小規模保育園へ転職するという選択|前の職場との落差と、決め手


この記事のポイント
- ✓小規模保育園への転職で実際に何が変わるのかを
- ✓給与や借り上げ社宅まで具体的に整理しました
- ✓前の職場との落差に戸惑わないために
「小規模保育園に移ろうか迷っているけれど、実際どうなんでしょうか」。このご相談、本当によくいただきます。
そして話を伺っていくと、迷いの中身はだいたい2つに分かれます。今の園がつらくて逃げたいのか、小規模という働き方そのものに惹かれているのか。この2つは似ているようで、転職後の満足度がまったく違います。
大丈夫ですよ。どちらであっても、移る前に知っておけば防げることはたくさんあります。この記事では、小規模保育園に移った人が実際にどんな落差を感じたのか、そして何が決め手になったのかを、できるだけ具体的に書いていきます。給与や制度の話だけでなく、その園の中で1日がどう流れるのか、人との距離がどう変わるのかまで。あなたは一人じゃありませんし、迷っていること自体は何もおかしくありません。
小規模保育園への転職で、一番大きい落差は「人数の少なさ」そのもの
小規模保育事業の定員は6人以上19人以下と決まっています。対象は0歳児から2歳児まで。これだけで、前の職場との違いのほとんどが説明できてしまいます。
定員120人の認可保育所から、定員19人の園に移るとします。子どもの数は6分の1以下です。でも本当に変わるのは、子どもの数より職員の数のほうなんです。
前の園に保育士が25人いたとします。移った先は6人かもしれません。すると、朝の申し送りは会議ではなく立ち話になります。誰かが休んだときの代わりは、その場にいる人が担います。相談したい相手を選ぶということが、そもそもできなくなります。
このご相談でよく聞くのが、「小さい園なら楽だと思っていた」という言葉です。子どもが少ない。行事も少ない。だから負担も軽いだろう、と。
実際に移った方の話を聞くと、負担の総量は必ずしも減っていません。減るのは「分業できる範囲」のほうです。大きな園では、給食は調理員が、掃除は用務の方が、事務は主任や事務員が担っていました。小規模ではその線引きが薄くなります。保育をしながら電話を取り、午睡の間に書類を書き、閉園後に翌日の準備をする。作業の種類が増えるのです。
ただ、これを苦しいと感じるかどうかは人によります。私が相談を受けた中には、「やることが全部見えているほうが落ち着く」と言う方が何人もいました。大きな園では自分の担当外で何が起きているか分からず、そのことにずっと不安があったそうです。小規模に移ってから、園全体が視界に入るようになって初めて眠れるようになった、と。
つまり、人数の少なさは良し悪しではなく、相性です。あなたがどちらのタイプかは、前の職場で何にいちばん疲れていたかを思い出すと見えてきます。
1日の動き方がどう変わるか|行事のための時間が消える
大きな園から移った方が最初に驚くのが、時間の使われ方です。
認可保育所の年間予定を思い出してください。運動会、発表会、卒園式、遠足、保護者会。その準備が、日々の保育の裏側でずっと走っていました。衣装を作る、プログラムを組む、練習の時間を確保する。この作業は勤務時間の中に収まりきらず、持ち帰りになることも多かったはずです。
小規模保育園では、この部分が大きく減ります。対象が0歳児から2歳児なので、そもそも発表会や運動会が成立しにくい。やっても保護者参加の小さな会で、練習期間は数日です。卒園式はありますが、3歳で次の園に移るための送り出しなので、規模が違います。
この落差は、想像以上に大きいです。私が相談を受けた方は、移って半年ほど経ったころに「夜、家で何もしなくていいことにまだ慣れない」と話していました。手が空く時間ができたことに、逆に落ち着かなくなってしまったんですね。長く続いた忙しさは、習慣として体に残ります。
では、その時間はどこへ行くのか。個別の記録と、保護者とのやり取りに向かいます。
