ネットバンキングの不正送金は補償される?全国銀行協会の基準と30日の期限、補償されない例 2026


この記事のポイント
- ✓ネットバンキングの不正送金は
- ✓個人の口座なら落ち度がなければ原則全額補償されます
- ✓ただし被害から30日を過ぎて銀行に知らせると補償されません
ネットバンキングで不正送金の被害に遭っても、個人の口座であれば、預金者に落ち度(過失)がない限り、銀行は原則として全額を補償します。これは全国銀行協会が2008年2月19日に申し合わせた基準で、多くの銀行が自行の規定に取り入れています。ただし条件があり、被害の発生日から30日を過ぎて銀行に知らせた場合は補償されません。身に覚えのない出金を見つけたら、まず銀行の不正出金の窓口に電話してネットバンキングを止め、その日のうちに警察へ相談してください。
この記事では、補償を受けるための3つの条件、補償が減る・されない例、主な銀行の規定の違い、会社や個人事業の口座の扱い、被害を防ぐために今日やっておく設定を、銀行と警察庁が公表している資料をもとに、2026年10月30日時点の記載で整理します。補償するかどうか、いくら補償するかは、最終的には銀行が個別に判断します。ここに書いた内容は判断の目安として読み、実際の扱いは取引先の銀行の窓口で確認してください。
2026年のネットバンキング不正送金の被害の状況
警察庁が2026年9月に公表した「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、2026年1月から6月までのインターネットバンキングに係る不正送金の発生件数は253件、被害総額は約20億7,000万円でした。被害額は前年同期と比べて51%減っています。
令和8年上半期におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生件数は 253 件、被害総額は約 20 億 7,000 万円(前年同期比 51%減)となっている。 出典: npa.go.jp
件数と金額が減ったからといって、安心できる状況ではありません。同じ資料は、手口が巧妙になっていることを指摘しています。一つは、犯罪グループが企業に電話をかけ、ネットバンキングの更新手続などを名乗ってメールアドレスを聞き出し、そこへ偽のメールを送る「ボイスフィッシング(ビッシング)」です。資料では、この手口による法人口座の不正送金被害が2024年秋から急増したと書かれています。
もう一つは、2026年5月から急増した新しい手口です。企業への電話を起点に、外から操作できる遠隔操作ソフトをパソコンに入れさせ、その端末を遠隔で操作しながら偽サイトに誘導して、ネットバンキングのIDとパスワードを盗み、不正送金を実行します。会社がいつも使っているパソコンから送金させることで、銀行の端末認証や不正取引の監視をすり抜けようとする意図があると、警察庁は見ています。警察庁はこの事態を受けて、金融庁や全国銀行協会などと連名で注意喚起の資料を作成しました。
個人を狙う手口も、メールやSMS(ショートメッセージ)で偽のログイン画面に誘導し、IDやパスワード、ワンタイムパスワードを入力させるものが中心です。どの手口にも共通するのは、利用者自身に正しい画面だと思わせて、認証情報を入力させるという点です。この「自分で入力してしまった」という事実が、後で説明する補償の判断に関わってきます。
不正送金の補償の仕組み:全国銀行協会の申し合わせ
ネットバンキングの不正送金に対する補償の土台になっているのは、全国銀行協会が2008年2月19日に公表した申し合わせ「預金等の不正な払戻しへの対応」です。盗難通帳やインターネットバンキングで預金が不正に払い戻されたとき、銀行に過失がない場合でも、預金者に過失がなければ原則として補償する、という内容です。申し合わせの本文と、補償の対象・要件・基準をまとめた別紙3は、全国銀行協会のサイトで公開されています(全国銀行協会「預金等の不正な払戻しへの対応」について)。
別紙3に書かれているインターネットバンキングの部分を、表にまとめると次のとおりです。
| 項目 | インターネットバンキングの扱い |
|---|---|
| 補償の対象 | 個人のお客さま |
| 補償の要件 | 金融機関への速やかな通知、金融機関への十分な説明、捜査当局への被害事実等の事情説明(真摯な協力) |
| 預金者に過失がない場合 | 全額補償 |
| 預金者に過失・重過失がある場合 | 個別対応 |
