Webライティングのトライアル対策は落ちたあとの動きまで決めておく


この記事のポイント
- ✓Webライティングのトライアルを在宅で受けるとき
- ✓選考担当者が本当に見ているのは文章のうまさではありません
- ✓不合格になったあとの立て直し方
「トライアルに落ちました。文章を全否定された気がして、しばらくパソコンを開けませんでした」
このご相談、本当に多いんです。
在宅でWebライティングを始めようとして、応募して、課題を書いて、そして「今回はご縁がありませんでした」の一文が返ってくる。理由は書かれていない。何がダメだったのか分からないまま、自分の文章そのものを否定されたように感じてしまう。
大丈夫ですよ。まず知っておいてほしいことがあります。Webライティングのトライアルで見られているのは、文章の「うまさ」ではありません。もっと別のところを見られています。そして、そのポイントは全部あとから身につけられるものです。
この記事では、在宅のWebライティングトライアルで選考側が実際に何を見ているのか、課題をどう進めれば通過率が上がるのか、そして落ちたあとにどう動けば次につながるのかを、順番にお話ししていきます。心の整え方も含めて書きますね。あなたは一人じゃありません。
在宅Webライティングの市場と、トライアルが当たり前になった理由
まず、いまWebライティングの在宅募集がどうなっているかを見ておきましょう。全体像が見えると、落ちたことの意味も違って見えてきます。
募集の入口はほぼ100%トライアル
在宅・リモート前提のWebライティング募集で、書類だけで採用が決まるケースはほとんどありません。応募 → 書類選考 → トライアル記事の執筆 → 合否、というのが標準的な流れです。
これには理由があります。
ライティングは、履歴書と実績サンプルだけでは実力が測れない仕事だからです。実績サンプルは、編集者が手を入れた後の完成形かもしれない。過去に一本だけうまく書けたものかもしれない。だから発注側は、自分たちのレギュレーションを渡して、その通りに書けるかを実際に試します。
もうひとつ。在宅の業務委託は、出社型と違って隣で教えることができません。最初から一定水準で納品してもらう前提になるので、入口の確認が丁寧になります。厳しいというより、お互いのミスマッチを防ぐための仕組みだと考えてください。
求人の中身は「書くだけ」ではなくなっている
在宅ライティングの求人票を眺めていると、ここ数年で仕事の内容が変わってきているのが分かります。純粋な記事執筆だけの募集は減り、企画・取材・編集・SNS運用まで含む複合型が増えました。
...採用広報をメインに据えつつ、志向性に応じてコーポレート広報・P…10時00分~19時00分休憩時間:60分残業:平均25時間/月 【経験・資格】<必須>・広報/PR、採用広報、または編集・ライティング・コンテンツ制作の実務経験(2年以上) 発信コンテンツ(記事・インタビュー・SNS・リリース等いずれか)の企画から制作までを担当したご経験<尚可>・メディアリレーションズの実績(既存メディアとの良好な関係構築に加え... 出典: 求人ボックス
この求人票を見て「経験2年以上か、無理だ」と思わなくて大丈夫です。ここまでの条件がつく案件は、報酬水準も高い層のものです。未経験から入る層は別にあります。
大事なのは、市場が「企画から制作まで一人で回せる人」を求めているという方向性を知っておくことです。いま未経験でも、その方向に自分を伸ばしていけば単価は上がっていきます。
単価の相場を正しく知っておく
在宅Webライティングの報酬は、文字単価で語られることが多いですね。相場感を整理しておきます。
未経験から入れるクラウドソーシング型の案件は、文字単価0.5円から1.0円程度が中心です。実績を積んだSEO記事の執筆で1.5円から3円程度。専門知識が必要な分野(医療、金融、法律、IT技術)や取材が入るものは3円から10円程度まで伸びます。
時給換算の求人もあります。専門性が高いライティング業務では、こんな条件のものも出ています。
【仕事内容】<在宅OK>時給2387円!九段下での治験関連<在宅勤務OK>週3出社<製薬業界にてメディカルライティングQC...【経験・資格】<必要な経験>メディカルライティングの経験 <必要なスキル>英語... 出典: 求人ボックス
こういう案件は経験がないと届きませんが、「ライティングという仕事の到達点はここにもある」と知っておくと、目の前のトライアルの見え方が変わります。いま受けている案件は、長い道のりの入口の一つにすぎません。
