、後者が成り立ちません。「似ている」だけで即座に侵害になるわけではないのは、こういう理由です。
とはいえ、これを自分の都合に合わせて使うのは危険です。人気作家の新作が出た直後に、同じ配色と同じ組み合わせで似た品を出せば、見た人は「見て作った」と受け取ります。争いになったときに説明を求められるのは出品した側です。制作の途中を写真で残しておくだけで、この説明はぐっと楽になります。
実用品としての作品に著作権が認められにくい理由
「自分のアクセサリーのデザインをまねされた」という相談で、いちばん多い誤解がここです。著作権が守るのは「美術の範囲に属するもの」で、身につけたり使ったりする実用品のデザインは、この範囲に入りにくいと扱われてきました。使うためのかたちは、機能から決まる部分が大きいからです。
実務上の目安としては、実用の機能と切り離して見たときに、それだけで鑑賞の対象になる表現があるかどうかが争点になります。同じピアスでも、金具の形や留め具の構造は機能側なので守られにくく、そこに載せた手描きのイラストや刺しゅうの図案は表現側なので守られやすい、という分かれ方をします。自分の作品を守りたいなら、守れる側の要素を意識して作るほうが結果的に強くなります。
そして、どうしても形そのものを守りたいなら意匠登録です。登録には審査と費用がかかるので、1点物には向きません。同じ形を何年も売り続ける定番商品があり、そこが売上の柱になっているなら検討する価値があります。判断に迷ったら、特許庁の窓口や各地の知財総合支援窓口で無料の相談を受けられます。費用をかける前に、相談だけ済ませておくのが現実的な順番です。
逆の立場も押さえておきましょう。人の作品を見て「この形はよくできている」と思ったとき、その形が意匠登録されていれば、絵柄を1本も写していなくても販売できません。定番商品として長く売られている品ほど、登録されている確率が上がります。似た形で売り出す前に、特許庁の検索で同じ分野の登録を確かめる習慣を持つと事故が減ります。
生地と型紙と手芸本をどこまで商用で使えるか
ここが実務でいちばん問い合わせの多い領域です。判断の出発点は1つだけ覚えれば足ります。物を買っても、その絵柄の著作権は買った人に移りません。所有権と著作権は別の権利なので、生地は自分の物になっても、プリントされた絵柄の権利は生地のメーカーやデザイナーのものです。
だから、生地の商用利用の可否は法律の条文ではなく、販売元が定めた条件で決まります。多くの生地メーカーや通販サイトは、自社のサイトに商用利用の範囲を書いています。「作った品の販売は可、生地そのものの転売は不可」「販売は可だが絵柄を主役にした商品は不可」「数量に上限あり」など、書き方は会社ごとに違います。同じ会社でもシリーズによって扱いが変わることがあるため、シリーズ名まで見て読むのが確実です。
型紙も同じ考え方です。型紙は図形の著作物にあたりうるもので、型紙を買ったことと、その型紙で作った完成品を売れることは別の話です。作家が販売している型紙には「完成品の販売可」「販売時は型紙の作者名を表示」「販売は不可」といった条件が付いています。条件を読まずに作ってから慌てるより、買う前に条件を読んで題材を決めるほうが早いです。
手芸本は、掲載作品の販売を認めていない例が多数を占めます。本の巻末やメーカーの案内ページに書かれているので、買った時点で確認しておきます。近年は「1人あたり10点まで」「個人の販売に限る」といった条件付きで認める出版社も出てきました。認める方向に動いている会社があるからこそ、本ごとに確認する価値があります。
問い合わせをするときは、電話ではなくメールを使ってください。理由は簡単で、答えが文字で残るからです。「いつ、誰に、どう聞いて、どう答えられたか」が残っていれば、あとで販売先から確認されたときにそのまま示せます。許諾のやりとりは商品ごとにフォルダを分けて保存できます。ここを面倒がる人が多いのですが、作品数が増えてきた段階でいちばん効く記録です。
キャラクターや推しモチーフを避けるべき理由
人気キャラクターの絵は、美術の著作物です。無断で写して作品にすれば複製の権利、形を変えて作れば翻案の権利に触れます。著作権法第21条は複製する権利、第27条は翻訳や変形などの権利を、いずれも著作者が専有すると定めています。「そっくりではなく雰囲気だけ寄せた」という言い方が通らないのは、後者が用意されているからです。