| 補償しない場合 | 通知が被害発生日の30日後まで行われなかった場合、親族等による払戻しの場合、虚偽の説明を行った場合、戦争・暴動等の社会秩序の混乱に乗じてなされた場合 |
ここで押さえておきたいのは、補償の対象が「個人のお客さま」に限られている点です。会社の口座は、この申し合わせの対象に入っていません。法人の口座については、各銀行が別の規定で上限額などを決めています(後の節で説明します)。
もう一つは、過失がある場合の扱いが「個別対応」になっている点です。盗難通帳の場合は、過失があれば75%補償と定型化されていますが、インターネットバンキングについて別紙3は、犯罪の手口が日々高度化し、銀行ごとのセキュリティ対策も一様ではないため、過失の類型や補償割合を定型的に決めるのは難しいとしています。そのうえで、補償するときは被害に遭った人の状況などを加味して判断する、と書いています。つまり、過失があったときにいくら戻るかは、銀行ごと、事案ごとに変わります。
この申し合わせは法律ではなく、業界団体の自主的な取り決めです。実際に補償を受けるときに根拠になるのは、取引先の銀行が定めているネットバンキングの利用規定や補償規定です。主な銀行はこの申し合わせを踏まえた規定を公開していますが、細部は銀行によって異なります。
補償を受けるための3つの条件と30日の期限
申し合わせの要件を、利用者がやることに置き換えると次の3つです。
- 銀行に速やかに知らせる
- 銀行の調査に対して、何があったかを十分に説明する
- 警察に被害を届け出て、事情を説明し、捜査に協力する
3つのうち1つでも欠けると、補償の前提が崩れます。たとえば警察への届出をしないまま銀行にだけ連絡しても、銀行は補償の手続きを進められません。PayPay銀行の補償規定には、正当な理由もなく所轄警察署への届出を怠った場合は補償が行われない場合や減額される場合がある、と明記されています。
30日は「被害の日から」数える
いちばん注意したいのが期限です。申し合わせは、銀行への通知が被害発生日の30日後まで行われなかった場合は補償しない、としています。各行の規定も同じ考え方で、ドコモSMTBネット銀行の補てん規定(2026年8月3日現在)とPayPay銀行の補償規定は、どちらも「不正な払戻し(不正使用)が発生した日の翌日から31日以降」に通知があった場合を補償の対象外としています。
補償される範囲の決め方も、通知した日が基準です。三菱UFJ銀行は、通知があった日から30日前の日以降になされた払出しを補償すると案内しています。三井住友銀行もセキュリティのページで、金融機関への通知から30日前の日以降の被害が補償対象になると書いています。
具体例で考えます。11月2日に不正送金が行われ、本人が12月10日に気づいて銀行へ連絡した場合、被害の日から30日をとうに過ぎているため、補償の対象から外れるおそれがあります。11月2日の被害に11月20日に気づいて連絡した場合は、30日以内なので対象になります。数日に分けて少しずつ引き出された場合、通知が遅れるほど、古い日付の被害から順に対象外になっていきます。
ドコモSMTBネット銀行とPayPay銀行の規定には、銀行に通知できないやむを得ない事情があることを本人が証明した場合は、その事情が続いた期間を30日に加えるという定めもあります。入院していた場合などが考えられますが、認められるかどうかは銀行の判断です。期限の延長を当てにせず、気づいた時点ですぐ連絡するのが前提です。
なお、三菱UFJ銀行とドコモSMTBネット銀行は、IDやパスワードが盗まれた日(分からないときは最初の不正な払戻しの日)から2年を過ぎて通知した場合は、補償の規定自体が適用されないとも定めています。
通帳を記帳しない、ネットバンキングにもめったにログインしないという人は、30日はすぐに過ぎます。補償の条件の中で、利用者の習慣で守れるかどうかが決まるのがこの期限です。後の節で、入出金の通知を設定する理由はここにあります。通知の設定ができない口座や、ほとんど使っていない口座がある場合は、少なくとも月に2回、日付を決めてネットバンキングの入出金明細を開き、知らない取引がないかを確かめる習慣をつけてください。休眠に近い口座は不正に使われても気づきにくいため、使う予定がなければ解約も選択肢になります。
補償が減る・されない例
過失がある場合は「個別対応」とされていますが、全国銀行協会は2016年6月14日に、会員銀行へのアンケートをもとに、補償を減額する、または補償しない扱いになりうる事例をまとめた資料(別紙2)を公表しています(全国銀行協会「インターネット・バンキングにおける預金等の不正な払戻しについて」)。
