手術室はきついと言われる理由|負担が集まる場面と、続く人のやり方


この記事のポイント
- ✓手術室はきついと言われるのはなぜか
- ✓覚えることの多い最初の1〜2年
- ✓長時間の立ち仕事と体の負担
「手術室に配属されてから、毎朝お腹が痛くなるんです」。
手術室で働く看護師さんから、こういうご相談をいただくことがあります。
器械の名前が覚えられない。先生の声が怖い。何時に帰れるか分からない。そして、患者さんと話す時間がほとんど無いことに、自分がなぜ看護師になったのか分からなくなる。
手術室がきついと言われるのには、ちゃんと理由があります。あなたの力が足りないからではありません。
大丈夫ですよ。きつさがどこから来ているのかが分かれば、対処の仕方も見えてきます。この記事では、手術室で負担が集まりやすい場面をひとつずつ見ながら、続けている人がどんな工夫をしているのか、そして休む、離れることを考えたほうがよいのはどんなときかを、順番にお話しします。
手術室が「きつい」と言われる背景
まず、手術室のきつさは、看護師という仕事全体の大変さの上に重なっている、ということを知っておいてください。
看護師の転職を支援する会社の記事では、手術室の看護師について、次のように紹介しています。
日本医療労働組合連合会の調査によると、看護師の79.2%は辞めたいと考えながら働いているという結果が出ました。 手術室看護師も例外ではなく、専門性が高く、やりがいも大きい一方で、つらいと感じる側面もあるといえます。 出典: ns-pace-career.com
8割近くの看護師が、辞めたいと思いながら働いている。この数字を見ると、少しほっとしませんか。
「つらい」と感じているのは、あなただけではないんです。
そのうえで、手術室には、病棟とは違う種類の負担があります。病棟の大変さが「たくさんの患者さんを同時に受け持つこと」だとすると、手術室の大変さは「ひとつの手術に、決まった時間、集中し続けること」です。
心理学では、人が集中を続けられる時間には限りがあると考えます。手術室の仕事は、その限りに近いところまで、毎日集中を求められる仕事です。そこに、覚えることの多さ、体の負担、人間関係の緊張、読めない終業時刻が重なります。
もうひとつ、手術室ならではの特徴があります。閉じた空間で、同じメンバーと長い時間を過ごすことです。病棟なら、苦手な人がいても、別の部屋の患者さんのところへ行けば少し距離が取れます。手術室では、手術が終わるまで同じ部屋にいなければいけません。
こうした特徴を知っておくと、「なぜ自分はこんなに疲れているんだろう」という疑問に、少し答えが出てきます。疲れているのは当たり前の環境にいる。まずは、そう受け止めてあげてください。
ちなみに、手術室に向いているかどうかは、最初の数か月では判断できないことが多いです。
最初は誰でも、覚えることの多さに押しつぶされそうになります。その時期に「向いていない」と決めてしまうと、本当は合っていたかもしれない道を閉ざしてしまうことがあります。
一方で、何年たっても毎朝体が拒否する、という状態なら、それは向き不向きの問題ではなく、今の負担が大きすぎるというサインかもしれません。
大切なのは、「きつい」という気持ちを、我慢するか辞めるかの二択で考えないことです。きつさの中身を分けて、変えられるものから変えていく。その間に、自分に合うかどうかが少しずつ見えてきます。
ここからは、負担が集まりやすい場面を、ひとつずつ見ていきます。
負担が集まる場面1:覚えることが多い、最初の1〜2年
手術室のきつさを一番強く感じるのは、配属されてから最初の1〜2年だと言われます。
器械と手順の多さ
手術室には、何百種類もの器械があります。鉗子ひとつをとっても、先の形や長さで名前が違います。糸の種類、材料の種類、医療機器の使い方。そして、それが手術の種類ごとに、手順と一緒に組み合わさっています。
さらに、同じ手術でも、執刀する医師によって使う器械や順番の好みが違います。「A先生はこの鉗子、B先生はこっち」。これを覚えるまでは、渡すたびにどきどきします。
独り立ち前のプレッシャー
