ショートステイを辞めたいと思ったとき|出ていく前に切り分けておくこと

中西 直美
中西 直美
ショートステイを辞めたいと思ったとき|出ていく前に切り分けておくこと

この記事のポイント

  • ショートステイを辞めたいと感じたとき
  • その原因がこの職場固有のものか
  • 短期入所という業務形態そのものによるものかを切り分ける手順をまとめました

「ショートステイ 辞めたい」と検索するとき、多くの人はすでに限界の手前まで来ています。そして検索結果に出てくるのは、辞めるべきか続けるべきかを一般論で説く記事か、転職サービスへの誘導ばかり。いま必要なのはそれではないはずです。

私がカウンセリングの場で最初にやってもらうのは、辞めたい理由を紙に書き出して、2つの箱に仕分ける作業です。1つは「この事業所だから起きていること」の箱、もう1つは「短期入所という仕事の構造上、どこへ行っても起きること」の箱。この仕分けをせずに転職すると、同じ理由で次の職場も辞めることになります。逆に、構造由来だと分かったうえで移るなら、次に選ぶ職場の条件がはっきりします。

この記事では、ショートステイで辞めたいと感じる原因を1つずつ取り上げ、それがどちらの箱に入るのか、そして箱ごとに何ができるのかを書きます。結論を先に言えば、多くの人が「自分に向いていない」と思っている苦しさの半分以上は、事業所側の運営で解消できるものです。

ショートステイの負担が、どこから来ているのか

まず、ショートステイという職場の構造を確認します。ここを押さえないと、仕分けができません。

短期入所生活介護、いわゆるショートステイは、自宅で生活している要介護者が数日から数週間だけ施設に泊まるサービスです。目的は、利用者本人の生活の維持と、介護する家族の負担軽減。特別養護老人ホームに併設された事業所、単独型の事業所、老人保健施設に併設された短期入所療養介護など、いくつかの形があります。

特別養護老人ホームとの決定的な違いは、利用者が入れ替わることです。特養の入居者は年単位で暮らしますが、ショートステイの利用者は1泊から30日までの間に来て帰ります。同じベッドに、今週と来週で別の人が寝る。この一点が、業務のほぼすべてに影響します。

実際に、きついと感じる理由として挙げられる内容も、ここに集中しています。

「ショートステイがきついと感じる理由は?」という疑問をお持ちの方もいるでしょう。ショートステイは、利用者さんと信頼関係を築くのが難しいことや、転倒リスクがある利用者さんがいることから、負担を感じる職員がいるようです。この記事では、「ショートステイの仕事がきつい」と感じる理由と対処法をご紹介します。ショートステイの仕事に対して不安や悩みを抱えている方は、ぜひ参考にしてください。 出典: job.kiracare.jp

信頼関係を築きにくいこと、転倒のリスクが読めないこと。この2つは、利用者が入れ替わるという構造から直接出てきます。つまり構造由来の箱に入る。事業所を変えても、ショートステイである限りついて回ります。

一方で、同じ「きつい」の中には、構造とは関係のないものも混ざっています。人員配置が薄い、記録の様式が複雑すぎる、申し送りの時間が取れていない、教育の仕組みがない。これらは事業所の運営の問題であり、別の事業所なら違います。

辞めたいという気持ちは、たいていこの2種類が混ざった状態で来ます。混ざったままだと「介護が向いていない」という結論にたどり着きやすい。分けることで初めて、次の選択肢が見えます。

構造から来る負担1:利用者が短期間で入れ替わる

最も根の深い負担から見ていきます。

ショートステイの仕事がきついと感じる理由として、利用者さんが短期間で入れ替わることが挙げられます。また、入所件数が多いことや夜勤に1人で対応することなどを、きついと思う場合もあるようです。 出典: job.kiracare.jp

利用者が入れ替わることの何がきついのか。3つに分解できます。

1つは、情報を覚え直し続けることです。特養なら、入居者30人の食事形態、移乗の方法、トイレの間隔、飲んでいる薬、家族との関係を一度覚えればしばらく使えます。ショートステイでは、これが週単位で入れ替わる。定期利用の常連もいますが、初めて来る人も毎週います。頭の中の情報が更新され続ける負荷は、外から見えにくいわりに大きい。

2つは、リスクが読めないことです。初めて来た利用者が、自宅でどう動いていたかは書類上の情報でしか分かりません。「見守りで歩行可」と書いてあっても、環境が変わった初日の夜に転倒することがあります。認知症のある利用者は、場所が変わることで混乱が強く出る。この読めなさが、常に気を張る状態を作ります。

