特別支援学校を辞めたいと思ったとき|出ていく前に切り分けておくこと


この記事のポイント
- ✓特別支援学校を辞めたいと感じている先生に向けて
- ✓この職場に特有のしんどさを整理しました
- ✓辞める前に切り分けておきたい順番と判断の目安をまとめています
特別支援学校を辞めたい。 そう思いながら、この記事を開いてくれたのだと思います。
まず、お伝えしたいことがあります。 その気持ちは、甘えでも、向いていない証拠でもありません。 特別支援学校には、ほかの学校にはない種類の負担が、いくつも重なっています。 しんどいと感じるのは、自然なことです。
そのうえで、辞めるかどうかを決める前に、少しだけ立ち止まってほしいのです。 「何がつらいのか」を切り分けると、辞める以外の道が見えることがあります。 反対に、切り分けた結果「やはり離れたほうがいい」と分かれば、迷わず次に進めます。
この記事では、特別支援学校という職場の中で何が起きているのかを整理しながら、出ていく前に切り分けておきたいことを、順番にお話しします。
特別支援学校のしんどさは、ほかの学校と種類が違う
まず、あなたが感じているしんどさの正体を、職場の仕組みから見ていきましょう。
データにも表れている負担の重さ
先生の仕事がハードだということは、よく知られています。 その中でも、特別支援学校の先生の負担は、数字の上でも重いことが分かっています。
教職員全体のデータを見ると、やはり校種ごとの精神疾患による休職者の割合は特別支援学校が多いです。 ハードワークで辛いというイメージのある教職員の中でも、特に特別支援学校教員の精神的負担が大きいことがわかるデータと言えます。 出典: for-teachers.manalink.jp
文部科学省の調査では、公立学校の先生で精神疾患を理由に休職した人は、令和5年度に7,000人を超え、過去最多になりました。 つまり、今あなたが感じているしんどさは、あなた1人の弱さではなく、職場の構造から生まれている部分が大きいということです。
1つの学級を、複数の先生で見る
特別支援学校の学級は、小学部と中学部で6人、障害が重複している子どもの学級では3人が基準です。 子どもの人数は少ないのですが、1つの学級に2人から3人の先生が入ることが珍しくありません。
通常の学校なら、学級のことは担任が1人で決められます。 特別支援学校では、授業の進め方も、子どもへの声のかけ方も、複数の先生で合わせる必要があります。 経験年数も考え方も違う先生と、毎日同じ教室で過ごすのです。
こういう相談がよくあります。 「子どもは好きなのに、ペアの先生と合わなくて、毎朝学校に行くのがつらい」 これは、特別支援学校に特有の悩みです。 逃げ場のない距離で人間関係が続くことが、想像以上に心を削っていきます。
身体の負担と、行動への対応
肢体不自由の子どもが通う学校では、抱きかかえての移動や、食事、排泄の介助が毎日あります。 知的障害の子どもが通う学校では、急に走り出す、たたく、かみつくといった行動に向き合う場面があります。
子どもに悪気がないことは、分かっています。 それでも、けがをしたり、何度も同じ場面が続いたりすると、体も心も疲れていきます。 「分かっているのに、優しくできない自分がつらい」という声も、よく聞きます。 その苦しさを感じられること自体が、あなたが子どもに真剣に向き合ってきた証だと、私は思います。
保護者との距離の近さ
特別支援学校の保護者は、子どもの将来に強い不安を抱えていることが多いです。 連絡帳のやりとりは毎日で、細かな様子を丁寧に伝えることが求められます。 送り迎えの場で直接話すことも多く、期待と不安をまっすぐに受け止める役割になります。
保護者の気持ちが分かるからこそ、断れない、線を引けない。 その積み重ねで、休みの日まで頭が休まらなくなる先生も少なくありません。
1日と1年の中で、しんどさが集まる時間がある
辞めたい気持ちは、毎日同じ強さで続いているわけではないはずです。 特別支援学校には、負担が集中しやすい時間帯と時期があります。 それを知っておくと、自分の気持ちの波を、少し客観的に見られるようになります。