ここで必ず持ち出されるのが、私的使用の話です。著作権法第30条は、個人的に、または家庭内その他これに準ずる限られた範囲内で使う目的なら、使う人が複製できると定めています。だから、自分で身につけるために1つ作るのは、この範囲に入ります。しかし、フリマアプリやイベントでの販売は、どう読んでもこの「限られた範囲」の外です。無料で配る場合も、配る相手が家庭内に準ずる範囲を超えれば同じです。
ブランド名やロゴは、著作権ではなく商標権の話になります。ロゴを刺しゅうした品を売れば、絵柄の巧拙とは無関係に問題になります。登録されているかどうかは特許庁の検索サービスで調べられますが、区分の読み方に慣れが必要です。慣れるまでは「ブランド名とロゴは使わない」という単純な線を引くのが安全です。
そのうえで、公式に許されている道もあります。権利者が二次創作のガイドラインを公開している場合、その範囲なら作って売れることがあります。条件は権利者ごとにまったく違い、「販売点数の上限」「イベント限定」「デジタルデータの販売は不可」などの指定が入ります。ガイドラインは改定されるので、前に読んだ記憶で判断せず、出品のたびに現在の版を確認してください。
SNS投稿と販売ページで踏みやすい落とし穴
作品そのものが問題なくても、見せ方でつまずくことがあります。数が多い順に並べると、写真、文字、音の3つです。
写真では、作品の背景に他人のポスターやキャラクター商品が写り込む例が典型です。著作権法には、写真や動画を撮るときに分けて考えられない形で入り込んだ著作物について、一定の範囲で使えるようにする決まりがあります。ただし、写り込んだものが主役に近い扱いになっていると、その範囲を出ます。人気キャラクターのぬいぐるみを横に並べて撮る構図は、写り込みではなく演出なので、同じ扱いにはなりません。撮影の背景は無地の布か木の板にしておけば、この手の判断が丸ごと不要になります。
文字では、フォントのライセンスです。無料で配布されているフォントにも、商用での利用を認めないもの、ロゴへの利用だけ別料金にするものがあります。商品ラベルやショップカードに使う前に、配布元の条件を読んでください。あわせて、他の作家の商品説明文をなぞって書くのも避けます。書き方の型をまねるのは自由ですが、文そのものを写せば表現を写したことになります。
音は、作品の紹介動画を作る段階で出てきます。市販の楽曲を流すと、作曲した人の権利と、その演奏や録音についての権利の両方が関わります。動画の投稿先が包括の契約を結んでいる場合と、そうでない場合で扱いが変わるため、投稿先のヘルプを読むのが確実です。迷うなら、利用条件のはっきりした音源だけを使うほうが手間がかかりません。
題材を決める前に踏む6段階の手順
ここまでを実際の作業の順番に組み替えます。慣れれば1つの題材につき15分ほどで回せます。
第1段階は、題材を3つの箱に分けることです。1つめは完全に自分で考えた絵柄や形、2つめは市販の生地や型紙や手芸本を使うもの、3つめは他人が作った世界に寄るもの(キャラクター、ブランド、既存作家の作風)です。3つめに入った題材は、原則として許諾が取れるまで進めません。
第2段階は、2つめの箱に入った題材について、材料の販売元の条件を読むことです。読む場所は商品ページではなく、会社のサイトにある利用条件のページです。商品ページの説明は要約されていることが多く、肝心な制限が落ちています。
第3段階は、名前とロゴの確認です。商品名に有名なブランド名や作品名を入れたくなったら、そこで止まります。特許庁の検索で同じ分野の登録を見るか、名前を入れずに商品名を組み立てます。
第4段階は、問い合わせです。文面は短くて構いません。誰か(屋号と氏名)、何を(商品の内容と使う材料のシリーズ名)、どこで(販売する場所)、どれくらい(想定する点数)、この4点を書けば先方が判断できます。
第5段階は、記録です。もらった返信は商品ごとに保存し、販売ページのどの商品に対応する許諾かを分かる形にします。プラットフォームから確認が入ったとき、ここがあるかどうかで結果が変わります。
第6段階は、販売する場所の規約です。法律の上では問題がなくても、出品先が独自に禁じている題材があります。他人の商標を含む出品や、二次創作の扱いは、サービスごとに方針が違います。出品先を増やすときは、そのたびに規約を読み直してください。
