居宅介護支援事業所に向いている人|長く続く人に共通していること

長谷川 奈津
長谷川 奈津
居宅介護支援事業所に向いている人|長く続く人に共通していること

この記事のポイント

  • ✓居宅介護支援事業所に向いている人を
  • ✓施設の現場との違いから整理します
  • ✓利用者の自己決定を支える立場

居宅介護支援事業所に自分は向いているのか。ケアマネジャーの資格を取った方、あるいは施設から居宅への異動や転職を考えている方が、必ず一度は立ち止まる問いです。

結論から言うと、居宅介護支援事業所で長く続く人に共通しているのは、優しさや体力ではありません。「一人で判断する時間が長いのに、一人で抱え込まない」「利用者の代わりに決めず、決めるための材料をそろえる」「期限と書類を、利用者を守るための仕組みとして扱える」。この3つです。

これ、知らない人が本当に多いんです。施設での介護経験が長く、利用者から慕われていた人ほど、居宅に移って「思っていた仕事と違う」と感じることがあります。それは能力の問題ではなく、求められる力の種類が違うからです。以下で、この職場の中で実際に何が起きているかから、向き不向きを整理していきます。

居宅介護支援事業所は、どんな相談の入口になっているのか

向き不向きを考える前に、この事業所が地域の中でどういう位置にあるかを確認しておきます。自治体の案内には、次のように書かれています。

要介護認定を受けた人がサービスを利用する場合、どんなサービスをどれくらい利用するかという「ケアプラン」の作成が必要になります。 ケアプランは、居宅介護支援事業所に所属する介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成しますので、まずはご相談下さい。 なお、要支援1・2の人は、担当の地域包括支援センターへご相談下さい。 出典: city.numazu.shizuoka.jp

つまり、居宅介護支援事業所は、要介護認定を受けた人が介護保険のサービスを使い始めるときの「最初の窓口」です。訪問介護を何回、デイサービスを週に何日、福祉用具は何を借りるか。その全体の設計図をつくるのが、ここのケアマネジャーです。

この「設計図をつくる人」という立場が、向き不向きに大きく関わります。施設の介護職は、自分の手でケアを提供します。利用者の表情が変わる瞬間を、その場で見ることができます。居宅のケアマネジャーは、ケアそのものを提供しません。提供するのはヘルパーさんやデイサービスの職員で、ケアマネジャーはその人たちが動けるように調整する側です。

もう1つ、居宅介護支援事業所の職場としての特徴があります。それは、人がほとんどいないことです。人員の基準で置く必要があるのは、ケアマネジャーと、主任ケアマネジャーである管理者だけ。ケアマネジャーは日中ほとんど外に出て、利用者の自宅を訪ねています。1人が担当する利用者は30件から40件程度が多く、令和6年度の改定では、人員基準が利用者44人ごとにケアマネジャー1人に見直されました。

少人数で、外に出ていて、ケアそのものを提供しない。この3つの特徴を踏まえたうえで、どんな人が長く続くのかを見ていきます。

居宅のケアマネジャーの1日を追うと、求められる力が見えてくる

向き不向きを抽象的に語る前に、居宅のケアマネジャーのある1日の流れを追ってみます。事業所によって違いはありますが、よく見られる形です。

8時30分、事務所に出勤します。前日の夕方から朝までに入った留守番電話やファクスを確認します。ショートステイ先から「昨夜発熱した」という連絡が入っていれば、その対応が1日の最初の仕事になります。ご家族への連絡、主治医への報告、デイサービスの今日の利用を休むかどうかの確認。予定していた訪問より先に、こうした連絡が並びます。

9時30分、1件目の訪問に出ます。月に1回のモニタリングです。利用者の自宅で、この1か月の暮らしぶりを聞き、サービスが予定どおり入っているか、困っていることはないかを確かめます。1件あたりの訪問は30分から1時間程度で、移動を含めると午前中に回れるのは2件か3件です。

