60代で助産師を続ける|働ける場所と、勤務の組み立て方


この記事のポイント
- ✓60代の助産師に募集はあるのか
- ✓求人票の年齢表記の読み方
- ✓週2日や日勤のみの組み立て方
結論から言うと、60代の助産師を募集している職場はあります。ただし、20代や30代が見ている求人ページを同じように眺めても、条件の合うものはほとんど出てきません。60代向けの募集は、勤務日数、勤務時間、業務範囲のどこかが必ず絞られていて、その絞り方が求人票の細かい欄に書かれているからです。この記事では、60代の助産師がどんな条件で募集されているのか、働ける場所をどう分けて考えるのか、勤務をどう組み立てるのか、そして年金と社会保険で確認しておくべきことを、順に整理します。感情論ではなく、実際に出ている求人票の書かれ方から見ていきます。
60代の求人票では、年齢がどう扱われているか
まず、求人票に出てくる年齢の書かれ方には3つのパターンがあります。「年齢不問」と書くもの、「60代活躍」のようなタグで年齢構成を示すもの、そして上限年齢を明記するものです。
上限が明記される場合、その理由まで書かれていることがあります。実際の記載を見てみます。
【経験・資格】いずれか資格必須看護師、保健師、助産師 年齢68歳以下(年齢制限の理由:定年年齢を上限(省令1号))...特徴未経験可、ブランク可、学歴不問、新卒可、40代活躍、50代活躍、60代活躍... 出典: 求人ボックス
ここには読み取るべき情報が3つあります。ひとつ目は、上限が68歳と設定されていて、その根拠が定年年齢であると明示されている点です。募集や採用における年齢制限は原則として禁止されていますが、定年年齢を上限として期間の定めのない労働者を募集する場合など、例外として認められる場合があるとされています。つまり、上限年齢が書かれた求人がすべておかしいわけではないということです。ただし例外にあたるかどうかは個別の判断になるため、疑問があれば募集元やハローワークに確認してください。
ふたつ目は、「40代活躍、50代活躍、60代活躍」が並記されている点です。これは職場の年齢構成を示すタグで、60代の職員が実際に働いている環境であることを示します。年齢構成が幅広い職場は、勤務の組み方に融通が利く傾向があります。
3つ目は、「ブランク可」が付いている点です。60代の応募でよくある不安は年齢そのものより、現場を離れていた期間のほうです。ブランク可と明記している職場は、復帰時の教育の手順をあらかじめ用意しているケースが多く見られます。
なお、助産師は免許がなければ就けない職種です。この点は年齢と関係なく変わりません。免許の効力は更新制ではありませんが、住所や氏名の変更があった場合の届出など、手続きが必要になることがあります。自分の免許の状態に不安がある場合は、都道府県の担当窓口に確認してください。
ブランクがある場合、どこから戻るか
60代で相談が多いのが、現場を離れていた期間のある方の復帰です。子育てや家族の介護で臨床を離れ、そのまま年数が経ったというケースです。
前提として、ブランクの長さそのものより、どの業務から戻るかのほうが重要です。分娩介助は、機器も手順も変わっている可能性が高い領域です。ここにいきなり戻ろうとすると、心理的な負担が大きく、続かないことがあります。一方、産後の相談、授乳の支援、育児手技の指導といった業務は、基本の部分が大きく変わっていません。戻る入口としては、こちらのほうが現実的です。
復帰の手順としては、3つの段階に分けて考えると整理しやすくなります。第1段階は情報の更新です。各都道府県のナースセンターや看護協会が、復職に向けた研修や相談を実施していることがあります。内容や対象は地域によって違うため、お住まいの地域の窓口で確認してください。第2段階は、業務範囲の限られた職場で勘を戻すことです。健診の補助、両親学級、産後ケア施設など、緊急対応の少ない現場が向いています。第3段階で、必要であれば業務の範囲を広げます。
