未経験から訪問入浴で働く|受け入れている募集と、慣れるまで


この記事のポイント
- ✓未経験から訪問入浴で働けるのかを
- ✓実際の募集の傾向から整理します
- ✓無資格でも応募できるのはどの役割か
未経験から訪問入浴で働けるのか。結論から言うと、働けます。訪問入浴は介護の職場の中でも、無資格・未経験の応募を受け付けている募集が多い分野です。
ただし、「未経験可」と書かれた募集が、すべて同じ仕事を指しているわけではありません。運転と機材の担当なのか、入浴介助の担当なのかで、入ってからの1日も、慣れるまでの道のりも大きく違います。
この記事では、未経験者を受け入れている募集がどの役割なのか、求人票で何を確かめればよいのか、そして入ってから1人立ちするまでに何が起きるのかを、順番に整理します。
未経験を受け入れているのは、主に「運転と機材」の役割
訪問入浴で未経験者を受け入れる募集を理解するには、まず訪問入浴のチーム構成を知っておく必要があります。
3人のチームと、それぞれの資格要件
介護保険の訪問入浴介護は、原則として介護職員2人と看護職員1人の3人で1軒のお宅に伺います。この3人の役割と、一般的な資格要件は次のとおりです。
| 役割 | 主な仕事 | 資格の傾向 |
|---|---|---|
| 看護職員 | 入浴前後の健康チェック、入浴可否の判断、皮膚の処置 | 看護師または准看護師の免許が必須 |
| 介護職員(入浴介助) | 衣服の着脱、洗髪や洗身、移乗 | 介護職員初任者研修以上を求める募集が多い |
| 介護職員(運転・機材) | 入浴車の運転、浴槽やホースの搬入、湯温の管理、移乗の補助 | 無資格・未経験可の募集が多い。運転免許は必須 |
事業所によって、運転と機材の担当を「オペレーター」「訪問入浴スタッフ」「ドライバー兼介助員」などと呼び分けています。求人票で「無資格可」と書かれている募集の多くは、この3つ目の役割です。
入浴介助の担当でも、未経験可の募集はある
一方で、入浴介助の担当でも「未経験歓迎」「資格取得支援あり」として、無資格で採用し、働きながら介護職員初任者研修を取ってもらう事業所もあります。この場合、資格を取るまでは運転と機材の担当として働き、取得後に入浴介助へ役割を広げる流れが一般的です。
つまり、未経験で入る人の多くは、最初は運転と機材の役割から始まる、と考えておくと実態に近いです。
看護師は「訪問入浴が未経験」の募集が中心
看護職員は免許が必須なので、ここでいう未経験は「看護師としての経験はあるが、訪問入浴は初めて」という意味になります。病院勤務から転職する看護師を想定し、ブランクのある人も受け入れる募集が見られます。
なぜ訪問入浴は、未経験の募集が多いのか
介護の職場の中で、訪問入浴に未経験可の募集が多いのには、職場の仕組みに理由があります。
1人で判断する場面がほとんどない
訪問介護のヘルパーは、利用者さんの家で原則1人で支援を行います。一方、訪問入浴は必ず3人で伺い、入浴してよいかの判断は看護師が行います。未経験の職員が、1人で利用者さんの体調を見極めなければならない場面は、ほとんどありません。
これが、事業所が未経験者を受け入れやすい最大の理由です。
業務の手順が決まっている
訪問入浴の1件は、到着、健康チェック、搬入と設置、入浴、入浴後のケア、撤収と記録、という流れがほぼ固定です。お宅ごとの違いはあっても、手順の骨組みは変わりません。
施設の介護のように、食事、排せつ、レクリエーション、夜勤と、1日の中で多種類の業務を覚える必要がないため、未経験者でも習得の見通しを立てやすい職場です。
担当する業務が限定されている
訪問入浴で担当するのは、入浴に関わる支援だけです。食事の介助や排せつの介助、認知症の方への日常的な対応など、介護の幅広い技術を最初から求められることはありません。
人手の確保が課題になっている
もう1つの理由は、人手の確保です。介護の分野全体で求人倍率は高い水準が続いており、訪問系のサービスは特に人が集まりにくい傾向があります。訪問入浴は、体力を使う仕事、屋外と屋内の往復がある仕事という印象から、応募が集まりにくい面もあります。そのため、資格や経験の条件を下げて、入口を広くしている事業所が多いのです。
