業務マニュアルの構成の決め方と、目次から手順書に落とし込む書き方


この記事のポイント
- ✓業務マニュアルの構成の決め方を
- ✓時系列・役割別・頻度別の並べ方
- ✓目次の作り方の順に整理しました
業務マニュアルを作ろうとして、いきなり手順を書き始めると、途中で「この話はどこに入れればよいのか」「同じことを2か所に書いている」と手が止まります。読みやすいマニュアルと読みにくいマニュアルの差は、文章の上手さより先に、構成で決まります。構成とは、マニュアル全体をどんな章に分け、どの順番で並べるかという設計図のことです。
この記事では、業務マニュアルの構成の決め方を、読む人と範囲の決め方、基本となる章、並べ方の型、目次の作り方の順に説明します。そのうえで、目次の1項目を1つの手順書に落とし込む書き方と、作ったあとの更新の回し方を整理します。マニュアルの更新や引き継ぎの作業を担当つきで管理したい場面ではPinatecaにも触れます。
業務マニュアルと手順書の違い
構成を考える前に、業務マニュアルと手順書の違いを整理しておきます。この2つを混ぜると、構成が崩れる原因になります。
| 項目 | 業務マニュアル | 手順書 |
|---|---|---|
| 扱う範囲 | ある業務の全体 | 1つの作業 |
| 書く内容 | 目的、全体の流れ、役割、決まり、各作業への案内 | 作業の手順を1つずつ |
| 例 | 経理の月次の業務マニュアル | 請求書を発行する手順書 |
| 読み方 | 全体をつかむときに読む、必要な章を探して読む | 作業をしながら上から順に読む |
業務マニュアルは業務全体の地図で、手順書はその地図の中の1つの道案内です。業務マニュアルの目次の各項目が、それぞれ1つの手順書につながっている形を目指すと、構成が整理しやすくなります。
インフラの運用に例えると、業務マニュアルは「システム全体の構成と運用の決まり」を書いた文書で、手順書は「サーバーを再起動する」「バックアップから戻す」といった作業ごとの文書です。障害の対応中に全体の説明を読み返す人はいません。必要な手順書にすぐたどり着けることが大切です。
構成を決める前に決める3つのこと
構成を考え始める前に、次の3つを決めます。ここが決まると、入れるべき章と並べる順番がほぼ決まります。
1. 誰が読むのか
読む人によって、書くべき内容の細かさが変わります。
- その業務に初めて就く人:用語の説明、業務の目的、全体の流れから必要
- ほかの業務の経験がある人:全体の流れと、その職場の独自の決まりが中心
- 同じ業務の担当者(引き継ぎ):例外の対応や、過去の経緯が中心
読む人を1人に絞り込むと書きやすくなります。迷ったら「この業務に初めて就く人」を読む人に決めると、ほかの人にも分かるマニュアルになります。
2. どこからどこまでを扱うのか
マニュアルが扱う業務の範囲を、始まりと終わりで決めます。「経理の業務」では広すぎます。「毎月の請求書の発行から入金の確認まで」のように、始まりの作業と終わりの作業を決めると、入れる章と入れない章の線が引けます。
3. どう使われるのか
マニュアルの使われ方は、大きく2つに分かれます。
- 最初に通して読む:新しく担当になった人が、業務の全体を理解するために読む
- 必要なときに探して読む:作業の途中で、分からない手順だけを調べる
多くのマニュアルは両方の使われ方をします。通して読む人のために全体の流れを最初に入れ、探して読む人のために目次と見出しを細かく付ける、という2つの工夫を組み合わせます。
業務マニュアルの基本の7つの章
業務の種類が違っても、業務マニュアルの構成には共通する骨組みがあります。次の7つの章を基本にして、業務に合わせて追加や省略をします。
| 章 | 書く内容 | 読む人が得るもの |
|---|---|---|
| 1. 表紙と改訂の記録 | マニュアルの名前、作った人、最終の更新日、変更の履歴 | どの版を読んでいるか |
| 2. 目的と対象 | この業務の目的、マニュアルを読む人、扱う範囲 | 何のための業務か |
| 3. 業務の全体の流れ | 業務の始まりから終わりまでの流れと、関わる人の役割 | 全体の地図 |
