児童養護施設は職場によって何が違うのか|規模と運営で変わる働きやすさ


この記事のポイント
- ✓児童養護施設の選び方を
- ✓働く側の視点で整理します
- ✓大舎・中舎・小舎や小規模グループケアといった生活単位の大きさ
児童養護施設の選び方を調べると、出てくるのは寄付先の選び方や、施設の一覧ばかりです。 でも、これから働く場所を探しているあなたが知りたいのは、そういう情報ではありませんよね。
「同じ児童養護施設なのに、友人の職場と話がまったく違う」 「求人票を並べても、どこが自分に合うのか見当がつかない」 こういうご相談、本当によくあります。
大丈夫です。 働く側から見た児童養護施設の違いは、いくつかの要素に分けて考えると、ちゃんと整理できます。 結論から言うと、見るべきは5つです。 生活の単位がどのくらいの大きさか、人員が基準に対してどのくらい厚いか、夜の勤務がどういう形か、運営主体と併設している事業は何か、そして専門職がどこまでそろっているか。
この記事では、国の基準と公表されている数字を手がかりに、それぞれが働きやすさにどう響くのかを順番にお話しします。 最後に、求人票と見学で確かめる項目を表にしてあります。
児童養護施設という職場の前提を、数字で押さえておく
まず、児童養護施設がいまどんな状況にあるのかを確認しておきます。 ここを知っておくと、施設ごとの違いがなぜ生まれているのかが見えやすくなります。
こども家庭庁の資料では、児童養護施設は全国に607か所あり、定員は28,546人、実際に暮らしている子どもは21,472人です(令和7年3月末、福祉行政報告例)。 職員の総数は21,751人とされています(令和6年10月1日現在、社会福祉施設等調査)。 単純に割ると子ども1人に職員が1人前後ですが、これは施設長や調理員、事務員まで含めた数で、しかも24時間365日を交代で回す人数です。 現場の感覚としての「手の多さ」とは、まったく別物だと考えてください。
入所している子どもの状況についても、こども家庭庁ははっきり書いています。
児童養護施設では、虐待を受けたこどもは71.7%、何らかの障害を持つこどもが42.8%と増えていて、専門的なケアの必要性が増しています。 出典: cfa.go.jp
同じページには、平均の在籍期間が5.2年で、10年以上暮らしている子どもが14.9%いることも載っています。 つまり児童養護施設は、数か月で入れ替わる場所ではありません。 小学生のときに入所した子が、高校を卒業するまでそこで育つことも珍しくない職場です。
この2つの事実は、働く側にとって大きな意味を持ちます。 1つは、子どもとの関係が年単位で続くので、職員が短期間で辞めると子どもの側に影響が残ること。 もう1つは、虐待や障害への専門的な対応が必要な子が多いので、職員1人の頑張りだけでは支えきれず、組織としての体制が働きやすさを大きく左右することです。
そして国は、施設のケアをできるだけ家庭に近い形にするため、生活の単位を小さくする方向へ舵を切っています。 この「小規模化」がどこまで進んでいるかが、施設ごとの職場の姿を分ける最大の要因になっています。 次の節で、その中身を見ていきます。
いちばん大きな違いは「生活の単位」の大きさ
児童養護施設の職場を比べるとき、最初に確かめてほしいのが、子どもがどのくらいの人数のまとまりで暮らしているかです。 こども家庭庁の資料では、1つの養育単位あたりの定員で、次のように区分しています。
| 形態 | 1養育単位あたりの子どもの数 | 暮らしの特徴 |
|---|---|---|
| 大舎 | 20人以上 | 相部屋が中心、厨房で一括調理し大食堂で食べる |
| 中舎 | 13〜19人 | 大舎と小舎の中間 |
| 小舎 | 12人以下 | 少人数の棟やフロアごとに生活 |
| 小規模グループケア | 6人 | 原則個室、ユニットのキッチンで職員が炊事 |
| 地域小規模児童養護施設 | 4〜6人(定員) | 本体施設の支援を受け、地域の住宅で暮らす |
小規模グループケアは全国で2,527か所、地域小規模児童養護施設は629か所とされています(令和6年10月1日現在、家庭福祉課調べ)。 1つの施設が、本体の中に複数のユニットを持ち、さらに地域にグループホームを持っている、という形が増えています。