1日の流れ
学校によって違いはありますが、特別支援学校の1日は、おおむね次のように動きます。
・7時45分ごろ 出勤、打ち合わせ、教室の準備 ・8時30分ごろ スクールバスの到着、子どもの受け入れ、着替えや排泄の介助 ・9時から12時 授業(生活単元学習、自立活動、作業学習など) ・12時から13時 給食の指導と介助、歯みがき ・13時から14時30分 午後の授業 ・14時30分ごろ 下校、スクールバスへの見送り ・15時以降 連絡帳の記入、学年や学部の会議、個別の指導計画の作成、教材づくり
子どもがいる時間は、休憩をとるのが本当に難しい職場です。 給食の時間も、子どもの食事の介助をしながら自分は数分でかき込む、という先生は珍しくありません。 子どもが下校した後に、ようやく書類や打ち合わせの時間が始まります。
「子どもがいる時間は体力を使い、いなくなってからは頭を使う」 この二重の疲れが、毎日積み重なっていきます。
1年の流れ
1年の中にも、しんどさが強まる時期があります。
4月は、新しい子ども、新しいペアの先生との関係づくりが一気に始まります。 特別支援学校の子どもは環境の変化が苦手なことが多く、新年度は落ち着かない日が続きます。 大型連休の後から6月ごろにかけて、4月からの緊張の疲れがまとめて出てくる先生も多いです。
秋は、運動会や学習発表会などの行事が続きます。 子ども一人ひとりに合わせた役割や練習の工夫が必要で、準備の負担が大きくなります。
年度末は、個別の指導計画の評価や、次の学年への引き継ぎの書類が重なります。 来年度の担当が発表されるのもこの時期で、気持ちが大きく揺れやすくなります。
もし今が、こうした負担の山の時期なら、辞めたい気持ちが特に強く出ていることもあります。 その気持ちを否定する必要はありません。 ただ、「山の時期だから強く感じているのか」「時期に関係なくずっと続いているのか」を、少しだけ見分けてみてください。 ずっと続いているなら、それはあなたにとって大切な判断材料になります。
辞めたい理由を、4つの箱に分けてみる
ここからが、この記事で一番お伝えしたいことです。 「辞めたい」という気持ちを、そのままの大きな塊で抱えていると、どこから手をつければよいか分からなくなります。 一度、紙に書き出して、次の4つの箱に分けてみてください。
1つ目の箱 今の学校、今の学級の問題
ペアの先生との関係、管理職の方針、今年受け持っている子どもとの相性。 こうした理由は、「特別支援学校」ではなく「今のこの環境」の問題です。
この箱に入る理由が多いなら、辞めなくても変えられる可能性があります。 来年度に学級や学部が変われば、状況がまったく変わることもあるからです。
2つ目の箱 学校の種類や学部の問題
身体介助がつらい、行動への対応がつらい、高等部の生徒の体格が怖い。 こうした理由は、今いる学校の種類や、担当している学部と結びついています。
肢体不自由の学校から知的障害の学校へ、高等部から小学部へ。 同じ特別支援学校でも、種類や学部が変われば、仕事の中身は大きく変わります。 この箱に入る理由が多いなら、異動という選択肢を先に考えてみる価値があります。
3つ目の箱 先生という仕事そのものの問題
授業の準備や書類の多さ、長い勤務時間、行事への負担。 こうした理由は、特別支援学校に限らず、学校で働くこと自体と結びついています。
この箱が一番大きいなら、通常の学校へ移っても、同じしんどさが続く可能性があります。 学校の外で、子どもや障害のある人に関わる仕事を考えるほうが合っているかもしれません。
4つ目の箱 今の心と体の状態
眠れない、朝になると涙が出る、休みの日も仕事のことが頭から離れない。 こうした状態は、理由というより、あなたの心と体が出しているサインです。
この箱に当てはまることがあるなら、ほかの3つの箱を考えるより先に、まず休むことを優先してください。 疲れ切った状態で、大きな決断をするのはおすすめできません。 判断する力そのものが、弱っていることがあるからです。