求人票の「ブランク可」という表記は、この段階を職場側が用意しているかどうかの手がかりになります。ただし、表記があっても実際の教育体制は施設によって差があります。面接で、復帰した職員が過去にいたか、その人がどのくらいの期間で通常の業務に入ったかを聞いてください。具体的に答えられる施設は、実際に受け入れた経験があるということです。
もうひとつ、記録の様式が電子化されている点は事前に知っておいたほうがいい。紙の記録で働いていた期間が長い方にとって、電子カルテの操作は最初の壁になります。ここは慣れの問題なので、入職前に操作の研修があるかどうかを確認しておくと、負担が軽くなります。
60代の助産師が働ける場所を分けて考える
「助産師の仕事」とひとまとめにすると、60代で続けられるかどうかの判断ができません。場所ごとに、求められる体力と経験の使われ方が違います。7つに分けて整理します。
産科病棟のある病院。分娩件数が多く、夜勤があります。60代で常勤を続けている方もいますが、夜勤の回数を減らせるか、日勤帯の役割に移れるかが分かれ目になります。
産科クリニック。少人数で回すため一人の守備範囲が広く、経験のある人が評価されます。一方で、人が少ないぶん急な欠員の影響を直接受けます。シフトの融通が利くかは施設差が大きい部分です。
産後ケア施設と産後ケアホテル。分娩の緊急対応がなく、授乳の相談や育児手技の指導が中心です。日勤のみ、週1日からといった募集が出ることもあり、勤務を絞りたい層と条件が合いやすい分野です。
訪問の仕事。自治体の新生児訪問や産後ケアの委託、訪問看護ステーションからの派遣があります。移動の負担はありますが、時間の組み立ては比較的自由です。地域によっては運転が前提になります。
健診と相談の窓口。乳幼児健診、母子保健の相談、両親学級の運営など、自治体が担う業務です。会計年度任用職員としての募集や、業務委託の形で出ることがあります。
教育機関。助産師や看護師の養成課程で、講義や実習の指導を担当します。経験年数が要件になることが多く、60代の経歴はそのまま条件を満たします。実際、こうした求人には次のような条件が付きます。
【勤務時間および勤務曜日】勤務体制:日勤1:日勤:08:00〜16:30(休憩60分)...<助産師学校の実習指導教員>8月末〜/時給2,300円/8:00〜16:30/週2日/助産師経験5年以上の方... 出典: 求人ボックス
時給2,300円、週2日、日勤のみ、経験5年以上。これは、経験年数を条件にして勤務日数を絞った募集の典型です。60代で探すべきなのは、まさにこの形の求人だと言えます。
企業と民間サービス。女性の健康支援、育児相談のサービス、医療情報を扱うメディアなど、臨床の外にも助産師の知識を必要とする場があります。臨床から距離を置きたい場合の受け皿になります。
この7つを、体力の負荷と経験の使われ方で並べ直すと、判断がしやすくなります。体力の負荷が高い順に並べると、産科病棟、産科クリニック、訪問、産後ケア施設、健診と相談、教育機関、企業と民間サービスという順になります。一方、経験年数がそのまま条件になる度合いで並べると、教育機関、健診と相談、産後ケア施設が上位に来ます。この2つの並びを重ねて、負荷が低く経験が効く場所が、60代にとって条件の合いやすい領域だと分かります。
ただし、地域による差は大きい。産後ケア施設や産後ケアホテルは都市部に集中しており、地方では訪問や自治体の事業のほうが選択肢として現実的です。教育機関の募集は年度に合わせて時期が限られます。自分の住んでいる地域で、どの分野の募集が実際に出ているかを数か月分見てから判断してください。求人サイトで条件を保存しておけば、募集の出る時期の傾向が見えてきます。
7つを並べたうえで、自分が続けられる負荷の水準を先に決める。求人を探すのはそのあとです。順番が逆になると、目に入った求人に自分を合わせることになり、続かない働き方を選ぶことになります。
勤務をどう組み立てるか
60代の働き方で決めるべき変数は4つです。週の日数、1日の時間、夜勤の有無、そして雇用形態。この4つの組み合わせで、生活の形が決まります。
週の日数から。週2日から3日の募集は、産後ケア、訪問、教育、健診の分野で見つかります。逆に、産科病棟の常勤を週2日に減らすのは、施設の人員体制上まず通りません。日数を絞りたいなら、職場のほうを変えるという判断になります。
