小規模多機能型居宅介護は職場によって何が違うのか|規模と運営で変わる働きやすさ

中西 直美
中西 直美
小規模多機能型居宅介護は職場によって何が違うのか|規模と運営で変わる働きやすさ

この記事のポイント

  • 小規模多機能型居宅介護は
  • 同じ基準で運営されていても職場によって働きやすさが大きく違います
  • 管理者の関わり方などの違いと

「前の小規模多機能はつらかったけれど、別のところならどうなんだろう」。 「初めて応募するけれど、どこも同じに見えて選べない」。

こういう相談、本当によくあります。

小規模多機能型居宅介護は、国の基準で定員や人員配置が決められています。だから、どこも似たような職場に見えます。でも実際には、同じ基準のもとで運営されていても、働きやすさは事業所によって驚くほど違います。

大丈夫ですよ。違いが出るポイントは、ある程度決まっています。この記事では、規模、夜勤の体制、訪問の担当のしかた、併設施設、管理者の関わり方など、職場ごとに差がつく部分を1つずつ整理します。そして、求人票と見学でそれを確かめる方法までお伝えします。

同じ小規模多機能でも、働きやすさが違う理由

まず、なぜ同じサービスなのに職場ごとの差が大きいのか。その理由から見ていきます。

小規模多機能型居宅介護は、登録した利用者に「通い」「訪問」「泊まり」を組み合わせて提供する地域密着型サービスです。基準で決まっているのは、主に次のような枠です。

・登録定員は29人以下 ・1日の通いの定員は原則15人以下(条件を満たせば18人以下) ・泊まりの定員は9人以下 ・日中は、通いの利用者3人に対して介護職員などを常勤換算で1人以上、それとは別に訪問担当を1人以上 ・夜間は、夜勤1人以上と宿直1人以上 ・看護職員、介護支援専門員、管理者を配置

ここで大事なのは、これが「最低限の線」だということです。

たとえば、夜勤を1人にするか2人にするか。訪問を専任の職員に任せるか、全員の持ち回りにするか。当日の予定変更を誰が引き受けるか。こうしたことは、基準では細かく決められていません。事業所の方針と、人を雇う余力で決まります。

もう1つ、利用者との関係の結び方にも、事業所ごとの考え方が出ます。

同じ事業所内で完結させたい方には、小規模多機能型居宅介護が向いていますが、サービスによって事業所を変えたい方にとってはデメリットと感じるかもしれません。 出典: magicshields.co.jp

利用者向けに書かれた一文ですが、働く側から読むと、とても大事なことが書かれています。

小規模多機能を選んだ利用者は、通いも訪問も泊まりも、同じ事業所に頼っています。つまり、その事業所が「断らない」方針を強くとるほど、利用者の暮らしは安定します。一方で、職員の段取りは崩れやすくなります。

逆に、利用の変更を前日までに調整する運用をしている事業所では、職員の1日は落ち着きます。そのかわり、急な依頼に応えにくくなります。

どちらが正しい、ということではありません。ただ、この方針の違いが、そのまま職員の働き方の違いになります。職場選びは、この違いを見分ける作業だと考えてください。

違い1:登録者数と職員数のバランス

最初に見てほしいのは、事業所の規模です。といっても、建物の大きさではありません。登録している利用者の数と、職員の数のバランスです。

登録定員が29人でも、実際に登録している利用者が29人とは限りません。開設して間もない事業所や、地域に競合が多い事業所では、20人前後ということもあります。

小規模多機能の介護報酬は、利用者1人あたりの月額で支払われます。つまり、登録者が少ないと、事業所の収入も少なくなります。

登録者が少ない事業所では、次のようなことが起きやすくなります。

・職員を増やす余裕がなく、基準ぎりぎりの人数で回している ・空きを埋めるために、急な利用の依頼を積極的に受ける ・経営が不安定で、職員の入れ替わりが多い

一方で、登録者が定員いっぱいの事業所にも、別の大変さがあります。

・毎日の通いと訪問の件数が多く、1日が詰まっている ・泊まりの枠がいつも埋まっていて、夜勤が忙しい ・利用者一人ひとりの情報量が多く、覚えることが多い

ちょうどよいのは、登録者が安定していて、そのうえで職員に余裕がある事業所です。

具体的には、「常勤の職員が何人いるか」「非常勤を含めて何人で回しているか」「1日の通いの利用者は平均何人か」を面接で聞いてみてください。数字をすぐに答えてくれる管理者は、自分の事業所の状況をよく把握しています。

