グループホームはきついと言われる理由|負担が集まる場面と、続く人のやり方


この記事のポイント
- ✓グループホームがきついと言われる理由を
- ✓職場の構造から解説します
- ✓1ユニット9人の少人数体制で家事と介護を兼ねる日中
グループホームの仕事はきついのか。結論から言うと、「きつさの種類がはっきりしていて、場面が限られている職場」です。
負担が集まるのは、主に4つの場面です。1つ目は、少人数で家事と介護を同時に回す日中。2つ目は、認知症の症状に長い時間向き合うこと。3つ目は、1人で1ユニットを見る夜勤。4つ目は、職員の人数が少ないことから来る人間関係の近さです。
逆に言えば、この4つの場面にどう備えるかが分かれば、グループホームは「なんとなくきつい職場」ではなくなります。実際、同じ職場で何年も続けている人は、根性ではなく、やり方で負担を減らしています。
この記事では、グループホームという職場の構造から出発して、きつさが集まる場面を1つずつ分解します。そのうえで、続いている人のやり方と、求人票や見学で負担の度合いを見分ける方法を書きます。
グループホームという職場の構造
きつさを分解する前に、グループホームがどういう仕組みの職場なのかを整理しておきます。ここを押さえないまま「きつい」「楽」を論じても、話がかみ合いません。
介護の分野でグループホームと呼ばれるのは、介護保険の認知症対応型共同生活介護のことです。認知症の診断を受けた要支援2以上の方が、少人数で共同生活を送る住まいで、原則として事業所がある市区町村に住む方が利用する地域密着型サービスに位置付けられています。
なお、障害のある方が暮らす障害者グループホーム(共同生活援助)も同じ「グループホーム」と呼ばれますが、制度も利用者も別物です。この記事で扱うのは、高齢者の認知症グループホームです。求人を見るときは、どちらの制度なのかを最初に確認してください。
ユニットという単位
グループホームの基本単位はユニットです。1ユニットの定員は5〜9人で、1つの事業所に置けるユニットは原則3つまでとされています。つまり、大きなグループホームでも入居者は27人程度です。特養や有料老人ホームのように、1フロアに数十人という規模にはなりません。
人員配置
介護職員は、日中は入居者3人に対して1人以上(常勤換算)を配置することが基準です。夜間は、ユニットごとに1人以上の夜勤職員を置くのが原則になっています。3ユニットの事業所で、ユニットが同じ階に隣接しているなど一定の要件を満たす場合には、夜勤を2人とすることも認められています。
このほか、管理者と計画作成担当者(介護計画を作る職員)を置く必要があります。看護師の配置は義務付けられておらず、医療連携体制を取っている事業所では、外部の訪問看護などと連携する形が一般的です。
家事も仕事の一部
グループホームの最大の特徴は、家事が介護の一部に組み込まれていることです。調理、配膳、洗濯、掃除、買い物を、職員が入居者と一緒に行います。入居者ができることは自分でしてもらい、できない部分を職員が補う。その過程そのものが、認知症の進行をゆるやかにするためのケアとして位置付けられています。
この構造を一言でまとめると、「少人数の家庭の中に、介護の専門職が1人か2人いる」職場です。きつさの多くは、この構造から直接生まれています。
負担が集まる場面1 家事と介護を同時に回す日中
1つ目の場面は、日中の業務の重なりです。
グループホームの日中は、1ユニット9人に対して、職員2人から3人程度で回していることが多くなります。ただし、休憩や通院の付き添い、買い物で1人が抜けると、その時間はユニットに1人だけ、ということも起こります。
何が重なるのか
たとえば昼食前の1時間を考えてみます。調理を進めながら、入居者の1人に野菜を切ってもらい、別の方のトイレ誘導をし、居室から出てこない方に声をかけ、テーブルを拭いてもらう方の見守りをする。途中で「財布がない」と訴える方がいれば、一緒に探しに行きます。