最初のうちは、先輩が付いて一緒に手術に入ります。心強い一方で、「見られている」緊張もあります。器械を渡し間違えると、術者に言われ、先輩にも指摘される。1日に何度もそれが続くと、自信がどんどん削られていきます。
こういう相談がよくあります。「毎晩、翌日の手術の手順を覚えるために2時間勉強しているのに、当日になると頭が真っ白になる」。
これ、実はとても自然なことなんです。人は強い緊張の中にいると、覚えたことを思い出しにくくなります。あなたの記憶力の問題ではなく、緊張がそうさせているんです。
病棟の経験が通用しないつらさ
病棟で何年も経験を積んでから手術室に異動した人ほど、このつらさを強く感じることがあります。病棟では頼られる立場だったのに、手術室では一年目と同じように一から教わる。
「前の部署ではできていたのに」という気持ちは、自分を責める気持ちに変わりやすいです。でも、手術室の仕事は、病棟とはまったく違う技術です。できなくて当たり前の場所に、今あなたはいます。
続けている人のやり方
最初の1〜2年を越えた人に話を聞くと、共通していることがあります。
・術式ごと、術者ごとに、自分だけのノートを作っている ・一度に全部を覚えようとせず、「今月はこの手術」と範囲を決めている ・手術が終わった直後に、うまくいかなかったことを1行だけメモしている ・分からないことを、手術の前に先輩に聞く時間を作っている
ノートは、きれいにまとめる必要はありません。「A先生、閉腹のときこの糸」「この手術、ここで吸引が必要」。現場で役に立つ一言が並んでいれば十分です。
私自身も、新しい仕事を覚えるときに、全部を完璧にしようとして疲れ切ってしまった経験があります。そのとき助けになったのは、「今週はこれだけできればいい」と範囲を小さくすることでした。範囲を決めると、できたことが目に見えるようになって、少しずつ自信が戻ってきます。
負担が集まる場面2:体にかかる負担
手術室の仕事は、体力的にもきつい仕事です。これも、配属されてから気付く人が多い部分です。
長時間の立ち仕事
器械出しの看護師は、手術のあいだずっと立っています。短い手術なら1時間ほどですが、大きな手術では6時間を超えることもあります。清潔野にいる間は、座ることも、自由に体を動かすこともできません。
足のむくみ、腰痛、足の裏の痛み。手術室で働く人の多くが、何かしらの体の不調を抱えています。
放射線を防ぐエプロンの重さ
整形外科や血管の手術では、手術中にレントゲンで体の中を映しながら進めることがあります。そのとき、看護師は放射線から身を守るために、鉛の入ったエプロンを着けます。
このエプロンは、種類によっては数キロの重さがあります。重いエプロンを着けたまま何時間も立つと、肩や腰への負担はかなり大きくなります。
寒さと、手荒れ
手術室は、感染を防ぐためと、手術着を着た医師が汗をかかないように、室温が低めに設定されていることが多いです。手術着の下は薄着なので、冷えを感じやすくなります。
そして、手洗いと消毒の回数が多いので、手が荒れやすくなります。ひどくなると、手袋を着けるだけで痛むこともあります。
水分とトイレ
清潔野にいる間は、水を飲むことも、トイレに行くこともできません。長時間の手術の前に水分を控える人もいますが、それを続けると、膀胱炎や体調不良につながることがあります。
続けている人のやり方
体の負担に対しては、小さな工夫の積み重ねが効きます。
・着圧のある靴下や、クッション性のある靴の中敷きを使う ・手術と手術の間に、ふくらはぎやかかとを動かす ・手術室用の上着や、手術着の下に着られる薄い保温の肌着を使う(職場で認められている範囲で) ・休憩のたびにハンドクリームで手を守る ・長時間の手術の前には、交代のタイミングを先輩と確認しておく
こういう相談がよくあります。「体がつらいと言うと、甘えていると思われそうで言えない」。
体のつらさを伝えることは、甘えではありません。長時間の手術で交代を入れてもらうのは、あなたのためだけでなく、患者さんの安全のためでもあります。疲れて集中が切れた状態で器械を数えるほうが、ずっと危ないのですから。