私がカウンセリングで話を聞いた介護職の方の中にも、「前の職場は利用者さんが少なくて、いつも経営の話ばかりされていた」という方がいました。利用者を増やすことに職員の気持ちが向きすぎると、目の前のケアに集中しにくくなります。規模のバランスは、職員の気持ちの余裕にもつながっているのだと、そのとき改めて感じました。

規模を見るときに、もう1つ知っておいてほしいことがあります。それは、非常勤の職員の割合です。

常勤換算という数え方では、週20時間働く非常勤の職員2人を、常勤1人分として数えます。そのため、基準上の人数は足りていても、実際には短時間のパートの方が入れ替わりで入っていて、常勤の職員が数人しかいない、ということがあります。

非常勤の方が多いこと自体は悪いことではありません。子育て中の方や、ほかの仕事と両立している方が働ける職場だということでもあります。ただ、常勤の職員が少ないと、夜勤や訪問、家族との連絡調整といった責任の重い仕事が、常勤の数人に集中しがちです。

常勤で応募する方は、「常勤の方は何人いて、夜勤は常勤だけで回していますか」と聞いておくと、入職後の負担を想像しやすくなります。

違い2:夜勤と宿直の体制

働きやすさの差が一番大きく出るのが、夜勤の体制です。

基準では、夜間は夜勤の職員1人以上と、宿直の職員1人以上を置くことになっています。宿直の職員は、登録者の自宅からの呼び出しに備えて訪問に出る役割を持つことが多いです。

そのため、泊まりの利用者を見ているのは夜勤者1人、という時間が生まれます。

ここで事業所ごとに違いが出るのは、次のような点です。

夜勤の人数:泊まりの利用者が多い日には夜勤を2人にしている事業所もあれば、常に1人の事業所もあります。

宿直の置き方:宿直を事業所内に置いているのか、職員が自宅で待機して呼ばれたら出る形なのか。泊まりの利用者がいない日の扱いも違います。

オンコールの体制:夜間に利用者の容体が変わったとき、看護職員に電話で相談できるのか。管理者に連絡がつくのか。電話がつながらなかったときの次の連絡先は決まっているのか。

夜勤の回数:月に3回程度の事業所もあれば、人手不足で月6回以上になる事業所もあります。

夜勤明けの扱い:夜勤明けの日は休みになるのか。明けたあと、午前中だけ日勤に数えられることはないか。

夜勤なしの働き方:日勤のみの常勤やパートを認めているか。

夜勤の不安は、介護職の方から一番よく聞く悩みの1つです。「一人で夜を過ごすのが怖い」と感じるのは、まったく自然なことです。

大切なのは、その不安を支える仕組みがあるかどうかです。急変時の手順書があり、看護職員にすぐ相談でき、翌朝には管理者が振り返りをしてくれる。そういう事業所では、同じ1人夜勤でも、気持ちの負担はずいぶん軽くなります。

もう1つ、夜勤の中身も事業所によって違います。

泊まりの利用者が毎晩ほぼ満床の事業所では、夜間のおむつ交換や体位変換、トイレの付き添いが何度もあり、休む時間がほとんどありません。泊まりの利用者が少ない日が多い事業所では、見守りと記録が中心になり、比較的落ち着いた夜になります。

また、夜勤中に登録者の自宅から電話が入ることもあります。「母が夜中に起きて玄関を開けようとしている」「転んで起き上がれない」。こうした電話を夜勤者が受けるのか、宿直者が受けるのか。訪問に出る必要があるとき、泊まりのフロアは誰が見るのか。

ここがあいまいな事業所では、夜勤者が泊まりのフロアと電話対応を一人で抱えることになります。見学や面接で「夜間に自宅から電話があったら、どう対応していますか」と一言聞くだけで、体制の整い方が分かります。

違い3:訪問の担当のしかたと移動

小規模多機能の「訪問」は、事業所によって運用がかなり違います。

1つ目の違いは、誰が訪問に出るかです。

訪問を専任の職員に任せている事業所では、通いのフロアに入る職員は訪問に出ることが少なくなります。フロアの仕事に集中できるので、落ち着いて働けます。そのかわり、利用者の自宅での様子を直接見る機会は減ります。

全員が持ち回りで訪問に出る事業所では、職員の誰もが利用者の家での暮らしを知っています。情報の共有はしやすくなります。一方で、フロアの人手が訪問のたびに抜けるので、残った職員の負担が一時的に増えます。

