居宅介護支援事業所で求められる資格|無くても入れる範囲はどこまでか【2026年版】

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
居宅介護支援事業所で求められる資格|無くても入れる範囲はどこまでか【2026年版】

この記事のポイント

  • 居宅介護支援事業所で求められる資格を職種ごとに整理しました
  • ケアマネジャーに必須の介護支援専門員
  • 管理者の主任介護支援専門員

居宅介護支援事業所で働くのに、どの資格が要るのか。結論から言うと、ケアマネジャーとして働くなら介護支援専門員の資格(正確には、都道府県への登録と介護支援専門員証の交付)が必須です。管理者になるなら、原則として主任介護支援専門員が求められます。一方で、資格がなくても入れる職種は事務員に限られ、無資格のまま「ケアマネ補助」としてケアプランの作成に関わることはできません。

この記事では、居宅介護支援事業所で働く人の職種ごとに、資格の要否と、資格によって任される範囲がどう変わるかを整理します。求人票の資格欄の読み方と、2026年時点で確認しておきたい制度の動きもあわせてまとめました。

居宅介護支援事業所で働く人と、資格の要否

最初に全体像を示します。居宅介護支援事業所は、在宅の要介護者のケアプラン(居宅サービス計画)を作る事業所です。訪問介護やデイサービスのように、利用者に直接サービスを提供する職員はいません。そのため、働く人の職種は非常に少なく、次の3つにほぼ集約されます。

職種 必要な資格 法令上の配置 主な業務
管理者 主任介護支援専門員(原則) 必置(常勤) 事業所の運営、職員の管理、自らも利用者を担当
介護支援専門員 介護支援専門員証 常勤1人以上、利用者44人ごとに1人を基準 アセスメント、ケアプラン作成、モニタリング、給付管理
事務員 不要 任意 電話対応、請求事務、書類管理、データ入力

注目すべきは、事務員が法令上の必置職種ではない点です。つまり、居宅介護支援事業所の運営に必要な人員は、極端に言えば「主任介護支援専門員の管理者1人」でも成り立ちます。実際に、管理者が1人で運営している小規模な事業所は少なくありません。

この構造から、資格のない人が入れる範囲は自然と狭くなります。訪問介護なら無資格でも生活援助の補助から始められる、デイサービスなら介護助手として入れる、という入口が居宅介護支援事業所にはありません。業務のほとんどが、介護支援専門員にしかできない仕事で構成されているからです。

一方で、事務員の求人は一定数出ています。理由は後の章で説明しますが、報酬の計算方法と関係しています。「無資格でも入れるのか」という問いに対する答えは、「事務員としてなら入れる。ただし業務の範囲には明確な線がある」です。

この線を理解しないまま「ケアマネ補助」「ケアマネアシスタント」といった求人に応募すると、入ってから想定と違う仕事を任される、あるいは法令上問題のある業務をさせられる、という事態が起こりえます。正直なところ、求人票の職種名だけでは判断できないケースが多いので、以下で順に確認していきます。

ケアマネジャーとして働くには介護支援専門員が必須

居宅介護支援事業所の中心は、介護支援専門員です。ケアマネジャーとして働くには、次の段階をすべて通過する必要があります。

  1. 受験資格を満たす(法定資格や相談援助業務での実務経験)
  2. 都道府県が実施する介護支援専門員実務研修受講試験に合格する
  3. 介護支援専門員実務研修を修了する
  4. 都道府県に登録し、介護支援専門員証の交付を受ける

試験に合格しただけでは、ケアマネジャーとして働けません。研修を修了して登録し、証の交付を受けて初めて、ケアプランの作成などの業務ができます。この点は求人票の読み方にも関わるので、後で詳しく扱います。

受験資格は、2018年度の試験から大きく絞り込まれました。現在は、次のいずれかで実務経験が通算5年以上、かつ従事した日数が900日以上あることが条件です。

・保健・医療・福祉の法定資格に基づく業務(医師、看護師、准看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、歯科衛生士、管理栄養士・栄養士など) ・生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員としての相談援助業務

2017年度までは、無資格の介護職員でも実務経験を積めば受験できましたが、この経路は廃止されています。つまり、現在ケアマネジャーを目指すなら、介護福祉士などの基礎資格を取るか、相談員として実務を積むことが前提になります。

