Webデザイナーへの発注書テンプレート|修正回数と納品形式の明記事項 2026

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
Webデザイナーへの発注書テンプレート|修正回数と納品形式の明記事項 2026

この記事のポイント

  • webデザイン発注書のテンプレートと書き方を解説
  • フリーランスに依頼する際にトラブルを防ぐ記載項目を具体例付きで紹介します

「webデザイン 発注書 テンプレート」を探しているということは、すでにデザイナーへの発注を具体的に検討している段階だと思います。結論から言うと、webデザインの発注書で最も重要なのは金額の記載ではありません。修正回数の上限、納品形式、著作権の帰属先の3点を明記できているかどうかです。この3点が曖昧なままだと、いくら丁寧な発注書を作っても後からトラブルになります。

webデザイン発注の相場とトラブルの実態

Webデザインを外注する際の相場感を先に押さえておきます。ランディングページ1枚のデザインで3万円〜15万円、コーポレートサイト全体(5〜10ページ規模)で20万円〜80万円程度が一般的なレンジです。ECサイトやシステム連携が絡む案件はさらに上振れし、100万円を超えるケースも珍しくありません。

この価格帯にはデザイナーの経験値、対応範囲(コーディングまで含むか、素材作成込みか)、修正回数の上限などが反映されます。同じ「トップページデザイン」という依頼でも、見積もりが3倍近く違うことは実務上よくあります。安さだけで判断すると、後述するようなトラブルに発展しやすいという傾向が見られます。

中小企業庁が公表している資料でも、業務委託における発注時のトラブル要因として「発注内容の不明確さ」が繰り返し指摘されています。

発注書面の交付においては、給付の内容、報酬の額、支払期日等を明確に記載することが求められる。口頭による発注や、発注書面の記載が曖昧な場合、後日の紛争の原因となりやすい。 出典: chusho.meti.go.jp

正直なところ、これはデザイン発注に限った話ではありません。ただしデザインという成果物の性質上、「イメージが違った」という主観的なズレが起きやすく、他の業務委託よりも発注書の明確さが重要になるという特徴があります。

webデザイン発注書に必ず記載すべき8項目

発注書は法的な効力を持つ書面であると同時に、発注者とデザイナーの認識をすり合わせるためのコミュニケーションツールでもあります。以下の8項目を必ず盛り込んでください。

1. 業務内容と成果物の範囲

「トップページのデザイン」とだけ書くのではなく、具体的に何を作るのかを列挙します。

・デザインカンプ(何ページ分か) ・レスポンシブ対応の有無(PC/スマホ/タブレット) ・コーディングまで含むか、デザインのみか ・素材(写真・イラスト・アイコン)の提供元は誰か

この範囲が曖昧だと、「スマホ対応も当然含まれると思っていた」というような認識のズレが起きます。実際、発注側とデザイナー側で業務範囲の認識が食い違うケースは、外注トラブルの中でも上位に入る典型例です。

2. 納期とスケジュール

初稿の提出日、修正対応期間、最終納品日を分けて記載します。「1ヶ月後に納品」という曖昧な表現ではなく、「初稿:発注から2週間後」「フィードバック期限:初稿提出から5営業日以内」「最終納品:発注から4週間後」のように具体的な日付やマイルストーンで区切ります。

デザイン制作は発注者側のフィードバックが遅れると全体のスケジュールが後ろ倒しになります。フィードバック期限を発注者側の責任として明記しておくことで、遅延の責任の所在も明確になります。

3. 修正回数の上限(最重要項目)

デザイン発注で最もトラブルが多いのがこの項目です。「修正は無制限で対応してもらえる」と発注者が思い込んでいるケースと、「軽微な修正2回まで」とデザイナー側が想定しているケースがすれ違うと、双方に不満が残ります。

発注書には次のように具体的な数字で記載してください。

・大幅な方向性変更を伴う修正:1回まで ・軽微な修正(色・文字サイズ・配置の微調整):3回まで ・上限を超えた修正は1回あたり5,000円〜1万円の追加費用が発生する

「無制限修正」を謳うデザイナーも一部存在しますが、これは価格に転嫁されているか、対応の質が落ちるリスクを孕んでいます。回数上限を明記した上で適正な追加費用ルールを設ける方が、双方にとって健全な取引になるという傾向があります。