2つ目の違いは、訪問の中身です。

小規模多機能の訪問は、訪問介護のように「1回30分以上」といった決まりがありません。数分の安否確認や服薬の声かけだけのこともあれば、1時間ほどかけて入浴や調理を手伝うこともあります。

訪問の中心が短時間の見守りなのか、しっかりした生活支援なのかで、求められる技術も時間の使い方も変わります。

3つ目の違いは、移動の手段と範囲です。

地域密着型サービスなので、利用者は原則として事業所のある市町村の住民です。それでも、市町村の広さによって移動の距離は大きく違います。都市部では自転車や徒歩で回れる事業所もあります。一方、郊外や地方では車での移動が前提になり、冬は雪道を運転することもあります。

運転が苦手な方は、この違いを必ず確かめてください。求人票に「普通自動車免許」とだけ書かれていても、実際には送迎と訪問で毎日のように運転する事業所があります。

面接では、「訪問は1日に何件くらいありますか」「移動は車ですか、自転車ですか」「送迎と訪問で、1日にどのくらい運転しますか」と聞いておくと安心です。

あわせて確認しておきたいのが、訪問で使う車の扱いです。事業所の車を使うのか、自分の車を使うのか。自分の車を使う場合、ガソリン代や車の傷みに対する手当は出るのか。事故を起こしたときの保険は、事業所の保険と自分の保険のどちらを使うのか。

こうしたことは、求人票にはまず書かれていません。けれど、毎日のように運転する職場では、あとから「こんなはずじゃなかった」と感じやすい部分です。

訪問の記録のしかたも、事業所ごとに違います。タブレットやスマートフォンで訪問先からその場で入力できる事業所もあれば、事業所に戻ってから紙に書く事業所もあります。訪問の件数が多い職場ほど、記録のしかたで1日の残業時間が変わってきます。

違い4:併設施設と法人の規模

事業所がどこにあって、どんな法人が運営しているか。これも、働きやすさを大きく左右します。

併設施設がある場合

小規模多機能は、グループホームやサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどと同じ建物や敷地に併設されていることがあります。

併設があると、忙しいときに隣の施設から応援が来てくれることがあります。反対に、自分が隣の施設の応援に回されることもあります。

また、サービス付き高齢者向け住宅などに併設されている場合、同じ建物に住む入居者が小規模多機能の利用者になっていることがあります。この場合、訪問先が同じ建物の中なので、移動の負担は小さくなります。一方で、実際の働き方は施設の介護に近くなります。同じ建物に住む利用者への介護報酬は、別の区分で低めに設定されています。

「在宅の暮らしを支えたい」と思って応募したのに、実際は建物の中を回るだけだった。そんな声を聞くこともあります。求人票に併設施設が書かれていたら、利用者のうち何人くらいが同じ建物に住んでいるのかを聞いてみてください。

サテライト型事業所

本体の事業所と連携して運営される、サテライト型の小規模多機能もあります。サテライト型は、本体の事業所から職員の応援や夜間の支援を受けられる仕組みです。規模が小さく、少ない人数で運営されている分、本体とどう連携しているかが働きやすさを決めます。

法人の規模

複数の事業所を運営する大きな法人と、1つの事業所だけを運営する法人とでは、次のような違いがあります。

大きな法人では、研修の制度が整っていることが多く、他の事業所への異動や、特養やデイサービスへの配置換えができる場合があります。給与の体系や昇給の基準も明文化されていることが多いです。

単独で運営している事業所では、管理者や経営者の考え方がそのまま職場の雰囲気になります。合う人にとってはとても居心地がよく、合わない人には逃げ場がありません。決まりごとが柔軟な分、働き方の相談に応じてもらいやすいこともあります。

どちらが良いかは、あなたが何を大事にしたいかで決まります。

法人の種類による違いも、少しだけ触れておきます。小規模多機能は、社会福祉法人、医療法人、株式会社、NPO法人など、さまざまな法人が運営しています。

社会福祉法人や医療法人が運営している場合、同じ法人の中に特養や病院、診療所があることが多く、看護職員や医師との連携が取りやすい傾向があります。株式会社が運営している場合は、グループ内に複数の介護事業所を持っていることが多く、事業所間の異動や、管理者への登用の道が見えやすいことがあります。

もちろん、法人の種類だけで働きやすさは決まりません。ただ、求人票の運営法人の欄を見て、その法人がほかにどんな事業所を運営しているかを調べておくと、入職後に選べる道の広さが見えてきます。