試験は年に1回、全国で同じ日に行われます。問題は介護支援分野と、保健医療福祉サービス分野の2分野で構成され、それぞれの分野で合格基準を満たす必要があります。合格率は年によって変動し、近年は2割から3割程度で推移しています。

合格後の実務研修は、講義と演習、実習を含めて87時間以上です。数か月にわたって行われ、居宅介護支援事業所での見学実習も含まれます。研修の費用は都道府県によって異なり、数万円程度かかります。

介護支援専門員証の有効期間は5年です。更新するには、期間内に更新研修を修了する必要があります。実務に就いている人は、専門研修の課程を修了することで更新の要件を満たします。更新研修も数十時間規模で、費用がかかります。

居宅介護支援事業所で働く人にとって、この更新研修の費用と時間を誰が負担するかは、実質的な労働条件の一部です。研修費用を事業所が負担するか、研修日を勤務扱いにするかは事業所によって異なります。求人票に書かれていない場合は、面接で確認すべき点です。

管理者に求められる主任介護支援専門員

居宅介護支援事業所の管理者は、原則として主任介護支援専門員でなければなりません。この要件は2018年度の介護報酬改定で導入され、経過措置を経て現在に至っています。

主任介護支援専門員になるには、主任介護支援専門員研修を修了する必要があります。受講には、専任の介護支援専門員として従事した期間が通算5年以上であることなどの要件があり、都道府県によって追加の条件(推薦や事例提出など)が設けられている場合もあります。研修は70時間程度で、修了後も5年ごとに主任介護支援専門員更新研修を受けて資格を維持します。

経過措置についても整理しておきます。2021年3月31日の時点で主任介護支援専門員ではない人が管理者を務めていた事業所では、その人が管理者を続ける限り、2027年3月31日まで管理者要件の適用が猶予されています。つまり、2026年時点ではまだ主任介護支援専門員ではない管理者が一部に残っていますが、その期限が近づいているということです。

この経過措置の期限は、求人市場にも影響しています。主任介護支援専門員の資格を持つ人を管理者候補として探す事業所が出てくるためです。求人票に「主任介護支援専門員優遇」「管理者候補」と書かれている場合、背景に管理者要件の問題がある可能性があります。

もう1つ、主任介護支援専門員が求められる場面が、特定事業所加算です。特定事業所加算は、主任介護支援専門員と常勤のケアマネジャーを一定数以上配置し、24時間の連絡体制、計画的な研修、困難事例の受け入れなどを行っている事業所が算定できる加算です。加算の区分によって、必要な主任介護支援専門員の人数が異なります。

主任介護支援専門員が2人いれば上位の区分を算定できる、という構造があるため、同じ主任介護支援専門員でも、事業所にとっての価値は「管理者要件を満たす」と「加算の要件を満たす」の2つの意味を持ちます。資格手当の額に差があるのは、こうした事情によるものです。

基礎資格で任される範囲はどう変わるか

同じ介護支援専門員の資格を持っていても、基礎資格によって事業所内での役割は変わります。法令上の業務範囲は同じですが、実際に担当するケースの傾向に差が出ます。

ケアマネジャーの基礎資格として最も多いのは介護福祉士で、試験の合格者の中でも大きな割合を占めています。次いで看護師・准看護師、社会福祉士、相談員の経験者などが続きます。

看護師出身のケアマネジャーは、医療依存度の高い利用者を任される傾向があります。たとえば、在宅酸素、胃ろう、インスリン注射、たんの吸引が必要な方、がんの末期で在宅での看取りを希望する方などです。こうしたケースでは、主治医や訪問看護との連携が多く、医療用語でのやり取りが頻繁に発生します。退院前カンファレンスで病棟の看護師と話す場面も、看護師出身者のほうが円滑に進みやすいと言えます。

ただし、ケアマネジャーとして働く以上、看護師であっても医療行為を行う立場ではありません。利用者宅で状態を見て「受診を勧める」「訪問看護に報告する」ことはあっても、処置をするわけではない。この線引きに戸惑う看護師出身者は少なくないという話をよく聞きます。

介護福祉士出身のケアマネジャーは、日常生活の介助に関する具体的な見立てに強みがあります。入浴、排せつ、食事の場面で何ができて何ができないか、どの福祉用具を入れればよいか、ヘルパーにどんな手順で入ってもらえばよいか。こうした生活の組み立ては、介護の現場経験がそのまま活きる領域です。