3つは、関係が育たないことです。介護の仕事を選んだ人の多くは、人との関係の中にやりがいを見つけています。名前を覚えてもらう、少しずつ心を開いてもらう、家族から感謝される。ショートステイでは、それが育つ前に帰ってしまう。ここに寂しさを感じるのは、感受性が豊かだからであって、向いていないからではありません。

この3つに、事業所を変えて対処することはできません。ではどうするか。

情報の負荷については、事業所側の仕組みでかなり軽くできます。利用者ごとの情報が1枚にまとまったシートがあるか、それが定期利用者については前回の記録を引き継いだ形になっているか。この仕組みがある事業所と、毎回ケアマネジャーから届く書類の束を各自で読む事業所とでは、負担がまるで違います。これは「事業所由来」の箱に入る部分です。

リスクについては、初日の対応を標準化しているかどうかが分かれ目です。初回利用者は必ず居室を職員の目が届く場所にする、初日の夜間は巡回の回数を増やす、といったルールがあるか。ルールがなく個人の注意力に任せている事業所は、事故が起きたときに職員個人が責められます。※介護事故の責任は本来、体制を整える事業者側にあります。個人の不注意として処理される職場は、構造的な問題を抱えています。

関係が育たない点については、見方を変える余地があります。ショートステイの本当の利用者は、本人と家族の両方です。家族が数日休めることで、自宅での介護が続く。目の前の利用者との関係は短くても、その人の在宅生活を支えているという枠組みで捉え直すと、意味の置き場所が変わります。これは気休めではなく、制度上そう設計されているという事実です。

構造から来る負担2:夜勤1人体制と、入退所の事務

次に、夜勤です。

ショートステイの夜勤は、1人で担当することが少なくありません。単独型の小規模事業所では、利用者20人を1人で見る夜勤が普通にあります。特養併設型なら、特養の夜勤者と協力できる場合もありますが、それぞれの持ち場を離れられないため、実質1人であることに変わりはない。

夜勤の負担は、身体の疲れより判断の重さから来ます。利用者の状態が急変したとき、救急車を呼ぶか、オンコールの看護師に連絡するか、朝まで様子を見るか。初めて来た利用者で、普段の状態が分からない場合、この判断はさらに難しくなります。相談できる相手が建物内にいない状態で、この判断を毎晩背負う。私が相談を受けてきた中で、夜勤が理由で辞めたいと言う人の多くは、体力ではなくこの緊張を訴えていました。

夜勤について確認すべきなのは、オンコール体制が実際に機能しているかです。電話がつながるか、判断を引き取ってくれるか、必要なら来てくれるか。名目上はオンコールがあっても、電話に出ない、判断を現場に押し返す、という運用の事業所があります。これは事業所由来の問題であり、変えられます。

もう1つの構造的負担が、入退所に伴う事務です。

ショートステイは利用者が入れ替わるたびに、書類が発生します。入所時の持ち物の確認と記録、薬の確認と預かり、居宅のケアマネジャーから届いた情報の読み込み、滞在中の記録、退所時の持ち物の返却と記録、家族への報告、そして居宅のケアマネジャーへの情報提供。20人の事業所で週に15人が入れ替われば、この一式が週15回発生します。

特養なら年に数回しか起きない事務が、毎週何度も起きる。これがショートステイの見えにくい負担の正体です。しかもこの事務は、利用者のケアの合間に行うことになります。記録を書く時間が勤務時間内に確保されていない事業所では、必然的にサービス残業か、記録の手抜きのどちらかが起きます。

※記録の作成時間は労働時間です。勤務終了後に無給で記録を書かせる運用は労働基準法上の問題があります。改善されない場合は、各都道府県の労働局に設置された総合労働相談コーナーに無料で相談できます。制度の概要は厚生労働省のサイトで確認できます。

事業所由来の負担を見分ける6つの質問

ここまでで構造由来の負担を見てきました。ここからは、自分の職場が抱えている問題が事業所由来かどうかを判定する質問を挙げます。自分の職場に当てはめて考えてみてください。

1つ目、記録を書く時間は勤務時間内に確保されていますか。確保されていないなら、それは事業所の運営設計の問題です。他の事業所では確保されています。

2つ目、初回利用者への対応にルールがありますか。居室の配置、初日の巡回頻度、情報共有の方法。個人の判断に任されているなら、事業所由来です。

3つ目、申し送りの時間がシフトに組み込まれていますか。勤務時間の外で行われている、あるいはそもそも口頭のやり取りだけで済ませているなら、事業所由来です。

4つ目、夜勤時のオンコールは実際につながりますか。つながらない、判断を押し返されるなら、事業所由来です。

5つ目、新人が入ったときの教育の手順はありますか。「見て覚えて」で済まされているなら、事業所由来です。この点は、あなた自身が新人でなくても影響します。教育の仕組みがない職場は人が定着せず、常に人手不足が続くからです。