0歳児から2歳児の保育では、一人ひとりの食事量、排泄、睡眠、体温を毎日記録します。連絡帳も、乳児クラスは記述量が多い。子どもの人数が少ないぶん、1人あたりにかける時間は増えます。「今日はこれを初めて食べました」「つかまり立ちの時間が伸びました」といった細かい変化を、その日のうちに言葉にして伝える。この密度が、大きな園の幼児クラスとはまったく違います。
登降園の場面も変わります。定員19人なら、保護者は毎日ほぼ同じ顔ぶれです。半年も経てば、全家庭の事情がある程度分かるようになります。これは信頼関係が築きやすい反面、距離が近すぎて疲れる方もいます。
そしてもう1つ。小規模では「自分のクラス」という区切りが薄くなります。0歳児の担当だから0歳児だけを見る、とはなりません。手が空いている人が動く運用が基本です。役割がはっきりしているほうが安心する方には、この曖昧さがストレスになります。
人間関係の密度が上がる|逃げ場がないという現実
正直にお伝えしますね。小規模保育園への転職で、いちばん失敗の原因になりやすいのが人間関係です。
大きな園では、合わない人がいてもクラスが変われば距離が取れました。学年が違えば、日中はほとんど顔を合わせません。年度が替われば配置も変わります。
定員19人、職員6人の園では、それができません。6人のうち1人と合わないというのは、職場の17%と合わないということです。しかも、その1人と1日中同じ部屋にいます。
こういう相談がよくあります。「園の方針も、子どもたちも、通勤時間も申し分ない。でも、主任の方と噛み合わない。それだけで毎朝つらい」。小規模ではこの「それだけ」が、そのまま労働条件になってしまうんです。
だから見学が決定的に重要になります。求人票からは絶対に読み取れない情報が、30分の見学で手に入ります。
見学のときに見ていただきたいのは、子どもではなく大人のほうです。職員同士がどんなふうに声をかけ合っているか。1人が子どもから手を離したとき、誰かが自然に代わりに入っているか。誰かが困っているとき、周りが気づいているか。
この3つが成り立っている園は、規模に関係なく働きやすい確率が高いです。逆に、職員がそれぞれ自分の担当だけを黙々とこなしている園は、人が足りていないか、関係がうまくいっていないかのどちらかです。
もう1つ、園長との距離も変わります。大きな園では、園長と1対1で話す機会は年に数回だったかもしれません。小規模では毎日話します。園長の人柄と価値観が、そのまま職場の空気になります。見学のときに園長がどう子どもに接しているか、職員にどう声をかけているかは、必ず見てください。
それでも合わないことはあります。そのときは、自分を責めないでください。相性の問題であって、あなたの力不足ではありません。少人数の職場は、合えばこれ以上ない居場所になり、合わなければ逃げ場がない。この振れ幅が大きいだけです。
0歳から2歳しか見ないことが、キャリアに何をもたらすか
小規模保育園の対象年齢は原則0歳児から2歳児です。3歳になると、連携施設や他の保育所へ移ります。
これは働く側にとって、二面性のある事実です。
良い面から。乳児保育の経験が、短期間で濃く積み上がります。離乳食の進め方、睡眠のリズムの整え方、はいはいから歩行へ移る時期の環境設定、噛みつきや引っかきへの対応。こうした0歳から2歳に特有の知識と手技は、毎日繰り返すことで体に入ります。幼児クラスを長く担当していた方が、初めて乳児の担当になったときに戸惑うのは、この蓄積の差です。
乳児保育に強い保育士は、どこでも必要とされます。転職市場で見ても、0歳児の受け入れ経験がある人は選択肢が広い。将来的に認可保育所へ戻るにしても、この経験はそのまま強みになります。
ここからが、もう一方の面です。
3歳から5歳の保育を経験する機会が、しばらくなくなります。集団での活動をどう組み立てるか、就学に向けてどんな力を育てるか、行事をどう作るか。こうした幼児保育の技術は、小規模保育園では身につきません。
