精神科病院の面接で聞かれること|現場が見ている点と、聞き返すこと

長谷川 奈津
長谷川 奈津
精神科病院の面接で聞かれること|現場が見ている点と、聞き返すこと

この記事のポイント

  • 精神科病院の面接で聞かれる質問と
  • その裏で面接官が見ている点を整理しました
  • 暴言や暴力への向き合い方

精神科病院の面接を控えて、「一般病院と同じ準備でいいのか」「精神科の経験がないと不利なのか」「暴力のことを聞かれたらどう答えればいいのか」と迷っている人は多いと思います。

結論から書きます。精神科病院の面接で見られているのは、看護技術の量ではありません。患者さんとの距離の取り方、落ち着いて観察し記録できるか、そして行動制限や入院形態といった「患者さんの権利に関わる場面」をどう受け止めているか。この3つです。そして、面接はこちらが職場を確かめる場でもあります。精神科病院は、同じ「病院」でも病棟の種類と人員体制によって中身が大きく違うからです。

この記事では、精神科病院という職場の特徴を確認したうえで、よく聞かれる質問と面接官の意図、経験別に変わる質問、落ちやすい答え方、そして面接の最後に聞き返すべきことを整理します。

精神科病院の面接が、一般病院の面接と違う理由

面接の質問は、その職場で毎日何が起きているかから逆算して作られています。まず、精神科病院の中身を押さえておきましょう。

精神科病院の入院は、一般病院と比べて期間が長いのが特徴です。一般病床の平均在院日数が2週間台で推移しているのに対し、精神病床は長く200日を大きく超える水準が続いてきました。つまり、看護師は「治療が終わったら退院する患者さん」ではなく、「何か月、ときには何年も一緒に過ごす患者さん」と関わることになります。

入院の形も一つではありません。本人の同意による任意入院、家族等の同意と精神保健指定医の診察による医療保護入院、自傷や他害のおそれがあるときの措置入院などがあり、法律(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)で手続きが決められています。閉鎖病棟での生活、隔離や身体的拘束といった行動制限も、指定医の判断と記録のもとで行われます。

さらに、2024年4月に施行された改正法では、医療保護入院に入院期間の定めが設けられ、病院の職員による虐待を見つけたときの通報の仕組みも整えられました。これ、知らない人が本当に多いんです。つまり、精神科病院では「患者さんの権利をどう守るか」が、現場の看護師一人ひとりの日常業務に組み込まれています。

人員体制にも特徴があります。精神病棟の入院基本料は、急性期の一般病棟より少ない看護配置で算定される区分が多く、そのぶん看護補助者(いわゆる看護助手)が病棟に多く配置されています。精神科救急の病棟のように手厚い配置の病棟もあれば、長期療養の病棟もあります。男性看護師の割合が他の診療科より高いのも、よく知られた特徴です。

こうした職場で面接官が不安に思うのは、「入職してから、この仕事の現実とのギャップで早く辞めてしまわないか」という点です。精神科病院の看護師の転職を扱う記事は、面接で落ちる理由を次のように書いています。

精神科病院は「未経験歓迎」の求人が多く、研修やプリセプター(経験者によるマンツーマン指導)で段階的に育ててくれる職場が少なくありません。それなのに、面接で落ちる看護師がいます。理由はほとんど決まっていて、技術が足りないからではなく、「なぜ精神科を選んだのか」をうまく語れないからです。 出典: note.com

技術は入ってから教える。けれど、精神科を選んだ理由と、この仕事の現実を受け止める姿勢は教えられない。面接の質問は、ほとんどがこの一点に集まっています。

よく聞かれる質問と、面接官がその裏で見ていること

ここからは、精神科病院の面接で繰り返し出てくる質問を、面接官の意図と一緒に見ていきます。回答例をそのまま覚えるより、「何を確かめたい質問なのか」を理解しておくほうが、言い回しを変えられても落ち着いて答えられます。

なぜ精神科を選んだのですか

最も重要な質問です。面接官が見ているのは、精神科の仕事を具体的に想像できているかどうかです。「人の心に寄り添いたい」だけでは、どの診療科にも当てはまってしまいます。

