基本情報技術者の講師・講座の仕事

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
基本情報技術者の講師・講座の仕事

この記事のポイント

  • ✓基本情報技術者を持つ方が教える側に回る仕事を整理しました
  • ✓個人指導という3つの形の違い
  • ✓そして講師として越えてはいけない線まで解説します

結論から書きます。基本情報技術者を持っている人が教える側に回るのは、思っているより現実的です。理由は、この試験の受験者層と、教えられる人の分布がずれているからです。受験するのは新人と未経験者が中心で、教えられるのは合格した人。合格者の多くは教えることに関心を持たないので、教える側は常に足りていません。ただ、教える仕事は準備の量が読みにくく、値付けを間違えると割に合わなくなります。この記事では、教える仕事の3つの形、講座の設計手順、値段の決め方、そして講師として越えてはいけない線を、順番に整理します。

教える仕事の需要は、どこから出ているのか

企業が新人に取得させている

いちばん大きな需要はここです。IT企業やシステム部門を持つ会社が、新入社員や若手に基本情報技術者の取得を求めているケースは珍しくありません。会社によっては取得を昇格の要件にしています。

会社が取得を求めると、当然その支援が必要になります。ただ、社内で教えられる人を割くと本業が止まるので、外部に頼む。これが研修講師の需要になります。実際、求人としても講師の募集が出ています。

【仕事内容】お仕事内容<講師業務>・研修講座の講義および実習指導(対面・オンライン)...<待遇>通勤手当詳細:上限20000円その他手当・詳細、福利厚生:・各種社会保険完備・資格取得支援制度(基本情報技術者・Java... 出典: 求人ボックス

注目してほしいのは、講義と実習指導がオンラインでも行われている点です。研修は対面だけのものだと思われがちですが、オンライン開催が定着したことで、在宅で受けられる講師の仕事が増えました。移動時間がなくなったので、本業を持ちながらでも組み込めます。

資格対策の講座を運営する事業者

オンラインの資格講座を運営している事業者も、講師を探しています。この形では、教える以外の仕事も含まれることが多いのが特徴です。テキストの作成、講義の収録、受講相談への対応といった業務です。

つまり、教える力だけでなく、教材を作る力も評価されます。逆に言えば、人前で話すのが苦手でも、教材を作る側で関われる余地があるということです。

個人からの直接依頼

受験する本人が、個人的に教える人を探しているケースです。独学で行き詰まった人、会社の指示で受けることになったが何から手を付けてよいか分からない人。こうした層が、マンツーマンの指導を求めています。

この形は単価が読みやすく、始めやすいのが利点です。ただ、集客を自分でやる必要があります。相談系の仕事の受け方はキャリア・副業・人生相談のお仕事に整理されているので、依頼がどんな形で流通しているかを先に見ておくと感覚がつかめます。

職業訓練・学校教育の周辺

公的な職業訓練や、専門学校の非常勤という形もあります。この領域は要件が定められていることが多く、応募の窓口も限られています。副業として始めるには制約が多いので、まずは民間の研修や個人指導から入るほうが現実的です。

教える仕事は3つの形に分かれる

同じ「教える」でも、収入の構造がまったく違います。ここを混同すると、値付けを間違えます。

時間を売る形

決まった時間に講義をして、その時間分の報酬を受け取る形です。企業研修、オンラインのライブ講義、個人指導がこれに当たります。

利点は、確実に報酬になることです。受講者が集まらなくても、実施すれば支払われます。欠点は、収入が時間に比例することです。自分が動ける時間の上限が、そのまま収入の上限になります。

教材を売る形

録画した講義や、作成したテキストを商品として売る形です。作るときに時間がかかりますが、作ったあとは自分が動かなくても売れます。

利点は、時間から切り離せることです。欠点は、売れる保証がないこと。50時間かけて作った教材が3本しか売れない、ということが普通に起きます。最初からこの形で始めるのは、あまり勧められません。

個別指導の形

1対1で、その人の状況に合わせて教える形です。時間を売る形の一種ですが、単価が上げやすいという違いがあります。

集団講義より高い単価が通るのは、その人専用に内容を組むからです。逆に、集団講義と同じ内容を1対1でやるなら、単価を上げる理由がありません。ここを理解していないと、値上げの交渉ができません。

現実的な組み立て方

副業として始めるなら、時間を売る形から入り、そこで使った資料を教材として整えていく順番が合理的です。講義のたびに資料が蓄積されるので、教材を作る負担が実質ゼロになります。最初から教材だけを作ろうとして、誰にも見せないまま終わる人は少なくありません。

