居宅介護支援事業所で派遣として働く|直接雇われる場合との差と、合う場面

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
居宅介護支援事業所で派遣として働く|直接雇われる場合との差と、合う場面

この記事のポイント

  • ✓居宅介護支援事業所で派遣のケアマネとして働く場合
  • ✓直接雇用と何が違うのか
  • ✓事業所が派遣を受け入れる理由

居宅介護支援事業所で、派遣のケアマネジャーとして働く。この選択肢を調べている方に、最初に結論をお伝えします。

派遣は「時給が高く、業務の範囲が契約で決まっている」働き方です。一方で、居宅介護支援という仕事は「同じ利用者に長く関わるほど質が上がる」仕事でもあります。この2つは、ある程度ぶつかります。だから派遣が向いているのは、期間が決まっている場面、つまりブランクからの復帰、地域や事業所を比べたい時期、紹介予定派遣で相性を確かめたいときです。何年も同じ利用者を担当し続けたいなら、直接雇用のほうが合理的です。

とはいえ、これだけでは判断材料として足りません。以下では、事業所がなぜ派遣を受け入れるのか、派遣のケアマネが事業所の中でどう扱われるのか、直接雇用と比べてお金と責任がどう違うのかを順に整理します。

居宅介護支援事業所という職場の特徴を先に押さえる

派遣として働くかどうかを考える前に、この職場がどんな場所かを確認しておきます。

たちばな居宅介護支援事業所では、介護支援専門員(ケアマネジャー)が介護に関するご相談をお受けし、ご本人の心身の状態や生活環境、ご家族の状況に応じたケアプラン(介護サービス計画)を作成します。 出典: tachibana-korin.com

事業所の紹介文としてはごく標準的な内容ですが、ここに派遣を考えるうえで重要な点が含まれています。居宅介護支援事業所の仕事は、「ご本人の心身の状態」「生活環境」「ご家族の状況」を把握したうえで成り立つ、ということです。これらは初回の聞き取りだけで分かるものではありません。月に1回以上の訪問を重ねるうちに、少しずつ見えてくるものです。

もう1つの特徴は、職場の人数の少なさです。居宅介護支援事業所の人員基準で置く必要があるのは、ケアマネジャーと、主任ケアマネジャーである管理者だけです。介護職員も看護職員もいません。ケアマネジャーが2人から5人程度の事業所が多く、1人が欠けるだけで残りの人の担当件数が一気に増えます。

担当件数の基準も確認しておきます。令和6年度の介護報酬改定で、人員基準は利用者44人またはその端数を増すごとにケアマネジャー1人となりました。報酬面でも、ケアマネジャー1人あたりの件数が一定を超えると、超えた分の基本報酬が下がる「逓減制」があります。つまり、人が1人辞めると、残った人に担当を振り分けても、件数が多すぎると事業所の収入が減るのです。

この「少人数で、1人欠けると件数と収入の両方が崩れる」という構造が、居宅介護支援事業所が派遣を使う理由に直結します。次の節で見ていきます。

事業所が派遣のケアマネを受け入れる3つの理由

居宅介護支援事業所の求人を見ていると、派遣の募集は常時一定数あります。事業所側が派遣を選ぶ理由は、主に次の3つに分かれます。

1つ目は、急な欠員の補充です。ケアマネジャーが退職や休職をすると、その人が担当していた利用者を誰かが引き継がなければなりません。求人を出して直接雇用するまでには、早くても1か月から3か月かかります。その間、残ったケアマネジャーだけで件数を抱えると、逓減制の件数を超えるおそれがあります。派遣会社に依頼すれば、登録者の中から比較的早く人を送ってもらえます。

2つ目は、産休や育休の代替です。休業に入るケアマネジャーが復帰することが分かっている場合、事業所は期間限定の人を求めます。直接雇用の有期契約でも対応できますが、採用の手間を考えて派遣を選ぶ事業所があります。

3つ目は、事業所の立ち上げや拡大です。新しく開設した事業所や、地域包括支援センターから介護予防のプランの委託が増えた事業所では、担当件数が短期間で増えます。正社員を採用する前に、派遣で様子を見る形です。

