訪問入浴を辞めたいと思ったとき|出ていく前に切り分けておくこと

中西 直美
中西 直美
訪問入浴を辞めたいと思ったとき|出ていく前に切り分けておくこと

この記事のポイント

  • ✓訪問入浴の看護師を辞めたいと感じたときに
  • ✓その理由が職場を変えれば消えるものか
  • ✓訪問入浴という働き方そのものから来ているのかを切り分ける方法を解説します

訪問入浴の看護師を辞めたい。

そう思いながら、今日も車に乗り込んで浴槽を運んだ方もいると思います。

夏場の汗、狭い車内での長い移動、1人で背負う入浴の判断。「看護師なのに、体力仕事ばかりしている気がする」という声も、本当によく聞きます。

大丈夫ですよ。辞めたいと感じるのは、あなたが弱いからではありません。訪問入浴は、看護師の働き方の中でもかなり特殊な職場です。合わないと感じる人がいて当然なんです。

ただ、1つだけお伝えしたいことがあります。辞めたい理由には、「この事業所だから起きていること」と「訪問入浴という働き方そのものから来ていること」が混ざっています。この2つを分けずに出ていくと、次の職場でも同じことで悩む可能性があります。

この記事では、訪問入浴の現場で実際に何が起きているのかを整理し、あなたの「辞めたい」がどちらの種類なのかを切り分ける手順をお話しします。

まず、「辞めたい」の中身を分けてみる

辞めたい気持ちが強いときは、頭の中でいろいろな理由が1つの塊になっています。

こういう相談がよくあります。

「もう全部が嫌なんです。体もきついし、チームの人とも合わないし、看護師としてこのままでいいのかも分からない」

心理学では、こうした状態を「感情が混ざり合って、どれが本体か見えなくなっている」と捉えます。つまり、1つの大きな悩みに見えて、実はいくつもの小さな悩みが重なっているということです。

最初にやってほしいのは、紙に書き出すことです。

辞めたい理由を思いつくまま箇条書きにしてみてください。書き終わったら、1つずつ次の3つに分類します。

・A:この事業所を変えれば、なくなりそうなこと ・B:訪問入浴という仕事を続ける限り、どこでも起きそうなこと ・C:看護師という仕事そのものに関わること

たとえば、「チームの介護職員との相性が悪い」はAに入ることが多いです。人は職場ごとに違いますから。

「重い浴槽を運ぶのが体に堪える」はBです。訪問入浴では、浴槽を利用者の自宅に運び込んで組み立てるのが基本なので、どの事業所でも程度の差はあれ発生します。

「患者さんと長く関わる看護がしたい」はBとCの間にあります。訪問入浴の看護師は、入浴の前後という限られた時間で関わる仕事だからです。

分類してみると、意外なことに気づくことがあります。Aばかりなら、転職先を訪問入浴の別の事業所にするという選択肢もあります。Bが多いなら、訪問入浴以外の職場を考えたほうがいい。Cが中心なら、看護師としての働き方そのものを見直す時期かもしれません。

書き出すときには、2つだけ気をつけてほしいことがあります。

1つ目は、疲れ切った日の夜に書かないことです。心理学では、疲れているときほど物事を悪い方向に一般化しやすいことが知られています。つまり、「今日の1件がつらかった」が「この仕事は全部つらい」にすり替わりやすいんです。書くなら、休みの日の午前中など、体が少し回復しているときにしてください。

2つ目は、同じ理由を1週間ほど置いてから見直すことです。最初に書いたときは強く感じていた理由が、数日たつと小さく見えることがあります。反対に、何度見直しても変わらずに残る理由こそが、あなたにとって本当に大事な理由です。

そして、もう1つ。辞めたい理由と一緒に、「この仕事で嫌ではないこと」も書き出してみてください。入浴のあとに利用者さんがほっとした顔をする瞬間が好き、日勤だけで生活リズムが整っている、夜勤がなくて家族との時間がとれている。こうした「残したいもの」が見えると、次の職場で何を優先すべきかがはっきりします。