1日の時間について。日勤のみ、午前のみ、夕方までといった区切りが選べる職場があります。求人票の勤務時間欄に複数のパターンが書かれている場合、シフトの選択肢がある可能性が高い。ひとつしか書かれていない場合は、面接で相談可能か確認してください。
夜勤について。60代で夜勤を続けるかどうかは、体力だけでなく生活リズムの問題です。夜勤専従という選択肢もありますが、これは日中の予定を自由にする代わりに生活が完全に夜型になる働き方です。正直なところ、60代からあえて夜勤専従を選ぶのは、よほど生活が夜型に合っている人以外にはおすすめしません。
雇用形態について。常勤、パート、業務委託の3つがあります。常勤は収入が安定し社会保険の適用も明確ですが、勤務の自由度は下がります。パートは日数を選べますが、社会保険の適用は勤務時間と事業所の規模によって変わります。業務委託は労働者ではないため、労働基準法の保護や労災保険が原則として及びません。この違いは、契約書の表題ではなく実態で判断されます。
組み立てるときの順番は、まず生活の中で確保したい時間を決め、そこに勤務を当てはめることです。仕事の枠を先に埋めて余った時間を生活に回すやり方は、60代では続きません。
応募書類と面接をどう組み立てるか
60代の応募で結果が変わるのは、経歴の見せ方と、面接での条件確認です。
職務経歴の書き方から。分娩の介助件数を並べる方が多いのですが、採用側が知りたいのはそれだけではありません。何人体制のどの役割を担っていたか、新人や実習生の指導をしていたか、他職種との調整をどう回していたか。件数は経験の量を示し、役割は経験の質を示します。60代の強みは後者にあります。書類の段階でここが書かれていないと、年齢だけで判断されることになります。
志望動機については、正直なところ「これまでの経験を活かしたい」だけでは弱い。採用側が気にしているのは、その人がどのくらいの期間、どのくらいの負荷で働けるかです。週に何日、どの時間帯で、いつまで働きたいのかを最初に書いたほうが、話が早く進みます。ここを曖昧にしたまま入職して、想定と違う勤務を割り当てられるほうが、双方にとって損です。
面接でこちらから聞くべき項目は6つあります。夜勤の月あたりの回数、夜勤明けの翌日の扱い、分娩件数に対する助産師の人数、時間外労働の実績、有給休暇の取得状況、そして定年と再雇用の条件です。この6つは入職前でなければ聞けません。聞きにくいと感じる方が多いのですが、条件の確認は入職後のトラブルを防ぐための正当な手続きです。
そして、条件は必ず書面で受け取ってください。労働者を雇い入れる際、使用者には賃金や労働時間などの労働条件を明示する義務があり、一定の事項については書面等の交付が求められています。面接で口頭で説明された内容と書面が食い違っていないかを、署名の前に照らし合わせる。面接後のお礼のメールに、確認した条件を箇条書きで書いて「この理解で相違ないでしょうか」と添えておけば、相手の返信がそのまま記録になります。提示された条件と書面が大きく食い違う場合は、労働基準監督署などの窓口に相談してください。
続けるための体調と、職場に伝えておくこと
60代で働き続けるうえで、体調の管理は避けて通れません。ここは一般的な注意点として整理します。
まず、無理をして限界まで働いてから条件を変えるのではなく、余裕のあるうちに勤務を調整するほうが、結果として長く働けます。腰や膝に負担がかかってから働き方を変えようとすると、選べる職場が減っている状態からの選択になります。
次に、持病や服薬がある場合の扱いです。夜勤や不規則な勤務が体調に影響する可能性があるかどうかは、自己判断ではなく、かかりつけの医師に相談してください。そのうえで、勤務に制限が必要であれば、その内容を職場に伝えておく必要があります。伝えていないと、シフトを組む側は配慮のしようがありません。
3つ目に、職場の健康管理の体制です。健康診断の実施、産業医の有無、体調不良時の相談先が整理されているかは、施設によって差があります。規模の大きい病院では体制が整っていることが多く、小規模なクリニックでは担当者が明確でないこともあります。入職前に確認しておくと安心です。