職種としての年収レンジを客観的に確認したいときは、著述家,記者,編集者の年収・単価相場のデータが役に立ちます。統計上の水準と、いま自分が応募している案件の条件を並べて見ると、その案件が相場に対してどの位置にあるかが分かります。
トライアルの流れと、各段階で見られていること
段階ごとに、評価されているポイントが違います。順番に見ていきますね。
応募メールと実績サンプルの段階
実は、ここで半分以上がふるい落とされます。
応募メールの本文に誤字がある。件名が空欄。添付ファイル名が「新しいドキュメント.docx」。前に応募した別会社の名前が残っている。こういう応募は、課題に進む前に終わります。
厳しいようですが、Webライティングは「文章で仕事をする職種」です。応募メールという最初の文章が雑だと、納品物も推して知るべしと判断されてしまいます。
逆に言うと、ここは誰でも今日から完璧にできる部分です。文章力がなくても、丁寧さは出せます。宛名を正確に書く。実績サンプルのファイル名を「氏名_ライティングサンプル_2026.pdf」のように分かりやすくする。それだけで通過率が上がります。
実績サンプルがない方は、自主制作でかまいません。募集しているメディアと近いテーマの記事を、自分で企画して1本書いておく。「実務経験はありませんが、御社のメディアを想定して1本執筆しました」と添えると、熱意と実力を同時に示せます。
レギュレーション(執筆ルール)の受領
書類が通ると、トライアル課題とレギュレーションが送られてきます。レギュレーションとは、そのメディアの執筆ルールをまとめた文書のことです。
文字数、見出し構成のルール、文体(です・ます調かだ・である調か)、表記ルール(数字は半角、「事」ではなく「こと」など)、禁止表現、キーワードの使用回数、参考にしてよい情報源の範囲。分量は数ページから数十ページまでさまざまです。
ここで多くの人がつまずきます。レギュレーションを流し読みして、自分の書きやすい形で書いてしまうんです。
覚えておいてほしいのは、Webライティングのトライアルは「あなたの文章が好きかどうか」を見る場ではないということ。「渡したルール通りに書けるか」を見る場です。ここを取り違えると、どんなに読みやすい文章を書いても落ちます。
課題執筆と提出
指定される課題は、多くの場合1本から2本の記事です。文字数は2,000字から5,000字程度、提出期限は3日から1週間が一般的です。
有償か無償かは案件によります。無償の場合でも、その課題記事が実際にメディアに掲載されるなら、それは実質的な納品です。着手前に「課題記事は公開されますか」と一言確認していいんですよ。遠慮しなくて大丈夫です。
合否連絡とフィードバック
提出から連絡までは3日から3週間。フィードバック付きで返してくれる会社は、体感で3割程度でしょうか。多くは「今回はご縁がありませんでした」だけです。
ここが一番つらいところですよね。理由が分からないと、直しようがない。だから同じ準備で次を受けて、また同じ落ち方をしてしまう。この繰り返しで自信を失っていく方を、たくさん見てきました。
その連鎖を止めるために、次の章を書きます。
トライアル選考で実際に見られている7つの点
ここが本題です。文章のうまさは、正直なところ7つのうちの1つでしかありません。
レギュレーション遵守(最重要)
不合格理由のうち、体感で最も多いのがこれです。
指定文体と違う。指定文字数を大きく外している(許容幅はプラスマイナス10%程度が目安です)。禁止表現を使っている。見出しの階層ルールを守っていない。キーワードの出現回数が指定と違う。
編集者の立場で考えてみてください。ルール通りに書けない人に依頼すると、毎回自分が直すことになります。文章がうまくても、修正コストが高い人には次を頼めません。
だから、提出前に必ずレギュレーションを1行ずつ読み返して、チェックリスト形式で確認してください。「文体:です・ます調 ✓」「文字数:3,000字±10% → 3,120字 ✓」というように。地味ですが、これだけで通過率がはっきり変わります。
検索意図の理解と構成力
指定されたキーワードで検索する人が、何を知りたくて検索しているのか。それを掴んで構成に落とせているかが見られます。
たとえば「在宅ワーク 始め方」で検索する人は、単に手順を知りたいのではなく、「自分にもできるのか」「怪しい仕事に引っかからないか」という不安を抱えています。手順だけ並べた記事は、検索意図を外しています。
構成で見られるのは3点です。読者の疑問に答える順番になっているか。見出しだけ読んで内容が想像できるか。話題が重複したり飛んだりしていないか。