特養や有料老人ホームでは、調理は厨房、掃除は清掃担当と分業されていることが多く、介護職は介助と見守りに集中できます。グループホームでは、それらが1人の職員の中で同時進行します。1つ1つは難しくなくても、同時に3つ、4つのことを気にかけ続ける状態が、夕方にはどっと疲れとして出てきます。
日勤の1日を時間で追うと
目安として、日勤の流れを時間に沿って並べてみます。9時に出勤して夜勤者から申し送りを受け、朝食の片付けと服薬の確認をします。10時ごろからは入浴の介助、洗濯物を干す作業、居室の掃除を入居者と一緒に進めます。11時には昼食の調理が始まり、12時に食事、13時からは片付けと口腔ケア、休憩です。
午後は散歩や買い物、レクリエーション、個別の関わりの時間になり、15時におやつ、16時ごろから夕食の準備が始まります。17時から18時の間に夜勤者へ申し送りをして退勤、という流れが典型的です。
こうして見ると、「食事」を軸に1日が組み立てられていることが分かります。3食の準備と片付けの間に、入浴、排泄、掃除、洗濯、外出、記録が差し込まれていく構造です。特養の日勤表を見慣れた人ほど、この「隙間のなさ」に最初は驚きます。
料理が苦手な人の負担
調理の比重は、事業所によって大きく違います。食材の配達サービスを使い、決まった手順で作る事業所もあれば、献立から考えて近所のスーパーで買い物をする事業所もあります。
正直なところ、求人票に「家庭的な雰囲気」とだけ書いて、調理の負担に触れていない求人は少し不親切だと思います。料理が苦手な人にとって、毎日9人分の食事を入居者と一緒に作るのは、介護そのものより大きなストレスになり得るからです。応募前に、献立は誰が決めるのか、食材はどう調達するのか、1日に何食を職員が作るのかを確認してください。
日中の負担を減らしている事業所の工夫
日中の負担を上手に減らしている事業所には、共通する工夫があります。1日の中で「調理の時間」「入浴の時間」「散歩や買い物の時間」を大まかに固定し、職員の役割を時間帯ごとに決めていること。入居者ができる家事を一人ひとり把握していて、職員が全部を抱え込まないこと。そして、記録を手書きではなく端末で行い、書く時間を短くしていることです。
見学のときには、昼食前後の時間帯に、職員がどう分担して動いているかを見ると、その事業所の日中の負担がよく分かります。
負担が集まる場面2 認知症の症状に向き合う時間
2つ目の場面は、認知症の症状への対応です。グループホームの入居者は全員が認知症の診断を受けているので、この負担はどの事業所でも避けて通れません。
よく出会う場面
グループホームでよく出会うのは、次のような場面です。
・夕方になると「家に帰らなければ」と玄関に向かう(帰宅願望) ・「財布を盗られた」と職員や他の入居者を疑う(物盗られ妄想) ・同じ質問を数分おきに繰り返す ・入浴や着替えを強く拒む ・夜に眠れず、ユニットの中を歩き続ける
これらは、認知症の中核的な症状に、不安や環境の変化が重なって表れる行動・心理症状(BPSD)と呼ばれるものです。つまり、本人が困らせようとしているのではなく、本人自身が困っていることの表れです。
きつさの正体は「否定される感覚」
こうした場面が精神的にきついのは、対応の手間そのものより、「自分のケアが届いていない」と感じる瞬間が繰り返されるからです。一生懸命に声をかけても、「あなたが盗った」と言われる。昨日は笑ってくれた方が、今日は手を払いのける。
私が編集者として介護職の方々に取材してきた中でも、「体力的なきつさより、この気持ちのほうがこたえる」という声は何度も聞きました。ある方は、「言われた言葉を真に受けていた最初の半年が一番きつかった」と振り返っていました。
対応の型を知ると、負担は下がる
認知症ケアには、先人が積み重ねてきた対応の型があります。否定せずに気持ちを受け止めること、話題や場所を変えて気持ちを切り替えるきっかけを作ること、症状が出やすい時間帯や状況を記録して、その前に手を打つこと。
制度の面でも、認知症ケアの基礎を学ぶことは求められています。介護に直接かかわる職員のうち、医療・福祉の資格を持たない人には、認知症介護基礎研修の受講が2024年4月から義務付けられました。さらに管理者や計画作成担当者になるには、認知症介護実践者研修などの修了が必要です。
