サービス付き高齢者向け住宅はきついと言われる理由|負担が集まる場面と、続く人のやり方

中西 直美
中西 直美
サービス付き高齢者向け住宅はきついと言われる理由|負担が集まる場面と、続く人のやり方

この記事のポイント

  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の仕事がきついと言われるのは
  • 元気な高齢者向けの仕組みのまま介護度の高い入居者が増え
  • 少ない人数で見守りと細切れの訪問介護を回すからです

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の仕事がきつい。そう感じているあなたは、弱いわけではありません。

「サ高住は元気な高齢者の住まいだから、特養より楽だと思っていた」。このご相談、本当に多いんです。ところが実際に働いてみると、夜は少ない人数で建物全体を見て、日中は時間に追われながら部屋から部屋へ回る。気づけば、休憩もろくに取れないまま1日が終わっている。

そのきつさには、はっきりした理由があります。サ高住という住まいの仕組みと、そこで実際に暮らしている方の状態との間に、ずれがあるからです。

この記事では、サ高住がきついと言われる理由を仕組みから整理し、負担が集まる場面、心と体が出しているサイン、長く続いている人のやり方、そして職場を選び直すときの見方までを、順番にお話しします。

サ高住がきつくなりやすいのは、仕組みと実態がずれているから

まず、サ高住がどんな住まいとして作られたのかを確かめておきます。ここが分かると、「自分の要領が悪いからきつい」という思い込みが、少しほどけるはずです。

主な利用対象者は基本的に元気な高齢者で、サービス付き高齢者向け住宅の数は約28万戸と毎年増加しています(※令和5年2月時点)。 出典: kaigo.benesse-style-care.co.jp

サ高住は、もともと「自分のことはある程度自分でできる高齢者が、安心して暮らせる賃貸住宅」として作られた制度です。登録の基準で必ず提供することになっているのは、安否確認と生活相談の2つだけです。

そのため、住宅として求められる人員の決まりは、介護施設に比べるとずっと緩やかです。ケアの専門家が少なくとも日中は常駐し、夜間は緊急通報装置での対応でもよい、という形になっています。

ところが、数が約28万戸まで増える中で、実際に暮らしている方の状態は変わってきました。

・入居したときは元気でも、年を重ねて要介護度が上がっていく ・特養の入所待ちの間の住まいとして、介護度の高い方が入居する ・病院から退院してすぐ、医療的なケアが必要な状態で入居する ・看取りまで住み続けたいという希望が増える

入居者を見ると、要介護の方が多数を占めるサ高住は珍しくありません。つまり、「元気な方の住まい」という前提の人員体制で、「介護が必要な方の暮らし」を支えている住宅が少なくないのです。

これが、サ高住のきつさの根っこにあります。

介護付き有料老人ホームであれば、要介護の入居者3人に対して介護・看護職員1人以上という基準があります。多くのサ高住(一般型)には、住宅としてのそうした配置基準がありません。介護は、入居者が個別に契約する訪問介護やデイサービスが担い、その事業所ごとの基準で人が配置されます。

制度の上では筋が通っていても、同じ建物の中で働く人から見ると、「人は少ないのに、やることは介護施設と変わらない」と感じる場面が生まれます。あなたが感じているきつさは、この構造から来ている部分が大きいのです。

負担が集まる場面1:時間で区切られた訪問介護

一般型のサ高住で、併設の訪問介護事業所の職員として働く場合、いちばん負担を感じやすいのが「時間で区切られた介助」です。

訪問介護は、ケアプランにもとづいて「何時から何分間、何をするか」が決まっています。同じ建物の中なので移動の時間はほとんどかかりません。その分、1日に何件もの訪問を、ほとんど隙間なく詰めて回ることになります。

たとえば、日勤帯の流れはこんなふうになります。

時間帯 主な動き きつさを感じやすい点
起床の介助、排せつ、着替え、服薬の確認を部屋ごとに回る 1件の時間が短く、入居者を急かしてしまう
午前 入浴介助、掃除や洗濯の生活援助 入浴が長引くと後の訪問が全部ずれる
食事の介助、配膳、服薬 同じ時間帯に訪問が重なる
午後 排せつ介助、通院の準備、記録 記録を書く時間が確保されていない
夕方 夕食、服薬、就寝の準備 日勤の終わりに訪問が集中する

