美容室の顧客管理をExcelで無料で始める方法と、カルテの項目の作り方


この記事のポイント
- ✓美容室の顧客管理をExcelで無料で始めたい人向けに
- ✓無料で使える表計算ソフトの範囲
- ✓顧客台帳と来店履歴を分ける表の作り方
美容室の顧客管理をExcelで無料で始めたいと考えるのは、開業したばかりで専用のシステムに毎月の費用をかけたくない人、紙のカルテが増えて探すのに時間がかかるようになった人、スタッフ間で客の情報を共有したい人が多いはずです。結論から書くと、美容室の顧客管理は、Excelや無料の表計算ソフトでも十分に始められます。大事なのは、最初の表の作り方です。
この記事では、無料で使える表計算ソフトの範囲を公式の記載で確かめたうえで、カルテに入れる項目、顧客台帳と来店履歴を分けて管理する表の作り方、入力の手間とミスを減らす機能、個人情報を守るための注意点、そして予約システムに移ることを考える目安までを順に整理します。読み終えたときに、今日から自分の店の顧客台帳を作り始められる状態を目指します。
美容室の顧客管理で残したい情報とは
顧客管理とは、来店した客の情報と施術の記録を残し、次の来店時の提案やリピートの促進に役立てることです。美容室では、紙のカルテを使ってきた店も多く、カルテと顧客管理はほぼ同じ意味で使われています。
美容室の顧客管理で残したい情報は、大きく3つに分かれます。1つ目は、名前、連絡先、生年月日など、客そのものの情報です。2つ目は、いつ来店して、どのメニューを受け、いくら支払ったかという来店の記録です。3つ目は、薬剤の配合、髪や頭皮の状態、会話の中で聞いた好みなど、施術の質を上げるためのメモです。
この3つを残しておくと、次の来店時に「前回はこの色でしたね」と自然に話を始められます。カラーの配合を記録しておけば、担当が替わっても同じ色を再現できます。来店の間隔が空いている客に連絡するといった、リピートを促す工夫もしやすくなります。
医療や介護の現場でも、記録は次の担当者に引き継ぐための大切な道具です。美容室のカルテも同じで、「書いた本人しか読めない記録」ではなく「誰が読んでも分かる記録」にしておくことが、店全体の質を支えます。
Excelで顧客管理をするメリットとデメリット
表計算ソフトで顧客管理をするのは、費用をかけずに始めたい美容室にとって現実的な方法です。メリットとデメリットを整理しておきます。
メリット
1つ目は、費用がかからないことです。Excelは、Webブラウザで使う版であれば、Microsoftアカウントを作るだけで無料で使えます。Googleの表計算ソフトであるGoogleスプレッドシートも、Googleアカウントがあれば無料で使えます。
2つ目は、自由に項目を作れることです。店のメニューや客層に合わせて、必要な列を自分で決められます。専用のシステムのように、決められた項目に合わせる必要がありません。
3つ目は、並べ替えや絞り込みが簡単なことです。紙のカルテと違い、名前の読みで探す、最終来店日の古い順に並べる、誕生月の客だけを抜き出す、といった操作が数回の操作でできます。
デメリット
1つ目は、予約の管理とは別になることです。Excelは予約の受付をしてくれないため、予約は別の方法で受け、来店後にExcelに記録する、という二度手間が生まれます。
2つ目は、同時に編集するとファイルが壊れたり、記録が上書きされたりする危険があることです。複数のスタッフが同じファイルを使う場合は、共有の方法に注意が必要です。
3つ目は、件数が増えると管理が重くなることです。顧客が数百人、来店記録が数千行になると、探すのに時間がかかり、入力のミスも見つけにくくなります。
4つ目は、情報を守る仕組みを自分で整える必要があることです。パスワードの設定やバックアップを怠ると、端末の紛失や故障で情報を失ったり、外に漏れたりする危険があります。
こうしたデメリットを理解したうえで、始めのうちはExcelで十分、件数が増えてきたら専用の仕組みを考える、という順序で進めるのが無理のない方法です。
無料で使える表計算ソフトの範囲
無料で顧客管理を始めるときに使える主な表計算ソフトは、ExcelのWeb版とGoogleスプレッドシートです。どちらも、ファイルはインターネット上の保存場所(クラウド)に保存されます。
Microsoftの公式ページでは、Web用のWord、Excel、PowerPointに無料でアクセスできること、Microsoftアカウントの無料特典として5GBのクラウドの保存容量があることが案内されています。Googleの場合は、公式のヘルプで保存容量について次のように説明されています。
