就労移行支援事業所で派遣として働く|直接雇われる場合との差と、合う場面


この記事のポイント
- ✓就労移行支援事業所の派遣求人は
- ✓支援の中核ではなく周辺業務と訓練講師が中心です
- ✓直接雇用との違いを待遇・権限・期間制限の観点で比較し
就労移行支援事業所で派遣として働けるのか。結論から言うと、働けます。ただし、募集の中身は「支援員として利用者を担当する仕事」ではなく、事務、訓練講師、送迎といった周辺の業務が中心です。ここを理解せずに応募すると、期待と実際の業務が噛み合いません。
もう1つ先に書いておくと、派遣という形を選ぶことには、はっきりした利点があります。福祉未経験の人が業界の実態を見るには、実は最も低リスクな入り方です。一方で、支援の専門性を積み上げたい人には向きません。この記事では、就労移行支援事業所という職場の中で派遣職員がどう位置づけられているのかを、制度と実務の両面から整理します。
派遣で入れるのは、支援の中核以外が中心になる
まず、なぜ「支援員として派遣で働く」という求人が少ないのか。理由は制度にあります。
就労移行支援事業所は、指定基準によって人員配置が決められています。職業指導員と生活支援員を合わせて利用者数の6分の1以上、就労支援員を利用者数の15分の1以上、さらにサービス管理責任者と管理者。この基準を満たさないと指定を受けられず、給付費が入りません。つまり事業所にとって、配置基準を満たす職員は経営の根幹です。
そして、この配置基準に数える職員を派遣労働者で充てられるかどうかは、自治体によって取扱いが分かれます。雇用契約を事業者と結んでいることを求める指定権者が多く、派遣では算入できないと案内されるケースが一般的です。正直なところ、この点の全国統一ルールが明示されていないのは分かりにくいと思います。応募を検討している事業所が派遣職員をどう位置づけているかは、派遣会社の担当者を通じて確認しておくべき項目です。
その結果、就労移行支援事業所の派遣求人は、次の4種類に集中します。
1つ目が、事務職です。請求業務、実績記録票の整理、電話対応、備品管理、来客対応。事業所の運営には事務作業が大量に発生しますが、配置基準に含まれない職種なので、派遣で埋めやすい。求人数としても最も多い区分です。
2つ目が、訓練プログラムの講師です。就労移行支援のプログラムには、パソコンの操作訓練、デザインや動画編集、簿記、ビジネスマナーといった科目があります。これらを外部の専門家に週1回から2回担当してもらう形は珍しくなく、派遣や業務委託で入ることがあります。
3つ目が、送迎ドライバーです。就労移行支援では送迎を実施していない事業所も多いのですが、実施している場合は運転業務だけを切り出して募集されます。
4つ目が、紹介予定派遣です。これは最終的に直接雇用に切り替わる前提の派遣で、支援員として募集されることがあります。最長6か月の派遣期間を経て、双方が合意すれば直接雇用になります。支援の仕事を派遣という形から始めたい人にとっては、これが最も現実的な入口です。
派遣職員が、1日の中でどう動いているか
制度の話だけでは実感が湧かないので、事業所の1日の中で派遣職員がどこにいるかを具体的に書きます。
朝8時30分から9時にかけて職員が出勤し、朝礼があります。事務職の派遣であっても、この朝礼には参加するのが一般的です。その日の欠席連絡、来客予定、外勤の予定を共有するためです。
9時30分から10時にかけて利用者が通所し、10時から午前のプログラムが始まります。この時間帯、事務職の派遣は事務室で請求データの処理や電話対応をしています。訓練講師として入っている場合は、この時間にフロアで授業を担当します。
12時に昼食。ここで1つ、派遣として働く上での実務的な差が出ます。直接雇用の支援員は利用者と同じ空間で昼食をとることが多いのに対し、事務職の派遣は事務室で休憩を取ることが一般的です。人によっては、これを気楽だと感じますし、逆に疎外感を覚える人もいます。
