ショートステイで派遣として働く|直接雇われる場合との差と、合う場面

中西 直美
中西 直美
ショートステイで派遣として働く|直接雇われる場合との差と、合う場面

この記事のポイント

  • ✓ショートステイで派遣として働くと
  • ✓直接雇用と何が違うのか
  • ✓時給と年間の受取額の比べ方

ショートステイの求人を探していたら、派遣の募集がやけに多い。

時給も正社員の月給を時間で割った額より高く見える。でも、派遣で入って本当にやっていけるのか、直接雇われたほうが安心なのではないか。

そんなふうに迷っている方から、ご相談をいただくことがよくあります。

大丈夫ですよ。派遣か直接雇用かは、どちらが正しいという話ではありません。いまのあなたの暮らしと、これから何を大事にしたいかで、合うほうが変わります。

この記事では、ショートステイという職場で派遣がどう使われているのか、直接雇われる職員と比べて現場で何が違うのかを、まず整理します。そのうえで、お金の比べ方、派遣で入ったときの最初の1週間、派遣が合う場面と合わない場面、そして派遣会社や求人票で確かめておきたい点をお伝えします。

ショートステイで派遣の募集が多いのはなぜか

最初に、ショートステイという職場の成り立ちから見ていきましょう。

ショートステイは、介護保険のサービス名でいうと「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」です。介護が必要な方が数日から1週間ほど施設に泊まり、その間、ご家族は介護から離れて休んだり、冠婚葬祭や仕事の用事を済ませたりします。

この職場のいちばんの特徴は、利用者さんが毎日入れ替わることです。

特別養護老人ホームなら、同じ方が何年も暮らしています。職員は一人ひとりの好みや体の癖を覚えていき、ケアは少しずつ安定していきます。ところがショートステイでは、今日入所した方が明後日には帰り、その日の午後にはまた別の方が入ってきます。

利用者さんの数も、日によって揺れます。

連休の前やお盆、年末年始は予約が埋まり、平日の真ん中は空きが出ることがあります。定員いっぱいの日と、半分ほどの日で、必要な職員の数が変わるのです。

こうした揺れを、施設は正職員だけで吸収しきれません。忙しい時期に合わせて正職員を増やすと、空いている時期に人が余ります。逆に少なめに抑えると、繁忙期に夜勤が回らなくなります。

そこで、足りない分を派遣でうまく埋める施設が出てきます。特に夜勤は、正職員の負担が偏りやすいところなので、夜勤だけを担う派遣の募集がよく出ます。

もう一つの理由は、介護業界全体の人手不足です。

厚生労働省は、介護職員の必要数が今後も増え続けるという見通しを公表しています。採用しても人が集まらない施設は、急な欠員を派遣会社に頼るしかありません。

つまり、ショートステイで派遣の求人が多いのは「派遣でないと働けない職場だから」ではなく、「日による利用者数の揺れと、人手不足の穴を埋める手段として派遣が便利だから」です。

この背景を知っておくと、求人を見たときに「この施設は派遣に何を期待しているのか」を想像しやすくなります。夜勤の穴埋めなのか、正職員が育つまでのつなぎなのか、それとも慢性的に人が足りないのか。そこが、働きやすさを大きく左右します。

派遣と直接雇用、ショートステイの現場で実際に違うこと

では、同じショートステイで、派遣の職員と直接雇われた職員は、現場で何が違うのでしょうか。

まず押さえておきたいのは、仕組みの違いです。

直接雇用では、あなたと施設が雇用契約を結びます。給料は施設から出て、仕事の指示も施設から受けます。

派遣では、あなたが雇用契約を結ぶ相手は派遣会社です。給料は派遣会社から出ます。一方で、毎日の仕事の指示は、派遣先である施設の職員から受けます。

この違いは、現場ではおおむね次のような形で表れます。

項目 派遣の職員 直接雇用の職員
担当する業務 契約で決めた範囲(食事・入浴・排泄介助、夜勤など) 契約の範囲に加え、委員会や行事の担当なども
入所・退所の受け入れ 補助に回ることが多い 持ち物確認や家族への説明まで担う
会議や研修 参加しないことが多い 参加が前提
困ったときの相談先 施設のリーダーと派遣会社の担当者 施設の上司
契約の見直し 更新のたびに条件を話し合える 年度ごとの人事で決まる

