かんばん方式とは何か、タスク管理に取り入れるときのボードの作り方


この記事のポイント
- ✓かんばん方式とは何かを
- ✓トヨタの生産方式での元の意味から整理し
- ✓タスク管理に取り入れるときのボードの作り方を手順で解説します
かんばん方式という言葉は、工場の生産管理の話として聞くこともあれば、タスク管理の道具の説明で目にすることもあります。どちらも同じ「かんばん」ですが、使われている場面と中身は少し違います。タスク管理に取り入れたいと考えて調べ始めると、元の意味と今の使われ方が混ざって、何から始めればよいのか分かりにくくなりがちです。
この記事では、かんばん方式とは何かを、トヨタの生産方式での元の意味から整理したうえで、タスク管理に取り入れるときのボードの作り方を手順で説明します。列とカードの決め方、進行中の作業を増やしすぎない工夫、紙や表計算ソフト、専用の道具での始め方、よくある失敗までを順にまとめます。チームでボードを共有したい場合の選択肢として、カンバンを含む8種類のボードを無料から使えるPinatecaにも触れます。
かんばん方式とは:トヨタの生産方式から生まれた仕組み
かんばん方式は、トヨタ自動車が自動車の生産の中で作り上げた管理の方法です。トヨタの社史では、かんばんについて次のように説明しています。
かんばんはジャスト・イン・タイムを実現し、後工程が必要とする部品の名称や数量等を指示する道具である。 1963(昭和38)年に「かんばん方式」とよばれる新しい管理方式を全工場で採用した。 出典: トヨタ自動車75年史「トヨタ生産方式の構築と展開」
ここで出てくるジャスト・イン・タイムとは、必要なものを、必要なときに、必要な量だけつくって運ぶ、という考え方のことです。後工程とは、部品を受け取って次の作業をする側の工程を指します。
自動車の組み立てには、たくさんの部品が要ります。部品を作る工程が、組み立ての工程の都合を考えずにどんどん作ると、使われない部品が工場に積み上がります。かんばん方式では、組み立ての側が使った分だけを、部品の名称や数量を書いた札(かんばん)で前の工程に伝え、前の工程はその分だけを作って補充します。社史には、かんばんの指示に従って部品をつくれば、常に必要な数量だけが工場の間で受け渡され、工程ごとの在庫がなくなると書かれています。
トヨタの公式サイトのトヨタ生産方式の解説でも、後の工程が前の工程から必要な部品を引き取り、前の工程は引き取られた分をすぐにつくって補充する流れが説明されています。つまり、元のかんばん方式の中心にあるのは「作りすぎない」「流れを止めない」という考え方です。この考え方が、のちに仕事の進め方全般に応用されるようになりました。
かんばん方式を仕事に活かすための3つの考え方
タスク管理にかんばん方式を取り入れるとき、ボードの形よりも大切なのが、その背景にある考え方です。工場のかんばん方式から受け継ぐべき考え方を、3つに整理します。
1. 見える形にする
工場のかんばんは、部品の名称や数量という情報を、札という目に見える形にしました。タスク管理でも、頭の中にある作業をカードという目に見える形にすることが出発点です。見えない作業は、管理することも、人と分担することもできません。
2. 流れを止めない
工場では、部品の流れが途中で止まると、組み立て全体が止まります。タスク管理でも、ある作業が止まると、その先の作業が進められなくなります。ボードを見るときは、どこかで流れが止まっていないかを最初に確かめます。止まっている場所を見つけたら、そこを解消することを、新しい作業を始めることより優先します。
3. 少しずつ直し続ける
トヨタの生産方式の解説では、日々改善を積み重ねることが強調されています。タスク管理のボードも、一度作ったら終わりではありません。列が多すぎた、カードが大きすぎた、という気づきがあれば、週1回の見直しで少しずつ直していきます。最初から完璧なボードを作ろうとせず、使いながら自分たちの仕事に合わせていくことが、長く続けるこつです。
工場のかんばんと、タスク管理のかんばんの違い
タスク管理でいう「かんばん」は、工場のかんばんの考え方を、事務や開発、制作などの仕事に応用したものです。共通点と違いを整理しておくと、取り入れるときに迷いません。
| 比べる点 | 工場のかんばん | タスク管理のかんばん |
|---|---|---|
| かんばんに書くもの | 部品の名称や数量など | 作業の内容、担当、期限など |
| 目的 | 必要な分だけを作り、在庫をなくす | 作業の流れを見えるようにし、滞りを見つける |