(1) 銀行が複数回にわたり、個別的・具体的に注意喚起していたにも関わらず、注意喚起された手口により騙されて、ID・パスワード等を入力してしまった場合 (2) 警察や銀行等を騙る者に対し、安易に ID・パスワード等を回答してしまった、または安易に乱数表(暗証カード)を渡してしまった場合。その他、正当な理由もなく、ID・パスワード等を他人に教えてしまった場合 出典: zenginkyo.or.jp
別紙2はこのほかに、次の2つを挙げています。
・IDやパスワードを手帳にメモしていたり、携帯電話などに保存していて、本人の不注意でその手帳や携帯電話が盗まれるなどして情報が盗まれた場合
・身に覚えのない残高の変動に気づいていた、パソコンがウイルスに感染して不正な払戻しが行われる可能性に気づいていた、などの事実があるのに、銀行への通報を怠っていた間に犯行が行われた場合
最後の例は、30日の期限とは別の論点です。30日以内に連絡したとしても、おかしいと気づいてから連絡までの間に被害が広がった場合は、その部分が減額の対象になりえます。「気づいたらすぐ」が補償の条件そのものだと考えてください。
補償の対象にならない場合
過失とは別に、申し合わせと各行の規定が補償の対象外としている場合もあります。
・配偶者、二親等以内の親族、同居人、家事使用人などが払い戻した、または加担した場合
・被害の状況について、重要な事項で偽りの説明をした場合
・戦争や暴動など、著しい社会秩序の混乱に乗じた場合
ドコモSMTBネット銀行の個人向けの規定は、さらに、IDやパスワードを他人が容易にアクセスできるスマートフォンのメモ、パソコン、電子メールやクラウドサービスに保存していた場合を、重大な過失となりうる事例に挙げています。パスワードをスマートフォンのメモ帳や、メールの下書きに保存している人は、今日のうちに削除し、パスワードも変更しておくべきです。
三菱UFJ銀行は、パスワードを生年月日や電話番号など推測されやすいものにしていた場合や、同じパスワードを他の取引に使っていた場合も、補償が難しい場合があると案内しています。ほかのサービスから漏れたパスワードを使い回していると、それだけで不利になりえます。
銀行ごとの違い(個人の口座)
主な銀行の公式サイトで、個人向けの補償の規定を2026年10月30日に確認しました。どの銀行も、落ち度がなければ補償するという基本は共通です。違いが出るのは、落ち度があったときの扱いです。
| 銀行 | 補償の基本 | 過失があるとき | 期限など |
|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 通知の30日前の日以降の払出しを補償 | 補償額は4分の3 | 盗用から2年を過ぎた通知には適用しない |
| ドコモSMTBネット銀行 | 通知の30日前の日以降の払戻しを補てん | 銀行が過失を証明した場合は4分の3 | 被害の翌日から31日以降の通知は対象外 |
| 三井住友銀行 | 通知から30日前の日以降の被害が補償対象 | 公式サイトでは割合を確認できず | 不正出金ホットラインで相談 |
| PayPay銀行 | 通知受理の30日前の日以降の不正使用を補償 | 補償しない、または減額(銀行が個別に判断) | 被害の翌日から31日以降の通知は対象外 |
三菱UFJ銀行とドコモSMTBネット銀行は、過失がある場合の補償を4分の3とはっきり書いています(三菱UFJ銀行「三菱UFJダイレクトの不正利用被害の補償について」、ドコモSMTBネット銀行「インターネット・バンキングによる口座不正使用補てん規定」)。ほかの銀行は、「一部を補償」「減額」「個別に判断」という書き方で、割合を決めていません。同じ被害、同じ落ち度でも、銀行によって戻る額が違う可能性があるということです。
PayPay銀行の「限度額0円」に注意
PayPay銀行は、利用者のパソコンやスマートフォンが金融機関を狙うマルウェアに感染していることを検知した場合、メールや電話で連絡し、振込限度額を0円に変更することがあると案内しています。そのうえで、次のように書いています。
当社にて振込限度額を変更後に、お客さまご自身で振込限度額を引き上げることは可能ですが、振込限度額の引き上げにより不正送金被害にあった場合、被害額の補償はいたしません。 出典: paypay-bank.co.jp