4. 納品形式とファイル形式

「デザインデータ一式」ではなく、具体的なファイル形式を指定します。

・デザインカンプ:Figma / Adobe XD / Photoshop(.psd)のいずれか ・コーディングデータを含む場合:HTML / CSS / JavaScriptのソースファイル一式 ・画像素材:jpg / png / svgの使い分け ・フォントデータの扱い(商用利用ライセンスの確認含む)

特にFigmaで作業したのにPSDでの納品を求めるなど、ツールの互換性を確認せずに進めると、追加のコンバート作業が発生し、追加費用や納期遅延の原因になります。

5. 著作権・使用権の帰属

発注書テンプレートで見落とされがちですが、非常に重要な項目です。原則として、発注者が報酬を全額支払った時点でデザインの著作権は発注者に譲渡される、という条項を明記しておくのが安全です。

一方で、デザイナー側がポートフォリオとして実績公開する権利を残すかどうかも、事前にすり合わせておく必要があります。「著作権は発注者に譲渡するが、実績としての公開は許可する」という形で両者が納得できる着地点を作るのが一般的です。

6. 報酬額と支払い条件

金額だけでなく、支払いのタイミングも明記します。

・着手金:全体の30%〜50%を契約時に支払い ・残金:納品完了後、検収を経て支払い ・支払い期限:検収完了から30日以内(下請法の対象取引では60日以内のルールあり)

フリーランスへの発注においては、下請法(現行の取適法)の適用対象になるケースもあります。支払期日を著しく遅く設定すると法令違反になる可能性があるため、注意が必要です。

7. 契約解除・中途キャンセルの条件

制作途中でプロジェクトを中止せざるを得ない状況は珍しくありません。その場合の精算方法を事前に決めておきます。「着手済みの工程分は按分して支払う」「初稿提出前のキャンセルは着手金のみで清算」など、双方が納得できるルールを発注書に盛り込んでおくと、トラブル時の交渉がスムーズになります。

8. 秘密保持(NDA)条項

企業のブランドイメージやまだ公開していないサービス情報をデザイナーに共有する場合、秘密保持義務を発注書または別途のNDA(秘密保持契約書)で明記します。特に新規事業やリブランディングの案件では必須の項目です。

発注書のテンプレート例(コピーして使える形式)

以下は実際にそのまま使える簡易テンプレートの構成です。エクセルやWord、Googleドキュメントに落とし込んで運用してください。

【発注書】

発注日:2026年〇月〇日
発注者:〇〇株式会社 担当者名
受注者:〇〇様(フリーランスデザイナー)

■業務内容
・トップページ+下層ページ〇ページ分のデザインカンプ制作
・レスポンシブ対応(PC/スマホ)
・コーディングは別途/含む

■納期
初稿提出:〇年〇月〇日
フィードバック期限:初稿提出から5営業日以内
最終納品:〇年〇月〇日

■修正回数
大幅修正:1回まで
軽微修正:3回まで
超過分:1回5,000円〜1万円

■納品形式
デザインデータ:Figma
画像素材:jpg / png / svg

■著作権
納品・検収完了かつ報酬全額支払い完了時点で著作権は発注者に譲渡する
受注者はポートフォリオとしての実績公開を可(発注者の事前承諾を要する場合は別途明記)

■報酬・支払い条件
合計金額:〇円(税込)
着手金:〇円(契約時)
残金:〇円(検収後30日以内)

■契約解除時の精算
着手済み工程に応じて按分精算する

■秘密保持
業務上知り得た情報を第三者に漏洩しない

このテンプレートに沿って発注書を作成すれば、口頭でのやり取りだけでは詰め切れない項目を漏れなく確認できます。

発注書と契約書の違い、どちらが必要か

「発注書があれば契約書は不要ではないか」という質問をよく受けます。結論としては、単発の小規模案件であれば発注書のみで運用しているケースも多いですが、継続的な取引や高額案件では基本契約書と個別の発注書を分けて運用するのが安全です。