| 動かし方 | 使った分の札が前の工程に戻る | 作業の進み具合に応じてカードを列の間で動かす |
| 共通する考え方 | 作りすぎない、流れを止めない | 抱えすぎない、止まっている作業に早く気づく |
タスク管理のかんばんでは、ボードと呼ばれる板や画面に、「未着手」「進行中」「完了」のような列を作り、作業を1件ずつカードにして並べます。作業が進むと、カードを右の列へ動かします。ボードを見れば、どの作業がどの段階にあるのか、どこに作業が溜まっているのかが、ひと目で分かります。
工場のかんばんが「作りすぎ」を防ぐように、タスク管理のかんばんでは「抱えすぎ」を防ぐことが大切になります。この点はあとの節で詳しく説明します。
タスク管理にかんばん方式を取り入れると何が変わるか
かんばん方式のボードを使うと、仕事の進め方には次のような変化が起きます。
仕事の全体が1枚に見える
頭の中や、散らばったメモで管理していた作業が、1枚のボードに並びます。抱えている作業の数と、それぞれの段階が見えるので、「何をどれだけ抱えているのか分からない」という不安が小さくなります。
止まっている作業に気づける
カードが同じ列に何日も残っていれば、その作業は止まっています。ボードを見るだけで止まっている作業に気づけるので、催促したり、手伝ったり、作業を分けたりする手を早めに打てます。
チームの中で、誰が何をしているかが分かる
チームでボードを共有すれば、誰がどの作業を持っているのかが全員に見えます。「あの件、誰がやっているんだっけ」という確認が減り、同じ作業を2人がやってしまうことも防げます。
終わった作業が目に見える
カードを「完了」の列に動かすたびに、終えた作業が積み上がっていきます。1日や1週間の終わりに、どれだけの作業を終えたかを確かめられるので、仕事の手応えを感じやすくなります。
かんばん方式の弱点と、向かない場面
かんばん方式は便利ですが、どんな仕事にも向くわけではありません。弱点も知ったうえで取り入れると、期待とのずれが小さくなります。
期間の重なりは見えにくい
かんばんのボードは、作業の段階を見るためのものです。いくつもの作業の期間がどこで重なっているか、全体の日程に間に合うかを見るのは得意ではありません。納期までの日程を細かく管理したいなら、作業の期間を横棒で並べるガントチャートのほうが向いています。
作業の順番の決まりが表しにくい
「Aが終わらないとBを始められない」という作業どうしのつながりは、かんばんのボードでは表しにくくなります。順番が厳密に決まっている仕事では、ボードとは別に、作業の順番を書いた一覧が要ることもあります。
カードが増えすぎると、かえって見えなくなる
小さな作業まで全部カードにすると、ボードがカードで埋まり、何が大事なのかが見えなくなります。カードにする作業の大きさを決めておかないと、ボードを見ること自体が負担になります。
更新しないと、すぐに古くなる
かんばんのボードは、カードを動かして初めて役に立ちます。作業が進んでもカードを動かさなければ、ボードは実際の状態とずれていき、誰も見なくなります。毎日カードを動かす習慣が欠かせません。
タスク管理用のボードの作り方:5つの手順
ここからは、タスク管理用のかんばんのボードを作る手順を説明します。紙でも表計算ソフトでも専用の道具でも、手順は同じです。
手順1. ボードで管理する範囲を決める
まず、1枚のボードで何を管理するのかを決めます。「自分の仕事全部」「Webサイトの改修の案件」「経理の月末の作業」のように、範囲を決めます。範囲が広すぎるとカードが増えすぎ、狭すぎるとボードが何枚にも分かれて見通しが悪くなります。最初は、1つの案件か、1人の仕事全体から始めるのがおすすめです。
手順2. 列を決める
次に、作業がたどる段階を列にします。最も基本の形は「未着手」「進行中」「完了」の3列です。仕事によっては、「確認待ち」や「依頼主の返事待ち」の列を加えます。列は左から右へ、作業が進む順に並べます。
手順3. 作業をカードにする
管理する範囲の作業を書き出し、1件ずつカードにします。カードには、作業の内容を動詞で終わる短い文で書きます。「資料」ではなく「提案資料の見出しを決める」のように書くと、カードを見ただけで何をすればよいかが分かります。
手順4. カードを今の段階の列に並べる
書いたカードを、今の段階の列に並べます。まだ手をつけていない作業は「未着手」に、取りかかっている作業は「進行中」に並べます。「未着手」の列の中では、上から優先する順に並べておくと、次に何をするかで迷いません。