振込ができなくて不便だからと自分で限度額を戻してしまうと、その後の被害は補償されません。銀行から限度額を下げたという連絡が来たら、すぐに戻さず、まず銀行に相談し、端末の点検を済ませてからにしてください。また、こうした連絡そのものを装った偽のメールや電話もあるため、連絡の真偽はメールのリンクからではなく、銀行の公式アプリや、自分で調べた公式サイトの電話番号で確かめます。
会社の口座・個人事業の口座は扱いが違う
全国銀行協会の申し合わせ(2008年)は個人のお客さまが対象で、会社の口座は対象外です。法人の口座について、全国銀行協会は2014年7月17日に「法人向けインターネット・バンキングにおける預金等の不正な払戻しに関する補償の考え方」を公表しており、ゆうちょ銀行やPayPay銀行は、法人向けの補償をこの考え方を踏まえて行うと案内しています。実際の補償の内容は銀行ごとの規定で決まっており、上限額が設けられているのが特徴です。
| 銀行 | 法人向けの補償の上限など |
|---|---|
| ゆうちょ銀行(ゆうちょBizダイレクト) | 1事故あたり3,000万円を上限に、セキュリティ対策の実施状況等により個別に検討。通知が被害日の30日後までに行われなかった場合は対象外 |
| PayPay銀行(法人口座) | 1法人あたり年間5,000万円が上限。被害の翌日から31日以降の通知は対象外 |
| ドコモSMTBネット銀行(法人) | 年間1,000万円が限度。所定のセキュリティ対策の未実施などがあると減額 |
| 楽天銀行(法人ビジネス口座・個人ビジネス口座) | アプリ認証を使っていれば上限1,200万円、ワンタイム認証なら上限1,000万円、どちらも使っていなければ補償なし |
| りそな銀行(りそなビジネスダイレクト) | 指定のセキュリティ対策のいずれかを実施していれば上限5,000万円、それ以外は1,000万円。不正に振り込まれた日の翌日から10日以内に届け出がないと対象外 |
楽天銀行の法人向けのページには、セキュリティ対策ツール(楽天銀行アプリ認証、ワンタイム認証)のいずれかを使っていることが補償の条件だと明記されています(楽天銀行「預金補償の仕組み」)。りそな銀行の法人向けの補償は、届け出の期限が10日以内と、個人の30日よりかなり短くなっています(りそな銀行「りそなビジネスダイレクトあんしん補償」)。ゆうちょ銀行は、OSやブラウザを推奨環境で使う、限度額を普段の範囲に引き下げる、登録・承認・送信の権限を別の利用者に分けるといった対策を挙げ、実施していない場合は重大な過失または過失となりうるとしています(ゆうちょ銀行「ゆうちょBizダイレクトの不正利用に対する被害補償について」)。
個人事業主の口座はどちらに入るか
フリーランスや個人事業主が使う口座は、銀行によって個人向けの規定に入るか、法人向けの規定に入るかが分かれます。PayPay銀行は「個人・個人事業主口座」の規定で、個人事業主を個人と同じ扱いにしています。一方、楽天銀行は、個人事業主向けの「個人ビジネス口座」を法人と同じ補償の仕組み(上限あり、対策ツールの利用が条件)に入れています。仕事用に屋号付きの口座や事業用の口座を持っている人は、自分の口座がどちらの規定の対象なのかを、銀行のサイトか窓口で確認しておきましょう。
会社の口座は、上限額を超えた被害は戻りません。警察庁の資料が指摘するとおり、いま狙われているのは法人口座です。会社の口座こそ、補償を当てにするのではなく、被害を出さない設定が必要です。
不正送金に気づいたときの手順
身に覚えのない出金や振込を見つけたら、次の順で動きます。どれも当日中が目安です。
- 銀行の不正出金の窓口に電話する。 ネットバンキングの利用停止と、被害の届け出をします。電話番号は、メールやSMSに書かれたものではなく、通帳、キャッシュカード、銀行の公式サイトで確認したものを使います。たとえば三井住友銀行は、身に覚えのない出金について「不正出金ホットライン」(0120-322-775、平日9時から17時、時間外は0120-956-999)を案内しています。
- 警察に相談し、被害を届け出る。 最寄りの警察署に連絡します。届出の受理番号や担当者名は、銀行への説明で求められることがあるので控えておきます。
- 記録を保存する。 取引明細の画面、届いた不審なメールやSMS、偽サイトのURL、電話の着信履歴を、削除せずに保存します。いつ、何を入力したか、誰から電話があったかを時系列でメモにしておくと、銀行への説明がしやすくなります。
