居宅介護支援事業所へ転職するという選択|前の職場との落差と、決め手

長谷川 奈津
長谷川 奈津
居宅介護支援事業所へ転職するという選択|前の職場との落差と、決め手

この記事のポイント

  • ✓居宅介護支援事業所への転職で起きる
  • ✓前の職場との落差を職場別に整理しました
  • ✓病院の看護師からの転職で何が変わるのか

居宅介護支援事業所への転職を考えたとき、多くの人が最初に気にするのは「夜勤がなくなる」「土日が休める」という点です。それ自体は間違っていません。ただ、居宅に移って半年以内に「思っていたのと違った」と感じる人の話を聞くと、つまずいているのは夜勤や休日ではなく、もっと別のところです。

結論から言うと、居宅介護支援事業所への転職で起きる落差は、「1人で判断する時間の長さ」「給与の構造の違い」「締切のある事務の重さ」の3つに集まります。つまり、職場の中で何が起きているかを知ってから動けば、落差はほとんど予想できる範囲に収まります。これ、知らない人が本当に多いんです。この記事では、前の職場ごとに何が変わるのか、求人票と雇用契約書のどこを見れば実態が分かるのか、そして転職の決め手をどう作るかを順に整理します。

居宅介護支援事業所の求人が出続ける事情

まず、居宅介護支援事業所という職場がいまどういう状況にあるかを押さえます。転職先を選ぶ前提になる話です。

居宅介護支援事業所は、介護支援専門員(ケアマネジャー)が在宅の要介護者のケアプランを作り、サービス事業所との調整を行う事業所です。全国に3万か所台ありますが、ここ数年は数が減る傾向にあります。一方で、在宅で介護サービスを使う高齢者は増え続けています。事業所は減り、利用者は増える。この差を埋めるために、どこの事業所もケアマネジャーを探しています。

求人の出方を見ると、その事情が分かります。大手の介護転職サービスには、居宅介護支援事業所に絞った求人だけでも常時まとまった数が並んでいます。

9月9日現在、カイゴジョブエージェントで掲載中の居宅介護支援事業所の介護職求人は、203件になります。 出典: kaigoagent.com

1つの紹介会社だけでこの数です。求人サイト全体で見れば、居宅のケアマネジャー募集は地域を問わず出ています。つまり、資格を持っていれば「入れる事業所が見つからない」という状況にはなりにくい職場です。

ただし、求人が多いことは、条件の良い事業所が多いことを意味しません。求人が出続けている理由の1つは、人が辞めることです。背景には、居宅のケアマネジャーという仕事の構造があります。

人員基準では、常勤のケアマネジャーを1人以上置き、利用者44人ごとに1人を基準に配置します。令和6年度の介護報酬改定で、それまでの35人から引き上げられました。担当件数の上限の目安が上がったということは、1人が抱えられる件数が増えたということでもあります。事業所の経営としては助かる改定ですが、現場の1人あたりの負担は重くなる方向に働きます。

もう1つ、ケアマネジャーの年齢構成が高いことも見逃せません。資格を取るまでに実務経験が必要な職種なので、そもそも40代以降で就く人が多く、60代で現役の人も珍しくありません。ベテランが引退すると、その人が担当していた利用者を誰かが引き継ぐ必要があります。求人の多くは、この引き継ぎの穴を埋めるためのものです。

転職する側から見ると、ここに1つ注意点があります。「前任者が退職したので、担当30件をまとめて引き継いでほしい」という形で採用されるケースがあるということです。入職初月から30件を持つのか、10件から段階的に増やすのかで、最初の3か月の負担はまったく違います。これは後の節で詳しく触れますが、面接で必ず確かめたい点です。

前の職場別に見る、居宅に移ったときの落差

居宅介護支援事業所への転職者は、前の職場によって感じる落差が違います。ここでは代表的な4つの経路に分けて整理します。自分に近いところを読んでください。

施設の介護職からケアマネジャーとして転職する場合

いちばん多い経路です。介護福祉士として特別養護老人ホームや老人保健施設で働き、実務経験を積んでケアマネジャーの試験に合格し、居宅に移るという流れです。

この経路で最も大きい落差は、給与の構造です。施設の介護職には介護職員等処遇改善加算による上乗せがあり、夜勤手当も付きます。夜勤手当は1回あたり5,000円から8,000円程度が相場で、月に4回から5回入れば、それだけで2万円から4万円になります。一方、居宅介護支援は処遇改善加算の対象外です。夜勤もありません。そのため、基本給が上がっても手取りの合計は変わらないか、下がることがあります。