この点について、ある保育人材サービスは次のように整理しています。
小規模保育園が向いていない人は、例えば、さまざまな年齢の子どもの保育を経験して、キャリアを積んでいきたい人。 出典: hoiku.jinzaibank.com
率直な整理だと思います。ただ、これを「だからやめたほうがいい」と読む必要はありません。
考え方としては、キャリアの時期で分けるのが現実的です。乳児保育を集中して身につける数年間として小規模を選び、その後に幼児まで見る園へ移る。あるいは逆に、幼児の経験を積んだ後で、体力的な負担の少ない小規模へ移る。どちらの順番もあります。
大切なのは、「何年ここにいるつもりか」を自分の中でぼんやりとでも決めておくことです。決めていないと、3年経ったころに「このままでいいのだろうか」という漠然とした不安が出てきます。この不安、相談の中で本当によく出てきます。答えがないから苦しいのであって、仮でも期限を置いておくと楽になりますよ。
保育士としての年収の全体像や、経験年数でどのくらい動くのかを先に知っておくと、この見通しが立てやすくなります。保育士の年収・単価相場には地域別や経験年数別の相場が整理されているので、いま提示されている条件が市場の中でどのあたりかを確かめる材料になります。
給与と福利厚生の落差|借り上げ社宅と賞与の見方
お金の話を避けずに書きます。ここで誤解があると、移ってから後悔しやすいからです。
小規模保育園の給与は、認可保育所と比べて極端に低いわけではありません。小規模保育事業も市町村の認可事業なので、公定価格に基づいて運営費が入ります。処遇改善の加算も対象です。
ただし、賞与と昇給の仕組みには差が出やすいです。社会福祉法人が長く運営してきた認可保育所には、年功的な給与表があることが多い。勤続年数に応じて自動的に上がります。小規模保育事業の運営主体は株式会社が多く、初任給は高めでも、そこから先の上がり方は緩やかな傾向があります。
求人票の月給だけを比べると、小規模のほうが高く見えることがあります。でも賞与が年2か月分と年4か月分では、年収で数十万円の差になります。必ず年収ベースで比べてください。
もう1つ、見落とされやすいのが住宅の支援です。求人サイトには、こうした条件を前面に出した募集が並びます。
★借り上げ8.2万円など福利厚生充実★【2週間の長期休暇も取得可能♪】0~2歳児の小規模保育園です☆ 出典: hoiku-shigoto.com
借り上げ社宅制度は、保育士の待遇の中でいちばん金額インパクトが大きい部分です。家賃の大半を事業者が負担し、その費用の一部を国と自治体が補助する仕組みになっています。月8万円台の補助が出るなら、手取りに換算すると給与を数万円上げるのと同等かそれ以上の効果があります。
ただし、注意点が3つあります。
1つ目は、自治体ごとに上限額も要件も違うことです。同じ制度名でも、東京都内と地方都市では金額が大きく違います。2つ目は、対象者の条件です。「採用から5年以内」「単身者のみ」「常勤のみ」といった制限が付いていることがあります。3つ目は、制度が事業者の任意だという点です。求人票に書いてあっても、入職後に条件が変わる可能性はゼロではありません。
面接のときに「借り上げ社宅の上限額と、対象となる年数を教えてください」と聞いてください。これは失礼な質問ではなく、当然の確認です。きちんと答えられる園は、制度を実際に運用している園です。
長期休暇についても同じです。「2週間の長期休暇取得可能」と書いてあるなら、去年実際に何人が取ったかを聞いてみてください。制度として存在することと、使われていることは別です。
求人票のどこを見れば、その園の実態が分かるか
見学に行く前の段階で、求人票から読み取れることがかなりあります。順にお伝えしますね。