- パスワードを変更し、端末を点検する。 同じパスワードを使っているほかのサービスも変更します。遠隔操作ソフトを入れさせられた場合は、そのパソコンでネットバンキングを使わず、ウイルス対策ソフトでの検査や専門業者への相談を先にします。
- 銀行の調査に協力する。 銀行から求められた書類を出し、事実を正確に説明します。都合の悪い事実を隠すと、虚偽の説明として補償の対象外になりえます。
偽サイトにIDやパスワードを入力してしまっただけで、まだお金が動いていない段階でも、すぐに銀行へ連絡してください。別紙2にあるとおり、可能性に気づいていたのに通報しなかった間の被害は、減額の対象になりえます。早く止めるほど被害は小さくなり、補償の判断でも不利になりません。
銀行に連絡する前に手元にそろえておくもの
電話の最初の数分で聞かれることは、どの銀行でもおおむね共通です。慌てていると答えに詰まりやすいので、分かる範囲で次の情報を手元に用意してから電話すると、利用停止と届け出が早く進みます。
| そろえておくもの | 理由 |
|---|---|
| 支店名と口座番号、ネットバンキングの契約番号やID | 本人確認と、止める口座の特定に使う |
| 身に覚えのない取引の日時、金額、振込先 | 被害の範囲と、30日の期限の起点を確かめる |
| 不審なメール、SMS、電話を受けた日時と内容 | どの手口で認証情報が盗まれたかの説明に使う |
| 偽サイトなどに入力した情報(ID、パスワード、ワンタイムパスワード、暗証番号など) | 停止や変更が必要な認証情報を判断する |
| 警察に相談した場合は、警察署名と担当者名、受理番号 | 補償の要件である警察への届出を示す |
分からない項目があっても、電話を後回しにする理由にはなりません。まず止めることを優先し、足りない情報は後から伝えれば問題ありません。
自分の銀行の補償規定の探し方
ここまで紹介した以外の銀行や、信用金庫、地方銀行を使っている人は、次の手順で自分の口座の規定を確かめられます。
- 銀行の公式サイトのサイト内検索で「不正 補償」と検索する。多くの銀行は、セキュリティや金融犯罪のページに補償の案内を掲載しています。
- 細かい条件は、ネットバンキングの利用規定や補償規定(補てん規定)に書かれています。PDFで公開されていることが多いので、開いたら「補てん」「補償」「30日」で検索すると、該当する条にたどり着けます。
- 規定の冒頭や末尾にある日付(「2026年8月3日現在」など)を見て、最新の版であることを確認します。
- 会社の口座は、個人とは別のページや別の規定になっています。上限の金額、ワンタイムパスワードなどの対策が補償の条件になっているか、届け出の期限が何日かを確かめます。
確かめておきたい項目をまとめると、次のとおりです。
| 確認する項目 | 見る場所 |
|---|---|
| 届け出の期限(30日か、それより短いか) | 補償規定の「補償が行われない場合」の条 |
| 過失があるときの補償割合(4分の3など) | 補償規定の「補償の対象となる金額」の条 |
| 上限額(法人・事業用口座) | 法人向けの補償のページ、補償規定 |
| 補償の条件になっているセキュリティ対策 | 法人向けの補償のページ |
| 不正出金の連絡先と受付時間 | セキュリティのページ、通帳・キャッシュカード |
連絡先の電話番号は、スマートフォンの連絡先に登録しておくと、いざというときに検索で偽の番号に当たる心配がありません。
被害を防ぐために今日やる3つの設定
補償は、被害が出たあとの話です。全国銀行協会が2016年に公表した別紙1は、個人のお客さまに実施してほしい対策として、銀行が推奨するセキュリティサービスを積極的に使うこと、OSやブラウザを最新に保つこと、振込の限度額を必要な範囲でできるだけ低く設定することなどを挙げています。この中から、今日の数分でできるものを3つに絞ります。
1. ワンタイムパスワードやアプリでの承認を設定する
IDとパスワードだけで送金できる状態をなくします。銀行のアプリで振込を承認する方式や、ワンタイムパスワードを有効にしておけば、パスワードが盗まれただけでは送金されにくくなります。楽天銀行の法人向けの補償のように、こうした対策を使っていることが補償の条件になっている口座もあります。多要素認証の仕組みや考え方は、MFA(多要素認証)導入のメリットと製品比較|2026年の認証セキュリティ決定版で詳しく解説しています。
2. 振込の限度額を必要な範囲まで下げる