手順5. 動かし方の決まりを決める
最後に、カードをいつ、誰が動かすのかを決めます。「作業を始めたら自分で進行中へ動かす」「確認が終わったら確認した人が完了へ動かす」のように決めておくと、ボードが実際の状態とずれにくくなります。
仕事の種類ごとの列の決め方の例
列は、仕事の流れに合わせて決めます。いくつかの仕事について、列の例を示します。
| 仕事 | 列の例 |
|---|---|
| 個人の仕事全体 | 今週やる、今日やる、進行中、待ち、完了 |
| 記事や資料の制作 | ネタ、構成中、執筆中、確認待ち、修正中、完了 |
| Webサイトの改修 | 要望、対応予定、作業中、確認環境で確認中、公開済み |
| 問い合わせの対応 | 新着、担当決定、対応中、返事待ち、完了 |
| 経理の月末の作業 | 未着手、資料待ち、作業中、確認待ち、完了 |
列を増やしすぎないことが大切です。列が7つも8つもあると、カードを動かす手間が増え、どの列に並べればよいかで迷います。5列前後に収めると、見やすさと細かさの釣り合いが取れます。
「待ち」の列は、特に役に立ちます。依頼主の返事や、ほかの人の作業を待っているカードを集めておくと、自分の手で進められる作業と、催促が必要な作業を分けて見られます。
カードに書く項目の決め方
カードには、作業の内容のほかに、いくつかの情報を書いておくと管理しやすくなります。
- 作業の内容(動詞で終わる短い文)
- 担当者(チームで使う場合)
- 期限
- 依頼主や関係する案件の名前
- 必要な資料のありか(ファイルの場所など)
すべてのカードに全部を書く必要はありません。チームで使うなら担当者、期限のある作業なら期限、というように、必要なものだけを書きます。項目が多いと、カードを作るのが面倒になり、ボードに載らない作業が増えてしまいます。
カードにする作業の大きさも決めておきます。目安は、半日から2日ほどで終わる大きさです。それより大きい作業は、いくつかのカードに分けます。「Webサイトを作る」は大きすぎるので、「トップページの構成を決める」「お問い合わせのページを作る」のように分けます。逆に、5分で終わる作業までカードにすると、ボードがカードで埋まります。5分で終わる作業は、カードにせずにその場で片づけます。
カードの書き方の良い例と、直したい例
カードの書き方で、ボードの使いやすさは大きく変わります。よくある書き方と、直した例を並べます。
| 直したい書き方 | 直した書き方 | 直した理由 |
|---|---|---|
| A社 | A社の請求書を作って送る | 何をするかが分からないため |
| 資料作成 | 来週の会議の資料の見出しを決める | 大きすぎて1枚で終わらないため |
| 確認 | B社からの修正の依頼を読み、対応の可否を返事する | 何を確認するのかが分からないため |
| ブログを書く | 10月の新商品の紹介記事の下書きを書く | どの記事なのかが分からないため |
直した書き方は、どれも「何を」「どうする」がはっきりしています。カードを見た人が、ほかに何も聞かずに作業を始められるかどうかが、書き方の目安です。チームで使う場合は特に、書いた本人にしか分からないカードは、ほかの人が手伝うこともできません。
進行中の作業の数に上限を決める
かんばん方式をタスク管理に取り入れるとき、最も効果が大きい工夫の1つが、「進行中」の列に並べられるカードの数に上限を決めることです。
工場のかんばん方式が作りすぎを防いだように、タスク管理では手を広げすぎることを防ぎます。進行中の作業が多いと、作業を切り替えるたびに頭を切り替える手間がかかり、どれも少しずつしか進みません。結果として、どの作業も終わらないまま時間が過ぎます。
上限の決め方
個人なら、進行中の作業は2件から3件程度に絞るのが目安です。チームなら、人数に1を加えた数くらいから始めて、様子を見ながら調整します。
上限に達したら、新しい作業を始めない
進行中の列が上限に達したら、新しい作業には手をつけず、まず進行中の作業のどれかを終わらせます。進行中の作業が止まっているなら、何が原因で止まっているのかを確かめ、解消することを優先します。
上限は、一度決めたら変えてはいけないものではありません。2週間ほど使ってみて、上限に達することが多すぎて作業が止まるなら1件増やし、逆に上限に余裕があるのに作業が終わらないなら1件減らします。自分やチームの仕事の進み方に合わせて、少しずつ調整していきます。
