療養病棟のパートという働き方|勤務時間の組み方と、任される範囲


この記事のポイント
- ✓療養病棟のパート看護師は
- ✓どの時間帯にどんな仕事を任されるのか
- ✓午前のみ・短時間・夕方・夜勤専従といった勤務時間の組み方
先日、ブランクのある看護師さんから相談を受けました。「療養病棟のパートに応募しようと思っている。週3日の午前だけと伝えたら大丈夫と言われたけれど、入ってみたら入浴介助ばかりで、処置は一切任されない。これって契約と違うのでは」という内容です。
結論から言うと、このケースは契約違反とは言いにくいです。雇用契約書に書かれていた業務内容が「看護業務全般」だったからです。つまり、入浴介助も看護業務の一部として任されうる書き方になっていたわけです。これ、知らない人が本当に多いんです。
療養病棟のパートは、働く時間を選びやすく、ブランクがあっても始めやすい働き方です。一方で、どの時間帯に入るかによって任される仕事がはっきり変わり、それが入職前に書面で確かめられていないと、思っていた働き方とずれることがあります。この記事では、療養病棟のパートの勤務時間の組み方と、それぞれの時間帯に任される範囲、時給の相場、そして社会保険や有給休暇といった決まりごとまで、順番に整理します。
療養病棟がパートを必要とする理由:業務の山が時間帯で決まっている
療養病棟がパートの看護師を多く採用しているのには、はっきりした理由があります。業務量の山が、1日の中で決まった時間帯に集中するからです。
まず、療養病棟がどういう場所かを確認しておきます。
医療療養病棟は、急性期医療の治療を終えても、引き続き何らかの治療が必要なため医療提供の必要度が高く、病院での療養が継続的に行われる必要な患者さんを対象とした病棟です。 出典: kakegawa-higashi.com
つまり、状態は落ち着いているけれど、医療的な管理が毎日必要な患者が長く入院している病棟です。経管栄養、喀痰吸引、褥瘡の処置、点滴といったケアに加え、ほとんどの患者に食事、排泄、入浴の介助が必要になります。
こうした業務は、急性期のように予測できないタイミングで発生するのではなく、時間割のように決まった時間に集中します。午前中は入浴介助と処置、昼は食事介助と経管栄養の注入、夕方は夕食と就寝前のケア。この山に合わせて人を増やしたい、というのが病院側の事情です。
常勤の看護師だけでこの山に合わせようとすると、山のない時間帯に人が余ってしまいます。そこで、山の時間帯だけ働いてくれるパートの看護師が重宝されます。つまり、療養病棟のパートは「人手が足りないから仕方なく採る」のではなく、「業務の形に合っているから採る」という性格が強い働き方なのです。
この事情を知っておくと、面接での交渉がしやすくなります。「週3日の午前だけ」という条件は、入浴介助と処置が集中する時間帯にぴったり合うので、病院にとっても歓迎しやすい条件です。反対に、山のない午後の早い時間帯だけという希望は、通りにくいことがあります。
看護師の賃金水準は地域や勤務形態で差があります。常勤の年収相場や時給の分布を知っておくと、パートの提示額が妥当かどうかを判断しやすくなります。職種別の賃金データは看護師の年収・単価相場にまとまっています。
勤務時間の組み方と、時間帯ごとに任される仕事
療養病棟のパートでよく見られる勤務時間の組み方を、時間帯ごとに任される仕事と合わせて整理します。同じ「パート」でも、入る時間によって仕事の中身がかなり違います。
午前のみ(9時から13時ごろ)
いちばん求人が多い形です。朝の申し送りに参加し、午前の処置、入浴介助、点滴の準備と管理、昼食前の経管栄養の注入までを担当することが多いです。入浴日が決まっている病棟では、入浴日の午前に人を集中させるため、午前パートの仕事は入浴介助の比重が高くなります。
子育て中の人やブランク明けの人に選ばれやすく、昼で上がれるので家庭との両立がしやすい形です。一方で、入浴介助が中心になると体力を使うので、腰に不安がある人は業務の配分を事前に確認しておく必要があります。
日勤フルタイムの週2〜4日(8時30分から17時ごろ)