初めて取り組む人ほど、第1段階を飛ばして第2段階から始めようとします。順番を守ると、そもそも調べる必要のない題材が半分以上に減るので、全体の時間が短くなります。
自分の作品をまねられたときに何をするか
立場が逆になる日も来ます。手順は先に決めておくほうが動きやすいです。
最初にやるのは証拠の保存です。相手の出品ページのURL、画面全体の画像、確認した日時を残します。相手は指摘を受ければ削除するので、削除後に「あった」と説明するのは難しくなります。画面の画像は、商品名と価格と出品者名が同じ画面に入るように撮ってください。
次に、自分の側の証拠です。著作権は登録がなくても発生しますが、争いになったときに「自分が先に作った」ことを示す材料は必要です。下書き、制作途中の写真、日付の残る投稿、注文の履歴が使えます。文化庁には著作権の登録制度もあり、実名や最初に発行した日を登録できます。すべての作品に使う制度ではありませんが、看板になる定番作品には検討の余地があります。
そのうえで、実際の対応は3つの段階に分かれます。1つめは、販売先の権利侵害の申告窓口を使うことです。主要なフリマアプリや通販サイトには専用の窓口があり、権利者からの申告で出品が止まります。もっとも早く、費用がかかりません。2つめは、相手に直接連絡する方法です。感情が入りやすいので、事実と希望だけを短く書きます。3つめは、弁護士に相談して内容証明や法的な手続きに進む方法です。文化庁や各地の知財総合支援窓口では無料の相談を受けられるので、費用の見当をつける前にそこを使ってください。
なお、どこまで請求できるかは事情によって変わります。同じ見た目でも、著作権の問題として扱えるのか、意匠権や不正競争防止法の話になるのかで結論が変わるため、個別の判断は窓口や弁護士に確認してください。この記事で示せるのは、確認の順番までです。
違反したときに実際に起きること
罰則の重さだけが先に伝わって、必要以上に怖がられている領域でもあります。数字を正確に押さえておきましょう。
著作権法第119条第1項は、著作権や出版権や著作隣接権を侵害した者を10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金に処し、または両方を科すと定めています。氏名表示権や同一性保持権といった著作者人格権を侵害した場合は、同条第2項で5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金です。法人が業務として行った場合は、第124条により法人に対して3億円以下の罰金が科されます。
ただし、実際にこの刑罰まで進む事例は、組織的で規模の大きいものに限られます。個人の作家が題材選びを誤った場面で起きるのは、ほとんどが出品の削除、アカウントの停止、権利者からの警告、そして販売先との取引停止です。金額の大きい話になるのは民事の側で、差し止めと損害賠償の請求が中心になります。
もう1つ、影響が長く残るのは信用の面です。販売先のアカウントに違反の記録が残ると、以後の出品審査が厳しくなります。委託販売やイベント出展の審査でも、過去の指摘は不利に働きます。1点の売上と引き換えに失うものが大きいので、迷った題材は作らないのが合理的です。
刑事の手続きに入るかどうかは、多くの類型で権利者の告訴が前提になりますが、例外もあります。ここは事案の中身で変わるため、具体的な見通しは弁護士に確認してください。
確認にかかる時間と費用の目安
「確認したほうがよいのは分かるが、どれだけ手間がかかるのか」が見えないと、後回しになります。実際の負担を先に見ておきましょう。
生地や型紙の利用条件を読む作業は、1件あたり5分から10分です。読む場所が決まっていれば、それ以上はかかりません。販売元へのメールでの問い合わせは、文面の型を作っておけば1件3分で書けます。返信までの待ち時間は会社によって幅があり、数日から2週間ほどを見込んでおくと予定が崩れません。新作を出す日から逆算して、最低でも3週間前に問い合わせを済ませる段取りにしておくと、待ち時間が制作の妨げになりません。
商標の検索は、特許庁の検索サービスを無料で使えます。慣れないうちは区分の指定に手間取るので、最初の数回は1件20分ほど見ておきます。ただ、扱う題材の分野は限られているので、3回目には自分の分野の区分を覚えます。以後は5分で終わります。