この決まりを守ると、「始めた作業は終わらせてから次へ」という流れが自然にできます。最初は窮屈に感じるかもしれませんが、作業が終わる速さが上がるのを実感しやすい工夫です。
毎日の動かし方と、週1回の見直し
ボードは作って終わりではありません。毎日と毎週の2つの間隔で見る時間を決めておきます。
毎日の動かし方(5分から10分)
朝にボードを開き、次の順で確かめます。
- 昨日終わった作業のカードを「完了」へ動かす
- 「進行中」のカードのうち、止まっているものがないかを見る
- 「待ち」のカードのうち、催促が必要なものがないかを見る
- 「未着手」の上から、今日取りかかる作業を選んで「進行中」へ動かす
止まっているカードを見つけたときは、責める言葉ではなく、「何があれば進められそうか」を聞きます。止まっている理由の多くは、情報が足りない、判断を待っている、作業が大きすぎる、のどれかです。理由が分かれば、資料を渡す、判断する人に声をかける、カードを分ける、といった手をすぐに打てます。
チームで使う場合は、この確認を朝の短い打ち合わせで一緒に行うと、止まっている作業を全員で共有できます。オンラインで働くチームなら、画面を共有してボードを一緒に見るだけでも効果があります。
週1回の見直し(30分)
週に1回、ボード全体を見直します。
- 1週間以上同じ列にあるカードを探し、止まっている理由を確かめる
- 大きすぎるカードを分ける
- もう不要になったカードを削除する
- 「完了」の列のカードを片づける(記録として残すなら、別の場所に移す)
- 来週取りかかる作業を「未着手」の上に並べ直す
「完了」の列を片づけないと、ボードが終わった作業で埋まり、今の作業が見えにくくなります。週に1回、完了したカードを片づける習慣をつけておきます。
個人で使うときの例:在宅で複数の案件を受ける人の1週間
かんばん方式は、チームだけでなく、1人で仕事をする人にも役に立ちます。在宅で複数の取引先から仕事を受けている人を例に、1週間の使い方を示します。
ボードの列は「今週やる」「今日やる」「進行中」「返事待ち」「完了」の5つにします。進行中の上限は2件と決めます。
月曜日の朝
週の始めに、取引先ごとの依頼を確かめ、今週取りかかる作業をカードにして「今週やる」に並べます。カードには取引先の名前と期限を書きます。期限の近い順に上から並べます。
毎朝
「今週やる」の上から、その日に取りかかる作業を2件から3件選んで「今日やる」に動かします。作業を始めたら「進行中」へ動かします。進行中が2件になったら、新しい作業は始めません。
作業を納品したら
成果物を取引先に送ったら、カードを「返事待ち」へ動かします。取引先から確認の返事が来たら「完了」へ、修正の依頼が来たら「今日やる」へ戻します。「返事待ち」に3日以上残っているカードがあれば、取引先に確認の連絡を入れます。
金曜日の夕方
「完了」の列を見て、今週終えた作業を確かめます。請求が必要な作業があれば、請求書を作るカードを「今週やる」に加えます。最後に「完了」の列を片づけ、来週の作業の見通しを立てます。
この使い方なら、複数の取引先の作業が混ざっていても、今日何をすればよいか、どの取引先の返事を待っているかがすぐに分かります。
紙やホワイトボードで始める方法
かんばん方式を試すのに、特別な道具は要りません。紙と付箋があれば、今日から始められます。
用意するもの
- ホワイトボード、または大きめの紙
- 付箋(1色でかまわない)
- ペン
作り方
ホワイトボードに縦の線を引いて列を作り、列の上に「未着手」「進行中」「完了」と書きます。作業を1件ずつ付箋に書き、今の段階の列に貼ります。作業が進んだら、付箋をはがして右の列に貼り直します。
付箋の色を作業の種類ごとに分ける方法もあります。たとえば、取引先の仕事は黄色、社内の仕事は青、事務は緑、と決めておくと、ボードを見たときにどの種類の作業が溜まっているかがすぐ分かります。ただし、色の種類を増やしすぎると覚えきれなくなるので、3色程度にとどめます。
紙のボードの良いところは、手で動かす感覚が分かりやすく、すぐに始められることです。机の前の壁に貼っておけば、いつでも目に入ります。
一方で、在宅で働くチームや、外出先から確かめたい人には向きません。付箋がはがれて落ちることもあります。紙で1、2週間試して、かんばん方式が自分の仕事に合うと分かったら、表計算ソフトや専用の道具に移すと、移ったあとの使い方で迷いません。
表計算ソフトで作る方法
表計算ソフトでも、かんばん方式に近い管理ができます。
一覧の形で作る