負担が集まる場面3:緊張と、人間関係
手術室のきつさとして、多くの人が挙げるのが、緊張の強さと、人間関係です。
ミスが許されない緊張
手術室では、ひとつの見落としが、患者さんの体に直接影響します。ガーゼの数を数え間違える、検体の名前を取り違える、体位で神経を圧迫する。どれも、あってはならないことです。
この「絶対に間違えられない」という緊張を、毎日、何時間も続けます。手術が終わったあとに、どっと疲れが出るのは当然です。
術者の強い口調
手術中は、術者も強く緊張しています。急な出血や、思うように進まない場面では、口調が荒くなることがあります。器械を渡すのが少し遅れただけで、強い言葉が飛んでくる。
こういう相談がよくあります。「先生に怒鳴られた声が、家に帰っても頭の中で繰り返される」。
強い言葉を受け続けると、人は「自分はだめな人間だ」と感じやすくなります。でも、緊迫した場面での口調の強さは、あなたの価値を決めるものではありません。
一方で、手術と関係のない人格を否定する言葉や、物を投げるような行為は、許されるものではありません。そうしたことが続くなら、ひとりで我慢せず、看護師長や院内の相談窓口に伝えてください。職場には、働く人をパワーハラスメントから守る措置を取る義務があります。
閉じた空間での人間関係
手術室は、看護師の人数が決まっていて、同じメンバーと長く一緒に働きます。先輩との相性が合わないと、毎日同じ部屋で顔を合わせることになり、逃げ場が無いと感じやすくなります。
患者さんと話せない寂しさ
手術室の患者さんの多くは、麻酔で眠っています。「ありがとう」と言ってもらえる場面が、病棟と比べてぐっと少なくなります。
看護師になった理由が「患者さんと関わりたかったから」という人ほど、この寂しさは大きいです。やりがいを感じられないまま緊張だけが続くと、心がすり減っていきます。
続けている人のやり方
緊張と人間関係については、次のような工夫をしている人が多いです。
・術前訪問や術後訪問の時間を大切にし、患者さんと話す機会を自分から作る ・強い口調を受けたら、その日のうちに信頼できる同僚に話して、ひとりで抱えない ・「今の言葉は、自分への評価ではなく、手術の緊張から出たもの」と、事実と気持ちを分けて考える ・手術室の外に、仕事と関係のない話ができる場所を持つ
事実と気持ちを分けて考える、というのは、心理の分野でもよく使われる方法です。「先生に強く言われた」は事実。「自分はだめだ」は、その事実から生まれた気持ち。この2つを分けて紙に書いてみるだけで、気持ちが少し落ち着くことがあります。
負担が集まる場面4:時間が読めない、休みが休みにならない
手術室のきつさには、時間の読めなさもあります。
終業時刻が読めない
予定の手術が長引く。日中に緊急手術が入って、午後の手術が後ろにずれる。こうしたことが重なると、帰る時間が19時、20時になる日もあります。
時間が読めないと、予定が立てられません。友人と会う約束をしても、ぎりぎりまで行けるか分からない。そのうち、約束をすること自体をやめてしまう人もいます。
オンコールの夜
緊急手術に備えたオンコールの当番の日は、自宅にいても、いつ電話が鳴るか分からない状態で過ごします。遠出はできず、お酒も控え、お風呂に入るのも急いで済ませる。
呼び出しがなかった夜でも、「いつ鳴るか」と気が張って、ぐっすり眠れなかったという声はとても多いです。休みの日のはずなのに、心と体は休まっていない。これがオンコールのつらさです。
呼び出されて深夜に手術に入り、そのまま翌日も勤務になる職場では、疲れがさらに積み重なります。
続けている人のやり方
時間の読めなさに対しては、「読めない前提で暮らしを組む」工夫をしている人が多いです。
・オンコールの当番の日は、最初から予定を入れない日と決めてしまう ・呼び出しに備えて、着替えや持ち物を玄関にまとめておき、準備の不安を減らす ・当番の翌日に、できるだけ休みか遅い出勤を入れてもらえるよう、勤務表の相談をする ・当番でない休みの日は、仕事のことを考えない時間を意識して作る