ここで押さえておきたいのは、どの理由でも「事業所は困っている状態で派遣を受け入れている」ということです。正直なところ、落ち着いている事業所が、あえて割高な派遣を使う理由はあまりありません。派遣料金には派遣会社のマージンが含まれていて、事業所が払う金額は、派遣のケアマネジャーが受け取る時給よりかなり高くなります。派遣会社はマージン率を公開することが義務付けられており、一般的な派遣全体では30%前後の水準がよく見られます。

つまり、派遣の求人に応募するときは、「なぜこの事業所は今、派遣を必要としているのか」を派遣会社に聞くことが大切です。欠員補充であれば、前任者の担当をそのまま引き継ぐ可能性が高く、最初から件数が多い状態で始まります。産休代替なら、復帰する人に戻す前提で引き継ぎの記録を丁寧に残す仕事が加わります。理由によって、最初の1か月の忙しさがまったく違います。

派遣のケアマネが事業所の中で任される範囲

派遣として働く場合、仕事の範囲は派遣契約で決まります。これが直接雇用との大きな違いの1つです。

居宅介護支援事業所で派遣のケアマネジャーが担う業務は、通常の担当業務と同じです。アセスメント、ケアプランの作成、サービス担当者会議、モニタリング、支援経過の記録、給付管理の確認。担当として利用者の名前を持つので、責任の重さも同じです。派遣だからといって、担当する利用者への責任が軽くなるわけではありません。

違いが出るのは、担当業務の周りにある仕事です。

・事業所の運営に関わる仕事:事業所の運営会議、行政の実地指導(運営指導)への対応、書類の整備などは、直接雇用の職員が担うことが多い ・新規ケースの受け入れ:病院からの急な退院調整などは、事業所の方針として直接雇用の職員が受けることが多い ・困難ケース:虐待の疑いがある、医療依存度が高いといったケースは、主任ケアマネジャーが持つことが多い ・時間外の対応:夜間や休日の当番携帯を持つかどうかは、派遣契約の業務内容と就業時間の範囲による

時間外の対応については、派遣ならではの事情があります。派遣で働く人の労働時間の管理は、派遣元(派遣会社)と派遣先(事業所)の両方が関わります。時間外労働をする場合は、派遣元の就業規則や時間外労働の協定の範囲内でなければなりません。そのため、「休日に利用者から電話があったら対応してほしい」という事業所の要望は、派遣契約に書かれていなければ、原則として引き受ける必要はありません。

これは派遣の強みでもあります。居宅介護支援の仕事で負担になりやすいのは、勤務時間外の連絡です。直接雇用だと「みんなやっているから」と当番を断りにくいのですが、派遣なら契約という明確な線があります。

ただし、ここにはフェアに書いておくべき裏側もあります。時間外の連絡を派遣のケアマネジャーが受けない場合、その分は事業所の直接雇用の職員が引き受けます。職場の人数が少ないので、その負担は目に見えます。私が介護業界の現場取材をしていたとき、「派遣の人は定時で帰れていいよね」という空気が職場に生まれ、派遣で入った人がいづらくなったという話を何度か聞きました。制度としては正当でも、狭い職場では感情の問題が起きやすいのです。

事前に派遣会社を通して、「時間外の対応はしない契約であること」を事業所の全員が知っている状態にしてもらうと、こうした摩擦はかなり減ります。

担当の引き継ぎという、居宅ならではの問題

派遣で働くうえで、居宅介護支援事業所に特有の問題があります。それが、利用者の担当の引き継ぎです。

派遣には期間の制限があります。同じ派遣先の事業所で、同じ組織単位に同じ派遣労働者が働けるのは、原則として3年までです。実際には、欠員補充や産休代替の場合、3か月から1年程度の契約で終わることがほとんどです。

派遣の期間が終われば、担当していた利用者は別のケアマネジャーに引き継がれます。利用者やご家族からすると、ケアマネジャーが替わるのは小さなことではありません。自宅の中の事情、家族の関係、言いにくい困りごと。これらを話せるようになるまでに時間がかかった方ほど、担当の交代に不安を感じます。