講座をどう設計するか

教える仕事で最も難しいのは、話すことではなく設計です。ここが決まっていれば、当日の講義は自然に進みます。

対象を1つに絞る

「基本情報技術者を目指す人」では広すぎます。プログラミング経験があるのか、まったくないのか。文系出身か理系出身か。会社の指示で受けるのか、自分の意思で受けるのか。この違いで、教え方は根本的に変わります。

対象を絞ると受講者が減ると考えがちですが、逆です。「未経験の文系新人が科目Bのアルゴリズムを読めるようになる講座」のように絞ったほうが、その状況の人が確実に反応します。範囲を広げた講座は、誰にも刺さりません。

ゴールを1つだけ決める

1回の講義で伝えられることは、思っているより少ないです。90分の講義で身につくのは、多くて1つか2つの概念だと考えておいてください。

初めて講師をする人は、必ず詰め込みすぎます。教える内容が多いほど親切だと思うからです。実際には逆で、詰め込むほど何も残りません。1回のゴールを1つに絞り、それができたかどうかを確認して終える。この形が最も学習効果が高いというのが、教育の現場で一般的に言われていることです。

時間割に落とす

ゴールが決まったら、時間の配分を決めます。説明にどれだけ、演習にどれだけ、質問にどれだけ。

初心者の講師は、説明の時間を長く取りすぎます。90分の講義なら、説明は40分程度に抑えて、残りを手を動かす時間と質問に充てるほうが、理解は進みます。聞いているだけでは身につかないからです。

演習を先に作る

これは順番の話です。教材を作るとき、説明から作り始める人が多いのですが、演習から作ったほうがうまくいきます。

「この問題が解ければゴール達成」という演習を先に決めると、説明すべき内容が自動的に決まります。逆に説明から作ると、演習が説明のおまけになり、何ができるようになったのか分からない講座になります。

教材に使ってよいものを確認する

ここは注意が必要です。試験の過去問題や、市販のテキストの内容を教材にそのまま転載することは、著作権の問題になり得ます。

試験問題の利用については、実施団体が定めた条件があります。教材として配布する形にする前に、必ず公表されている利用条件を確認してください。自分で作った類題を使う、あるいは考え方の解説にとどめて問題文は受講者自身に参照してもらう、といった形にすれば、この問題は避けられます。

値付けをどう決めるか

準備時間を必ず計算に入れる

教える仕事の値付けで最も多い失敗が、これです。90分の講義に対して、準備は初回で5時間から10時間かかります。資料を作り、演習を用意し、想定質問を考える時間です。

つまり、初回の講義を1万円で受けると、実質の時給は1,000円台まで落ちます。2回目以降は準備が減るので採算が合いますが、単発で終わる案件ばかりを受けると、いつまでも準備に追われることになります。

この構造を理解したうえで、継続する案件を優先する。これが教える仕事の収支を安定させる基本です。

形ごとの価格帯

企業研修の講師料は、日額で提示されることが多く、内容と対象人数で幅があります。1日の研修で数万円から10万円を超える幅があり、教材の作成が含まれるかどうかで大きく変わります。教材作成が含まれるなら、それは別の見積もりだと考えてください。

個人指導の場合は、60分あたり3,000円から8,000円程度の帯で提示されている例が多く見られます。試験直前期には需要が集中するので、時期による変動があります。

オンライン講座を自分で販売する場合は、価格を自分で決められる代わりに、集客の責任も自分で持つことになります。5,000円の講座を100本売るのと、5万円の講座を10本売るのでは、必要な集客の規模がまったく違います。

仲介手数料が積み上がる

マッチングサービス経由で受ける場合、報酬から10%から20%程度の手数料が引かれるのが一般的です。教える仕事は継続案件になりやすいので、この差は年単位で効いてきます。

手数料0%で直接つながる形なら、依頼側は同じ予算で回数を増やせて、講師の手取りは厚くなります。最初の実績は仲介で作り、継続する関係は直接契約に移す。この順番が現実的です。技術系の指導案件がどんな形で出ているかはITコンサルティング・講師のお仕事を見ると分かります。

技術職の相場と比べておく

自分の時間の値段を判断するために、技術職の相場と並べて見ておいてください。ソフトウェア作成者の年収・単価相場を見ると、時間あたりの水準が分かります。

教える仕事は準備時間を含めると時給が下がりやすいので、実装の仕事と単純に比較すると割に合わないように見えることがあります。それでも続ける価値があるのは、教える過程で自分の理解が整理されるからです。この効果を含めて判断するのが妥当だと考えています。