社会福祉士や相談員出身のケアマネジャーは、制度の活用や家族支援に強みがあります。経済的に困窮している世帯、成年後見制度の利用が必要な方、家族間の対立があるケース、虐待が疑われるケースなどです。地域包括支援センターや市町村の担当者との連携も多くなります。

事業所の側から見ると、基礎資格が偏っていないほうが、幅広いケースを受けられます。前述の特定事業所加算の要件には、他の事業所が対応に困る困難事例を受け入れることが含まれており、多様な基礎資格を持つチームは加算の維持にも有利です。

応募する側としては、事業所のケアマネジャーの基礎資格の構成を知っておくと、自分がどんなケースを任されそうかを予測できます。この情報は、事業所の案内に書かれていることがあります。

「居宅介護支援事業所 雫」は、埼玉県さいたま市見沼区を拠点として居宅介護支援を提供する介護サービス事業所です。合同会社 雫が運営を行っており、地域の高齢者やご家族の生活をサポートしています。 施設の所在地は「埼玉県さいたま市見沼区南中野59番地3」です。サービス内容の詳細やご利用に関するご相談は、記載の連絡先までお問い合わせください。 出典: e-nursingcare.com

このような事業所紹介のページには、運営法人の種類や所在地が書かれています。合同会社などの小規模な法人が運営する独立型の事業所か、医療法人や社会福祉法人が運営する併設型の事業所かによって、職員の構成も変わります。医療法人が母体なら看護師出身のケアマネジャーが多い傾向、社会福祉法人が母体なら介護福祉士や社会福祉士が多い傾向が見られます。

資格がなくても入れる範囲:事務員と、その線引き

ここからが、この記事の主題の1つです。資格がなくても居宅介護支援事業所で働けるのか。答えは、事務員としてなら働けます。

先に述べたとおり、事務員は法令上の必置職種ではありません。それでも事務員の求人が出るのは、報酬の計算方法に理由があります。

居宅介護支援の基本報酬には、ケアマネジャー1人あたりの担当件数が一定を超えると報酬が減る「逓減制」という仕組みがあります。令和6年度の改定後は、1人あたり45件以上になると単価が下がります。ただし、ケアプランデータ連携システムを活用し、かつ事務職員を配置している事業所では、この境目が50件以上に緩和されます。

つまり事務員を置くことで、ケアマネジャー1人がより多くの件数を担当しても報酬が減りにくくなるわけです。事務員の配置は、事業所の収入に直接影響します。この事務職員は常勤である必要はなく、パートタイムでも要件を満たせる扱いになっているため、短時間の事務の求人も出ています。

では、無資格の事務員ができる業務はどこまでか。整理すると次のとおりです。

無資格の事務員ができる業務の例: ・電話やFAXの受付、担当ケアマネジャーへの伝達 ・サービス事業所からの実績の回収と、請求ソフトへの入力 ・給付管理票の作成補助と、国保連への伝送作業 ・利用者の基本情報や書類のファイリング ・サービス利用票の印刷、郵送、事業所への送付 ・会議の日程調整、会場の手配 ・介護保険証や負担割合証の写しの管理

無資格の事務員がしてはいけない業務の例: ・利用者のアセスメント(課題分析) ・ケアプランの原案の作成と、内容の決定 ・サービス担当者会議の主催 ・利用者宅でのモニタリングと、その記録の作成 ・要介護認定の調査

線を引く考え方はシンプルで、「専門的な判断が含まれる業務」はケアマネジャーにしかできません。事務員が入力を代わりに行うことはできても、その内容を判断するのはケアマネジャーです。

正直なところ、この線を曖昧にしている事業所が存在するのも事実です。「ケアマネ補助」の名目で、無資格者にアセスメントシートを埋めさせる、モニタリングの訪問を代わりに行わせる、といった運用です。こうした運用は運営基準に反し、報酬の返還につながるおそれがあります。求人票に「ケアマネ補助」「ケアプラン作成補助」とある場合は、具体的に何を任されるのかを面接で必ず確認してください。

事務員として働くうえで役に立つ資格はあります。必須ではありませんが、介護事務の民間資格や、医療事務の資格は、請求業務の仕組みを理解する助けになります。医療機関の請求の流れを学んだ人は、介護保険の給付管理にも入りやすいでしょう。パソコンの基本操作、特に表計算ソフトの扱いは実務で頻繁に使います。