大舎制に近い施設では、食事は厨房の調理員が作り、子どもは大食堂に集まって食べます。 職員は集団全体の流れを管理する役割が大きくなり、同じ時間帯に複数の職員が同じ空間にいます。 困ったときにすぐ隣の職員に声をかけられるのは、大きな安心材料です。 一方で、20人以上の子どもを相手に一人ひとりとゆっくり話す時間は取りにくく、「回すことで精一杯」と感じやすい面があります。
小規模グループケアや地域小規模の施設では、職員がキッチンで食事を作り、子どもと一緒に食卓を囲みます。 買い物、洗濯、掃除、通院の付き添い、学校との連絡まで、家庭で親がやることのほとんどを職員が担います。 子どもとの距離が近く、成長を肌で感じられる反面、1つのユニットに入る職員が少ないので、その時間帯に自分しかいないという場面が生まれます。 判断を一人で下さなければならない瞬間が多い、ということです。
ここで一つ、私自身の失敗をお話しさせてください。 以前、施設で働くことを考えている知り合いの相談に乗っていたとき、私は「小さいユニットのほうが家庭的で、きっと働きやすいはず」と、深く考えずに言ってしまいました。 その人は小規模の施設に入り、半年ほどで「一人で抱える重さが想像以上だった」と打ち明けてくれました。 家庭的であることと、働く人が楽であることは、同じではありません。 それ以来、私はどちらが良いかではなく、「あなたはどちらの重さなら引き受けられそうか」を一緒に考えるようにしています。
どちらの形にも、向き不向きがあります。 チームの中で役割を分けて動くのが得意な人と、少人数の中で暮らしそのものを担うのが得意な人。 自分がどちらに近いかを考えることが、施設選びの出発点になります。
1日の流れで比べると、違いがはっきり見える
生活の単位の違いは、1日の流れに置き換えると、もっと具体的に見えてきます。 ここでは、小学生から高校生までが暮らす施設を想定して、平日の動きを大きな施設と小さなユニットで比べてみます。 時刻や分担は施設によって違うので、あくまで考えるための例として読んでください。
朝は、どちらの形でも慌ただしい時間です。 大きな施設では、宿直明けの職員と早番の職員が一緒に子どもを起こし、食堂で朝食をとらせ、学年ごとに登校を見送ります。 朝食は厨房で用意されているので、職員は声かけと身支度の確認、忘れ物の点検に集中できます。 小さなユニットでは、宿直明けの職員が朝食を作りながら子どもを起こし、お弁当が必要な高校生がいればその準備も並行します。 同じ朝でも、手を動かしている中身がまったく違います。
子どもが学校に行っている日中は、どちらも「子どもがいないから楽な時間」ではありません。 大きな施設では、職員会議、ケース会議、記録、行事の準備、児童相談所や学校との連絡がこの時間に集まります。 小さなユニットでは、それに加えて、洗濯、掃除、夕食の買い出し、幼児や体調を崩して学校を休んだ子の世話が入ります。 職員が本体施設とユニットを行き来しながら、会議に出る時間を作っている施設もあります。
いちばん忙しいのは、下校してから寝るまでの時間です。 宿題を見て、夕食をとり、入浴を済ませ、翌日の持ち物をそろえ、その日にあったことを聞く。 学校で友だちとうまくいかなかった子、面会の予定が急に取り消されて落ち込んでいる子、反抗期で口をきいてくれない子が、同じ時間に同じ場所にいます。 大きな施設では、複数の職員が役割を分けて対応しますが、一人ひとりの話を聞く時間は短くなりがちです。 小さなユニットでは、少ない職員で全員に目を配る必要がありますが、食卓を囲みながら自然に話を聞ける場面は多くなります。
子どもが寝たあとは、記録と引き継ぎの時間です。 その日の様子を記録に残し、翌日の職員に伝えることは、子どもとの関係を途切れさせないために欠かせません。 記録をどこで、どのくらいの時間で書けるかは、施設によって本当に差が出ます。 事務室でまとめて書く施設もあれば、ユニットのリビングで子どもの様子を見ながら書く施設もあります。 「記録は勤務時間内に書き終えられていますか」という質問は、残業の実態を知るうえでとても役に立ちます。
