認可外保育園の志望動機をどう書くか|ここを選んだ理由の組み立て方


この記事のポイント
- ✓認可外保育園の志望動機は
- ✓園の類型と体制を調べたうえで「ここを選んだ理由」を書けるかで決まります
- ✓認可外を選んだ理由の型
認可外保育園の志望動機を書こうとして手が止まる人は、たいてい同じところでつまずいています。「子どもが好きだから」「アットホームな雰囲気に惹かれて」と書いてみたものの、これは他のどの園に出しても成立してしまう文章だと気づく。そこで止まるわけです。
私は行政書士として、契約書や申請書類を作る仕事をしています。書類の仕事で最初に教わるのは、「この書類は誰が何を判断するために読むのか」を考えることです。志望動機も同じで、園長が何を判断したくてこの欄を読むのかが分かれば、書く内容は自動的に決まってきます。
結論を先に書きます。認可外保育園の園長が志望動機で見ているのは、保育への情熱ではありません。この人がうちの園の作りを理解したうえで応募しているか、そして早期に辞めない見込みがあるか、この2点です。これ、知らない人が本当に多いんです。
この記事では、その2点を満たす志望動機をどう組み立てるかを、調べ方から例文の分解まで順番に書きます。
志望動機で落ちるのは、園を調べていないことが伝わるとき
採用する側の事情から説明します。認可外保育園は、職員の入れ替わりが経営に直結します。人数が少ないので、1人抜けるとシフトが組めなくなる。だから、採用の判断で最も重視されるのは「続くかどうか」です。
続くかどうかを判断する材料として、園長は志望動機を読みます。ここで「子どもが好きです」「アットホームな職場だと感じました」とだけ書かれていると、判断の材料になりません。どの園にも当てはまる文章は、この園を選んだ理由を説明していないからです。
そして、園長の側には経験則があります。園の作りを理解せずに入った人は、早く辞める。園庭がないことを知らずに入った人は外遊びの往復に疲れ、開所時間が長いことを想定していなかった人は早番と遅番のシフトで体調を崩し、有資格者が少ない体制を知らなかった人は判断が自分に集中することに消耗します。
つまり、園長が志望動機で確かめたいのは「うちが認可外であること、うちがこういう体制であることを分かったうえで来ているか」なんです。これを文章で示せていれば、それだけで他の応募者と差がつきます。
具体的に何を書けばよいか。園に固有の事実を最低1つ、自分の言葉で書いてください。「定員が19名と小規模で、乳児中心の保育をされていること」「駅前で13時間開所されていて、就労時間の長い保護者の方を受け入れていること」「自園調理で給食を出されていること」。こうした事実が入っていると、調べてきたことが一行で伝わります。
逆に、書かないほうがよいものもあります。「認可園に落ちたので」という理由は、思っていても書きません。これは園を第二志望として扱っているという表明になるからです。同様に、「残業が少ないと聞いて」「アットホームだから」といった待遇や雰囲気だけの理由も、続く根拠としては弱い。
※ ただし、給与や勤務時間を確認すること自体は当然の権利です。面接で条件を聞くことと、志望動機の欄に条件を書くことは別の話です。条件は面接で聞き、志望動機には園と自分の接点を書く。この使い分けをしてください。
もうひとつ、書式の話をします。志望動機の欄が履歴書の小さな枠しかない場合、書ける量は200字前後です。この分量なら、園に固有の事実を1つ、自分の経験を1つ、今後どう働きたいかを1つ、この3要素で構成すると収まります。職務経歴書を別に出す場合は、そちらで400字から600字程度に展開してください。
その園に固有の事実を、どうやって見つけるか
固有の事実を書けと言われても、情報がなければ書けません。ここは手順があります。順番にやれば、30分程度で材料が集まります。
第一に、園の公式サイトを見ます。見るのはトップページではなく、園の概要ページと、保育の1日の流れが書かれたページです。概要ページには定員、対象年齢、開所時間、職員数が書かれていることがあります。1日の流れには、何時に何をする園なのかが具体的に出ています。