「読めない」ことそのものは変えられなくても、読めないことへの不安は小さくできます。準備が済んでいると思えるだけで、待機の夜の気の張り方が少し変わります。
家族との時間をどう守るか
時間が読めない仕事は、本人だけでなく、一緒に暮らす家族にも影響します。夕食を一緒に食べられない日が続く。子どものお迎えを急に頼まなければいけない。オンコールの夜に電話が鳴ると、家族も起きてしまう。
こういう相談がよくあります。「家族に申し訳なくて、仕事のつらさを家で話せない」。
家族に話しにくい気持ちは、よく分かります。でも、手術室の働き方の仕組みを家族に一度説明しておくと、お互いの気持ちが楽になることがあります。「オンコールの日はこういう過ごし方になる」「手術が延びると連絡できないことがある」。事情が分かっていれば、家族も心の準備ができます。
そして、当番でない日の夕食や週末など、「この時間は家族と過ごす」と決めた時間を、できるだけ守るようにしてみてください。全部の時間を守れなくても、守れる時間があることが、心の支えになります。
職場の体制で、きつさはこれだけ変わる
ここまでの工夫は、自分でできることでした。
でも、同じ手術室でも、職場の体制によって、きつさはかなり変わります。「手術室はどこもきつい」と一括りにする前に、今の職場の体制を一度見直してみてください。
交代してくれる人がいるか
長時間の手術のときに交代に入ってくれる、リリーフの看護師がいるかどうか。これは体の負担に直結します。リリーフの人数が少ない職場では、休憩が後ろにずれ、水分もトイレも我慢する時間が長くなります。
ほかの職種がそろっているか
医療機器の準備やトラブル対応を臨床工学技士が担い、器械の洗浄や物品の補充を看護助手や中央材料室の職員が担っている職場では、看護師が看護の仕事に集中できます。こうした職種が少ない職場では、看護師が何でも引き受けることになり、忙しさが増します。
教える仕組みがあるか
新しく入った人に、手術の種類ごとに段階を踏んで教える仕組みがあるかどうか。決まった先輩が付いて相談に乗ってくれるか。こうした仕組みが整っている職場では、最初の1〜2年のつらさがやわらぎます。反対に、「見て覚えて」という職場では、ひとりで抱え込みやすくなります。
夕方とオンコールの体制
遅番を置いて夕方に引き継ぐ職場か、日勤の人がそのまま残る職場か。オンコールで呼び出された翌日に、休みや遅い出勤を入れてくれる職場か。この違いで、時間の読めなさによる疲れの溜まり方が変わります。
手術の件数と、診療科
救急を多く受け入れている病院では、緊急手術とオンコールの呼び出しが増えます。心臓や脳の大きな手術が多い病院では、長時間の手術が増えます。反対に、眼科や日帰りの手術が中心の病院では、1件が短く、終業時刻が読みやすくなります。
もし今の職場で、交代がほとんど回っていない、教える仕組みが無い、オンコールの翌日も通常勤務、という状態が重なっているなら、きつさの原因の多くは、あなたではなく職場の体制にあります。
そのときは、看護師長に体制の相談をしてみる。それでも変わらなければ、同じ手術室の仕事を、体制の整った別の病院で続けるという道もあります。手術室の仕事そのものが好きなら、職場を変えるだけで、驚くほど楽になることがあるんです。
心と体のサイン:休む、離れることを考える目安
ここまで、続けている人の工夫をお話ししてきました。
でも、工夫だけで乗り越えようとしなくていいんです。つらさが限界を超えているときは、休むことや、職場を離れることも大切な選択です。
気をつけてほしいサイン
次のような状態が、2週間以上続いているときは、心と体が助けを求めているサインかもしれません。
・眠れない、または朝早く目が覚めてしまう ・食欲が落ちた、または食べすぎてしまう ・休みの日も、仕事のことが頭から離れない ・出勤前に、腹痛や吐き気、動悸がする ・好きだったことが楽しめなくなった ・理由もなく涙が出る
これらは、気合いが足りないから起きるのではありません。心と体が、今の負担は大きすぎると教えてくれているんです。