12時、移動の途中で昼食をとります。車の中で、午前中の訪問の要点をメモしておく人も多いです。

13時30分、サービス担当者会議です。要介護認定の更新があった利用者の自宅に、訪問介護、訪問看護、福祉用具の担当者が集まり、新しいプランの内容を確認します。会議の進行役はケアマネジャーです。

15時、もう1件の訪問のあと、病院の医療連携室へ向かいます。来週退院予定の利用者について、病棟の看護師から自宅での注意点を聞き取ります。

16時30分、事務所に戻ります。ここから記録の時間です。今日の訪問の記録、担当者会議の記録、病院で聞いた内容の整理。サービス事業所への連絡と、翌日の予定の確認。退院に向けて、福祉用具の事業者に介護用ベッドの手配を電話で依頼します。

17時30分、退勤。ただし、月初の給付管理の時期は、実績の確認でもう少し遅くなることがあります。

この流れを見ると、居宅のケアマネジャーに求められる力がはっきりします。予定が朝の電話1本で入れ替わっても動じないこと。移動しながら頭の中で優先順位をつけ直せること。会議の進行役として人をまとめられること。そして、1日の最後に記録を書き切る集中力です。

一人で判断する時間が長い。でも、一人で抱え込まない人

居宅のケアマネジャーの1日は、ほとんどが一人の時間です。

朝、事務所で予定を確認したら、利用者の自宅へ向かいます。玄関を開けたときの部屋の匂い、冷蔵庫の中身、薬の飲み残し、ご家族の表情。そこで見たものから、「今のプランで暮らしが回っているか」をその場で判断します。隣に先輩はいません。施設のように、廊下の向こうに看護師がいるわけでもありません。

つまり、居宅のケアマネジャーには、限られた情報から状況を読み取り、次に何をするかを自分で決める力が求められます。これが「一人で判断する時間が長い」ということです。

ところが、長く続く人を見ていると、判断が早い人ほど「一人で決め切らない」ことに気づきます。自宅で気になることがあったら、事務所に戻ってすぐ主任ケアマネジャーに話す。訪問看護の担当者に電話で意見を聞く。主治医への連絡が必要かを同僚に相談する。一人で判断はするけれど、その判断を一人で抱えたままにしないのです。

私が以前、介護事業所の運営規程や契約書類の相談を受けていたとき、ある事業所の管理者の方がこんな話をしてくれました。「辞めていくケアマネには、2つのタイプがある。1つは、一人で動くのが不安で耐えられない人。もう1つは、一人で全部抱えて燃え尽きる人」。どちらも、真面目な人です。

居宅介護支援の仕事には、虐待が疑われるケース、ご家族の間で意見が割れているケース、本人がサービスを拒否しているケースが必ず混ざってきます。こうしたケースを一人で抱えると、判断を誤ったときの責任を全部自分で背負っているように感じてしまいます。

実際には、困難なケースは事業所として対応するものです。特定事業所加算を取っている事業所では、ケアマネジャー同士で定期的に事例を検討する会議を開くことが条件になっています。地域包括支援センターも、困難ケースの相談先として機能しています。

向いているかどうかを自分で確かめるなら、「一人で訪問して、判断に迷ったとき、あなたは誰に何を話しますか」と自問してみてください。すぐに相談相手と相談の仕方が浮かぶ人は、居宅の働き方に合っています。

利用者の代わりに決めず、決めるための材料をそろえられる人

居宅介護支援事業所で働くうえで、法律の立場から見て最も重要なのが「公正中立」と「自己決定の支援」です。

ケアマネジャーは、利用者にとって一番よいと思うプランを、自分で決めて渡す人ではありません。つまり、「このデイサービスがいいですよ」と一方的に勧めるのではなく、利用者が選べるように情報を整理して示す人です。

運営基準では、ケアマネジャーは利用者に対して、複数のサービス事業所の紹介を求めることができることや、なぜその事業所をプランに位置づけたのかの理由を求めることができることを、契約の時点で説明しなければなりません。さらに、事業所が作成したプランで、訪問介護やデイサービスなどを特定の法人の事業所にどれくらい集中させているかについても、説明することが求められています。特定の事業所への集中が一定の割合を超えると、「特定事業所集中減算」という報酬の減額の対象にもなります。