常勤と同じ時間帯を、週の日数を減らして働く形です。受け持ち患者を任されることが多く、業務内容は常勤の日勤とほとんど変わりません。処置、観察、記録、家族への対応、医師の指示の受けまで一通り担当します。
常勤と同じように病棟の流れに入れるので、看護技術を落としたくない人や、将来常勤に戻ることを考えている人に向いています。
短時間の日勤(9時から15時ごろ)
午前パートより少し長く、昼食の介助と午後の処置の一部まで担当する形です。学校から子どもが帰る時間までに上がりたい人に選ばれています。昼休憩をはさむので、実働時間は5時間前後になることが多いです。
夕方のみ(17時から21時ごろ)
夕食の介助、経管栄養の注入、食後の内服、口腔ケア、就寝前のおむつ交換と体位変換を担当します。夜勤者だけでは手が足りない時間帯を支える役割です。求人数は多くありませんが、日中に別の仕事や家庭の用事がある人に向いています。
夜勤専従のパート
夜勤だけを引き受ける形です。1回の勤務で夕方から翌朝までを担当し、夜勤帯の看護師として病棟を見ます。報酬は1回あたりで設定され、日勤のパートより時間あたりの額は高くなります。夜勤の人数に数えられるので、任される責任は常勤の夜勤と同じです。
土日祝のみ
常勤の看護師が休みを取りやすいように、週末だけ入る形です。本業が別にある人や、平日に家族の介護がある人が選んでいます。
どの形でも、面接で「その時間帯に主に任される仕事」を具体的に聞いておくことが大切です。午前パートでも入浴介助が中心の病院と、処置が中心の病院があります。この違いは求人票の「看護業務全般」という書き方からは読み取れません。
パートに任される範囲:受け持ち、処置、記録、そして任されないこと
療養病棟のパートが実際にどこまで任されるのかを、もう少し踏み込んで整理します。
任されることが多い仕事
・処置(褥瘡の処置、喀痰吸引、経管栄養の注入、点滴の管理、血糖測定、インスリン注射) ・入浴介助、食事介助、おむつ交換、体位変換 ・バイタルサインの測定と観察 ・担当した時間帯の看護記録 ・日勤フルタイムの場合は受け持ち患者の看護
任されないことが多い仕事
・病棟のリーダー業務 ・委員会活動や院内研修の企画 ・入退院の調整や家族との面談の主担当 ・勤務表の作成や新人の教育担当
つまり、パートは「その時間帯の実務」を担い、「病棟の運営にかかわる仕事」は常勤が担うという分担が一般的です。この線引きがあるから、パートは勤務時間内に仕事を終えやすいのです。
ただし、ここで注意してほしいことがあります。人手が足りない病棟では、この線引きがあいまいになり、パートでもリーダー業務や委員会を頼まれることがあります。頼まれて引き受けること自体は問題ありませんが、その業務のために勤務時間が延びるなら、残業代が支払われるべきです。
看護師と准看護師で任される範囲は変わるか
療養病棟では准看護師も多く働いています。准看護師は看護師の指示を受けて業務を行う立場なので、日々の処置や介助の内容は大きく変わらないことが多いですが、受け持ちの責任者やリーダーは看護師が担う病院が一般的です。時給は看護師より100〜300円ほど低く設定されている求人がよく見られます。
看護補助者との分担
療養病棟では看護補助者(介護職員など)が介助の多くを担っています。補助者が十分にいる病院では、パートの看護師は処置と観察に集中できますが、補助者が足りない病院では、介助の比重が一気に高くなります。補助者として働く介護職員の賃金水準は介護職員の年収・単価相場にまとまっていて、病院が補助者を確保しやすい条件を出しているかどうかの見当をつける材料になります。
ほかの職場のパートと比べたときの、療養病棟の特徴
パートで働く看護師の職場は、療養病棟のほかにも急性期病棟、外来、クリニック、介護施設、訪問看護などがあります。同じパートでも、職場によって任される仕事の性質がかなり違います。療養病棟を選ぶかどうかを決めるために、主な違いを並べておきます。
急性期病棟のパート