辞める前に使える道は、思っているより多い
4つの箱に分けたら、それぞれに合った道を見ていきましょう。 特別支援学校の先生には、辞める前に使える道がいくつもあります。
管理職や主事に、具体的に相談する
1つ目の箱の理由が多いなら、まずは管理職や、学部をまとめる主事の先生に相談してみてください。 学級の組み合わせや担当の分担は、次の年度に向けて見直される機会があります。
相談するときは、「つらいです」だけでなく、「何が、どのくらい、いつから」を具体的に伝えるのがコツです。 「ペアの先生と支援の方針が合わず、この半年、毎日の打ち合わせで話が進まない」のように伝えると、相手も動きやすくなります。 記録を少しメモしておくと、話すときに気持ちが揺れても、伝えたいことが整理されたまま届きます。
学部の変更や、ほかの学校への異動を希望する
2つ目の箱の理由が多いなら、異動を考えてみましょう。 公立学校の先生は、毎年、自分の希望を書いて出す機会があります。 同じ学校の中での学部の変更なら、比較的通りやすいこともあります。
特別支援学校は、専門性を身につけるまでに時間がかかるため、一般的には数年働いてから異動する人が多い職場です。 すぐに希望が通らないこともありますが、希望を出し続けることで、いつ動けそうかの見通しが立ちます。
小学校や中学校の免許を持っている人は、通常の学校への異動を希望できる自治体もあります。 ただ、3つ目の箱が大きい人は、学校を移っても同じ負担が続かないか、よく考えてからにしてください。
休むという選択
4つ目の箱に当てはまるなら、休むことは逃げではありません。 公立学校の先生には、病気休暇や病気休職の制度があります。 取り方や期間は自治体によって違うので、学校の事務の担当者や、共済組合などの相談窓口に確認してみてください。
眠れない日が続いている、食欲がない、朝起き上がれない。 そういう状態が2週間以上続いているなら、医療機関に相談することを考えてみてください。 診断や治療が必要かどうかは、専門の医師が判断することです。 ここで大切なのは、「自分で我慢して何とかしよう」と1人で抱え込まないことです。
休んでいる間に、無理に答えを出す必要はありません。 心と体が少し戻ってから、4つの箱をもう一度見直せば大丈夫です。
学校の外に、話を聞いてもらえる場所を持つ
学校の中の人に相談しにくいときは、学校の外に目を向けてみてください。 多くの自治体の教育委員会や、先生が加入している共済組合などは、教職員向けの相談窓口を設けています。 電話やオンラインで、匿名で話を聞いてもらえる窓口もあります。
学校の外の人に話すよさは、評価や人事と切り離して、気持ちをそのまま言葉にできることです。 「こんなことを言ったら、来年の担当に影響するかもしれない」と考えずに話せるだけで、頭の中が少し整理されます。
窓口の案内は、学校に配られている資料や、自治体のサイトに載っていることが多いです。 今すぐ使わなくても、「困ったときに話せる場所がある」と知っておくだけで、心の支えになります。
講師や介助員として働いている人の「辞めたい」
ここまで、主に正規の先生を思い浮かべてお話ししてきました。 でも、特別支援学校では、期限付きの講師、非常勤の講師、介助員や看護師など、さまざまな立場の人が働いています。 立場によって、辞め方も、切り分け方も少し変わります。
期限付きの講師の場合
期限付きの講師は、正規の先生と同じように担任を持つことも多く、負担はほとんど変わりません。 それなのに、翌年度も同じ学校にいられるかは分からない。 この不安定さが、しんどさに重なっている人もいます。
講師の場合、任用期間は年度単位で決まっていることが多いため、「任期の終わりで区切る」という選び方ができます。 途中で辞めることに罪悪感を抱く必要はありませんが、体調に無理がなければ、任期の区切りまで働いてから次を考える人が多いです。 その間に、教員採用試験を受け直すのか、学校の外に出るのかを、落ち着いて考えられます。
介助員や非常勤の職員の場合
