子育てしながら就労継続支援B型事業所で働く|シフトの融通と、頼れる制度


この記事のポイント
- ✓就労継続支援B型事業所は
- ✓夜勤がなく日勤のみという構造から子育てとの両立がしやすい職場です
- ✓事業所タイプごとの違い
子育てをしながら就労継続支援B型事業所で働けるかどうかを調べている方に、先に結論をお伝えします。B型事業所は、福祉の職場の中では両立しやすいほうです。理由は待遇でも人柄でもなく、夜勤がなく、開所日が平日の日中に固定されているという構造そのものにあります。ただし、職員数が一桁という規模から来る別の負担があり、そこを知らずに入ると「話が違う」ということになります。
これ、知らない人が本当に多いんです。求人票の「土日祝休み、残業ほぼなし」という一行だけを見て応募し、入ってから行事と記録業務で結局帰れない、という相談を何度も受けてきました。この記事では、B型事業所の1日が実際にどう動いているか、事業所のタイプによって両立しやすさがどう変わるか、そして育児中に法律上使える制度を全部並べます。使えるはずの制度を知らないまま辞めてしまう方が本当に多いので、そこは丁寧に書きます。
夜勤がないという構造が、何を意味するか
まず、B型事業所という職場の輪郭を押さえてください。
就労継続支援B型事業所は、障害のある方が雇用契約を結ばずに生産活動に参加し、工賃を受け取る場です。開所時間は事業所によって幅がありますが、利用者が通所してくる時間帯は概ね9時30分から15時30分の間に収まります。職員の勤務は8時30分から17時30分といった日勤のシフト1本で、夜勤がありません。これが、特別養護老人ホームやグループホームとの決定的な違いです。
介護施設で子育てと両立しようとすると、夜勤免除を申し出るか、日勤専従の枠に入るか、という交渉から始まります。夜勤に入らない職員は手当が付かないぶん収入が下がり、夜勤に入る同僚との間に気まずさが生まれることもある。B型事業所には、そもそもその構造がありません。全員が同じ時間に来て、同じ時間に帰ります。この一点だけで、子育て中の負担はかなり違います。
開所日も安定しています。多くのB型事業所は月曜から金曜の開所で、土日祝日は休みです。年末年始とお盆も休所とするところが大半で、保育園や学校のカレンダーと大きくは外れません。土曜開所をしている事業所もありますが、その場合は平日のどこかで振替休日が入る形が一般的です。
一方で、構造から来る負担もあります。最大のものは、人数の少なさです。定員20人規模の事業所で、職員は常勤換算で4人から6人程度。人員配置基準は職業指導員と生活支援員の合計が利用者数の10分の1以上と定められており、この人数で回しているところに1人でも欠けると、その日の運営が成立しません。子どもの発熱で急に休むとき、大きな組織であれば代替要員が調整されますが、小規模事業所では他の職員が直接その穴を被ります。制度上は堂々と休める。ただ、現場の空気としては休みにくい。この二層構造が、B型事業所で子育てをする難しさの中心にあります。
もう一つ、行事があります。B型事業所は利用者の生活の質を支える役割も担っているため、季節ごとの外出、防災訓練、地域のバザーへの出店、事業所の内覧会などが年間に組まれます。バザーや地域イベントは土日に行われることが多い。年に何回あるのかは、応募の前に必ず確認してください。
子育て中の職員から見た、1日の動き方
時間の流れを、保育園の送迎と重ねて見ていきます。
8時に子どもを保育園に預け、8時30分に事業所に到着。朝礼が15分ほどで、前日の記録の読み合わせと、体調を崩している利用者の申し送りをします。9時前後から送迎車が出発し、9時30分ごろまでに利用者が順次到着。到着した方から検温と表情の確認をして、10時に作業開始です。10時30分に休憩、12時から昼食、13時から午後の作業。この時間帯に個別面談が組まれることもあります。15時に作業を終えて片付けと送迎に入り、16時前後に利用者が全員帰ります。