急性期病棟は入退院や検査、手術の準備が多く、業務の流れが日によって大きく変わります。短時間のパートだと患者の状態の変化を追いきれないため、日勤フルタイムでの募集が中心になりやすく、午前のみの求人は療養病棟より少なめです。看護技術の幅を保ちたい人には向いていますが、ブランク明けにいきなり入ると負担が大きく感じられることがあります。
外来やクリニックのパート
外来やクリニックは、診療時間に合わせた勤務になります。採血、注射、診療の補助、電話対応などが中心で、身体介助はほとんどありません。午前診や午後診に合わせた短時間の求人が多く、夜勤もありません。一方で、患者の人数が多い日は時間内に終わらないこともあり、診療が長引けばそのまま残業になります。
介護施設のパート
特別養護老人ホームや介護老人保健施設では、看護師の人数が少なく、服薬管理や健康状態の観察、医療的な判断が中心になります。医療処置の量は療養病棟より少ないですが、医師が常にいるわけではないので、看護師が判断を求められる場面は多くなります。オンコールを担当するかどうかも確認が必要です。
訪問看護のパート
訪問看護は、利用者の自宅を1件ずつ回ります。1件あたりの訪問時間が決まっているので、訪問件数で勤務を組みやすい働き方です。ただし、一人で利用者の家に行って判断する場面が多いため、臨床経験がある程度求められることが多いです。
療養病棟のパートの位置づけ
こうして並べると、療養病棟のパートは「医療処置の経験を保ちながら、急性期ほど流れが読みにくくない」「病棟なので周りに相談できる人がいる」「業務の山が決まっていて短時間の勤務と相性がよい」という特徴を持っています。反対に、身体介助の比重が高くなりやすい点は、ほかの職場より負担になるところです。自分が何を優先したいのかによって、選ぶ職場は変わります。
時給の相場と、収入の組み立て方
療養病棟のパートの時給は、地域と資格と時間帯で変わります。一般的な相場を整理しておきます。
正看護師の日勤パートでは、時給1,600〜2,100円程度の求人がよく見られます。都市部では2,000円を超える求人も珍しくなく、地方では1,500円台の求人もあります。准看護師は先ほどお話ししたとおり、そこから100〜300円ほど低いのが目安です。
夜勤専従のパートは、1回あたり2万5,000〜3万5,000円程度で設定されていることが多いです。時間あたりに直すと日勤より高くなりますが、夜勤は深夜の割増賃金が含まれていることが前提です。法律上、22時から翌5時までの労働には25%以上の割増賃金が必要なので、1回あたりの額にこれが含まれているかを確かめておくと安心です。
収入を考えるときは、時給の高さだけで比べないことが大切です。同じ時給でも、交通費が出るか、賞与や寸志があるか、昇給の仕組みがあるか、社会保険に加入できるかで、手元に残る額と将来の保障が変わります。
特に見落としやすいのが、勤務時間の端数の扱いです。「9時から13時」の求人でも、実際には8時45分からの申し送りに参加するよう求められることがあります。この15分が勤務時間として扱われていなければ、毎日の未払いが積み重なります。つまり、始業前の申し送りや着替えの時間が、勤務時間に含まれているかを確認しておく必要があるわけです。業務として参加が義務づけられている時間は、労働時間として扱われるのが原則です。
社会保険・扶養・有給休暇:パートでも知っておきたい決まり
ここからは、私がいちばんお伝えしたい部分です。パートの働き方で起きるトラブルの多くは、決まりごとを知らないまま働き始めたことから生まれます。
社会保険に加入する条件
パートでも、一定の条件を満たすと勤務先の健康保険と厚生年金に加入することになります。現在の主な条件は次のとおりです。
・週の所定労働時間が20時間以上 ・月額の所定内賃金が8.8万円以上 ・2か月を超えて雇用される見込みがある ・学生ではない ・勤務先の従業員数が51人以上(病院の多くは該当します)
つまり、週3日で1日7時間働くと週21時間になり、加入の対象になる可能性が高いということです。この条件は段階的に見直されることが決まっており、今後は対象がさらに広がる方向です。