第二に、所在地の自治体が公表している認可外保育施設の一覧を探します。認可外保育施設は、都道府県等への届出が義務づけられており、年1回以上の立入調査の対象になっています。自治体はこの一覧や調査結果をサイトで公表していることがあり、届出の有無、定員、施設の類型、指導監督基準を満たす旨の証明書が交付されているかどうかが分かります。制度の枠組みは厚生労働省のサイトからたどれます。
証明書が交付されている園なら、志望動機に「基準を満たす旨の証明を受けておられること」と書けます。これは公式サイトを見ただけでは書けない情報なので、調べたことが明確に伝わります。
第三に、園の類型を特定します。自治体独自の認証を受けている園なのか、企業主導型なのか、ベビーホテルに当たるのか、教育プログラムを掲げている園なのか。類型が分かると、園が何を大事にしているかが推測できます。
たとえば東京都の認証保育所であれば、駅前に設置されていることと13時間開所が制度上の特徴です。これを知っていれば、「長時間の保育を必要とされる保護者の方を支える役割を担っておられる点に共感しました」という書き方ができます。
第四に、求人票を精読します。求人票は園が自分で書いた文章なので、何を求めているかが表れます。「明るい方」としか書かれていない求人と、「乳児保育の経験がある方歓迎」と書かれている求人では、求めているものが違います。
第五に、可能なら見学に行きます。見学に行った事実そのものが志望動機の材料になります。「見学の際に、職員の方が子どもの名前を呼んで声をかけておられたのが印象に残りました」という一文は、見学しなければ書けません。
見学のときにメモを取ってください。園庭の有無、休憩室の有無、連絡帳が手書きかアプリか、掲示物の内容、職員同士のやりとり。このメモが、そのまま志望動機の素材になります。
認可外を選んだ理由を、どう説明するか
多くの園長が気にしているのは、「なぜ認可園ではなくうちなのか」です。ここを説明できると、志望動機の強度が一段上がります。型は3つあります。
第一の型は、保育の中身で説明するものです。認可外は、園ごとに保育の方針を自由に設計できます。異年齢保育を中心にしている園、モンテッソーリ教育を取り入れている園、英語を日常的に使う園、自然遊びに重心を置く園。方針が明確な園に対しては、その方針への共感を書くのが最も素直です。
ただし、共感を書くときは、方針の名前を挙げるだけでは足りません。「モンテッソーリ教育に共感しました」ではなく、「子どもが自分で教具を選び、納得するまで繰り返す時間を保障する考え方に共感しました」まで書く。方針の中身を自分の言葉に置き換えられているかどうかで、本気度が判断されます。
第二の型は、規模で説明するものです。小規模な園では、子ども一人ひとりの様子を長い時間かけて見られます。大規模な園から移る人なら、これは正直な理由になります。「前職では100名規模の園で担任をしておりましたが、一人ひとりの変化をより丁寧に追える環境で働きたいと考えるようになりました」。この書き方なら、前職の否定にならずに、規模を選んだ理由が伝わります。
第三の型は、働き方で説明するものです。一時預かりが中心の園、夜間保育がある園、企業に併設された園では、そこでしか得られない経験があります。「一時保育では初めて来られるお子さんの状態を短時間で把握する力が求められると考えており、その経験を積みたいと思いました」といった書き方です。
どの型を選ぶにしても、避けたほうがよい説明があります。「認可園は競争率が高いので」「認可外のほうが入りやすいと思って」。これは正直ですが、園の側から見ると、認可園の空きが出たら移るという意味に読めます。
また、「認可外のほうが自由に保育ができそうだから」という理由も、書き方に注意が必要です。自由という言葉は、園の側からすると「基準が緩いと思われている」と受け取られる可能性があります。自由ではなく、「園ごとに方針を設計できる」「その方針に共感した」という形にしてください。
待遇の話を書く場合も、書き方次第です。「家から近いので」は単独では弱いですが、「自宅から徒歩10分で、早番にも安定して入れます」と書けば、園にとっての利点になります。同じ事実でも、園の側の利益に翻訳すると意味が変わります。