問題はここからです。16時から17時30分までの1時間半に、その日の業務のうち事務作業が全部詰め込まれています。ケース記録の入力、業務日誌、工賃の計算、実績記録票の確認、受注先への連絡、そして週に1回か2回の会議。この時間帯が、子育て中の職員にとって最大の関門になります。
短時間勤務制度を使って16時に退勤する場合、記録を書く時間が確保できません。そのため、フルタイムの職員が記録を引き受けるか、日中の作業中に交代で記録を書く運用にするか、どちらかの調整が必要になります。ここを事業所として設計していないと、短時間勤務の職員が「仕事を残して帰る人」に見えてしまい、居心地が悪くなります。面接で「時短勤務の方は記録をいつ書かれていますか」と聞いてみてください。制度があるかどうかではなく、運用が設計されているかどうかが分かります。
お迎えの時間も逆算しておきましょう。17時30分に退勤して保育園に18時到着、という組み方は、記録が押した日に必ず破綻します。延長保育の枠を確保しておくか、そもそも17時退勤で調整できる事業所を選ぶか。私の相談実務でも、通勤時間を10分短くするより、退勤時刻を30分早める交渉のほうがはるかに効果があります。
送迎業務を担当するかどうかも、大きな分かれ目です。送迎の運転を職員が持ち回りで担当する事業所では、朝の出発が8時前になることがあります。逆に、送迎を外部委託しているか専任のドライバーを雇用している事業所であれば、始業は8時30分のままです。求人票の業務内容に「送迎業務あり」と書かれていたら、担当の頻度と出発時刻を確認してください。
事業所のタイプで、両立しやすさは変わる
「B型事業所」とひとくくりにされますが、生産活動の中身によって働き方はかなり違います。
軽作業型は、部品の組み立て、袋詰め、封入、値札付けといった受注作業が中心です。作業内容の負荷は軽く、力仕事はほとんどありません。ただし納期があるため、月末や繁忙期に残業が発生することがあります。受注先が1社に集中している事業所ほど、その会社の繁忙期に引きずられます。
農作業型と食品製造型は、身体的な負担が大きくなります。農作業は屋外で、夏場の暑さ対策が必要です。パンや菓子の製造は朝が早く、仕込みのために7時台の出勤を求められる事業所もあります。子どもの朝の支度と重なるため、両立の難易度は上がります。
清掃請負型は、外部の施設に出向いて作業をするため、移動が発生します。現場が複数ある場合は、その日によって集合場所が変わることもある。保育園の送りとの接続が読みにくくなります。
そして、近年増えているのがパソコン作業を中心とした事業所です。
西国分寺駅徒歩1分。新しくオープンした就労継続支援B型事業所「Mana-Viva(マナビバ)」は、 パソコン作業を中心に、データ入力やライティング、デザイン・動画編集などに取り組める事業所です。 静かで落ち着いた環境の中で、自分のペースでスキルを磨きながら、 将来の一般就労を目指してステップアップしていけます。 出典: ibasho.group
この型の事業所は、駅から近い場所に開設される傾向があり、屋内での作業が中心です。力仕事がなく、納期も比較的コントロールしやすい。データ入力やデザインの実務経験がある方であれば、その経験がそのまま支援に活きます。子育てとの両立という観点では、現時点で最も条件が整いやすいタイプです。ただし開設数がまだ少なく、都市部に偏っている点は押さえておいてください。
法人の規模も効いてきます。1事業所だけを運営している法人は、制度の整備が後回しになりがちです。育児休業の取得実績がゼロという事業所も珍しくありません。複数事業所を展開している法人であれば、就業規則が整備されており、育休から復帰した前例もある。人間関係の濃さという点では小規模のほうが温かいこともありますが、制度面では規模の大きい法人に分があります。
育児中に使える制度を、全部並べる
ここが一番お伝えしたい部分です。法律上使える制度を、知らないまま働いている方が本当に多い。就業規則に書かれていなくても、育児・介護休業法に定められた権利は使えます。つまり、事業所が「うちにはそんな制度はない」と言っても、法律のほうが優先します。