具体例を1つ挙げます。「財布を盗られた」と訴える方に、「盗っていません」「ここにありますよ」と正面から返すと、本人は「疑いを否定された」と感じて、かえって興奮することがあります。一方で、「それは心配ですね。一緒に探しましょう」と気持ちを受け止め、本人が見つけられるように探し物を手伝うと、落ち着きを取り戻しやすくなります。職員が先に見つけて差し出すより、本人が自分で見つけるほうが、疑いの矛先が職員に向きにくいとも言われます。
こうした対応は、知っているかどうかで結果が変わります。そして、型を知っている職員とそうでない職員では、同じ場面に出会ったときの消耗の度合いがまったく違います。研修の機会をきちんと用意している事業所かどうかは、長く働けるかどうかに直結します。
負担が集まる場面3 1人で1ユニットを見る夜勤
3つ目の場面は夜勤です。グループホームの夜勤がきついと言われる理由は、介護職向けの求人メディアでも次のように説明されています。
グループホームの夜勤では、介護職員1人で9人の利用者さんを担当することもあります。2交代制のシフトのグループホームでは、夜勤の拘束時間が16時間前後と長く、慣れていないと大変に感じやすいでしょう。 出典: job.kiracare.jp
人数は少ないのに、判断は重い
9人という人数は、特養や有料老人ホームの夜勤で1人が見る人数と比べると少なく見えます。しかし、全員が認知症の方であること、看護師が夜間に常駐していないこと、隣のユニットの職員もそれぞれ1人でユニットを見ていることを考えると、判断の重さは決して軽くありません。
夜中に眠れなくなった方が不安になって歩き回り、その間に別の方のトイレ介助が必要になる。転倒の音がする。こうした場面で、誰かに手を借りることが難しいのが、グループホームの夜勤の特徴です。
夜勤の中身は事業所で違う
一方で、入居者の多くがよく眠れている事業所では、夜勤は巡回と記録が中心になり、比較的落ち着いて過ごせることもあります。夜勤のきつさは、入居者の状態、ユニットの間取り、見守り機器の有無、オンコールの体制によって大きく変わります。
確認したいのは、次のような点です。
・夜勤は2交代の16時間か、3交代の8時間程度か ・休憩時間はどう確保されているか(隣のユニットの職員と交代で取れるのか) ・夜間の緊急時に連絡する相手は誰か(管理者、訪問看護、協力医療機関) ・センサーマットや見守りカメラなどの機器があるか ・夜間に落ち着かなくなる入居者は何人くらいいるか
看取りと医療の場面
グループホームは「認知症の方の暮らしの場」ですが、入居期間が長くなるにつれて、身体の介護度も上がっていきます。事業所によっては、医師や訪問看護と連携して看取りまで行っています。
看取りを行う事業所では、夜間に呼吸の変化を見守り、決められた連絡先に知らせる場面が夜勤者に回ってくることがあります。看護師が常駐していない中で、その判断を1人で担う重さは、夜勤のきつさの中でも特に大きなものです。反対に、看取りを行わない事業所では、状態が重くなった方が病院や特養へ移ることになり、職員が長く関わってきた方との別れを、別の形で経験することになります。
どちらが良いという話ではありません。ただ、看取りを行うかどうかで夜勤の性格が変わるのは確かなので、応募前に必ず確認してください。
労働基準法では、8時間を超える勤務には1時間以上の休憩を与える必要があります。1人夜勤で休憩中もコール対応を求められる場合、その時間は休憩とは言えない可能性があります。面接で「休憩中のコール対応は誰がするのか」を聞いておくのは、失礼ではありません。
負担が集まる場面4 少人数ゆえの人間関係の近さ
4つ目の場面は、人間関係です。これは他の記事ではあまり深掘りされませんが、実はかなり大きな要素だと考えています。
職員の数が少ないということ