トライアルで構成案の提出を求められることもあります。むしろ構成案だけで合否を出す会社もあるくらい、ここは重視されています。
事実確認と情報源の扱い
Webライティングで一番怖いのが、事実の誤りです。制度の内容、統計の数字、法律の施行日、企業名。ここを間違えるとメディアの信頼が傷つきます。
トライアルでは、この姿勢が見られています。
具体的にはこうです。個人ブログや出典不明のまとめサイトを根拠にしていないか。公的機関や一次情報にあたっているか。数字を書くときに出典を添えているか。「〜と言われています」で曖昧に逃げていないか。
制度や手続きの話を書くなら、厚生労働省や国税庁のような一次情報源を確認する習慣をつけてください。厚生労働省の公式サイトには、雇用や働き方に関する統計と制度説明がまとまっています。書く前に原典を見た人の文章は、読めば分かります。
そして生成AIの使い方です。下書きにAIを使うこと自体を禁止していないメディアは増えましたが、AIが出した数字や固有名詞をそのまま載せるのは事故のもとです。AIは自然な日本語で堂々と間違えます。必ず自分で裏を取ってください。
一次情報や独自の切り口があるか
いま、Webライティングの単価が二極化しています。どこにでもある情報をまとめただけの記事は、生成AIで代替されつつあるからです。
トライアルで差がつくのは、その人にしか書けない何かが入っているかどうか。取材、自分の経験、実際に使ってみた感想、現場で見た具体例。こういう要素が一行でも入っていると、評価が変わります。
未経験でも入れられます。たとえば「在宅ワークの始め方」の課題なら、自分が実際に自宅の一角を作業スペースにしたときに困ったことを一段落入れる。それだけで、他の応募者の原稿と区別がつきます。
読みやすさ(文章力はここに含まれる)
いわゆる文章力は、この項目です。一文の長さ、接続詞の使い方、リズム、漢字とひらがなのバランス、段落の切り方。
Webの文章は、紙と違ってスマートフォンで読まれます。一文は60字以内、一段落は3行以内が目安です。長い段落は、それだけで離脱されます。
ただし、ここが完璧でなくても通ることはあります。文章のリズムは書き続ければ整っていく部分だからです。逆に、レギュレーション違反や事実誤りは一発で落ちます。優先順位を間違えないでください。
コミュニケーションの取り方
課題の途中で質問していいか迷う方が多いですね。結論から言うと、質問はしていいです。むしろ、適切な質問ができる人は評価されます。
ただし、質問の仕方があります。レギュレーションに書いてあることを聞くのは減点です。書いていないことについて、自分の暫定判断を添えて聞くのが正解です。
「参考にしてよい情報源の範囲について、レギュレーションに記載がありませんでした。公的機関と企業公式サイトのみを使用する想定で進めておりますが、業界メディアの引用も可でしょうか」
こう聞かれた編集者は、「この人は自分で考えて動ける」と判断します。判断を丸投げする質問と、判断を共有する質問は別物です。
納期を守る姿勢
期限を守るのは大前提ですが、それだけではありません。
余裕を持って提出できているか。もし遅れそうなら、期限前に連絡できているか。この2点です。
在宅の仕事は、進捗が相手から見えません。だから、遅れそうなときに黙っている人が一番困ります。「申し訳ありません、当初の期限より1日いただけますでしょうか」と事前に言える人は、実務でも信頼されます。
課題を進めるときの具体的な手順
評価軸が分かったところで、実際の進め方をお話しします。在宅で一人で作業する前提です。
着手前の1時間でやること
いきなり書き始めないでください。最初にやることが3つあります。
1つめは、レギュレーションの全文精読です。読みながら、チェックリストを自分で作ります。提出前にこのリストで確認するためです。
2つめは、そのメディアの既存記事を5本読むこと。レギュレーションに書かれていない暗黙のルールは、公開されている記事から読み取るしかありません。見出しの付け方の癖、専門用語をどこまで噛み砕いているか、CTAの置き方。ここまでやる応募者は少ないので、そのまま差になります。
3つめは、指定キーワードで実際に検索して、上位10記事の見出し構成を書き出すこと。何が競合で、何が抜けているかが見えます。抜けているところを自分の記事で埋められたら、それが独自性になります。
構成を先に固める
いきなり本文を書くと、途中で迷子になります。必ず構成を先に作ってください。
構成には、見出しだけでなく「その見出しで何を伝えるか」を一行ずつメモしておきます。この段階で、話の重複や順番のおかしさに気づけます。