| 4. 作業ごとの手順 | 作業ごとの手順書、またはその案内 | 実際の作業のやり方 |
| 5. 例外とトラブルの対応 | よくある例外、困ったときの対応、相談先 | いつもと違うときの動き方 |
| 6. 用語と道具 | 専門用語の説明、使うシステムや書類の一覧 | 言葉と道具の理解 |
| 7. 問い合わせ先と改訂の決まり | 分からないときの連絡先、マニュアルを直す手順 | 次に困ったときの頼り先 |
改訂の記録を先頭に入れる理由
改訂の記録は最後に回されがちですが、先頭に入れることをおすすめします。読む人が最初に「このマニュアルはいつ更新されたものか」を確かめられるからです。更新日が古ければ、内容が今の業務と違っている可能性を考えながら読めます。改訂の記録には、日付、変えた章、変えた内容、変えた人の4つを書きます。
全体の流れを手順より前に入れる理由
作業ごとの手順の前に、業務の全体の流れの章を入れます。全体の流れが分かっていると、今の作業が業務のどの位置にあり、前後にどんな作業があるかを理解したうえで手順を読めます。全体の流れは、箇条書きや簡単な図で1ページに収めます。
例外の章を独立させる理由
例外やトラブルの対応を、各手順の中に混ぜて書くと、ふだんの手順が読みにくくなります。手順書には「いつもの流れ」だけを書き、例外は別の章にまとめて、手順書の該当する箇所から「この場合は第5章の〇〇を参照」と案内します。
章の並べ方の3つの型
作業ごとの手順の章(第4章)は、マニュアルの中でいちばん分量が多くなる部分です。この章の中の並べ方には、主に3つの型があります。業務マニュアルの作り方を解説したferret Oneの記事では、時系列で並べることを勧めています。
業務マニュアルの構成は、業務内容が時系列で並ぶように整理しましょう。時系列に並べることで、業務の流れがわかりやすく、業務マニュアルの使用者も欲しい情報を探しやすくなります。 出典: ferret-one.com
時系列は多くの業務に合う並べ方ですが、業務によってはほかの型のほうが探しやすいこともあります。
型1:時系列で並べる
業務が起きる順番に並べる型です。「受注の受付」「見積もりの作成」「発注書の受け取り」「納品」「請求」「入金の確認」のように、1つの業務が流れる順に並べます。業務の流れが1本道で、毎回同じ順番で作業が進む業務に向いています。
型2:役割で並べる
関わる人の役割ごとに章を分ける型です。「受付の担当」「作業の担当」「確認の担当」のように分けます。複数の人が分担して1つの業務を進め、自分の担当の部分だけを読めればよい場合に向いています。
型3:頻度で並べる
作業が発生する頻度ごとに分ける型です。「毎日の作業」「毎週の作業」「毎月の作業」「年に1回の作業」のように分けます。決まった間隔でくり返す作業が中心の業務に向いています。年に1回しか発生しない作業は、担当者もやり方を忘れがちなので、この型で独立させておくと特に役立ちます。
型を組み合わせる
1つのマニュアルの中で型を組み合わせることもできます。たとえば、大きな章は頻度で分け、その中は時系列で並べる、という形です。
- 毎日の作業:受付の確認 → 問い合わせへの返信 → 日報の記入
- 毎月の作業:請求書の発行 → 入金の確認 → 未入金の連絡
- 年に1回の作業:取引先の情報の更新 → 年間の集計
構成を決める進め方:作業の洗い出しから始める
基本の章と並べ方の型が分かっても、白紙から目次を書くのは難しいものです。目次を書く前に、業務の中の作業を洗い出す手順を踏むと、構成が自然に見えてきます。
手順1:作業を1行ずつ書き出す
担当している業務の中で行っている作業を、思いつく限り1行ずつ書き出します。表計算ソフトの1列目に1行1作業で書いていくと、あとで並べ替えやすくなります。「メールを確認する」「見積もりを作る」「請求書を送る」のように、動作で書きます。この段階では、大きさや順番をそろえる必要はありません。
手順2:作業ごとに情報を書き足す
書き出した作業の横に、次の情報を書き足します。
- 頻度(毎日、毎週、毎月、年に1回、不定期)
- 担当(自分、ほかの人、取引先)
- かかる時間のおよそ