つまり、「資格を取って職位が上がったのに、収入は下がった」という状態が普通に起こりえます。これを知らずに転職すると、最初の給与明細で気持ちが折れます。

もう1つの落差は、体を動かす仕事から、調整と書類の仕事への切り替わりです。施設ではチームで利用者を支え、目の前の介助で1日が進みます。居宅では、利用者に直接介助をすることはほとんどありません。代わりに、電話、訪問、会議、記録が1日を埋めます。「利用者と関わる時間が減った」と感じる人もいれば、「1人の生活を丸ごと見られるようになった」と感じる人もいます。

施設ケアマネから居宅ケアマネへ転職する場合

同じケアマネジャーでも、施設と居宅では仕事の中身がかなり違います。

施設ケアマネは、施設の中にいる利用者のケアプランを、施設の職員と一緒に作ります。関わる事業所は基本的に自分の施設だけです。居宅ケアマネは、訪問介護、訪問看護、デイサービス、福祉用具、主治医など、別々の法人に属する事業所を1人でつなぎます。相手は同僚ではないので、頼めば動いてくれるとは限りません。

また、施設ケアマネは介護職を兼務していることが多く、処遇改善加算の対象になっている場合があります。居宅に移ると、その分が外れます。施設ケアマネからの転職でも、給与明細を並べて比べることが大切です。

一方で、ケアプランの作り方やアセスメントの考え方はそのまま使えます。サービスの種類と、地域の事業所の顔ぶれを覚えれば、立ち上がりは介護職からの転職より早い傾向があります。

病院の看護師や医療ソーシャルワーカーから転職する場合

看護師やMSW(医療ソーシャルワーカー)として病院で働き、ケアマネジャーの資格を取って居宅に移る人もいます。

この経路の強みは、医療との連携です。退院前カンファレンスで病棟の看護師が何を気にしているのか、主治医にどう聞けば返事がもらえるのかを知っているので、医療ニーズの高い利用者を任されやすくなります。

落差として大きいのは、介護保険の制度と給付管理です。病院では診療報酬の仕組みの中で動いていたので、区分支給限度基準額(要介護度ごとに使えるサービスの上限)の計算や、サービス利用票の作成には慣れていません。最初の数か月は、事務の手順でつまずくことが多くなります。

また、看護師からの転職では、給与が下がる幅が大きくなりやすい点も押さえておいてください。病院の夜勤手当や資格手当が外れるため、年収で見ると下がるのが一般的です。看護師の給与水準は、看護師の年収・単価相場で年齢や働き方ごとに確認できます。今の年収をここで確かめてから、居宅の求人と並べて比べると判断しやすくなります。

地域包括支援センターから転職する場合

地域包括支援センターで主任介護支援専門員や社会福祉士として働いてきた人が、居宅に移ることもあります。

地域包括は、要支援の人のケアマネジメントに加えて、総合相談、権利擁護、地域の関係者づくりを担います。居宅に移ると、担当するのは主に要介護の人のケアプランになり、仕事の範囲は狭くなります。その代わり、1人ひとりの利用者に深く関わる時間が増えます。

地域包括の多くは市町村からの委託で運営されているため、給与体系が法人の規程とは別になっていることがあります。同じ法人内での異動でも、条件が変わる場合があるので確認が必要です。

居宅の1日と人員体制の中で、転職者がつまずく場面

前の職場との落差は、居宅介護支援事業所の1日の中で具体的に表れます。ここでは1日の流れと人員体制から、転職者がつまずきやすい場面を拾います。

居宅介護支援事業所の営業時間は、平日の8時30分から17時30分前後が多く、土日祝日は休みのところが中心です。朝に出勤すると、まずFAXとメール、留守番電話を確認します。夜のうちに届いた入院の連絡、ヘルパー事業所からの状態報告、家族からの相談が並んでいます。この確認の結果で、その日の予定が組み替わります。

