児童養護施設で派遣として働く|直接雇われる場合との差と、合う場面


この記事のポイント
- ✓児童養護施設の派遣求人について
- ✓施設の中で1日がどう動くか
- ✓直接雇用と任される範囲がどう変わるかを整理しました
児童養護施設の派遣求人を探している方から、こんな相談をよく受けます。「正職員の募集ばかりで、いきなり宿直込みの働き方は自信がない」「保育士資格はあるけれど、子どもの背景が重い現場でやっていけるか分からない」。この迷いは、まったく後ろ向きなものではありません。むしろ、この職場で何が起きているかを事前に知ろうとしている証拠です。
先に結論をお伝えします。児童養護施設の派遣は、職種によって入りやすさがまったく違います。調理、事務、看護、保育補助では派遣の枠が普通に存在しますが、子どもの生活を直接背負う児童指導員の中核業務は、派遣という契約形態と相性がよくありません。理由は施設の仕組みそのものにあります。この記事では、施設の中で1日がどう動くのか、派遣で入ると任される範囲がどう変わるのか、そして求人票のどこを見れば実態が分かるのかを、順番に整理していきます。
児童養護施設に派遣という枠がある理由
まず、この施設がどういうお金で動いているかを知ってください。ここが分かると、なぜ派遣が入る余地があるのかが見えてきます。
児童養護施設は児童福祉法に基づく施設で、都道府県が入所を決める措置制度で運営されています。利用者が事業者を選んで契約する介護保険のサービスとは、根本から仕組みが違います。運営費は措置費と呼ばれる公費で、子ども1人あたりいくらという形で自治体から施設に支払われます。現場で働いている方が、その構造をこう書き残しています。
私たちの職場は社会福祉法人が運営する児童養護施設です。民間とはいえ、公共性が高く、措置費100%による税金で運営されています。児童養護施設は、「保護者のいない児童(略)、虐待されている児童その他の環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行なう」ことを目的に、人の愛情に飢えた子どもたちが入所しています。 出典: jichiro.gr.jp
措置費で動くということは、職員の人数が法令の配置基準と紐づいているということです。児童福祉施設の設備及び運営に関する基準では、児童指導員と保育士の総数について、満2歳未満の幼児はおおむね1.6人につき1人以上、満2歳以上満3歳未満は2人につき1人以上、満3歳以上の幼児は4人につき1人以上、小学生以上の少年はおおむね5.5人につき1人以上と定めています。この最低基準に加えて、予算上の加算措置で実際の配置はもう少し厚くなっている施設が多数です。
配置基準の外側に、派遣の入る余地が生まれる
この配置基準が、派遣の入り方を決めています。配置基準を満たす職員は、施設と直接の雇用関係にある常勤職員か、施設が雇う非常勤職員で埋めるのが原則です。派遣職員は雇用主が派遣会社なので、基準上の人数として数えにくい立場になります。だから施設側は、基準を満たす中核の職員は直接雇用で確保し、そこに上乗せする形で派遣を使います。
つまり派遣で入るポジションは、多くの場合こういう性格を帯びます。産休や育休に入った職員の穴埋め、退職者が出てから採用が決まるまでのつなぎ、行事や長期休みで手が足りない時期の増員、そして基準に含まれない職種の常時補充です。この最後の「基準に含まれない職種」が、調理、栄養士、事務、看護、送迎運転といった裏方の仕事にあたります。求人サイトで児童養護施設の派遣を検索すると、調理と事務の募集が目立つのは、この構造の当然の帰結です。
派遣で入ったとき、施設の1日はこう動く
児童養護施設の1日は、家庭の1日とほとんど同じ形をしています。ここが介護施設や病院と決定的に違うところです。
朝は6時台から動き出します。宿直だった職員が子どもを起こし、朝食を出し、体調を確認し、忘れ物がないかを見て学校に送り出します。小学生と中高生では登校時刻が違うので、この時間帯は波が2回来ます。子どもが全員出た9時前後から午後2時ごろまでが、施設が一番静かな時間です。この空白時間に洗濯、掃除、買い出し、記録の作成、児童相談所や学校との連絡、ケース会議が入ります。