6つ目、人員配置は基準を満たしていますか。短期入所生活介護の人員基準では、利用者3人に対して介護職員または看護職員を1人以上配置することが定められています。常に欠員が出ている状態が続いているなら、それは現場の努力で埋める話ではありません。

6つのうち3つ以上が当てはまるなら、あなたが感じている苦しさの大部分は事業所由来です。そして事業所由来の問題は、別の事業所に移れば解消します。「介護が向いていない」ではなく「この職場の運営が整っていない」というのが正確な診断です。

人間関係が理由のときは、さらに細かく分ける

辞めたい理由として最も多く挙がるのが人間関係です。ただ、この言葉は大きすぎて、そのままでは対処ができません。もう1段細かく分けます。

1つ目は、特定の個人との関係です。特定の先輩から強い言い方をされる、特定の職員と組むと業務が回らない。この場合、対象がはっきりしているので、シフトを分けてもらう、担当ユニットを変えてもらうといった調整が可能です。相談先は直属の上司ですが、上司本人が相手である場合は、その上の管理者か法人の本部に上げます。

2つ目は、職員集団全体の空気です。誰か1人ではなく、職場全体が余裕を失っていて、言葉が荒くなっている。この状態は、ほぼ例外なく人員不足が背景にあります。人が足りず、記録の時間もなく、休憩も取れない。そこで人間関係が良好であるほうが難しい。つまりこれは人間関係の問題ではなく、運営の問題が人間関係の形で現れているだけです。この場合、個人の努力で改善することはまずありません。

3つ目は、指導や注意の受け取り方です。これは自分側の状態とも関係します。疲労が蓄積していると、通常の指摘が攻撃として聞こえるようになります。以前は気にならなかった言葉が刺さるようになったなら、関係が変わったのではなく自分の余力が減っている可能性があります。この場合に必要なのは転職ではなく休養です。

4つ目は、ハラスメントに該当する行為です。人格を否定する発言、無視、過大または過小な業務の割り当て、私的なことへの立ち入り。これらが継続的に行われている場合、我慢で対処すべきものではありません。事業主にはハラスメント防止のための措置を講じる義務があり、相談窓口を設けることが求められています。※社内の窓口が機能しない場合は、各都道府県の労働局に設置された総合労働相談コーナーに無料で相談できます。まず記録を残してください。日付、場所、発言内容、同席者。記録があるかどうかで、その後の扱いがまったく違います。

ショートステイに特有の事情として、利用者の家族との関係も人間関係の一部に入ります。数日だけ預ける家族は、本人の様子を細かく知りたがります。「持ち物が汚れていた」「表情が暗かった」といった指摘が、退所時に直接こちらへ来る。入所施設のように日常的な関係ができていない分、短いやり取りの中で不信を持たれることがあります。これは職員個人の落ち度ではなく、短期利用という形態から生じる摩擦です。家族対応の窓口が生活相談員に一本化されている事業所なら負担は減りますし、現場の職員が直接受けている事業所なら負担は増える。ここも事業所由来の箱に入る部分です。

この4つのうちどれなのかを特定してから動いてください。1つ目なら調整、2つ目なら移籍、3つ目なら休養、4つ目なら相談窓口。打つ手が全部違います。「人間関係がつらい」で止めている限り、どれも打てません。

辞める前に試せる、3つの現実的な手

すぐ辞めるという選択の前に、試せることを3つ挙げます。どれも実行可能な範囲の話です。

1つ目は、担当業務の配分を相談することです。夜勤の回数を減らす、入浴介助の担当を交代制にする、記録の様式を簡略化してもらう。これらは事業所の裁量で変えられることです。相談するときは「つらいので減らしてほしい」ではなく、「夜勤を月4回から2回にしていただけないか、その分日勤を増やして総労働時間は維持したい」というように、具体的な数字と代案を添えてください。数字のある要望は検討されます。感情だけの訴えは受け流されます。

2つ目は、記録して残すことです。何が起きて、自分がどう感じたかを、日付つきで書き留める。これには2つの効果があります。1つは、後で読み返したときに「毎日つらい」のではなく「特定の曜日や特定の場面でつらい」ことが見えてくること。原因が絞れれば対処の方法も絞れます。もう1つは、事業所と交渉することになったとき、あるいは体調を崩して休職する必要が出たときに、客観的な記録が残っていることです。※産業医や医療機関に相談する際も、経過の記録があると状況を正確に伝えられます。