この3つの分類と、残したいもののリストを頭の片隅に置いたまま、先へ読み進めてみてください。

訪問入浴の現場で、実際に起きていること

切り分けのためには、訪問入浴という職場の仕組みを改めて見ておく必要があります。

訪問入浴介護は、自宅の浴室では入浴が難しい方のために、専用の浴槽を積んだ車で自宅を訪ね、居室で入浴を提供するサービスです。

基準で決まっている人員は、看護職員1人以上と介護職員2人以上です。つまり、現場は看護師1人、介護職員2人の3人1チームで動くのが基本になります。介護職員のうち1人が運転を担当し、オペレーターと呼ばれることもあります。

1件の流れはおおむね次のとおりです。

到着したら、浴槽やホースを運び込みます。看護師は利用者の体温、血圧、脈拍を測り、顔色や呼吸の様子、皮膚の状態を見て、今日入浴してよいかを判断します。その間に介護職員が浴槽を組み立て、給湯の準備をします。

入浴そのものは10分前後です。看護師は入浴中の様子を観察し、入浴後に再度バイタルを測って、皮膚の処置や軟膏の塗布、褥瘡(じょくそう)の観察を行います。そのあと浴槽を片付け、排水し、記録を書いて次の家へ向かいます。

訪問件数をこなすために時間に追われてしまい、「辞めたい…」と感じる看護師もいます。訪問入浴の看護師は、1日に6~8件ほど訪問先の現場を回って業務を行うこともあります。一度の訪問入浴には1時間前後かかるため、計画的な時間管理が必要です。 出典: kango-oshigoto.jp

1件1時間前後で、1日6件から8件。ここに移動の時間が加わります。昼休憩は、車の中か、次の訪問先の近くで取ることが多いでしょう。

この1日の組み立ては、事業所によって大きくは変わりません。訪問入浴は、1日に回れる件数で事業所の収入が決まるサービスです。どの事業所も、ある程度の件数を詰めて回す前提で運営されています。

一方で、事業所ごとに違う部分もあります。

・1チームあたりの1日の件数の上限 ・看護師が浴槽の運搬や組み立てをどこまで手伝うか ・移動エリアの広さと、事業所へ戻る回数 ・看護師が1人しかいない事業所か、複数いて交代できる事業所か ・入浴の可否に迷ったとき、相談できる相手がいるか

さきほどの分類でいえば、1日の件数が多いこと自体はBに近く、件数の上限や分担のルールはAです。「件数が多くてきつい」と感じたときは、それが業界として普通の水準なのか、この事業所が特に多いのかを、求人票や同業の話と比べてみてください。

体力のきつさは、職場を変えれば解決するのか

訪問入浴で辞めたい理由として、もっとも多いのが体力の問題です。

浴槽は軽量化が進んでいますが、それでも階段のあるお宅や、駐車場から距離のあるお宅では、運び込みだけでかなりの負担になります。夏場は、湯気のこもる部屋で動き続けることになり、汗が止まらない日もあります。

こういう相談がよくあります。

「看護師なのに、ほとんど力仕事をしている。腰が痛くて、このままだと長く続けられない」

このきつさは、先ほどの分類でいえばBにあたります。訪問入浴を続ける限り、ゼロにはなりません。

ただし、同じ訪問入浴でも、看護師の体への負担の大きさは事業所によって違います。

1つは、看護師が運搬や組み立てにどこまで関わるかです。介護職員が2人しっかり動けるチームなら、看護師はバイタル測定と観察、処置に集中できます。一方で、人手が足りない事業所では、看護師も運搬に加わることが前提になっています。

もう1つは、件数の組み方です。1日8件を毎日続けるチームと、5件程度に抑えているチームでは、体への積み重なりが大きく違います。

さらに、腰痛の予防策をとっているかどうかも差になります。介護の現場では、厚生労働省が「職場における腰痛予防対策指針」を示していて、重い物を持ち上げる作業の工夫や、2人以上での作業、休憩の取り方などが整理されています。つまり、腰痛は個人の我慢で片付ける問題ではなく、職場として対策をとるべきものとされているのです。