短時間勤務制度は、3歳に満たない子を養育する労働者が対象で、1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を、事業主は講じなければなりません。これは努力義務ではなく義務です。8時間勤務の事業所であれば、9時から16時といった形に組み替えられます。
所定外労働の制限、つまり残業をさせないでほしいという請求は、従来3歳未満の子が対象でしたが、2025年4月から小学校就学前まで対象が広がりました。B型事業所の夕方の記録業務が残業になっている場合、この請求が直接効きます。
子の看護休暇も、同じく2025年4月に大きく変わりました。名称が「子の看護等休暇」となり、対象が小学校3年生修了まで拡大されています。取得できる事由も、病気やけが、健康診断に加えて、感染症に伴う学級閉鎖、そして入園式や卒園式といった行事への参加が追加されました。日数は子1人につき年5日、2人以上なら年10日で、時間単位での取得が可能です。年次有給休暇とは別枠である点が重要です。有給を全部使い切ってから休んでいる方がいますが、順番が逆です。
時間外労働の制限は、小学校就学前の子を養育する労働者が請求でき、月24時間、年150時間を超える時間外労働が制限されます。深夜業の制限も同様に、小学校就学前まで請求できます。B型事業所に深夜業はまずありませんが、法人が他の事業も運営している場合に意味を持つことがあります。
さらに2025年10月からは、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対して、柔軟な働き方を実現するための措置を、事業主が複数の選択肢の中から2つ以上講じる義務が加わりました。始業時刻の変更、テレワーク、養育両立支援休暇、保育施設の設置運営、短時間勤務といった選択肢の中から事業主が決め、労働者はそのうち1つを選べる形です。小規模法人ではまだ対応が追いついていないところもあるので、面接時に「2025年10月の改正への対応はどうされていますか」と聞くと、その法人の姿勢が分かります。
パートタイムや有期雇用で働く場合の取扱いも押さえておいてください。育児休業は、期間の定めのある労働契約であっても、子が1歳6か月に達する日までに契約が満了し、更新されないことが明らかである場合を除いて取得できます。「パートだから育休は取れない」というのは、多くの場合で誤りです。※個別の契約内容によって判断が変わるため、迷ったら都道府県労働局の雇用環境・均等部に相談してください。相談は無料で、匿名でも受け付けています。制度の詳細は厚生労働省のサイトで確認できます。
時間の壁と、収入の壁
制度の次は、お金の話です。扶養の範囲で働くのか、それを超えて働くのかで、選ぶ事業所も変わります。
社会保険の加入義務は、週の所定労働時間が正社員の4分の3以上であれば発生します。それを下回る短時間労働者でも、勤務先の従業員数が51人以上で、週20時間以上、月額賃金8.8万円以上、2か月を超える雇用見込み、学生でない、という条件をすべて満たすと加入対象になります。この企業規模の要件は段階的に引き下げられてきており、今後さらに範囲が広がる方向です。
ここでB型事業所の特性が効いてきます。1事業所だけを運営する法人であれば、従業員数は10人前後です。つまり、短時間勤務で働く場合、社会保険の適用対象にならないことが多い。配偶者の扶養に入ったまま働きたい方にとっては都合がよく、逆に自分で年金と健康保険を積み上げたい方にとっては不利になります。複数事業所を展開する法人であれば従業員数が51人を超えるため、扱いが逆転します。どちらが良いということではなく、自分がどちらを望んでいるかを先に決めてから求人を見るべきだ、ということです。
雇用保険は、週20時間以上で31日以上の雇用見込みがあれば加入します。育児休業給付を受けるには雇用保険の被保険者であることが前提なので、将来的に第2子を考えている方は、この20時間のラインを意識しておいてください。