最初の1件をどう取るか

教えられる範囲を1枚にまとめる

まず、自分が教えられる範囲を書き出してください。基本情報技術者の出題分野のうち、どこを教えられるのか。逆に、どこは教えられないのか。

「全部教えられます」と書いてある講師より、「科目Bのアルゴリズムとデータ構造を中心に教えます」と書いてある講師のほうが選ばれます。依頼する側は、自分の困りごとと合うかどうかを判断したいからです。資格そのものの範囲は基本情報技術者試験の解説で確認できます。

教える様子が分かるものを用意する

依頼する側が知りたいのは、この人の説明が分かりやすいかどうかです。経歴では判断できません。

10分程度の解説動画を1本作る、あるいは1つの概念を解説した記事を書く。これがあるだけで、判断材料になります。文章で発信する仕事の相場感は著述家,記者,編集者の年収・単価相場にありますが、講師の営業材料として書く場合は、報酬より判断材料を作ることが目的です。

最初は小さく試す

いきなり10回の連続講座を組まないでください。まず1回60分の単発から始めて、自分が話せる分量と、受講者が理解できる速度を測る。これをやらずに長期の講座を設計すると、途中で内容が破綻します。

最初の数件は相場より低めに設定して、感想と改善点を集める。そのあとで通常の価格に戻す。上げるタイミングは条件で決めておくと、上げそびれません。

講師業と隣接する仕事も見ておく

教える仕事だけに絞ると、依頼の時期が偏ります。試験の前後に集中し、それ以外の時期は薄くなるからです。

資格を活かした働き方の広げ方についてはキャリアコンサルタント資格の活かし方|副業・独立ガイド【2026年版】に、教える仕事と相談の仕事を組み合わせる考え方が整理されています。分野は違っても、資格を軸に複数の形を持つという構造は共通しています。

オンラインで教えるときに、実際に必要になるもの

在宅で講師をする場合、教える中身とは別に、環境と進め方の準備が要ります。ここが甘いと、内容が良くても評価が下がります。

音と画面は内容より先に効く

受講者が最初に判断するのは、音が聞き取りやすいかどうかです。声が割れる、途切れる、環境音が入る。これがあると、内容以前に集中が切れます。

マイクとイヤホンは有線のものが安定します。回線は上りの速度を事前に測っておいてください。画面共有をすると上りの負荷が上がるので、普段のやり取りでは問題がなくても、講義中に途切れることがあります。

画面共有では、資料以外が映らないようにしてください。通知が出る設定は切る。作業用の画面と分けておく。これは受講者のためというより、自分の情報を守るための準備です。

手を動かす時間をどう作るか

対面と違い、オンラインでは受講者が手を動かしているかどうかが見えません。説明を聞いているだけで終わってしまう受講者が出ます。

対策は、演習の時間を明示的に区切ることです。「これから5分取るので、この問題を解いてください。終わったら合図をください」という形にする。この区切りがないと、演習の時間が説明の続きに飲み込まれます。

質問をどう受けるか決めておく

質問の受け方を決めていないと、講義が崩れます。途中で自由に質問を受ける形にすると、進行が読めなくなり、時間内に終わりません。

おすすめは、質問を書く場所を用意して、区切りごとにまとめて答える形です。文字で書いてもらうと、質問が整理され、答える側も準備できます。講義後に残った質問へまとめて回答する運用にすると、時間の見積もりが安定します。

録画の扱いを先に決める

講義を録画するかどうか、録画を受講者に渡すかどうかは、最初に決めて伝えてください。後から「録画はもらえますか」と聞かれて、その場で判断すると揉めます。

録画を渡す場合、そこに映り込む受講者の発言や顔の扱いも決める必要があります。渡す前提なら、受講者側の映像を録らない設定にしておくのが簡単です。

講師として越えてはいけない線

資格の位置づけを正しく伝える

基本情報技術者試験は情報処理の促進に関する法律に基づく国家試験ですが、この試験の合格者だけが行える業務が定められた、いわゆる業務独占の資格ではありません。

したがって、講座の案内文で「この資格を取れば独占的にこの仕事ができる」と読める書き方をするのは避けてください。資格が実際にどう評価されるのかは、業界や会社によって差があります。業務範囲が法律で定められている資格との違いを説明したい場合は、行政書士のような資格の解説と見比べると、線引きが伝えやすくなります。