居宅介護支援の契約は、利用者と事業所の間で結ばれています。ケアマネジャー個人との契約ではありません。だから担当が替わっても、制度上はサービスが途切れることはありません。それでも、担当の交代が続くと、利用者から事業所への信頼は少しずつ下がります。

派遣のケアマネジャーに求められるのは、この点を理解したうえで「次の人が困らない記録」を残すことです。具体的には次のようなものです。

・支援経過の記録に、事実だけでなく、利用者やご家族がどんな言い方をしたかを残す ・キーパーソンとの連絡のとりやすい時間帯、連絡手段の好みを書いておく ・サービス事業所の担当者ごとの、連絡のつきやすさや得意分野をまとめておく ・まだ解決していない課題と、その経緯を一覧にしておく

直接雇用で長く担当する人は、こうした情報を頭の中に置いたままにしがちです。派遣で入る人は、最初から「いつか引き継ぐ」前提で記録を残せます。これは、事業所にとっても大きな価値になります。記録の質が高い派遣のケアマネジャーは、契約の延長や、紹介予定派遣からの直接雇用の話につながりやすい傾向があります。

時給と手取り:直接雇用とのお金の差

お金の話を整理します。ここでは市場全体の相場として見ていきます。

居宅介護支援事業所のケアマネジャーの派遣の時給は、求人サイトで見る範囲では、おおむね1,600円から2,200円程度に分布しています。都市部では2,300円を超える募集もあります。直接雇用の非常勤の時給がおおむね1,300円から1,800円程度であることを考えると、時給の数字だけなら派遣のほうが高い傾向があります。

ただし、時給だけで比較するのは不正確です。直接雇用の常勤と比べる場合、次の要素を足し引きする必要があります。

・賞与:直接雇用の常勤には賞与がある事業所が多い。派遣には原則としてない ・退職金:派遣でも労使協定方式の場合、退職金に相当する分が時給に含まれていることがある ・交通費:派遣でも実費が支給されることが一般的になっている ・訪問に使う車:事業所の車を使えるか、自家用車の場合のガソリン代の扱い ・研修の費用:介護支援専門員証の更新研修の受講料や受講時間の扱い

居宅介護支援について知っておきたい事情があります。介護職員の賃金を上げるための「介護職員等処遇改善加算」は、居宅介護支援事業所は対象外のサービスです。つまり、施設や訪問介護の事業所に比べて、居宅介護支援事業所は国の加算を使って賃金を上乗せする仕組みがありません。直接雇用のケアマネジャーの給与が、介護職と比べて思ったほど高くないと言われる背景の1つがこれです。

この事情があるため、居宅介護支援の分野では、派遣の時給と直接雇用の給与の差が、他の介護職より目立ちやすくなっています。「派遣のほうが稼げる」と感じる人が出てくるのは、この構造によるものです。

一方で、長期的に見ると、直接雇用で主任ケアマネジャーの研修を受け、管理者になる道があります。管理者手当や、特定事業所加算を取っている事業所での役割が加わると、給与の水準は上がります。派遣では、この昇進の道はほぼありません。

介護分野の職種ごとの給与の分布は、介護職員の年収・単価相場で確認できます。看護師を基礎資格としてケアマネジャーになった方なら、看護師の年収・単価相場と並べて見ると、どの働き方がご自身の経験を最も生かせるかの判断材料になります。

派遣から直接雇用に切り替わる人に見られる傾向

居宅介護支援事業所の派遣では、期間の途中や終了時に「うちで直接雇用にならないか」と声がかかることがあります。紹介予定派遣でなくても、派遣会社との契約上の手続きを踏めば、直接雇用に切り替えることは可能です。

声がかかる人には、いくつかの傾向が見られます。

1つ目は、先ほど触れた記録の質です。支援経過の記録が具体的で、ほかのケアマネジャーが読んでも状況が分かる人は、事業所から見て「担当を任せても安心な人」と評価されます。少人数の事業所では、誰かが休んだときに記録を読んで代わりに対応する場面が多いため、記録の分かりやすさは職場全体の負担に直結します。