午後3時を過ぎると子どもが帰ってきて、宿題、おやつ、入浴、夕食、就寝準備と一気に密度が上がります。夜9時を回って小さい子が寝た後も、中高生の相談や、翌日の準備、その日の出来事の記録が残ります。宿直の職員は施設に泊まり、夜中の見回りと、起きてしまった子への対応を担当します。
この流れの中で、派遣職員がどこに入るかを考えてみてください。調理の派遣なら、勤務時間は朝食の仕込みから夕食の提供までの間に設定されます。厨房は子どもの生活時間に合わせて動くので、早朝と夕方に山が来る変則的なシフトになりやすいです。事務の派遣なら、子どもが学校に行っている日中が中心になります。措置費の請求書類、子どもごとの入退所に伴う自治体への届出、寄付の受付と記録、職員の勤怠管理が主な仕事です。
保育補助で入る場合は、午後から夜にかけての時間帯が多くなります。手が足りないのは、まさに子どもが帰ってきてからだからです。ここで大事なのは、派遣であっても子どもから見れば「大人の1人」だということです。子どもは契約形態を知りませんし、知ったとしても関係ありません。
小規模化が進んだ施設では、この1日がさらに家庭に近づきます。国は2017年の新しい社会的養育ビジョン以降、大舎制から小規模グループケアや地域小規模児童養護施設への移行を進めてきました。6人程度の子どもと職員がひとつの建物で暮らす形です。この形の施設では、職員1人が担当する子どもの数は減りますが、代わりに1人で全部を回す場面が増えます。夕食を作りながら宿題を見て、電話に出て、けんかを止める。人手が薄い時間帯に応援を呼べる距離に人がいないのが、小規模化の難しさです。ここに派遣の保育補助が入ると、かなり助かる現場になります。
直接雇われる場合と、任される範囲がどう変わるか
同じ施設で働いても、直接雇用と派遣では任される仕事の線が違います。この線引きは施設ごとに揺れますが、共通する傾向があります。
派遣職員に任されにくいのは、子どもの処遇に関する意思決定です。具体的には、自立支援計画の作成、児童相談所との協議、保護者との面会調整、学校への同行や進路面談、一時帰宅の可否判断、そして虐待や自傷が疑われるときの初動判断。これらは施設が法的な責任を負う場面なので、指揮命令が派遣元と派遣先に分かれる派遣という形では扱いにくくなります。
逆に任されるのは、その日その場の生活支援です。食事の準備と片づけ、洗濯、掃除、入浴の見守り、送迎、宿題の付き添い、遊びの相手。子どもとの関わりで言えば、いちばん量が多い部分です。
もう1つ大きな差が宿直です。児童養護施設の宿直は、労働基準法上の断続的労働として労働基準監督署の許可を受けた上で行われるのが通例で、通常の時給とは別に宿直手当が支払われます。直接雇用の職員は宿直がローテーションに組み込まれますが、派遣契約では宿直を業務に含めないケースが多数です。夜勤や宿直を避けたい方にとって、これは派遣を選ぶ実質的な理由になります。ただし裏を返すと、宿直手当が付かない分だけ年収の総額は伸びにくくなります。
月給と時給で、年収はどれくらい開くか
給与の構造も比べておきましょう。直接雇用の正職員の求人では、こうした条件が並びます。
【仕事内容】児童指導員/<月給24万円~!住宅手当あり >児童養護施設/年間休日最大155日 未経験大歓迎!マイカー通勤OK 児童養護施設の... 出典: 求人ボックス
月給に住宅手当が付き、年間休日が多い。さらに賞与、退職金、宿直手当、処遇改善の加算が乗ります。対して派遣は時給制です。厨房の調理業務では次のような水準で募集が出ています。
仕事内容(調理師免許必須/経験不問)鈴鹿市にある児童養護施設内厨房での調理業務となっております。...給与時給 1,300円~1,400円派遣時給:1300円~1400円 出典: 求人ボックス
時給1,350円で1日8時間、月20日働くと月収は21万6,000円です。額面だけ見れば正職員の初任給と大きく変わりません。差が出るのは賞与と手当と退職金の部分で、年収ベースでは50万円から100万円ほど開くのが一般的です。保育士や児童指導員の派遣であれば時給1,300円から1,700円程度、事務職では1,200円から1,500円程度が目安です。