伝わりやすいのは、自分の経験の中にある具体的な場面から話すことです。たとえば一般病棟で、せん妄や認知症、うつ状態の患者さんに関わったとき、身体の処置だけでは解決しないと感じた経験。退院後にまた入院してくる患者さんを見て、生活を支える看護に関心を持った経験。そうした場面を1つ挙げ、「その経験があったから、症状と生活の両方を長く見られる精神科で働きたい」とつなげると、話に芯が通ります。

精神科の患者さんに、どんなイメージを持っていますか

偏見がないかを確かめる質問であると同時に、現実を知っているかを確かめる質問でもあります。「怖いイメージはありません」と言い切るより、「急な症状の変化や、暴言が出る場面があることは理解しています。それも症状の一つとして受け止め、一人で抱えずにチームで対応したい」と答えるほうが、現場の感覚に近い答えです。

暴言や暴力を受けたら、どうしますか

精神科病院の面接で、ほぼ必ず聞かれます。見られているのは、感情的にならずに距離を取れるか、そして一人で解決しようとしないかです。

「まず自分と周囲の安全を確保し、応援を呼ぶ。落ち着いたら、何がきっかけだったのかを振り返り、記録してチームで共有する」という流れで答えられれば十分です。逆に「私が我慢すれば大丈夫です」という答えは、評価が下がります。我慢して抱え込む人は、長く続かないと現場は知っているからです。

ストレスをどう解消していますか

精神科の看護は、はっきりした成果が見えにくい日が続きます。面接官は、自分の心の状態を自分で把握し、切り替える方法を持っているかを見ています。趣味の話で構いませんが、「つらいときは同僚や上司に相談する」という一言を添えると、組織の中で働ける人だと伝わります。

夜勤はできますか、何回までなら可能ですか

精神科病院は夜勤の人員が少なく、病棟によっては看護師と看護補助者の少人数で夜を担当します。回数だけでなく、「夜勤で患者さんが興奮したとき、どう応援を呼ぶ仕組みがあるか」を後で逆質問で確かめる準備をしておくと、会話がつながります。

身体の処置の経験はありますか

意外に思われるかもしれませんが、精神科病院でも身体合併症の管理は大切な仕事です。高齢の長期入院の患者さんが増え、糖尿病や誤嚥性肺炎、転倒による骨折など、身体のケアが必要な場面は少なくありません。一般病棟での経験は、精神科では明確な強みとして評価されます。遠慮せず具体的に話してください。

面接官が現場の目で見ている3つの力

質問の形は病院ごとに違っても、看護部長や師長が頭の中で確かめていることは、だいたい3つに集約されます。精神科病院の病棟で毎日求められる力と直結しているので、答えを準備するときの軸にしてください。

言葉にならない変化を観察し、記録する力

精神科の患者さんは、自分の状態の変化をうまく言葉にできないことがあります。いつもより口数が少ない、食事を半分残した、夜中に何度もトイレに起きる、服薬のときに少しためらった。こうした小さな変化が、症状の悪化や、身体の不調、服薬の拒否のサインであることは少なくありません。

病棟の看護記録は、医師が処方や行動制限の判断をするときの材料になります。行動制限を続けるのか、解除するのかも、看護師の観察と記録に大きく依存します。面接で「患者さんの変化に気づいた経験」を聞かれるのは、この力を確かめるためです。一般病棟での経験でも、「数値には出ない違和感を報告して、早く対応につながった場面」があれば、そのまま使えます。

近すぎず、遠すぎない距離を保つ力

長く入院する患者さんとは、どうしても関係が深くなります。親しみを持って話しかけてくれる患者さんに応えたい気持ちは自然なものですが、特定の患者さんとだけ個人的なやり取りをする、連絡先を教える、頼まれた買い物を個人的に引き受けるといった行動は、トラブルや他の患者さんとの不公平につながります。

面接官は、「患者さんと仲良くなれます」という言葉よりも、「治療の関係としての距離を意識しながら関われるか」を見ています。答えるときは、「チームで決めた関わり方の方針に沿って、一人で特別な約束をしない」という視点を入れておくと安心されます。