辞める前に、次のことを事業所に相談してみる価値はあります。

・看護師の運搬の役割を減らせないか ・自分が入るチームの件数を一時的に減らせないか ・階段の多いお宅の担当を調整できないか

相談しても何も変わらないなら、それはAの問題、つまりこの事業所の問題だと分かります。その場合は、別の訪問入浴事業所を探すのか、訪問入浴以外へ移るのかを考える段階です。

体の痛みがすでに続いているなら、辞めるかどうかを決める前に、整形外科を受診してください。業務中の動作が原因の腰痛は、条件によっては労災の対象になることもあります。体を守ることが最優先です。

入浴の判断を1人で背負う重さ

体力の次に多いのが、責任の重さです。

訪問入浴の看護師は、その日入浴してよいかを判断する立場にあります。そしてその判断を、現場に1人しかいない看護師として下すことになります。

看護師が訪問入浴の仕事を辞めたいと思う理由には、看護師1人あたりの責任が重い点もあります。厚生労働省「訪問入浴介護(p.4)」によると、人員配置は看護師または准看護師が1人以上です。 実際は看護師が1人の事業所もあり、経験の浅い看護師にとっては、入浴可否を判断するのがプレッシャーに感じるかもしれません。 出典: kango-oshigoto.jp

病棟であれば、迷ったときに先輩や医師がすぐ近くにいます。訪問入浴の現場では、目の前の数値と様子から、あなたが決めるしかありません。

血圧がいつもより高い。微熱がある。本人は入りたいと言っている。家族も楽しみにしている。

こういう場面で、「入れても大丈夫だろうか」「中止にしたら家族をがっかりさせてしまう」と揺れるのは、とても自然なことです。

こういう相談がよくあります。

「一度、入浴を中止にしたら、家族から強い口調で責められた。それ以来、判断するたびに胃が痛くなる」

この重さは、分類するとBとAが混ざっています。1人で判断する構造はBですが、判断を支える仕組みがあるかどうかはAです。

判断を支える仕組みとは、たとえば次のようなものです。

・利用者ごとに、主治医の意見をもとにした入浴の可否の目安が決まっている ・血圧や体温の中止基準が、事業所として文書になっている ・迷ったときに電話で相談できる、管理者や他の看護師がいる ・中止にしたとき、家族への説明を事業所として支えてくれる

こうした基準が整っている事業所では、看護師の判断は「個人の賭け」ではなく「決まった基準に照らした確認」になります。心の負担はずいぶん軽くなります。

反対に、基準があいまいで、判断のたびに1人で悩む事業所なら、それは看護師のあなたの力不足ではありません。仕組みの不足です。

なお、訪問入浴介護には、看護職員が同行できず介護職員だけで実施した場合や、全身の入浴が難しく清拭や部分浴に切り替えた場合の報酬の取り扱いも定められています。つまり、「全身浴を中止する」ことは、制度の中で想定された正当な判断なのです。中止を選ぶことを、あまり怖がらなくて大丈夫ですよ。

3人チームの人間関係が、逃げ場をなくすとき

訪問入浴の人間関係には、他の職場にはない特徴があります。

1日の大半を、同じ3人で、同じ車の中で過ごすことです。

病棟であれば、合わない同僚がいても、担当や勤務帯がずれることで距離をとれます。訪問入浴では、朝から夕方まで、移動中も休憩中もずっと同じメンバーです。

こういう相談がよくあります。

「介護職員の2人がとても仲が良くて、車内で私だけ会話に入れない。仕事の指示を出すと、看護師だからって偉そうだと言われてしまう」

看護師と介護職員は、それぞれの専門性を持っています。訪問入浴では、手順を仕切るのは経験の長い介護職員で、看護師は判断と処置を担うという役割分担になっていることが多いです。そのため、どちらが主導するのかがあいまいだと、摩擦が起きやすくなります。

私自身、カウンセラーとして独立する前に、医療と介護の職場のメンタルヘルス相談に関わっていたことがあります。そのとき、失敗したと感じた経験があります。

ある方から「チームで孤立している」という相談を受けて、私はすぐに「伝え方を工夫してみましょう」とアドバイスをしてしまいました。でも、話をよく聞いていくと、その方のチームは事業所の都合で半年間メンバーが固定され、交代の申し出もできない状態でした。問題は伝え方ではなく、逃げ場のない構造そのものだったんです。