1行に1つの作業を書き、「作業」「担当」「期限」「状態」の列を作ります。状態の列には「未着手」「進行中」「完了」のどれかを入れます。状態の列で並べ替えや絞り込みをすれば、段階ごとの作業を見られます。
列ごとに作業を並べる形で作る
表の1列目を「未着手」、2列目を「進行中」、3列目を「完了」にして、それぞれの列の下に作業を書いていく方法もあります。見た目はボードに近くなりますが、作業を動かすたびにセルを切り取って貼り付ける手間がかかります。
表計算ソフトの良いところは、多くの人がすでに使い慣れていることです。期限の順に並べ替えたり、担当者ごとに絞り込んだりもしやすく、ファイルを共有すればチームでも使えます。弱点は、カードを指で動かすような直感的な操作ができないことと、複数人が同時に書き換えると、どこが変わったのかが分かりにくいことです。
チームで取り入れるときの進め方
チームでかんばん方式を取り入れるときは、いきなり全員の全部の仕事をボードに移そうとしないことが大切です。次の順で、少しずつ広げていきます。
1. 1つの案件で試す
最初は、期間が1か月程度の1つの案件で試します。関わる人が少なく、作業の流れがはっきりしている案件を選ぶと、ボードの使い方に慣れやすくなります。
2. 決まりを短く書いて共有する
列の意味、カードに書く項目、カードを動かすタイミング、進行中の上限を、短い文章にまとめてチームで共有します。決まりが人によって違うと、同じボードを見ても受け取り方がずれます。
3. 毎朝の確認を一緒に行う
最初の数週間は、毎朝数分だけ、チームでボードを一緒に見る時間を取ります。誰がどのカードを持っているか、止まっているカードはないかを全員で確かめることで、ボードを見る習慣がチームに根づきます。
4. 2週間ごとに振り返る
2週間ほど使ったら、使いにくい点を出し合います。列が多すぎる、カードの書き方がそろっていない、更新が遅れがちだ、といった点を直していきます。うまく回るようになったら、ほかの案件にも広げます。
チームで取り入れるときにつまずきやすいのは、ボードの更新が一部の人に偏ることです。全員が自分のカードを自分で動かす、という決まりを最初に共有しておくと、特定の人の負担になりにくくなります。
かんばんとほかの管理方法の使い分け
かんばんのボードは、すべての管理を1つで済ませる道具ではありません。ほかの管理方法と組み合わせると、それぞれの弱点を補えます。
| 管理方法 | 得意なこと | かんばんとの組み合わせ方 |
|---|---|---|
| やることリスト | 思いついた作業をすぐ書き留める | リストに書き留め、取りかかるものをボードに移す |
| ガントチャート | 作業の期間と全体の日程を見る | 日程はガント、日々の進み具合はかんばんで見る |
| カレンダー | 時刻の決まった予定を管理する | 打ち合わせの日時はカレンダー、宿題はかんばんのカード |
| チェックリスト | 決まった手順の抜けを防ぐ | 毎回同じ手順の作業は、カードの中にチェックリストを付ける |
たとえば、Webサイトの制作を請け負う場合なら、納品までの大まかな日程をガントチャートで立て、日々の作業はかんばんのボードで動かし、依頼主との打ち合わせはカレンダーに入れる、という分け方ができます。1つの方法にこだわらず、目的に合わせて使い分けると、それぞれの方法が役に立ちます。
チームで共有するなら、ボードの道具を使う
在宅で働くチームや、離れた場所の人と一緒にボードを使いたい場合は、かんばんのボードを画面上で扱える専用の道具が便利です。カードをドラッグで動かせ、誰がいつ動かしたのかも残ります。
そうした場面の選択肢の1つが、Pinatecaです。公式サイトによると、カンバン、ガント、カレンダー、リスト、ディスカッション、グリッド、時間割、リソースの8種類のボードがあり、5人までならすべてのボードとチャットを無料で使えます。カンバンのボードでは、列にカードを並べて進み具合に応じて動かせ、カードには担当や締切のほか、見積もりの工数や優先度などの項目を自分たちで追加できます。かんばんの弱点である期間の重なりは、同じ道具のガントのボードで見られるので、段階はカンバン、日程はガント、という使い分けもできます。カードの近くでチャットができるため、作業についての相談もボードの上で済みます。Trelloからボードやカードを移す機能もあります。無料プランはボード10個まで、6人目または11個目のボードからはスタンダードプラン(1人あたり月額500円・税抜、年払いなら月額400円)になります。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