いわゆる130万円の壁は、被扶養者の認定基準です。年収がこれを超えると配偶者の健康保険の扶養から外れます。106万円のほうは、先ほどの月額8.8万円を年額に換算した目安で、勤務先の規模要件を満たす場合に適用されます。壁の手前で働き方を調整する場合、B型事業所の時給水準であれば週3日から4日、1日5時間程度が一つの目安になります。
福祉分野の給与には、処遇改善加算が反映されます。求人票の月給に加算分が含まれているのか別途支給なのかで手取りが変わるため、提示額が相場から外れていないかを確認しておくと安心です。職種別の年収と単価の分布をまとめた介護職員の年収・単価相場では、雇用形態や地域による幅も含めて確認できます。面接前に一度見ておくと、提示された条件を判断する基準ができます。
求人票と面接で、両立できるかを見極める
ここまでの内容を、求人票の読み方に落とし込みます。
まず「残業ほぼなし」の実態です。B型事業所の残業は、夕方の記録業務と、月末の工賃計算、そして行事の準備で発生します。求人票の文言ではなく、「記録は勤務時間内に書き終わりますか」という具体的な質問で確認してください。答えが「みんな協力してやっています」であれば、実態としては残業があります。
次に、送迎業務の有無と担当頻度です。「送迎業務あり」とだけ書かれている場合、週に何回担当するのか、出発は何時なのかを必ず聞いてください。
行事の回数も重要です。年間行事予定表を見せてもらえるか聞いてみてください。快く見せてくれる事業所は、労務管理が整っている可能性が高い。土日の行事が年に5回以上ある場合は、家庭の予定との調整が毎回発生します。
職員数と定員の比は、急な欠勤のしやすさに直結します。定員20人に対して職員6人の事業所と、3人の事業所では、子どもの発熱で休むときの心理的な負担がまるで違います。
そして、時短勤務と育児休業の実績です。「制度はあります」ではなく「実際に使った方はいらっしゃいますか」と聞いてください。前例があるかどうかで、運用の現実味がまったく変わります。前例がない事業所が悪いわけではありませんが、自分が第1号になる覚悟は必要です。
面接で聞く質問を3つに絞るなら、次の3つを推奨します。「記録は勤務時間内に書き終わりますか」「時短勤務の方の業務はどう調整されていますか」「土日の行事は年に何回ありますか」。この3つで、残業の実態、制度の運用、家庭への影響がほぼ分かります。
急に休むときに、気まずくならないための準備
制度が使えることと、実際に休みやすいことは別だと先ほど書きました。ここを埋める方法を具体的に書きます。職員が5人しかいない職場で当日欠勤するとき、効くのは謝罪の言葉ではなく、事前の準備です。
一番効果があるのは、自分の担当業務を他の人が代われる状態にしておくことです。具体的には3つあります。1つ目が、担当している利用者の方の情報を記録に残しておくこと。「この方は午前中に声をかけると混乱しやすい」「この作業は左側の席でないと集中が続かない」といった、自分の頭の中にしかない観察を、ケース記録の中に書いておく。これがあると、代わりに入った職員がその日を無事に回せます。2つ目が、受注作業の納期と進捗を共有ファイルに書いておくこと。生産活動は納期があるため、担当者が休んだ日に進捗が分からないと、そこで作業が止まります。3つ目が、外部との約束を事業所のカレンダーに入れておくこと。相談支援専門員との面談、受注先への訪問、家族との電話。個人の手帳にしか書かれていない予定は、休んだ瞬間に消えます。
この3つを日常的にやっている職員は、休んでも現場が止まりません。すると、周囲の受け止め方が変わります。狭い職場で気まずさを生むのは、休むこと自体ではなく、休んだあとに発生する混乱です。混乱が起きなければ、休むことは単なる予定変更になります。
もう一つ、事前に伝えておくことも有効です。「今の時期は保育園で感染症が流行っているので、来週あたり休む可能性があります」と朝礼で一言添えておく。予告があるかないかで、急な連絡を受けた側の負担がまるで違います。これは法的な義務ではなく、狭い職場で長く働くための実務的な工夫です。