試験に合格したが研修中の人、証が切れている人

求人票の資格欄で見落とされがちなのが、「資格はあるが、ケアマネジャーとして業務ができない状態」です。2つのパターンがあります。

1つ目は、試験に合格したが、実務研修をまだ修了していない人です。合格の時点では、介護支援専門員証は交付されていません。研修修了、登録、証の交付までの数か月間は、ケアマネジャーとしての業務はできません。

この期間に居宅介護支援事業所に入職する場合、立場は事務員か、見学・同行を中心とした研修期間の職員になります。事業所によっては、証の交付を待つ間、事務業務を担当しながら先輩ケアマネジャーの訪問に同行する形で受け入れています。この形は、証の交付後すぐに業務に入れるという意味で合理的ですが、同行の間の業務範囲は、先ほどの無資格の事務員と同じ線引きになります。

2つ目は、介護支援専門員証の有効期間が切れている人です。更新研修を受けないまま5年が過ぎると、証は失効します。登録自体は残っていても、証が失効した状態でケアマネジャーの業務を行うことはできません。証の有効期間が切れたまま業務を行うと、登録の消除などの処分の対象になりえます。

ブランクがあってケアマネジャーに復帰したい人は、まず自分の証の有効期間を確認することが先決です。失効している場合は、再研修を修了して証の交付を受け直す必要があります。再研修の日程は都道府県ごとに決まっており、年に数回しか行われない地域もあります。つまり、復帰の時期は研修の日程で決まる、ということです。

求人に応募する側としては、履歴書の資格欄に「介護支援専門員」と書くだけでなく、証の有効期限を書いておくと、事業所側の確認がスムーズになります。採用する側から見ると、有効期限が近い人を採用した場合、入職後すぐに更新研修の時間を確保する必要があるため、その情報は重要です。

求人票の資格欄をどう読むか

居宅介護支援事業所の求人票の資格欄には、いくつかの典型的な書き方があります。それぞれが何を意味するかを整理します。

「介護支援専門員(必須)」は、証の交付を受けていて、すぐにケアマネジャーとして業務ができる人を求めているという意味です。試験合格者で研修中の人は、原則として対象外です。

「介護支援専門員(実務経験不問)」は、ケアマネジャーとしての実務経験がなくても応募できるという意味です。証の交付を受けたばかりの人でも応募できます。育成体制があるかどうかは、別途確認が必要です。

「介護支援専門員(実務経験3年以上)」は、即戦力を求めています。欠員の補充や、特定事業所加算の維持のために、ある程度の件数をすぐに担当できる人を探している可能性が高いと言えます。

「主任介護支援専門員優遇」「主任介護支援専門員歓迎」は、管理者候補か、特定事業所加算の要件を満たすための人員を探している可能性があります。資格手当の額も確認しておきましょう。

「普通自動車運転免許(AT限定可)」は、地域によってはほぼ必須です。訪問の移動が車である事業所では、免許がないと業務が成り立ちません。都市部では自転車での訪問が中心の事業所もあります。

「資格不問」「未経験可」と書かれている場合は、事務員の求人です。ケアマネジャーの求人で「資格不問」と書かれていることは原則ありえません。もしケアマネジャーの業務を含む求人で資格不問と書かれていたら、業務内容を慎重に確認すべきです。

「介護福祉士・社会福祉士・看護師のいずれか」と基礎資格が書かれている場合は、ケアマネジャーの基礎資格の構成を意識しているか、将来ケアマネジャーの資格を取ってほしいと考えている事業所です。法人内の他の事業所との兼務や、異動を前提にしている可能性もあります。

居宅のケアマネジャーになるまでの年数の目安

資格の要否が分かったところで、無資格の状態から居宅介護支援事業所のケアマネジャーになるまで、実際にどのくらいの年数がかかるかを見ておきます。ここを把握しておくと、「今の職場で何年働くか」「いつ転職するか」の計画が立てやすくなります。

最も一般的なのは、介護職から介護福祉士を経由する道です。無資格で介護職に就いた場合、介護福祉士の国家試験を受けるには、実務経験3年以上と、介護福祉士実務者研修の修了が必要です。介護福祉士に合格した後、その資格に基づく業務で5年以上かつ900日以上の経験を積んで、ようやくケアマネジャーの試験を受けられます。