それ以来、人間関係の相談では、まず「その関係から離れる手段が職場にあるか」を確認するようにしています。

訪問入浴で人間関係に悩んでいるなら、次のことを確認してください。

・チームの編成は固定か、定期的に入れ替わるか ・メンバーの変更を相談できる相手がいるか ・看護師と介護職員の役割分担が、事業所として決まっているか

相談するときは、相手を責める言い方ではなく、事実と自分の困りごとを分けて伝えると通りやすくなります。「〇〇さんが意地悪をする」ではなく、「移動中に業務の申し送りが私に届かないことがあり、利用者さんの情報を確認できずに困っています」という形です。管理者も、仕事上の支障として受け取りやすくなります。

チームの入れ替えができる事業所なら、人間関係の悩みはAの問題として解決の余地があります。固定で変えられないなら、事業所を移ることを考えてよい段階です。

人間関係のつらさは、我慢を続けると体の不調として出てきます。眠れない、食欲が落ちる、朝になると体が重い。こうしたサインが2週間以上続いているなら、心療内科や、職場の産業医、外部の相談窓口に相談してください。あなたは一人じゃありません。

看護師としての将来が不安になるとき

訪問入浴を続けている看護師の中には、「このままだと看護師としての技術が落ちるのでは」という不安を抱える方もいます。

訪問入浴での看護師の業務は、バイタル測定、全身の観察、皮膚の処置、入浴の可否判断が中心です。点滴や採血、急変対応の機会はほとんどありません。

病棟から移ってきた方ほど、この変化を「後退」のように感じることがあります。

ただ、訪問入浴で身につく力もあります。

1つは、短い時間で全身を観察する力です。入浴の前後、服を脱いだ状態で全身の皮膚を見られるのは、訪問入浴ならではです。褥瘡の初期のサインや、むくみ、皮膚の変化に気づく目は、確実に鍛えられます。

もう1つは、在宅で暮らす人の生活を見る力です。自宅の環境、家族の関わり方、介護の負担。病院の中では見えない情報に毎日触れます。

こうした力は、訪問看護や地域の医療、介護の分野でそのまま生きます。

一方で、急性期の技術を磨きたい、専門分野の資格を目指したいという方にとっては、訪問入浴は回り道になるかもしれません。これは分類でいえばCの悩みです。事業所を変えても解決しません。

キャリアの不安を感じたら、「5年後にどういう看護をしていたいか」を書き出してみてください。訪問入浴の経験がその方向につながるなら、もう少し続けてから移る選択もあります。つながらないなら、早めに方向を変えたほうが、あなたの時間を大切にできます。

もう1つ、知っておいてほしいことがあります。訪問入浴の経験は、転職の面接でうまく言葉にできていない方がとても多いんです。

「入浴の介助をしていました」とだけ伝えると、看護の経験として伝わりにくくなります。そうではなく、「1日6件ほどの在宅の利用者について、入浴前後のバイタル測定と全身の皮膚観察を行い、主治医の意見と事業所の基準に沿って入浴の可否を判断していました」と伝えてみてください。同じ経験でも、在宅での観察と判断を1人で担ってきたことが伝わります。

特に、次のような経験は具体的に話せるように整理しておくと強みになります。

・褥瘡や皮膚トラブルに気づき、ケアマネジャーや訪問看護につないだこと ・血圧や体調の変化から入浴を中止し、清拭や部分浴に切り替えた判断 ・家族に中止の理由を説明し、納得してもらったやり取り

これらはすべて、訪問看護や施設看護で求められる力そのものです。技術が落ちたと感じているかもしれませんが、別の種類の力が確かに育っています。

訪問入浴を続けたまま、働き方を変えるという選択

「辞めたい」と感じていても、分類してみたら理由の多くがAだった、という方もいます。その場合は、訪問入浴という仕事は残して、働き方だけを変える方法もあります。

1つ目は、雇用形態を変えることです。常勤で週5日入っていたのを、パートで週3日にする。訪問入浴の看護師はパートやアルバイトの募集も多く、時給で1,700円から2,300円程度、1日単位の日給制で募集している事業所もあります。体力的なきつさは、1日の件数だけでなく連続して働く日数でも積み重なるので、間に休みを挟めるだけで楽になる方は多いです。