1件が15分や20分といった短い時間で組まれていることもあります。その時間の中で、入居者の体調を確かめ、介助をして、記録を残す。

「本当はもう少し話を聞いてあげたいのに、次の部屋に行かなければならない」。このもどかしさが、体の疲れ以上に心をすり減らしていく、というお話をよく伺います。

ここで知っておいてほしいのは、時間どおりに進まないのは、あなたの手際の問題とは限らないということです。入居者の体調は毎日違います。時間の枠が現実に合っていないなら、それはケアプランや訪問の組み方を見直すべきサインです。

どの訪問がいつも時間を超えているのかを記録しておき、サービス提供責任者やケアマネジャーに伝えてください。1人で時間を削って帳尻を合わせ続けると、事故や燃え尽きにつながります。

負担が集まる場面2:少人数の夜間と、看取り

サ高住のきつさとして、夜勤を挙げる方はとても多いです。

一般型では、夜間の人員配置の決まりが緩やかなため、数十室の住宅を夜勤者1人か2人で見ていることがあります。夜間の訪問介護の予定、ナースコールや緊急通報への対応、巡回、急な体調の変化。これを少ない人数で受け止めます。

入居一時金・敷金・礼金がすべて0円のサービス付き高齢者向け住宅「アンジェス瀬田」は、24時間体制の安否確認に加え、訪問介護・訪問看護・居宅介護支援を併設し、看取りまで対応できる安心の暮らしを提供いたします。 出典: minnanokaigo.com

このように、訪問看護を併設し、看取りまで対応するサ高住が増えています。入居者や家族にとっては心強い仕組みです。

一方で働く側から見ると、「住まい」でありながら、人生の最期に立ち会う場面が日常の中にある、ということでもあります。

夜間に入居者の呼吸が変わったとき、訪問看護のオンコールに電話をする。家族に連絡をする。医師の到着を待つ。その間、ほかの入居者のナースコールも鳴ります。少人数の夜勤で看取りの場面に居合わせることは、体力だけでなく、心にとても大きな負担をかけます。

看取りのあと、気持ちが追いつかないまま次の勤務に入る方も少なくありません。「悲しいと感じる自分は、プロとして失格なのでは」と思う方もいます。

大丈夫ですよ。悲しみを感じるのは、その方と真剣に向き合ってきた証拠です。

看取りに関わった職員が、気持ちを話せる場(カンファレンスや振り返りの時間)を設けている職場もあります。そうした場がない場合でも、信頼できる同僚と、その方との思い出を少し話すだけで、心の整理は進みます。

負担が集まる場面3:「住まいだから」の期待と、線引きの難しさ

サ高住ならではのきつさとして、見落とされがちなのが「どこまでが自分の仕事か」が分かりにくいことです。

サ高住は、入居者の自宅です。入居者や家族にとっては、「困ったことがあれば、建物にいる職員さんに頼めばいい」という感覚があります。

・電球を替えてほしい ・宅配便を部屋まで運んでほしい ・病院に一緒に行ってほしい ・夜中に眠れないので話し相手になってほしい

どれも、気持ちとしてはよく分かるお願いです。けれど、訪問介護で提供できるのはケアプランに入っているサービスだけで、住宅の職員が担うのは安否確認と生活相談が中心です。

つまり、頼まれごとの多くは、本来は誰の仕事でもない「すき間」にあります。

責任感の強い職員ほど、このすき間を自分で埋めようとします。1件ずつは数分で済むことでも、積み重なれば大きな負担になります。しかも、引き受ける職員と断る職員がいると、「あの人はやってくれたのに」という比較が生まれ、職員同士の関係まで苦しくなっていきます。