介助員や看護師などの非常勤の職員は、多くの自治体で1年ごとの任用になっています。 翌年度の更新を希望しないことで、自然に区切りをつけられる立場です。
こういう相談もよくあります。 「先生たちは忙しそうで、自分の困りごとを言い出せない」 非常勤の職員は、学級の中で意見を言いにくい立場になりがちです。 1つ目の箱に入る理由が多いなら、担当の先生ではなく、管理職や事務の担当者に直接相談してみてください。 担当する学級を変えてもらえるだけで、ずいぶん楽になることがあります。
立場に関係なく、覚えておいてほしいこと
どの立場で働いていても、心と体が限界に近いときは、任期の区切りを待たずに休んだり辞めたりしてかまいません。 「あと少しだから」と無理を重ねた結果、長く体調を崩してしまう人を、私はたくさん見てきました。 区切りの時期より、あなたの体のほうが大切です。
疲れているときに陥りやすい、判断の落とし穴
辞めるかどうかを考えるとき、気持ちが弱っていると、いくつかの落とし穴にはまりやすくなります。 よくあるものを挙げておきますね。
一番つらい日の夜に決めてしまう
子どもにけがをさせられた日、保護者から強い言葉を受けた日、ペアの先生と衝突した日。 その日の夜に「もう辞める」と決めてしまうのは、よくあることです。
その気持ちは本物です。 でも、決断そのものは、数日おいて、少し眠れた朝にもう一度考えてみてください。 それでも気持ちが変わらないなら、それは一時の感情ではなく、あなたの本当の答えです。
「辞める」か「我慢する」かの2択にしてしまう
疲れていると、選択肢が2つしか見えなくなります。 でも実際には、相談する、担当を変えてもらう、異動を希望する、休む、任期の区切りで離れる、と、間にいくつもの道があります。 4つの箱に分けたのは、この間の道を見つけるためです。
1人で抱えて、1人で決める
「家族に心配をかけたくない」「同僚に弱みを見せたくない」と、誰にも話さずに決めてしまう人がいます。 話すことで、自分でも気づいていなかった気持ちが言葉になることがあります。 信頼できる家族、友人、学校の外の相談窓口など、誰か1人でいいので、今の気持ちを聞いてもらってください。
次の場所を、今の場所の反対で選ぶ
「人間関係がつらかったから、1人でできる仕事を」「忙しかったから、とにかく楽な仕事を」 今の職場の反対を探すと、今度は別の理由でつらくなることがあります。 次の場所は、「何から逃げたいか」だけでなく、「何を大切にしたいか」で選ぶと、長く続けやすくなります。
それでも離れると決めたとき、次の場所の選び方
切り分けた結果、「やはり特別支援学校を離れたい」と感じたなら、その気持ちを大切にしてください。 あなたが積み重ねてきた経験は、学校の外でもしっかり活きます。
放課後等デイサービスや児童発達支援
特別支援学校の先生からの転職先として多いのが、放課後等デイサービスや児童発達支援です。 子どもの特性に合わせた関わり方、個別の計画に沿った支援、保護者との連絡の取り方は、そのまま現場で役立ちます。
一方で、給与の水準は学校より下がることが多く、夕方から夜にかけての勤務になります。 「子どもと関わる仕事は続けたいが、学校の書類や行事から離れたい」という人には合いやすい職場です。 保育や福祉の現場の相場を知っておきたい人は、保育士の年収・単価相場で、子どもに関わる仕事の年収の水準を確認しておくと、条件を比べるときの目安になります。
障害のある大人の支援
高等部を担当していた先生は、卒業後の進路にも関わってきたはずです。 就労移行支援や就労継続支援の事業所、グループホームなど、障害のある大人を支える仕事も選択肢になります。 介護や福祉の職場の給与を確かめたい場合は、介護職員の年収・単価相場で、福祉の現場の相場感をつかんでおくと安心です。
相談の仕事へ広げる
子どもや保護者の話を聞き、一緒に進路を考えてきた経験を、相談の仕事に広げる人もいます。 学校や企業で、働く人や学ぶ人のキャリアの相談にのる仕事には、国家資格のキャリアコンサルタントがあります。 資格の概要や受験の条件がまとまっているので、関心があれば一度目を通してみてください。