各 Google アカウントには、Gmail、Google ドライブ、Google フォトで共有できる最大 15 GB の保存容量が提供されます。 出典: support.google.com
顧客台帳のような文字中心の表は容量をほとんど使わないため、無料の容量で足りなくなることはまずありません。ただし、カラーの仕上がりの写真などを同じ場所に保存していくと、容量を使い切ることがあります。写真を残す場合は、保存先と容量を意識してください。
| 項目 | ExcelのWeb版 | Googleスプレッドシート |
|---|---|---|
| 必要なもの | Microsoftアカウント(無料) | Googleアカウント(無料) |
| 無料の保存容量 | 5GB(OneDrive) | 15GB(Gmail・ドライブ・フォトで共有) |
| 複数人での同時編集 | できる | できる |
| スマートフォンでの閲覧と入力 | アプリまたはブラウザで可能 | アプリまたはブラウザで可能 |
どちらを選んでも、顧客管理に必要な機能は十分にそろっています。普段からGoogleのサービスを使っているならGoogleスプレッドシート、パソコンにExcelが入っていて慣れているならExcelを選ぶ、という決め方で問題ありません。
カルテに入れる項目の作り方
顧客管理の表を作るときに一番大切なのは、項目の選び方です。項目が少なすぎると役に立たず、多すぎると入力が続きません。美容室で使いやすい項目を、基本、施術、販促の3つに分けて整理します。
基本の項目
| 項目 | 入れ方のポイント |
|---|---|
| 顧客番号 | 1人に1つの番号を振る。名前が同じ客を区別できる |
| 氏名 | 姓と名を分けると並べ替えやすい |
| ふりがな | 電話で聞いた読みから探せるよう、必ず入れる |
| 電話番号 | ハイフンの有無を店で統一する |
| メールアドレス | 案内を送る場合のみ。送ってよいかの確認とセットで |
| 生年月日 | 誕生月の案内に使う。聞きにくければ誕生月だけでもよい |
| 初回来店日 | 新規客の定着を確かめるのに使う |
| 来店のきっかけ | 紹介、地図検索、SNS、通りがかりなど。集客の効果を測るのに使う |
施術の項目
| 項目 | 入れ方のポイント |
|---|---|
| 髪質・毛量・くせ | 選択肢を決めておくと入力がそろう |
| 頭皮の状態 | 乾燥しやすい、しみやすいなど |
| カラーの配合 | 薬剤名、比率、放置時間まで。再現の要になる |
| パーマ・縮毛矯正の記録 | 薬剤、ロッドの種類、時間 |
| アレルギー・しみた経験 | 安全のために最も大切な項目 |
| 担当スタイリスト | 指名の有無も分かるようにする |
販促の項目
| 項目 | 入れ方のポイント |
|---|---|
| 最終来店日 | 来店の間隔が空いた客を見つけるのに使う |
| 来店回数 | 常連客かどうかを見分ける |
| 好み・会話のメモ | 趣味、仕事、次回したいスタイルなど |
| 連絡してよいか | 案内を送ってよいかの同意の有無 |
最初からすべての項目を埋めようとせず、基本の項目とアレルギーの記録から始め、慣れてきたら施術や販促の項目を加えていく形が続けやすい方法です。項目を後から追加するのは簡単ですが、使わない列が多い表は入力が面倒になり、記録が途切れる原因になります。
記録の書式は、項目を増やすほど書き漏れが増えやすくなります。医療や介護の記録でも同じことが言われ、記録は「全部書く」より「必要なことを必ず書く」ほうが役に立ちます。美容室のカルテも、本当に使う項目に絞ることが長続きのこつです。
表作りでよくある失敗
Excelで顧客台帳を作るときに、後から困る原因になりやすい作り方があります。最初に避けておけば、集計や移行で苦労しません。
セルを結合する
見出しを見やすくしようとしてセルを結合すると、並べ替えや絞り込みがうまく働かなくなります。表の中ではセルの結合を使わず、見出しは1行目の1セルに1つずつ書きます。
1つのセルに複数の情報を入れる
「田中花子 090-xxxx-xxxx」のように、名前と電話番号を1つのセルに入れると、電話番号だけで探したり並べ替えたりできなくなります。1つのセルには1つの情報だけを入れるのが基本です。施術のメモのように文章で残したいものは、メモ用の列を1つ作り、そこにまとめます。
色だけで区別する