正直なところ、「未経験可」が多いのは、業務の性質と人手不足の両方が理由です。前者は働く側にとって安心材料ですが、後者は「入ってからの教育に手が回っていない事業所もある」ことを意味します。この見極めは、後で説明する求人票の確認と面接で行う必要があります。
未経験者が最初に覚える、1件の訪問の流れ
求人票を読む前に、未経験者が入ってから最初に覚えることになる「1件の訪問の流れ」を押さえておきましょう。流れが分かっていると、求人票の仕事内容の欄を具体的に読めるようになります。
到着から入浴開始まで
1件の訪問は、到着から撤収まで45分から60分程度が目安です。お宅に着いたら、入浴車を停め、ご本人とご家族に挨拶します。看護師が体温や血圧を測って健康状態を確認している間に、介護職員の2人が浴槽を部屋へ運び込みます。
浴槽を組み立てたら、給水ホースをお宅の水道につなぎ、入浴車のボイラーで温めたお湯を送ります。排水用のホースは浴室やトイレへ伸ばしておきます。未経験者が最初に担当するのは、多くの場合この搬入と設置、ホースの接続です。
入浴と入浴後
看護師から入浴の許可が出たら、衣服を脱いでいただき、2人の介護職員で利用者さんをベッドから浴槽へ移します。お湯につかっている時間は10分前後で、その間に洗髪や洗身を行います。
入浴が終わったら、再び2人で抱えてベッドへ戻し、体を拭いて着替えを手伝います。看護師は入浴後の体調を確認し、必要に応じて保湿剤などを塗ります。
撤収と記録
最後に、排水ポンプで浴槽のお湯を流し、浴槽をたたんで車へ運びます。床が濡れていないか確認し、記録を書いて次のお宅へ向かいます。
この流れを1日に4件から6件程度くり返すのが、訪問入浴の1日です。未経験者は、まず「搬入と設置」「撤収」という機材まわりの作業を確実にできるようになり、次に「移乗の補助」、資格を取ったあとに「洗髪や洗身」と、流れの外側から内側へ担当を広げていくことになります。
入浴そのものの時間より、準備と片付けの時間のほうが長い。これが訪問入浴の特徴で、未経験者が最初に戦力になれるのも、この準備と片付けの部分です。
「未経験可」の求人票で確かめる項目
実際の求人の書き方を見てみましょう。求人検索サイトでは、訪問入浴の未経験者向けの募集が、次のように掲載されています。
【仕事内容】入浴介助(洗髪、洗顔含む)・浴槽等の機材搬入、準備、サポート・各報告書作成・訪問入浴車両の運転 等...【求人の特徴】未経験可 訪問入浴 日勤のみ可 4週8休以上 駅近(5分以内)... 出典: 求人ボックス
この1件だけでも、読み取れることが多くあります。仕事内容に「入浴介助」「機材搬入」「報告書作成」「車両の運転」が並んでいるので、役割を完全には分けず、全員がひととおり担当する事業所だと分かります。「4週8休以上」は、月に8日程度の休みがあるシフト制という意味です。
私は以前、介護の求人をまとめる記事を編集していたとき、訪問入浴の募集を地域ごとに100件ほど並べて比べたことがあります。そのとき気づいたのは、「未経験可」という同じ言葉でも、その下に書かれている情報の量に事業所ごとの大きな差があるということでした。教育の体制が整っている事業所ほど、同行の期間や研修の内容を具体的に書いていました。
給与と、その内訳
千葉市の訪問入浴で未経験者を受け入れている募集では、月給22万5,000円から29万4,500円といった幅で掲載されている例があります。幅が大きいのは、資格の有無、役割、夜勤がない分の手当の設計などで差がつくためです。
確認したいのは、基本給と手当の内訳です。資格手当、処遇改善の手当、訪問件数に応じた手当などが月給に含まれている場合、未経験・無資格で入ると下限に近い金額になる可能性があります。
運転免許の条件
運転と機材の担当では、運転免許が必須です。ここで注意したいのが、免許の種類です。2017年3月12日以降に普通免許を取った人は、車両総重量3.5トン未満の車しか運転できません。入浴車の大きさによっては、準中型免許が必要になることがあります。