合格を保証しない

「必ず合格します」「合格率100%」といった表示は、実態と異なれば景品表示法上の問題になり得ます。試験の合否は受験者本人の学習量にも左右されるので、講師が保証できるものではありません。

伝えてよいのは、講座で扱う範囲と、その範囲を身につけた状態がどういうものかです。結果ではなく内容を約束する。これが正しい書き方です。

教材の著作権を守る

試験問題、市販テキスト、他者が作成した図表。これらを無断で複製して配布することはできません。教える立場だからといって例外にはなりません。

引用の範囲であれば使える場合もありますが、範囲の判断は簡単ではありません。自分で作った教材を使うのが最も安全です。

勤務先の情報を教材にしない

会社員として働きながら教える場合、勤務先のシステム構成や実際の案件を教材にすることはできません。就業規則の問題になりますし、内容によっては不正競争防止法上の営業秘密の問題にもなります。

実例を出したいときは、公開されている事例か、複数の事例を抽象化した形にしてください。

受講者の情報を守る

受講者の学習状況、勤務先、個人的な事情。これらは外に出してはいけない情報です。宣伝のために受講者の話を使う場合は、必ず本人の許可を取り、特定できない形にしてください。

受講者から必ず出る質問に、先に答えを用意しておく

講師をしていると、受講者から繰り返し同じ質問が来ます。答えを用意していないと、その場で考えることになり、進行が乱れます。よく出るものを挙げておきます。

どのくらい勉強すれば受かるのか

最も多い質問です。ここで具体的な時間を断定すると、その通りにならなかったときに信頼を失います。前提となる経験の量で必要な学習時間は大きく変わるので、幅で答えるのが正確です。

答え方としては、「これまでの経験によって幅がある」と前置きしたうえで、その人が今どこにいるかを確認する形が適切です。プログラミングの経験があるか、業務でシステムに触れているか。ここを聞かずに時間だけを答えても、意味のある回答になりません。

独学とどちらがよいのか

正直に答えてよい質問です。独学で進む人は実際にいますし、それで受かる人もいます。講師の役割は、独学では時間がかかる部分を短縮することです。

ここで「独学では無理です」と言うと、営業のための誇張になります。「独学で進めていて、この分野だけが止まっているなら、そこだけ見る形が効率的です」といった答え方のほうが、結果として依頼につながります。

資格を取ったら仕事は変わるのか

キャリアに関わる質問です。ここも断定できません。資格の評価は業界や会社によって差がありますし、この試験は合格者だけが行える業務が定められた資格でもありません。

事実として言えるのは、募集要項に記載されることがある、社内の評価制度で扱われることがある、という程度です。そのうえで、資格そのものより、資格の学習で身につけた範囲をどう使うかのほうが効くという話に持っていくのが、誠実な答え方だと考えています。

落ちたらどうすればよいのか

試験の後に来る相談です。ここで必要なのは、励ましより分析です。どの分野で落としたのか、時間が足りなかったのか、理解が足りなかったのか。原因によって次の対策がまったく変わります。

この質問に的確に答えられる講師は、再受験のときにも指名されます。合格まで伴走できる関係は、単発の講義より価値が高く、報酬にも反映されます。

依頼の時期の偏りを、年間で組み立てる

教える仕事には、季節の偏りがあります。試験の申込時期と直前期に依頼が集中し、試験直後は落ち込む。この波を前提に組み立てないと、収入が読めません。

閑散期に作る、繁忙期に売る

依頼が薄い時期にやることを決めておいてください。教材を整える、解説記事を書く、次の講座を設計する。繁忙期にはこれらを作る時間がありません。

この配分ができている人は、繁忙期に受けられる件数が増えます。準備が済んでいるので、依頼が来たらすぐ実施できるからです。逆に、閑散期に何もしていないと、繁忙期に準備で手一杯になり、結局受けられる件数が伸びません。

試験対策以外の依頼を持っておく

試験の時期に依存しない依頼を持っておくと、波が小さくなります。新人研修は年度の初めに集中しますし、社内勉強会の講師は時期を選びません。

試験対策だけに絞ると、年に2回の山に収入が寄ります。副業として安定させたいなら、時期の違う依頼を組み合わせるのが有効です。

続く講師と、1回で終わる講師の差

受講者の理解度を確認しながら進む

続く講師は、講義の途中で必ず確認を入れます。「ここまでで分からない箇所はありますか」ではなく、「この部分を自分の言葉で説明してみてください」という形で確認します。