- 前後の作業(この作業の前に何が終わっている必要があるか)
手順3:まとまりを作る
頻度や担当の列で並べ替えると、作業のまとまりが見えてきます。頻度で並べ替えて毎日・毎月・年1回に分かれるなら頻度の型、担当で並べ替えてきれいに分かれるなら役割の型、前後の作業でつながる1本の流れになるなら時系列の型が向いています。
手順4:まとまりに名前を付けて目次にする
まとまりに名前を付けたものが章、まとまりの中の作業が節や項になります。ここまで来れば、目次の大半はできあがっています。
この進め方のよい点は、抜けている作業に気づけることです。書き出した作業の一覧と目次を見比べれば、目次に入っていない作業がすぐに分かります。
表と図の使いどころ
業務マニュアルは文章だけで書くより、表や図を組み合わせたほうが分かりやすくなります。ただし、使いどころを間違えると、かえって読みにくくなります。
| 形 | 向いている内容 | 例 |
|---|---|---|
| 箇条書き | 順番のある手順、確認の項目 | 作業の手順、提出前の確認 |
| 表 | 条件ごとの違い、比べる情報 | 取引先ごとの支払いの条件、問い合わせの種類ごとの担当 |
| 流れ図 | 分かれ道のある判断 | 金額によって確認の手順が変わる流れ |
| 画面の写真 | ボタンの場所が分かりにくい操作 | 設定の画面の操作 |
画面の写真は分かりやすい反面、システムの画面が変わるたびに撮り直す手間がかかります。ボタンの名前を文字で書けば伝わる操作には写真を使わず、場所が分かりにくい操作だけに絞って使うと、更新の負担を抑えられます。
保存場所とファイルの分け方
構成は、マニュアルを1つのファイルにまとめるか、章ごとにファイルを分けるかにも関わります。
業務の規模が小さく、全体で20ページほどに収まるなら、1つのファイルにまとめて目次を付けるのが扱いやすい形です。規模が大きくなり、手順書が増えてきたら、業務マニュアルの本体を1つのファイルにして、手順書は1作業1ファイルに分け、本体の目次から各手順書へリンクで案内する形に切り替えます。
ファイルを分ける場合は、ファイルの名前に目次の番号を入れておくと、並び順と構成が一致して探しやすくなります。「4.1_請求書を発行する」「4.2_入金を確認する」のような名前です。保存する場所は、読む人全員がアクセスできる共有のフォルダに決め、個人のパソコンの中だけに保存しないようにします。
目次の作り方
並べ方の型が決まったら、目次を作ります。目次は構成を目に見える形にしたもので、読む人が探して読むときの入口になります。
見出しの階層は3段まで
見出しは「章」「節」「項」の3段までにします。4段以上に深くすると、今どこを読んでいるかが分からなくなります。3段に収まらない場合は、章を分けるか、手順書として別の文書に切り出します。
番号を付ける
見出しには「1」「1.1」「1.1.1」のような番号を付けます。番号があると、口頭や文章で「1.2の手順の3つ目」と場所を伝えられます。電話で引き継ぎをするときにも、番号が共通の言葉になります。
見出しは動作で書く
作業の手順の見出しは、「請求書」のような名詞ではなく、「請求書を発行する」のように動作で書きます。探して読む人は「何をしたいか」で探すので、動作の見出しのほうが見つけやすくなります。
目次の例
在宅の事務スタッフが受注から請求までを担当する業務の、目次の例です。
- このマニュアルについて 1.1 改訂の記録 1.2 目的と対象の業務
- 業務の全体の流れ 2.1 受注から入金までの流れ 2.2 担当と役割
- 毎日の作業 3.1 問い合わせのメールを確認する 3.2 見積もりの依頼に返信する 3.3 日報を書く
- 毎月の作業 4.1 請求書を発行する 4.2 入金を確認する 4.3 未入金の取引先に連絡する
- 例外とトラブルの対応 5.1 請求の金額を間違えたとき 5.2 入金の金額が合わないとき
- 用語と使う道具
- 問い合わせ先とマニュアルの直し方
文書の作成ソフトで目次を作る