4つ目に、勤務の合間の休息です。夜勤明けの翌日が休みになるか、連続勤務の上限が決められているか。これは求人票にはまず書かれておらず、面接で聞かなければ分からない部分です。
体調の話は、年齢を理由に評価が下がることを恐れて言い出しにくいものです。ただ、伝えずに無理を重ねて途中で辞めることになるほうが、職場にとっても本人にとっても損失が大きい。何ができて何が難しいのかを具体的に伝えられる人のほうが、実際には長く働いています。
年収と時給の考え方
60代の収入について、まず押さえておくべき前提があります。同じ助産師の仕事でも、常勤とパートでは時間あたりの単価も、年間の総額も、その内訳も違うということです。
常勤の場合、基本給に加えて夜勤手当、賞与、通勤手当、退職金制度の適用といった要素が乗ります。年間の総額で見ると、月給の額面だけを比べたときとは順位が入れ替わることがあります。60代からの入職では、賞与の支給要件や退職金制度の適用に勤続年数の条件が付いていることがあるため、規程を確認しておく必要があります。
パートや非常勤の場合は、時給と勤務日数の掛け算で決まります。前の節で見たとおり、実習指導のような専門性の高い業務では時給2,300円という条件も出ています。ここで重要なのは、時給の高さが「体力の負荷」ではなく「経験の希少さ」で決まっているという点です。分娩の当直より、経験年数を要件にした指導業務のほうが時給が高いという逆転は普通に起こります。60代が狙うべきなのは、この逆転が起きている領域です。
業務委託の場合は、単価の考え方そのものが変わります。時間ではなく成果に対して支払われるため、準備にかけた時間は原則として反映されません。契約の前に、業務の範囲と、修正や追加対応の扱いを決めておく必要があります。
求人票の給与欄を読むときの注意点も挙げておきます。月給の表示に夜勤手当が何回分か含まれている場合、夜勤を減らせば表示額より下がります。「月給30万円以上」といった表示の下限が、どの条件で成立する額なのかを必ず確認してください。年収例が書かれている場合は、それが常勤で賞与を満額受け取った場合の数字かどうかも見る必要があります。
また、60代で入職する場合、給与そのものより、勤務日数を減らしたときに条件がどう変わるかのほうが重要になります。入職時は週4日でも、数年後に週2日へ移れる運用があるかどうか。その場合、時給換算の単価は維持されるのか、雇用形態が変わるのか。ここを入職前に確認しておけば、働き方を変えるたびに転職を繰り返さずに済みます。
もうひとつ、手取りの話をしておきます。額面が同じでも、社会保険料と税の引かれ方で手元に残る額は変わります。特に年金を受け取りながら働く場合は、次の節で触れる調整の仕組みが関わってきます。額面で職場を比べるのではなく、手取りと働く時間の両方で比べてください。
年金と社会保険で確認しておくこと
60代で働くとき、最も確認漏れが多いのがここです。しかも、間違えると取り返しがつきにくい。
まず、老齢厚生年金を受け取りながら厚生年金の適用される職場で働く場合、賃金と年金額の合計に応じて年金の一部または全部が支給停止となる仕組みがあります。いわゆる在職老齢年金と呼ばれるものです。基準となる額は改定されることがあり、個々の受給額によって影響も変わります。自分のケースでどうなるかは、日本年金機構の公式サイトや年金事務所で確認してください。ここを推測で判断して働き方を決めるのは、いちばん避けるべきやり方です。
次に、健康保険と厚生年金の加入要件です。短時間勤務で働く場合の適用範囲は、勤務時間や事業所の規模によって決まり、法改正で見直しが続いている部分です。加入すれば保険料の負担は増えますが、傷病手当金などの給付の対象になります。判断の前に、勤務先の担当者と年金事務所の両方に確認するのが確実です。
3つ目に、雇用保険です。一定の要件を満たす場合、年齢にかかわらず被保険者となる扱いがあります。加入の有無は求人票に書かれていることが多いので、確認してください。