ここで注意したいのは、介護福祉士の資格を取る前の実務経験は、ケアマネジャーの受験資格の「法定資格に基づく業務」には数えられないという点です。つまり、無資格で介護職を始めた人は、介護福祉士の取得まで3年、そこから5年、試験と研修で約1年。合計でおよそ9年から10年かかる計算になります。

看護師の場合は、看護師として5年以上の実務経験があれば受験できます。看護師養成課程を修了して就職した人なら、20代後半から30代前半で受験資格を満たすことができます。ただし、病棟の看護師から居宅のケアマネジャーへ移ると、給与水準が下がる場合が多い点は、判断の際に考慮すべきです。

社会福祉士の場合も、社会福祉士の資格に基づく業務(相談援助など)で5年以上の経験が必要です。社会福祉士の資格を持っていても、資格と関係のない業務に就いていた期間は数えられません。一方、資格を持たない生活相談員や支援相談員の相談援助業務も受験資格の対象になるため、相談員として5年以上勤めた人は、社会福祉士でなくても受験できます。

こうして見ると、居宅のケアマネジャーは「最初の職業」になりにくい仕事です。何らかの専門職として一定の経験を積んだ人が、次の段階として選ぶ職場だと言えます。そのため、居宅介護支援事業所で働くケアマネジャーの年齢層は、40代から50代が中心になっています。

逆に言えば、20代や30代で基礎資格を持ち、計画的に経験を積んでいる人は、居宅介護支援事業所の採用市場では希少な存在です。受験資格を満たす時期を逆算して、どの職場で経験を積むかを選ぶことは、合理的なキャリアの組み立て方です。

他の職場と比べた、資格の使われ方の違い

同じ介護支援専門員の資格でも、職場によって使われ方が違います。居宅介護支援事業所を選ぶかどうかの判断材料として、主な職場と比べておきます。

特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの施設では、介護支援専門員を入所者100人に1人を基準に配置します。資格の要件は居宅と同じですが、施設ケアマネは生活相談員や介護職を兼務していることも多く、ケアプランの作成だけに専念できるとは限りません。施設では管理者に主任介護支援専門員の要件はありません。

小規模多機能型居宅介護やグループホームでも、介護支援専門員の配置が求められます。これらの事業所では、ケアマネジャーが介護の現場に入ることも珍しくなく、夜勤のシフトに入る場合もあります。資格を持ちながら現場の介護も続けたい人には合う働き方ですが、ケアプランの専門職として働きたい人には、居宅のほうが業務の中心がはっきりしています。

地域包括支援センターは、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の3職種の配置が原則です(それぞれに準ずる者の規定もあります)。つまり、主任介護支援専門員の資格を持つ人は、居宅の管理者だけでなく、地域包括支援センターの主任介護支援専門員という選択肢も持てます。地域包括では、居宅のケアマネジャーへの助言や、困難事例の支援、地域ケア会議の運営といった、ケアマネジャーを支える側の仕事が中心になります。

こうした比較からわかるのは、居宅介護支援事業所は「介護支援専門員の資格を、ケアプランの作成と調整という本来の業務に最も集中して使う職場」だということです。資格の専門性を突き詰めたい人には向いていますが、その分、無資格の人が入れる範囲は狭くなります。この記事の冒頭で述べた「無くても入れる範囲」の狭さは、職場の性格そのものの裏返しです。

2026年時点で確認しておきたい制度の動き

最後に、資格に関わる制度の動きを整理します。ケアマネジャーの資格制度は、見直しの議論が続いている分野です。

背景にあるのは、ケアマネジャーのなり手の減少です。受験資格が2018年度に絞り込まれて以降、受験者数は大きく減りました。ケアマネジャーの高齢化も進み、若い世代の参入が少ないことが課題になっています。そのため、国の検討会では、受験資格の範囲、更新研修の負担の軽減、主任介護支援専門員の役割などについて議論が行われてきました。

こうした見直しは、決まった時点で試験の実施要項や研修の案内に反映されます。2026年に受験や研修を考えている人は、次の点を都道府県の最新の実施要項で確認してください。

・受験資格の対象となる資格と、実務経験の数え方 ・試験の実施日と、申し込みの期間 ・実務研修と更新研修の時間数、費用、受講方法(オンラインの可否など) ・主任介護支援専門員研修の受講要件と、都道府県独自の条件