1ユニットのグループホームなら、常勤と非常勤を合わせても職員は10人前後です。毎日顔を合わせるのは、その中の数人に限られます。合う人が多ければ、これほど居心地のいい職場はありません。しかし、1人でも強く合わない人がいると、逃げ場がありません。大きな施設なら別のフロアに異動するという選択肢もありますが、グループホームではそれが難しいのです。
休みとシフトの穴
職員の数が少ないということは、1人が体調を崩すとシフトの穴がすぐに生まれるということでもあります。急な欠勤の代わりに入る、希望休が通りにくい、有給休暇が取りにくい。こうした状況は、人間関係のぎくしゃくにもつながりやすくなります。
正直なところ、「うちはみんな仲がいいので休みも融通し合っています」という説明は、裏を返せば「融通し合わないと回らない人数」だということかもしれません。有給休暇の取得の実績や、急な欠勤が出たときに誰が代わりに入るのかは、具体的に聞いておく価値があります。
新しく入った人が感じる壁
少人数で長く一緒に働いてきた職員の中には、言葉にしなくても通じ合う手順や決まりごとができあがっています。新しく入った人にとっては、それが見えない壁になります。
「このおかずはこの器に盛る」「Aさんには午後にこの声かけをする」といった細かな決まりが、マニュアルではなく先輩の頭の中にだけある。聞けば教えてもらえるけれど、聞かないと注意される。こうした状況が続くと、新人は「自分だけが分かっていない」と孤立しやすくなります。
事業所によっては、入居者ごとの関わり方を一覧にしたシートを作っていたり、入職から1か月は同じ先輩と組むシフトにしていたりします。こうした仕組みがあるかどうかで、最初の数か月のきつさはかなり変わります。
管理者との距離
グループホームでは、管理者が現場の介護にも入っていることが多く、職員との距離が近くなります。管理者が話を聞いてくれる人なら、困りごとがすぐに解決します。反対に、管理者と合わないと、職場全体が息苦しくなります。見学や面接で管理者と直接話せる機会は、必ず活かしてください。
続いている人は、やり方で負担を減らしている
ここまで4つの場面を見てきました。では、同じグループホームで長く働いている人は、何が違うのでしょうか。取材で話を聞いてきた中で、共通していたやり方を挙げます。
家事を「全部やる」から「一緒にやる」に切り替えている
続いている人は、家事を自分で片付けようとしません。入居者に野菜を洗ってもらう、洗濯物をたたんでもらう、テーブルを拭いてもらう。時間はかかりますが、そのぶん職員の手が空き、入居者の役割も生まれます。グループホーム本来のケアの形に沿うことが、結果的に自分の負担も減らしています。
症状を「記録して、先回りする」
帰宅願望が出やすいのは夕方、拒否が強いのは入浴前、というように、症状が出やすい時間や状況を記録し、チームで共有しています。そのうえで、症状が出る前にお茶の時間を入れる、入浴の声かけの順番を変えるといった先回りの工夫をしています。起きてから対応するより、起きる前に手を打つほうが、心の消耗はずっと小さくなります。
言われた言葉を「症状」として受け取る
「あなたが盗った」と言われたときに、それを自分への評価ではなく、その方の不安の表れとして受け取っています。これは性格ではなく、訓練で身につく考え方です。研修で学んだことを、先輩と一緒に振り返る時間を持っている人ほど、この切り替えが上手です。
体を痛めない動き方を覚えている
グループホームは身体介護の量が比較的少ないと言われますが、入居期間が長くなると、移乗や入浴の介助が必要な方が増えていきます。そのうえ家事の立ち仕事も加わるので、腰や膝を痛める人は少なくありません。
続いている人は、ベッドの高さを合わせてから介助する、入居者の力を活かして立ち上がってもらう、重い鍋や洗濯物のかごを一度に運ばない、といった小さな動き方を身につけています。福祉用具の使い方を研修で学べる事業所なら、積極的に参加しておくと、数年後の体の状態が違ってきます。
仕事と生活の境界線を引いている
少人数の職場では、休みの日にもシフトの相談の連絡が来ることがあります。続いている人は、急な出勤をどこまで引き受けるかを自分の中で決めていて、無理なときは早めに断っています。