前者の聞き方では、分かっていない人ほど何も言いません。後者なら、理解のずれがその場で見えます。この違いは大きく、講義の質を明確に分けます。

分からないことを分からないと言う

出題範囲の外から質問されたとき、知ったかぶりで答えると必ず破綻します。「それは私の範囲外なので、調べて次回お答えします」と言える講師のほうが、結果として信頼されます。

教える立場だと全部答えなければいけない気がしますが、逆です。線を知っている人のほうが、受講者からは安心して見えます。

講義の後に短い振り返りを送る

講義後に、その日扱った内容と次にやることを数行で送る。この一手間があるかどうかで、次があるかどうかが変わります。

受講者は講義の内容を半分も覚えていません。書いたものが残ると、学習が続きます。学習が続くと、講師への評価も続きます。

教材を毎回少しずつ直す

同じ講義を繰り返していると、受講者がどこでつまずくかが見えてきます。そこを次回の資料で先回りして説明する。これを繰り返すと、教材の質が上がり、準備時間が減ります。

続いている講師は、この改善を必ずやっています。逆に、初回に作った資料を何年も使い回している講師は、評価が下がっていきます。

運営者として見てきた、教える仕事の実像

在宅ワークの市場を20年見てきた立場から、この分野について観察してきたことを書きます。

まず、教える仕事で長く続いている人の共通点です。話すのが上手い人ではありません。準備の型を持っている人です。毎回ゼロから資料を作っている人は、数か月で疲れて止まります。一方、講義のたびに資料を少しずつ足していく形を作った人は、回を重ねるほど楽になり、内容も良くなっていきます。運営者として見てきた限りでは、この差が継続と離脱を分けています。

次に、単発と継続の差です。教える仕事は準備の負担が前に寄るので、単発の依頼ばかりを受けると、働いている時間の割に手元に残りません。継続の枠を確保している人ほど、実質の時給が高い。この構造を早く理解した人は、最初の1件の単価より、2件目につながるかどうかを見て仕事を選んでいます。

そして、手数料の話です。同じ2万円の講師料でも、仲介が入る形と直接取引では、受け手に残る額が違います。依頼する側にとっても、手数料が乗らない分だけ同じ予算で回数を増やせるので、双方が得をする構造になります。長く続いている講師ほど、この違いに早く気づいて、継続の関係を直接契約に移しています。

最後にひとつ。教える仕事は、本業への戻りが最も大きい副業だと見ています。人に説明するには、自分の中で曖昧だった部分を埋める必要があるからです。基本情報技術者の範囲を「合格できる」から「人に教えられる」まで引き上げると、社内での説明や後輩の指導も明確に変わります。金額に表れないぶん語られませんが、続けている人がほぼ全員口にする点です。関連する領域としてAI・マーケティング・セキュリティのお仕事のような分野の知識を足しておくと、教えられる範囲が広がり、依頼の時期の偏りも小さくなります。

よくある質問

Q. 実務経験がなくても講師の仕事はできますか?

資格試験の対策講座であれば、合格した経験そのものが教える根拠になるため可能です。ただし、実務の設計や運用に踏み込む研修は、経験がないと答えられない質問が出ます。教えられる範囲と教えられない範囲を最初に示し、試験対策に絞って始めるのが現実的です。

Q. 講師料はどのくらいが目安ですか?

個人指導は60分あたり3,000円から8,000円程度の帯で提示されている例が多く見られます。企業研修は日額で提示され、教材作成を含むかどうかで大きく変わります。初回は準備に5時間から10時間かかるため、単発だけを受けると実質時給が下がる点に注意してください。

Q. 試験の過去問題を教材に使ってもよいですか?

そのまま転載する形は著作権の問題になり得ます。試験問題の利用については実施団体が条件を公表しているので、配布物にする前に必ず確認してください。自作の類題を使う、あるいは解き方の解説にとどめて問題文は受講者自身に参照してもらう形にすれば、この問題は避けられます。

Q. 「合格保証」をうたって受講者を集めてもよいですか?

やめてください。実態と異なる表示は景品表示法上の問題になり得ますし、合否は受験者本人の学習量にも左右されるため、講師が保証できるものではありません。約束してよいのは講座で扱う範囲と、その範囲を身につけた状態です。結果ではなく内容を示してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月7日最終更新:2026年8月31日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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