午前と午後は利用者宅への訪問に出ます。ケアマネジャーは原則として月1回以上、利用者の居宅を訪問してモニタリングを行います。担当が35件なら、それだけで月に35回以上の訪問です。これにサービス担当者会議、退院前カンファレンス、新規の契約が加わります。1日に2件から4件、車や自転車で回るのが一般的です。

夕方に事務所へ戻ると、支援経過の記録、翌月のサービス利用票の作成、事業所への連絡が待っています。月末から月初は、各サービス事業所から実績を集め、給付管理票を毎月10日までに国民健康保険団体連合会へ提出します。この締切は動かせません。

人員体制は、常勤のケアマネジャーが2人から5人程度、事務員が1人いるかいないか、というのが典型です。管理者も担当件数を持っていることがほとんどです。そして日中は、全員が外に出ています。

この体制の中で、転職者がつまずく場面は次の4つに集中します。

・利用者宅で急な変化に気付いたとき、その場で相談できる相手がいない ・入院や退院の連絡が重なり、予定していた訪問を回しきれない ・月初の給付管理で、実績の数字が合わず締切前夜まで残る ・特定事業所加算を算定している事業所で、時間外の携帯電話当番が回ってくる

施設から来た人が特に戸惑うのは、1つ目です。施設では、隣に先輩や看護師がいます。居宅では、判断に迷う場面が利用者宅の玄関先で1人のときに起きます。電話で管理者に相談できる事業所もありますが、管理者も訪問中で出られないことがあります。

私が労務の相談を受けた中にも、この場面に関わる話がありました。居宅に転職して2か月目の方が、訪問先で利用者の体調の変化に気付き、家族に受診を勧めたものの、翌日に救急搬送になったというケースです。その方は「自分の判断が遅かったから責任を問われるのでは」と心配して相談に来ました。つまり、法的な責任の有無より先に、1人で判断した重さに押しつぶされそうになっていたんです。事業所の中で、判断に迷ったときの連絡手順と、記録の残し方が決まっていなかったことが、不安を大きくしていました。

※ 実際に事故や苦情が発生し、損害賠償などの話になっている場合は、事業所が加入している保険の担当者や弁護士に相談してください。

こうした場面は、事業所の体制でかなり軽くできます。朝夕に短いミーティングを持つ、判断に迷ったらまず記録を残してから管理者に連絡する、という手順が決まっている事業所では、転職者が孤立しにくくなります。求人を選ぶときは、この「1人のときの支え」がどう作られているかを見てください。

転職の前に揃える資格と、かかる費用

居宅介護支援事業所でケアマネジャーとして働くには、介護支援専門員の資格が必要です。ここでは資格の取り方と、転職前後にかかる費用を整理します。

介護支援専門員は、都道府県が実施する介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、実務研修を修了して登録を受けると名乗れます。受験には、介護福祉士、看護師、社会福祉士などの法定資格に基づく業務、または生活相談員などの相談援助業務で、通算5年以上かつ900日以上の実務経験が必要です。受験資格の範囲は国で見直しが議論されてきたので、受験する年の要件は必ず都道府県の試験実施要項で確認してください。

合格後の実務研修は、講義と演習に加えて実習があり、合計で87時間以上です。研修の受講料は都道府県によって違いますが、数万円かかります。働きながら受講する場合、研修日に休みを取る必要があるので、今の職場の理解も必要になります。

費用で見落としやすいのは、資格を取った後です。介護支援専門員証の有効期間は5年で、更新するには更新研修を受ける必要があります。実務に就いている人の更新研修は時間数が多く、受講料も数万円単位になります。この費用を事業所が負担するのか、本人が払うのかは、事業所によって分かれます。

求人票に「資格更新費用の全額負担あり」と書かれている事業所が一定数あるのは、このためです。5年ごとに数万円と、研修で休む日数を考えると、この一文の価値は小さくありません。求人を比べるときは、次の点を確認してください。