また、職場や転職の悩みに関わる仕事がどのように依頼されているかは、職場・転職・キャリア相談のお仕事に仕事内容の傾向がまとめられています。 学校の外で「話を聞く力」がどう求められているかを知ると、自分の経験の使い道が具体的に見えてきます。
教育の仕事を、形を変えて続ける
学習塾や家庭教師、フリースクール、発達に特性のある子どもに向けた教室など、学校の外にも教える場はあります。 担任としての責任や、学校全体の業務から離れて、「教えること」そのものに集中したい人には合う働き方です。
特別支援学校の経験を、次の職場でどう伝えるか
転職の面接で、「学校で先生をしていました」とだけ伝えるのは、もったいないことです。 特別支援学校で身につけた力は、言葉にすると、学校の外でも伝わりやすくなります。
たとえば、次のような力です。
・言葉で気持ちを伝えにくい相手の様子から、困りごとを読み取る力 ・一人ひとりに合わせて目標を立て、記録をとり、振り返る力 ・立場の違う人(ペアの先生、看護師、保護者、医療や福祉の関係者)と情報をそろえて動く力 ・予定どおりにいかない場面で、落ち着いて優先順位をつけ直す力
面接では、この力を、具体的な場面と一緒に話してみてください。 「着替えに時間がかかっていた子に、手順を写真のカードにして示したところ、1学期の終わりには1人でできるようになった」 こうした話は、福祉の現場でも、企業の人事の場でも、あなたの仕事の進め方を具体的に伝えてくれます。
反対に、学校の外の人には伝わりにくい言葉もあります。 「自立活動」「個別の指導計画」「重複学級」といった言葉は、そのまま使うより、「一人ひとりの課題に合わせた計画を作り、毎月見直していました」のように言いかえると、相手に届きやすくなります。
辞めると決めてからの進め方
最後に、辞めると決めたあとの進め方をお話しします。 焦らなくて大丈夫です。 順番に進めれば、あなたにも、子どもたちにも、無理のない形で区切りをつけられます。
伝える時期は、年度の区切りを意識する
学校の先生は、年度の途中で辞めると、代わりの先生を探すのが難しくなります。 体調の理由でどうしても続けられない場合は別ですが、そうでなければ、年度末での退職を目安に考える人が多いです。
次の年度の人事は、秋から冬にかけて動き始めます。 年度末に辞めたいと考えているなら、できるだけ早めに管理職に伝えておくと、学校の側も準備がしやすくなります。
退職の前に、次の暮らしを数字で確かめる
辞めたあとの生活費、住民税の支払い、健康保険の切り替えなど、お金の面も先に確認しておきましょう。 住民税は前の年の収入をもとに決まるため、収入が下がった年にも、前の年の水準で支払うことになります。 退職の数か月前から、ざっくりとした家計の見通しを立てておくと、次の仕事を焦って選ばずに済みます。
家族に話すときのこと
家族に「辞めたい」と伝えるのは、勇気がいることです。 安定した仕事を手放すことに、家族が不安を感じるのは自然なことでもあります。
話すときは、「辞めたい」という結論だけを伝えるより、この記事で切り分けた4つの箱を一緒に見せるほうが、分かってもらいやすくなります。 何がつらいのか、辞める前にどんな道を試したのか、辞めたあとの暮らしをどう考えているのか。 順番に話せば、家族はあなたの決断を「勢い」ではなく「考えた結果」として受け止めやすくなります。
すぐに賛成してもらえなくても、大丈夫ですよ。 家族にも、あなたの話を受け止める時間が必要です。 一度で結論を出そうとせず、何回かに分けて話してみてください。
一度離れても、戻る道はある
「辞めたら、もう子どもに関わる仕事には戻れない」と思い込んでいる先生もいます。 でも実際には、数年離れてから講師として学校に戻る人、福祉の現場で経験を積んでから再び教員採用試験を受ける人もいます。 特別支援学校の経験を持つ人は、どの地域でも求められています。
今の決断は、一生を決めるものではありません。 「今の自分にとって、一番無理のない場所を選ぶ」 それくらいの気持ちで考えて、大丈夫です。