なお、提示された条件が相場から離れていないかは、応募前に確認しておくとよいと思います。職種ごとの水準がまとまったページがあるので、保育士の年収・単価相場で地域や雇用形態による幅を見ておくと、面接で条件の話になったときに落ち着いて判断できます。
未経験・ブランク・短期離職がある場合の書き方
志望動機と一緒に説明が必要になるのが、経歴の空白や短い在職期間です。ここを隠そうとすると、かえって不信を招きます。書き方の原則は、事実を先に書いて、そこから何を得たかを続けることです。
未経験の場合。保育士資格を取ったばかり、あるいは資格取得中で無資格から入る場合です。認可外は、保育に従事する者のうち3分の1以上が保育士または看護師であればよいという基準なので、無資格での採用が制度上可能です。だからこそ、「資格がないこと」ではなく「何ができるか」を書いてください。
前職が接客業なら、保護者対応に直結します。事務職なら、記録や書類の作成が早い。介護職なら、身体介助と観察の経験がある。子育て経験があるなら、生活リズムの実感がある。これらは全部、保育の現場で使えます。
ブランクがある場合。育児、介護、療養などで離れていた期間があるなら、期間と理由を短く書いて、復帰の準備として何をしたかを続けます。「3年間、家族の介護のため離職しておりました。復帰にあたり、保育士等キャリアアップ研修の内容を確認し、感染症対応と事故防止の手引きを読み直しました」。準備の具体性が、復帰の意思の証明になります。
短期離職がある場合。ここが一番相談の多いところです。3か月や6か月で辞めた職歴があると、また辞めるのではないかと見られます。
この場合、前の園の批判は書かないでください。事実として労働条件に問題があったとしても、書類の段階で書くと、次の園でも同じことを言うと思われます。代わりに、「ミスマッチがあった」という形で短く触れ、今回はそれを踏まえて確認したうえで応募している、という流れにします。
「前職では体制について事前の確認が不十分なまま入職し、結果として短期間での退職となりました。今回は見学の際に職員数と勤務シフトを確認し、長く働ける環境だと判断して応募いたしました」。この書き方なら、失敗を認めたうえで、同じことを繰り返さない根拠が示せます。
※ 前職で未払い賃金やハラスメントがあった場合、それは別の手続きで扱ってください。労働条件の問題は、各都道府県の労働局にある総合労働相談コーナーで無料で相談できます。志望動機の欄で解決する問題ではありません。
安全と記録に対する姿勢を、一行入れる
認可外保育園の園長が、口に出さずに気にしていることがあります。安全管理です。理由は、認可外施設での事故が報道されると、類型全体への信頼が下がるからです。
実際に、認可外保育施設での死亡事例は報道されています。たとえば、生後3か月の乳児が一時保育中に亡くなった事案について、次のように報じられています。
2022年7月30日。母親は、那覇市の認可外保育園に生後3か月の涼空ちゃんの一時保育利用を依頼。その日の朝、園に預けます。昼過ぎに涼空ちゃんを迎えに行くと中に入れず、15分ほど待たされました。 出典: qab.co.jp
こうした事案は例外的なものであり、多くの園は真剣に安全管理に取り組んでいます。ただ、報道が出るたびに保護者からの問い合わせが増え、園の側は説明に追われます。だから園長は、安全に対する感度がある人を採りたいと考えています。
志望動機に、安全と記録に関する一行を入れてください。長く書く必要はありません。「午睡時のチェックや、日々の記録を確実に残すことを大切にしています」。この一文があるだけで、感度がある人だと伝わります。
具体的に書けるなら、さらによい。「前職では午睡中の呼吸と体位の確認を5分ごとに行い、記録表に残しておりました」。頻度と方法が入ると、実際にやってきたことが分かります。
記録についても同様です。保育の記録は、事故が起きたときに何があったかを示す唯一の材料になります。行政書士として書類を扱う立場から言うと、記録の価値は「あとから見て何が起きたか分かること」にあります。きれいに書くことではなく、時刻と事実が残っていることが重要です。