加入すると保険料が給与から差し引かれるので手取りは減りますが、将来の年金が増え、病気で休んだときの傷病手当金も受けられるようになります。どちらが得かは家庭の状況によって違うので、「加入しないように時間を調整する」前に、一度計算してみることをおすすめします。
配偶者の扶養との関係
配偶者の扶養に入っている場合、年収が130万円を超えると、原則として扶養から外れて自分で保険料を払うことになります。勤務先の社会保険の加入条件を満たした場合は、130万円に届かなくても勤務先で加入することになります。年の途中で勤務時間を増やすときは、この点を確認してから決めてください。
有給休暇はパートにもある
これ、知らない人が本当に多いんです。パートでも、6か月継続して勤務し、所定の労働日の8割以上出勤していれば、年次有給休暇が付与されます。日数は週の所定労働日数に応じて決まり、週3日勤務なら6か月経過時点で5日、週4日勤務なら7日が基準です。
「パートだから有給はない」と言われた場合、それは法律に反しています。※実際に取得を拒まれた、不利益な扱いを受けたといったケースでは、労働基準監督署や弁護士に相談してください。
常勤との待遇の差
パートタイム・有期雇用労働法では、同じ仕事をしている常勤とパートとの間で、不合理な待遇の差を設けることが禁じられています。いわゆる同一労働同一賃金の考え方です。たとえば、常勤にだけ通勤手当や夜勤手当を支給し、同じ業務をしているパートには支給しないといった差は、説明のつく理由がなければ問題になりえます。
労働条件通知書と面接で確かめる項目
冒頭の相談のようなずれを防ぐには、入職前に書面で確かめるしかありません。雇い入れの際、会社は労働時間や賃金、業務内容などを書面で明示する義務があります。この書面が労働条件通知書です。
労働条件通知書で見る項目
・就業の場所と、従事する業務の内容(「看護業務全般」だけでなく、配属病棟が書かれているか) ・始業と終業の時刻、休憩時間 ・所定外労働(残業)の有無 ・休日と、週の所定労働日数 ・賃金の額、支払日、昇給の有無 ・社会保険の加入の有無 ・契約期間と、更新の有無と基準
特に業務の内容と配属先は、将来の変更の範囲も書面で示すことが求められるようになっています。つまり、「今は療養病棟だけれど、将来は別の病棟に配置転換されることがある」なら、それが書かれているはずです。
面接で聞く項目
・その時間帯に主に任される仕事(入浴介助と処置の割合) ・受け持ち患者を持つかどうか ・始業前の申し送りに参加する必要があるか、その時間は勤務時間に含まれるか ・残業が発生したときの扱い ・急な子どもの発熱などで休むときの連絡方法と、代わりの人の手配 ・ブランクがある場合の研修や同行の期間
聞いたことは、面接のあとにメモに残しておいてください。後日トラブルになったとき、「面接でこう説明された」という記録があるだけで、話し合いの進み方が変わります。
私自身、独立したばかりのころ、口頭の約束だけで仕事を引き受けて、後から業務の範囲でもめた経験があります。そのとき以来、どんなに小さな仕事でも、何をどこまでやるかを書面にしてから始めるようにしています。雇用でも同じです。書面は相手を疑うためのものではなく、お互いの認識をそろえるためのものです。
パートで起きやすいトラブルと、そのときの考え方
入職前に確かめていても、働いているうちに問題が起きることはあります。療養病棟のパートでよく相談を受けるケースと、そのときにどう考えればよいかを整理します。
決まった時間に帰れない
「午前のみ」の約束だったのに、昼の経管栄養や入浴の片付けが終わらず、毎日30分ほど残ることになった。こういう相談はとても多いです。まず確認してほしいのは、その残った時間の賃金が支払われているかどうかです。上司の指示で残った場合はもちろん、業務が終わらないことを上司が知りながら黙認している場合も、労働時間として扱われるのが原則です。
毎日のように残業が発生するなら、業務量が時間に合っていないということです。担当する業務を減らしてもらうか、勤務時間を延ばして契約を見直すか、どちらかを相談してください。つまり、「残るのが当たり前」の状態を続けないことが大切です。
