スクラムとは何か|役割とイベントの流れを、小さなチームで始める手順で整理

@SOHO編集部
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スクラムとは何か|役割とイベントの流れを、小さなチームで始める手順で整理

この記事のポイント

  • ✓考案者が公開しているスクラムガイドの記述に沿って整理しました
  • ✓スプリントと4つのイベント
  • ✓3つの作成物の意味と流れ

スクラムとは、1か月以内の短い期間(スプリント)を区切って、計画、作業、確認、振り返りをくり返しながら、チームで価値のあるものを作っていくための枠組みです。アジャイルと呼ばれる考え方を実現する進め方の1つで、ソフトウェア開発で広く使われてきましたが、いまは企画、マーケティング、研究など、ほかの分野の仕事にも使われています。

スクラムには、役割、イベント、作成物といった独特の言葉が多く、初めて調べる人には分かりにくいところがあります。この記事では、スクラムを考案した2人が公開している「スクラムガイド」の記述に沿って、3つの役割、スプリントと4つのイベント、3つの作成物の意味と流れを整理し、小さなチームが最初のスプリントを始めるまでの手順を説明します。スプリントの作業をチームで見える形にする道具の選択肢の1つとして、カンバンのボードを使えるPinatecaも紹介します。

スクラムとは何か

スクラムの定義は、ケン・シュエイバー氏とジェフ・サザーランド氏が公開しているスクラムガイドに書かれています。現在の版は2020年11月版で、日本語訳も公開されています。日本語版では、スクラムを次のように定義しています。

スクラムとは、複雑な問題に対応する適応型のソリューションを通じて、人々、チーム、組織が価値を生み出すための軽量級フレームワークである。 出典: scrumguides.org

「フレームワーク」とは、ここでは仕事を進めるための枠組みのことです。スクラムガイドは、スクラムを「意図的に不完全なもの」だとし、細かい手順を決めるのではなく、チームの役割や関わり方の決まりだけを定めていると説明しています。具体的なやり方は、チームが自分たちで決めて改善していく前提です。

スクラムガイドでは、スクラムの流れを、次の4つの文で簡単に説明しています。

  1. プロダクトオーナーは、複雑な問題に対応するための作業をプロダクトバックログに並べる
  2. スクラムチームは、スプリントで選択した作業を価値のインクリメントに変える
  3. スクラムチームとステークホルダーは、結果を検査して、次のスプリントに向けて調整する
  4. 繰り返す

言葉を置き換えると、「やることの一覧を優先順に並べ、短い期間で使える成果を作り、関係者と一緒に確かめて、次の期間の計画を直す。これをくり返す」ということです。

スクラムの生まれた経緯

スクラムガイドによると、スクラムは1990年代初めにシュエイバー氏とサザーランド氏によって作られ、1995年の学会で2人が共同で発表しました。スクラムガイドの最初の版は2010年に書かれ、その後、改訂を重ねて2020年版に至っています。

開発者以外も使える

スクラムガイドは、スクラムが生まれたソフトウェア開発の分野を超えて、複雑な作業が必要なさまざまな分野で使われていると書いています。「開発者」という言葉を使っているのは単純にするためで、開発者以外を排除しているわけではない、という説明もあります。営業資料を作るチームでも、Webサイトを運営するチームでも、同じ枠組みを使えます。

アジャイルとスクラムの違い

スクラムと一緒によく出てくる言葉が「アジャイル」です。2つの関係を、システム会社のSKYが運営するメディアでは次のように説明しています。

一方、スクラムとはアジャイル開発におけるフレームワークの一つです。アジャイル開発が開発手法の概念であるのに対して、スクラムはその概念を実現する具体的な手法であると言えます。いくつかあるアジャイル開発の手法の中でも、スクラムは特に使用頻度が高い手法です。 出典: skygroup.jp

アジャイルは、「計画を最初に固めきらず、短い期間で作って確かめることをくり返す」という考え方の名前です。スクラムは、その考え方を、役割、イベント、作成物という具体的な決まりに落とし込んだ進め方です。料理にたとえれば、アジャイルは「味見をしながら調整する」という料理の考え方で、スクラムは「何分ごとに、誰が味見をして、どこに記録するか」まで決めたレシピにあたります。