求人票に「普通免許(AT限定不可)」「準中型免許」などの記載があるか、免許を取った年と照らし合わせて確認してください。免許取得の費用を補助する事業所もあります。
同行期間と研修の中身
未経験者にとって最も重要なのが、入ってから1人立ちするまでの期間です。「同行研修あり」とだけ書かれている場合は、面接で次の点を聞いておきましょう。
・同行の期間は何日から何週間程度か ・1人立ちを判断するのは誰か、どんな基準か ・移乗の技術を練習する機会はあるか ・資格取得の支援は、費用の補助か、受講中の勤務扱いか
休日と勤務時間
訪問入浴は日中のサービスなので、「日勤のみ」の募集がほとんどです。一方で、日曜が休みの事業所、土日も訪問がある事業所など、休日の設計は分かれます。「4週8休」なのか「完全週休2日」なのかで、年間の休日数が変わる点も押さえておきましょう。
雇用形態と働き方の選択肢
未経験者向けの訪問入浴の募集は、正社員だけではありません。雇用形態によって、任される範囲や収入の安定度、資格取得の支援の受けやすさが変わります。
正社員
正社員は、週5日程度、朝から夕方まで訪問を担当するのが基本です。月給制で収入は安定し、賞与や資格取得の支援、社会保険の加入など、制度面の条件が最も整っています。未経験から長く介護の仕事を続けたい人、資格を取ってキャリアを積みたい人に向いています。
一方で、欠員が出たときに別のチームへ応援に入る、土曜の訪問を担当するなど、シフトの調整役を担う場面も出てきます。
パート・アルバイト
パートの募集では、「週2日から3日」「午前のみ」「日曜休み」など、勤務日数や時間帯を絞った働き方が選べます。時給制で、時給は地域や資格の有無によって差がありますが、介護職のパートとしては高めの水準で掲載されている例も見られます。
子育てや家族の介護と両立したい人、別の仕事と組み合わせたい人、まずは短い日数で訪問入浴が自分に合うか試したい人に向いた形です。ただし、勤務日数が少ないと、同行研修の期間が長くなり、1人立ちまでに時間がかかる点は理解しておく必要があります。
副業・ダブルワーク
求人の中には「副業・WワークOK」と明記した募集もあります。訪問入浴は日中の決まった時間に動くため、ほかの仕事の休日にだけ入る、という働き方も成り立ちます。
副業として入る場合は、本業の就業規則で副業が認められているか、労働時間を通算したときに体力的な無理がないかを確認してください。訪問入浴は体を使う仕事なので、平日の本業で疲れた状態で週末に入ると、移乗の事故のリスクが上がります。
自分に合う形を選ぶ基準
未経験者が雇用形態を選ぶときの基準は、「どれくらいの速さで仕事を覚えたいか」です。早く1人立ちして資格も取りたいなら、勤務日数の多い正社員や週4日以上のパートが有利です。生活との両立を優先するなら、日数を絞ったパートから始め、慣れてから日数を増やす方法もあります。
入ってから1人立ちするまで
未経験で入ったあと、実際にどのように仕事を覚えていくのか。一般的な流れを時期ごとに整理します。
最初の1週間
初日は、事業所の理念や個人情報の扱い、感染症対策などの座学から始まることが多いです。そのあと、先輩のチームに4人目として同行します。
この時期に任されるのは、タオルを準備する、ホースを運ぶ、浴槽を拭くといった一部の作業です。入浴介助そのものは見学が中心で、お宅に着いたときの挨拶や、利用者さんへの声のかけ方を横で見て覚えます。
2週目から1か月
同行を続けながら、搬入と設置、給水と排水、撤収といった機材まわりの作業を、少しずつ自分で担当するようになります。運転の担当になる人は、ルートの確認や駐車の段取りも覚えていきます。
移乗の補助にも入り始めます。ベッドから浴槽へ移る場面は事故のリスクが最も高いため、先輩が必ず反対側を支え、声を合わせるタイミングを練習します。
1か月から3か月