こうして1日を並べてみると、「大きい施設は忙しく、小さい施設は家庭的」という単純な図式では割り切れないことが分かります。 忙しさの種類が違う、と考えるのが正確です。
人員体制は「国の基準」と「実際の配置」を分けて考える
2つ目の要素は、職員の人数です。 ここは、国の最低基準と、実際にお金がついて配置されている人数を分けて考える必要があります。
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第42条では、児童指導員と保育士の総数を、次のように定めています。
| 子どもの年齢 | 基準上の配置(児童指導員と保育士の合計) |
|---|---|
| 満2歳未満 | おおむね1.6人につき1人以上 |
| 満2歳以上3歳未満 | おおむね2人につき1人以上 |
| 満3歳以上の幼児 | おおむね4人につき1人以上 |
| 少年(小学生以上) | おおむね5.5人につき1人以上 |
さらに、子どもが45人以下の施設では、ここに1人以上を加えることになっています。
ただし、これは「最低限これだけは置きなさい」という数字です。 施設の運営費である措置費では、加算の仕組みによって、小学生以上の子どもについて4.0〜5.5人に1人の配置が見込まれており、国が高機能化された生活単位と位置づけるユニットでは、子ども1人につき職員1人という水準まで示されています。 地域小規模児童養護施設については、1か所あたり4〜6人の職員配置が示されています。 加えて、小規模グループケアには、グループ数に応じて児童指導員または保育士1人と、宿直管理などを行う非常勤職員1人を加算する仕組みがあります。
つまり、同じ定員の施設でも、どの加算を取っているかによって職員の数がかなり違います。 小規模化を進めて加算を取っている施設は人が厚く、そうでない施設は基準に近い人数で回している、ということが起こり得ます。
ここで注意してほしいのが、「人数が多い=1人あたりの負担が軽い」とは限らないことです。 ユニットが増えれば、それぞれのユニットに誰かを置かなければなりません。 職員が20人いても、ユニットが6つあれば、ある時間帯に1つのユニットにいる職員は1人か2人です。
もう一つ、夜の体制も確かめてください。 基準の第46条では、施設長は児童指導員と保育士のうち少なくとも1人を、子どもと起居を共にさせなければならないとされています。 実際の運用では、宿直で夜を過ごす施設、夜勤として起きて勤務する施設、朝と夕方以降に分けて働く断続勤務を組み合わせる施設など、形はさまざまです。 小規模のユニットでは、そのユニットの職員が交代で宿直に入ることが多く、宿直の回数が月に何回あるかは、生活リズムに直結します。
求人票に「職員配置」や「勤務形態」の欄があれば、ユニットごとの職員数と、宿直または夜勤の月あたりの回数を必ず確認しましょう。 書かれていなければ、面接や見学で聞いて大丈夫です。 これを聞いて嫌な顔をする施設は、正直なところ、あまり多くありません。
運営主体と併設事業で、キャリアの広がりが変わる
3つ目の要素は、誰が運営しているか、そしてその法人が他に何をしているかです。
児童養護施設の多くは社会福祉法人が運営しています。 その中に、都道府県や市が設置した施設を運営する形もあれば、公設公営の施設もあります。 岡山県内の児童養護施設を紹介しているページには、県内で唯一の公設公営の児童養護施設として、定員25人の施設を2つのユニットに分けて中舎制で運営していることが紹介されています。 また、株式会社が運営する児童養護施設で児童指導員として働いている人のインタビューも、医療福祉の求人サイトに掲載されています。 運営主体は一つではない、ということです。
働く側にとって運営主体が意味を持つのは、主に3つの点です。
1つ目は、採用と異動の仕組みです。 公営の施設では、自治体の職員として採用され、数年で別の部署に異動することがあります。 児童相談所や他の福祉施設を経験できる反面、せっかく関係を築いた子どもから離れる時期が自分で選べない場合があります。 社会福祉法人の場合は、法人内の別施設への異動があるかどうかは、法人の規模によって大きく違います。