・更新研修の受講料を事業所が負担するか、全額か一部か ・研修の日を勤務扱いにするか、有給休暇を使うのか ・負担を受けた後に一定期間内に退職した場合、返還を求める規程があるか

3つ目は、私の専門分野に近い話なので少し補足します。研修費用を事業所が立て替え、「一定期間内に辞めたら返してもらう」という約束をしている事業所があります。つまり、転職した後にさらに転職しようとすると、費用の返還を求められる場合があるということです。労働基準法は、労働契約の不履行について違約金を定めることを禁じていますが、研修費用の貸付と返済の約束がすべて無効になるわけではなく、研修が業務として命じられたものか、本人の自由な選択によるものかなどで判断が分かれます。これ、知らない人が本当に多いんです。

※ 返還を求められて金額や期間に納得できない場合は、労働基準監督署の相談窓口や弁護士に相談してください。

主任介護支援専門員を目指す場合は、ケアマネジャーとしての実務経験が原則5年以上必要で、さらに主任介護支援専門員研修を受けます。居宅介護支援事業所の管理者は原則として主任介護支援専門員なので、長く居宅で働くなら視野に入れておきたい資格です。転職先を選ぶ段階で、主任の研修を受けさせてもらえるかを聞いておくと、5年後の働き方まで見通せます。

資格そのものではありませんが、相談援助の技術を体系的に学ぶ手段として、キャリアコンサルタントの資格を持つケアマネジャーもいます。キャリアコンサルタントのページでは、国家資格としての位置付けや試験の概要をまとめています。利用者の家族の就労と介護の両立を支える場面が増えているので、関心があれば目を通してみてください。

求人票と雇用契約書のどこを見れば実態が分かるか

居宅介護支援事業所の求人票は、どこも似た言葉が並びます。「残業少なめ」「土日休み」「直行直帰可」。この言葉だけでは違いが分かりません。実態は、次の項目に表れます。

担当件数と、入職直後の持ち方

最初に見るのは担当件数です。求人票に「担当件数35件程度」と書かれていれば、その事業所の標準がそこにあります。書かれていない場合は、面接で必ず聞いてください。聞くべきは平均だけでなく、入職後の持ち方です。

・入職初月は何件から始めるか ・何か月かけて標準の件数まで増やすか ・前任者の担当を一括で引き継ぐ予定があるか ・要支援の人の介護予防ケアマネジメントを地域包括から受託しているか

4つ目は見落としがちです。要支援の人のケアマネジメントを受託している事業所では、要介護の件数とは別に要支援の件数が加わります。件数の数え方が変わるので、合計でどれくらいの訪問があるのかを確認してください。

特定事業所加算の算定状況

特定事業所加算を算定している事業所は、主任介護支援専門員や常勤のケアマネジャーを一定数配置し、定期的な会議や研修、24時間連絡が取れる体制を整えています。つまり、人員と研修が厚い事業所だということです。一方で、時間外の連絡体制があるので、携帯電話の当番が回ってきます。

加算の算定状況は、厚生労働省の介護サービス情報公表システムから、事業所ごとに確認できます。公表システムでは、従業者の人数、経験年数、前年度の退職者数も見られます。退職者が毎年複数出ている小規模な事業所は、理由を面接で確かめる価値があります。

併設事業所と、特定の事業所への偏り

居宅介護支援事業所の多くは、訪問介護やデイサービスなどを運営する法人に属しています。併設事業所があること自体は、連絡が取りやすいという利点があります。ただ、法人から「なるべく自社のサービスを使うように」という圧力がかかる事業所では、ケアマネジャーが板挟みになります。

ケアマネジャーには公正中立に事業所を選ぶ義務があり、利用者に複数の事業所を紹介できることを説明する必要があります。面接では「併設のサービスを使う割合はどれくらいですか」と聞いてみてください。答え方で、その事業所の姿勢がかなり分かります。

移動手段と、自家用車を使う場合の取り決め

雇用契約書で必ず確かめたいのが、訪問の移動手段です。社用車があるのか、自家用車を使うのか、自転車なのか。自家用車を業務に使う場合は、次の点を書面で確認してください。