ショートステイならではの違いが出やすいのは、入所と退所の場面です。

入所の日は、ご家族から持ち物を受け取り、衣類に名前が書かれているか、薬が何日分あるか、前回から体の状態が変わっていないかを確かめます。退所の日は、その逆で、服薬や食事の様子、夜の眠り方などをご家族やケアマネジャーに伝えます。

この受け入れと送り出しは、ショートステイのケアの要です。持ち物の取り違えや薬の数え間違いは、そのままご家族との信頼問題になります。そのため、施設によっては「受け入れと送り出しは直接雇用の職員が責任を持つ」と決めているところがあります。

派遣の職員は、そのぶん身体介助や夜勤の見守りに集中できます。責任の重い判断を背負わずに済むのは、気持ちの面ではとても楽です。

ただ、裏返すと、利用者さんの全体像をつかむ場面に立ち会いにくいということでもあります。家族から聞いた「最近、夜中に一度起きてトイレに行くようになりました」という一言を、自分の耳で聞いていない。これが、夜勤で思わぬ場面に出くわす原因になることがあります。

だからこそ、派遣で働くときは、申し送りの記録を読む時間を自分から確保することが大切になります。

お金の比べ方:時給の高さと、1年で受け取る額は別物

派遣を考える方が最初に気になるのは、やはりお金ですよね。

派遣の求人は、時給で見ると直接雇用のパートより高めに出ていることが多いです。地域や資格で差はありますが、都市部の介護派遣では時給1,400円から1,800円ほどの募集をよく見かけます。夜勤は1回あたりの手当を含めて2万円台に届く求人もあります。

ここで、比べ方を一つだけ覚えておいてください。

時給の高さと、1年間に受け取る額は、別のものです。

直接雇用の正職員には、多くの場合、賞与や退職金、住宅手当や扶養手当があります。介護職員には、国の処遇改善の加算を財源にした手当も上乗せされます。月給を時間で割ると派遣より低く見えても、1年間で並べると差が縮まったり、逆転したりすることがあります。

一方の派遣は、賞与や退職金がないか、あっても少ないのが一般的です。その代わり、働いた時間のぶんが時給に反映されやすく、残業代もはっきり出ます。

比べるときは、次の手順でやってみてください。

  1. 直接雇用の求人は「月給×12か月+賞与(前年実績)+年間の手当」で1年分を出す
  2. 派遣の求人は「時給×1か月の勤務時間×12か月+夜勤手当の年間分」で1年分を出す
  3. 両方から、通勤費が自己負担になるかどうかを差し引く
  4. 社会保険に入れるかどうかを確かめる

4つめの社会保険は、見落とされやすいところです。

派遣でも、勤務時間などの条件を満たせば、派遣会社を通じて健康保険と厚生年金に加入します。ここは直接雇用と変わりません。ただ、短い契約を細切れにつないでいると、条件の判断がややこしくなることがあります。契約の前に「この働き方で社会保険に入れますか」と、派遣会社に一度はっきり聞いておきましょう。

もう一つ、派遣には「同一労働同一賃金」のルールがあります。2020年から、派遣会社は派遣先の職員との待遇の差をなくすか、国が示す一般的な賃金の水準以上を払うか、どちらかの方式を取ることになりました。どちらの方式を採っているかは、派遣会社に聞けば教えてもらえます。

市場の相場を落ち着いて見たい方は、介護職員の年収や単価の目安をまとめたページがあります。地域や経験年数による差をつかむのに役立ちます。

介護職員の年収・単価相場

派遣で入るショートステイの1日と、最初の1週間

ここからは、派遣で入ったときに、実際どう過ごすことになるのかをお話しします。

ショートステイの日勤は、朝の申し送りから始まります。夜勤者から、夜間の様子、眠れなかった方、体調が変わった方を聞きます。その日の入所と退所の予定もここで確認します。

午前中は、入浴介助と排泄介助が中心です。ショートステイでは、ご家族から「家では入浴が難しいので、滞在中にお願いしたい」と頼まれることが多く、入浴の予定がぎっしり入ります。