Googleドキュメントのような文書の作成ソフトを使うと、見出しを設定するだけで目次を自動で作れます。Googleドキュメントのヘルプによると、目次を入れたい位置をクリックし、「挿入」から「ページ要素」、「目次」を選ぶと目次が入ります。目次の各項目は本文の見出しにつながっているので、クリックするとその場所に移動できます。見出しを追加したあとは、目次の更新のアイコンをクリックすると、目次が最新の見出しに合わせて直ります。
本文の見出しは、「表示形式」の「段落スタイル」から「見出し1」「見出し2」のように設定します。章を見出し1、節を見出し2、項を見出し3にそろえておけば、目次の階層もそのまま整います。
目次から手順書に落とし込む
目次ができたら、作業の手順の項目を1つずつ手順書に落とし込みます。ここでの決まりは「目次の1項目に、手順書を1つ」です。1つの手順書に複数の作業を詰め込むと、探しにくく、更新もしにくくなります。
手順書の型
手順書は、次の6つの欄で書くと、どの作業でも同じ形にそろえられます。
| 欄 | 書く内容 |
|---|---|
| 目的 | この作業で何を達成するか(1文) |
| 始めるきっかけ | いつ、何が起きたらこの作業をするか |
| 準備するもの | 使うシステム、書類、必要な情報 |
| 手順 | 番号付きの手順(1つの番号に1つの動作) |
| 終わりの確認 | 作業が正しく終わったことをどう確かめるか |
| 注意と例外 | 間違えやすい点、例外の章への案内 |
手順書の例:請求書を発行する
目次の「4.1 請求書を発行する」を手順書にした例です。
目的:前月に納品した取引先に、請求書を送る 始めるきっかけ:毎月1日(1日が休日の場合は翌営業日) 準備するもの:前月の納品の一覧、会計ソフトのログイン情報(管理の担当に確認する)
手順
- 会計ソフトにログインする
- 「請求書」の画面を開き、「新規作成」を押す
- 取引先の名前を選ぶ
- 納品の一覧を見ながら、品目と金額を入力する
- 支払いの期限を、取引先ごとの決まり(第6章の取引先の一覧)に合わせて入力する
- 「プレビュー」を押して、金額と宛名を確かめる
- 「送信」を押す
終わりの確認:会計ソフトの請求書の一覧に「送信済み」と表示されていること 注意と例外:金額を間違えて送ったときは「5.1 請求の金額を間違えたとき」を見る
手順書の中に、ほかの章への案内を書いておくと、読む人は迷ったときに次にどこを見ればよいかが分かります。
手順の書き方の5つの決まり
手順書の中身を書くときは、次の5つの決まりを守ると、誰が読んでも同じ動きができる手順になります。
1. 1つの番号に1つの動作
「ログインして請求書の画面を開き、新規作成を押す」のように、1つの番号に複数の動作を詰め込まないようにします。途中で手を止めたとき、どこまで進んだかが分からなくなるからです。
2. 画面に出ている名前をそのまま書く
ボタンやメニューの名前は、画面に出ている文字をそのまま書き、かぎ括弧で囲みます。「保存ボタンのようなもの」と書くと、読む人が画面の中で探せません。システムの画面が変わったら、手順書のボタンの名前も直します。
3. 数字ははっきり書く
「少し待つ」ではなく「30秒ほど待つ」、「数日以内に」ではなく「3営業日以内に」のように、数字で書きます。
4. 判断が必要なところは条件を書く
「必要に応じて上司に確認する」と書くと、何が必要な場合なのかが読む人によって変わります。「金額が10万円を超える場合は、送信の前に上司に確認する」のように、判断の条件を書きます。
5. 用語は初めて出てきたところで説明する
その職場でしか使わない言葉や略語は、初めて出てきたところで1文で説明し、用語の章にもまとめます。
読む人に合わせて章の厚さを変える
同じ7つの章でも、誰が読むかによって、どの章を厚く書くかが変わります。最初に決めた「誰が読むのか」に合わせて、章ごとの分量の配分を決めておくと、書きすぎや書き漏れを防げます。
初めてその業務に就く人が読む場合
第2章の目的と、第3章の全体の流れ、第6章の用語を厚く書きます。初めての人は、作業の手順より前に「なぜこの作業をするのか」「この言葉は何を指すのか」でつまずくからです。手順書には、画面の名前やボタンの場所まで細かく書きます。
経験者が読む場合