そして、休んだぶんを取り返そうとしないでください。翌日に残業して埋め合わせようとすると、短時間勤務や所定外労働の制限を請求している意味がなくなります。埋め合わせが必要になる時点で、業務の配分そのものが個人に依存しすぎています。その場合は、管理者に業務配分の見直しを求めるのが筋です。個人の頑張りで穴を埋め続けると、次に誰かが育児で休むときに、同じ無理が求められる前例になってしまいます。
保育園の時期と、小学校に上がってからでは、必要な条件が違う
子育てとの両立を考えるとき、今の状況だけで判断すると、数年後に行き詰まります。段階ごとに何が変わるかを押さえておいてください。
保育園に通っている時期は、預けられる時間が長いことが利点です。延長保育を使えば18時30分や19時まで預かってもらえる園もあり、B型事業所の17時30分終業であれば十分に間に合います。一方で、この時期は感染症をもらってくる頻度が最も高く、年間の欠勤日数が増えます。0歳児から2歳児のクラスでは、月に1回か2回は突発的に休むことを前提にした働き方が必要です。子の看護等休暇の年5日だけでは足りない年も出てきます。
小学校に上がると、状況が反転します。感染症で休む頻度は下がりますが、預かってもらえる時間が短くなります。学童保育の多くは18時前後で終わり、長期休暇中は朝8時30分からの開所というところが多い。すると、B型事業所の8時30分始業との接続が難しくなります。加えて、平日昼間の授業参観、保護者会、個人面談が入ってきます。これらは有給を取るしかない場面ですが、2025年4月の改正で子の看護等休暇の取得事由に行事参加が加わり、対象も小学校3年生修了までに広がったため、使える場面が増えました。
小学校3年生を過ぎると、子の看護等休暇の対象から外れます。この時期には子ども自身が留守番できるようになる一方で、通塾や習い事の送迎が発生します。求められるのは、休みやすさよりも、終業時刻の安定です。
段階が変わるたびに必要な条件が変わるので、今の勤務形態を固定して考えないでください。3歳未満の時期は短時間勤務、就学前は所定外労働の制限、小学校低学年は子の看護等休暇と時間単位の年休、という具合に、使う制度そのものを乗り換えていくのが現実的な運用です。事業所に入る前に、「数年後に勤務時間を変更したくなったとき、相談できますか」と聞いておくと、その後の交渉がしやすくなります。
ブランクからの復帰と、これから積む経験
出産や育児で仕事を離れていた方が、B型事業所を復帰先に選ぶケースは増えています。理由は明確で、無資格でも応募できる求人が一定数あるからです。
生活支援員や職業指導員は、法令上、特定の資格が必須とされているわけではありません。事業所によっては介護職員初任者研修の修了を条件にしているところもありますが、無資格可の募集も存在します。過去に接客業や事務職の経験がある方であれば、その経験を対人支援や作業の段取りに接続して説明できます。実際、前職が製造業や小売業だった方が、生産活動の管理で力を発揮している例は多くあります。
入ってから積み上げるルートも見えています。介護職員初任者研修、実務者研修と進むと、支援の幅が広がります。さらに実務経験を一定年数積むとサービス管理責任者研修の受講要件を満たし、事業所の中核を担う立場になれます。サービス管理責任者は慢性的に不足しているため、資格を得た後の選択肢は大きく広がります。
支援の現場で身につく、相手の話を構造的に聞き取って次の一手を一緒に決める力は、福祉以外の領域でも評価されます。企業や支援機関での相談業務に直結する国家資格であるキャリアコンサルタントは、B型事業所での個別面談の経験が学習の土台になる資格です。また、子どもの成長に合わせて働き方を変えたくなったときのために、在宅や業務委託という形で相談の仕事を請ける道も知っておいて損はありません。どのような依頼があり、どんな条件で取引されているかは職場・転職・キャリア相談のお仕事にまとまっています。