子どもたちとの別れ方
特別支援学校の子どもたちは、急な変化が苦手なことがあります。 あなたが担任を離れるとき、どう伝えるか、いつ伝えるかは、学校の方針と合わせて考えることになります。 「最後まで責任を果たせなかった」と自分を責める先生もいますが、引き継ぎを丁寧にすることが、あなたにできる十分な責任の果たし方です。
私自身、長く勤めた職場を離れたとき、「途中で投げ出してしまった」と感じて、しばらく自分を責めていました。 けれど、離れてから振り返ると、あのとき立ち止まったからこそ、今の仕事に向き合えていると思えます。 区切りをつけることは、終わりではなく、次に進むための準備です。
運営者の立場から見た、働く場所を選び直すということ
フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から、少しだけお話しさせてください。
働き方の相談を長く見てきて感じるのは、長く穏やかに働けている人ほど、「どこで働くか」を一度きりで決めていないということです。 合わない場所から離れることを、失敗ではなく調整だと捉えている人は、次の場所でも自分の力を出せています。 特別支援学校で身につけた、相手に合わせて関わりを変える力は、学校の外でも必ず求められています。
もう1つは、自分の力が正当に報われる形を選ぶことです。 組織を離れて働く人を見ていると、間に入る取り分が少ない直接のやりとりほど、同じ仕事でも受け手の手取りが厚くなり、頼む側も受ける側も無理なく続いています。 在宅ワークの世界で手数料0%の直接取引を大切にしてきたのも、そうした関係のほうが長く続くと見てきたからです。 次の働き方を考えるときは、仕事の中身だけでなく、「自分の力がどう受け取られ、どう報われるか」にも目を向けてみてください。
特別支援学校を辞めたいと感じた今のあなたは、自分を守るための大切なサインを受け取っています。 切り分けて、休んで、選び直す。 その順番で進めば、どの道を選んでも、あなたの経験は無駄になりません。 あなたは一人じゃありません。
よくある質問
Q. 特別支援学校を辞めたいのは甘えでしょうか?
甘えではありません。特別支援学校は、複数の先生で1つの学級を見る人間関係の難しさ、身体介助や行動への対応、保護者との距離の近さなど、ほかの学校にはない負担が重なる職場です。精神疾患による休職の割合が高いことも指摘されており、しんどさの多くは職場の構造から生まれています。
Q. 特別支援学校から通常の学校に異動することはできますか?
小学校や中学校などの免許を持っていれば、自治体によっては通常の学校への異動を希望できます。ただし希望がすぐに通るとは限らず、特別支援学校では数年働いてから異動する人が多い傾向があります。つらさの原因が教職そのものにある場合は、学校を移っても負担が続く可能性があるため、理由を切り分けてから考えるのがおすすめです。
Q. 特別支援学校の教員を辞めた人は、どんな仕事に転職していますか?
放課後等デイサービスや児童発達支援、就労移行支援などの福祉の事業所、学習塾やフリースクールなどの教育の仕事、相談の仕事などが多い傾向です。子どもの特性に合わせた関わり方や保護者との連携の経験は、福祉や教育の現場でそのまま評価されます。給与や勤務時間は職場によって大きく違うので、条件を比べてから決めてください。
Q. 心身がつらいとき、辞める前に休むことはできますか?
公立学校の先生には、病気休暇や病気休職の制度があります。取り方や期間は自治体によって違うため、学校の事務担当者や共済組合などの相談窓口で確認してください。眠れない、食欲がないといった状態が続いている場合は、辞めるかどうかを決める前に、まず医療機関に相談し、休むことを優先するのがおすすめです。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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