カンバンとの違い

アジャイルの進め方には、スクラムのほかにカンバンもよく使われます。カンバンは、仕事を1件ずつカードにして、「やること」「進行中」「完了」のような列に並べ、カードを動かしながら進める方法です。

比べる点 スクラム カンバン
期間の区切り 1か月以内のスプリントで区切る 区切らず、仕事の流れを続けて見る
役割 プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発者の3つを決める 決まった役割はない
決まった場 計画、毎日の打ち合わせ、レビュー、振り返りの4つ 決まった場はない(チームで決める)
向いている仕事 目標に向けて中身を少しずつ作っていく仕事 次々と入ってくる仕事をさばく仕事

スクラムのチームが、スプリントの中の作業を管理するためにカンバンのボードを使うこともよくあります。スクラムとカンバンは、どちらか一方しか使えないものではありません。

スクラムを支える考え方

スクラムガイドでは、スクラムの土台になる考え方を「経験主義」と「リーン思考」だと説明しています。経験主義とは、知識は経験から生まれ、物事は実際に見たことをもとに決める、という考え方です。リーン思考とは、むだを省き、本当に大事なことに集中する、という考え方です。

3つの柱:透明性、検査、適応

経験主義を実現するために、スクラムでは次の3つを柱にしています。

  • 透明性:仕事の状況が、作業する人にも、その成果を受け取る人にも見えていること
  • 検査:仕事の成果と目標に向けた進み具合を、頻繁に確かめること
  • 適応:確かめた結果、ずれがあれば、できるだけ早くやり方を直すこと

この3つは順番につながっています。状況が見えていなければ確かめられず、確かめなければ直すべきところが分かりません。スクラムガイドでも、透明性によって検査が可能になり、検査によって適応が可能になると書かれています。

5つの価値基準

スクラムガイドは、スクラムが成功するかどうかは、次の5つの価値基準を実践できるかどうかにかかっているとしています。

価値基準 意味
確約(Commitment) チームのゴールを達成し、お互いを支えることを約束する
集中(Focus) ゴールに向けて、スプリントの作業に集中する
公開(Openness) 作業や課題を、チームと関係者に隠さず見せる
尊敬(Respect) お互いを能力のある独立した個人として尊重する
勇気(Courage) 正しいことをする勇気や、難しい問題に取り組む勇気を持つ

役割やイベントの形だけをまねても、この価値基準がチームに根づいていなければ、スクラムはうまく機能しません。たとえば、遅れや問題を隠す雰囲気のチームでは、透明性が失われ、毎日の打ち合わせも形だけになります。

スクラムチームの3つの役割

スクラムガイドでは、スクラムチームを、スクラムマスター1人、プロダクトオーナー1人、複数人の開発者で構成するとしています。チームの中に上下の関係や小さなチームはなく、通常は10人以下とされています。チームが大きくなりすぎる場合は、同じプロダクトに取り組む複数のチームに分けることを検討するよう書かれています。

プロダクトオーナー

プロダクトオーナーは、チームが作るものの価値を最大にすることに責任を持つ人です。具体的には、やることの一覧(プロダクトバックログ)を作り、優先順に並べ、その中身をチームに分かるように伝えます。スクラムガイドでは、プロダクトオーナーは1人の人間であって、委員会ではないとされています。関係者が一覧を変えたいときは、プロダクトオーナーを説得する必要があります。

開発以外の仕事に置き換えると、「どの仕事を先にやるか」を最終的に決める人です。決める人が複数いると、チームは誰の指示に従えばよいか分からなくなります。

スクラムマスター

スクラムマスターは、スクラムがスクラムガイドどおりに機能するよう支える人です。チームのメンバーへの助言、作業を妨げている問題を取り除く働きかけ、イベントが時間どおりに開かれて役に立つものになるようにすること、プロダクトオーナーや組織への支援などを担います。スクラムガイドでは、スクラムマスターはチームと組織に奉仕する真のリーダーだとされています。

注意したいのは、スクラムマスターは作業の指示を出す管理者ではないということです。誰が何をいつどうやるかはチームが自分たちで決め、スクラムマスターはそれがうまく回るよう支えます。

開発者

開発者は、スプリントごとに使える成果を作る人たちです。スクラムガイドでは、開発者は、スプリントの計画を作ること、品質の基準(完成の定義)を守ること、ゴールに向けて毎日計画を直すこと、お互いに専門家として責任を持つことに責任を持つとしています。ソフトウェアを書く人に限らず、デザイナー、ライター、調査をする人なども、チームで成果を作るなら開発者にあたります。