職種ごとに、派遣の入りやすさがまるで違う
児童養護施設の求人を職種別に並べると、派遣という言葉が付きやすい順番がはっきり出ます。
いちばん多いのが調理です。調理師免許があれば経験不問という募集が普通にあります。子どもの人数分の食事を毎日3食作る現場なので、給食経験や社員食堂の経験がそのまま活きます。アレルギー対応と行事食が特徴で、誕生日会やクリスマス会の献立を考える場面があります。子どもと直接関わる時間は短いですが、配膳のときに「今日のおかず何」と聞かれる距離感はあります。
次に多いのが事務です。社会福祉法人の事務は、措置費の請求、寄付金の受付と領収書発行、職員の労務管理、設備の管理と修繕の手配まで幅があります。求人サイトには時短や週4日の条件で施設事務の募集が出ることがあり、家庭と両立したい方の受け皿になっています。経理や労務の経験があると強いです。
看護職の派遣も一定数あります。施設の看護師は、子どもの服薬管理、通院の付き添い、けがの応急処置、感染症が出たときの対応、健康診断の調整が仕事です。病院のように処置が続く現場ではないので、ブランクがある方でも戻りやすい職場と言われます。ただし配置人数が少なく、判断を1人で下す場面があります。医療職の収入水準を比較したい方は、厚生労働省の職業情報をもとに整理した看護師の年収・単価相場を見ておくと、施設勤務と病院勤務の差が具体的に把握できます。
栄養士と管理栄養士は、献立作成と栄養管理、アレルギー児への個別対応が中心です。子どもの成長曲線を見ながら献立を組む仕事なので、給食施設の経験が評価されます。
保育士と児童指導員は、派遣の募集自体は存在するものの、前述した配置基準の事情で数が限られます。あるとすれば保育補助という名称で、担当を持たずに現場の手伝いに入る形です。紹介予定派遣という選択肢もあります。一定期間派遣として働いた後に、双方が合意すれば直接雇用に切り替わる仕組みで、施設の雰囲気を確かめてから腰を据えたい方に向いています。児童養護施設は職員の入れ替わりに悩んでいる施設が多いので、紹介予定派遣は施設側にとっても採用のミスマッチを減らす手段になっています。
なお、在宅でできる業務はこの職場にはほとんどありません。子どもの生活の場が職場だからです。記録の入力を持ち帰ることも、個人情報の扱い上できません。在宅を希望する場合は、施設勤務とは別に在宅の仕事を組み合わせる形になります。
保険、有給、期間制限で必ず確認しておくこと
派遣で働くときの雇用主は施設ではなく派遣会社です。この一点から、確認すべきことが決まってきます。
社会保険は派遣会社で加入します。週の所定労働時間が20時間以上、月額賃金が8万8,000円以上、雇用見込みが2か月を超える、学生ではない、という条件を満たせば健康保険と厚生年金の対象になります。派遣会社は従業員数が多い会社がほとんどなので、企業規模の要件で外れることはまず起きません。ここで気をつけたいのは、契約が途切れる期間があると資格を喪失してしまう点です。施設の契約が更新される見込みかどうかは、契約書に書かれた更新の有無だけでなく、担当営業に口頭で確認しておくと安心できます。
有給休暇も派遣会社から付与されます。入社から6か月継続勤務して出勤率が8割以上であれば10日が発生し、以降は勤続に応じて増えます。派遣先が変わっても、同じ派遣会社での勤続は通算されます。
3年の期間制限と、同一労働同一賃金のルール
期間制限の話も押さえておいてください。労働者派遣法には3年という上限が2種類あります。ひとつは事業所単位で、同じ派遣先の事業所に派遣を受け入れられるのは原則3年まで。もうひとつは個人単位で、同じ人が同じ組織単位で働けるのが3年までです。児童養護施設で長く関わりたいと考えている方にとって、この上限は無視できません。3年で必ず出なければならないわけではなく、施設が直接雇用に切り替える、派遣会社で無期雇用に転換する、といった道はあります。ただし、そのどれも自動では起きません。2年目に入ったあたりで、その先をどうしたいかを派遣会社に伝えておくのが現実的です。