2つ目は、同じ訪問入浴の中で、条件の違う事業所に移ることです。1チームの1日の件数が少ない事業所、看護師が複数在籍していて判断に迷ったときに相談できる事業所、訪問エリアが狭くて移動が短い事業所。同じ仕事でも、こうした条件で負担は大きく変わります。求人票では「1日の訪問件数」「看護師の在籍人数」「訪問エリア」を確認してください。書かれていなければ、面接で聞いてかまいません。

3つ目は、他の仕事と組み合わせることです。訪問入浴を週2日から3日にして、残りの日をデイサービスや健診の仕事にあてる看護師もいます。体を使う日と使わない日を分けることで、どちらの仕事も続けやすくなります。※掛け持ちをする場合は、今の事業所の就業規則で副業の規定がどうなっているかを先に確認してください。また、2つの職場の労働時間は合算して管理されるので、働きすぎにならないよう週の合計時間にも気をつけましょう。

こういう相談がよくあります。

「常勤をやめてパートにしたら、給料は下がったけれど、体の痛みがなくなって、利用者さんの前で笑えるようになった」

収入が減ることは、決して小さな問題ではありません。家計の見通しを立ててから決める必要があります。それでも、「辞めるか、我慢して続けるか」の二択しかないと思い込んでいる方には、その間にいくつもの道があることを知っておいてほしいんです。

働き方を変えてしばらく様子を見て、それでも「辞めたい」が残るなら、そのときはBやCの理由が本体だったと分かります。回り道に見えても、次の職場選びで迷わなくなるので、決して無駄にはなりません。

転職するなら、次の職場をどう選ぶか

切り分けをしてみて、やはり辞めようと決めた方へ。次の職場の選び方をお話しします。

訪問入浴の看護師が選ぶことの多い転職先には、それぞれ次のような特徴があります。

訪問看護は、在宅で暮らす人の生活を見る経験がそのまま生きる職場です。1人で訪問して判断する点は訪問入浴と似ていますが、担当する利用者と長く関わり、医療的な処置の幅も広がります。オンコール(夜間や休日の電話待機)がある事業所が多いので、そこは確認が必要です。

デイサービスの看護師は、利用者が通ってくる場所で働くため、移動がありません。バイタル測定、服薬の管理、入浴時の観察など、訪問入浴の経験が生きる業務が多くあります。看護師が1人配置の事業所も多いので、判断の重さという点は残ります。

健診センターは、日勤で、決まった時間に決まった流れで動く職場です。体力の負担は大きく減りますが、採血の件数が多く、1人の人と関わる時間は短くなります。

特別養護老人ホームなどの介護施設は、利用者の生活に長く関わる看護ができます。夜間のオンコールがある場合がありますが、同じ場所で働くため移動はありません。

病棟への復帰を考える方もいます。ブランクが気になる場合は、日勤のパートから始めて勘を取り戻す方法もあります。

どこを選ぶにしても、さきほどの分類を持ち込んでください。「Bの理由で辞める」なら、その理由が次の職場では起きないかを確認します。体力が理由なら移動や運搬のない職場を、判断の重さが理由なら看護師が複数いる職場を選ぶ、というように。

求人を見るときは、「看護師の人数」「1日の業務の流れ」「オンコールの有無と頻度」「残業の実態」の4つを必ず確認しましょう。求人票に書かれていないことは、面接で聞いてかまいません。最近は一次面接や職場説明をオンラインで行う事業所も増えています。主要な会議ツールの違いと使い方を比べたZoom・Teams・Google Meetを比較|フリーランスの打ち合わせに最適なのは?【2026年版】は、指定されたツールに初めて触る場合の準備に役立ちます。

また、看護師の転職支援には、各都道府県のナースセンターのように無料で相談できる公的な窓口もあります。1人で求人を見比べるのがつらいときは、こうした窓口を頼ってください。