患者さんの権利を、日常の仕事として扱える力

入院形態の告知、面会や通信の制限、隔離や身体的拘束の開始と解除、処遇に関する患者さんからの訴え。精神科病院では、法律で決められた手続きが病棟の日常の中にあります。看護師がそれを「面倒な事務」と感じるか、「患者さんの権利を守る仕組み」と理解しているかで、病棟の空気は変わります。

つまり、面接で行動制限や権利擁護について聞かれたとき、法律の条文を暗記している必要はありません。「制限は最小限にするものであり、その根拠を記録で残すことが大事だと理解している」と、方向性を自分の言葉で言えれば十分です。

答えにくい質問への備え方

精神科病院の面接では、準備していないと言葉に詰まりやすい質問もいくつかあります。代表的なものと、答え方の考え方を挙げておきます。

「ご自身やご家族に、精神科の受診歴はありますか」と聞かれることが、まれにあります。これは応募者の適性とは直接関係しない、慎重に扱うべき個人の情報です。答えたくなければ、「業務に支障はありません」と伝えるにとどめてかまいません。本人や家族の病歴を採用の判断に使うことは、公正な採用の考え方から外れます。※しつこく聞かれる、答えないことを理由に不利な扱いを示唆されるといった場合は、ハローワークや労働局の相談窓口に相談してください。

「患者さんから好意を伝えられたらどうしますか」という質問は、先ほどの距離感を確かめるものです。「気持ちは否定せずに受け止めつつ、個人的な関係にはならないことをはっきり伝え、上司とチームに報告する」と答えれば、現場の対応と一致します。

「患者さんに死にたいと言われたら、どう対応しますか」という質問もあります。見られているのは、話を途中で遮らずに聞けるか、そして必ず医師とチームに共有するかです。「励ましてやめさせる」と答えるより、「否定せずに話を聞き、危険な物がないかを確認し、すぐに報告する」と答えるほうが、精神科の看護の基本に沿っています。

どの質問も、正解の言い回しを探すより、「一人で判断しない」「記録して共有する」という2つの軸に戻って答えれば、大きく外すことはありません。

経験やキャリアによって変わる質問

同じ精神科病院の面接でも、応募する人の経験によって質問の重点が変わります。自分がどこに当てはまるかを確認しておきましょう。

一般病棟から精神科に移る人

最も多いパターンです。聞かれやすいのは「急性期の処置から離れることに不安はありませんか」「スキルが落ちると感じませんか」という質問です。

ここで「処置が少ないので楽そうだと思いました」と答えるのは避けてください。面接官が一番警戒する志望動機です。代わりに、「処置の数は減っても、言葉にならない変化を観察し、関係を築きながら回復を支える力は、別の専門性として身につけたい」と、身につけたい力に言い換えて伝えると、前向きな転換として受け止められます。

精神科の経験がある人

経験者には、より具体的な質問が来ます。前の職場の病棟の種類(急性期、慢性期、認知症治療病棟など)、行動制限の最小化にどう関わってきたか、退院支援や多職種カンファレンスの経験などです。

注意したいのは、前の職場のやり方を「当たり前」として話しすぎないことです。行動制限の考え方や、患者さんとの距離の取り方は病院ごとに方針が違います。「前の病院ではこうしていましたが、こちらの方針に合わせて学び直したい」と一言添えるだけで、印象が大きく変わります。

ブランクがある人

子育てや介護で離れていた人は、「なぜ復職先に精神科を選んだのか」と「体力面、夜勤は大丈夫か」をセットで聞かれやすくなります。精神科病院の中には、日勤のみの常勤や、外来、デイケアなど、夜勤のない配置を持つところもあります。自分が希望する働き方を最初から正直に伝えたほうが、入職後のずれを防げます。

准看護師の人

精神科病院は、准看護師が多く働いている職場の一つです。面接で資格の区分そのものが問題になることは少なく、むしろ「今後、看護師の資格を取る考えはありますか」と聞かれることがあります。進学支援の制度がある病院もあるので、関心があれば正直に伝えてかまいません。

看護補助者や、他職種で応募する人

看護補助者として応募する場合も、暴言や暴力への考え方、患者さんとの距離の取り方は同じように聞かれます。精神保健福祉士や作業療法士など他職種の面接では、多職種カンファレンスでどう発言するか、退院後の地域の資源をどう使うかといった質問が加わります。