家族からの期待が強い場合もあります。費用を払って入居しているので、「見守りがあるのに、なぜ転倒に気づかなかったのか」と言われることがあります。

サ高住は、入居者が自由に暮らす住まいです。24時間ずっと一人ひとりのそばにいることはできません。その前提を、職員自身が知っておくことが、自分を責めすぎないためにとても大切です。

この線引きは、あなた一人で決めることではありません。職場として「どのお願いは受け、どのお願いは相談員につなぐか」を決めてもらうよう、リーダーや管理者に相談してください。基準が決まれば、断ることへの罪悪感もずっと軽くなります。

負担が集まる場面4:自由な暮らしと、転倒や事故への不安

サ高住で働く方から、よく聞くもうひとつのきつさがあります。それは「いつ何が起きるか分からない」という緊張です。

サ高住の入居者は、自分の部屋で、自分のペースで暮らしています。夜中にトイレに起きる方、一人で散歩に出る方、自分で料理をする方もいます。自由に暮らせることは、サ高住のいちばんの良さです。

一方で、特養のように職員が常に近くで見守っている環境ではありません。転倒、火の不始末、体調の急変に、職員がすぐ気づけないこともあります。

安否確認の方法は住宅によって違います。1日に1回以上、職員が部屋を訪ねて声をかける。水道やドアの開閉のセンサーで生活の動きを確かめる。緊急通報のボタンを部屋やトイレに置く。いずれも大切な仕組みですが、24時間すべてを見ていられるわけではありません。

それでも、転倒が起きると「なぜ気づかなかったのか」という声が向けられることがあります。家族からだけでなく、職場の中から出ることもあります。

こうした経験が重なると、「また何か起きたらどうしよう」と、勤務中ずっと気が張りつめた状態になります。休憩中もナースコールの音が気になって落ち着かない。家に帰っても、あの方は大丈夫だったかと考えてしまう。

この「ずっと気が抜けない状態」は、体を使う介助と同じくらい、心のエネルギーを消耗させます。

ここで大切なのは、事故を「誰か一人の見落とし」にしない職場かどうかです。事故やヒヤリとした出来事を報告書に残し、次にどう防ぐかを話し合う仕組みがある職場では、個人が責められることは少なくなります。転倒が多い方にはセンサーマットを置く、夜間の巡回の時間を変える、家族と転倒のリスクについて事前に話しておくといった対策も、個人ではなく職場として考えることです。

あなたが一人で全員を守ろうとする必要はありません。起きたことを正直に報告し、仕組みで防ぐ話し合いに参加する。それが、専門職としての誠実な関わり方です。

職員同士の関係が、きつさを大きくするとき

サ高住のきつさは、仕事の量だけで決まるわけではありません。一緒に働く人との関係が、負担を軽くも重くもします。

一般型のサ高住には、立場の違う職員が同じ建物の中にいます。

・住宅の職員(安否確認、生活相談、見守り) ・併設の訪問介護事業所のヘルパー(ケアプランにもとづく介助) ・訪問看護の看護師(医療的なケア、夜間のオンコール) ・デイサービスの職員(日中の通所)

同じ入居者を見ているのに、雇用主や役割、決まりごとが違います。住宅の職員からは「ヘルパーさんは時間になったら次に行ってしまう」と見え、ヘルパーからは「住宅の職員さんは介助を手伝ってくれない」と見える。どちらも、それぞれの決まりの中で精一杯やっているのに、すれ違いが生まれます。

こういうご相談、とても多いんです。「自分ばかりが損な役回りをしている気がする」と。

すれ違いの多くは、相手の仕事の決まりが見えていないことから起きます。訪問介護は、ケアプランにない介助をすると、制度上の問題になることがあります。住宅の職員は、身体介護を担う立場ではないことがあります。お互いの「できないこと」を知るだけで、相手への見方は少し変わります。

職場として、住宅と併設事業所が一緒に話す場を月に1回でも持っているかどうかは、働きやすさを大きく左右します。そうした場がないなら、「入居者の情報を共有する時間を作れないか」と提案してみる価値があります。