私自身、福祉分野の相談を受け始めた当初に失敗があります。育児中の職員の方から「時短勤務にしたいが言い出せない」という相談を受けたとき、法律上の権利を説明して終わりにしてしまったのです。その方が本当に困っていたのは、自分が早く帰ったぶんの記録を誰が書くのかが決まっていないことでした。権利があることと、現場で実行できることは別です。それ以来、制度の説明をする前に、その事業所で1日がどう回っているかを必ず聞くようにしています。制度は入口で、設計が本体です。
20年この市場を見てきた立場からの観察
フリーランスと在宅ワークの市場を長く運営してきた立場から、1つ加えておきます。
子育てをしながら働き続けた方を長く見てきて分かるのは、続く人は「今の条件で完璧に回そうとしない」という点です。子どもが乳幼児の時期、小学校低学年の時期、中学以降では、必要な時間帯も緊急対応の頻度もまったく違います。同じ働き方を5年続けようとすると、どこかで破綻します。長く続いている方は、数年単位で働き方の形を組み替えることを前提にしている。B型事業所での常勤、時短、パート、そして在宅の業務委託。これらを人生の段階に合わせて行き来している方が、結果的にキャリアを切らさずに済んでいます。
収入の構造についても触れておきます。相談やライティングなどの仕事を仲介経由で請けると、報酬から手数料が差し引かれます。手数料0%で直接つながる形に意味があるのは、金額が跳ね上がるからではなく、手取りが厚くなるぶん1件に使える時間が増えるからです。子育て中は、使える時間の総量が限られています。同じ時間で得られるものが厚いかどうかは、そのまま生活の余裕に直結します。運営者として見てきた限りでは、この点を早い段階で意識した方ほど、育児期を無理なく通過しています。
B型事業所は、子育てと両立できる職場です。ただし、それは構造がそうなっているというだけで、制度の運用まで整っているかは事業所ごとに違います。使える制度は法律が保障しているので、遠慮せずに使ってください。法律はあなたの味方です。そのうえで、運用が設計されている事業所を選ぶこと。この2つが揃えば、無理なく長く働けます。
よくある質問
Q. 就労継続支援B型事業所に夜勤はありますか?
ありません。B型事業所は通所型のサービスで、利用者が通ってくる時間帯は概ね9時30分から15時30分の間です。職員の勤務も8時30分から17時30分といった日勤のシフト1本が基本で、土日祝日は休所とする事業所が大半です。夜勤免除の交渉が不要な点が、入所系の介護施設との大きな違いです。
Q. 子どもの急な発熱で休みたいとき、有給を使うしかありませんか?
子の看護等休暇が使えます。2025年4月の改正で対象が小学校3年生修了まで広がり、日数は子1人につき年5日、2人以上なら年10日で、時間単位でも取得できます。年次有給休暇とは別枠です。取得事由には感染症に伴う学級閉鎖や、入園式などの行事参加も含まれます。
Q. パート勤務でも育児休業は取得できますか?
多くの場合で取得できます。期間の定めのある労働契約であっても、子が1歳6か月に達する日までに契約が満了し更新されないことが明らかである場合を除き、育児休業の対象になります。「パートだから取れない」という説明は誤りであることが多いので、疑問があれば都道府県労働局の雇用環境・均等部に無料で相談してください。
Q. 両立しやすい事業所は、求人票のどこで見分けますか?
残業の実態、送迎業務の担当頻度、土日の行事回数、職員数と定員の比の4点です。特に「記録は勤務時間内に書き終わりますか」「時短勤務の方の業務はどう調整されていますか」の2問は、制度の有無ではなく運用が設計されているかを判断できるため、面接で必ず確認してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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