・基本契約書:著作権の扱い、秘密保持、契約解除条件など、案件をまたいで共通するルールを定める ・発注書(注文書):案件ごとの業務内容、金額、納期を都度定める

初めて発注する相手であれば、まず基本契約書を締結した上で、案件ごとに発注書を発行する流れが、双方の負担も少なく実務的です。単発かつ小額(5万円以下程度)の案件であれば、発注書に契約条項を盛り込んだ簡易版で対応することも現実的な選択肢です。

見積もり比較で失敗しないためのポイント

複数のデザイナーから見積もりを取る際、金額だけで比較すると失敗しやすいという傾向があります。私自身、初めて外注をした際に3社から見積もりを取り、最も安い金額を提示した1社に依頼した経験があります。結果として、修正対応の範囲が見積書に明記されておらず、2回目の修正依頼で「追加費用がかかります」と言われ、当初想定していた予算を大きく超えてしまいました。

この経験から学んだのは、見積書を比較する際は金額そのものよりも「何が金額に含まれているか」を確認することの重要性です。以下の観点でチェックしてください。

・修正回数は何回まで含まれているか ・コーディングは含まれているか、別料金か ・素材(写真・アイコン)の準備費用は誰が負担するか ・著作権の譲渡は金額に含まれているか、別途費用が発生するか

同じ「トップページデザイン10万円」という見積もりでも、これらの条件次第で実質的な総コストは大きく変わります。安い見積もりほど、対応範囲が狭く設定されている場合があるため、必ず見積書の内訳を確認してから発注書を作成する流れをおすすめします。

フリーランスへの直接依頼と制作会社経由の違い

Webデザインの発注先には、大きく分けて制作会社経由とフリーランスへの直接依頼の2パターンがあります。

制作会社に依頼する場合、ディレクター・デザイナー・コーダーが分業体制で対応するため、大規模案件や複数の専門スキルが必要な案件では安心感があります。一方で、ディレクションコストや会社の利益分が上乗せされるため、同じ品質のデザインでもフリーランスへの直接依頼より費用が高くなる傾向があります。

フリーランスのデザイナーへ直接依頼する場合、仲介手数料が発生しないぶん、同じ予算でより高いクオリティを求めやすい、あるいは同じクオリティをより低い予算で実現しやすいというメリットがあります。特にクラウドソーシングサイト経由での発注は16.5%〜20%程度の手数料がプラットフォームに差し引かれるため、その分がデザイナーの実質的な報酬から目減りします。手数料0%で直接契約できるマッチングサービスを使えば、同じ予算でもデザイナー側の手取りが厚くなり、結果として長期的な関係構築にもつながりやすくなります。

ただし、フリーランスへの直接依頼は制作会社と違い、発注者側が発注書や契約書の整備、進行管理をある程度自分で担う必要があります。だからこそ、本記事のような発注書テンプレートを事前に用意しておくことが、フリーランスへの直接発注を成功させる鍵になります。

Webデザイン発注書の作成時によくある失敗パターン

発注書を作成する際、以下のような失敗が繰り返し見られます。

修正範囲を「大幅」「軽微」で分けずに「修正〇回まで」とだけ書く 方向性を変える大幅な修正と、文字色を変えるだけの軽微な修正を同列に扱うと、デザイナー側が消耗し、結果的に品質が落ちるリスクがあります。修正の種類ごとに回数を分けて設定するのが望ましいです。

納品形式の指定が曖昧 「デザインデータ一式」とだけ書き、具体的なファイル形式を指定しないと、後からコンバート作業が必要になるケースがあります。使用予定のツール(Figma、Photoshopなど)を事前に伝えておくことが重要です。

著作権条項を発注書に含めない 口約束で「著作権は発注者のもの」としていても、書面がなければトラブル時に立証が難しくなります。小規模な案件であっても、著作権の帰属は必ず書面で残しておくべき項目です。

支払い条件を曖昧にする 「納品後にお支払いします」とだけ書き、具体的な期日を定めないと、支払いの遅延トラブルにつながります。検収完了からの日数を明記し、下請法の対象取引であれば60日以内のルールを遵守する必要があります。

発注書テンプレートに関する独自データの考察

20年この市場を見てきた立場から言えば、発注書がしっかり整備されている案件ほど、デザイナー側の対応品質も高くなるという相関が見られます。これは発注書が単なる法的書面ではなく、発注者の本気度や業務理解度を示すシグナルとしてデザイナー側に伝わるためだと考えられます。