4つ目に、業務に関する賠償責任の扱いです。勤務先が加入している保険で職員個人がどこまで守られるのか、業務委託の場合は誰が責任を負うのか。産後ケアや訪問など、施設の外で行う業務では特に重要になります。契約前に書面で確認してください。
制度の話は退屈ですが、60代の働き方では報酬額より先に確認すべき項目です。「働いたら年金が減った」という話は、事前に窓口で確認していれば防げたケースが少なくありません。
60代で資格やスキルを足す意味はあるか
結論から言うと、新しい資格を取ることが常に正解だとは思いません。60代で優先すべきなのは、取得に年単位の時間がかかるものではなく、今持っている経験に接続できるものです。
現場で役に立つ方向で言えば、新生児の蘇生法に関する講習、母乳育児支援の研修、産後のメンタルヘルスに関する研修などが挙げられます。ただし、認定の要件や更新条件は制度によって異なり、見直されることもあります。受講を検討する際は、必ず実施団体の公式情報で最新の要件を確認してください。更新のたびに実践件数が求められる認定は、勤務を絞っていく60代には負担になる場合があります。取得の要件だけでなく維持の要件まで見て決めるべきです。
臨床から離れた仕事を視野に入れるなら、方向性が変わります。教えること、書くこと、相談を受けることのどれに向かうかで、必要になるスキルが違います。教える方向なら、資料の作り方と説明の組み立て方。書く方向なら、文章の型と根拠の示し方。相談を受ける方向なら、聞き方と、どこで医療につなぐかの線引きです。
文章を扱う仕事に興味がある場合、ビジネス文書の型を押さえておくと報告書や企画書の作成が速くなります。ビジネス文書検定は社会人向けの文書の型を一通り扱う構成になっているので、独学の指針として使えます。資格そのものが助産師の仕事で評価されるというより、身につく型が実務で効くという意味です。
正直なところ、履歴書の見栄えのために資格を増やすのは、60代では効果が薄い。採用側が見ているのは資格の数ではなく、現場で何ができるかです。面接で説明できない資格は、判断材料になりません。
臨床から少し離れた場所で経験を使う
体力の折り合いを付ける方法として、勤務日数を減らして別の仕事を組み合わせるという選択があります。臨床の外に、助産師の知識を必要としている場所は複数あります。
ひとつは、教える仕事です。養成校の実習指導、地域の講座、企業向けの研修。経験年数が条件になるため、60代の経歴が有利に働きます。
ふたつ目は、書く仕事と内容を確認する仕事です。医療や育児の情報を扱うメディアは、有資格者による内容確認を必要としています。編集の現場を見てきた立場から言うと、資格保有者の確認が入るかどうかで原稿の精度はまるで違います。とくに妊娠や授乳のように、間違いが直接読者の行動を変えるテーマでは、確認する側の価値が高い。看護職が医療系の記事を書く仕事については、看護師ライターとして月5万円稼ぐ方法|専門記事の書き方【2026年版】に、書き方の手順と仕事の探し方がまとまっています。助産師の免許を持つ方にも、そのまま当てはまる部分が多い内容です。
3つ目は、産後ケアの分野で自分の事業を持つという選択です。地域の産後ケア事業は自治体からの受託というかたちで動いているものが多く、業務委託で関わる例もあります。この分野の始め方については、助産師の産後ケア事業|フリーランスとしての独立【2026年版】で、事業の立ち上げ方と収入の考え方が整理されています。
この3つに共通しているのは、収入が「働いた時間」ではなく「関わった数」や「作った量」で決まる点です。勤務であれば時間を減らせば収入が減りますが、教える仕事や書く仕事では、1回の準備が次の依頼でも使えます。60代で働く時間を絞っていく局面では、この差が効いてきます。ただし、最初の数件は準備に時間がかかり、時間あたりで見ると割に合わないのが普通です。そこで判断せず、3件から5件やってみて、2回目以降の準備がどれだけ軽くなるかで判断してください。
4つ目は、オンラインでの相談です。移動の負担がなく、時間も選べます。ただし、オンラインの相談は診断や治療の判断をする場ではありません。症状のある方には受診を促すのが原則です。この線を曖昧にすると、相談者にとって危険であり、自分の資格も危うくします。