13時から午後のプログラム、15時から15時30分ごろに終了。そこから17時30分前後まで、直接雇用の職員は記録の入力、個別支援計画の作成、企業への連絡、会議に入ります。この時間帯こそが、直接雇用と派遣の差が最も大きく出る場面です。個別支援計画の作成とモニタリングは、サービス管理責任者と担当職員が担う業務であり、派遣職員は原則として関われません。会議に出席するかどうかも、契約内容によって分かれます。
つまり、派遣職員は「日中の運営を回す部分」には深く関わりますが、「支援の設計と評価」からは外れた位置にいます。これが良いか悪いかは、何を求めて入るかによります。定時で帰れる働き方を求めるなら利点ですし、支援の中核に関わりたいなら物足りません。
直接雇用と派遣で、何がどう変わるか
7つの観点で比較します。それぞれ、判断に直結する差です。
雇用主が違います。派遣は派遣会社と雇用契約を結び、指揮命令は事業所から受けます。つまり、給与の交渉相手も、有給休暇の申請先も、契約更新の相談先も、すべて派遣会社です。事業所の管理者に直接交渉しても話が進みません。この二重構造を理解していないと、揉めます。
給与の形が違います。直接雇用は月給制が中心で、賞与があります。派遣は時給制が中心で、賞与は原則ありません。ただし、時給水準は同じ地域の直接雇用より高めに設定されることが多く、短期で見れば手取りが上回ることもあります。長期で見ると、賞与と退職金の差で逆転します。
処遇改善の加算が届かない点も重要です。障害福祉サービスには職員の処遇改善のための加算が設けられていますが、これは事業所に雇用されている職員に配分されるものです。派遣労働者は事業所に雇用されていないため、原則としてこの加算の対象外になります。同じ仕事をしていても、加算分は受け取れない。この構造は知っておくべきです。
担える業務の範囲が違います。個別支援計画の作成、モニタリング、サービス管理責任者の業務は、派遣では担えません。これは能力の問題ではなく、制度上の役割の問題です。
キャリアの積み上がり方も違います。サービス管理責任者になるには一定年数の実務経験が必要ですが、この実務経験としてカウントされる範囲は業務内容と雇用形態によって判断が分かれます。事務職として派遣で働いた期間は、支援の実務経験にはなりません。
責任の重さが違います。利用者の方に何かあったとき、最終的な責任を負うのは事業所です。派遣職員は業務上の指示に従って動く立場であり、支援方針の決定に責任を持ちません。これは気楽さでもあり、物足りなさでもあります。
そして、辞めやすさが違います。派遣は契約期間が定められており、更新のタイミングで終了できます。直接雇用でも辞められますが、少人数の事業所では引き継ぎの負担が大きく、心理的なハードルが上がります。合わない職場から離脱する自由度は、派遣のほうが明確に高い。
期間の制限と、同一労働同一賃金
派遣で働く上で必ず押さえておくべき法律の枠組みが2つあります。
1つは、期間制限です。労働者派遣法では、同一の事業所で派遣を受け入れられる期間は原則3年までとされています。これが事業所単位の期間制限で、延長には過半数労働組合などへの意見聴取が必要です。加えて、同一の組織単位で同じ派遣労働者が働ける期間も原則3年です。これが個人単位の期間制限です。
つまり、同じ事業所の同じ部署で、派遣として3年を超えて働き続けることは原則できません。例外として、派遣会社に無期雇用されている場合、60歳以上の場合などは期間制限の対象外になります。長く働きたいと考えている場合、この点は契約前に確認しておくべきです。3年後に必ず直接雇用に切り替わるわけではない、という点も誤解が多いところです。
もう1つが、同一労働同一賃金です。2020年4月から、派遣労働者の待遇決定には2つの方式のいずれかを取ることが義務づけられています。派遣先の労働者との均等・均衡を図る方式と、派遣元で労使協定を結ぶ方式です。実務上は後者の労使協定方式が多く採用されています。