違い5:管理者と介護支援専門員の関わり方

見落とされがちですが、とても大事な違いです。管理者と、事業所に所属する介護支援専門員が、現場とどう関わっているかです。

小規模多機能では、利用者のケアプランを事業所の介護支援専門員が作ります。そして、当日の利用の変更や、家族からの急な依頼を受けて、サービスの組み直しを判断するのも、多くの場合この介護支援専門員か管理者です。

ここで、次のどちらの運用になっているかで、現場の職員の負担は大きく変わります。

組み直しを管理者や介護支援専門員が引き受けている事業所:家族からの依頼を受けた時点で、職員の配置を考え、誰がどこに回るかを決めて伝えてくれます。現場の職員は、決まった指示に沿って動けばよいので、迷いが少なくなります。

組み直しが現場任せになっている事業所:依頼を受けたことだけが伝えられ、「あとはみんなで調整して」となります。フロアで手が離せない職員同士が、誰が訪問に出るかを話し合うことになり、そのたびに小さな摩擦が生まれます。

こういう相談がよくあります。「人間関係がつらい」と話していた方の話を聞いていくと、実は、組み直しが毎回現場任せで、そのたびに同僚と押しつけ合いになっていた、ということが。

人の問題に見えていたものが、実は運営の問題だった。こういうことは少なくありません。

管理者の関わり方を見分けるには、見学のときに、管理者が現場に出ているかどうかを見てください。フロアで利用者に声をかけ、職員と自然に話している管理者か。事務所から出てこない管理者か。短い見学でも、意外と分かるものです。

介護支援専門員が現場とどれくらい近いかも、見ておきたい点です。小規模多機能の介護支援専門員は、利用者のケアプランを作るだけでなく、通い・訪問・泊まりの組み合わせを日々調整する役割を担っています。

介護支援専門員が現場の職員とこまめに話し、「この方は最近、夕方になると落ち着かないので、訪問を1回増やしましょう」といった判断を一緒にしてくれる事業所では、職員の気づきがケアに活かされていると実感できます。そういう職場では、職員のやりがいも保たれやすいです。

反対に、ケアプランが現場の実態とかけ離れていて、職員の声が届かない事業所では、「言っても変わらない」という無力感がたまっていきます。面接で「職員の意見は、ケアプランにどう反映されていますか」と聞いてみると、事業所の風通しが見えてきます。

違い6:看護職員の体制と、看多機との違い

小規模多機能には、看護師か准看護師を1人以上置くことになっています。ただし、常勤でなくてもかまいません。

そのため、看護職員が週に数日だけ来る事業所もあれば、常勤で毎日いる事業所もあります。

看護職員が毎日いる事業所では、利用者の体調の変化をすぐに相談できます。服薬や皮膚のトラブル、食事量の低下など、介護職員だけで判断に迷うことを任せられるので、安心して働けます。

看護職員が少ない事業所では、日中に看護職員がいない時間があり、判断を電話で仰ぐことになります。夜間のオンコールを看護職員が受けているかどうかも、事業所によって違います。

似た名前のサービスに、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)があります。こちらは、通い・訪問・泊まりに加えて訪問看護を一体で提供するサービスです。看護職員の配置が手厚く、医療的なケアが必要な利用者、たとえば退院直後の方や、たんの吸引や経管栄養が必要な方も多く利用しています。

介護職員として働く場合、看多機では看護職員と一緒に動く場面が多く、医療的な知識に触れる機会が増えます。医療に近い現場で経験を積みたい方には魅力がありますし、医療的な判断に不安がある方には、通常の小規模多機能のほうが落ち着いて働けるかもしれません。

通常の小規模多機能でも、事業所によって受け入れている利用者の状態は違います。医療機関と連携していて、状態の重い方や看取りの時期の方を受け入れている事業所もあれば、比較的状態が安定している方が中心の事業所もあります。

看取りを行っている事業所では、利用者の最期の時間に立ち会うことがあります。それは介護職員にとって深い経験になりますが、心の準備が必要なことでもあります。看取りの経験がない方は、面接で「看取りの支援はしていますか」「そのとき、職員へのサポートはありますか」と聞いておくと安心です。

利用者の状態が重くなるほど、介護職員に求められる観察の細やかさも増します。自分がどのくらいの医療的な関わりまでなら安心して働けるかを、あらかじめ考えておくとよいでしょう。