「常連客は黄色」「要注意は赤」のように、セルの色だけで意味を持たせると、色の意味を知らないスタッフには伝わりません。また、色で絞り込む操作はソフトによって使い勝手が違います。区分は「区分」の列を作って文字で入れておくと、誰が見ても分かり、絞り込みも簡単です。
空白の行を入れる
見やすさのために行を空けると、Excelが表の範囲を途中で切ってしまい、並べ替えで一部の行だけが動くことがあります。表の中には空白の行を入れず、見やすさは行の高さや罫線で調整します。
紙のカルテからExcelへ移す手順
すでに紙のカルテがたまっている美容室では、Excelへの移し方を決めてから始めると、途中で投げ出さずに済みます。
まず、移す範囲を決めます。何年も来ていない客まで全部を入力しようとすると、作業が終わりません。例えば、直近1年以内に来店した客から入力し、それより前の客は次に来店したときに入力する、という決め方をすると、作業量を抑えられます。
次に、入力する項目を絞ります。紙のカルテに書かれていることをすべて写す必要はありません。顧客番号、氏名、ふりがな、電話番号、アレルギーの記録、最後のカラーの配合など、次の施術に必要なものから入力します。
入力の作業は、1日に数人ずつ、営業の合間に進めるのが現実的です。来店の予約が入っている客から優先して入力すれば、当日にすぐ役立ちます。
移し終えた紙のカルテは、すぐに捨てずに、しばらくは鍵のかかる場所に保管しておきます。入力の漏れや間違いに気づいたときに確かめられるからです。処分するときは、シュレッダーにかけるなど、中身が読めない形にしてください。
無料のテンプレートを使うときの注意
Excelには、顧客リストなどの無料テンプレートが用意されており、ネット上にも美容室向けのカルテのテンプレートが数多く公開されています。最初から自分で作るのが不安な場合は、テンプレートを土台にするのも1つの方法です。
ただし、テンプレートをそのまま使う前に、いくつか確かめたい点があります。1つ目は、1人1行の形になっているかです。見た目を整えるために、1人の情報を何行にもわたって書く形や、セルを結合した形のテンプレートは、並べ替えや集計に向きません。2つ目は、自分の店に要らない項目が多すぎないかです。使わない列は削除し、必要な列を加えて、店に合った形に直します。3つ目は、配布元が分かるものかです。出どころの分からないファイルを開くと、思わぬ不具合の原因になることがあります。
テンプレートは、あくまで出発点です。1か月ほど使ってみて、入力しにくい列、使っていない列を見直し、店の運営に合わせて育てていく意識で使ってください。
顧客台帳と来店履歴を分けて作る
Excelで顧客管理を始めるときに、多くの人がつまずくのが表の形です。1人の客に1行を使い、来店のたびに右へ右へと列を足していく形にすると、すぐに表が横に長くなり、集計もしにくくなります。
おすすめは、シートを2つに分ける方法です。
シート1:顧客台帳
1人の客につき1行で、基本の項目と、変わらない情報(アレルギー、髪質など)を記録します。顧客番号を一番左の列に入れ、この番号で客を特定します。
シート2:来店履歴
1回の来店につき1行で、来店日、顧客番号、メニュー、担当、金額、カラーの配合などの施術の記録を入れていきます。同じ客が10回来れば、10行になります。下へ下へと行が増えていく形です。
この形にすると、来店のたびに1行を追加するだけで記録が終わり、表の形が崩れません。ある客の来店履歴を見たいときは、顧客番号で絞り込めば、その客の記録だけが並びます。月ごとの売上やメニューごとの件数を集計するのも簡単です。
顧客台帳の「最終来店日」や「来店回数」は、来店履歴のシートから関数で自動的に計算できます。例えば、MAXIFS関数を使えば顧客番号ごとの最も新しい来店日を、COUNTIF関数を使えば来店回数を出せます。手で書き換える必要がなくなるので、記録の食い違いが起きません。
入力の手間とミスを減らす機能
表計算ソフトには、入力の手間を減らし、ミスを防ぐための機能がそろっています。顧客管理で特に役立つものを紹介します。
テーブル機能
Excelでは、表の範囲を選んで「テーブルとして書式設定」をすると、行を追加したときに書式や数式が自動で引き継がれます。見出しの行に絞り込みのボタンが付くので、並べ替えや抽出もすぐにできます。
入力規則(プルダウン)
髪質、担当スタイリスト、来店のきっかけなど、選択肢が決まっている項目は、入力規則を使ってプルダウンから選ぶ形にします。人によって「ロング」「長め」「ロングヘア」と書き方が違うと、後で絞り込みができなくなります。選択肢を決めておけば、入力がそろい、打ち間違いも防げます。