まず定員です。6人から10人ならC型、12人から19人ならA型かB型の可能性が高いです。小規模保育事業はこの3類型に分かれていて、A型は保育従事者が全員保育士、B型は半数以上が保育士、C型は家庭的保育者が中心という違いがあります。B型の園に保育士として入ると、無資格の職員と組むことになるので、記録や判断の負担が自分に集中しやすくなります。
次に職員数の内訳です。「職員8名(うち保育士5名)」のように書かれていれば、比率が計算できます。比率がぎりぎりで回っている園は、1人抜けると基準を割るので、休みが取りにくい構造になりがちです。
募集背景も見てください。「増員のため」と「欠員補充のため」では意味が違います。そして同じ園の求人が半年以内に何度も出ていないか、園名で検索して確かめてください。小規模は職員数が少ないので、繰り返し募集が出ている園は定着に課題を抱えている可能性が高いです。
連携施設の記載も重要です。小規模保育事業には、卒園後の受け皿や代替保育を担う連携施設を確保する義務があります。園のウェブサイトに連携先の保育所や認定こども園の名前が出ていれば、制度上の手続きをきちんと踏んでいると判断できます。ここが空欄のままなら、面接で確認したほうがいいです。
運営主体も見ておきましょう。株式会社なのか、社会福祉法人なのか、NPO法人なのか。系列園が何園あるか。系列が多い事業者は、異動の可能性がある反面、研修制度や産休育休の実績が整っていることが多いです。単独運営の園は、方針が一貫している反面、園長が代わると空気が一変します。
最後に給与欄の書き方です。「月給22万円〜(処遇改善手当を含む)」という表記には注意してください。基本給が低く、手当で見かけの月給を作っている場合、賞与の計算基礎が小さくなります。内訳を確認してください。
見学と面接で、必ず確かめてほしい5つのこと
ここは実務の話です。私がキャリア相談の場でお伝えしている確認項目を並べます。
1つ目、1日の流れを時間で教えてもらうこと。「朝は何時に開き、何時に散歩に出て、午睡は何時からですか」と具体的に聞きます。答えが曖昧な園は、日課が固まっていないか、説明する人が現場を知らないかのどちらかです。
2つ目、休憩が実際に取れているかどうか。定員が小さい園では、休憩時間に人が抜けると保育が回らなくなることがあります。「休憩は誰が入って回していますか」と聞くのが具体的で効きます。
3つ目、書類を書く時間が勤務時間内にあるかどうか。連絡帳、日誌、月案、個別記録。これらをいつ書いているのかを聞いてください。「午睡の時間に」と答える園と「時間が取れたときに」と答える園では、持ち帰りの量が変わります。
4つ目、シフトの組み方です。早番と遅番が何時からで、月に何回ずつ回ってくるか。小規模は職員が少ないので、早番と遅番の頻度が高くなりがちです。前の職場で月4回だった早番が、移ったら月10回になったという話は珍しくありません。
5つ目、退職者の状況です。直接的に聞きにくければ、「職員の方の平均勤続年数はどのくらいですか」という聞き方があります。答えられない園、あるいは極端に短い園は、理由を考える材料になります。
そして、見学のときに一度でいいので黙って立ってみてください。子どもの声、大人の声、物音。その場の音の質が、その園の日常です。怒鳴り声が聞こえる園、逆に不自然なほど静かな園は、どちらも何かがあります。
あなたの直感は、案外あてになります。説明できなくても「ここは違う気がする」と感じたなら、その感覚は記録しておいてください。後から言葉になることがあります。
決め手になったのは何か|移った人が最後に選んだ基準
最後に、実際に移った方たちが何を決め手にしたのかを整理します。
多かったのは「園長の話し方」でした。子どもの話をするときの表情、職員をどう呼ぶか、困ったときにどう対応すると言ったか。定員の小さい園では、園長の価値観が組織そのものです。ここに違和感がなかったことを決め手に挙げる方が、いちばん多かったです。