振込の限度額を初期設定のままにしている人は少なくありません。毎月の支払いに必要な金額まで下げておけば、万一不正にログインされても、1日に動かされる金額を抑えられます。PayPay銀行は、振込を使わないときは限度額を0円か最小限に下げておくと被害に遭いにくくなると案内しています。大きな振込をするときだけ、その日に引き上げれば足ります。
3. 入出金の通知をオンにする
入金や出金のたびにメールやアプリの通知が届くように設定します。知らない引き出しにその日のうちに気づければ、30日の期限を過ぎる心配がなくなり、被害の拡大も防げます。通知の届け先は、普段確認しているメールアドレスやスマートフォンにしておきます。
あわせて、パスワードをスマートフォンのメモやメールに保存していないか、ほかのサービスと同じパスワードを使い回していないかも見直してください。どちらも、補償が減る・されない例に当てはまります。
在宅で働く人が見直しておきたい報酬の受取口座
在宅で仕事を請け負っている人にとって、報酬を受け取る口座は事業の資金そのものです。取引先からの入金を確かめるためにネットバンキングへ頻繁にログインする一方で、請求書や連絡のメールも大量に届くため、銀行を名乗る偽のメールが紛れ込みやすい環境でもあります。報酬の受取口座にも、ワンタイムパスワード、限度額、入出金の通知の3つを設定しておきましょう。
仕事用に法人の口座や事業用の口座を使っている人は、前の節で見たとおり、上限額や届け出の期限が個人の口座と違う場合があります。取引先から報酬がまとまって入る月は残高が大きくなるため、上限額を超える被害にならないよう、限度額の設定と、補償の条件になっている対策の有無を銀行に確かめておくと安心です。
フリーランスの仕事の現場を長く見てきた立場から言えば、トラブルに強い人ほど、仕事の腕と同じくらい、お金の流れの管理を地道に続けています。口座の設定は一度済ませれば、その後の手間はほとんどかかりません。
セキュリティの知識は、自分の口座を守るだけでなく、仕事にもつながります。企業のセキュリティ対策やフィッシング対策の支援を請け負う働き方は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、仕事の内容と求められるスキルをまとめています。ネットワークの基礎を体系的に学ぶなら、CCNA(シスコ技術者認定)の試験範囲や難易度も参考になります。社内でフィッシングの被害を防ぐ取り組みについては、社員のセキュリティ意識を向上させるフィッシングメール模擬訓練の効果|2026年最新の従業員教育ガイドと、補助金を使った対策を扱った中小企業のサイバーセキュリティ対策2026|IT導入補助金で防御力を強化する方法も役に立ちます。
よくある質問
Q. ネットバンキングで不正送金されたお金は全額戻りますか?
個人の口座で、預金者に落ち度がなければ、全国銀行協会の申し合わせに基づき原則として全額が補償されます。ただし、銀行への速やかな通知、十分な説明、警察への届出が前提で、被害から30日を過ぎて通知すると補償されません。過失がある場合は減額や補償なしになることがあり、最終的には銀行が個別に判断します。
Q. 補償の期限の30日はいつから数えますか?
不正送金が行われた日(被害の発生日)から数えます。ドコモSMTBネット銀行やPayPay銀行の規定では、被害の翌日から31日以降に通知した場合は対象外です。補償される範囲も、通知した日の30日前の日以降の被害です。気づいた日ではない点に注意し、入出金の通知を設定して早く気づけるようにしておきましょう。
Q. 会社の口座や個人事業主の口座も補償されますか?
全国銀行協会の2008年の申し合わせは個人が対象で、会社の口座は対象外です。法人の口座は銀行ごとの規定で補償され、ゆうちょ銀行は1事故あたり3,000万円、PayPay銀行は年間5,000万円など上限があります。個人事業主の口座は銀行により個人扱いと法人扱いに分かれるため、取引先の銀行で確認してください。
Q. 偽サイトにパスワードを入力してしまったら、まず何をすればいいですか?
お金が動いていなくても、すぐに銀行の不正出金の窓口に電話してネットバンキングを止め、パスワードを変更してください。可能性に気づいていたのに通報しなかった間の被害は、補償の減額対象になりえます。電話番号はメールに書かれたものではなく、通帳や公式サイトで確認したものを使い、警察にも相談しておきましょう。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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