この違いは、賃金水準の決まり方に直結します。労使協定方式の場合、厚生労働省が職種ごとに公表する一般賃金水準を下回らない額が基準になります。求人に応募する際、派遣会社がどちらの方式を取っているかを聞いてください。答えられない担当者がいたら、その時点で会社の管理体制を疑っていいと思います。制度の詳細は厚生労働省のサイトで確認できます。
交通費の扱いも、この2つの方式で変わります。労使協定方式では通勤手当を実費支給するか、時給に一定額を含める形が求められます。「時給1,400円、交通費込み」という求人は、後者の形を取っている可能性があります。実質的な時給が下がるので、条件を比較するときは必ず交通費の扱いを揃えてください。
派遣が合う場面と、合わない場面
ここが本題です。フェアに両方書きます。
合う場面の1つ目は、福祉未経験で業界の実態を見たい場合です。就労移行支援事業所は、運営の質にかなりの幅があります。就職実績を出している事業所と、利用者を集めるだけで訓練の中身が薄い事業所が、同じ制度の下に並んでいます。外から見分けるのは難しい。派遣であれば、契約期間を区切って内側から見られます。合わなければ更新しないという出口が最初から用意されている点は、率直に言って大きな利点です。
2つ目は、ブランクからの復帰です。出産や介護、病気で仕事を離れていた場合、いきなりフルタイムの正職員は負荷が高すぎます。週3日や1日6時間といった条件は、派遣のほうが見つけやすい。
3つ目は、専門技能を持っていて、それを訓練プログラムで活かしたい場合です。パソコンやデザイン、簿記の実務経験がある人が、週1回か2回、講師として入る形。本業を持ちながら関われます。
4つ目は、資格取得までのつなぎです。社会福祉士やキャリアコンサルタントの勉強をしながら、現場の空気を知っておく。これは理にかなった使い方です。
一方、合わない場面もはっきりしています。
支援の専門性を積み上げてサービス管理責任者を目指したい人には向きません。実務経験の要件を満たすルートから外れるためです。
利用者の方と長期的な関係を築きたい人にも向きません。就労移行支援の利用期間は原則2年です。派遣の契約が6か月や1年で区切られると、関わりが途中で切れます。訓練から就職、そして定着支援まで伴走する経験は、この仕事の最も大きな手応えです。それを得たいなら、直接雇用を選ぶべきです。
収入の安定を最優先する人にも向きません。契約更新のたびに継続が判断され、賞与も処遇改善加算もない。時給が高くても、年間で見れば逆転することが多い。
派遣の立場でも、守秘義務と通報義務は同じようにかかる
派遣だから責任が軽い、という理解は危険です。ここは正確に押さえてください。
就労移行支援事業所で扱う情報は、障害の状態、通院先、服薬内容、家族関係、過去の職歴と退職理由といった、極めて機微な個人情報です。事務職として請求業務を担当する場合、これらの情報に日常的に触れます。派遣であっても、事業所の個人情報保護の規程に従う義務があり、派遣契約にも秘密保持の条項が入っているのが通常です。契約終了後も義務は続きます。
同じフロアの利用者を街で見かけたときに声をかけない、という実務上の原則も覚えておいてください。本人がサービスを利用していることを、周囲に知られたくないと考えている場合があります。挨拶が悪意なく相手を傷つける場面は、福祉の現場では珍しくありません。
障害者虐待防止法による通報義務も、雇用形態を問いません。事業所内で虐待を疑わせる言動を見たとき、市町村に通報する義務は派遣職員にもあります。そして、通報したことを理由とする解雇その他の不利益取扱いは法律で禁止されています。派遣の場合、不利益を受ける経路は2つあります。事業所から契約を打ち切られる形と、派遣会社から次の仕事を紹介されない形です。どちらも起きてはならないことですが、実際に懸念を感じたときは、派遣会社の担当者ではなく市町村の窓口へ直接連絡してください。