昼食の介助をはさんで、午後は退所の方の送り出しと、入所の方の受け入れが重なります。ここが1日でいちばん慌ただしい時間帯です。

施設によっては、日中の過ごし方にもかなり力を入れています。たとえば、埼玉県川口市のあるショートステイは、次のように紹介しています。

ハーケンハイム川口は「ただ泊まるだけ」のショートステイではありません。毎日、午前午後ともに体操やレク、脳トレ等のプログラムを決めて、お客様に提供しております。また、季節に合わせたミニイベントも実施中です。 出典: enzel.jp

こうした施設では、身体介助に加えてレクリエーションの進行を任されることもあります。派遣の契約書に「レクリエーション補助」と書かれているかどうかは、事前に見ておくと安心です。

最初の1週間は、焦らなくて大丈夫です。

私がご相談を受けてきた中で、派遣でショートステイに入った方がつまずきやすいのは、介護の技術そのものより「その施設のやり方」でした。おむつをどの棚に置くのか、記録はどの端末に入れるのか、ナースコールが鳴ったら誰が出るのか。こうした細かな決まりは、施設ごとに違います。

私自身も、はじめての職場に入ったときは、トイレの場所より先に「困ったら誰に聞けばいいか」を確かめるようにしていました。場所は一度で覚えられますが、聞ける相手がいないと、ずっと緊張が抜けないからです。

最初の1週間でやっておきたいのは、次の3つです。

・その日のリーダーの名前を、勤務の始まりに必ず確認する ・利用者さんの一覧で、転倒の危険が高い方と、食事の形態が特別な方に印をつける ・分からなかったことをメモし、帰る前にまとめて一度だけ聞く

3つめは、気持ちの負担を減らすためにも効きます。仕事の途中で何度も聞くのは気が引けますよね。まとめて聞けば、相手も答えやすくなります。

派遣が合う場面

ご相談を受けていて、派遣がうまくはまっていると感じるのは、次のような場面です。

介護の仕事にブランクがあり、慣らしから始めたいとき

子育てや家族の介護で数年離れていた方は、いきなり正職員として委員会や行事の担当まで背負うと、気持ちが追いつかないことがあります。

派遣なら、身体介助や見守りといった仕事の中心に絞って、体と勘を少しずつ戻していけます。数か月たって「やっぱりこの仕事が好きだ」と思えたら、そこから直接雇用を考えても遅くはありません。

夜勤だけ、または週に数日だけ働きたいとき

ショートステイの夜勤専従の派遣は、日中に別の用事がある方に選ばれています。月に数回の夜勤で、ある程度まとまった収入を得たいという方には、無理のない形です。

ただし、夜勤明けの体の戻り方には個人差があります。最初は月に4回ほどから始めて、体の様子を見ながら増やすのがおすすめです。

いくつかの施設を見てから、腰を落ち着けたいとき

ショートステイは、併設の特養があるか、単独の建物か、ユニット型か従来型かで、雰囲気がまるで違います。外から見ただけでは分かりません。

派遣で入れば、その施設の人間関係や忙しさを、内側から確かめられます。

紹介予定派遣で、直接雇用を前提に試したいとき

紹介予定派遣は、派遣期間のあとに、あなたと施設の双方が合意すれば直接雇用に切り替える働き方です。派遣期間は最長で6か月と決まっています。

通常の派遣では、派遣先が事前に面接をすることは原則として認められていません。紹介予定派遣は例外で、面接や書類での選考ができます。「いきなり正職員は不安だけれど、合えばずっと働きたい」という方には、いちばん安心できる入り方です。

直接雇用のほうが合う場面

反対に、直接雇用のほうが合うのは、どんなときでしょうか。

介護福祉士などの資格を取り、キャリアを積みたいとき

介護福祉士の受験には、実務経験と実務者研修が必要です。実務経験は派遣でも数えられますが、施設の中で研修を受けたり、リーダーやサービス提供の責任者を任されたりする機会は、直接雇用のほうが得やすいです。

ショートステイでは、利用者さんごとに短期入所の計画を立て、ケアマネジャーとやりとりする役割があります。こうした仕事を経験したい方は、腰を据えて直接雇用で働くほうが近道になります。