これ、知らない人が本当に多いんです。つまり制度そのものが、「ケアマネジャーは利用者の選択を支える立場であり、特定の事業所に誘導してはいけない」という前提で組まれています。

この立場に向いているのは、次のような人です。

・自分の考えより、利用者の「こう暮らしたい」を優先できる人 ・利用者の選択が自分から見て最善でなくても、リスクを説明したうえで尊重できる人 ・事業所の母体法人のサービスを使ってほしいという空気があっても、利用者の利益を基準に判断できる人

反対に、施設で「この方にはこのケアが一番いい」と自分で決めて実行してきた経験が長い人は、最初に戸惑うことがあります。たとえば、転倒のリスクが高い方が「デイサービスには行きたくない、家にいたい」と言ったとき。施設の感覚だと、安全のために説得したくなります。居宅のケアマネジャーに求められるのは、転倒のリスクを本人とご家族に分かる言葉で伝え、自宅で安全に過ごすための別の手段(手すりの設置、訪問介護の時間帯の工夫、見守りの機器)を並べることです。決めるのは、利用者です。

※本人の判断能力が低下していて、ご家族や成年後見人との調整が必要な場合は、地域包括支援センターや専門職と連携して進める必要があります。一人で判断しないでください。

期限と書類を「利用者を守る仕組み」として扱える人

居宅介護支援の仕事は、書類と期限の仕事でもあります。ここを避けて向き不向きを語ることはできません。

毎月のサイクルを簡単に並べます。月末から月初に、サービス事業所から実績が届きます。それをプランと突き合わせて「給付管理票」をつくり、毎月10日までに国民健康保険団体連合会へ送ります。月に1回以上は利用者の自宅を訪問してモニタリングを行い、その結果を記録します。要介護認定の更新や状態の変化があれば、サービス担当者会議を開いてプランを見直します。

そして、これらの手順を守らなかった場合の結果が、報酬の仕組みに組み込まれています。「運営基準減算」という仕組みです。つまり、決められた手順(アセスメントのための訪問、サービス担当者会議の開催、月1回のモニタリングの訪問と記録など)を行っていないと、その月の居宅介護支援の報酬が50%に減らされます。この状態が2か月以上続くと、報酬そのものが算定できなくなります。

さらに、行政による運営指導(以前の実地指導)で書類の不備が見つかると、過去にさかのぼって報酬の返還を求められることもあります。少人数の事業所にとって、これは経営を揺るがす問題です。

書類が苦手な人にとっては、ここが最大の壁になります。ただ、長く続く人を見ていると、書類が得意というより「書類の意味を理解している」人が多いのです。

担当者会議の記録は、利用者とご家族、サービス事業所が同じ目標を共有した証拠です。モニタリングの記録は、利用者の変化に気づいたかどうかの証拠です。つまり、書類は行政のためだけのものではなく、何かが起きたときに「このケアマネジャーは必要なことをしていた」と示し、利用者と自分の両方を守るためのものです。

私が契約のご相談を受ける中で何度も伝えてきたのは、「記録が残っていない約束は、なかったことになりやすい」ということです。介護の現場でも同じで、ご家族との間でトラブルになったとき、記録が具体的に残っているかどうかで、ケアマネジャーが守られるかが決まります。

書類の意味を理解できる人は、面倒でも記録を当日中に書きます。そして、書類に追われる月が続いても、「これは自分を守る作業だ」と捉えられるので、気持ちが削られにくいのです。

家族、医療、サービス事業所の間に立てる人

居宅のケアマネジャーは、利用者を中心に、いくつもの立場の人の間に立ちます。

ご家族。主治医と病院の医療連携室。訪問介護、訪問看護、デイサービス、福祉用具の事業所。地域包括支援センター。場合によっては民生委員や、成年後見人。それぞれの立場から、利用者について別々の意見が出てきます。