また、人手が足りない職場では、休みの人の分を誰が埋めるかで、不満がたまりやすくなります。いつも同じ人が急な休みの穴埋めをしている状態は、その人を追いつめます。もしあなたがその立場なら、「今月は何回代わりに入ったか」を数えておき、リーダーに伝えてください。数字で伝えると、個人の不満ではなく、人の配置の問題として話を進めやすくなります。

今の職場で相談するときの進め方

きつさを減らすために、まずは今の職場で相談してみたい。そう思ったときの進め方をまとめます。

誰に相談するかを決める

相談の相手は、困りごとの中身によって変わります。

困りごとの中身 相談する相手
訪問の時間が足りない サービス提供責任者、ケアマネジャー
夜勤の人数が足りない 管理者、施設長
入居者や家族からの頼まれごと 生活相談員
職員同士の関係 リーダー、管理者、法人の相談窓口
心や体の不調 産業医、ストレスチェックの面談、医療機関

伝えるときは、事実と数字を中心にする

「きつい」「もう無理」という気持ちは、とても大切なサインです。けれど、相談を受ける側が動きやすいのは、事実と数字です。

「先月、訪問が時間を超えた日が何日あった」「夜勤中に休憩がほとんど取れなかった日が何回あった」「急な休みの穴埋めに何回入った」。こうして伝えると、改善につなげやすくなります。

休憩と労働時間のルールを知っておく

労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えることが決められています。休憩は、仕事から完全に離れられる時間のことです。ナースコールが鳴ったらすぐ対応しなければならない状態は、休憩とは言いにくい場合があります。

夜勤中の休憩や仮眠が実際には取れていないなら、そのことも記録して相談してください。職場の中で解決しないときは、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談することもできます。

相談することは、職場を責めることではありません。あなたが長く働き続けるため、そして入居者に安全なケアを届けるための、前向きな行動です。

心と体が出している「限界のサイン」

きつい状態が続くと、心と体は少しずつサインを出します。こんな変化がないか、一度立ち止まって確かめてみてください。

分類 サインの例
休みの日も疲れが抜けない、夜勤明けに眠れない、腰や肩の痛みが続く
出勤前に涙が出る、ナースコールの音を思い出して動悸がする
考え方 「自分がいないと回らない」と休めない、入居者に優しくできない自分を責める
行動 食欲がない、または食べすぎる、お酒の量が増える、趣味が楽しめない

心理学では、人のために力を尽くし続けた結果、心のエネルギーが空っぽになる状態を「燃え尽き症候群(バーンアウト)」と呼びます。つまり、がんばりすぎた人ほどなりやすい状態です。

特に「入居者に優しくできなくなった」と感じたときは、要注意のサインです。これは、あなたの性格が変わったのではなく、心の余裕が限界まで削られているということです。

こうしたサインが2週間以上続くときは、早めに医療機関に相談してください。職場の産業医やストレスチェックの面談、自治体のこころの相談窓口、厚生労働省の相談窓口の案内も使えます。

働く人の心の健康を支える仕組みとして、常時50人以上の労働者がいる事業場にはストレスチェックの実施が義務づけられています。受けたことがあるなら、その結果を見返してみるのもひとつの方法です。

あなたは一人じゃありません。つらさを言葉にすることは、弱さではなく、長く働き続けるための大切な技術です。

続いている人がやっていること

では、サ高住で長く働き続けている人は、何が違うのでしょうか。私が伺ってきたお話や、介護の現場で続けている方の工夫をまとめると、共通点が見えてきます。

1. 仕事の範囲を、言葉で確かめている

続いている人は、「これは私の仕事ですか」を遠慮なく確かめています。頼まれごとがあったら、その場ですぐに引き受けず、「確認してからお返事しますね」と一度受け止める。そして相談員やリーダーに上げる。

この一呼吸があるだけで、すき間の仕事を一人で抱え込むことが減ります。

2. 時間の超過を、記録に残している

訪問が時間どおりに終わらない日が続いたら、どの方の、どの介助で、何分超えたのかを記録しています。感覚ではなく記録で伝えると、ケアプランや訪問の組み方の見直しにつながりやすくなります。