待遇の面では、2020年4月から同一労働同一賃金のルールが派遣にも適用されています。派遣会社は派遣先の労働者と均等・均衡を図る方式か、労使協定を結ぶ方式のどちらかを選びます。多くの派遣会社が労使協定方式を採っていて、その場合の賃金水準は厚生労働省が示す一般賃金額を下回らないように設定されます。契約前に、どちらの方式か、交通費が時給に含まれるのか別途支給なのかを聞いておくと、後で計算が狂いません。
派遣が合う場面と、合わない場面
ここまでの内容を、選び方の判断に落とし込みます。
派遣が合うのは、まず子どもの支援の仕事に興味はあるけれど、この現場が自分に合うかを確かめたい方です。児童養護施設は、見学だけでは分からない部分が大きい職場です。子どもの背景の重さ、職員同士の関係、宿直の負担。実際に入って数か月働いてみないと判断できません。紹介予定派遣で入って、合わなければ契約満了で区切れるという選択肢は、双方にとって誠実な入り方です。
次に、家庭の都合で働く時間帯を固定したい方です。直接雇用の正職員になると、宿直と早番遅番のローテーションからは基本的に逃げられません。派遣契約であれば、勤務時間と曜日を契約書に明記できます。子どもの送り迎えがある、親の介護がある、そういう事情を抱えている方にとって、時間が動かないことは給与の多寡より大事な条件になります。
もうひとつは、別の職種から福祉に移りたい方です。厨房や事務から入って現場の空気に慣れ、働きながら資格取得を目指す道があります。児童指導員任用資格は、社会福祉士や精神保健福祉士の資格、または大学で社会福祉学や心理学、教育学、社会学を修めて卒業していることなど、複数のルートで得られます。教員免許を持っている方にも道があります。実際、他業種からこの世界に入る人は珍しくありません。
大学卒業後から小学校の教員を6年ほど経験したのち、株式会社が運営している児童養護施設の児童指導員となりました。 出典: job-medley.com
逆に派遣が合わないのは、子どもと長い時間軸で関わりたい方です。児童養護施設で子どもとの関係が本当に動き出すのは、多くの場合1年を超えたあたりからだと言われます。試すような言動をぶつけて、それでも大人がいなくならないと確認できて初めて、子どもは話し始めます。契約期間が区切られている立場だと、その手前で関係が終わってしまうことがあります。
収入を安定して伸ばしたい方にも向きません。時給は上がりにくく、賞与と退職金がないため、同じ年数を働いたときの生涯収入の差は大きくなります。ここを重視するなら、紹介予定派遣か、最初から直接雇用の募集を狙うほうが筋が通っています。
求人票のどこを見れば実態が分かるか
児童養護施設の求人票は、書かれ方に施設ごとの癖が強く出ます。見るべき場所を具体的に挙げます。
1つ目は、定員と現員の記載です。「定員42名(現状32名)」のように、両方を書いている求人があります。定員に対して現員が少ない施設は、1人あたりの職員の負担が軽いように見えますが、実際は措置費が現員に連動するため、収入が減って職員を増やしにくい状態かもしれません。逆に現員が定員に張り付いている施設は忙しい代わりに、経営は安定しています。どちらが良いという話ではなく、この数字を面接で聞ける材料にしてください。
2つ目は、施設の形態です。大舎制、中舎制、小舎制、小規模グループケア、地域小規模児童養護施設のどれかが書かれているはずです。書かれていなければ、施設のホームページを見てください。小舎制やグループホームは職員1人が抱える範囲が広く、裁量も責任も大きくなります。大舎制は複数の職員が同じフロアにいるので、判断を相談しながら進められます。未経験で入るなら、後者のほうが心理的な負担は軽いです。
3つ目は、勤務時間の書き方です。「シフト制」とだけ書いてあって時間帯の記載がない求人は、実態を確認する必要があります。早番が6時台から、遅番が22時までという施設は珍しくありません。派遣契約であれば、この時間帯を限定できるかどうかが交渉の中心になります。
4つ目は、年間休日の数字です。「年間休日最大155日」のように最大という言葉が付いている場合、それは特定の勤務形態の人に適用される数字で、全員がそうなるとは限りません。何日が標準なのかを聞いてください。