2つ目は、地域のサービス事業所との関係づくりの速さです。居宅のケアマネジャーは、ヘルパー事業所、デイサービス、福祉用具の事業者、訪問看護ステーションと日常的に連絡をとります。派遣で入った人が、短期間でこうした相手と円滑にやり取りできるようになると、事業所としては手放したくなくなります。

3つ目は、事業所のやり方をいったん受け入れる姿勢です。前の職場のやり方と違う部分があっても、最初の数か月は事業所の手順に合わせ、改善の提案はその後にする。これができる人は、少人数の職場に溶け込みやすくなります。

正直なところ、派遣で入った人が最初から「前の事業所ではこうしていた」と言い続けると、どれだけ正しい指摘でも受け入れられにくくなります。これは居宅介護支援に限らず、少人数の職場全般に見られる傾向です。

逆に、直接雇用に切り替えるかどうかを自分が判断する立場として見るなら、派遣の期間中に確かめておきたいのは、困難ケースが誰に回っているか、職員の入れ替わりが多くないか、管理者が現場の相談に乗っているか、の3点です。派遣の間は見えやすく、入職後は見えにくくなる部分です。

派遣が合う場面と、直接雇用が合う場面

ここまでの内容を踏まえて、派遣が合う場面と、直接雇用が合う場面を整理します。

派遣が合うのは、次のような場面です。

・ブランクから復帰するとき:数年ぶりに居宅に戻る場合、いきなり直接雇用で長期の担当を持つより、期間を区切って感覚を取り戻すほうが負担が小さい ・事業所を比べたいとき:居宅介護支援事業所は、母体の法人や規模によって雰囲気がかなり違う。派遣で複数の事業所を経験すると、自分に合う職場の条件がはっきりする ・紹介予定派遣で相性を確かめたいとき:最長6か月の派遣期間のあと、双方が合意すれば直接雇用に切り替わる。入職前に職場の実態を確かめられる ・時間外の対応を契約で限定したいとき:家庭の事情で、休日や夜間の連絡を受けられない時期

一方、直接雇用が合うのは、次のような場面です。

・同じ利用者に長く関わりたいとき:利用者の暮らしの変化を何年も見守ることに、この仕事のやりがいを感じる人 ・主任ケアマネジャーや管理者を目指すとき:事業所の運営に関わる経験を積むには、直接雇用で長く働く必要がある ・地域のネットワークを育てたいとき:病院の医療連携室、地域包括支援センター、サービス事業所との関係は、年単位で積み上がる

私自身、編集の仕事で業務委託と社員の両方を経験しました。業務委託は条件が明確で、自分の時間を守りやすい。社員は、長く関わる中で任される範囲が広がる。どちらが上ということはなく、その時期に何を優先するかで選ぶものだと感じています。居宅介護支援事業所の派遣と直接雇用も、同じ構図です。

正直なところ、「派遣のほうが時給が高いから」という理由だけで選ぶのは、この仕事ではおすすめしません。担当の交代が利用者に与える影響と、自分が何年この働き方を続けるかを、合わせて考えることが大切です。

派遣で入った最初の1か月に、事業所の中で起きること

派遣のケアマネジャーが居宅介護支援事業所に入ったとき、最初の1か月はどう動くのか。直接雇用で入る場合と比べて、準備期間がほとんどないのが派遣の特徴です。

直接雇用の場合、多くの事業所では最初の数週間を同行訪問や記録の読み込みに充て、担当は少しずつ増やしていきます。派遣の場合は、事業所が困っている状態で受け入れているため、初日から担当を持つことも珍しくありません。欠員補充であれば、前任者の担当を20件から30件程度まとめて引き継ぐこともあります。

入ってすぐにやることは、おおむね次の順番になります。

・担当になる利用者の一覧を受け取り、要介護度、認定の有効期間、次のモニタリング予定日を確認する ・支援経過の記録とケアプランを読み、現在進行中の課題を拾い出す ・認定の更新が近い方、入退院の予定がある方など、急ぎで動く必要がある方を先に訪問する ・担当交代のあいさつとして、利用者とご家族、主なサービス事業所に連絡を入れる