「自分の手際が悪い」と責める代わりに、「この枠は現実に合っていない」と伝える。この切り替えができる人は、長く続きます。

3. 夜勤の前後に、自分を回復させる時間を決めている

夜勤明けは、すぐに眠らず、軽く食事をしてから遮光カーテンを閉めて休む。起きたら少し外に出て日の光を浴びる。夜勤の前日はお酒を控える。

小さなことですが、自分なりの回復の手順を決めている人は、夜勤の疲れを次の勤務に持ち越しにくくなります。

4. 看取りのあとに、気持ちを置く場所を持っている

看取りに関わったあと、同僚と少し話す。ノートに、その方との思い出を書き留める。休みの日に、職場とまったく関係のない人と過ごす。

悲しみを押し込めずに、どこかに置いておける人ほど、次の方にもまた心を向けられます。

5. 体を守る介助の方法を身につけている

腰痛は、介護の仕事を離れる大きな理由のひとつです。続いている人は、ベッドの高さを調整する、体を近づけて介助する、1人で無理な移乗をしないといった基本を大切にしています。移乗のための福祉用具やスライディングシートがある職場なら、遠慮せずに使ってください。

先日、サ高住で夜勤をしている方からこんなお話を伺いました。「前は全部自分でやらなきゃと思っていたけれど、できないことはできないと言うようにしたら、体も気持ちも少し楽になった」と。とても大切な気づきだと思います。

きついだけではない、サ高住で働く良さ

ここまで、きつさの理由をたくさんお話ししてきました。けれど、サ高住で働くことには、ほかの介護の職場にはない良さもあります。辞めるかどうかを考えるときには、その両方を並べて見てほしいのです。

入居者の「その人らしい暮らし」に近くで関われる

サ高住の入居者は、自分の部屋に好きな家具を置き、自分の時間の使い方で暮らしています。朝はコーヒーを淹れる方、夕方に決まって散歩に出る方、趣味の手芸を続けている方。職員は、その暮らしを横から支える立場です。

施設の決まった日課に合わせてもらうのではなく、その方の暮らしのリズムに合わせて関われることに、やりがいを感じている方はたくさんいます。

入居者が自分でできることを大切にできる

できることは自分でしてもらう、という考え方が基本にあるので、入居者の「まだできる」を守る関わり方を身につけられます。これは、どの介護の職場に移っても活きる大切な視点です。

立場の違う専門職と一緒に働ける

訪問看護の看護師、ケアマネジャー、デイサービスの職員など、さまざまな専門職と連絡を取り合う機会が多い職場です。連携の経験は、将来サービス提供責任者や生活相談員、ケアマネジャーを目指すときの力になります。

日勤のみや短時間の働き方を選べることがある

一般型の生活支援スタッフやフロントの仕事、日中の訪問介護などは、日勤のみの募集も見られます。夜勤がきつい方は、同じサ高住の中で働き方を変えるという選択肢もあります。

きつさの原因が「サ高住という形」ではなく「今の住宅の体制」にあるなら、別のサ高住に移ることで、良さはそのままに負担だけを減らせるかもしれません。

職場を選び直すなら、ここを見てほしい

いろいろ工夫をしても、どうしてもきつさが変わらないこともあります。そのときは、職場を選び直すことも、自分を守るための大事な選択です。

サ高住の中でも、職場によって負担は大きく違います。求人票や見学で、次の点を確かめてみてください。

確かめる点 見るポイント
住宅の型 一般型か、特定施設の指定を受けた介護型か
入居者の状態 要介護度の高い方がどれくらいいるか、看取りの件数
夜勤の体制 夜間は何人で、何室を見ているか
看護の体制 訪問看護の併設や、夜間のオンコールの有無
訪問の組み方 1件あたりの時間の枠、記録の時間が確保されているか
相談の仕組み 看取り後の振り返り、ストレスチェック、相談窓口

介護型のサ高住は、介護付き有料老人ホームに近い人員の基準で運営されているので、一般型で夜間の人手不足に苦しんでいた方には、合う場合があります。一方で、介護の量そのものは増えるので、体力的な負担が減るとは限りません。