この点を分かっている応募者は、園にとって安心材料です。「連絡帳や日誌は、保護者の方に伝えるためだけでなく、園として何があったかを残す記録でもあると考えています」という一文を入れられるなら、入れてください。
※ 志望動機に事故の事例そのものを書く必要はありません。事故に言及すると、園を疑っているような印象になることがあります。書くのは、自分がどういう姿勢で記録と安全に向き合うかだけで十分です。
例文を分解する
ここまでの要素を組み合わせた例文を3本出します。そのまま使うのではなく、構造を見てください。
1本目は、経験者が小規模な認可外に応募する場合です。
「貴園が定員19名で乳児中心の保育をされていること、見学の際に職員の方がお子さん一人ひとりの名前を呼んで関わっておられたことが印象に残り、応募いたしました。前職では90名規模の園で3歳児クラスの担任をしておりましたが、一人ひとりの変化を丁寧に追える環境で経験を深めたいと考えるようになりました。午睡時の確認と日々の記録を確実に残すことを大切にしており、貴園でも継続して取り組みたいと思っております。」
分解すると、園に固有の事実(定員19名、乳児中心、見学での観察)、自分の経験(90名規模、3歳児担任)、認可外かつ小規模を選んだ理由(一人ひとりを丁寧に)、安全と記録への姿勢、という4要素です。
2本目は、未経験者が応募する場合です。
「貴園が駅前で13時間開所され、就労時間の長い保護者の方を支えておられる点に共感し、応募いたしました。保育の実務は未経験ですが、前職の窓口業務では1日40件程度の対応をしながら記録を残す仕事をしており、正確に記録することには慣れております。現在、保育士資格の取得に向けて学習を進めており、まずは補助として現場の動きを覚えたうえで、長く貴園でお力になりたいと考えております。」
こちらは、園に固有の事実(駅前、13時間開所)、未経験であることの明示、転用できる技能(記録)、今後の見通し(資格取得、長く働く意思)という構成です。未経験を隠していないことが、かえって信頼につながります。
3本目は、短期離職を経ての応募です。
「前職では体制の確認が不十分なまま入職し、5か月で退職いたしました。今回は見学の際に常勤の人数と勤務シフトを確認し、長く続けられる環境だと判断して応募しております。貴園が自園調理で給食を出されており、アレルギー対応にも個別に取り組んでおられる点に関心を持ちました。前職で学んだ記録の取り方を活かし、確実な引き継ぎができる職員になりたいと考えております。」
短期離職を冒頭で認め、その原因と今回の対策を示し、そのうえで園に固有の事実に触れています。順番が重要で、先に事実を出してから前向きな内容に移ると、言い訳に見えません。
3本に共通しているのは、園に固有の事実が必ず入っていることです。この1点だけでも押さえてください。
園の類型ごとに、書き分けるべきところ
同じ「認可外」でも、類型が違えば求められる人物像が違います。書き分けができていると、読む側の納得感が大きく変わります。
自治体独自の認証を受けた園の場合、園は補助を受ける代わりに、配置や有資格者の割合について国の最低基準より厳しい条件を満たしています。ここに応募するなら、基準を守ることを前提とした働き方ができる人だと示してください。「記録や報告を確実に行うことを大切にしています」という一文が効きます。開所時間が長い類型なので、早番と遅番に対応できることを明示しておくと、シフトを組む側の安心材料になります。
企業主導型の園では、利用する保護者の勤務形態が園の1日を決めます。病院併設なら夜勤に対応する場合があり、工場の近くなら交代勤務に合わせた時間割になります。ここに応募するなら、「保護者の方の勤務形態に合わせた保育が必要になる点を理解しています」と書いてください。そのうえで、自分がどの時間帯に安定して入れるかを具体的に書くと、採用側は計算ができます。
一時預かりが中心の園では、毎日違う子どもを短時間で把握する力が求められます。担任として1年かけて関係を作る働き方とは、必要な技能が根本的に違う。ここを理解しているかどうかは、志望動機にすぐ出ます。「初めて来られるお子さんの状態を、受け入れの時点で保護者の方から聞き取り、短時間で把握することが重要だと考えています」という書き方なら、仕事の性質を分かっていることが伝わります。