事業所によって違いますが、1か月から3か月程度で、同行者なしの3人チームの1人として動けるようになるのが一つの目安です。ただし、この時点で全部を1人で判断できる必要はありません。入浴の可否は看護師が判断し、段取りはチーム内で声をかけ合って進めます。
3か月以降
お宅ごとの手順が頭に入ってくると、1件にかかる時間が安定し、利用者さんとの会話に意識を向ける余裕が出てきます。ここで介護職員初任者研修を受け、入浴介助の担当に役割を広げる人も多くなります。
教育体制の差はここで出る
正直なところ、この流れがきちんと運用されている事業所ばかりではありません。人手が足りない事業所では、同行が数日で終わり、いきなりチームの1人として数えられることもあります。面接で「前に入った未経験の方は、何日くらいで1人立ちしましたか」と具体的に聞くと、実態が見えやすくなります。
慣れるまでに、つまずきやすい点
未経験から訪問入浴に入った人がつまずきやすい点には、共通の傾向があります。先に知っておくだけで、対処しやすくなります。
移乗と搬入による体の負担
最もよく聞くのが、体の負担です。ベッドと浴槽の間の移乗、浴槽の搬入と撤収、狭い場所での中腰の姿勢。施設の入浴介助のように長時間立ち続ける疲れとは違い、重いものを持つ、低い位置で踏ん張るという種類の負担です。
腰だけで持ち上げず、膝を曲げて体全体で支える。浴槽は必ず2人で運ぶ。この基本を最初から身につけることが、長く続けるための前提になります。筋肉痛は最初の1か月ほどで落ち着く人が多いものの、腰に違和感が続く場合は早めにチームへ伝えるべきです。
お宅ごとの違い
訪問入浴の現場は、1軒ごとに条件が違います。玄関の段差、階段の有無、浴槽を置く部屋の広さ、給水できる蛇口の位置。施設のように設備が同じではないため、覚えることが多く感じられます。
多くの事業所では、お宅ごとの手順を記録に残しています。慣れないうちは、訪問前に車内で記録を見返す習慣をつけると、現場での迷いが減ります。
利用者さんのお宅でのふるまい
訪問入浴は、利用者さんの生活の場に入る仕事です。靴をそろえる、勝手に部屋のものを動かさない、ご家族のプライバシーに踏み込まない。こうした基本的なふるまいは、介護の技術以前の問題として見られています。
また、入浴は利用者さんにとって羞恥心を伴う場面です。タオルで体を覆う、職員同士の雑談を控える、声をかけてから触れる。こうした配慮が自然にできるようになると、利用者さんとの信頼関係が早くできます。
看護師やチームとの連携
3人チームの中で、未経験者は「何を聞いてよいか分からない」状態になりがちです。特に看護師に対して、遠慮して質問できないという声は多くあります。
分からないことは、訪問と訪問の間の移動中に聞くのが現実的です。現場では手を止められないので、気になったことをメモしておき、車内でまとめて確認する。こうしたやり方を最初から身につけると、チームの中での立ち位置も安定します。
面接で未経験者が見られていること
未経験可の募集でも、面接がないわけではありません。事業所が未経験者の面接で何を見ているかを知っておくと、準備の方向が定まります。
体力と、体の不安の有無
訪問入浴は、浴槽の搬入や移乗など、体を使う場面が多い仕事です。そのため面接では、腰痛の持病があるか、重いものを持つ仕事の経験があるかといった点を聞かれることがあります。
ここで大切なのは、不安がある場合に隠さないことです。腰に不安があるなら、そう伝えたうえで「運転と機材の担当から始めたい」「移乗の方法を研修で確実に身につけたい」と話すほうが、入ってからのミスマッチを防げます。事業所にとっても、無理をして早期に辞められることが最も困る事態です。
人の生活の場に入る姿勢
訪問入浴は、利用者さんのご自宅に入る仕事です。面接では、身だしなみや言葉づかい、話を聞く態度が見られています。介護の経験がなくても、接客業や営業職など、人の家やお店で相手に合わせてふるまった経験は、そのまま評価の材料になります。
志望動機では、「家族の介護を経験して、入浴の大切さを感じた」「体を動かす仕事で人の役に立ちたい」など、自分の経験と訪問入浴の仕事を結びつけて話すと伝わりやすくなります。