3つ目は、体調の変化を専門家に見てもらうことです。眠れない、食欲がない、休日も仕事のことが頭から離れない、動悸がする。こうした症状が2週間以上続いているなら、辞めるかどうかを考える前に、まず受診してください。判断力が落ちている状態で進路を決めると、後悔する決定をしやすくなります。従業員数50人以上の事業場には産業医が選任されており、相談できます。50人未満の事業場でも、地域産業保健センターが無料で相談に応じています。

この3つを試したうえで変わらないなら、そのときは移る判断でよいと思います。試さずに辞めると、次の職場でも同じ手を打たないまま同じところに戻ります。

補足として、相談する相手の順番も書いておきます。まずは同じ立場の同僚ではなく、シフトを決める権限を持っている人に話してください。同僚に愚痴を言うことで一時的に楽にはなりますが、業務の配分は変わりません。権限のある相手に、具体的な数字と代案を添えて話す。これが唯一、現実を動かす経路です。上司に話しても動かなかった場合は、さらに上の管理者か法人の本部に上げます。事業所の中で解決しない問題が、法人全体で見れば人事異動で解決することは珍しくありません。複数の事業所を運営している法人なら、同じ法人内の別事業所への異動という選択肢もあります。退職を申し出る前に、その可能性を聞いてみる価値はあります。

移るなら、次にどこを選ぶか

事業所由来だと分かったうえで移る場合、次に見るべき条件を挙げます。

ショートステイを続けるなら、特養併設型か単独型かを意識してください。併設型は職員数が多く、夜間に他の職員がいる安心感があります。単独型は小回りが利きますが、人員が薄い。求人票の「単独型」「併設型」の表記を確認し、面接で夜間の体制を必ず聞いてください。

ショートステイから離れるなら、入れ替わりの少ない職場が候補になります。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、有料老人ホーム。いずれも入居者が長く滞在するので、情報を覚え直す負荷とリスクの読めなさが大幅に下がります。関係を育てたい人には、こちらのほうが合います。

夜勤そのものを外したいなら、通所系が選択肢です。デイサービス、デイケア、小規模多機能型居宅介護。日中のみの勤務で、夜勤がありません。ただし送迎や入浴介助が集中するため、身体的な負担は別の形でかかります。

面接で確認すべき項目は、上に挙げた6つの質問をそのまま使えます。「記録の時間はシフトに含まれていますか」「新人の教育はどのように進みますか」「夜間のオンコールはどなたが担当されますか」。これらを聞いて丁寧に答える事業所は、運営が整っています。答えを濁す事業所は、いま辞めようとしている職場と同じ構造を持っている可能性が高い。

在職中に転職活動をする場合、退職の意思表示は次の職場が決まってからにしてください。期間の定めのない雇用契約は、申し入れから2週間を経過すれば終了します。就業規則に「1か月前までに申し出ること」と書かれている場合、実務上はそれに従うのが円満ですが、法律上の下限は2週間です。※引き止めが強く、退職できない状況が続く場合は、労働基準監督署や労働局の相談窓口を使ってください。

介護の現場を一度離れて、別の働き方を検討する人もいます。日々の記録、家族への説明、多職種への報告書を毎日書いてきた人は、文章の力が思っている以上に育っています。辞めるかどうかを決める前に、いまの給与が相場のどこにあるかを介護職員の年収・単価相場で確かめておくと、職場を変えれば解決する問題なのかどうかが見えてきます。一人で結論を出しにくいときは、職場・転職・キャリア相談のお仕事にあるような相談の窓口を使って、経験と希望を整理してもらうのも1つの方法です。

続けると決めた人が、明日から使える具体策

この職場で続けると決めた場合に、負担を実際に減らせる方法を挙げます。どれも個人の裁量でできる範囲のことです。

情報の負荷については、自分用の要約シートを作ってください。事業所の正式な記録とは別に、利用者ごとの要点だけを3行にまとめたものです。食事形態、移乗の方法、夜間の注意点。これだけで、勤務開始時に頭に入れる情報量が大幅に減ります。定期利用者については使い回せるので、作り足していけば半年後には資産になります。※このシートには個人が特定される情報を書かず、事業所の外に持ち出さないでください。個人情報の取り扱いは事業所の規程に従います。