日付の形式をそろえる
来店日は、日付の形式で入力します。「10月3日」「10/3」「R8.10.3」と書き方がばらばらだと、並べ替えや計算ができません。日付の列は日付の形式に設定しておき、入力のしかたを店で統一します。
誕生月を自動で出す
生年月日を入れておけば、MONTH関数で誕生月を自動で取り出せます。誕生月の列で絞り込めば、その月の誕生日の客の一覧がすぐに作れます。
来店の間隔が空いた客を見つける
今日の日付から最終来店日を引けば、前回の来店から何日たったかが分かります。例えば90日以上来ていない客を絞り込めば、来店の間隔が空いている客に気づけます。客ごとの来店周期はさまざまなので、日数の目安は店の客層に合わせて決めてください。
顧客台帳をリピートにつなげる使い方
顧客台帳は、記録するだけではもったいない道具です。少しの工夫で、リピートを促す材料になります。
来店の間隔が空いた客に声をかける
最終来店日から日数がたっている客を絞り込み、近況を気にかける連絡を送ります。いきなり割引の案内を送るより、「季節の変わり目で髪の乾燥が気になる時期です」といった、相手を気づかう一言のほうが受け取ってもらいやすくなります。
誕生月の案内を送る
誕生月の客を抜き出して、お祝いのメッセージや、誕生月に使える小さな特典を案内します。生年月日を聞きにくい場合は、誕生月だけを聞く形でも十分です。
前回の記録をもとに提案する
カラーの配合や前回のスタイルの記録があれば、来店時に「前回より少し明るくしてみますか」といった具体的な提案ができます。客にとっては、自分のことを覚えてもらえているという安心感につながります。
案内のメールを送るときの注意
広告や宣伝の目的でメールを送る場合は、特定電子メール法のルールに気をつけます。この法律では、原則として、あらかじめ送信に同意した人などにしか、宣伝のためのメールを送ってはならないと定められています。顧客台帳に「案内を送ってよいか」の列を作り、同意を得た客にだけ送る形にしておくと安心です。詳しいルールは、消費者庁の特定電子メール法のページで確かめられます。
月に一度見ておきたい数字
来店履歴を1行1来店の形で残していれば、月に一度、簡単な集計で店の状態を確かめられます。ピボットテーブルという集計の機能を使えば、関数を書かなくても集計表を作れます。
見ておきたいのは次の4つです。
1つ目は、新規客の人数と来店のきっかけです。どこから来た客が多いかが分かれば、集客に力を入れる場所が決まります。
2つ目は、新規客のうち2回目に来た人の割合です。この割合が低い場合は、初回の接客や次回の提案に改善の余地があります。
3つ目は、一定の期間来ていない客の人数です。この人数が増えている場合は、何かの理由で客が離れている可能性があります。
4つ目は、メニューごとの件数と売上です。よく選ばれるメニュー、単価の高いメニューを把握しておくと、メニューの見直しに役立ちます。
数字は、1か月だけでは傾向が分かりにくいものです。毎月同じ形で記録して、3か月、6か月と並べてみると、店の変化がはっきり見えてきます。
施術中にスマートフォンで記録を見る工夫
施術の直前や施術中に、前回の記録をさっと確かめたい場面は多くあります。表計算ソフトは、スマートフォンのアプリやブラウザでも開けるため、工夫次第で施術の合間に記録を見られます。
スマートフォンの小さな画面では、列が多い表は見にくくなります。よく見る列(氏名、ふりがな、アレルギー、前回のカラー、メモ)を左側に並べておくと、横にスクロールしなくても必要な情報が目に入ります。名前の読みで検索できるよう、ふりがなの列は必ず入れておきます。
スマートフォンで入力するときは、プルダウンで選べる項目が多いほど楽になります。文章で残すメモ以外は、なるべく選択肢から選ぶ形にしておくと、施術の合間でも記録を残しやすくなります。
個人情報を守るために必ずやること
顧客台帳には、名前、電話番号、生年月日など、個人情報が詰まっています。個人情報保護法は、規模の小さな美容室でも、顧客の情報を事業に使う以上は対象になります。Excelで管理するからこそ、情報を守る仕組みを自分で整える必要があります。
個人情報保護委員会は、個人データが漏れたときに国へ報告が必要になる場合を示しています。その中には、次のような例が挙げられています。
個人データが記載又は記録された書類・媒体等が盗難された場合 出典: ppc.go.jp