スプリントと4つのイベント

スクラムの中心にあるのが、スプリントです。スクラムガイドでは、スプリントを「スクラムにおける心臓の鼓動」と呼び、1か月以内の決まった長さとし、前のスプリントが終わったらすぐに次のスプリントが始まるとしています。スプリントの中では、次の4つのイベントを開きます。

イベント 目的 時間の上限(スプリントが1か月の場合)
スプリントプランニング このスプリントで何をなぜやるかを決める 最大8時間
デイリースクラム ゴールに向けた進み具合を確かめ、その日の計画を直す 毎日15分
スプリントレビュー 成果を関係者と確かめ、次にやることを話し合う 最大4時間
スプリントレトロスペクティブ やり方を振り返り、改善することを決める 最大3時間

スプリントが1か月より短ければ、それぞれの時間も短くするのが一般的だとされています。2週間のスプリントなら、計画は4時間ほど、レビューは2時間ほど、振り返りは1時間半ほどが目安になります。

スプリントプランニング

スプリントの最初に開く、計画を立てる場です。スクラムガイドでは、3つのテーマを話し合うとしています。1つ目は「このスプリントはなぜ価値があるのか」で、チーム全体でスプリントゴール(このスプリントの目的)を決めます。2つ目は「このスプリントで何ができるのか」で、開発者がやることの一覧から作業を選びます。3つ目は「選んだ作業をどのように成し遂げるのか」で、作業を1日以内の小さな作業に分けて計画を立てます。

デイリースクラム

開発者のための、毎日15分の打ち合わせです。スプリント期間中は毎日、同じ時間と場所で開きます。スクラムガイドの2020年版では、それまでの版にあったデイリースクラムで答える決まった質問が削られ、ゴールに向けた進み具合に焦点をあてて、その日の実行できる計画を作る限り、やり方はチームで選べるとされています。

スプリントレビュー

スプリントの最後から2番目に開く場で、作った成果を関係者に見せ、何が達成され、状況がどう変わったかを一緒に確かめます。スクラムガイドでは、レビューを発表会だけで終わらせず、関係者と一緒に次にやることを考える作業の場にするよう書かれています。

スプリントレトロスペクティブ

スプリントの最後に開く振り返りの場です。人、やり取り、進め方、道具、品質の基準について、スプリントがどう進んだかを確かめ、うまくいったこと、起きた問題とその解決を話し合い、最も役立つ改善を決めます。振り返りが終わると、そのスプリントは終了します。

3つの作成物と、それぞれの確約

スクラムでは、仕事や価値を表す3つのもの(作成物)を使います。スクラムガイドでは、それぞれに目指す基準となる「確約」が1つずつ付いています。

作成物 中身 確約
プロダクトバックログ プロダクトをよくするために必要なことを、優先順に並べた一覧 プロダクトゴール(プロダクトが目指す将来の姿)
スプリントバックログ スプリントゴール、そのスプリントで選んだ作業、作業の計画をまとめたもの スプリントゴール(そのスプリントの唯一の目的)
インクリメント 完成した成果。それまでの成果に積み上がっていく 完成の定義(品質の基準を満たした状態の決まり)

プロダクトバックログ

プロダクトバックログは、チームがやることの唯一の情報源です。スクラムガイドでは、一覧の中身を、より小さく詳しく分けていく作業(リファインメント)を続けることで、スプリントプランニングで選べる状態にしておくとしています。

スプリントバックログ

スプリントバックログは、開発者による、開発者のための計画です。スプリントの途中で分かったことに合わせて、期間中ずっと更新していきます。作業が予想と違うことが分かった場合は、スプリントゴールに影響しないように、プロダクトオーナーと話し合って範囲を調整します。

インクリメントと完成の定義

インクリメントは、プロダクトゴールに向けた具体的な一歩です。スクラムガイドでは、完成の定義を満たさない作業は、インクリメントの一部と見なせないとしています。「ほぼ終わっている」作業は、完成とは扱いません。開発以外の仕事なら、「上司の確認が済み、公開の手続きまで終わった状態」のように、どこまでやったら完成とするかを最初に決めておきます。