第3章の全体の流れは簡潔にし、第4章の手順の中でも、その職場に独自の決まりがある部分に絞って書きます。一般的な操作の説明は省き、「この職場ではこうしている」という違いを中心にします。
引き継ぎで読む場合
第5章の例外とトラブルの対応を厚く書きます。ふだんの作業は手順書を見ればできますが、例外の対応は前の担当者の頭の中にしかないことが多いからです。過去に起きたトラブルと、そのときの対応、取引先ごとの事情を書き残しておくと、新しい担当者が同じ失敗をくり返さずに済みます。
どの場合も、書き終えたら、実際に読む人に近い人に読んでもらい、分からなかったところに印を付けてもらいます。印の付いたところを書き直すだけで、マニュアルの分かりやすさは大きく上がります。
構成でよくある失敗
業務マニュアルの構成でよく起きる失敗と、直し方を紹介します。
同じことが2か所に書いてある
同じ説明が複数の章にあると、片方だけ更新されて、内容が食い違います。説明は1か所にだけ書き、ほかの章からはそこを案内する形にします。
例外が本文にあふれている
「ただし〇〇の場合は」が手順の中に何度も出てくると、ふだんの手順が読めなくなります。例外は第5章にまとめ、手順の中には案内だけを書きます。
目次と中身が合っていない
マニュアルを更新したときに、目次を直し忘れる失敗です。文書の作成ソフトの自動の目次を使い、更新したら目次の更新のアイコンを押す、と改訂の決まりに書いておきます。
1つの章が長すぎる
1つの章が10ページを超えるようなら、節に分けるか、手順書として切り出します。長い章は、探して読む人にとって大きな負担になります。
構成を見直すタイミング
一度決めた構成も、業務が変われば見直しが必要になります。次のようなときは、目次から見直す合図です。
- 新しい作業が増えて、どの章にも入らない
- 同じ章に、性質の違う作業が混ざってきた
- 読む人から「どこに書いてあるか分からない」と言われることが増えた
- 担当の分け方が変わり、役割の型の章と実際の担当が合わなくなった
見直すときは、いきなり本文を書き直さず、まず目次だけを書き直します。目次の段階で関係者に見てもらい、探しやすいかを確かめてから、本文の移動や書き直しに進むと、手戻りが少なく済みます。
業務ごとの構成の例
業務の種類によって、構成の重点が変わります。在宅で受けることの多い業務を例に、構成の考え方を紹介します。
データ入力の業務
データ入力の業務は、作業の手順そのものより、入力の決まりが中心になります。「全角と半角の使い分け」「日付の書き方」「判読できない文字があったときの扱い」のような決まりを、用語と道具の章とは別に「入力の決まり」の章として独立させると、作業中に確かめやすくなります。
問い合わせ対応の業務
問い合わせ対応の業務は、問い合わせの種類ごとに章を分けるのが向いています。「料金について」「使い方について」「解約について」のように分け、それぞれに返信の文例と、自分で答えてよい範囲、ほかの担当に回す条件を書きます。
医療や介護の現場の業務
看護や医療事務、介護の現場のマニュアルは、施設の規程や所属先の決まりを優先して作ります。患者さんや利用者の情報の扱い、安全に関わる手順は、施設で定められた手順と食い違わないよう、作成の段階で責任者の確認を受けます。医療事務の仕事の内容や資格は、医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)で確かめられます。
作ったあとの更新と引き継ぎを回す
業務マニュアルは、作った日から古くなり始めます。システムの画面が変わる、取引先の決まりが変わる、担当者が替わる。そのたびに更新しなければ、マニュアルは誰も読まない文書になります。
更新を続けるには、改訂の決まりを章として書いておくことに加えて、更新の作業そのものを「誰が、いつまでに」と決めたタスクとして管理することが大切です。たとえば次のような作業です。
- システムの画面が変わったら、該当する手順書のボタンの名前を直す(担当:作業の担当者、期限:変更から1週間以内)
- 半年に1回、全体を読み直して古い記述を探す(担当:マニュアルの管理者)
- 担当が替わるとき、引き継ぎで分かりにくかった点を例外の章に追加する(担当:前の担当者と新しい担当者)