構成が固まったら、一晩寝かせるのが理想です。翌朝見ると、読者が知りたい順番になっていないところが見えてきます。
執筆と推敲を分ける
書く作業と直す作業を同時にやると、どちらも中途半端になります。
執筆のときは、細かい表現を気にせず最後まで書き切る。推敲のときは、書く手を止めて読む側に回る。この切り替えを意識するだけで、原稿の質が変わります。
推敲は最低3回。1回目は事実確認だけ(数字、固有名詞、日付、出典)。2回目は構成と論理(話が飛んでいないか、結論が先に来ているか)。3回目は表現とレギュレーション(文体、表記ゆれ、文字数、禁止表現)。
一度に全部見ようとすると必ず漏れます。回を分けてください。
集中が続かないときの対処
在宅で長時間書くのは、想像以上に消耗します。「1日中パソコンの前にいたのに、2,000字しか書けなかった」というご相談も多いんです。
これは意志の弱さではありません。在宅は、集中を切る要素が多すぎる環境なんです。家事が目に入る、家族が声をかける、通知が来る、締切が遠く感じられる。
対処法としては、作業時間をブロックで区切ること、書き始める前に「今日はここまで」を決めておくこと、書けないときは資料集めに切り替えることなどがあります。具体的な手法は在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックにまとめてあるので、作業リズムが作れない方はのぞいてみてください。
家事や育児と両立している方の実際の時間の使い方は、在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開が参考になります。他の人がどう回しているかを知るだけで、「自分だけができないわけじゃない」と分かって、気持ちが軽くなることがあります。
提出前の最終確認
提出直前に、必ずやってほしいことがあります。
自分で作ったレギュレーションのチェックリストを、一項目ずつ声に出して確認する。ファイル形式と提出先を再確認する。そして、提出メールの本文自体を推敲する。
最後の一つを忘れる方が多いんです。原稿は完璧なのに、提出メールが一行だけで「添付します」となっている。もったいないですよ。工夫した点や判断に迷った点を3行添えるだけで、印象がまったく違います。
落ちたあとに、どう動くか
ここからが、この記事で一番お伝えしたい部分です。
まず、落ち込む時間を認める
トライアルに落ちると、落ち込みます。当たり前です。自分が時間をかけて書いたものを否定されたわけですから。
ここで「落ち込んじゃダメだ、すぐ次に行かなきゃ」と自分を急かす方がいます。でも、感情に蓋をすると、あとで別の形で出てきます。パソコンを開けなくなる、という形で。
だから、まず落ち込んでいい。1日か2日は、何もしなくていいんです。ただ、期限は決めておいてください。「金曜日までは落ち込む。土曜日から動く」と決める。感情に終わりの時間を設定するだけで、飲み込まれずに済みます。
そしてもう一つ。落ちたのは「あなた」ではなく「今回の原稿とその案件の相性」です。これは慰めではなく事実です。同じ原稿でも、メディアが変われば評価は変わります。
不合格理由を聞いてみる
フィードバックがなかった場合、聞いていいんですよ。
「今後の学習のため、差し支えない範囲で改善点をご教示いただけますでしょうか」と一通送る。返信率は高くありません。でも、返ってきたときの情報は、他のどんな教材よりも価値があります。
コツは、答えやすい形で聞くことです。「レギュレーションの理解、構成、事実確認、文章表現のうち、特に不足していた点はどれでしょうか」と選択肢を示すと、返信のハードルが下がります。
返信がなくても、恨まないでくださいね。ライティングの世界は思ったより狭くて、半年後に同じ会社の別案件に応募することもあります。丁寧な問い合わせは、そのときに効いてきます。
提出した原稿を1か月後に読み返す
提出した課題は、必ず手元に残しておいてください。ただし守秘義務には注意が必要です。NDA(エヌディーエー)を結んでいる場合、課題内容をSNSに載せたり、他社への実績サンプルに使ったりはできません。自分用の振り返り資料としてローカルに保管する分には、通常問題ありません。
そして、1か月後にもう一度読み返します。
時間を置くと、書いたときには見えなかったものが見えます。「この段落、結論が最後に来てる」「この数字、出典を書いてない」「同じことを2回言ってる」。自分の癖が分かります。
癖が分かれば、次回のチェックリストに項目を追加できます。これを3回繰り返すと、自分専用の推敲リストができあがります。これが一番効く教材です。