2つ目は、併設している事業です。 児童養護施設を運営する法人は、乳児院、自立援助ホーム、児童家庭支援センター、放課後児童クラブ、ショートステイなどの子育て支援事業を一緒に運営していることがあります。 こども家庭庁の資料でも、児童家庭支援センターの多くは児童養護施設などに附置されていると説明されています。 併設事業が多い法人では、乳児から自立した若者まで幅広い年齢の支援を経験できますし、将来、地域支援や相談の仕事に移る道も開けます。
3つ目は、研修と相談の体制です。 こども家庭庁の児童養護施設運営指針は、施設長や基幹的職員にいつでも相談できる体制を確立し、職員がひとりで問題を抱え込まないよう組織として対応することを求めています。 これをどこまで形にしているかは、法人の規模や方針で差が出るところです。 定期的なケース会議があるか、外部の研修に出してもらえるか、先輩職員が新人を見る仕組みがあるか。 こうした点は、求人票の「研修制度」欄だけでは分からないので、見学のときに具体的に聞くのがおすすめです。
保育士や児童指導員としての処遇の水準を知っておくことも、比較の土台になります。 保育士の年収や単価の相場は、年齢や勤務先の種類ごとにデータがまとめられている保育士の年収・単価相場で確認できます。 施設の給与が相場と比べてどうなのかを知っておくと、手当の内訳を聞くときの目安になります。
専門職がそろっているかで、あなたが任される範囲が変わる
4つ目の要素は、専門職の配置です。 ここは見落とされがちですが、実は日々の仕事の中身をいちばん変えるところかもしれません。
児童養護施設には、子どもの生活を直接支える児童指導員や保育士のほかに、次のような専門職が置かれます。
| 職種 | 主な役割 | 配置の状況(令和6年10月1日現在) |
|---|---|---|
| 家庭支援専門相談員 | 保護者との関係調整、家庭復帰の支援 | 606施設中606施設(100%) |
| 心理療法担当職員 | 心理面のケア、職員への助言 | 606施設中535施設(88.3%) |
| 里親支援専門相談員 | 里親委託の推進と里親への支援 | 606施設中424施設(70.0%) |
| 個別対応職員 | 個別の対応が必要な子どもへの関わり | 基準上必置 |
| 自立支援担当職員 | 退所前後の自立に向けた支援 | 措置費上の加算職員 |
家庭支援専門相談員は全施設にいますが、心理療法担当職員や里親支援専門相談員は、いない施設もあります。 表には載せていませんが、家庭支援専門相談員を複数置いている施設もあり、全国で1,020人が配置されています。
専門職がそろっている施設では、直接子どもの生活を支える職員は、日々の暮らしに集中しやすくなります。 たとえば、保護者との面会の調整は家庭支援専門相談員が、夜に不安定になる子への関わり方の助言は心理療法担当職員が、退所後の住まい探しは自立支援担当職員が担う、という分担ができます。
逆に、専門職が少ない施設では、こうした仕事の一部が生活担当の職員に回ってきます。 それが悪いということではありません。 幅広い仕事を経験できるので、将来、相談援助の仕事に進みたい人にとっては学びの多い環境になります。 ただ、入職してすぐにそこまで任されると、戸惑うのは当然です。
面接では「保護者対応は、どの職種がどこまで担当していますか」「心理の職員とは、どういう場面で連携していますか」と聞いてみてください。 答えの具体さで、その施設の分担がどのくらい整理されているかが分かります。
施設の規模によって、置かれる職種そのものが変わる点も知っておいてください。 基準の第42条では、子どもが40人以下の施設は栄養士または管理栄養士を置かないことができ、調理業務をすべて委託している施設は調理員を置かないことができるとされています。 また、乳児が入所している施設には看護師を置くことになっています。 設備の面でも、第41条で、子どもが30人以上の施設には医務室と静養室を設けることが定められています。