同じ施設で長く働き、関係を育てたいとき

ショートステイには、定期的に利用するリピーターの方が多くいます。月に1回、同じ曜日に来る方もいます。

長く働くと、「この方は前回、夜中に不安になって歩き回っていた。今回は寝る前に少し話をしてみよう」といった、積み重ねのケアができるようになります。これはショートステイで働く大きなやりがいの一つです。

派遣にも、同じ部署で働ける期間に原則3年という上限があります。同じ職場でずっと続けたいなら、どこかで直接雇用に移ることを考える必要があります。

収入の安定を最優先にしたいとき

派遣は、施設の都合で契約が更新されないことがあります。利用者さんが減った時期に、派遣から先に人数を減らす施設もあります。

住宅ローンや子どもの学費など、毎月決まった支出が大きい時期は、賞与や昇給が見込める直接雇用のほうが、気持ちの面でも安定しやすいです。

どちらが合うか迷ったら、「半年後の自分がどうなっていたいか」を紙に書いてみてください。「体を慣らしていたい」なら派遣、「リーダーの仕事を覚え始めていたい」なら直接雇用、というように、答えが見えてくることがよくあります。

派遣のデメリットと、ショートステイならではのつまずき

派遣には、あらかじめ知っておきたい弱いところもあります。知っていれば、対策が立てられます。

情報が回ってこない

派遣の職員は、会議や勉強会に呼ばれないことが多いです。そのため、「来週から入所の受け入れ手順が変わった」「この方は前回、転倒があった」といった情報が、口頭の申し送りだけで伝わることがあります。

ショートステイは利用者さんが入れ替わるので、この情報のすき間が事故につながりやすい職場です。勤務の始まりに記録をひととおり読む時間を、自分で確保しましょう。どうしても時間が取れないときは、リーダーに「今日、特に気をつける方を教えてください」と一言だけ聞いてください。

「派遣さん」と呼ばれて、気持ちが疲れる

こういうご相談も、本当によくあります。名前で呼ばれず、仕事の輪に入れてもらえない感覚が続くと、どんなに仕事ができても心がすり減っていきます。

あなたの力が足りないわけではありません。職場の文化の問題であることがほとんどです。派遣会社の担当者に「職場の雰囲気で困っていることがある」と早めに伝えてください。担当者は、派遣先に改善を求める立場にいます。

契約にない仕事を頼まれる

「送迎の車を運転してほしい」「洗濯と掃除もお願い」と、契約書にない仕事を頼まれることがあります。ショートステイは送迎がある施設も多く、運転を当然のように頼まれる例は珍しくありません。

断るのは気まずいですよね。そういうときは、その場で「派遣会社に確認してからでもいいですか」と返して大丈夫です。契約の範囲をはっきりさせるのは、派遣会社の役割です。

更新されない不安

先ほども触れましたが、利用者さんの予約状況によって、契約が短く区切られることがあります。更新の時期が近づいたら、1か月前には派遣会社に見通しを聞いておくと、次の準備ができます。

求人票と派遣会社で確かめておきたいこと

ショートステイの派遣求人を見るときに、確かめておきたい点をまとめます。

施設の形

・短期入所生活介護か、短期入所療養介護か(療養介護は老健や病院に併設され、医療的な処置が多め) ・特養などに併設か、ショートステイだけの単独型か ・定員は何人か、ユニット型か従来型か

併設型では、夜間に特養の職員と連携できることがあります。単独型では、その建物の中で完結させる必要があります。夜勤の心細さがまったく違うので、ここは必ず聞いてください。

夜勤の体制

・夜勤は何人で、何人の利用者さんを見るのか ・看護師が夜間にいるのか、電話で連絡を取る形なのか ・夜勤中に仮眠や休憩を取れる時間と場所があるか

業務の範囲

・入所と退所の受け入れを担当するか ・送迎の運転があるか ・レクリエーションの進行を任されるか

派遣会社の対応

・困ったときに連絡がつく担当者がいるか、何時まで電話に出るか ・同一労働同一賃金の方式はどちらか ・処遇改善の手当が、時給にどう反映されているか

最後の点について、少し補足します。国の処遇改善の加算は、施設に支払われるものです。派遣の職員をその配分の対象に含めることもできる扱いになっていますが、実際に時給へどれだけ反映されているかは、施設と派遣会社の取り決めによって違います。「処遇改善分は時給に含まれていますか」と聞くと、答え方でその派遣会社の誠実さも見えてきます。