次に多かったのが「通勤時間」です。意外に思われるかもしれませんが、小規模保育園は早番と遅番の頻度が高くなりがちなので、通勤時間の差が生活の質に直結します。片道50分から15分になったことで、早番が苦にならなくなったという話をよく聞きます。
3つ目が「記録の仕組み」です。紙の連絡帳しかない園と、保育業務支援システムを入れている園では、1日の終わりの時間の使い方がまったく違います。子どもの午睡チェックがタブレットで記録できるかどうかだけでも、負担感は変わります。
逆に、決め手にならなかったものもはっきりしています。給与の数万円の差、園舎の新しさ、駅からの距離。これらは、入る前は重く見えるのに、入ってからの満足度にはあまり効いていませんでした。
そして、いちばん後悔につながっていたのは「前の職場から逃げることが目的になっていた」ケースです。今の園がつらいという気持ちは本物ですし、逃げること自体は何も悪くありません。ただ、逃げるだけだと、次の園を選ぶときの基準が「今よりましか」になってしまいます。それだと、同じ種類の苦しさを繰り返してしまうことがあるんです。
だから、一度だけでいいので言葉にしてみてください。「今の職場の何がいちばんつらいのか」。人間関係なのか、時間なのか、保育の方針なのか、体力なのか。ここがはっきりすると、次の園で確かめるべきことが自然に決まります。
もし1人で整理するのが難しければ、誰かに話しながら考えるのも有効です。人の話を聞いて進路を整理する仕事がどういう流れで進むのかは職場・転職・キャリア相談のお仕事にまとまっていて、相談を受ける側が何を見ているかを知っておくと、自分の状況を説明しやすくなります。将来的に保育の経験を相談支援の側で活かす道を考えるなら、国家資格として整備されているキャリアコンサルタントの養成講習と試験の構成も見ておくと視野が広がります。
移った直後の3か月に起きること|慣れるまでの見取り図
転職が決まった後の話もしておきますね。移ってから何が起きるかを先に知っておくと、しんどい時期を「そういうものだ」と受け止められます。
最初の2週間で戸惑うのは、たいてい手順の細かさです。おむつ交換の動線、消毒液の希釈の仕方、午睡チェックの記録の書き方、玩具の片付け場所。どれも前の園にもあったことですが、やり方がまったく違います。そして小規模では、そのやり方を文書で残していない園が少なくありません。人数が少ないので口頭で足りてきたからです。
ここで多くの方がつまずきます。聞けば教えてもらえるのに、「こんなことを聞いていいのか」と遠慮してしまう。特に経験年数が長い方ほど、そうなりがちです。前の園で10年やってきた人が、消毒液の作り方を聞くのは勇気がいりますよね。
でも、聞いてください。小規模の園では、やり方を揃えることが安全に直結します。1人が違う手順で動くと、他の5人の動きが崩れます。遠慮して自己流でやることのほうが、ずっと迷惑になります。
次の1か月で来るのが、子どもとの関係です。0歳児から2歳児は、人見知りと後追いの時期にあたります。新しい大人が入ると、しばらく受け入れてもらえません。抱っこしようとすると泣かれる、食事の介助を嫌がられる。これは能力の問題ではなく、発達上ごく自然な反応です。
それでも、毎日泣かれるのはこたえます。「自分はこの仕事に向いていないのでは」と言い出す方が、この時期にいちばん多いです。3週間から1か月で落ち着くことがほとんどなので、その間は自分を責めないでください。
2か月を過ぎたあたりで、保護者との関係が動き始めます。定員が小さい園では、保護者も職員の顔をすぐ覚えます。連絡帳のやり取りが数回続くと、送迎のときに立ち話が増えてきます。ここで焦って距離を詰めようとしないことです。前任者と比べられる時期でもあるので、まずは事実を正確に伝えることに徹したほうが、結果的に早く信頼されます。
3か月を過ぎると、園全体の流れが見えるようになります。誰がどこで詰まりやすいか、どの時間帯に手が足りなくなるか。ここまで来ると、自分から動けるようになって一気に楽になります。