長く続く発注関係を築いている発注者ほど、単発の作業依頼ではなく「この発注者となら安心して仕事ができる」という信頼関係の構築に時間を使っている傾向があります。修正回数や納品形式を細かく詰めることは、一見するとデザイナー側を縛る行為に見えますが、実際には双方の認識をそろえることで無用なストレスを減らし、結果的に良好な取引関係につながっています。

また、中間マージンが乗らない直接取引には、発注者・受注者の双方が得をする構造があります。同じ予算であれば発注者はより手厚い対応を依頼でき、受注者は仲介手数料が引かれない分、同じ作業でも手取りが厚くなります。この構造は単に「安い」という価格訴求ではなく、双方の関係の質を高める土台になっているというのが、長年この市場を見てきた実感です。

Webデザインの発注は、テンプレートを整えるだけで完結するものではありません。しかし、修正回数、納品形式、著作権の帰属という3つの核心的な項目を発注書に明記しておくことで、トラブルの大部分は事前に回避できます。まずは本記事のテンプレートをベースに、自社の案件に合わせてカスタマイズしてみてください。

なお、発注書の記載項目についてより詳しい書式やチェックリストが必要な場合は、フリーランスへの発注書テンプレート|トラブルを防ぐ記載項目チェックリストで具体的な記載例を確認できます。また、下請法(取適法)の観点から発注書に盛り込むべき必須項目については、フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストで法令面の要件を整理しています。デザイナー側が請求書を発行する際の書式については、個人事業主 請求書 テンプレート 無料 Excel!2026年最新の書き方も参考になります。

Webデザイナーを探す際は、案件内容に応じて適切なスキルを持つ人材を見極める必要があります。アプリケーション開発まで含む複合案件であればアプリケーション開発のお仕事、AIを活用したデザイン提案やマーケティング施策まで求める場合はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事の情報も参考にしてください。業務プロセスの見直しを含めて相談したい場合はAIコンサル・業務活用支援のお仕事の内容も確認しておくと発注範囲を検討しやすくなります。

デザイナーへの報酬水準を検討する際は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場のデータも参考になります。コーディングまで含む複合スキルを持つデザイナーの単価感を把握する材料になります。また、発注書や契約書の文言を整える際に、文書作成の基礎知識としてビジネス文書検定の内容を押さえておくと、社内での書類整備もスムーズに進みます。

発注書は一度テンプレート化してしまえば、その後の案件でも使い回せる資産になります。最初の1件で丁寧に作り込んでおくことが、長期的な外注コストの削減とトラブル回避の両方につながります。

公的機関・関連参考情報

本記事の内容に関連する公的機関や信頼できる情報源は以下の通りです。最新情報は公式サイトで確認してください。

よくある質問

Q. webデザインの発注書は無料テンプレートで十分ですか?

基本的な項目(業務内容・金額・納期)を満たす無料テンプレートは多くありますが、修正回数の上限や著作権の帰属など、デザイン特有の項目が抜けていることが多いです。無料テンプレートをベースに、本記事で紹介した8項目を追加でカスタマイズすることをおすすめします。

Q. 発注書と契約書、どちらを先に作るべきですか?

継続的な取引であれば基本契約書を先に締結し、案件ごとに発注書を発行する流れが安全です。単発かつ小額の案件であれば、発注書に契約条項を盛り込んだ簡易版でも実務上は対応可能です。

Q. デザインの修正回数は何回に設定するのが適切ですか?

大幅な方向性変更を伴う修正は1回まで、軽微な色・配置の調整は3回までとするのが一般的な目安です。上限を超えた修正には1回5,000円〜1万円程度の追加費用ルールを設けておくとトラブルを防げます。

Q. フリーランスに直接発注する場合、著作権はどう扱うべきですか?

報酬を全額支払った時点で著作権が発注者に譲渡される、という条項を発注書に明記するのが一般的です。デザイナー側のポートフォリオ公開を許可するかどうかも、事前にすり合わせて書面に残しておくことをおすすめします。

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この記事について

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編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年4月8日最終更新:2026年7月31日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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