これは、不正な目的で行われたおそれのある行為によって個人データが漏れた場合の例です。顧客台帳を保存したノートパソコンやUSBメモリが盗まれれば、店の規模にかかわらず、こうした対応が必要になる可能性があります。実際に漏えいが起きた場合の対応は事案によって変わるため、個人情報保護委員会の案内を確かめ、必要に応じて相談してください。
日頃からできる対策は次のとおりです。
・ファイルを開くときのパスワードを設定する
・パソコンやスマートフォンに画面ロックをかける
・共有するときは、閲覧や編集ができる人を店のスタッフに限る
・顧客台帳をUSBメモリに入れて持ち歩かない
・辞めたスタッフの共有の権限はすぐに外す
・定期的にバックアップを取り、別の場所に保存する
また、顧客の情報を何に使うかは、来店時に伝えておくことが基本です。例えば、来店のお知らせや誕生月の案内を送るなら、そのために連絡先を使うことを伝え、送ってよいかを確かめておきます。
バックアップと保存の決まりを作る
顧客台帳は、店にとって一番大事な記録です。パソコンの故障、誤操作による削除、端末の紛失など、記録を失う原因はいくつもあります。失ってから気づくのでは遅いので、保存とバックアップの決まりを最初に作っておきます。
クラウドに保存している場合でも、誤って行を消したまま上書きすると、元に戻せなくなることがあります。ExcelのWeb版やGoogleスプレッドシートには、過去の版に戻す機能があるので、使い方を一度確かめておくと安心です。
それとは別に、月に一度など日を決めて、ファイルの写しを作っておく方法もあります。写しのファイル名には日付を入れ、どの時点の記録かが分かるようにします。写しにもパスワードをかけ、保存する場所は店のスタッフだけが入れる場所に限ります。
また、古い写しをいつまで残すかも決めておきます。不要になった写しを何年分も残していると、それだけ漏えいの危険が増えます。残す期間を決め、期間を過ぎたものは削除する習慣をつけてください。
予約の受け方とExcelをどうつなぐか
Excelで顧客管理を始めた美容室の多くは、予約を電話やLINE、手帳で受けています。予約の情報と顧客台帳が別々になっているため、つなぎ方を決めておかないと、記録の漏れが起きます。
一番簡単なのは、1日の終わりに、その日の来店をまとめて来店履歴に入力する方法です。手帳やレジの記録を見ながら、来店日、顧客番号、メニュー、担当、金額を1行ずつ入力します。営業の後に10分ほど時間を取ることを習慣にすれば、記録が途切れません。
新規の客が来たときは、来店時に記入してもらうカードをもとに、顧客台帳に1行を追加し、顧客番号を振ります。番号はカードにも書いておくと、次の来店時にすぐ記録を探せます。
予約の数が増え、この二度の入力が負担になってきたら、予約を受けた時点で客の情報と来店の記録がつながる予約システムを検討する時期です。
スタッフ間で共有するときの注意
複数のスタッフで顧客台帳を使う場合は、共有の方法に気をつけます。
1つのファイルをパソコンのデスクトップに保存して、何人もがコピーして使う形は避けてください。ファイルが何種類もできて、どれが最新か分からなくなります。クラウドに保存したファイルを共有し、全員が同じファイルを開く形にすると、記録が1か所にまとまります。
同時に編集できる表計算ソフトでも、同じ行を同時に書き換えると、どちらかの入力が失われることがあります。来店履歴は新しい行を追加する形にしておけば、同時に入力しても上書きが起きにくくなります。
スタッフごとに、閲覧だけできる人と、編集もできる人を分ける方法もあります。アルバイトのスタッフは閲覧だけ、記録を書くのは担当スタイリストだけ、と分ければ、誤って消してしまう事故を防げます。変更の履歴を確かめられる機能を使えば、誤って消した内容を元に戻すこともできます。
Excelでの管理に限界を感じたら
Excelでの顧客管理は、始めのうちはとても便利ですが、店が育つにつれて限界も見えてきます。次のような状態になったら、予約と顧客管理が一体になった仕組みへ移ることを考える時期です。
・予約を受けたあと、来店時にもう一度Excelへ入力する二度手間が負担になってきた
・顧客が数百人を超え、探すのに時間がかかるようになった
・来店のお知らせや御礼の連絡を、1人ずつ手で送っている
・スタッフが増え、誰がいつ何を書いたかの管理が難しくなった
・無断キャンセルが増え、前日の確認の連絡を自動にしたい
こうした悩みの多くは、予約の受付と顧客の記録が別々になっていることから生まれます。予約システムの顧客管理を使えば、予約が入った時点で客の情報と来店の記録が自動でつながり、二度手間がなくなります。