複数社に同時に応募する
1社ずつ結果を待っていると、3社受けるのに2か月かかります。それでは検証のサイクルが遅すぎますし、1社の結果に感情が引きずられすぎます。
最初から4社から6社に同時応募して、複数のトライアルを並行して進めてください。
同時進行のメリットは、速さだけではありません。会社ごとの評価軸の違いが見えてきます。A社はSEO重視、B社は読みやすさ重視、C社は取材力を見ている。この差が分かると、「自分はどこに向いているか」が判断できるようになります。
そして心理的にも楽です。1社に落ちても、他にまだ4社ある。この状態を作っておくと、不合格通知のダメージが目に見えて小さくなります。
資格で「基礎はある」ことを示す
書類段階で落ちることが続くなら、資格を検討してもいいと思います。
Webライティング能力検定は日本Webライティング協会が実施する検定で、1級から3級まであり、日本語の基礎からSEO、著作権、法律知識まで幅広く問われます。もう一つ、Webライティング技能検定は在宅ワーク向けの実務スキルに特化した検定で、クラウドソーシングでの実務を意識した内容になっています。
正直にお伝えすると、資格そのものが仕事を保証するわけではありません。実務では実績のほうが重視されます。
それでも意味があるのは、2つの場面です。1つは書類選考。実績ゼロの応募者の中で、基礎知識があることを示す材料になります。もう1つは自分の学習の軸として。何を勉強すればいいか分からない状態から抜け出せます。
難易度を下げて実績を作る
トライアル不合格が続くなら、いったん本命を離れて、参入しやすい案件で実績を作るのも有効です。
クラウドソーシング型のプラットフォームには、未経験可の案件があります。単価は高くありませんが、実際の納品経験と発注者からの評価が残ります。半年後に本命のトライアルを受け直すとき、「Webメディアの記事執筆を月8本、6か月継続」と書ける状態かどうかは、大きな差になります。
ただし注意点があります。仲介型のプラットフォームは、報酬から手数料が引かれます。一般的に15%から20%程度なので、文字単価1円の案件でも手取りは0.8円台です。実績づくりの期間と割り切るなら問題ありませんが、そこに長く居続けると、働く時間が増えても手取りが増えない状態になります。
在宅の仕事はライティングだけではないので、他の選択肢も知っておくと視野が広がります。在宅でできる仕事おすすめ【2026年版】|スキル別ランキングでは、スキル別に在宅で成立する職種を整理しています。ライティングが合わないと感じたときの逃げ道を知っておくと、かえって落ち着いて挑戦できます。
隣接分野に広げる選択肢も持つ
ライティング単体の単価が伸び悩んだとき、伸びしろがあるのは隣接分野です。
いま需要が伸びているのは、AI関連の業務にライティングを組み合わせる形です。生成AIを使った記事制作フローの設計、プロンプトの整備、AIが出した文章のファクトチェックと編集。こうした仕事は、書ける人がAIを理解すると一気に価値が上がります。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、企業のAI活用を支援する仕事の中身が整理されているので、ライティングからの広げ方を考える材料になります。
マーケティング寄りに広げる道もあります。記事を書くだけでなく、そのメディア全体の設計や、SEOの改善提案まで担う形です。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事に職種別の内容がまとまっています。
技術寄りの案件では、開発現場のドキュメントやチュートリアルを書くテクニカルライティングもあります。開発の仕事の全体像はアプリケーション開発のお仕事を見ると分かりますし、技術職の単価水準はソフトウェア作成者の年収・単価相場で確認できます。ライターとして技術分野に強くなると、単価の天井が明確に上がります。
独自データから見えてくる、在宅ライターの続き方
在宅ワークの求人データを長く見ていると、応募者側からは見えにくい傾向がいくつか浮かび上がってきます。
まず、募集要項の変化です。「未経験歓迎」の在宅ライティング募集は依然として多いのですが、その中身が変わってきました。以前は「文章が書ければOK」でしたが、いまは「レギュレーションを理解して守れること」「一次情報にあたれること」が実質的な条件になっています。書けることより、正確に運用できることが求められている。