チームで動けるか
3人で1台の車に乗り、朝から夕方まで一緒に動く職場です。面接では、チームで働いた経験や、指示を受けて動くことへの抵抗がないかも見られます。部活動やアルバイト、前職での共同作業の経験など、具体的なエピソードを1つ用意しておくとよいでしょう。
逆に、こちらから確かめること
面接は、事業所を見極める場でもあります。前の章で挙げた同行期間や免許の条件に加えて、「未経験で入った方は、今どれくらい在籍していますか」と聞いてみてください。未経験者が定着している事業所は、教育の体制が実際に機能している可能性が高いと判断できます。
可能であれば、面接の前後に事業所の入浴車や機材を見せてもらうのも有効です。車両や浴槽の手入れの状態は、その事業所の仕事の丁寧さをよく表しています。
資格はいつ取るべきか
未経験で入った人が次に考えるのが、資格の取得です。訪問入浴で働き続けるなら、どのタイミングで何を取ればよいのかを整理します。
介護職員初任者研修
介護の仕事の入門資格が、介護職員初任者研修です。研修は130時間で、講義と演習を受けたあと、修了評価の試験があります。受講費用は、スクールや地域によって異なりますが、数万円から十数万円程度が相場です。
訪問入浴では、この資格があると入浴介助の担当になれる事業所が多く、資格手当がつくこともあります。働き始めてから数か月、仕事の流れが分かってきた段階で受講すると、研修の内容を現場の経験と結びつけて理解しやすくなります。
介護福祉士実務者研修と介護福祉士
さらに上を目指すなら、介護福祉士実務者研修(無資格から受ける場合は450時間)と、国家資格の介護福祉士があります。介護福祉士の受験には、原則として実務経験3年以上と実務者研修の修了が必要です。
訪問入浴での勤務も介護の実務経験に含まれるため、訪問入浴で経験を積みながら、将来の受験資格を得ることができます。
支援制度の確認
資格取得の支援制度は、事業所によって内容が大きく違います。受講費用の全額補助、一部補助、受講日を勤務扱いにする、一定期間の勤務を条件にする、などの形があります。「補助を受けたが、一定期間内に辞めると返還を求められる」という条件がついている場合もあるので、契約の内容は必ず書面で確認してください。
また、ハローワークの職業訓練や、自治体の介護人材確保の事業で、初任者研修の受講費用を支援している場合もあります。応募前に住んでいる地域の制度を調べておくと、選択肢が広がります。
看護師が「訪問入浴は未経験」で入る場合
看護師の場合は資格の問題はありませんが、病院とは求められる判断の中身が変わります。病院では医師がすぐ近くにいて、検査の数値もそろっています。訪問入浴では、その場で測った体温や血圧、表情やご家族の話から、入浴してよいかを1人で判断しなければなりません。
多くの事業所では、主治医の意見を踏まえた入浴可否の基準を用意し、最初は先輩の看護師と同行して判断の感覚をつかめるようにしています。ブランクのある看護師も受け入れている募集があるので、病棟の夜勤から離れたい人の選択肢になります。看護師の給与の相場を職場の種類ごとに比べられる看護師の年収・単価相場は、病院から訪問入浴へ移ったときの収入の変化を見積もるのに役立ちます。
ほかの職場と比べた、未経験の入口としての訪問入浴
最後に、未経験で介護の仕事を始めるとき、訪問入浴がほかの職場と比べてどんな入口なのかを整理します。
施設と比べると
特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの入所施設は、未経験者の受け入れ人数が最も多い職場です。職員の人数が多く、教育の仕組みも整っているところが多い一方、夜勤があり、食事、排せつ、入浴、見守りと、覚える業務の幅が広くなります。
訪問入浴は、業務の幅が狭い代わりに、1つの業務を深く繰り返す職場です。「まず1つの支援を確実に身につけたい」「夜勤のない働き方をしたい」という人には、施設より入りやすい入口になります。
デイサービスと比べると