たとえば、入院していた利用者が退院するとき。病院は、早く自宅に帰ってもらいたい。ご家族は、自宅で介護する自信がないので施設を探したい。本人は、とにかく家に帰りたい。訪問看護の事業所は、医療的な処置の頻度を知りたい。この全員の意見を聞き、退院の日までにサービスを整えるのが、ケアマネジャーの仕事です。

医療との連携は、報酬の仕組みでも重視されています。利用者が入院したとき、早い段階で病院に生活の情報を提供すると「入院時情報連携加算」が、退院に向けて病院と情報を共有してプランをつくると「退院・退所加算」が算定できます。つまり、制度として「医療と生活をつなぐ役」がケアマネジャーに期待されているということです。

この役割に向いているのは、次のような人です。

・相手の立場によって言葉を選び直せる人(医師には要点を短く、ご家族には分かる言葉で丁寧に) ・意見が対立しても、どちらかの味方にならずに論点を整理できる人 ・電話を1本かけることを面倒がらない人

特に3つ目は、地味ですが重要です。居宅のケアマネジャーの仕事の多くは、電話と連絡で成り立っています。1日に数十本の電話をかけ、受けることも珍しくありません。人と話すこと自体が苦痛な人には、負担が大きい仕事です。

一方で、人と話すのが好きなだけでは足りません。話した内容を記録し、関係者に伝え、次の行動につなげる。この一連の流れを繰り返せることが、間に立つ人に求められる力です。

基礎資格によって、居宅でつまずきやすい場所が違う

ケアマネジャーになる人の基礎資格は、介護福祉士、看護師、社会福祉士、理学療法士、薬剤師など幅広いです。受験には、こうした国家資格などに基づく業務や相談援助の業務に、通算5年以上かつ900日以上従事した経験が必要です。そして、どの資格から来たかによって、居宅介護支援事業所でつまずきやすい場所が違います。これ、知らない人が本当に多いんです。

介護福祉士から来た人は、利用者の暮らしの様子を読み取る力に優れています。自宅の中の段差、動作の不安定さ、介護するご家族の疲れ具合に、すぐ気づきます。一方でつまずきやすいのは、医療の情報の扱いです。主治医の意見書の内容、服薬の変化、退院時の医療的な指示を読み取り、プランに反映させる場面で、苦手意識を持つ人がいます。訪問看護の担当者や主治医に質問することをためらわないのが、乗り越える近道です。

看護師から来た人は、医療との連携に強みがあります。病院の医療連携室とのやり取りも、病状の見立ても的確です。つまずきやすいのは、「医療的に正しいこと」と「本人の暮らしの希望」がぶつかる場面です。病状を考えると入院や施設が望ましくても、本人が自宅を望むことがあります。つまり、正しさを伝えたうえで、選ぶのは本人だと切り替えられるかが問われます。

社会福祉士から来た人は、制度の知識と、自己決定を支える相談の姿勢に強みがあります。成年後見、生活保護、障害福祉のサービスとの組み合わせなど、介護保険の外にある制度につなぐのが得意です。つまずきやすいのは、身体の介護の具体的な場面の想像です。入浴や排せつの介助にどれくらいの時間がかかるか、どんな福祉用具が合うかは、ヘルパーさんや福祉用具の担当者に教わりながら身につけていく人が多いです。

どの基礎資格にも、強みと苦手があります。大切なのは、自分の苦手な分野を知り、その分野に強い人を身近な相談相手にしておくことです。少人数の事業所でも、基礎資格が違うケアマネジャーが集まっていれば、互いの苦手を補い合えます。面接のときに「ほかのケアマネジャーの基礎資格」を聞いておくと、その事業所で自分がどんな役割を期待されるかも見えてきます。