・ガソリン代や車両の維持費をどう精算するか(1kmあたりいくらか) ・業務中の事故で、どの保険を使うか ・自家用車の任意保険に、業務使用の条件が必要か

私が以前に見た雇用契約書では、自家用車の業務使用が求められているのに、事故のときの取り扱いが一行も書かれていませんでした。つまり、事故が起きたら個人の保険で対応することになり、翌年の保険料が上がるのも本人の負担になりかねない契約です。入職前なら、書面で取り決めを求めることができます。入職後に言い出すのは、ずっと難しくなります。

事務員の有無と、記録の仕組み

最後に、事務員がいるかどうかと、記録をどう付けているかです。請求業務や電話の一次対応を事務員が担ってくれる事業所では、ケアマネジャーが訪問と相談に集中できます。記録をタブレットやスマートフォンで外出先から入力できる事業所は、夕方に事務所へ戻ってからの作業が短くなります。ケアプランデータ連携システムを使っている事業所では、サービス事業所とのFAXのやり取りが減ります。

転職のステップ:辞める前から入職後3か月まで

ここまでの確認点を踏まえて、居宅介護支援事業所への転職を段階ごとに整理します。

辞める前にやること

1つ目は、今の給与明細から、居宅に移ったら外れる手当を洗い出すことです。夜勤手当、処遇改善加算による手当、資格手当、住宅手当など、項目ごとに書き出し、居宅の求人の月給と並べます。月給の数字だけで比べると、手取りの差を見誤ります。介護職の給与の相場は、介護職員の年収・単価相場で年代や地域ごとに確認できます。自分の今の年収が相場のどのあたりにあるかを知っておくと、居宅の提示額が妥当かどうか判断しやすくなります。

2つ目は、住んでいる地域の居宅介護支援事業所を、公表システムで一覧にすることです。事業所の数、規模、加算の算定状況、退職者数をざっと並べると、求人が出ていない事業所も含めて地域の全体像が見えます。

3つ目は、通勤と訪問の範囲の確認です。居宅は担当地域を回るので、事業所の場所だけでなく、訪問先の範囲が自分の生活圏と合っているかが重要になります。

応募から内定まで

応募書類では、前の職場で見てきた場面を具体的に書きます。施設から来るなら、退所して在宅に戻った利用者のその後が気になった経験。病院から来るなら、退院調整で在宅の準備が間に合わなかった経験。こうした場面は、居宅を選ぶ理由として説得力があります。

面接では、ここまでに挙げた担当件数、入職直後の持ち方、特定事業所加算、併設事業所、移動手段、研修費用の負担を聞きます。可能なら、見学のついでに事務所の様子を見せてもらってください。日中に誰もいない事務所なのか、事務員が電話を受けているのか、机の上に書類が積み上がっているのかで、忙しさの質が分かります。

内定が出たら、労働条件通知書または雇用契約書を受け取り、面接で聞いた内容と一致しているかを確認します。口頭で「最初は10件から」と言われても、書面に残っていなければ、担当者が替わった時点で約束は消えます。書面に書けない内容なら、せめてメールで送ってもらうとよいです。

入職後3か月でやること

入職後の1か月目は、先輩の訪問に同行し、地域のサービス事業所の顔ぶれを覚えます。2か月目から自分の担当を持ち始め、3か月目に初めて自分で給付管理を締めます。この3か月目が、1つ目の山です。

この時期に、判断に迷った場面を記録しておくことをおすすめします。どの場面で、誰に相談し、どう解決したか。3か月分がたまると、自分がつまずきやすい場面が見えてきます。管理者との面談でそれを見せれば、支え方を具体的に相談できます。

転職の決め手になる条件と、見送るべき事業所

居宅介護支援事業所への転職で、最終的な決め手になるのは何か。多くの相談を聞いてきた立場から整理すると、次の3つに収まります。

1つ目は、入職直後の担当件数の増やし方が、書面で決まっていることです。最初から標準件数を背負わせる事業所は、育てる余裕がありません。

2つ目は、1人で判断する場面の支えがあることです。朝夕のミーティング、管理者への連絡手順、事例を持ち寄る会議。特定事業所加算を算定している事業所なら、会議と研修は仕組みとして組み込まれています。