自分では気付きにくいサインもあります。家族から「最近、ため息が多いね」と言われる。同僚から「顔色が悪いよ」と声をかけられる。休みの日にずっと横になっている。こうした周りからの声や、自分の行動の変化も、大切な手がかりです。
手術室で働く人は、「自分がしっかりしなければ」と思う責任感の強い人が多いです。責任感が強い人ほど、限界まで頑張ってしまいます。周りの声に、少しだけ耳を傾けてみてください。
相談できる場所
まずは、職場の中で相談できる場所を確かめてみてください。
常時50人以上の働く人がいる事業場では、年に1回のストレスチェックと、産業医の選任が義務になっています。病院の多くはこれにあたります。ストレスチェックで高い負担が分かった人は、申し出れば医師の面接を受けられます。産業医に相談した内容は、本人の同意なく職場に伝えられることはありません。
職場の中で話しにくいときは、外の相談先を使うこともできます。厚生労働省は、働く人の心の健康について、相談窓口の案内や、ストレスへの対処の情報を公開しています。
眠れない、食べられないといった体の症状が続くときは、心療内科や精神科を受診してください。早めに受診するほど、回復までの時間は短くなります。
休むことは、逃げではない
こういう相談がよくあります。「今休んだら、手術室のみんなに迷惑をかける。人も足りないのに」。
その優しさは、あなたの素晴らしいところです。でも、あなたが倒れてしまったら、もっと長い間、職場を離れることになります。休むことは、長く働き続けるための選択です。
私がお話を聞いてきた方の中にも、一度しっかり休んで、別の部署や別の職場で、また看護の仕事を楽しめるようになった方がたくさんいます。
手術室を離れるなら:経験が生きる職場の選び方
手術室が合わないと感じたとき、看護師を辞めるしかない、と思い詰めてしまう方がいます。
手術室の経験が生きる職場
| 職場 | 手術室の経験が生きる点 | 手術室との違い |
|---|---|---|
| 日帰り手術のクリニック | 手術の流れと器械の知識、術前術後の観察 | 緊急手術やオンコールがほぼ無く、終業時刻が読みやすい |
| 眼科の専門病院 | 清潔の保ち方、決まった手順を正確に回す力 | 1件が短く、長時間の立ち仕事が少ない |
| 内視鏡室 | 器械の扱い、鎮静中の患者さんの観察 | 予約制で時間が読みやすい |
| 心臓カテーテル室 | 清潔操作、急変時の対応、医療機器の知識 | 緊急の呼び出しがある病院も多い |
| 外来 | 術前の説明、検査の介助、急変時の判断 | 夜勤やオンコールが無く、患者さんと話す時間がある |
| 病棟(外科系) | 術式の理解、術後の合併症の見立て | 受け持ち患者さんとの関わりが増え、夜勤がある |
たとえば、患者さんと話せない寂しさがつらかった人には、外来や外科系の病棟が合うことがあります。体の負担やオンコールがつらかった人には、日帰り手術のクリニックや内視鏡室が合うことがあります。
大切なのは、「手術室の何がつらかったのか」を先にはっきりさせることです。つらさの中身が分かっていれば、次の職場で同じつらさを繰り返さずに済みます。
求人票と見学で確かめること
次の職場を探すときは、つらかった点がその職場ではどうなっているかを、具体的に確かめてください。
・終業時刻が読めなかった人は、月の平均残業時間と、遅番の有無 ・オンコールがつらかった人は、当番の回数と、実際に呼び出される頻度 ・人間関係がつらかった人は、見学のときの職員同士の声のかけ方 ・体の負担がつらかった人は、1件あたりの手術や検査の長さと、交代の仕組み
看護師の年収は、夜勤やオンコールの有無で大きく変わります。手当が減る職場に移ると、収入が下がることもあります。看護師の年収や時給の相場を統計データで整理したページで全体の幅を確かめておくと、次の職場の条件を落ち着いて比べられます。
どう動けばよいか決めきれないときは、ひとりで答えを出そうとしなくて大丈夫です。職場選びや働き方の相談に乗ることを仕事にしている人がいます。どんな相談に乗り、どう一緒に整理していくのかは、次のページで紹介されています。