医療系の国家資格を持つ人がオンラインで専門性を提供する形については、言語聴覚士のオンラインST|需要と機材の準備【2026年版】に、必要な機材と需要の見立てがまとめられています。職種は違いますが、対面の専門職がオンラインに移るときに何を準備するかという点で、参考になる部分があります。
市場を長く見てきた立場からの観察
在宅ワークと業務委託の市場を20年運営してきた立場から、2つ述べておきます。
ひとつは、長く続く人の共通点です。単発の作業を早く安く引き受ける人ではなく、「この人に頼むと安心だ」という関係を作ることに時間を使っている人が残っています。資格を持つ人の場合、これは特に顕著です。内容の確かさで一度信頼された人には、次の仕事が説明なしで回ってきます。逆に、単価の安さで選ばれた仕事は、単価の安さで切られます。60代から新しい領域に入るときも、最初の数件で丁寧にやり取りをしておくと、そこから広がります。
もうひとつは、額面と手取りの構造です。仲介を挟む取引では、報酬から手数料が引かれます。同じ予算を用意した依頼者から見れば手数料の分だけ頼める量が減り、受ける側から見れば同じ仕事をしても手元に残る額が薄くなります。中間マージンの乗らない手数料0%の直接取引は、依頼者と受け手の双方が得をする構造です。金額が跳ね上がるという話ではなく、同じ働き方をしたときに手取りが厚くなるという質の違いです。働く時間を絞っていく60代では、この差は無視できません。
運営者として見てきた限りでは、資格を持つ人ほど、その資格を病院の中でしか使えないものだと考えがちです。実際には、助産師の知識を必要としている場所は病院の外にも広がっています。働き方を変えるとき、職場を探すのではなく、自分の知識を必要としている場所を探すという順番にすると、見える選択肢が変わります。60代は、経験の総量が最も多い年代です。その総量が評価される場所を選ぶことが、この年代の職場選びで最も確実な方法だと言えます。
最後に、探し方の話をひとつ。60代の条件に合う求人は、検索結果の上のほうには出てきません。勤務日数や時間帯で絞り込んだうえで、地域を広げて探すほうが早く見つかります。募集が出るのは年度替わりや欠員の出たときなので、条件を保存して通知を受け取れる状態にしておき、出たときにすぐ動けるようにしておくことをおすすめします。年齢で諦める前に、探し方を変えてみてください。
よくある質問
Q. 60代の助産師を募集している求人は本当にありますか?
あります。求人票には「年齢不問」「60代活躍」といった表記や、定年年齢を上限とした年齢制限の記載が見られます。上限を68歳とし、その理由を定年年齢と明示している募集もあります。ただし勤務日数や業務範囲が絞られた形が多いため、条件欄を細かく読む必要があります。
Q. 週2日など、日数を絞った働き方はできますか?
産後ケア、訪問、健診、教育の分野では週2日から3日の募集が見られます。助産師学校の実習指導では、時給2,300円で週2日、日勤のみといった条件も出ています。一方、産科病棟の常勤を週2日に減らすのは人員体制上難しいため、職場そのものを変える判断になります。
Q. 働きながら年金を受け取ると、年金は減りますか?
老齢厚生年金を受け取りながら厚生年金の適用される職場で働く場合、賃金と年金額の合計に応じて支給が調整される仕組みがあります。基準額は改定されることがあり、個々の受給額でも影響が変わります。必ず日本年金機構や年金事務所で自分のケースを確認してください。
Q. 60代から新しい資格を取る意味はありますか?
取得に年単位かかる資格より、今の経験に接続する研修のほうが現実的です。新生児蘇生法や母乳育児支援の研修などが該当します。ただし更新のたびに実践件数が求められる認定は負担になる場合があるため、取得要件だけでなく維持要件まで確認してから決めてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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