私が以前、相談を受けた看護師さんの話を一つ紹介します。一般病棟で10年働いたあと精神科病院の面接を受け、「急性期で疲れたので、落ち着いて働ける場所を探しています」と正直に話したところ、不採用だったそうです。本人は「嘘をつかなかったのに」と悔しがっていましたが、面接官から見れば「落ち着いて働ける場所」という前提そのものが精神科の現実とずれていたのだと思います。2回目の面接では、せん妄の患者さんに関わった経験から話し直し、採用されました。伝えた事実は同じでも、どこから話すかで結果が変わった例です。

落ちやすい答え方と、その直し方

精神科病院の面接で評価を下げやすい答え方には、共通点があります。事前に自分の答えを点検しておきましょう。

「楽そう」「残業が少なそう」が前に出る

労働条件を気にすること自体は、何も悪くありません。ただ、志望動機の中心にそれが来ると、「条件が合わなくなったら辞める人」と受け取られます。条件の話は、志望動機ではなく、面接の後半や逆質問で確認すれば十分です。

患者さんを「かわいそうな人」として語る

「助けてあげたい」「支えてあげたい」という言葉は、善意から出ていても、精神科の現場では上から見ている印象を与えることがあります。患者さんを、症状を持ちながら生活している一人の大人として見ているかどうか。言葉の選び方で、面接官はそこを感じ取ります。「一緒に考えたい」「本人のペースに合わせたい」という言い方のほうが伝わります。

行動制限について、極端な答えをする

「隔離や拘束は絶対にするべきではない」も、「危ない人は抑えるしかない」も、どちらも現場の感覚からは離れています。行動制限は、患者さん本人や周囲の安全を守るために、法律と指定医の判断のもとで最小限に行うものです。「必要な場面があることは理解しています。そのうえで、できるだけ早く解除できるよう観察と記録で関わりたい」と答えられれば、現場と同じ方向を向いていると伝わります。

一人で抱え込む姿勢を強調する

「どんな患者さんにも根気強く向き合います」「私が何とかします」という意気込みは、一般病院の面接では評価されることがあります。しかし精神科では、一人で抱え込むことが燃え尽きや、患者さんとの距離が近づきすぎるトラブルにつながります。チームで対応する、報告する、相談するという言葉を、答えの中に自然に入れてください。

前の職場の不満を長く話す

転職理由を聞かれて、前の職場の人間関係や方針への不満を長く語ると、同じことがこの病院でも起きると思われます。事実は短く伝え、「だからこそ、こういう環境で働きたい」と次の話につなげるのが基本です。

※前の職場で違法な長時間労働やハラスメントがあった場合、それを隠す必要はありません。ただ、面接の場で詳しく争う話ではないので、必要なら労働基準監督署や弁護士への相談を別に進めてください。

聞き返すこと:逆質問で病棟の実態を確かめる

面接の最後に「何か質問はありますか」と聞かれたら、ここが職場を確かめる一番の機会です。精神科病院は、求人票の「精神科」という一言だけでは中身が分かりません。次の点を聞き返してください。

配属予定の病棟の種類

精神科救急や急性期治療の病棟、長期療養の病棟、認知症治療病棟では、1日の動きがまったく違います。急性期は入退院と急な興奮への対応が多く、療養の病棟は生活のケアと退院支援、認知症治療病棟は身体のケアと転倒予防が中心になります。「配属予定の病棟は、どの入院料を算定している病棟ですか」「入院患者さんの主な疾患と年齢層を教えてください」と聞けば、仕事の中身がかなり具体的に分かります。

日勤と夜勤の人員

「日勤帯と夜勤帯の看護師と看護補助者の人数」「夜間に応援を呼ぶ仕組み」は必ず確かめましょう。夜勤で看護師が少人数の病棟では、他の病棟との応援体制や当直医との連絡方法が、安心して働けるかどうかを左右します。

暴力への対策と、職員を守る仕組み

「患者さんからの暴力があったとき、職員が相談できる窓口や、振り返りの仕組みはありますか」「包括的暴力防止プログラム(CVPPP)などの研修はありますか」と聞いてみてください。はっきり答えられる病院は、職員の安全を組織として考えています。