この記事の内容は、2026年時点で公表されている制度をもとに整理していますが、細部は変更される可能性があります。受験や研修の申し込みの前には、必ず都道府県や実施機関の公式な案内を確認することをおすすめします。厚生労働省のサイトにも、介護報酬改定や介護支援専門員に関する資料がまとまっています(厚生労働省)。

制度の動きとは別に、居宅介護支援事業所の働き方にも変化があります。令和6年度の改定では、一定の条件のもとでテレビ電話装置などを使ったモニタリングが認められました。ケアプランデータ連携システムの普及も進められています。資格の要件が変わらなくても、求められる実務のスキルは少しずつ変わっている、というのが現状です。

資格の組み合わせで、選べる働き方が広がる

ここまでの整理を踏まえて、資格と働き方の関係を少し広い視点で見ておきます。

居宅介護支援事業所の資格要件は、職種の数が少ない分、明確です。ケアマネジャーとして働くなら介護支援専門員、管理者なら主任介護支援専門員、事務員なら不要。この構造を理解すると、自分がどの入口から入れるかがはっきりします。

20年この市場を見てきた立場から言えば、専門資格を持つ人ほど、雇用の外にも資格を活かす場を持つ傾向が強まっています。ケアマネジャーであれば、要介護認定の調査の受託、研修の講師、介護分野の記事の監修や執筆などです。仲介の中間マージンが乗らない直接の取引は、同じ依頼額でも受け手の手取りが厚く、依頼する側も頼みやすいという双方にとっての利点があります。手数料0%の直接取引は、こうした専門性の高い単発の仕事と相性がよいと言えます。

資格ごとの収入の水準を比べておくことも、判断の材料になります。介護福祉士からケアマネジャーを目指す人は、介護職員の年収・単価相場で介護職の年収の分布を確認し、処遇改善加算の有無による差を把握しておくとよいでしょう。看護師の資格を持つ人は、看護師の年収・単価相場で病棟や訪問看護の水準と比較できます。

事務員として居宅介護支援事業所に入ることを考えている人には、医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)の概要が参考になります。医療機関の請求業務の資格ですが、保険請求の流れを体系的に学べる点で、介護保険の給付管理の理解にもつながります。

相談援助の経験を、キャリア支援の分野に広げたい人は、キャリアコンサルタントの資格の要件を見ておくと、ケアマネジャーや相談員としての経験がどう評価されるかが分かります。

資格は、入れる職場の範囲を決めるものであると同時に、任される仕事の範囲を決めるものでもあります。無資格で入れる範囲と、資格があって初めて任される範囲。その線を知っておくことが、居宅介護支援事業所で働くうえでの最初の準備です。

よくある質問

Q. 資格がなくても居宅介護支援事業所で働けますか?

事務員としてなら働けます。電話対応、実績の入力、給付管理票の作成補助、書類管理などが主な業務です。ただし、アセスメント、ケアプランの作成、モニタリング、サービス担当者会議の主催は介護支援専門員にしかできません。「ケアマネ補助」という求人では、具体的に何を任されるかを面接で必ず確認してください。

Q. ケアマネ試験に合格すればすぐに働けますか?

合格しただけでは、ケアマネジャーとしての業務はできません。87時間以上の実務研修を修了し、都道府県に登録して介護支援専門員証の交付を受ける必要があります。証の交付までの数か月間に入職する場合は、事務業務や先輩の訪問への同行が中心になり、業務範囲は無資格の事務員と同じ線引きになります。

Q. 介護支援専門員証の有効期限が切れていたらどうなりますか?

証が失効した状態でケアマネジャーの業務を行うことはできず、行った場合は登録の消除などの処分の対象になりえます。復帰するには再研修を修了し、証の交付を受け直す必要があります。再研修は都道府県ごとに日程が決まっていて年に数回の地域もあるため、復帰を考えたらまず有効期限と研修日程を確認してください。

Q. 主任介護支援専門員がないと管理者になれませんか?

居宅介護支援事業所の管理者は、原則として主任介護支援専門員であることが求められます。2021年3月31日時点で主任介護支援専門員でない人が管理者だった事業所では、その人が管理者を続ける限り2027年3月31日まで猶予されています。主任研修の受講には専任のケアマネジャーとして通算5年以上の経験などが必要です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年1月14日最終更新:2026年9月16日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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