どの道具を選ぶ場合でも、最初は列を3つから5つに絞り、毎日カードを動かす習慣を作ることを優先します。道具の機能を使いこなすのは、その習慣ができてからで十分です。
かんばん方式を取り入れるときのよくある失敗
最後に、タスク管理にかんばん方式を取り入れるときによく起きる失敗と、その防ぎ方をまとめます。
列を細かく作りすぎる
仕事の段階を細かく分けようとして、列を10個も作ると、カードを動かす手間が増え、続かなくなります。最初は3列から始め、必要になったら列を加えます。
「進行中」にカードが溜まる
上限を決めずに使うと、進行中の列にカードが溜まり、どの作業も終わらない状態になります。進行中の数に上限を決め、上限に達したら新しい作業を始めない決まりを守ります。
ボードを更新しなくなる
忙しくなると、カードを動かすのを忘れ、ボードが実際の状態とずれていきます。朝の5分をボードの確認にあてる、と決めておくと、更新が途切れにくくなります。
全部の作業を1枚に詰め込む
仕事も個人の用事も、全部の案件も1枚のボードに載せると、カードが多すぎて見通しが悪くなります。案件や目的ごとにボードを分けるか、カードにする作業の大きさを見直します。
道具選びに時間をかけすぎる
どの道具がよいかを比べることに時間を使い、ボードを使い始めるのが遅れることがあります。まず紙で1週間試し、自分の仕事にどんな列が要るのかが分かってから道具を選んでも遅くありません。
在宅のチームで、かんばん方式が力を発揮する理由
かんばん方式は、離れた場所で働くチームほど力を発揮します。同じ部屋にいれば、声をかけたり、様子を見たりして、誰が何をしているかが分かります。在宅のチームではそれができないため、ボードが「今どうなっているか」を共有する場所になります。
2004年から在宅ワークとフリーランスの仲介を続けてきた運営者として見てきた限りでは、業務委託の仕事が長く続く人は、作業の進み具合を依頼主に見える形で伝える工夫をしています。依頼主と共有のボードを使ったり、定期的に進捗を報告したりして、依頼主が「今どうなっているのか」と心配しなくて済む状態を作っています。依頼主と受け手が直接やりとりできる形なら、ボードの共有も、止まっている作業についての相談もすぐにできます。手数料0%で直接取引できる形では、受け手の手取りが厚くなり、依頼主も同じ予算で多くの作業を頼めます。
仕事の流れを見える形にして改善する力は、さまざまな仕事で求められています。業務の改善を支援する仕事についてはAIコンサル・業務活用支援のお仕事で、かんばん方式がよく使われる開発の仕事についてはアプリケーション開発のお仕事で、内容と求められる力を整理しています。生産管理や業務改善を経営の観点から学びたい人は、中小企業診断士の資格の内容も参考になります。
よくある質問
Q. かんばん方式はもともと何のための仕組みですか?
トヨタ自動車が自動車の生産の中で作り上げた管理の方法です。トヨタの社史では、かんばんは後工程が必要とする部品の名称や数量などを指示する道具と説明されており、1963年に全工場で採用されました。使った分だけを補充することで、作りすぎを防ぎ、工程ごとの在庫をなくすことが目的でした。
Q. タスク管理のかんばんボードには、どんな列を作ればよいですか?
最も基本の形は「未着手」「進行中」「完了」の3列です。依頼主の返事を待つ作業が多いなら「待ち」、確認の工程があるなら「確認待ち」の列を加えます。列を増やしすぎると動かす手間が増えて続かなくなるので、5列前後に収めるのが目安です。
Q. 進行中の作業の数に上限を決めるのはなぜですか?
進行中の作業が多いと、作業を切り替えるたびに頭を切り替える手間がかかり、どれも少しずつしか進まなくなるためです。個人なら2件から3件程度を目安に上限を決め、上限に達したら新しい作業を始めずに、進行中の作業を終わらせることを優先します。
Q. かんばん方式はどんな仕事に向いていませんか?
作業の期間の重なりや全体の日程を細かく管理したい仕事、作業の順番が厳密に決まっている仕事では、かんばんのボードだけでは見えにくい点があります。日程の管理にはガントチャートを併用するなど、目的に応じて道具を組み合わせると補えます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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