行動制限と権利擁護への取り組み

「行動制限最小化の委員会はどのように運営されていますか」「虐待防止の研修はありますか」という質問は、2024年の改正法以降、病院側も答えを用意しているはずです。この質問に誠実に答えてくれるかどうかは、病院の姿勢を見る良い材料になります。

教育体制と、未経験者の立ち上がり

「精神科未経験の場合、何か月くらいで独り立ちする流れですか」「プリセプターは付きますか」「夜勤に入るのは入職から何か月後ですか」と、時期を数字で聞くと、教育が形だけでないかが分かります。

就業場所と業務の変更の範囲

ここは法律の話です。2024年4月から、労働契約を結ぶときには「就業場所と業務の変更の範囲」を書面で明示することが義務になりました。つまり、「入職後に別の病棟や、系列の介護施設、デイケアへ異動する可能性があるか」は、労働条件通知書に書かれていなければなりません。これ、知らない人が本当に多いんです。面接の段階で「異動の可能性がある部署はどこまでですか」と聞いておき、内定後に届く書面と照らし合わせてください。

逆質問は、多くても3つか4つに絞るのが目安です。全部を面接で聞けなければ、見学の場や、内定後の条件確認の場で聞けば大丈夫です。

面接前の準備と、当日の流れ

最後に、精神科病院の面接の準備と当日の注意点をまとめます。

できれば見学を先に入れる

精神科病院は、病棟の雰囲気が求人票から最も伝わりにくい職場です。可能なら面接の前に見学を申し込み、病棟の出入りの仕方(閉鎖病棟の施錠)、ホールでの患者さんの過ごし方、スタッフ同士の声のかけ方を見ておきましょう。見学で感じたことを面接で具体的に話せると、志望度の高さが伝わります。

志望動機は、経験の場面から組み立てる

準備のときは、次の順番で紙に書き出すと整理しやすくなります。

・精神科に関心を持ったきっかけになった場面を1つ ・その場面で自分が何を感じ、何が足りないと思ったか ・精神科で身につけたい力 ・この病院を選んだ理由(病棟の種類、教育、地域での役割など)

この4つがつながっていれば、言い回しは面接の場で変わっても問題ありません。

当日の身だしなみと話し方

服装は一般の病院と同じく、落ち着いた色のスーツかオフィスカジュアルで十分です。話し方は、明るさよりも穏やかさと聞き取りやすさを意識してください。面接官は、患者さんの前でこの人がどう話すかを想像しながら聞いています。質問に対して一度受け止めてから答える、相手の話を最後まで聞く、という基本が、そのまま評価につながります。

面接の形式

看護部長や病棟の師長との個別面接が一般的で、病院によっては事務長や理事長が同席します。筆記として小論文や適性検査を課すところもあります。小論文のテーマは「精神科看護で大切にしたいこと」「患者さんの権利について」など、面接の質問と重なるものが多いので、面接の準備がそのまま役に立ちます。

答えを声に出して、時間を測っておく

志望動機や転職理由は、頭の中で整理できていても、声に出すと長くなりがちです。1つの質問への答えは1分前後に収め、面接官が掘り下げたいところを質問で返してくれる余白を残すのが目安です。スマートフォンの録音機能で自分の答えを聞き直すと、「かわいそう」「助けてあげたい」といった言葉を無意識に使っていないか、「楽そう」と取られる言い方が混ざっていないかにも気づけます。

私自身、相談の仕事を始めたころ、初めての相手に説明するたびに話が長くなり、肝心の結論が最後まで出てこないと指摘されたことがあります。そこで、結論を先に一文で言い、そのあとに理由と具体的な場面を1つだけ添える形に変えたところ、相手からの質問が具体的になり、会話が深まるようになりました。面接も同じで、一度に全部を話そうとしないほうが、面接官はあなたの考えを聞き出しやすくなります。

内定後の条件確認

内定が出たら、労働条件通知書で給与、夜勤の回数と手当、精神科手当の有無、試用期間、就業場所と業務の変更の範囲を確認します。面接で聞いた内容と書面が違う場合は、入職前に問い合わせてください。口頭の約束より、書面に書かれた内容があなたを守ります。