看護師として働く場合は、小規模多機能と看多機、訪問看護、病院とで、仕事の中身も給与の水準も変わります。職種ごとの給与の分布は看護師の年収・単価相場で比べられるので、職場を選ぶときの参考にしてみてください。

求人票と見学で、違いを確かめる方法

ここまでの違いを、実際にどう確かめるか。求人票、公的な情報、見学の3つを組み合わせるのがおすすめです。

介護サービス情報公表システムを見る

厚生労働省が運営する「介護サービス情報公表システム」では、全国の介護事業所の情報を調べられます。小規模多機能の事業所ごとに、登録者数、職員の人数、職員の経験年数、前年度に採用した人数と退職した人数などが載っています。

とくに、採用した人数と退職した人数は、職員の入れ替わりの激しさを知る手がかりになります。応募を考えている事業所の名前で検索して、一度見てみてください。

運営推進会議の記録を聞く

小規模多機能などの地域密着型サービスでは、利用者や家族、地域の住民、市町村の職員などが参加する「運営推進会議」を、おおむね2か月に1回開くことになっています。

この会議で事業所の活動状況を報告し、記録を公表することが求められています。会議の記録を見せてもらえるか、面接で聞いてみてもよいでしょう。地域とのつながりを大事にしている事業所は、快く見せてくれます。

見学で見るところ

小規模多機能型居宅介護の入居を検討する際には、実際に見学に行ってみるのもおすすめです。実際に、施設に入ってみないと雰囲気まではわからないからです。 出典: magicshields.co.jp

これは、働く人にとってもまったく同じです。見学では、次の点を見てください。

・職員同士が、利用者の前で穏やかに声をかけ合っているか ・ホワイトボードなどに、その日の訪問や泊まりの予定が見える形で書かれているか ・管理者が現場に出ているか ・利用者が、職員を名前で呼んでいるか(なじみの関係ができているか) ・見学の途中で予定変更が入ったとき、職員がどう動いているか

面接で聞くこと

・夜勤の月あたりの回数と人数、夜勤明けの扱い ・オンコールを誰が受けるか ・訪問は専任か持ち回りか、移動手段は何か ・当日の利用の変更は、誰が組み直しを決めるか ・併設施設への応援はあるか ・今いる職員の勤続年数

・研修の制度と、独り立ちまでの期間 ・資格取得の支援や、実務経験証明書の発行に協力してもらえるか

聞いた答えは、見学のあとすぐにメモしておきましょう。複数の事業所を見学すると、どこで何を聞いたのかが混ざってしまいます。事業所ごとに同じ質問を並べた表を作っておくと、あとで落ち着いて比べられます。

一度にすべてを聞くのは気が引ける、という方もいると思います。大丈夫です。一番気になることを2つか3つに絞って聞くだけでも、事業所の姿勢は十分に伝わってきます。

自分に合う職場の、優先順位のつけ方

違いが分かっても、すべての条件がそろう職場はなかなかありません。最後に、優先順位のつけ方をお話しします。

まず、「これがあると続かない」という条件を1つか2つ決めてください。

たとえば、「夜勤が月5回を超えると体がもたない」「運転が毎日あるのは無理」「一人夜勤でオンコールがあいまいなのは怖い」。こうした条件は、どれほど他の条件がよくても、いずれ辞める理由になります。ここは譲らない線にします。

次に、「あるとうれしい」条件を並べます。給与、通勤時間、研修の制度、法人内の異動の可能性など。こちらは、比べて選ぶ材料にします。

そして、今の自分の生活の状況と照らし合わせます。

子育て中で夜勤が難しい時期なら、日勤のみの働き方を認めてくれるか、急な休みに対応してもらえるかが最優先になります。

体力に自信があって経験を積みたい時期なら、登録者が多く、訪問も泊まりも一通り任せてもらえる事業所で力をつけるのも1つの選択です。

介護福祉士や介護支援専門員など、次の資格を目指しているなら、研修の制度や資格取得の支援、実務経験の証明をきちんと出してくれる法人かどうかも大事になります。

優先順位は、人生の時期によって変わって当然です。今の自分に合う職場を選べばよいのです。

優先順位を決めるときに、ぜひ思い出してほしいのが、これまでの職場で「楽しかった瞬間」です。

つらかったことは、すぐに思い出せます。でも、どんな場面で自分が生き生きしていたかは、意識しないと出てきません。フロアで利用者さんと笑い合っていたときか。訪問先で、独り暮らしの方の生活が少しずつ整っていくのを見たときか。夜勤の静かな時間に、眠れない方の話をゆっくり聞いたときか。