辞めると決めたら、出ていく前にしておくこと

最後に、実際に辞めるときの手順を整理します。

まず、退職の意思を伝える時期です。期間の定めのない雇用であれば、民法上は退職の申し出から2週間で雇用契約は終了します。ただ、訪問入浴はチームで動く仕事なので、事業所の就業規則で決められている期間(1か月前などが多いです)を目安に伝えると、円満に進みやすくなります。

伝える相手は、直属の管理者です。チームの介護職員に先に話してしまうと、うわさとして広がり、気まずい時間が長くなることがあります。

次に、有給休暇です。残っている年次有給休暇は、退職日までに使うことができます。引き継ぎとの兼ね合いで、最終出勤日と退職日をどう設定するかを、管理者と相談しましょう。

引き継ぎでは、利用者ごとの入浴の注意点を文書にしておくと、次の看護師がとても助かります。皮膚の状態、血圧の傾向、入浴時に気をつけていること、家族とのやり取りのポイント。あなたが積み上げてきた観察の記録は、利用者を守る大切な情報です。読み手が必要とする順番で、事実と判断を分けて書く技術は、経験年数とは別の力です。書き方に迷ったら、次の看護師が最初の訪問で困らないかという目で読み返すと、足りない情報に気づけます。

そして、辞めることを決めたあとも、心の揺れは続きます。「逃げたのかもしれない」「もう少し頑張れたのでは」と考えてしまう方も多いです。

でも、切り分けをして、相談をして、それでも出ていくと決めたなら、それは逃げではありません。自分に合う場所を選び直すという、前向きな判断です。

20年この市場を見てきた運営側の視点から言えば、医療や介護の現場で経験を積んだ人が、そのあと自分に合う働き方を見つけていく道は、一つではありません。臨床から離れて、医療や介護の知識を生かした文章を書く人もいます。在宅の家族向けに入浴や皮膚ケアのコツを分かりやすく伝える記事は、実際に現場を見てきた人にしか書けません。次の職場を選ぶときは、看護師としての収入の水準を看護師の年収・単価相場で確かめておくと、提示された条件を落ち着いて比べられます。

運営者として見てきた限りでは、長く働き続けられる人ほど、「この人に任せると安心」という関係を少しずつ作っています。そして、中間に入る事業者が少ない直接の取引では、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手数料0%の分だけ手取りが厚くなります。双方が得をするこの形は、働き方を選び直した人たちを見てきて感じている実感です。

辞めたいと思った自分を、責めなくて大丈夫ですよ。その気持ちは、あなたが自分の体と心を守ろうとしているサインです。まずは紙とペンを用意して、理由を書き出すところから始めてみてください。

よくある質問

Q. 訪問入浴の看護師がきついと言われる理由は何ですか?

1日に6件から8件ほどを1件1時間前後で回るため時間に追われやすいこと、浴槽の運搬など体力を使う作業があること、現場に看護師が1人で入浴の可否を判断する責任があることが主な理由です。3人チームで長時間過ごすため人間関係の影響も受けやすい職場です。

Q. 辞める前に事業所へ相談できることはありますか?

看護師の運搬の役割を減らせないか、担当チームの件数を一時的に調整できないか、チーム編成を変えられないかは相談の余地があります。入浴の中止基準が文書になっていない場合は、基準の整備をお願いするのも一つの方法です。相談しても変わらなければ、事業所を移る判断材料になります。

Q. 訪問入浴から転職しやすい職場はどこですか?

在宅の生活を見る経験が生きる訪問看護、移動がなく観察の経験が生きるデイサービス、日勤で体力の負担が少ない健診センター、生活に長く関わる介護施設などがあります。辞めたい理由が次の職場でも起きないかを、看護師の人数やオンコールの有無で確認して選びましょう。

Q. 退職はどのくらい前に伝えればよいですか?

期間の定めのない雇用なら民法上は申し出から2週間で契約が終了しますが、訪問入浴はチームで動く仕事なので、就業規則で定められた1か月前などの期間を目安に直属の管理者へ伝えると円満に進みやすくなります。残っている有給休暇は退職日までに使えます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月25日最終更新:2026年9月15日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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