また、派遣会社には、派遣料金に対する手数料の割合(マージン率)を公開する義務があります。ホームページや事業所で確認できます。数字だけで良し悪しは決まりませんが、研修や相談の体制にどれだけ回しているかを聞く手がかりになります。

登録から初日までの流れと、その間にしておくこと

派遣でショートステイに入るまでの流れも、見通しを持っておくと気持ちが落ち着きます。

1. 派遣会社に登録する

まず派遣会社に登録し、担当者と面談をします。ここで伝えるのは、資格、経験、希望の勤務日数、夜勤ができるかどうか、通勤できる範囲です。

このとき、遠慮して条件をぼかさないでください。「子どもの迎えがあるので17時には出たい」「腰に不安があるので、入浴介助が続く日は避けたい」。こうしたことを最初に言っておくほうが、合わない職場に送られずに済みます。

2. 職場の紹介を受け、見学する

条件に合う施設が見つかると、紹介を受けます。通常の派遣では面接はありませんが、職場見学はできます。

見学では、次のところを見てください。

・廊下や居室に、転倒を防ぐための工夫があるか(手すり、センサーマット、足元の明かり) ・職員同士が声をかけ合っているか、黙々と動いているか ・記録が紙か端末か、申し送りのやり方はどうか ・入所の受け入れをしている時間帯なら、ご家族への対応が落ち着いているか

見学のあとに「働きたくない」と感じたら、その気持ちは大事にして大丈夫です。派遣会社に正直に伝えれば、別の施設を探してくれます。

3. 契約の内容を確かめる

就業条件明示書という書類で、仕事の内容、勤務時間、休憩、時給、契約期間が示されます。ここに書かれていない仕事は、原則として頼まれない仕事です。

送迎の運転、レクリエーションの進行、入所と退所の対応。先ほど触れたショートステイならではの仕事が、どう書かれているかを必ず読みましょう。

4. 初日の前にしておくこと

初日の前には、動きやすい服と上履き、筆記用具、小さなメモ帳を用意します。ポケットに入る大きさのメモ帳が便利です。

そして、前の晩はしっかり眠ってください。はじめての職場は、それだけで体が思っている以上に緊張します。初日を無事に終えることが、何よりの目標です。

資格と経験で、派遣の条件はどう変わるか

ショートステイの派遣求人は、資格によって任される仕事と時給が変わります。

資格がない場合

無資格や未経験でも応募できる求人はあります。ただ、身体介助は資格を持つ職員の見守りのもとで行う形が多く、配膳やシーツ交換、話し相手などの生活援助から始めることになります。

働きながら介護職員初任者研修を取る方も多いです。派遣会社によっては、受講費を補助する制度を持っているところもあります。

介護職員初任者研修・実務者研修

初任者研修を持っていれば、身体介助を含めた一通りの仕事を任されます。求人の数もぐっと増えます。

実務者研修まで持っていると、たんの吸引など一部の医療的ケアの研修につながり、介護福祉士の受験資格にも近づきます。時給に数十円から百円ほどの差がつくことがあります。

介護福祉士

介護福祉士は、ショートステイでもリーダー的な役割を期待されます。派遣でも、夜勤のまとめ役として入ってほしいという求人が出ます。時給は無資格より高く設定されることが一般的です。

看護師

看護師の派遣は、法律で原則として禁止されている業務がありますが、介護施設などの社会福祉施設への派遣は認められています。ショートステイでは、利用者さんが入れ替わるたびに服薬や体調を確認する必要があり、看護師の派遣の需要があります。

看護師としての相場を知りたい方は、年収や時給の目安を整理したページが参考になります。

看護師の年収・単価相場

資格は、派遣で働く方にとって「選べる職場を増やす道具」です。今の自分に何ができて、次に何を取れば働き方が広がるのか。それを落ち着いて考えるだけでも、不安はずいぶん軽くなります。