もうひとつ、継続案件の比率が上がっています。単発の記事執筆より、月何本という継続契約の募集が増えました。発注側から見ると、毎回新しい人を探して教えるコストが高いからです。これは応募者にとって有利な変化です。一度入り込めば、収入が安定します。
20年この市場を見てきた立場からの観察
在宅ワークのマッチングを20年運営してきた立場から言えば、ライティングで仕事が途切れない人には、はっきりした共通点があります。
文章がずば抜けてうまい人ではありません。「この人に頼むと編集の手間が減る」と思われている人です。
具体的には、レギュレーション通りに納品される。事実確認が済んでいる。判断に迷ったところに申し送りがある。遅れそうなときは事前に連絡が来る。この4つが揃っていると、編集者は原稿を軽く読んで公開するだけで済みます。
逆に、文章は魅力的なのに毎回レギュレーションを外す人には、次が来ません。編集者が毎回直すことになるからです。本人には理由が分からないまま、依頼が減っていく。これは本当によく見る光景です。
運営者として見てきた限りでは、単発で終わる人と長く続く人の差は、最初の3案件でほぼ決まります。最初に「楽だ」と思われた人には、次が自然に来る。だからトライアルは、実は「初回の仕事」の縮図なんです。文章のうまさを見られているのではなく、一緒に仕事をしたときの手触りを見られている。そう考えると、準備すべきことが変わってきますよね。
もう一つ、報酬の受け取り方についてもお話ししておきます。仲介型のプラットフォームは、手数料が引かれる前提で単価が組まれています。同じ予算でも、受け手に届く額は薄くなる。一方、仲介手数料が乗らない直接取引の形だと、発注側は同じ予算でより多くの本数を頼めますし、受け手は同じ作業で手取りが厚くなります。手数料0%の形が効いてくるのは、単価の高さそのものより「同じ労力に対して手元に残る質」が変わるからです。月に何本も納品するようになると、この差は無視できない大きさになっていきます。
長く続けているライターほど、収入の入口を複数持っています。プラットフォーム経由の練習用の案件、直接契約の主力案件、専門分野の高単価案件。この3層を並行して持っていると、1社の予算が締まっても収入が途切れません。
そして最後に、これだけは覚えておいてください。トライアルの不合格は、あなたの価値の判定ではありません。今回の原稿と、その案件の求めるものが、たまたま合わなかったというだけです。落ちた回数は、次にどこを狙えばいいかを教えてくれるデータでもあります。落ちた会社が全部同じタイプだったなら、狙う層を変えてみる。そういう読み方をすれば、不合格通知も次の一歩の材料になります。
焦らなくて大丈夫です。あなたは一人じゃありません。
よくある質問
Q. Webライティングのトライアルは無償が普通ですか?
未経験者向けの案件では無償が一般的ですが、その課題記事が実際にメディアで公開される場合は、実質的な納品にあたるため報酬が発生するのが筋です。着手前に「課題記事は公開されますか」「有償か無償か」を確認して問題ありません。有償の場合は、合否にかかわらず支払われるのか、支払時期はいつかも聞いておくと安心です。
Q. トライアルで一番多い不合格理由は何ですか?
レギュレーション(執筆ルール)の違反です。指定文体と違う、文字数が大きく外れている、禁止表現を使っている、見出し階層が指定と異なる、といったものが目立ちます。文章のうまさより優先度が高い項目なので、提出前に必ずレギュレーションを一項目ずつチェックリスト形式で確認してください。ここだけで通過率が変わります。
Q. 未経験で実績サンプルがない場合はどうすればよいですか?
自主制作で問題ありません。応募先メディアのテーマに近い記事を、自分で企画して1本書いておきます。応募時に「実務経験はありませんが、御社のメディアを想定して執筆しました」と添えると、意欲と実力を同時に示せます。既存記事を5本読んで文体や見出しの癖を合わせておくと、さらに評価されます。
Q. 何社も落ちたら、Webライティングは向いていないのでしょうか?
数社の不合格で判断する必要はありません。不合格は「あなたの価値」ではなく「今回の原稿と案件の相性」の結果です。まず不合格理由を丁寧に問い合わせ、返信がなくても提出原稿を1か月後に読み返して自分の癖を特定してください。並行して4社から6社に同時応募すると、会社ごとの評価軸の違いが見えて次の狙い所が定まります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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