楽しかった瞬間が多かった仕事に、あなたの力が一番出ています。その仕事の比重が大きい事業所を選ぶと、同じ小規模多機能でも、ずっと続けやすくなります。

給与の条件を比べるときは、地域や職種ごとの相場を知っておくと判断しやすくなります。介護職員の給与の分布は介護職員の年収・単価相場にまとめられているので、提示された条件が相場と比べてどのあたりかを確かめてから決めると安心です。

現場を長く見てきた立場から、職場選びに迷う人へ

働く人と職場の組み合わせを長く見てきた立場から言えば、介護の仕事を長く続けている人は、「どのサービスで働くか」と同じくらい、「どんな運営の職場で働くか」を大事にしています。

小規模多機能は、その差がとくに出やすいサービスです。規模が小さく、職員の数も少ない。だからこそ、管理者の考え方や夜勤の体制、組み直しの引き受け方が、一人ひとりの職員の毎日にそのまま届きます。

逆に言えば、合う事業所に出会えたときの居心地のよさも、大きな施設より深いものになります。利用者一人ひとりの暮らしを知り、家族と顔の見える関係を築き、少人数の仲間と支え合う。そういう働き方を「ここでなら続けられる」と感じている人を、たくさん見てきました。

もう1つ見てきたのは、職場を変えて落ち着いた人の多くが、前の職場を悪く言わないことです。「前のところは夜勤の体制が合わなかった」「前のところは訪問が多すぎた」と、合わなかった点を具体的に言葉にしています。だから、次に選ぶときに何を確かめればよいかが分かっていて、2回目の職場選びで迷いが少ないのです。

職場選びに正解はありません。けれど、合わなかった経験は、次の選び方を教えてくれる大切な材料になります。

焦らなくて大丈夫です。見学は1か所で決めなくてかまいません。2か所、3か所と見て回るうちに、「ここは空気が合う」「ここは何となく落ち着かない」という自分の感覚が、少しずつはっきりしてきます。その感覚は、求人票の数字と同じくらい信頼してよいものです。

自分に合う職場の条件を整理するのが難しいときは、第三者と話してみるのも1つの方法です。働き方の悩みを聞き、職場選びの軸を一緒に整理する専門職としてキャリアコンサルタントがあり、資格の役割や相談できる内容がまとめられています。また、職場の悩みや転職の迷いに寄り添う仕事がどのように成り立っているかは、職場・転職・キャリア相談のお仕事で紹介されています。

あなたは一人じゃありません。前の職場がつらかったとしても、それはあなたが介護に向いていないという意味ではありません。違いを知って、自分に合う場所を選び直せば大丈夫です。

よくある質問

Q. 小規模多機能型居宅介護は、事業所によって何が一番違いますか?

働きやすさの差が大きく出るのは、夜勤と宿直の体制、訪問の担当のしかた、当日の利用変更を誰が組み直すかの3点です。基準で決まっているのは最低限の人員配置なので、夜勤を何人にするか、オンコールを誰が受けるかなどは事業所の方針で変わります。面接と見学で具体的に確認してください。

Q. 小規模多機能の職場の実態は、応募前にどう調べればよいですか?

厚生労働省の介護サービス情報公表システムで、事業所ごとの登録者数、職員数、経験年数、前年度の採用者数と退職者数を確認できます。そのうえで見学に行き、職員同士の声のかけ方や管理者が現場に出ているかを見ると、求人票だけでは分からない雰囲気がつかめます。

Q. 併設施設がある小規模多機能は働きやすいですか?

忙しいときに併設施設から応援が来る利点がある一方、自分が応援に回されることもあります。サービス付き高齢者向け住宅などに併設されている場合は、利用者の多くが同じ建物に住み、施設の介護に近い働き方になることがあります。利用者のうち何人が同じ建物に住んでいるかを聞いてから判断すると安心です。

Q. 小規模多機能と看護小規模多機能では、働き方がどう違いますか?

看護小規模多機能は訪問看護を一体で提供するため看護職員の配置が手厚く、医療的なケアが必要な利用者が多くなります。介護職員は看護職員と一緒に動く場面が増え、医療の知識に触れる機会が多くなります。医療的な判断に不安がある方には、通常の小規模多機能のほうが落ち着いて働けることがあります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年4月25日最終更新:2026年9月19日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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