働き方の相談を長く見てきた立場から

最後に、在宅ワークやフリーランスの働き方の市場を20年見てきた運営者の視点から、少しお話しさせてください。

長く働き続けている人を見ていると、共通していることがあります。それは、雇用の形そのものより「自分の条件を言葉にして、相手と話し合えているか」が大事だということです。

派遣で働く方は、契約のたびに条件を確かめる機会があります。直接雇用の方は、年に一度の面談くらいしか、その機会がないこともあります。どちらにいても、「夜勤は月に何回まで」「送迎の運転はしない」「半年後には資格を取りたい」と、自分の軸を言える人は、職場が変わっても崩れにくいのです。

もう一つ感じているのは、間に入る仲介のマージンが大きいほど、同じお金を払う側と受け取る側の双方が損をしやすいという構造です。これは介護の派遣に限った話ではありません。直接の関係で仕事が成り立つほど、依頼する側はより多くを頼め、受け手の手取りは厚くなります。派遣を選ぶときにマージン率を一度見ておくことは、自分の働く価値を知ることにもつながります。

もしあなたが、介護の仕事を続けるかどうか、どんな働き方がいいのかで迷っているなら、一人で抱え込まないでください。キャリアの相談を仕事にしている人たちがいます。どんな相談を受けているのかを知るだけでも、「こういうことで悩んでいいんだ」と気持ちが楽になります。

職場・転職・キャリア相談のお仕事

キャリアの相談を受ける側の資格として、どんな学びが必要なのかも整理されています。ご自身が将来、介護の現場の経験を活かして人の相談にのる側に回る道もあります。

キャリアコンサルタント

最後に、ショートステイを使うご家族の側の声を一つ紹介させてください。

ショートステイは、基本的に数日から1週間程度の利用が目安ですが、事情によっては宿泊が長期にわたるケースもあります。ショートステイのロングは自己負担になりますが長期的に利用できるサービスです。在宅での介護が難しければ、利用を検討してみても良いでしょう。担当のケアマネジャーに相談すると、どうするのが良いか一緒に考えてくれます。 出典: minkai.jp

介護保険では、ショートステイを連続して使える日数は30日までで、それを超えた日は全額が自己負担になります。それでも使い続けるご家族がいるのは、それだけ在宅での介護が限界に近いからです。

派遣であっても、直接雇用であっても、あなたが夜勤で見守るその一晩は、どこかのご家族が久しぶりに眠れる一晩です。どの形で働くかは、あなたの暮らしに合わせて選んでいいのです。

よくある質問

Q. ショートステイの派遣は未経験でも働けますか?

未経験や無資格でも応募できる求人はあります。ただし身体介助は資格を持つ職員の見守りのもとで行うことが多く、配膳やシーツ交換、話し相手などの生活援助から始めるのが一般的です。働きながら介護職員初任者研修を取ると任される仕事と求人の数が増えるため、受講費の補助がある派遣会社を選ぶと始めやすくなります。

Q. 派遣と正社員では、1年間の収入はどちらが多くなりますか?

時給で見ると派遣が高く見えることが多いですが、正職員には賞与や退職金、各種手当、処遇改善の手当が上乗せされます。月給×12か月に賞与と手当を足した額と、派遣の時給×年間の勤務時間に夜勤手当を足した額を並べ、通勤費の負担と社会保険の加入条件も含めて比べると、実際の差が分かります。

Q. 派遣でショートステイの夜勤だけをすることはできますか?

夜勤専従の派遣求人はショートステイでもよく出ています。日中に用事がある方や、月に数回でまとまった収入を得たい方に選ばれています。夜勤明けの体の戻り方には個人差があるため、最初は月4回ほどから始め、夜勤の人数や看護師への連絡方法を事前に確かめておくと安心です。

Q. 紹介予定派遣とは、普通の派遣と何が違いますか?

紹介予定派遣は、最長6か月の派遣期間のあとに、本人と施設の双方が合意すれば直接雇用に切り替える働き方です。通常の派遣では派遣先による事前面接は原則認められていませんが、紹介予定派遣では面接や書類選考ができます。職場の雰囲気を確かめてから正職員になりたい方に向いています。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月16日最終更新:2026年9月18日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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