シフトを一方的に減らされた
人が足りているからと、週3日の約束が週1日に減らされた、という相談もあります。労働条件通知書に週の所定労働日数が書かれているなら、それを一方的に減らすことは原則としてできません。「シフトによる」としか書かれていない場合は争いになりやすいので、契約の段階で週の日数や時間数の目安を書面にしておくことが、ここでも効いてきます。
※会社の都合で休業させられた場合には休業手当の問題になることがあるので、実際に収入が大きく減ったケースでは、労働基準監督署や弁護士に相談してください。
契約を更新しないと言われた
パートは6か月や1年の有期契約になっていることが多く、更新の時期に「次は更新しない」と言われることがあります。これまで何度も更新されてきて、更新されると期待するのが自然な状況なら、合理的な理由のない雇止めは認められないことがあります。
また、同じ勤務先で有期契約が更新されて通算5年を超えると、本人が申し込むことで期間の定めのない契約に切り替えることができます。これを無期転換ルールと言います。つまり、長くパートで働いている人は、契約期間の心配をせずに働ける立場を自分で選べるということです。これも知らない人が本当に多い決まりです。
常勤と同じ仕事なのに手当がない
パートでも受け持ちを持ち、夜勤にも入り、常勤とほぼ同じ仕事をしているのに、常勤に出ている手当が一切ない。こうした場合は、先ほどお話しした同一労働同一賃金の考え方から、待遇の差について説明を求めることができます。会社には、パートから求められたときに待遇の差の内容と理由を説明する義務があります。いきなり争うのではなく、まず説明を求めるところから始めるのが現実的です。
パートから始めて、働き方を広げていく
療養病棟のパートは、ブランク明けの復職先としてよく選ばれます。流れが決まっていて、急変対応の頻度が急性期より低いので、少しずつ感覚を取り戻しやすいからです。
最初は午前パートで週2〜3日から始め、慣れてきたら日勤フルタイムに広げる、子どもが大きくなったら常勤に切り替える、という段階を踏む人は多いです。病院側も、働きぶりを知っているパートの看護師を常勤に迎えられるのは安心なので、切り替えの相談には応じてもらいやすい傾向があります。
入職して最初の1か月に任されること
療養病棟のパートとして入職すると、最初の数日は常勤の看護師について回る「同行」の期間になることが一般的です。病院によって長さは違いますが、午前パートなら3〜5回ほどの勤務を同行にあてる例がよく見られます。この間に覚えるのは、処置の手技そのものよりも、その病棟の決まりごとです。物品の置き場所、経管栄養の注入の順番、記録の書き方、申し送りで何を伝えるか、といった点です。
同行が終わると、まずはバイタルサインの測定や入浴介助、食事介助といった、手順が決まっていて判断の幅が小さい業務から任されます。そのあとで喀痰吸引や褥瘡の処置、点滴の管理へと広がっていくのが一般的な順番です。電子カルテの操作に慣れていない人は、記録に時間がかかって終業時刻を過ぎやすいので、同行の期間中に操作を教わる時間を取ってもらうよう、最初に頼んでおくと安心です。
ここで大事なのは、「この処置はまだ一人でやったことがない」と言える関係を最初に作ることです。遠慮して黙って引き受けると、事故が起きたときに困るのは自分です。つまり、できないことを伝えるのは甘えではなく、安全のための報告だということです。
常勤に切り替えるときに確かめること
パートから常勤に切り替えるときは、新しい雇用契約になるのが普通です。有給休暇の日数がパート時代の勤続期間を引き継ぐか、退職金の計算にパートの期間が含まれるか、夜勤やリーダー業務がいつから始まるかは、病院によって扱いが違います。切り替えの話が出たら、この3点を書面で確かめてから返事をしてください。
