フリーランスへの発注書テンプレート|トラブルを防ぐ記載項目チェックリスト

久世 誠一郎
久世 誠一郎
フリーランスへの発注書テンプレート|トラブルを防ぐ記載項目チェックリスト

この記事のポイント

  • フリーランスへの発注書に何を書けばいいか分からない方へ
  • 経営コンサルが実務で使う発注書テンプレートと
  • トラブルを防ぐための記載項目チェックリストを詳しく解説します

フリーランスへの発注で最も多いトラブルは何だと思いますか? 私がコンサルしている企業のデータでは、「認識のズレによる手戻り」が全体の約7割を占めています。そしてこのトラブルの大半は、しっかりとした発注書を作成することで防げるものです。

「口頭やチャットで伝えたから大丈夫」と思われる方もいらっしゃいますが、それは危険です。今回は、私が実際にクライアント企業にお渡ししている発注書テンプレートをベースに、記載すべき項目を一つひとつ解説いたします。

なぜ発注書が必要なのか

口頭依頼のリスク

口頭やメッセージだけの依頼では、以下のリスクが発生します。

リスク 具体例 発生頻度
認識のズレ 「シンプルなデザイン」の解釈が違う 非常に高い
スコープの膨張 「ついでにこれも」が積み重なる 高い
納期のトラブル いつまでに何を出すか曖昧 中程度
費用トラブル 追加作業の費用負担で揉める 中程度

結局、人なんですよ。どんなに信頼できる相手でも、解釈の違いは起こります。発注書は信頼関係を壊さないためのお互いを守る道具です。

発注書の法的な位置づけ

発注書は法的には「申込みの意思表示」にあたります。下請法の適用がある場合(資本金1,000万円超の企業がフリーランスに発注する場合など)は、書面の交付義務があります。任意のやり取りだと思われがちですが、法的にも重要な書類です。

発注書に記載すべき10の項目

1. 発注者・受注者の情報

記載項目 内容
発注者名(企業名・担当者名) 株式会社○○ 営業部 山田太郎
受注者名 フリーランス氏名
連絡先 メールアドレス・電話番号
発注日 2026年3月22日

2. 業務内容の詳細

最も重要な項目です。抽象的な表現は避け、具体的に記載してください。

悪い例: 「Webサイトのデザインをお願いします」

良い例: 「コーポレートサイト(全5ページ:トップ、会社概要、事業内容、採用情報、お問い合わせ)のデザインカンプ作成。Figmaで納品。レスポンシブ対応(PC・スマートフォン)」

3. 成果物の仕様

納品物が何か、どの形式で、どの品質水準で納品されるかを明記します。

  • ファイル形式(PSD、Figma、HTML/CSS等)
  • 対応ブラウザ・デバイス
  • 画像の解像度
  • テスト環境の指定

4. 納期とマイルストーン

最終納期だけでなく、中間チェックポイントを設定しましょう。

マイルストーン 期日 確認内容
ワイヤーフレーム提出 4月5日 構成の方向性確認
デザインカンプ初稿 4月15日 デザインの方向性確認
修正反映 4月22日 フィードバック反映の確認
最終納品 4月30日 全成果物の検収

5. 報酬と支払い条件

項目 内容
報酬額 税込400,000円
支払い時期 検収完了後30日以内
支払い方法 銀行振込
源泉徴収の有無 あり(10.21%)

税務処理については外注費の税務処理ガイドで詳しく解説しています。

6. 修正回数の上限

これを決めておかないと、際限なく修正依頼が発生します。

私がコンサルしている企業では、「デザインカンプの修正は2回まで無料、3回目以降は1回あたり○万円」と設定するケースが多いです。

7. 権利の帰属

成果物の著作権や使用権がどちらに帰属するかを明記します。一般的には「納品・検収完了後に発注者に帰属」としますが、フリーランスが実績として公開してよいかどうかも取り決めておきましょう。

8. 秘密保持

業務上知り得た情報の取り扱いについて記載します。別途NDA(秘密保持契約)を結ぶ場合はその旨を記載します。

9. 契約解除の条件

万が一の場合に備え、以下を明記しておきます。

  • 中途解約の条件
  • 解約時の報酬精算方法
  • 成果物の取り扱い

10. 連絡手段と対応時間

項目 内容
主な連絡手段 Slack or メール
対応可能時間 平日10:00〜18:00
緊急連絡先 電話番号
レスポンス目安 24時間以内

発注書テンプレートの基本構成

以下が、実際の発注書の構成テンプレートです。

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発注書
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■ 発注日: 20XX年X月X日
■ 発注者: [企業名・担当者名・連絡先]
■ 受注者: [氏名・連絡先]

■ 業務内容:
  [具体的な業務内容を記載]

■ 成果物:
  [納品物の仕様・形式を記載]

■ 納期:
  [最終納期とマイルストーン]

■ 報酬:
  金額: ¥XXX,XXX(税込/税別)
  支払い時期: 検収完了後X日以内
  支払い方法: 銀行振込

■ 修正対応:
  無料修正: X回まで
  追加修正: 1回あたり¥XX,XXX

■ 権利帰属:
  [著作権・使用権の取り決め]

■ 秘密保持:
  [秘密保持に関する取り決め]

■ その他特記事項:
  [必要に応じて記載]

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発注書を作成する際のコツ

参考資料を添付する

「こういうイメージです」と言葉で伝えるより、参考サイトのURLを3〜5つ添付するほうが何倍も伝わります。私のクライアント企業では、参考資料の添付を必須ルールにしたところ、手戻りが約50%減少しました。

「やらないこと」も明記する

「このプロジェクトにはSEO対策は含まない」「写真撮影は発注者側で手配」など、スコープ外の事項を明記しておくと、後からの「これもやってほしい」を防げます。

契約テンプレートとセットで使う

発注書はあくまで業務内容の確認書類です。より法的な保護が必要な場合は、業務委託契約書も併用してください。契約テンプレートの記事もご参照ください。

よくある質問

Q. 少額の案件でも発注書は必要ですか?

A. 金額の大小に関わらず、作成をお勧めします。むしろ少額案件ほど口頭で済ませがちで、トラブルになりやすい傾向があります。簡易版でも構いませんので、業務内容・納期・報酬の3点は必ず文書化してください。

Q. クラウドソーシングのメッセージ機能でやり取りしていれば大丈夫ですか?

A. メッセージの記録は残りますが、発注時点での合意事項を一覧できる発注書があるほうが安心です。@SOHOのような直接取引が可能なプラットフォームでは、発注者と受注者が自由にやり取りできるため、発注書のPDFを共有するのも容易です。

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久世 誠一郎

この記事を書いた人

久世 誠一郎

元人材コンサル・中小企業支援歴25年

大手人材会社でコンサルティング部門を率いた後、中小企業の業務改善・外注戦略の支援に転身。発注者目線でのクラウドソーシング活用術を発信しています。

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