ここで難しいのは、担当交代のあいさつと、月の締切が重なることです。月初に入った場合、前任者が確認していない実績の突き合わせと給付管理を、利用者の顔も分からないうちに進めなければなりません。事務員がいる事業所なら入力は任せられますが、実績とプランの食い違いを判断するのはケアマネジャーの仕事です。

派遣会社を通して入職日を決めるときは、可能であれば月の中旬に入る形にしてもらうと、最初の給付管理までに2週間ほどの準備期間を確保できます。事業所としても、月初の混乱の中で新しい人に説明する余裕はあまりないため、この提案は受け入れられやすいです。

もう1つ大切なのは、使っている介護ソフトの確認です。居宅介護支援事業所では、ケアプランの作成や給付管理に専用のソフトを使っています。ソフトによって画面の構成や入力の手順がかなり違います。以前の職場と同じソフトであれば、最初の1か月の負担は大きく減ります。派遣会社に「使っている介護ソフトの名前」を事前に聞いておくと、入職前に操作の要点を調べておけます。

介護分野の派遣会社を選ぶときに見るところ

派遣で働く場合、どの派遣会社に登録するかで、紹介される事業所の質と、困ったときの支えがかなり変わります。

居宅介護支援事業所の派遣を扱っているのは、主に介護分野に特化した派遣会社と、医療福祉の部門を持つ総合的な派遣会社です。見るべきところは、次の4つです。

1つ目は、ケアマネジャーの派遣実績です。介護職の派遣は多くの会社が扱っていますが、ケアマネジャーの派遣は件数が限られます。担当者が居宅介護支援の仕事の流れ(月の締切、担当件数、モニタリング)を理解しているかどうかで、事業所との条件交渉の精度が変わります。面談で「給付管理の時期」「担当件数の上限」といった言葉がそのまま通じるかを確かめてください。

2つ目は、マージン率の公開情報です。派遣会社は、マージン率や派遣労働者の賃金の平均額などを公開する義務があります。会社のウェブサイトや、厚生労働省の人材サービス総合サイトで確認できます。マージン率が低ければよいという単純な話ではありませんが、社会保険や研修の費用をどう負担しているかを含めて、説明を求める材料になります。

3つ目は、就業中のフォローの体制です。派遣先の事業所で、時間外の対応を求められた、担当件数が契約より増えた、といったトラブルが起きたとき、派遣会社の担当者が事業所と交渉してくれるかどうかは重要です。狭い職場で、派遣のケアマネジャーが自分で事業所に異議を唱えるのは難しいからです。

4つ目は、更新研修への支援です。介護支援専門員証の更新研修は、受講時間が長く、受講料もかかります。派遣会社によっては、研修期間中の就業調整や、費用の一部補助を行っているところがあります。5年ごとの更新が近い方は、登録前に確認しておくと安心です。

複数の派遣会社に登録して、紹介される事業所と条件を比べるのも一般的なやり方です。同じ事業所の求人が複数の派遣会社から出ていることもあり、時給や条件が会社によって違う場合があります。

派遣会社と事業所に確認しておくべき項目

最後に、派遣で居宅介護支援事業所に入る前に確認しておきたい項目をまとめます。求人票だけでは分からないことが多いので、派遣会社の担当者を通して聞いてください。

事業所の状況について。

・派遣を受け入れる理由(欠員補充、産休代替、拡大) ・常勤のケアマネジャーの人数と、主任ケアマネジャーの有無 ・前任者から引き継ぐ利用者の件数と、要介護度の内訳 ・事務員がいるか(給付管理の入力を誰がするか)

働き方について。

・担当件数の上限 ・時間外や休日の連絡を受ける必要があるか ・直行直帰ができるか ・記録用の端末や事業所の携帯電話が貸与されるか ・訪問に使う車の扱い

契約について。

・派遣の期間と、延長の見込み ・紹介予定派遣かどうか ・更新研修の受講時間と費用の扱い ・契約終了時の引き継ぎの期間が、契約期間の中に含まれているか

特に最後の項目は見落とされがちです。契約の最終日まで担当業務を続け、引き継ぎの時間がとれないまま終わると、次の担当者と利用者の両方が困ります。最後の2週間程度を引き継ぎに充てる前提で契約期間を組んでもらうと、終わり方がきれいになります。