これを働く側から見ると、小さな施設ほど、献立の工夫や体調を崩した子の見守りといった仕事が、生活担当の職員に近いところで行われるということです。 小規模のユニットで職員が食事を作るのは、家庭的な暮らしのためであると同時に、こうした体制の違いの表れでもあります。 料理や健康管理が得意な人にとっては力を発揮しやすい環境ですし、苦手な人にとっては最初の壁になるかもしれません。 入所している子どもの年齢の幅も、施設によって違います。 こども家庭庁の資料では、対象はおおむね1歳から18歳未満で、必要な場合は0歳から20歳未満までとされています。 幼児が多い施設では保育の経験が、高校生が多い施設では進路や自立の支援の経験が、それぞれ活きやすくなります。
子どもや保護者の話を聴く仕事に関心が出てきたら、相談援助の仕事の全体像を知っておくのも一つの方法です。 職場や家庭の悩みに向き合う相談の仕事の種類と働き方は、職場・転職・キャリア相談のお仕事にまとまっています。 施設での経験が、将来どんな相談の仕事につながり得るかを考える材料になります。
求人票と見学で確かめること
ここまでの話を、実際の施設選びで使える形にまとめます。 求人票で分かることと、見学や面接で聞くことを分けておくと、限られた時間を有効に使えます。
| 見る項目 | 求人票で確かめること | 見学・面接で聞くこと |
|---|---|---|
| 生活の単位 | 大舎・中舎・小舎、ユニット数、地域小規模の有無 | 配属はどのユニットか、配属の決め方 |
| 人員 | 定員と職員数 | 1ユニットに日中と夕方に何人いるか |
| 夜の勤務 | 宿直か夜勤か、断続勤務の有無 | 月あたりの宿直・夜勤の回数、明けの扱い |
| 休み | 年間休日数 | 希望休の出し方、行事のある月の休み |
| 運営主体 | 法人名、併設事業 | 法人内の異動の有無と頻度 |
| 専門職 | 心理職、家庭支援専門相談員などの記載 | 保護者対応や通院をどの職種が担うか |
| 育成 | 研修制度 | 新人に先輩がつく期間、ケース会議の頻度 |
見学に行ったら、書類では分からないところを見てください。 たとえば、職員同士がどんな声のかけ方をしているか。 記録を書く時間がどこで確保されているか。 子どもの居室や共有のスペースが、生活の場として整えられているか。
私がいつもお伝えしているのは、見学で「居心地がよかった」と感じたら、その理由を一つでいいので言葉にしておくことです。 「職員が子どもに話しかける声が柔らかかった」「玄関に子どもの作品が飾ってあった」。 言葉にしておくと、複数の施設を比べるときの軸になりますし、面接で志望理由を話すときにも使えます。
もう一つ大切なのは、夕方以降の様子を想像することです。 見学は日中に行われることが多いですが、児童養護施設がいちばん忙しいのは、子どもが学校から帰ってきてから寝るまでの時間帯です。 宿題、夕食、入浴、明日の準備、そして一日の出来事を聞く時間。 この時間に何人の職員がいるかを聞いておくと、入職後の姿がぐっと具体的になります。
自分に合う施設を絞り込む順番
条件がたくさん並ぶと、何から決めればいいのか分からなくなりますよね。 そういうときは、変えられないものから先に決めていくと、迷いが減ります。
最初に決めるのは、通える範囲と夜の勤務の受け止め方です。 児童養護施設は、宿直や夜勤を避けて通れない職場です。 早朝や夜遅くの出退勤があるので、通勤時間が長いと体への負担が一気に増えます。 家族の事情や自分の体調を考えて、月に何回までなら夜の勤務を無理なく続けられそうか、先に目安を持っておきましょう。 ここが決まると、応募先の候補はかなり絞られます。
次に決めるのは、生活の単位です。 先ほどお話ししたように、チームで分担して動くのが得意か、少人数の暮らしを担うのが得意かで考えます。 経験がなくて判断がつかない場合は、本体施設に複数のユニットがあり、先輩職員と同じユニットで働き始められる施設を選ぶと、両方の働き方を近くで見られます。 配属の決め方を面接で聞いておくと安心です。
3番目は、育成の仕組みです。 入所している子どもの多くが虐待を受けた経験を持つ職場では、関わり方を学ぶ機会があるかどうかが、そのまま自分を守ることにつながります。 新人研修の期間、ケース会議の頻度、心理職に相談できる場面があるか。 ここが整っている施設は、未経験の人でも一歩ずつ力をつけていけます。