スクラムのメリットとデメリット

メリット

スクラムを取り入れると、次のような良いことがあります。

  • 1か月以内の区切りで成果を見せるので、方向のずれに早く気づける
  • 毎日の打ち合わせで、遅れや問題がその日のうちに見つかる
  • 振り返りを毎回開くので、チームのやり方が少しずつ良くなる
  • 優先順位を決める人が1人に決まっているので、指示が食い違わない
  • 誰が何をするかをチームで決めるので、メンバーが自分の仕事として取り組みやすい

デメリット

一方で、次のような難しさもあります。

  • 最終的に何がいつできるかを、最初に約束しにくい
  • プロダクトオーナーが忙しくて関われないと、チームが動けなくなる
  • 決まったイベントが多いので、形だけ取り入れると会議の時間が増えただけになる
  • チームの人数が多い、メンバーがほかの仕事と掛け持ちしている、といった状態では回しにくい

スクラムガイドには、スクラムの一部だけを取り入れることもできるが、それはスクラムとは言えない、という一文があります。役割やイベントを都合よく省くと、スクラムの利点も失われやすくなります。まずは決まりどおりに試してみて、うまくいかない点を振り返りで直していくのが、スクラムガイドが勧めている進め方です。

小さなチームで最初のスプリントを始める手順

ここからは、4人から8人ほどのチームが、最初のスプリントを始めるまでの手順を説明します。

ステップ1:役割を決める

プロダクトオーナーとスクラムマスターを1人ずつ決めます。小さなチームでは、2つの役割をどちらかが開発者と兼ねることもあります。ただし、プロダクトオーナーとスクラムマスターを同じ人が兼ねると、優先順位を決める人と進め方を見守る人が同じになり、無理な計画を止める人がいなくなるので、できれば別の人にします。

ステップ2:プロダクトゴールを1文で書く

「3か月後に、新しいサービスの申し込みの受付をWebサイトで始められる状態にする」のように、チームが目指す姿を1文で書きます。

ステップ3:プロダクトバックログを作る

ゴールに向けて必要なことをすべて書き出し、プロダクトオーナーが優先順に並べます。上のほうの項目は、スプリントで終えられる大きさに分けておきます。

ステップ4:スプリントの長さと完成の定義を決める

初めてなら、スプリントは1週間か2週間がおすすめです。あわせて、何をもって完成とするかを、チームで書き出しておきます。

ステップ5:最初のスプリントプランニングを開く

スプリントゴールを決め、一覧の上から作業を選び、1日以内の作業に分けます。選んだ作業は、ボードの「やること」の列に並べます。

ステップ6:毎日のデイリースクラムを始める

毎日決まった時間に15分以内で集まり、ゴールに向けた進み具合と、その日の計画を確かめます。全員が同じ場所にいない場合は、オンラインの会議でも構いません。

ステップ7:レビューと振り返りで締める

スプリントの終わりに、成果を関係者に見せてレビューを開き、そのあとチームだけで振り返りを開きます。振り返りで決めた改善は、次のスプリントで必ず1つ試します。

開発以外のチームでの、2週間のスプリントの例

スクラムの流れを具体的に思い描けるよう、5人で会社のWebサイトを運営しているチームが、2週間のスプリントを回す例を紹介します。

チームのプロダクトゴールは、「半年後に、Webサイトから届く相談の件数をいまの2倍にする」です。プロダクトオーナーは営業の責任者、スクラムマスターはWeb担当のリーダーが務め、ライター、デザイナー、営業担当の3人が開発者として作業します。

1日目:スプリントプランニング

月曜日の午前中に2時間ほど集まり、まずスプリントゴールを「料金のページを読んだ人が、迷わず相談の画面に進めるようにする」と決めます。次に、プロダクトバックログの上から、「料金のページの説明を書き直す」「料金の例を3つ載せる」「相談の画面へのボタンの位置を見直す」「相談の画面の入力の項目を減らす」の4つを選びます。それぞれを、「現在の文章を読んで分かりにくい点を書き出す」「新しい文章の下書きを作る」「営業担当に内容を確かめてもらう」のように、1日以内で終わる作業に分けて、ボードに並べます。