一方で、支援方針の決定に関する責任は負いません。個別支援計画に基づく判断はサービス管理責任者と担当職員の職務であり、派遣職員が独自に判断すべきではありません。利用者の方から進路や体調について相談されたとき、その場で答えるのではなく、担当職員に引き継ぐ。これが正しい動き方です。親切心から答えてしまうと、事業所の方針と食い違って本人を混乱させます。
つまり、情報を守る義務は同じ重さでかかり、判断する権限は持たない。この非対称を理解しておくことが、派遣として働くうえでの土台になります。
就労継続支援A型・B型の派遣求人とは、どう違うか
障害福祉の派遣求人を探していると、就労移行支援以外の事業形態も目に入ります。違いを整理しておくと、選びやすくなります。
就労継続支援B型事業所の派遣求人は、生産活動の作業指導と送迎ドライバーが中心です。部品の組み立て、袋詰め、農作業、食品製造といった作業があり、その工程管理や品質チェックを担う人材が求められます。製造業や品質管理の経験がある人は、この領域で即戦力になります。利用期限がないため、同じ利用者と長く関わる点が就労移行支援との違いです。
就労継続支援A型は、利用者と雇用契約を結ぶサービスです。そのため、労務管理の要素が強くなります。シフト作成、勤怠管理、最低賃金の遵守といった業務があり、事務の派遣求人では給与計算に関わることもあります。一般企業の総務や人事の経験が、そのまま活きる領域です。
就労移行支援は、この3つの中で最も外部との接点が多いサービスです。企業開拓、実習先の調整、就職後の職場訪問。派遣として入る場合でも、事業所の外に出る業務に関わる可能性があります。営業の経験がある人には、この動きが合います。
働きやすさという観点では、どれが優れているとは言えません。B型は納期に追われる時期がある代わりに、業務の輪郭がはっきりしています。A型は労務管理の正確さが求められますが、事務のスキルが評価されます。就労移行支援は業務の幅が広く、裏を返せば契約に書かれていない仕事が発生しやすい。
派遣で入る場合に一番大事なのは、業務範囲が明確かどうかです。その意味では、B型の作業指導やA型の事務は範囲が定義しやすく、就労移行支援は事業所によって差が大きい、という傾向があります。就業条件明示書の業務内容の記載が具体的であるほど、後のトラブルが減ります。ここは求人を横に並べて比較すべき項目です。
時給と条件の、具体的な見方
求人を比較するときの実務的な手順を書きます。
まず、時給の水準です。福祉分野の事務職や支援補助の派遣は、地域によって幅がありますが、都市部で時給1,300円から1,600円程度の募集が中心です。専門性の高い訓練講師であれば、これより高い水準が提示されることもあります。妥当かどうかを判断するには、直接雇用の場合の年収水準と並べてみるのが早い。職種別の年収と単価の分布をまとめた介護職員の年収・単価相場には雇用形態や地域による幅も載っているので、時給に年間の想定労働時間を掛けた額と比較してみてください。賞与がない分をどこまで時給で回収できているかが見えます。
次に、業務内容の記載です。「就労移行支援事業所での事務」と書かれている求人と、「就労移行支援事業所での支援業務」と書かれている求人では、中身がまったく違います。後者の場合、具体的に何をするのかを派遣会社に確認してください。個別支援計画に関わるのか、プログラムの補助なのか、送迎があるのか。曖昧なまま就業すると、契約にない業務を求められる原因になります。
契約期間と更新の見込みも重要です。「3か月更新」と書かれている場合、3年の期間制限の中で何回更新される想定なのかを聞く。紹介予定派遣かどうかも明示されているはずですが、書かれていなければ確認してください。
社会保険の加入条件も確認事項です。週の所定労働時間が正社員の4分の3以上であれば厚生年金と健康保険に加入します。それ未満でも、派遣会社の従業員数が51人以上で、週20時間以上、月額賃金8.8万円以上といった条件を満たせば加入対象です。大手の派遣会社であれば、この規模要件は当然に満たしています。