こうしたマニュアルの更新や引き継ぎのタスクを担当つきで回したい場面では、Pinatecaのようなプロジェクト管理の道具を使う方法があります。Pinatecaの公式サイトによると、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リストなど8種類のボードとチャットを、5人まで無料で使えます。カードごとに担当と期限を決められ、カードのコメントで相談した内容もそのカードに残ります。マニュアルの章ごとにカードを作り、「更新が必要」「直している」「確認待ち」「反映済み」の列で動かせば、どの章の更新が止まっているかがひと目で分かります。
Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
マニュアルを作る力は仕事になる
在宅ワークやフリーランスの仲介に長く携わってきた運営者として見てきた限りでは、取引先から長く頼られる人ほど、自分が担当している作業を手順書の形で残しています。手順書があれば、急に休むことになっても取引先が困らず、ほかの人に作業を引き継ぐこともできます。「この人に任せておけば、仕事が止まらない」という安心感が、継続の依頼につながっていきます。
仲介手数料のかからない直接取引では、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなり、依頼する側は同じ予算でより多くを頼めます。業務マニュアルを整えて引き継げる状態を作っておくことは、依頼する側にとっても、受ける側にとっても、取引を長く続けるための備えになります。
業務を整理して文書にする力は、それ自体が仕事にもなります。業務の流れを見直して道具の活用を支援する仕事は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介されています。手順が決まった作業を自動で動かす仕組みを作る仕事は、RPA・業務自動化ツールのお仕事で確かめられます。自動化の前には、まず手順を書き出す必要があるので、業務マニュアルの構成の力がそのまま役立ちます。経営の相談に乗る立場から業務の改善を学びたい人には、国家資格の中小企業診断士も参考になります。
まずは、担当している業務の始まりと終わりを決め、7つの章に沿って目次を1枚書くところから始めてみてください。
よくある質問
Q. 業務マニュアルの構成は何から決めればよいですか?
最初に、誰が読むのか、どこからどこまでの業務を扱うのか、通して読むのか探して読むのかの3つを決めます。そのうえで、表紙と改訂の記録、目的と対象、全体の流れ、作業ごとの手順、例外とトラブル、用語と道具、問い合わせ先と改訂の決まりの7つの章を基本に、業務に合わせて追加や省略をします。
Q. 業務マニュアルと手順書は分けて作るべきですか?
分けて作るほうが、探しやすく更新もしやすくなります。業務マニュアルは業務全体の地図として目的や流れ、役割を書き、作業ごとの細かい手順は手順書として独立させます。業務マニュアルの目次の各項目から、対応する手順書へ案内する形にすると、全体と部分を行き来しやすくなります。
Q. 目次の見出しはどのくらい細かくすればよいですか?
見出しの階層は章、節、項の3段までにするのが目安です。それより深くなる場合は、章を分けるか、手順書として別の文書に切り出します。作業の見出しは「請求書を発行する」のように動作で書き、番号を付けておくと、探しやすく、口頭で場所を伝えるときにも便利です。
Q. 作った業務マニュアルを古くしないためにはどうすればよいですか?
表紙に改訂の記録を入れて更新日を見えるようにし、改訂の決まりを章として書いておきます。そのうえで、システムの画面が変わったときの修正、半年に1回の読み直し、担当の交代時の追記を、担当者と期限のあるタスクとして管理します。誰がいつ直すかが決まっていれば、更新が止まりにくくなります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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