教育プログラムを掲げる園では、保育に加えて教材の準備やプログラムの運営が業務に入ります。応募するなら、そのプログラムの中身を最低限調べてください。名前を挙げるだけでは足りません。何を大事にしている教育なのかを一文で説明できると、本気で調べたことが伝わります。
小規模で、特に方針を掲げていない園の場合は、逆に難しい。書ける固有の事実が少ないからです。この場合は、見学で得た観察を使ってください。「見学の際、お子さんが食べ終わるのを急かさずに待っておられたのが印象に残りました」といった具体的な場面は、その園でしか書けない材料になります。
面接で、志望動機を口頭で説明するとき
書類が通ったら、面接で同じことを口頭で聞かれます。書いた内容をそのまま暗記して読み上げると、不自然になります。口頭用に組み直してください。
口頭では、60秒から90秒が適切な長さです。それ以上話すと、聞く側が要点を追えなくなります。構成は、結論を先に言い、理由を2つ挙げ、最後に働き方の意思を添える、という形が収まりがよい。
結論とは、「この園を選んだ理由を一言で言うと何か」です。「定員19名という規模で、一人ひとりを丁寧に見る保育をしたいと考えたからです」。これが先に来ると、あとの話が頭に入りやすくなります。
理由を2つ挙げるときは、園に関する理由と、自分に関する理由を1つずつにしてください。園だけの話をすると自分のことが伝わらず、自分だけの話をすると園を選んだ理由にならない。両方を並べると、接点が見えます。
そして、面接では必ず逆に質問してください。質問をしない応募者は、実は評価が下がります。関心がないと受け取られるからです。
聞くべきことは決まっています。常勤とパートの人数、有資格者の人数、開所時間と勤務シフトの種類、記録や日誌を書く時間が勤務時間内にあるかどうか、有給の取得状況。この5つを聞けば、園の実態はほぼ見えます。
聞き方のコツは、条件を確かめたいという言い方ではなく、働くイメージを持ちたいという言い方にすることです。「入職後の1日の流れをイメージしたいのですが、記録を書く時間はどのあたりで確保されていますか」。この聞き方なら、当然の質問として受け取られます。
答えを濁された項目は、覚えておいてください。答えられないのは、把握していないか、言いたくないかのどちらかです。どちらであっても、入職後に問題になりやすい部分だと考えて差し支えありません。
※ 面接で聞いた条件は、その場でメモを取ってください。あとで書面の労働条件と食い違った場合、メモが比較の材料になります。メモを取ること自体は失礼ではなく、むしろ真剣さの表れとして受け取られます。
応募の前に、法的に確認しておくこと
志望動機を書き終えたら、応募する前に確認しておくべきことがあります。ここは行政書士の立場から書きます。
第一に、労働条件の明示です。使用者は、労働契約を結ぶときに、労働条件を書面などで明示する義務があります。明示すべき項目には、契約期間、就業場所と従事すべき業務、始業と終業の時刻、休憩時間、休日、賃金の決定と支払方法、退職に関する事項が含まれます。
つまり、これらが書面で示されない園は、その時点で法令上の義務を果たしていないことになります。口頭だけで条件を伝えられ、書面が出てこない場合は、はっきり求めてください。求めること自体が正当な行為です。
第二に、試用期間の扱いです。試用期間中でも労働契約は成立しています。試用期間だから解雇が自由にできるわけではなく、本採用を拒否するには客観的に合理的な理由が必要とされています。また、試用期間中の賃金を低く設定する場合は、その旨があらかじめ示されている必要があります。
第三に、有期契約かどうかです。契約期間の定めがある場合、更新の有無と判断基準が明示されているかを確認してください。「更新する場合がある」とだけ書かれている契約は、更新されない可能性があるという意味です。
第四に、賃金の内訳です。基本給と手当の区分、固定残業代が含まれているかどうかを確認します。固定残業代がある場合は、何時間分がいくらなのかが示されている必要があります。示されていない場合、その手当が残業代として有効に機能しないことがあります。