そして、有給休暇です。派遣であっても、6か月継続勤務して所定労働日の8割以上出勤すれば年次有給休暇が発生します。付与するのは派遣会社です。取得の申請先を間違えないでください。
見落とされやすいのが、教育訓練の扱いです。派遣会社には、雇用する派遣労働者に対して段階的かつ体系的な教育訓練を実施する義務があります。福祉分野の派遣であれば、個人情報の取扱い、障害特性の基礎、記録の書き方といった講座が用意されていることがあります。これらが業務として有給で受けられるのか、自己負担で休日に受ける形なのかを確認してください。有給で受けられる派遣会社を選んだほうが、同じ時給でも1年後に手元に残るものが違います。
もう1つ、契約更新を判断する時期の確認も実務的に重要です。3か月更新の契約であれば、更新の可否は終了の1か月前ごろに打診されるのが通常です。この時期が曖昧なまま進むと、次の仕事を探し始める時期を逃します。契約開始時に、更新の意思確認をいつ行うかを担当者に聞いておいてください。正直なところ、ここを明示できない派遣会社は管理が雑です。
応募する前に、事業所を無料で見る方法がある
就労移行支援事業所には、外部の人が中を見る機会が制度的に用意されています。これを使わない手はありません。
事業所は利用希望者を集めるため、見学会や体験の機会を定期的に設けています。
当社サービスの説明、事業所見学、個別相談を行っています。全体で約1時間。参加は無料です。日によっては当日体験も可能。ご家族、支援者の方の同席もできます。ぜひお気軽にご来所ください。 出典: kaien-lab.com
これは利用希望者向けの案内であり、求職者が利用者として申し込むのは筋が違います。ただ、この種の説明会の存在自体が、その事業所が外部にどれだけ開かれているかを示す指標になります。ウェブサイトで見学の受け入れ方や、プログラムの中身、就職実績をどこまで公開しているか。ここに事業所の姿勢が出ます。情報をほとんど出していない事業所は、内部の運営も同様に不透明である可能性が高い。
プログラムの設計を公開している事業所の例も見ておきましょう。
「やりがいを仕事にする」ための専門カリキュラムを用意し、自己分析などを通して自身の強みと弱みを認識、目標を設定する。また、事務作業などの模擬業務や職場体験を通じて適性職種を見つけ、弱みへの対処法も学ぶ。実施後は、履歴書の作成や面接練習で就職を目指し、就職後は相談に応じるなど、職場への定着をサポート(6ヶ月間)する。 出典: abi.co.jp
ここまで工程が言語化されている事業所であれば、派遣で入っても自分が担当する範囲が明確です。逆に、カリキュラムの説明が「一人ひとりに合わせた支援」しか書かれていない事業所は、実際の業務内容も現場の裁量で流動的になっている可能性があります。派遣の立場では、業務範囲が曖昧であることが直接的な不利益になります。
派遣会社の担当者に、事前の職場見学を設定してもらえるかを聞いてください。断られる場合、その事業所は受け入れ体制が整っていないと判断していい。
派遣から、その先へ進むルート
派遣を入口にした場合、次の3つの進み方があります。
1つ目が、紹介予定派遣、あるいは派遣期間中の評価を経ての直接雇用です。就労移行支援事業所は人材の確保に苦労している分野なので、現場で信頼を得た派遣職員に声がかかることは珍しくありません。ただし、これを当てにして契約するのは危険です。直接雇用の可能性があるかどうかは、契約前に明示的に確認してください。
2つ目が、資格を取得して直接雇用に応募し直すルートです。企業や支援機関での相談業務に直結する国家資格であるキャリアコンサルタントは、就労移行支援の面談業務と内容が重なる部分が多く、派遣として現場を見ながら学ぶと理解が早い。養成講習の受講要件と費用を先に確認しておくとよいと思います。