移るときに困らないよう、Excelの顧客台帳は、最初から1行1人、見出しを1行目にそろえた形で作っておくと、CSV形式で書き出して別の仕組みに取り込みやすくなります。「後で移るかもしれない」と思って作っておくことが、将来の手間を減らします。
予約と顧客管理をまとめる候補
Excelでの管理から一歩進めて、予約と顧客管理をまとめたい場合の候補の1つに、Rizaflow(リザフロー)があります。
公式ページによると、Rizaflowのフリープランは初期費用・月額とも0円で、予約は1か月あたり50件・スタッフ1名まで使えます。フリープランでも、予約カレンダーと予約フォーム、来店履歴・メモ・カナ検索ができる顧客管理、予約完了・前日のリマインダー・来店後の御礼メールの自動送信、お客様自身で変更や取り消しができるキャンセルURL、会員マイページが使えます。Excelなどから書き出した顧客のCSVを管理画面から取り込めるため、作ってきた顧客台帳を生かして移れます。
スタッフが複数いる美容室では、スタッフ指名とシフト管理、スタッフ本人のログインが使えるスタンダードプランが月額7,700円(税込、年契約なら1か月あたり6,600円)です。詳しい機能と料金はRizaflowで確認できます。
Rizaflowは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
編集部の考察:記録を残す習慣が、店の財産になる
フリーランスや小さな事業者の働き方を長く見てきた立場から言えば、長く続く人ほど、取引先との記録を丁寧に残しています。前回どんな依頼を受け、どこに気をつけたかを覚えていると、次の仕事で「この人に任せると楽」と感じてもらえます。美容室の顧客管理も同じで、カルテに残した1行が、次の来店での信頼につながります。
美容師の働き方や収入の実態は、理容・美容師の年収・単価相場で確かめられます。独立して自分の店を持つほど、客との関係を自分の手元に残すことの意味は大きくなります。中間に入る場所への支払いが少ないほど手元に残る売上は厚くなり、その分を技術や設備に回せます。顧客台帳は、そのための一番の財産です。運営者として見てきた限りでは、長く続く人ほど、単発の新規客を追い続けるより、「この人に任せると安心」と感じてもらえる関係づくりに時間を使っています。その関係を支えるのが、前回の会話や施術の記録です。無料の表計算ソフトで始める顧客管理は、費用をかけずにその土台を作る方法であり、店が育ったときに次の仕組みへ移るための準備にもなります。
美容や健康に関わる相談の仕事に関心がある場合は、健康・美容・ファッション相談のお仕事も参考になります。まずは無料の表計算ソフトで、顧客台帳と来店履歴の2枚のシートを作るところから始めてみてください。
よくある質問
Q. 美容室の顧客管理はExcelだけで足りますか?
開業したばかりで顧客が少ないうちは、Excelや無料の表計算ソフトでも十分に管理できます。ただし、予約の受付とは別になるため、来店後に記録する二度手間が生まれます。顧客が数百人を超えたり、連絡を手で送るのが負担になったりしたら、予約と顧客管理が一体の仕組みを検討する時期です。
Q. 無料で使えるExcelはありますか?
Microsoftの公式ページでは、Web用のExcelをMicrosoftアカウントで無料で使えると案内されており、無料特典として5GBのクラウドの保存容量があります。Googleアカウントがあれば、Googleスプレッドシートも無料で使え、保存容量はGmailやドライブと共有で最大15GBです。
Q. カルテにはどの項目から入れればよいですか?
最初は、顧客番号、氏名、ふりがな、電話番号、来店日、メニュー、担当、アレルギーやしみた経験の記録から始めるのがおすすめです。カラーの配合や好みのメモなどは、慣れてきてから加えます。使わない列が多いと入力が続かなくなるため、本当に使う項目に絞ります。
Q. 顧客台帳のファイルはどう守ればよいですか?
ファイルを開くときのパスワードを設定し、パソコンやスマートフォンには画面ロックをかけます。共有は店のスタッフに限り、辞めた人の権限はすぐに外します。USBメモリでの持ち歩きは避け、定期的にバックアップを取って別の場所に保存してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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