最後に、給与や休日などの条件を比べます。 条件を最後に回すのは、条件が大事ではないからではありません。 前の3つが合わない職場では、条件が良くても続けるのが難しいからです。 逆に、前の3つが合っていれば、多少の条件の差は、働きながら納得できることが多いものです。
この順番で考えると、候補が2つか3つに絞られるはずです。 そこまで来たら、実際に見学に行き、先ほどの表の項目を一つずつ確かめてみてください。 迷ったときに立ち返る軸があるだけで、選ぶことの不安はずいぶん軽くなります。
長く続く人が施設を選ぶときに見ていたもの
最後に、福祉や在宅の働き方を長く見てきた運営者の立場から、少しだけ観察をお伝えします。
児童養護施設に限らず、人を支える仕事で長く続けている人ほど、条件の数字だけで職場を選んでいません。 給与や休日はもちろん大事ですが、それ以上に「困ったときに誰に相談できるか」「自分が休んだときに、代わりに入ってくれる人がいるか」を確かめてから決めている、という傾向がはっきり見られます。 一人で抱え込まずに済む仕組みがある職場は、結果として人が辞めにくく、子どもとの関係も途切れにくくなります。
もう一つ感じるのは、最初の職場がすべてではない、ということです。 大舎の施設で集団の中の動き方を覚えてから、小規模のユニットに移って暮らしを担う人もいます。 施設での経験を土台に、相談支援や子育て支援、あるいは在宅でできる記録や研修の仕事へと働き方を広げていく人もいます。 手数料を取らずに依頼者と働き手が直接つながる仕組みが広がったことで、施設勤務と並行して、地域の子育て支援の講座や文章の仕事を個人で引き受ける人も出てきました。 中間に入る業者がいない分、依頼する側は同じ予算でより多くを頼めて、受ける側の手取りも厚くなるので、無理のない範囲で経験を活かす道が選びやすくなっています。
児童養護施設は、同じ名前でも中身が大きく違う職場です。 だからこそ、あなたに合う場所は必ずあります。 生活の単位、人員、夜の勤務、運営主体、専門職。 この5つを手がかりに、一つずつ確かめていけば大丈夫です。 あなたは一人で選ばなくていいんです。 見学で聞きたいことをメモにして、気になる施設に連絡を取るところから始めてみてください。
よくある質問
Q. 児童養護施設の大舎制と小規模グループケアでは、どちらが働きやすいですか?
一概には言えません。大舎制に近い施設は同じ時間帯に複数の職員がいて相談しやすい一方、子ども一人ひとりと関わる時間は取りにくくなります。小規模グループケアは子どもとの距離が近い反面、職員が一人で判断する場面が増えます。チームで分担するのが得意か、少人数の暮らしを担うのが得意かで考えるのが現実的です。
Q. 求人票で人員体制の厚さを見分ける方法はありますか?
定員と職員数だけでは分かりにくいので、ユニット数とあわせて見てください。職員が多くてもユニットが多ければ、1つのユニットにいる人数は少なくなります。求人票に書かれていなければ、面接や見学で夕方の時間帯に1ユニットに何人いるか、宿直や夜勤が月に何回あるかを聞くのが確実です。
Q. 運営主体が公営か社会福祉法人かで、何が変わりますか?
主に採用と異動の仕組みが変わります。公営の施設では自治体職員として採用され、別の部署へ異動することがあります。社会福祉法人では、法人の規模や併設事業によって異動の有無や範囲が違います。乳児院や自立援助ホームなどを併設している法人では、幅広い年齢の支援を経験できる場合があります。
Q. 見学ではどんなことを確認すればよいですか?
職員同士の声のかけ方、記録を書く時間の確保、居室や共有スペースの様子を見てください。あわせて、子どもが帰ってきてから寝るまでの時間帯に何人の職員がいるか、保護者対応や通院を誰が担当しているか、新人に先輩がつく期間はどのくらいかを聞いておくと、入職後の働き方が具体的に想像できます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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