精神科病院の年収と、面接の先にある働き方

面接の準備と合わせて、条件の相場も知っておくと、提示された内容を冷静に判断できます。

精神科病院の看護師の給与は、基本給そのものは一般病院と大きく変わらないことが多く、病院によって精神科手当(月5,000円〜3万円程度)が加わります。夜勤の回数や手当の額、長期療養の病棟か急性期の病棟かによっても年収は変わります。看護師全体の平均年収や、年代、地域による違いは看護師の年収・単価相場で確かめられます。提示された金額が地域の水準と比べて高いのか低いのかを見る基準として、面接の前に目を通しておくと判断しやすくなります。

看護補助者として精神科病院で働く人は、介護の資格による手当の違いも気になるところです。介護職員の年収・単価相場では、介護の仕事の平均年収や資格ごとの傾向がまとまっているので、病院と介護施設の条件を比べるときの目安になります。

精神科での経験は、病院の外でも生きます。精神科訪問看護や、企業の産業保健、相談支援の分野に進む人もいます。人の話を聞き、状況を整理し、次の一歩を一緒に考える力は、相談の仕事と重なる部分が大きいからです。相談の仕事の中身や求められる経験は職場・転職・キャリア相談のお仕事で紹介しています。国家資格として相談の専門性を形にしたい人は、試験の概要や受験資格をキャリアコンサルタントで確認できます。

フリーランスや在宅ワークの市場を20年見てきた運営者の立場から言えば、精神科で経験を積んだ看護師は、医療系の記事の監修や、メンタルヘルスに関する研修資料作りなど、経験を言葉にする仕事で頼られやすい傾向があります。依頼者と直接やり取りする形で受ければ、仲介の手数料が乗らない分、同じ報酬でも手取りが厚くなり、依頼する側も同じ予算でより多くを頼めます。臨床経験を生かした在宅の仕事の種類は、医療ライティングや健康相談などを取り上げた看護師におすすめの在宅ワーク5選|臨床経験を活かす副業【2026年版】でまとめています。

面接は、選ばれる場であると同時に、あなたが職場を選ぶ場です。精神科を選んだ理由を自分の言葉で話し、病棟の実態を遠慮なく聞き返し、書面で条件を確かめる。この順番を守れば、入職してからのずれは大きく減らせます。法律も、働く人を守るために書面での明示を求めています。遠慮せずに使ってください。

よくある質問

Q. 精神科の経験がなくても、精神科病院の面接には受かりますか?

受かります。精神科病院は未経験者を受け入れて研修やプリセプター制度で育てる職場が多く、技術よりも精神科を選んだ理由と、暴言や行動制限といった現実を受け止める姿勢が重視されます。一般病棟での身体ケアの経験は、身体合併症の管理で強みとして評価されるので、具体的な場面を挙げて話すと伝わりやすくなります。

Q. 精神科病院の面接で暴力について聞かれたら、どう答えればよいですか?

まず自分と周囲の安全を確保して応援を呼び、落ち着いてからきっかけを振り返り、記録してチームで共有する、という流れで答えると現場の感覚に合います。「自分が我慢すれば大丈夫」という答えは、抱え込んで長続きしない人と受け取られやすいので避けましょう。一人で対応しない姿勢を示すことが大切です。

Q. 精神科病院の面接で、逆質問は何を聞けばよいですか?

配属予定の病棟の種類と入院患者さんの特徴、日勤と夜勤の看護師と看護補助者の人数、夜間の応援体制、暴力への対策や研修、未経験者が独り立ちするまでの期間、異動の可能性がある部署の範囲がおすすめです。精神科病院は病棟によって仕事の中身が大きく違うため、この質問で入職後のずれを防げます。

Q. 精神科病院の面接で「楽そうだから」と正直に言ってもよいですか?

避けたほうが無難です。精神科の仕事は処置が少ない代わりに、観察と記録、関係づくり、行動制限や入院形態に関わる判断など別の負担があり、「楽そう」という動機は早期離職を心配されます。条件を重視すること自体は問題ないので、志望動機では身につけたい力を話し、勤務条件は逆質問や内定後の書面で確認しましょう。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年8月2日最終更新:2026年9月18日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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