自分がきついと感じているのが「人の少なさ」なのか、「時間に追われること」なのか、「看取りの心の負担」なのか。それによって、選ぶべき職場は変わります。

職場を変えるときは、給与の相場も知っておくと安心です。介護職員の年収の目安や、資格や夜勤による違いは介護職員の年収・単価相場で確認できます。訪問看護や夜間のオンコールを担う看護職員の給与水準は看護師の年収・単価相場にまとまっていて、職場の体制を考える参考になります。

一人で考えると、どうしても「逃げていいのか」「次も同じだったらどうしよう」と堂々巡りになりがちです。キャリアの専門家と一緒に整理するという方法もあります。キャリアコンサルタントは、働き方や職場選びの悩みを整理する専門の国家資格で、ハローワークなどでも相談できることがあります。職場の悩みや転職の迷いに寄り添う仕事の実態は職場・転職・キャリア相談のお仕事で紹介しています。

介護の経験を、自分に合う形で活かし続けるために

最後に、在宅ワークや業務委託の市場を長く見てきた運営者の視点から、ひとつ観察をお伝えします。

介護の現場で消耗して離れた人が、しばらくして、介護の知識を活かした別の関わり方で戻ってくることがあります。介護系の記事の執筆、研修資料の作成、家族介護に悩む人へのオンライン相談などです。長く続いている人ほど、「現場で体を使うこと」だけが介護の経験の活かし方ではないと気づき、自分の体力や生活に合う関わり方を選び直しています。

こうした仕事を個人として受けるとき、運営者として見てきた実感があります。中間マージンが乗らない直接の取引では、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。手数料0%の直接取引は、金額の大きさよりも、働いた分がきちんと手元に残るという安心感につながります。体と心を守りながら働き方を選べることは、介護の経験を長く活かすうえで大きな支えになります。

サ高住がきついと言われるのは、元気な高齢者の住まいとして作られた仕組みの中で、介護が必要な方の暮らしを少ない人数で支えているからです。あなたのがんばりが足りないからではありません。

まずは、自分がどの場面でいちばん消耗しているのかを、1週間だけ書き出してみてください。それが、今の職場で相談するときにも、次の職場を選ぶときにも、いちばん確かな手がかりになります。

よくある質問

Q. サ高住は特養や有料老人ホームよりきついのですか?

一概には言えませんが、一般型のサ高住は住宅としての人員配置の基準が緩やかで、夜間を少人数で回すことが多い点に負担が集まりやすい特徴があります。特養は介護度の高い方が多い分、体を使う介助が多くなります。介護付き有料老人ホームは人員基準がある一方、介護の量は多めです。何がきついと感じるかで、合う職場は変わります。

Q. サ高住の夜勤は何人くらいで回していますか?

住宅の規模や型によって違います。一般型では、数十室を夜勤者1人か2人で見ていることがあります。介護型(特定施設)のサ高住は、介護付き有料老人ホームに近い基準で人が配置されます。夜勤の人数は求人票に書かれていないことも多いので、面接や見学で、夜間は何人で何室を見ているかを必ず確かめてください。

Q. 入居者からサービス外のお願いをされたら、どうすればいいですか?

その場で引き受けず、「確認してからお返事しますね」と一度受け止め、生活相談員やリーダーに相談してください。お金や通帳の預かりは、職員個人が引き受けてはいけません。職場として、どのお願いに対応し、どれを相談員につなぐかの基準を決めてもらうと、断ることへの罪悪感も、職員同士の対応の差による不満も減らせます。

Q. きつくて辞めたいと感じたとき、まず何をすればいいですか?

まず、心と体のサインを確かめてください。眠れない、出勤前に涙が出るといった状態が2週間以上続くなら、医療機関や相談窓口に早めに相談しましょう。そのうえで、どの場面で消耗しているのかを書き出し、職場に相談できることは記録をもとに伝えます。職場を変える場合も、書き出した内容が次の職場選びの基準になります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年4月13日最終更新:2026年9月17日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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