3つ目は、給与の総額が、今の職場から外れる手当を差し引いた後でも納得できることです。基本給が高く見えても、手当が付かなければ差が縮みます。数字を並べて、それでも居宅を選ぶ理由があるかを自分に問うことが、転職後の後悔を減らします。

逆に、見送ったほうがよい事業所には、共通点があります。面接で担当件数を聞いても曖昧にしか答えない。前年度に常勤の半分近くが辞めている。併設サービスの利用を強く求める空気がある。自家用車の業務使用について取り決めがない。こうした事業所では、入職後に落差を埋める手段がありません。

介護の現場で相談援助の経験を積んだ人は、居宅の外にも活かせる場があります。職場や転職、キャリアの相談を受ける仕事の実態は、職場・転職・キャリア相談のお仕事にまとめています。介護の仕事と並行して、相談の経験を別の形で活かしたい人の参考になります。

運営者の視点から見た、居宅のケアマネジャーという働き方

フリーランスや在宅で働く人の市場を20年見てきた運営者の視点から、最後に1つだけ補足します。

居宅のケアマネジャーは、雇用されて働く職種ですが、仕事の進め方は個人事業に近いところがあります。担当する利用者を自分で抱え、複数の事業所と調整し、締切までに書類を仕上げる。上司がすぐそばにいない中で、自分で段取りを組む働き方です。

運営者として見てきた限りでは、この種の働き方で長く続く人には共通点があります。1人で抱え込まず、「この人に頼めば話が早い」という相手を、事業所の外に少しずつ増やしていることです。訪問看護の担当者、福祉用具の営業担当、病院の連携室。関係が1つできるたびに、1件あたりの調整にかかる時間が短くなります。

そして、働く場所の条件を選ぶときには、額面より手取りの厚さを見る視点が役立ちます。在宅で仕事を受ける世界でも、中間に手数料が入らない手数料0%の直接のやり取りでは、同じ予算で依頼する側はより多くを頼め、受ける側は手元に残る額が厚くなります。居宅への転職も同じで、月給の数字より、外れる手当と負担してもらえる費用を差し引いた後に何が残るかで判断すると、落差に振り回されにくくなります。

法律と制度は、知っている人の味方です。担当件数、研修費用、自家用車の取り決め。どれも入職前に書面で確かめられることばかりです。確かめてから決めた転職は、落差があっても自分で選んだ道として受け止められます。

よくある質問

Q. 介護職から居宅のケアマネジャーに転職すると給料は下がりますか?

下がる場合があります。居宅介護支援は処遇改善加算の対象外で、夜勤手当もなくなるためです。基本給が上がっても、施設で受け取っていた夜勤手当や処遇改善の手当が外れると、手取りの合計が変わらないか減ることがあります。今の給与明細から外れる手当を書き出し、居宅の求人の月給と並べて比べてください。

Q. ケアマネジャーの実務経験がなくても居宅介護支援事業所に転職できますか?

介護支援専門員の資格があれば、実務経験がなくても採用する事業所はあります。求人票に「居宅経験なし歓迎」と書かれていることもあります。その場合は、入職直後の担当件数を何件から始めるか、先輩の訪問に同行する期間があるか、研修費用を事業所が負担するかを面接で確認し、書面に残してもらうと安心です。

Q. 居宅介護支援事業所の求人票で必ず確認すべき点は何ですか?

担当件数と入職直後の持ち方、特定事業所加算の算定状況、訪問の移動手段、更新研修の費用負担の4つです。自家用車を業務に使う場合は、ガソリン代の精算方法と事故時の保険の扱いも確かめてください。加算の算定状況や退職者数は、介護サービス情報公表システムで事業所ごとに調べられます。

Q. 居宅介護支援事業所は残業が少ないというのは本当ですか?

事業所と時期によって差があります。日中は訪問や会議で外に出ることが多く、記録やサービス利用票の作成が夕方に集中しがちです。特に月初は給付管理票の提出締切があり、残業が増えやすくなります。事務員の有無や、外出先で記録を入力できる仕組みがあるかで負担が変わるので、面接で具体的に聞いてください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月15日最終更新:2026年9月16日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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