向いていないと感じやすいのは、どんな場面か

向き不向きをフェアに書くために、居宅介護支援事業所で「向いていないかもしれない」と感じやすい場面も整理しておきます。

1つ目は、直接ケアをすることにやりがいを感じてきた人です。施設や訪問介護の現場で、利用者の身体に触れ、食事や入浴を手伝い、その場で笑顔を見ることが好きだった人は、居宅のケアマネジャーになってから物足りなさを感じることがあります。ケアマネジャーが利用者に会うのは、多くても月に数回です。

2つ目は、結果をすぐに見たい人です。プランを変えても、利用者の暮らしが落ち着くまでには時間がかかります。数か月かけて整えたサービスが、入院1回で全部組み直しになることもあります。

3つ目は、仕事と私生活の境界線を引くのが苦手な人です。居宅のケアマネジャーには、夜間や休日にも利用者やご家族から連絡が入ることがあります。境界線を引けないまま、すべての電話に出ようとすると、心も体も休まらなくなります。

4つ目は、決まった手順どおりに進む仕事が好きな人です。居宅介護支援には書類と期限の決まりがありますが、利用者の暮らしそのものは予定どおりに進みません。予定していた訪問が、急な体調の変化で全部入れ替わる日もあります。

ただし、ここに挙げた場面は「向いていない」と決めつけるためのものではありません。つまり、どこでつまずきやすいかを先に知っておけば、対策を立てられるということです。直接ケアが好きな人は、訪問介護を併設している事業所を選ぶと、ヘルパーさんとの距離が近く、現場の感覚を保ちやすくなります。境界線が苦手な人は、時間外の連絡を当番制にしている事業所を選べば、負担を大きく減らせます。

長く続く人が、実際にやっていること

ここまで向いている人の特徴を見てきましたが、最初からすべてを備えている人はいません。長く続く人は、働きながら次のような工夫を身につけています。

・記録はその日のうちに書く:翌日に回すと、訪問で見たことの細部が抜け落ちます。短くてもその日のうちに残す習慣が、運営指導のときにも自分を守ります。 ・時間外の連絡のルールを利用者に最初に伝える:契約のときに、営業時間外の連絡先と、緊急時にどうするかを説明しておきます。重要事項説明書にも書かれている内容ですが、口頭で丁寧に伝えるかどうかで、その後の連絡の入り方が変わります。 ・主任ケアマネジャーや同僚に、早めに相談する:困難ケースほど、事実を整理した段階で共有します。「まだ相談するほどではない」と感じる段階で話しておくと、後で大きくなったときに事業所全体で動けます。 ・地域包括支援センターを相談先として使う:虐待の疑いや、制度の狭間にあるケースは、地域包括支援センターと一緒に対応します。 ・自分の専門外のことは、専門家につなぐ:成年後見、相続、借金の問題など、法律が絡む相談はケアマネジャーが解決するものではありません。

最後の点は、私の立場からぜひ強調しておきたいことです。居宅のケアマネジャーは、利用者の生活全体に関わるので、お金や財産の相談を受けることがあります。善意で踏み込みすぎると、後でご家族との間でトラブルになりかねません。「それは専門の窓口につなぎますね」と言えることも、長く続くための大切な力です。

自分に合う居宅介護支援事業所を見分けるには

向いているかどうかは、本人の性格だけでなく、事業所の体制によっても変わります。同じ人でも、合う事業所では長く続き、合わない事業所ではすぐに疲れてしまいます。求人票と面接で確かめたいのは、次の点です。

・常勤のケアマネジャーの人数と、主任ケアマネジャーがいるか ・特定事業所加算を取っているか(事例検討の会議や、困難ケースの相談の仕組みがあるか) ・時間外の連絡は当番制か、担当者個人の携帯か ・母体の法人が、訪問介護やデイサービスなどを運営しているか ・事務員がいて、給付管理の入力を任せられるか ・新人や転職者に、同行訪問の期間を設けているか

ケアマネジャーの基礎資格は、介護福祉士、看護師、社会福祉士などさまざまです。基礎資格ごとに強みが違うので、ご自身の強みが生きる職場を選ぶことも大切です。介護分野の職種ごとの給与の水準は介護職員の年収・単価相場で、看護師の資格を持つ方は看護師の年収・単価相場で確認できます。