初回利用者への警戒については、チェックする項目を固定します。到着時に必ず見る点を3つか4つ決めておく。立ち上がり方、歩幅、会話の受け答え、荷物の扱い方。決めた項目だけを見れば、全部を警戒し続ける必要がなくなります。漠然と気を張るより、疲労がはるかに少ない。

記録については、書く順番を固定してください。人によって書き方が違うと、毎回考えることになります。時系列で書くのか、項目別に書くのか。自分の型を決めて、それに沿って埋める形にすれば、書く速度は上がります。手が速い先輩が何をしているかを一度見せてもらうと、型が手に入ります。

夜勤については、判断の基準を事前に決めておくことを勧めます。どの状態なら救急車、どの状態ならオンコール、どの状態なら様子を見て朝に申し送る。事業所にマニュアルがあるならそれを読み込み、なければ看護師に「こういうときはどうしますか」と平時に聞いておく。夜中に一から考えるのと、決めておいた基準に照らすのとでは、心理的な負担がまるで違います。

休憩については、取れていないなら取れていないと申告してください。休憩時間は労働基準法で定められた権利であり、6時間を超える勤務には45分以上、8時間を超える勤務には1時間以上の休憩を与えることが義務づけられています。取れていない状態が常態化しているなら、それは個人の頑張りの問題ではありません。

最後に、勤務の外側の時間の使い方です。カウンセリングの現場で感じるのは、夜勤を含む不規則な勤務をしている人ほど、休日が回復の時間になっていないということです。眠る時間帯がばらつき、食事の時間も定まらない。完全に規則正しくするのは無理でも、起きる時刻だけは近づける、夜勤明けに寝すぎない、といった調整で体感はかなり変わります。ここは自分でできる数少ない領域です。

市場を20年見てきた立場からの観察

フリーランス・在宅ワーク市場を20年運営してきた立場から、辞めるという判断について書きます。

長く働き続ける人は、我慢強い人ではありませんでした。むしろ、限界に達する前に環境を調整している人です。調整の手段は、業務の配分を相談する、担当を替えてもらう、職場を移る、働く形そのものを変える。手段はいくつあってもよくて、大事なのは「我慢する以外の選択肢を自分が持っている」と分かっていることです。選択肢がないと思い込んだ瞬間に、人は消耗し始めます。

私たちの市場でも、同じことが見えます。仕事が長く続いている人ほど、無理な条件を断り、引き受ける範囲を自分で決めています。断ったら次が来ないと恐れて何でも引き受けた人のほうが、先に潰れていく。中間のマージンが乗らない直接取引では、依頼者は同じ予算でより多くを頼め、受け手の手取りは厚くなります。手数料0%の値打ちは、その厚みがあることで、無理をせずに続けられる関係を作りやすくなる点にあります。

いま辞めたいと思っていることは、あなたの弱さの証拠ではありません。環境と自分が合っていないという信号です。信号を読み違えないために、構造由来と事業所由来を分ける。分けたうえで、続けるか移るかを決める。その順番さえ守れば、どちらを選んでも間違いにはなりません。

よくある質問

Q. ショートステイがつらいのは、自分が介護に向いていないからでしょうか?

その可能性は低いです。利用者が短期間で入れ替わるため情報を覚え直し続けること、初回利用者のリスクが読めないこと、関係が育つ前に帰ってしまうことは、短期入所という業務形態の構造から来ています。加えて、記録の時間が確保されていないなど事業所固有の問題も混ざっているので、まず両者を分けてください。

Q. 夜勤1人体制がつらいとき、まず何を確認すればよいですか?

オンコール体制が実際に機能しているかを確認してください。電話がつながるか、判断を引き取ってくれるか、必要なときに来てもらえるか。名目上あっても機能していない事業所があります。これは事業所固有の問題なので、改善を求めるか、夜間に他職員がいる併設型へ移ることで解消できます。

Q. 退職を伝えるのは、どれくらい前がよいですか?

期間の定めのない雇用契約なら、申し入れから2週間の経過で終了します。就業規則に1か月前と書かれている場合は実務上それに従うのが円満ですが、法律上の下限は2週間です。在職中に活動するなら、次の職場が決まってから意思表示するほうが安全です。

Q. 辞める前に試せることはありますか?

3つあります。夜勤回数や担当業務の配分を、具体的な数字と代案を添えて相談すること。何がつらいかを日付つきで記録し、原因が特定の場面に偏っていないか確かめること。眠れない、食欲がないなどの症状が2週間以上続くなら、判断を下す前に産業医や地域産業保健センターに相談することです。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年4月14日最終更新:2026年9月18日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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