ブランクから戻るまでの不安の正体と、それをどう埋めていくかは、ブランクのある看護師が現場に戻るまでで順を追って整理しています。療養病棟に限らず、パートの勤務時間と収入をどう組み立てるかを全体から考えたい人は、看護師のパート勤務という現実解もあわせて読むと、ほかの職場と並べて判断しやすくなります。
働き方を広げるときに迷ったら、キャリアの専門家に相談するのも一つの方法です。職場や転職の相談を受ける仕事の中身は職場・転職・キャリア相談のお仕事で紹介されていて、どういう相談ができるのかがイメージしやすくなります。
運営者の視点から見た、パートと個人の仕事の組み合わせ
フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、医療や介護の分野でも、パート勤務と個人の仕事を組み合わせる人が確実に増えています。療養病棟の午前パートで臨床の感覚を保ちながら、午後に健康に関する記事の確認や、介護施設向けの研修資料づくりを引き受ける、といった形です。
こうした組み合わせで長く続いている人は、どちらの仕事でも「何をどこまで引き受けるか」を最初にはっきりさせています。雇用でも業務委託でも、範囲があいまいなまま始めた仕事ほどトラブルになりやすいのは同じです。
もう一つ、長く続いている人に共通しているのは、パート先の勤務時間を先に固め、個人の仕事をその外側に置いていることです。療養病棟の午前パートは終業時刻が読みやすいので、午後の予定を組みやすいという利点があります。反対に、個人の仕事の締め切りに合わせてパートの勤務を急に休むと、病棟の人員に穴があき、次のシフトで希望が通りにくくなります。つまり、雇用の側で守るべき約束と、個人の仕事で調整できる部分を分けて考えている人ほど、両方が安定しているということです。
なお、病院によっては就業規則で副業に届け出を求めていることがあります。個人の仕事を始める前に、就業規則のその条項だけは確認しておいてください。
個人で仕事を受けるときは、仲介の手数料がかからない直接のやり取りであれば、依頼する側は同じ予算で頼みやすく、受ける側の手取りは厚くなります。手数料0%の良さは、金額の大きさよりも、条件を直接話し合って双方が納得できる形を作りやすい点にあると、運営者として見てきて感じています。
療養病棟のパートは、時間帯を選べば家庭とも両立しやすく、看護の感覚を保ちながら働ける仕事です。任される範囲と決まりごとを入職前に書面で確かめておけば、思っていた働き方とのずれはほとんど防げます。法律はあなたの味方です。
よくある質問
Q. 療養病棟のパートはブランクがあっても採用されますか?
採用されやすい職場の一つです。業務の流れが決まっていて、急変対応の頻度が急性期より低いため、少しずつ感覚を取り戻しやすいからです。面接では、同行や研修の期間があるか、最初はどの業務から任されるかを確認しておくと、入職後の不安が減ります。
Q. 療養病棟のパート看護師の時給はどれくらいですか?
正看護師の日勤パートでは時給1,600〜2,100円程度の求人がよく見られ、都市部では2,000円を超えることもあります。准看護師はそこから100〜300円ほど低いのが目安です。夜勤専従のパートは1回2万5,000〜3万5,000円程度で設定されていることが多いです。
Q. パートでも社会保険に加入しなければいけませんか?
週の所定労働時間が20時間以上、月額の所定内賃金が8.8万円以上、2か月を超える雇用見込みがあり、学生でなく、勤務先の従業員数が51人以上なら加入の対象になります。病院の多くは従業員数の条件を満たすため、週3日で1日7時間働くと対象になる可能性が高いです。
Q. 午前パートでも有給休暇はもらえますか?
もらえます。6か月継続して勤務し、所定の労働日の8割以上出勤していれば、パートでも年次有給休暇が付与されます。週3日勤務なら6か月経過時点で5日、週4日勤務なら7日が基準です。取得を拒まれた場合は労働基準監督署などに相談してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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