一度引き受けると、次からも頼まれやすくなるのが少人数の職場の難しさです。断ることに罪悪感を持つ必要はありません。1人が倒れると、職場全体がもっと困ることになるからです。
小さな手応えを言葉にして残している
認知症ケアは、目に見える成果が出にくい仕事です。昨日できたことが今日はできない、ということが普通に起こります。そのため、手応えを感じられないまま疲れていく人が少なくありません。
続いている人は、小さな変化を意識して拾っています。「今日はAさんが自分から洗濯物をたたんでくれた」「Bさんが入浴のあとに笑顔でありがとうと言った」。こうした出来事を記録やチームの会話で共有している事業所では、職員が自分の仕事の意味を見失いにくくなります。きつさを減らすことと同じくらい、手応えを増やすことも、続けるための大事な工夫です。
1人で抱えずに、早めに言葉にする
合わない人がいる、夜勤がつらい、休みが取れない。続いている人は、こうした困りごとを我慢の限界になる前に、管理者や信頼できる同僚に伝えています。少人数の職場では、1人の不調がすぐに全体に響きます。早めに言葉にすることは、自分のためだけでなく、チームのためでもあります。
求人票と見学で、きつさの度合いを見分ける
グループホームのきつさは、事業所によって大きく違います。応募前に、次の項目を確認してください。
求人票で見る項目
・ユニット数と定員(1ユニットか、2ユニットか、3ユニットか) ・夜勤の形(2交代か3交代か、月の回数の目安、休憩時間) ・調理の有無と、食材の調達方法 ・研修制度(認知症介護基礎研修や実践者研修の受講支援があるか) ・有給休暇の取得の実績と、希望休の取り方
見学と面接で聞く項目
・入居者の要介護度の分布と、夜間に落ち着かなくなる方の人数 ・日中、1ユニットに職員が何人いる時間帯が多いか ・医療連携の体制と、夜間の緊急時の連絡先 ・看取りを行っているかどうか ・職員の平均の勤続年数と、直近1年で辞めた人の数 ・急な欠勤が出たとき、誰が代わりに入るのか
見学では、夕方の時間帯を選べると理想的です。帰宅願望が出やすく、夕食の準備も重なるこの時間帯に、職員が落ち着いて入居者と関われているかどうかが、その事業所の実力をよく表します。
できれば数時間の職場体験を頼んでみる
事業所によっては、応募前や内定前に、数時間の職場体験や見学を兼ねた勤務体験を受け入れているところがあります。実際にユニットの中で入居者と過ごし、職員の動きを近くで見ると、求人票や面接の説明だけでは分からない空気が伝わってきます。
体験のときに意識したいのは、職員同士が困ったときに声をかけ合っているか、入居者への声かけが急かす調子になっていないか、記録や申し送りの時間が確保されているか、の3点です。受け入れを断られても、それだけで悪い事業所とは限りませんが、快く受け入れてくれる事業所は、職員の定着にも気を配っていることが多い傾向が見られます。
運営法人の規模でも、きつさの質は変わる
グループホームを運営しているのは、社会福祉法人、医療法人、株式会社、NPO法人などさまざまです。1か所だけを運営する小さな法人もあれば、全国に数百の事業所を持つ会社もあります。
小さな法人では、管理者や経営者との距離が近く、現場の声が運営に届きやすい一方、職員の急な欠勤を補う仕組みが弱く、研修の機会も限られがちです。大きな法人では、研修やマニュアル、応援体制が整っている一方、本社の方針が現場の実情と合わないと感じる場面もあります。また、同じ会社の中でも、事業所ごとに雰囲気が大きく違うことは珍しくありません。会社の評判だけで決めず、応募する事業所そのものを見ることが大切です。
他の職場と比べて考える
グループホームのきつさを、他の職場と比べておくと、自分に合うかどうかの判断材料になります。
特養は入居者が多く、身体介護の比重が大きい一方、夜勤の人数は入居者数に応じて段階的に増え、分業も進んでいます。有料老人ホームは、接遇や家族対応の比重が大きく、施設ごとの差が大きい職場です。デイサービスは夜勤がなく、送迎とレクリエーションの比重が大きい職場です。