デイサービスも日勤中心で、未経験可の募集が多い職場です。入浴、レクリエーション、送迎、機能訓練の補助など、日中の業務を幅広く担当します。利用者さんと長く同じ空間で過ごし、会話する時間が多いのが特徴です。
訪問入浴は、1件あたりの滞在は短い一方で、利用者さんのご自宅という生活の場に入り、ご家族と直接関わる機会が多い職場です。
訪問介護と比べると
訪問介護は、原則として1人で利用者さんの家を訪問します。身体介護を担当するには介護職員初任者研修以上の資格が必要で、無資格の未経験者がすぐに1人で入ることはできません。
同じ訪問系でも、訪問入浴はチームで動き、無資格でも運転と機材の役割から入れる点で、未経験者にとってのハードルは低いと言えます。
収入の見通し
介護職員の給与は、職場の種類、地域、雇用形態、資格の有無で差がつきます。介護職員の平均的な年収や時給の相場をまとめた介護職員の年収・単価相場を確認すると、訪問入浴の求人に書かれた金額が、介護職全体の中でどのあたりの水準かを判断しやすくなります。
運営者として見てきたこと
フリーランスや在宅ワークの市場を長く見てきた立場から言えば、未経験から新しい仕事に入って定着する人には、共通する傾向があります。それは、最初の数か月で「分からないことを、分からないと言える関係」を職場の誰かと作っていることです。訪問入浴のように3人で動く職場では、この関係がそのまま安全と働きやすさにつながります。
逆に、未経験の不安を1人で抱え込み、合わないと感じたまま辞めてしまう人も少なくありません。職場選びに迷ったときや、介護の中でどの職場が自分に合うのか整理したいときは、第三者に相談するのも有効な方法です。職場や転職、キャリアに関する相談を受ける仕事の内容をまとめた職場・転職・キャリア相談のお仕事を読むと、どんな相談先があり、どんな支援を受けられるのかがつかめます。
未経験から訪問入浴で働くことは、十分に現実的な選択です。無資格なら運転と機材の役割から入り、同行で手順を覚え、数か月後に資格を取って役割を広げる。この流れを知ったうえで、教育の体制がきちんと運用されている事業所を選ぶことが、慣れるまでの不安を小さくする最も確実な方法です。
よくある質問
Q. 無資格・未経験でも訪問入浴の仕事に応募できますか?
応募できます。訪問入浴は3人チームで伺う仕組みで、入浴可否は看護師が判断するため、未経験者を受け入れる募集が多い分野です。無資格の場合は、入浴車の運転や浴槽の搬入、湯温の管理、移乗の補助などを担当する役割から始まるのが一般的です。運転免許は必須のことが多いので、求人票で免許の条件を確認してください。
Q. 普通免許で訪問入浴の車を運転できますか?
車の大きさと免許を取った時期によります。2017年3月12日以降に普通免許を取った人は、車両総重量3.5トン未満の車しか運転できません。入浴車によっては準中型免許が必要になるため、求人票の免許の条件を確認し、分からなければ面接で車両の種類を聞いてください。免許取得の費用を補助する事業所もあります。
Q. 未経験で入って、1人立ちまでどのくらいかかりますか?
事業所によって違いますが、先輩チームに同行して手順を覚え、1か月から3か月程度で3人チームの1人として動けるようになるのが一つの目安です。人手が足りない事業所では同行が数日で終わる場合もあるため、面接で「前に入った未経験の方は何日くらいで1人立ちしましたか」と具体的に聞いておくと安心です。
Q. 介護職員初任者研修はいつ取るのがよいですか?
働き始めて数か月、訪問入浴の流れが分かってきた段階で受講すると、研修の内容を現場の経験と結びつけて理解しやすくなります。資格を取ると入浴介助の担当になれる事業所が多く、資格手当がつくこともあります。事業所の費用補助や、自治体やハローワークの受講支援が使える場合もあるので、受講前に確認してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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