5つ目は、職員の在籍年数に関する情報です。求人票には書かれていないことが多いので、施設のホームページの職員紹介ページを見ます。勤続10年以上の職員が何人かいる施設は、定着する理由がある施設です。逆に全員が若手という施設は、活気がある反面、経験の蓄積が個人に依存している可能性があります。
6つ目は、派遣会社の担当者が施設を見たことがあるかどうかです。これは求人票には出ませんが、聞けば分かります。実際に足を運んで施設長と話している担当者は、子どもの年齢層や職員の雰囲気を具体的に答えられます。紙の情報しか持っていない担当者に当たったら、別の会社にも登録してみてください。同じ施設の求人を複数の派遣会社が扱っていることがあります。
入る前に知っておきたい、子どもとの距離の取り方
契約形態の話が続いたので、最後に現場そのものの話をします。ここを知らずに入ると、時給や勤務時間の条件が良くても続きません。
児童養護施設にいる子どもは、保護者がいない、あるいは家庭で暮らせない事情を抱えて入所しています。虐待を理由とする入所が大きな割合を占めるようになったのは、ここ20年ほどの変化です。つまり、大人に対する信頼が一度壊れた状態でここに来ている子が多い。これが、他の子ども関連の職場といちばん違う点です。
だから新しく入った職員は、ほぼ必ず試されます。わざと指示に従わない、暴言をぶつける、急に甘えてくる。これは意地悪ではなく、この大人はどこまで受け止めるのか、どこで自分を見捨てるのかを確かめている行動です。心理学ではこれを試し行動と呼びますが、難しく考える必要はありません。要するに、信じていいのかどうかを体で確認しているだけです。
試し行動に向き合うときの、叱り方の基準
試し行動に向き合うとき、やってしまいがちな失敗が2つあります。1つは、好かれようとして何でも許してしまうこと。もう1つは、なめられまいとして厳しくしすぎることです。どちらも、子どもから見ると同じに見えます。この人は自分を見ていない、という一点で同じなのです。
私がカウンセリングで福祉職の方から受ける相談で、いちばん多いのが叱り方の悩みです。感情を出すのが苦手で、どこまで言っていいのか分からない。そういう声が実際に現場から上がっています。
児童養護施設で児童指導員1年目として働いている者です。私は家族以外の人(友達など)に怒ることがあまりなく、嫌なことだったりを我慢してきたので怒りを表出することが難しく、子どもが何かしたときの叱り方、諭し方がわかりません。 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
この悩みには、現場で共有されている答えがあります。叱るのではなく、線を先に決めておくことです。人を傷つけること、自分を傷つけること、物を壊すこと。この3つは止める。それ以外は、その場で判断せずに一度持ち帰って職員間で相談する。この基準を自分の中に置いておくと、感情で反応しなくて済みます。そして止めるときは、行為だけを止めて人格に触れない。「その手を離して」とは言っても、「あなたはひどい子だ」とは言わない。この区別が、現場で長く続く人に共通しています。
派遣で入るなら、判断を1人で抱えない
派遣で入る場合、この判断基準を自分1人で作る必要はありません。むしろ作ってはいけません。施設には処遇の方針があり、その子ごとに支援の計画があります。初日に必ず聞いてほしいのは、困ったときに誰に聞けばいいかという1点です。相談先が決まっていれば、判断に迷った時間そのものが仕事になります。1人で抱えて、家に持ち帰って、眠れなくなる。それが積み重なって離職につながるパターンを、相談の現場でたくさん見てきました。
大丈夫です。最初からうまくやれる人はいません。子どもが求めているのは、正解を出す大人ではなく、いなくならない大人です。
運営者として見てきた、この職場との付き合い方
フリーランスと在宅ワークの市場を長く見てきた立場から、ひとつ気づいていることがあります。福祉の現場から離れる人の多くは、仕事そのものが嫌になったのではなく、働き方の選択肢が1つしかないと思い込んで力尽きています。宿直ができなくなったから辞める、フルタイムが無理になったから辞める。そういう理由で現場を去った方が、数年後に別の入り口から戻ってくる例を何度も見てきました。