3つ目が、派遣で得た経験を別の形に展開するルートです。就労移行支援で身につく、相手の状況を整理して次の行動を一緒に決める技術は、福祉の枠外でも通用します。企業や支援機関から出ている相談系の依頼がどんな条件で取引されているかは職場・転職・キャリア相談のお仕事にまとまっているので、働き方の選択肢として把握しておくと、契約更新の判断がしやすくなります。
私自身、編集の仕事を業務委託で受け始めた時期に、契約書の業務範囲を詰めずに始めて失敗したことがあります。「記事の編集」としか書かれていない契約で、途中から企画とライターの手配まで求められた。断る根拠が契約書になかったんです。派遣も同じ構造です。契約に書かれていない業務を頼まれたとき、拒む根拠になるのは契約内容だけです。就業条件明示書は、必ず読んでから就業してください。
20年この市場を見てきた立場からの観察
フリーランスと在宅ワークの市場を長く運営してきた立場から、1つ補足します。
雇用形態を柔軟に選ぶ人が増えている一方で、長く安定している人には共通点があります。雇用形態を目的ではなく手段として扱っている点です。派遣を「正社員になれなかった結果」と捉えている人は、その期間に得た経験を語る言葉を持てません。逆に「業界の内側を見るために期間を区切って入った」と定義している人は、同じ6か月から得るものがまったく違う。
もう1つ、収入の構造についてです。仲介を経由して仕事を請けると、報酬から手数料が差し引かれます。派遣も同じで、事業所が支払う派遣料金と、働く人が受け取る時給の間には差があります。これは派遣会社が社会保険料や教育訓練を負担しているためで、不当なものではありません。ただ、同じ構造を意識したうえで、手数料0%で直接つながる形を選べる仕事がどれくらいあるかを知っておくと、働き方の選択肢が増えます。運営者として見てきた限りでは、複数の入り方を持っている人ほど、条件の悪い契約を断れています。
就労移行支援事業所での派遣は、業界を知るための低リスクな入口として、合理的な選択です。ただし、支援の専門性を積み上げる道ではありません。何のために入るのかを先に決めれば、判断は難しくないと思います。
よくある質問
Q. 就労移行支援事業所に、支援員として派遣で入れますか?
支援員そのものの派遣求人は多くありません。人員配置基準に数える職員は事業者と雇用契約を結んでいることを求める自治体が多いためです。派遣で募集されているのは、事務、訓練プログラムの講師、送迎ドライバーが中心で、支援員として入る場合は紹介予定派遣の形が現実的です。
Q. 派遣と直接雇用で、待遇はどのくらい違いますか?
時給水準は派遣のほうが高めに設定されることが多い一方、賞与と退職金がなく、障害福祉サービスの処遇改善加算も原則として対象外です。加算は事業所に雇用された職員へ配分される仕組みのためです。年間の総額で比較すると直接雇用が上回ることが多いので、時給だけで判断しないでください。
Q. 同じ事業所で、派遣として何年まで働けますか?
原則3年です。労働者派遣法により、同一の事業所で派遣を受け入れられる期間と、同一の組織単位で同じ人が働ける期間が、それぞれ原則3年に制限されています。派遣会社に無期雇用されている場合や60歳以上の場合は対象外です。3年後に自動的に直接雇用へ切り替わるわけではありません。
Q. 派遣として働くのが向いているのは、どんな人ですか?
福祉未経験で業界の実態を確かめたい人、ブランクから段階的に復帰したい人、専門技能を訓練プログラムで活かしたい人、資格取得までのつなぎとして現場を知りたい人です。逆に、サービス管理責任者を目指す人や、利用者の就職から定着まで伴走したい人には向きません。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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