居宅のケアマネジャーとして働くか迷っている段階で、自分の強みや働き方の希望を整理したい方もいると思います。そうした相談を仕事として受ける専門職の資格については、キャリアコンサルタントで紹介されています。

働く人の相談を長く見てきた立場からの考察

ここからは、フリーランスや在宅ワークの市場を長く運営してきた立場からの観察です。

20年この市場を見てきた立場から言えば、一人で動く時間が長い仕事で長く続く人には、職種を問わず共通点があります。それは「一人で判断する力」と「人を頼る力」を、両方持っていることです。フリーランスとして在宅で働く人も、居宅のケアマネジャーも、日中は一人で判断を重ねます。そして長く続く人ほど、困ったときに相談できる相手を意識して持っています。

運営者として見てきた限りでは、仕事を長く続けている人は、「この人に任せると楽」と周りに思われる関係づくりに時間を使っています。依頼者にとって、連絡が早い、記録や報告が分かりやすい、できないことを最初に言ってくれる。この3つがそろった人には、自然と次の仕事が回ってきます。居宅のケアマネジャーが、ご家族やサービス事業所から信頼される条件と、ほとんど同じです。

仲介の仕組みがない直接のやり取りでは、同じ予算で依頼者はより多くを頼め、受け手の手取りも厚くなります。手数料0%の直接取引で長く続く関係が生まれやすいのは、お互いの顔と仕事ぶりが見えるからです。利用者とケアマネジャーの関係も、間に余計なものが入らず、顔が見える関係だからこそ信頼が積み上がっていきます。

居宅介護支援で身につく「生活全体を聞き取り、使える資源につなぐ力」は、介護保険の外でも生きます。職場の悩みや働き方の相談に関わる仕事がどのように募集されているかは、職場・転職・キャリア相談のお仕事で見ることができます。

居宅介護支援事業所に向いているかどうかは、今のあなたの性格だけで決まるものではありません。一人で判断しつつ抱え込まない、利用者の選択を支える、書類を自分と利用者を守る仕組みとして使う。この3つを意識して、合う体制の事業所を選べば、長く続けられる仕事です。法律も制度も、真面目に働くケアマネジャーの味方になるように組まれています。

よくある質問

Q. 施設で介護職をしていた人は、居宅介護支援事業所に向いていますか?

向いている人は多いですが、求められる力の種類が変わります。施設では自分の手でケアを提供しますが、居宅のケアマネジャーはケアを提供する人たちを調整する立場です。利用者に会う回数は月に数回程度になるため、直接ケアにやりがいを感じてきた人は、訪問介護を併設した事業所を選ぶと現場との距離を保ちやすくなります。

Q. 書類仕事が苦手でも、居宅のケアマネジャーは続けられますか?

続けている人はいますが、書類を避けることはできません。月1回のモニタリングの記録や給付管理、担当者会議の記録を欠かすと、運営基準減算で報酬が50%に減る仕組みがあるためです。事務員が給付管理の入力を担う事業所や、記録用の端末を貸与する事業所を選ぶと、負担はかなり軽くなります。

Q. 居宅介護支援事業所で長く続かない人の特徴はありますか?

よく見られるのは、一人で動くことに不安が強い人と、反対に困難ケースを一人で抱え込んで疲れ切ってしまう人です。どちらも真面目な人に多い傾向があります。主任ケアマネジャーに早めに相談できる体制や、事例検討の会議がある事業所を選ぶと、抱え込みを防ぎやすくなります。

Q. 向いているかどうかを、働く前に確かめる方法はありますか?

同行訪問の期間を設けている事業所で、実際の訪問に同行させてもらうのが確実です。見学の段階で、時間外の連絡の扱い、常勤ケアマネジャーの人数、特定事業所加算の有無を聞くと、その事業所で求められる働き方が分かります。紹介予定派遣を使って、一定期間働いてから判断する方法もあります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年3月5日最終更新:2026年9月19日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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