派遣という形は、その選択肢のひとつです。契約で時間を固定できる働き方は、体力や家庭の事情が変わったときの逃げ道になります。ただし、派遣だけで生活を組み立てようとすると収入の天井にぶつかりやすいのも事実です。だから、施設で働きながら別の収入源を持っておく組み合わせを考える方が増えています。
中間業者が入らない直接取引の仕事は、依頼者から見れば同じ予算でより多く頼めて、受け手から見れば手取りが厚くなります。20年この市場を見てきて思うのは、長く続く人ほど単発の作業を追いかけるのではなく、この人に任せると楽だという関係を少しずつ作っているということです。施設で身につけた、子どもと家庭と学校と児童相談所の間を調整する力は、実はどこでも通用する技術です。
福祉の現場で働く人の収入水準を横に並べて見ておくと、進路の判断がしやすくなります。介護分野の賃金構造を職種ごとに整理した介護職員の年収・単価相場は、施設系の仕事全体の水準を把握する材料になります。保育の資格を持って施設に入る方であれば、保育士の勤務先ごとの収入差をまとめた保育士の年収・単価相場のほうが近い比較になるはずです。
人の話を聞いて整理する仕事に興味が出てきた方もいるでしょう。児童養護施設の職員は、日常的にそれをやっています。子どもの話を遮らずに聞き、事実と気持ちを分けて記録し、次にどうするかを一緒に決める。この技術を体系化した資格がキャリアの支援の領域にあります。国家資格の位置づけと受験ルート、学習範囲をまとめたキャリアコンサルタントを読むと、現場でやってきたことに名前が付く感覚があると思います。実際に相談を受ける仕事がどう成り立っているのかは、職場・転職・キャリア相談のお仕事に具体的な業務の流れが書かれています。
最後にひとつだけ。派遣で入るとしても、子どもにとってあなたは「大人の1人」です。契約期間が短いから距離を置こうとする必要はありません。むしろ、いる間はちゃんといること、そして去るときは黙って消えないこと。この2つを守れば、短い期間でも子どもの記憶に良い形で残ります。私が現場の方から教わって、今もいちばん大事だと思っていることです。
よくある質問
Q. 児童養護施設の派遣で、いちばん求人が多い職種は何ですか?
調理と事務です。どちらも法令の職員配置基準に直接は含まれない職種なので、施設が派遣で補いやすい立場にあります。調理は調理師免許があれば経験不問の募集が出ており、時給は1,300円から1,400円程度が目安です。事務は措置費の請求や労務管理が中心で、時給1,200円から1,500円程度、時短や週4日の条件が付く募集もあります。
Q. 派遣でも宿直をすることになりますか?
多くの派遣契約では宿直は業務に含まれません。宿直は労働基準監督署の許可を受けた断続的労働として直接雇用の職員がローテーションで担当するのが通例です。夜勤や宿直を避けたい方には派遣が向きますが、その分だけ宿直手当が付かないため年収の総額は伸びにくくなります。契約前に業務範囲を書面で確認してください。
Q. 資格がなくても児童養護施設の派遣で働けますか?
職種によります。調理は調理師免許、栄養管理は栄養士免許、看護は看護師免許が必要です。保育補助であれば無資格から入れる募集もありますが、数は限られます。子どもの生活を直接担当する児童指導員は任用資格が要り、社会福祉士や精神保健福祉士の資格、または大学で社会福祉学や心理学などを修めて卒業していることが要件になります。
Q. 派遣から直接雇用に切り替えてもらうことはできますか?
可能性はあります。紹介予定派遣であれば、一定期間の派遣勤務の後に双方が合意すれば直接雇用に移行します。通常の派遣でも、同じ組織単位で働けるのは原則3年までという個人単位の期間制限があるため、その手前で施設が直接雇用を提案することがあります。ただし自動では起きないので、2年目に入る頃に派遣会社の担当者へ意向を伝えておいてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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