国家資格のキャリアコンサルタントは、働き方の悩みを一緒に整理する専門職です。どういう資格で、どんな場面で相談に乗っているのかも、確かめておくと安心です。
運営者の視点で見る、手術室の経験と働き方の広げ方
フリーランスや在宅ワークの市場を長く見てきた立場から言えば、心や体をすり減らしてしまう前に、働き方の選択肢を少し広げておくことには大きな意味があります。ひとつの職場にすべてを預けていると、その職場がつらくなったときに、逃げ場が無いと感じやすいからです。
看護師の資格と臨床の経験を生かして、病院の外でできる仕事もあります。医療記事の執筆や監修、オンラインでの健康相談、医療系の資料の翻訳、治験データの入力や点検など、どんな仕事があり、どう始めればよいのかは、次の記事で紹介されています。すぐに始めなくても、「こういう道もある」と知っておくだけで、気持ちに少し余裕が生まれます。
運営者として見てきた限りでは、長く働き続けている人ほど、無理に仕事を増やすのではなく、「この人に任せると安心」と思ってもらえる関係を少しずつ作っています。手術室で身に付けた、手順を正確に守る力、細かな変化に気付く力は、そうした信頼の土台になります。
仲介の手数料が乗らない形で直接仕事を受けられると、依頼する側は同じ予算でより長く頼めて、受ける側は手数料0%のぶん手取りが厚くなります。心と体を守るために働く時間を減らしたい時期ほど、1時間あたりに手元へ残る金額の差は、暮らしの安心に直結します。
最後に、今日からできることを3つだけお伝えします。
1つ目は、手術室の何がつらいのかを、紙に書き出してみること。覚えること、体、人間関係、時間。どこに一番負担が集まっているかが見えてきます。
2つ目は、そのつらさに対して、この記事で紹介した工夫をひとつだけ試してみること。全部をやろうとしなくて大丈夫です。
3つ目は、つらさを話せる相手を、ひとり決めておくこと。同僚でも、家族でも、職場の外の専門家でもかまいません。
手術室がきついと感じるのは、あなたが真剣に患者さんの安全を守ろうとしている証拠です。自分を責めずに、自分に合う働き方を探していってくださいね。あなたは一人じゃありません。
よくある質問
Q. 手術室の仕事がきついのは最初だけですか?
最初の1〜2年が一番きついと感じる人が多い傾向です。器械の名前や手術の手順、術者ごとの好みを覚えるまでは緊張が続きますが、慣れてくると次の動きが読めるようになり負担は軽くなります。ただし長時間の立ち仕事やオンコールの負担は慣れても残るため、交代の仕組みや当番の回数など職場の体制も合わせて見ておくことが大切です。
Q. 手術室が合わない場合、看護師を続けられる職場はありますか?
あります。手術室で身に付けた清潔操作や器械の知識、急変時の判断は、日帰り手術のクリニック、眼科の専門病院、内視鏡室、外来、外科系の病棟などで生かせます。何がつらかったのかを先にはっきりさせると、オンコールが無い職場、患者さんと話せる職場など、同じつらさを繰り返さない選び方ができます。
Q. オンコールの夜に眠れないのはどうすればよいですか?
呼び出しへの不安で眠りが浅くなるのはよくあることです。当番の日は予定を入れない日と決め、着替えや持ち物を玄関にまとめておくと、準備の不安が減って気持ちが落ち着きやすくなります。当番の翌日に休みや遅い出勤を入れてもらえるか勤務表の相談をするのも一つの方法です。眠れない状態が2週間以上続くときは医療機関に相談してください。
Q. 手術室で先生の強い口調がつらいときはどうすればよいですか?
緊迫した場面での強い口調は、あなたへの評価ではなく手術の緊張から出ていることが多いです。その日のうちに信頼できる同僚に話し、ひとりで抱えないようにしましょう。一方で、人格を否定する言葉や物を投げる行為が続く場合は、看護師長や院内の相談窓口に伝えてください。職場にはパワーハラスメントを防ぐ措置を取る義務があります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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