※ 条件に疑問がある場合、入職してから交渉するより、内定の段階で確認するほうがはるかに楽です。入ってからでは、辞めるという選択肢しか残らなくなります。確認して雰囲気が悪くなるような園なら、入らないほうがよいという判断材料にもなります。
転職の判断そのものに迷いがある段階なら、相談を仕事として扱う領域の考え方が整理に役立ちます。職場・転職・キャリア相談のお仕事を読むと、相談を受ける側がどんな順番で状況を聞くのかが分かるので、自分の状況を自分で整理するときにも使えます。
20年この市場を見てきた立場からの観察
在宅ワークやフリーランスの市場を20年運営してきた立場から見ていると、応募書類で選ばれる人には共通点があります。相手が何を判断したいのかを考えて書いている、という一点です。
自分の熱意を伝えようとする人は多い。ですが、読む側が知りたいのは熱意の量ではなく、この人に任せたときに何が起きるかという予測です。予測を立てられる材料が書かれているかどうかで、通過率が変わります。
運営者として見てきた限りでは、長く仕事が続く人ほど、最初のやりとりで条件と範囲を確認しています。確認する人は面倒な人だと思われそうですが、実際には逆で、あとで揉めないので双方が楽になります。
中間に人が入らない直接のやりとりが増えるほど、同じ予算でも受け手の手取りは厚くなります。手数料0%という言葉の意味は、金額の大小ではなく、自分の働きがそのまま自分に返ってくるという感触の違いです。保育のように給与テーブルが外から決まりやすい仕事から移った人が、最初に驚くのはそこだと聞きます。
保育の経験は、園の外でも通用します。複数の人の状態を同時に把握する力、記録を残す習慣、感情的になっている相手の話を整理して聞く力。これらは相談業務や事務の仕事でそのまま使えます。人の相談に乗る仕事を体系的に学ぶなら、国家資格の枠組みがあります。キャリアコンサルタントは、養成講座の受講や実務経験が受験の条件になるので、働きながら準備する人が多い資格です。
最後に、法律の話に戻します。応募する側と採用する側は、対等な立場で契約を結ぶ関係です。選ばれる側という意識が強くなりすぎると、確認すべきことを確認できなくなります。労働条件を書面で求めることも、試用期間の扱いを聞くことも、あなたの正当な権利です。法律は、あなたの味方です。
よくある質問
Q. 認可外保育園の志望動機で、園長は何を見ているのですか?
保育への熱意ではなく、うちの園の作りを理解したうえで応募しているか、早期に辞めない見込みがあるかの2点です。認可外は人数が少なく1人抜けるとシフトが組めなくなるため、続くかどうかが最重視されます。園に固有の事実を1つ書けているだけで、他の応募者と差がつきます。
Q. 「なぜ認可園ではなく認可外なのか」はどう答えればよいですか?
保育の中身、規模、働き方の3つの型があります。方針が明確な園なら方針の中身を自分の言葉に置き換えて共感を書き、小規模なら一人ひとりを丁寧に見たい理由を書き、一時保育や夜間保育があるならそこでしか積めない経験を挙げます。「認可園は競争率が高いので」は第二志望と読まれるので書きません。
Q. 短期離職がある場合、志望動機にどう書けばよいですか?
前の園の批判は書かず、ミスマッチがあったと短く事実を認めたうえで、今回はそれを踏まえて何を確認したかを続けます。「体制の確認が不十分なまま入職し5か月で退職した。今回は見学で常勤数と勤務シフトを確認して応募した」という順番なら、同じことを繰り返さない根拠が示せます。
Q. 応募前に確認しておくべき労働条件は何ですか?
契約期間、就業場所と業務、始業終業の時刻、休憩、休日、賃金の決定と支払方法、退職に関する事項です。これらは書面などで明示する義務があるので、口頭だけで書面が出ない園にははっきり求めてください。有期契約なら更新の有無と判断基準、固定残業代があるなら何時間分がいくらかも確認します。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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