グループホームは、身体介護の量は比較的少ない一方、認知症ケアと家事、そして少人数の人間関係に負担が集まります。体力に不安がある人には向いていることもあり、人間関係に強いこだわりがある人には、事業所選びが特に重要になる職場だと言えます。
認知症ケアの経験は、次の選択肢を広げる
グループホームで身につくのは、認知症の方の気持ちを読み取り、言葉にならない不安を記録と工夫で先回りする力です。これは介護の現場の中で高く評価される経験で、計画作成担当者やケアマネジャーへの道にもつながります。
同時に、この経験は介護の外の仕事にも応用できます。相手の状況を観察し、事実を正確に記録し、チームに伝える。これは、文章を扱う仕事や、業務を整理する仕事の基本でもあるからです。
認知症ケアを実際に経験した人の文章は、家族の介護に悩む読者にとって、一般的な解説よりはるかに役に立ちます。とはいえ、外の仕事を考える前に、いまの給与が相場のどこにあるかを知っておくと判断を誤りません。公的統計をもとに年収帯の目安をまとめた介護職員の年収・単価相場で確認できます。
記録や報告の書き方を学び直したいなら、ヒヤリハットや事故報告を「いつ、どこで、何が起き、どう対応したか」の順に書く型を決めておくのが近道です。この型があるだけで、読み手に伝わる報告が短時間で書けるようになります。
人の話を聞いて整理する仕事に興味があるなら、職場・転職・キャリア相談のお仕事の解説も読んでみてください。仕事の中身と、求められるスキルの範囲が紹介されています。家族の不安を聞き取ってきた、申し送りの様式を見直した、といった現場での経験は、この分野の入り口になります。
20年この市場を見てきた立場から言えば、介護の現場を経験したうえで在宅の仕事を始める人は、仕事の相手との信頼関係の作り方がとても丁寧です。そして、仲介の手数料が乗らない直接のやり取りを選んだ人ほど、同じ仕事量でも手取りが厚く、件数を増やしすぎずに本業の体調を守れている傾向が見られます。
グループホームがきついかどうかは、職場の構造と、その中での自分のやり方で決まります。負担が集まる4つの場面を知り、事業所を見極め、続いている人のやり方を取り入れる。それができれば、グループホームは認知症ケアの力を深く身につけられる職場になります。
よくある質問
Q. グループホームの仕事で一番きついのは何ですか?
人によって違いますが、多く挙がるのは認知症の症状への対応による精神的な負担と、1人でユニットを見る夜勤です。加えて、少人数で家事と介護を同時に回す日中の業務の重なりや、職員が少ないことによる人間関係の近さも負担になりやすい要素です。どれが重いかは事業所の体制で大きく変わります。
Q. グループホームの夜勤は何人で何人を見ますか?
原則としてユニットごとに夜勤職員を1人以上配置するので、1人で最大9人の入居者を見ることになります。3ユニットの事業所で一定の要件を満たす場合は、夜勤を2人とすることも認められています。2交代制では拘束時間が16時間前後になるため、休憩の取り方と緊急時の連絡先を事前に確認しておきましょう。
Q. 料理が苦手でもグループホームで働けますか?
働けますが、事業所選びが大切です。献立から考えて買い物をする事業所もあれば、食材の配達サービスを使って決まった手順で作る事業所もあります。入居者と一緒に調理することがケアの一部なので、完璧な料理の腕は求められません。応募前に、調理の頻度と食材の調達方法を確認してください。
Q. グループホームで長く働くためのコツはありますか?
家事を入居者と一緒に行って負担を分けること、症状が出やすい時間や状況を記録して先回りすること、入居者の言葉を自分への評価ではなく症状として受け取ることが挙げられます。困りごとを限界になる前に管理者や同僚に伝えることも大切です。認知症ケアの研修を受けられる事業所を選ぶと、対応の型が身につきます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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