意匠登録のように費用が発生する手続きは、いきなり出願する必要はありません。各地の知財総合支援窓口や特許庁の相談窓口で、費用の見当と手続きの流れを無料で相談できます。定番商品が育ってきた段階で、その1点だけを対象に検討するのが現実的です。
まとめて言えば、日々の確認にかかる時間は1つの題材あたり15分前後で、費用は発生しません。ここに払う15分を惜しんで出品を取り下げると、写真の撮り直しと説明文の書き直しで数時間が消えます。差がはっきりしているので、初心者のうちに手順として身につけてしまうのが得です。
許諾が取れない題材の代わりに何を作るか
「作りたい題材が使えない」と分かった時点で手が止まる人が多いのですが、ここから先に道はあります。おすすめできる差し替えの方向を、実行しやすい順に並べます。
1つめは、モチーフを固有名詞から一般名詞に置き換える方法です。特定のキャラクターではなく、そのキャラクターが好きな人が反応する要素に分解します。色の組み合わせ、動物の種類、花の種類、幾何の模様です。分解して組み直した図案は自分の表現になるので、権利の確認が不要になります。売り場で並べたときの反応も落ちにくく、題材の説明文を書きやすいという利点まで付いてきます。
2つめは、保護期間が終わった作品を使う方法です。著作権は原則として著作者の死後70年で切れるため、古い絵画や図案集、博物の図版は使えるものが多くあります。ただし2つ確認が必要です。1つは、その作品を撮影した写真に別の権利が乗っていないか。もう1つは、画像を公開している美術館や図書館が定めた利用条件です。多くの施設は高精細の画像を公開しており、条件を守れば無料で使えます。条件は施設ごとに違うので、ダウンロードのページに書かれた記載を読んでください。
3つめは、自分で素材を作る方法です。自分で撮った写真、自分で描いたスケッチ、自分で撮った布地の質感を図案の元にします。手間はかかりますが、一度作れば何年も使い回せて、権利の確認が二度と発生しません。作り置きした図案の元データは、制作の日付が分かる形で保存できます。あとで争いになったときの証拠にもなるため、二重に効きます。
4つめは、地域の題材を使う方法です。郷土の花、祭りの道具、地場の織物といった題材は、需要が読みやすく競合が少ないという特徴があります。ただし、自治体や保存団体が名称やマークを商標として登録している例があるため、名前を商品名に入れる前に確認します。図案そのものは自由に作れても、名前の使用に条件が付くことがよくあります。
生成AIで作った絵柄を作品に使うときの注意
ここ2年で相談が急に増えたのが、画像を作るAIの出力を図案に使う場面です。整理しておくと判断が早くなります。
まず、出力そのものの扱いです。指示文を入れただけで出てきた画像に著作権が認められるかどうかは、一般にまだ固まっていないと扱われています。自分に権利がないという前提で考えると、他人が同じ図案を使っても止められない可能性があります。看板商品の図案をAIの出力だけで作るのは、この点で不利です。
次に、他人の権利に触れる側のリスクです。既存のキャラクター名や作家名を指示文に入れると、出力は既存の表現に近づきます。似た絵が出た時点で、それを商品にすれば複製や翻案の問題になります。指示文に固有名詞を入れないという一点を守るだけで、この危険はかなり下がります。
3つめは、使っているサービスの利用条件です。商用での利用を認めるか、出力の権利を誰が持つと定めるか、生成した画像に表示を求めるかは、サービスごとに違います。無料の枠では商用利用を認めないサービスもあります。利用条件は改定されるので、商品を出すたびに現在の版を確認してください。
4つめは、販売先の方針です。AIで作った画像を含む商品について、出品時の表示を求めるサイトが出てきました。表示せずに出品すると、規約違反として扱われることがあります。
実務の手順としては、固有名詞を入れずに出力する、出てきた画像を画像検索にかけて似た既存作品がないかを見る、商用利用を認めるサービスを選ぶ、そのうえで人の手で加工して自分の表現を足す、という4段階が現実的です。加工を加えた部分については、自分の表現として説明できるようになります。
権利の確認を手順にできる人が在宅の仕事で伸びる理由