つまり、しんどいのは最初の3か月です。この期間を「慣れるための時間」として最初から予定に入れておくと、途中で辞めたくなる波をやり過ごせます。実際、私が相談を受けた中で小規模を辞めた方の多くは、この3か月の山を越える前に判断していました。
長くこの市場を見てきた立場からの観察
在宅ワークやフリーランスの求人市場を20年運営してきた立場から、職種を越えて言えることを1つだけ書きます。
規模の小さい職場に移った人が長く続くかどうかは、仕事の中身より「自分の判断が通るかどうか」で決まっています。
大きな組織では、判断は上に上がっていきます。自分の意見が通らないことに慣れる代わりに、責任も分散します。小さな組織では逆です。自分が言ったことがその日のうちに反映される。その代わり、結果の責任も自分に返ってきます。
運営者として見てきた限りでは、この「自分の判断が通る」という感覚を得た人は、給与の話をあまりしなくなります。待遇に不満がないわけではなく、日々の手応えのほうが大きくなるからです。逆に、小さな組織に移ったのに判断させてもらえない状態が続くと、規模の小ささはただ逃げ場のなさとして残ります。
だから、見学や面接で「入ったばかりの人でも、保育のやり方について意見を言えますか」と聞いてみてください。この質問への答え方に、その園が人をどう扱うかが出ます。
もう1つ。これはどの職種でも同じですが、環境を変えることで解決する問題と、解決しない問題があります。職場の人間関係、労働時間、通勤距離。これらは移れば変わります。でも、仕事そのものへの疲れや、自分への自信のなさは、場所を変えても一緒についてきます。
もし今、心も体もかなり削られている状態なら、次の園を探す前に休むという選択肢も考えてみてください。転職活動は、それ自体がエネルギーを使います。消耗しきった状態で選んだ職場は、判断が甘くなりがちです。
焦らなくて大丈夫ですよ。0歳から2歳の保育ができる人は、どこの園でも必要とされています。その事実は、あなたが休んでいる間も変わりません。
よくある質問
Q. 大規模園から小規模保育園に移ると、仕事は楽になりますか?
負担の総量は必ずしも減りません。行事の準備は大きく減りますが、分業できる範囲が狭くなるため作業の種類は増えます。保育をしながら電話対応や書類作成、翌日の準備まで担うことが多いです。一方で0歳から2歳の一人ひとりに向き合う密度は上がります。楽になるかどうかより、何に疲れていたかで相性が決まります。
Q. 小規模保育園への転職で、いちばん失敗しやすいのは何ですか?
人間関係です。職員が6人前後の園では、1人と合わないだけで職場の空気が変わり、クラス替えのような逃げ場がありません。求人票では読み取れないので、見学で職員同士の声のかけ合い方と、園長の子どもへの接し方を必ず見てください。30分の見学で得られる情報が、条件面の比較より効きます。
Q. 借り上げ社宅の制度は必ず使えますか?
事業者ごとに運用が違うので、求人票に記載があっても条件の確認が必要です。自治体によって上限額が異なり、「採用から5年以内」「単身者のみ」「常勤のみ」といった制限が付く場合もあります。面接で上限額と対象年数、常勤以外でも使えるかを確認してください。答えられる園は実際に運用している園です。
Q. 0歳から2歳しか見られないのは、キャリアの不利になりますか?
乳児保育の経験は転職市場で評価されるので、不利にはなりません。ただし3歳から5歳の集団活動や就学に向けた保育の技術は身につきません。将来的に幼児まで見る園へ移る可能性があるなら、小規模で何年過ごすかを仮でも決めておくと、次の選択がしやすくなります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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