キャリアの方向を整理する段階で迷っている方は、専門家に相談するのも1つの方法です。働き方の選択を一緒に考える専門職の資格については、キャリアコンサルタントで紹介されています。

働き方の選択肢を長く見てきた立場からの考察

ここからは、フリーランスや在宅ワークの市場を長く運営してきた立場からの観察です。

20年この市場を見てきた立場から言えば、専門職の働き方は「正社員か、それ以外か」という単純な分け方では語れなくなっています。派遣、業務委託、非常勤、複数の事業所の掛け持ち。資格を持つ人ほど、時期に応じて働き方を切り替える傾向が強まっています。

運営者として見てきた限りでは、働き方を切り替えながら長く続く人は、どの形で働くときも「次の人に引き継げる状態」を意識しています。業務委託で入った仕事を終えるとき、依頼者の手元に分かりやすい資料を残す。派遣の期間を終えるとき、利用者の暮らしの情報を丁寧に記録に残す。こうした人には、次の仕事の声が自然にかかります。居宅介護支援の派遣で記録の質が評価されやすいのと、根は同じです。

また、仲介の仕組みが入るとき、そこには必ずコストが発生します。派遣であれば派遣会社のマージンがそれにあたります。在宅ワークの仲介でも同じで、仲介の手数料が乗らない直接のやり取りでは、同じ予算で依頼者はより多くを頼め、受け手の手取りも厚くなります。手数料0%の直接取引が双方にとって得になるのはこのためです。派遣を選ぶときも、「このマージンを払う代わりに何を得ているのか」(すぐ働ける、時間外を契約で断れる、職場を比べられる)を言葉にしておくと、選択に納得しやすくなります。

ケアマネジャーとして積んだ相談援助の経験は、介護保険の枠の外でも求められています。職場の悩みや転職の相談に関わる仕事がどのように募集されているかは、職場・転職・キャリア相談のお仕事で見ることができます。派遣で複数の事業所を経験した人は、職場ごとの違いを比べて説明できる分、こうした相談の場面で強みを持ちます。

居宅介護支援事業所の派遣は、使いどころを選べば、ケアマネジャーとしての経験の幅を広げる有効な手段です。事業所が派遣を必要としている理由、任される範囲、引き継ぎの段取り。この3つを確かめてから始めれば、派遣という働き方の利点を最大限に生かせます。

よくある質問

Q. ケアマネジャーは派遣で働けますか?

働けます。労働者派遣法で派遣が禁止されているのは、医療機関での医師や看護師の業務、建設業務、警備業務などで、居宅介護支援事業所のケアマネジャーの業務は含まれていません。求人サイトや介護分野に強い派遣会社で、欠員補充や産休代替の募集が一定数出ています。応募には有効期限内の介護支援専門員証が必要です。

Q. 派遣のケアマネと直接雇用では、どちらが収入が多いですか?

時給の数字では派遣が高い傾向があり、相場はおおむね1,600円から2,200円程度です。ただし直接雇用の常勤には賞与があり、主任ケアマネジャーや管理者になれば手当も加わります。短期間なら派遣、長期で役職を目指すなら直接雇用が有利になりやすく、何年働くかで比べることが大切です。

Q. 派遣のケアマネでも休日の電話対応をしなければなりませんか?

派遣契約の業務内容と就業時間に含まれていなければ、原則として対応する必要はありません。時間外の労働は派遣元の就業規則や協定の範囲で行う必要があるためです。ただし小さな事業所では直接雇用の職員に負担が集中するため、契約内容を事業所の全員が知っている状態にしてもらうと、職場での摩擦を防げます。

Q. 紹介予定派遣で居宅介護支援事業所に入るメリットは何ですか?

最長6か月の派遣期間の中で、担当件数の実態、時間外の連絡体制、職員同士の関係を実際に確かめてから直接雇用を決められる点です。居宅介護支援事業所は少人数で、職場の相性が働きやすさを大きく左右します。合わなければ直接雇用に進まない選択もできるため、転職の失敗を減らせます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年5月27日最終更新:2026年9月17日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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