2日目から9日目:デイリースクラムと作業

毎朝9時半から15分、オンラインで集まり、ボードを見ながら、スプリントゴールに向けて進んでいるか、今日どの作業を進めるか、止まっている作業はないかを確かめます。たとえば5日目に、「料金の例に載せる金額を、経理に確かめないと決められない」という問題が出たら、スクラムマスターがその日のうちに経理の担当者との打ち合わせを入れ、作業が止まらないようにします。

10日目の午前:スプリントレビュー

新しくなった料金のページと相談の画面を、社長と営業部の何人かに見てもらいます。「料金の例の2つ目が、実際の依頼に多い形と違う」という意見が出たので、プロダクトオーナーはその修正をプロダクトバックログに加え、次のスプリントで優先して扱うことを決めます。公開したあとの相談の件数は、次のスプリントのレビューで確かめることにします。

10日目の午後:スプリントレトロスペクティブ

チームだけで1時間ほど振り返ります。「毎朝ボードを見ることで、誰が何をしているかが分かるようになった」という良かった点と、「営業担当がほかの仕事で忙しく、内容の確認が遅れがちだった」という問題点が出ます。次のスプリントでは、営業担当の確認の時間を、毎日の午後に30分確保することを決めます。

このように、スクラムのイベントは、開発以外の仕事でもそのまま使えます。大事なのは、2週間ごとに必ず成果を見せて意見をもらい、やり方を1つずつ直していくことです。

よくあるつまずきと、その対処

スクラムを始めたチームが最初につまずきやすい点と、その対処を紹介します。

デイリースクラムが報告会になる

毎日の打ち合わせが、メンバーが1人ずつ上司に報告する場になってしまうことがあります。デイリースクラムは開発者のための場で、目的はスプリントゴールに向けてその日の計画を直すことです。報告を聞く人のための場にしないよう、話す相手は上司ではなくチームの仲間だと決めておきます。細かい相談は、打ち合わせのあとに関係する人だけで行います。

スプリントの途中で作業が次々と追加される

上司や関係者から、スプリントの途中で急な依頼が次々と入り、計画が崩れることがあります。スクラムガイドでは、スプリント中はスプリントゴールの達成を危うくする変更はしないとされています。急な依頼は、まずプロダクトオーナーが受け取り、プロダクトバックログに加えて、次のスプリントで扱うかどうかを判断します。本当に急ぐ依頼だけを例外として扱う決まりを作っておくと、チームが振り回されにくくなります。

振り返りで同じ問題が毎回出る

振り返りで問題点を出し合っても、何も変わらないまま次のスプリントでも同じ問題が出る、ということがあります。振り返りでは、改善することを1つに絞り、誰がいつまでに何をするかまで決めて、次のスプリントの作業に加えます。次の振り返りの最初に、その改善を試した結果を確かめるようにすると、振り返りが形だけになりにくくなります。

見積もりが毎回外れる

最初のうちは、スプリントでどれだけの作業を終えられるかの見積もりが外れるのが普通です。スクラムガイドでも、開発者が過去の自分たちの実績や、今回使える時間、完成の定義への理解を深めていけば、予測に自信が持てるようになると書かれています。終えられた作業の量をスプリントごとに記録しておき、次の計画の目安にします。

スプリントの作業を見える形にする道具

スクラムを始めるのに、特別な道具は必要ありません。全員が同じ部屋にいるなら、ホワイトボードに「やること」「進行中」「完了」の列を書き、付箋を貼って動かすだけで、スプリントバックログとして十分に使えます。

一方で、メンバーが在宅で働いている、業務委託のメンバーが加わっている、プロダクトバックログの項目が増えて表では管理しきれない、といった状態になると、オンラインで共有できる道具があると楽になります。

スプリントの作業をボードで回す道具の選択肢の1つが、Pinatecaです。公式サイトによると、Pinatecaにはカンバン、ガント、カレンダー、リスト、ディスカッション、グリッド、時間割、リソースの8種類のボードがあります。カンバンのボードで、プロダクトバックログやスプリントバックログの項目をカードにして列に並べ、デイリースクラムではボードを見ながら進み具合を確かめる、という使い方ができます。カードには担当と締切を付けられ、カードごとのコメントとワークスペースごとのチャットで、作業についての話し合いをその作業のすぐ隣に残せます。カスタムフィールドで、見積もりの工数や優先度の項目を追加することもできます。5人までのチームならボード10個まで無料で、6人目または11個目のボードからはスタンダードプラン(1人あたり月額500円・税抜、年払いなら1人あたり月額400円)になります。

Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

どの道具を使う場合でも、ボードの列の名前と完成の定義を、チームで最初にそろえておくことが大切です。「完了」の列に動かしてよいのは完成の定義を満たした作業だけ、と決めておくと、スプリントレビューで見せる成果がはっきりします。

スクラムの経験が生きる仕事

最後に、スクラムの知識や経験がどんな仕事で求められているかを見ておきます。

スクラムが最もよく使われているのは、ソフトウェアの開発です。アプリケーション開発のお仕事では、Webアプリやスマートフォンのアプリを作る仕事の内容と、求められる技術を紹介しています。業務委託で開発のチームに加わる場合も、スプリントプランニングやデイリースクラムに参加することが多いので、スクラムの言葉と流れを知っておくと、最初から話についていきやすくなります。

デザインの仕事でも、スプリントごとに画面の案を見せ、レビューで意見をもらって直す進め方がよく使われます。デザイナーの年収・単価相場では、デザイナーの年収と、業務委託で受けるときの単価の目安を紹介しています。

研究や調査の仕事でも、スクラムは使われています。スクラムガイドには、スクラムが広まったことで、開発者だけでなく、研究者、アナリスト、科学者などの専門家もスクラムを利用するようになったと書かれています。研究は、やってみないと結果が分からない仕事の代表で、仮説を立てて試し、結果を見て次の手を決める流れは、スプリントのくり返しとよく似ています。研究者の年収・単価相場では、研究職の年収の目安と、業務委託で調査や分析を受けるときの単価の目安を紹介しています。調査の仕事を外部から受ける場合も、2週間ごとに途中の結果を依頼主に見せ、次に調べることを一緒に決める形にすると、最後になって「求めていた調査と違った」という事態を防げます。

AIを業務に取り入れる支援の仕事も、試して確かめることのくり返しなので、スクラムの考え方と相性が良い分野です。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、企業の業務にAIを取り入れる支援の仕事を紹介しています。

2004年から在宅ワークとフリーランスの仲介を続けてきた運営者として見てきた限りでは、在宅のメンバーを交えたチームが長く続いているときには、作業の状況がいつでも見える場所があり、決まった時間に短く話す習慣があり、終わったあとに振り返る機会がある、という共通点があります。スクラムの3つの柱である透明性、検査、適応は、離れて働くチームにこそ役立つ考え方です。また、仲介の手数料がかからない直接の取引では、同じ予算でスプリントを1回多く回せることもあり、受ける側の手取りも厚くなります。短い期間で何度もやり取りするスクラムにとって、1回ごとの取引の負担が軽いことは大きな意味を持ちます。

よくある質問

Q. スクラムとは、簡単に言うと何ですか?

1か月以内の短い期間を区切って、計画、作業、確認、振り返りをくり返しながら、チームで価値のあるものを作っていくための枠組みです。プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発者の3つの役割と、4つのイベント、3つの作成物が決められています。考案した2人が公開しているスクラムガイドに、定義と決まりが書かれています。

Q. スクラムとアジャイルの違いは何ですか?

アジャイルは、計画を最初に固めきらず、短い期間で作って確かめることをくり返すという考え方の名前です。スクラムは、その考え方を実現するための具体的な進め方の1つで、役割、イベント、作成物といった決まりを持っています。アジャイルの進め方にはスクラムのほかにカンバンなどもあり、組み合わせて使うこともあります。

Q. スクラムのチームは何人くらいが適していますか?

スクラムガイドでは、スクラムチームは通常10人以下とされています。小さなチームのほうがやり取りがうまくいき、生産性が高いとも書かれています。チームが大きくなりすぎる場合は、同じプロダクトに取り組む複数のチームに分けることを検討します。小さな会社なら、4人から8人ほどで始めると回しやすくなります。

Q. スクラムは開発以外の仕事にも使えますか?

使えます。スクラムガイドにも、スクラムはソフトウェアの開発を超えて、さまざまな分野で使われていると書かれており、「開発者」という言葉は開発者以外を排除するものではないと説明されています。Webサイトの運営、企画、マーケティング、調査など、目標に向けて中身を少しずつ作り、確かめながら進める仕事に向いています。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年8月23日最終更新:2026年10月19日
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@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。

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