20年この市場を見てきた立場から言えば、長く続く作家と早く消える作家の差は、技術より確認の習慣に出ます。続く人は、題材を決める前に条件を読み、問い合わせの文面を型として持ち、返信を整理して保存しています。消える人は、作ってから調べ始めます。同じ時間を使っているのに、後者は出品を取り下げる作業に時間を取られます。
この「確認を手順にする力」は、手作りの販売以外でも値が付きます。運営者として見てきた限りでは、在宅の仕事で単価が上がっていくのは、指示を待つ人ではなく、確認すべき点を先に洗い出して聞いてくる人です。依頼する側から見ると、この人に任せると差し戻しが起きないという安心があり、次の依頼が自然に回ります。
同じ仕事の中でも、受け取り方の違いは無視できません。仲介の手数料が乗らない直接の取引だと、依頼する側は同じ予算でより多く頼めて、受ける側の手取りは厚くなります。手数料0%の仕組みが効くのは金額の見た目ではなく、この手取りの質の部分です。作品の値段を上げにくい手作りの分野で、受け取る額を変える現実的な手は、売値をいじるより取引の形を選ぶことにあります。
在宅ワーク求人サイトの職種データを見ると、権利や契約の確認を含む仕事は、事務作業より単価の幅が広くなっています。たとえば商品説明やカタログの制作を請け負う仕事は、文章を書く力に加えて出典と権利の確認が必要になるため、著述家,記者,編集者の年収・単価相場のページで示されている幅の上のほうに寄りやすくなります。生成AIで作った絵柄を商品に使うときの扱いを整理する相談も増えており、こうした領域はAIコンサル・業務活用支援のお仕事として募集されるようになりました。
文書の型を身につけたい人には、ビジネス文書検定が実務に直結します。問い合わせや許諾依頼の文面は、この検定で扱う構成そのものです。作品の販売と並行して在宅の仕事を増やしたいなら、在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるで、自分の作業時間に合う分野を先に決めておくと遠回りが減ります。制作と確認作業を同じ日に詰め込むと集中が切れやすいので、時間の区切り方は在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックにある方法から試すのが手早いです。
正直なところ、権利の確認は作品づくりのなかでいちばん楽しくない作業です。それでも、ここを型にしてしまえば毎回考える必要がなくなります。楽しい部分に時間を回すために、面倒な部分を手順に落とす。ハンドメイド著作権の問題は、法律の知識量ではなく、この置き換えができるかどうかで決まります。
よくある質問
Q. 市販の生地で作ったバッグを売っても大丈夫ですか?
生地を買っても絵柄の著作権は移らないため、可否は生地の販売元が決めた条件で決まります。メーカーや通販サイトの利用条件のページに、販売の可否や点数の上限が書かれています。商品ページの説明は要約されていることが多いので、会社の利用条件を直接読んでください。
Q. 自分用に1つだけキャラクターの小物を作るのは問題ありませんか?
著作権法第30条は、個人的に、または家庭内その他これに準ずる限られた範囲で使う目的なら複製できると定めています。自分で使う1点はこの範囲に入ります。ただし販売や、家庭内に準ずる範囲を超える配布はこの範囲を出るため、別の判断になります。
Q. 手芸本に載っている作品は販売できますか?
販売を認めていない本が多数です。一方で、点数の上限や個人の販売に限るといった条件付きで認める出版社も出てきました。本の巻末や出版社の案内ページに方針が書かれているので、作り始める前に確認し、返信はメールで残しておくと販売先から確認されたときに示せます。
Q. 自分のデザインをまねされたら、まず何をすればよいですか?
相手の出品ページのURL、画面全体の画像、確認した日時を保存します。相手は指摘を受けると削除するため、先に証拠を残すことが優先です。そのうえで販売先の権利侵害の申告窓口を使うのが、費用がかからず最も早い方法です。請求の可否は事情で変わるので、必要なら知財総合支援窓口や弁護士に相談してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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