【確認は5点】在宅軽作業の内職の商談で聞き漏らさない

長谷川 奈津
長谷川 奈津
【確認は5点】在宅軽作業の内職の商談で聞き漏らさない

この記事のポイント

  • 軽作業の内職を在宅で受ける前の商談で
  • 単価・不良品の扱い・受け渡し・支払日・打ち切り条件の5点をどう聞くか
  • 家内労働法とフリーランス保護新法を踏まえ

軽作業の内職を在宅で受けるとき、契約前に事業者と話す場を「商談」と呼ぶか「面接」と呼ぶかは事業者によって違います。ただ、中身は同じです。単価と作業量、材料の受け渡し、不良品が出たときの扱い、支払いの時期。この4つを、その場で確定させる話し合いです。ここで聞き漏らすと、あとから条件を変えられても抗弁できません。これ、知らない人が本当に多いんです。この記事では、在宅の軽作業や内職の商談で必ず確認すべき5点と、答えを濁されたときにどう判断するかを書いていきます。

先日、内職を2か月続けた方から相談を受けました。「最初は1個5円と言われたのに、2回目の納品から1個3円になった」と。書面はなく、口頭のやり取りだけ。結論から言うと、このケースは取り戻すのが非常に難しい。単価を証明する記録が何も残っていないからです。逆に言えば、商談の段階で記録さえ残していれば防げた話でもあります。法律はあなたの味方ですが、味方になるには証拠が要ります。

在宅の内職の商談は、選考ではなく条件のすり合わせ

まず、この認識を変えるところから始めます。応募する側は「選ばれる立場」だと思っているので、条件を聞くことを遠慮します。ところが、内職を発注する側から見ると、商談は「この人に材料を預けて大丈夫か」を確かめる場であると同時に、「条件を伝えて、辞退するなら早めに辞退してほしい」場でもあります。

つまり、条件を細かく聞く応募者は、失礼ではなく歓迎される側です。作業を始めてから「思っていたのと違う」と言って辞められるほうが、事業者にとっては大きな損失になります。指導の時間も、材料の運搬コストも、全部無駄になるからです。

内職は「雇用」ではなく「業務委託」であることが多い

ここを理解しておかないと、商談での質問の方向がずれます。在宅の軽作業や内職は、多くが業務委託契約です。雇用契約ではないので、最低賃金法は原則として適用されません。労災保険も、有給休暇も、社会保険の会社負担もありません。

一方で、内職には家内労働法という別の法律があります。物品の製造や加工を、委託者から委託されて、自宅などで、主として本人の労働によって行う場合、この法律の対象になります。つまり、シール貼りや封入、部品の組立といった典型的な内職は、この法律の適用対象です。

家内労働法が定めているのは、主に次の3点です。委託者は家内労働手帳を交付しなければならないこと。工賃は原則として作業を終えて品物を受け取った日から1か月以内に支払わなければならないこと。業種によっては最低工賃が定められていること。制度の詳細は厚生労働省が所管しています(https://www.mhlw.go.jp/)。

つまり、商談で「家内労働手帳はいただけますか」と聞くだけで、相手が法令を意識している事業者かどうかが分かります。この質問に対して「そういうものはやっていません」と即答する事業者は、他の部分もルーズだと考えたほうがいい。

データ入力やタイピングの在宅案件は、また別の枠組み

同じ在宅の軽作業でも、パソコンを使うデータ入力やタイピングの仕事は、物品の製造加工ではないため家内労働法の対象になりません。この場合に効いてくるのが、2024年11月に施行されたフリーランス保護新法です。正式名称は長いので省きますが、要点は次の通りです。

発注者は、業務委託をした時点で、給付の内容、報酬の額、支払期日などを書面または電磁的方法で明示しなければなりません。つまり、口約束だけで作業を始めさせることが法律上できなくなりました。そして報酬は、給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定め、その日までに支払う義務があります。

この法律の運用は公正取引委員会と厚生労働省が担っています(https://www.jftc.go.jp/)。「イメージと違うから払わない」「今月は資金繰りが厳しいから来月に」といった説明は、支払いを遅らせる正当な理由になりません。

つまり、商談の段階で「条件は書面でいただけますか」と聞くのは、わがままな要求ではなく、発注者側の法的義務の履行を求めているだけです。ここで渋る事業者とは、そもそも契約しないほうがいい。

商談で聞き漏らさない5点

ここからが本題です。順番も含めて、この5点を必ず確認してください。

確認1: 単価と、1個あたりに実際かかる時間

最初に聞くべきは単価ですが、単価だけを聞いても意味がありません。1個あたりの作業時間とセットで初めて判断材料になります。

聞き方はこうです。「1個あたりの工賃はいくらでしょうか。また、慣れた方が1時間でおおよそ何個仕上げられているか、目安を教えていただけますか」。

事業者が既存の作業者の実績を持っていれば、この質問には即答できます。「慣れた人で1時間150個くらいです」と返ってくれば、単価が1個4円なら時間あたり600円という計算になります。最初の1か月はその半分と見て300円前後。この数字を受け入れられるかどうかを、その場で判断できます。

答えが「人によります」しか返ってこない場合は、要注意です。既存の作業者を管理していないか、そもそも定着していない可能性があります。

ここでもう1つ聞いておきたいのが、単価の変更条件です。「単価が変わることはありますか。変わる場合、いつ、どのように連絡いただけますか」。冒頭で紹介した相談事例は、まさにここを聞いていなかったケースです。「発注元の都合で変わることがあります」という回答であっても、それを事前に聞いていれば心の準備ができます。

確認2: 不良品が出たときの扱い

これが最も揉める部分です。100個納品して3個不良があった場合、どうなるのか。パターンは3つあります。

1つ目は、不良分の工賃だけが支払われない。2つ目は、手直しをして再納品すれば工賃は支払われる(手直しの時間は無償)。3つ目は、材料代を弁償する。

3つ目が出てくる契約は、慎重に判断してください。特に、材料単価が工賃より高い作業では、数個の不良で1日分の工賃が飛びます。化粧品サンプルや精密部品の作業で、この条件が付いていることがあります。

聞き方はこうです。「不良が出た場合、工賃の扱いと材料の扱いはどうなりますか。材料費のご負担をお願いされることはありますか」。

そして、もう一段深く聞きます。「不良と判断する基準は、見本かマニュアルでいただけますか」。基準が言語化されていない現場では、担当者の主観で不良判定が動きます。これは作業者にとって、努力しても改善できない状況を意味します。

確認3: 材料の受け渡しと、その移動時間の負担

在宅の軽作業では、材料を取りに行く必要がある募集が多くあります。実際の募集要項を見てみます。

付録などのセット・封入、箱作りなどの軽作業を担当していただきます。未経験者歓迎で、車で作業物を取りに来れる方は在宅ワークも可能です。内職扶養控除内での働き方も可能で、主婦(夫)やフリーターの方も活躍中です。勤務時間は1日2~4時間程度で、週0日から勤務可能です。シフト相談もでき、残業はありません。完全週2休制で、土日祝休も選択可能です。転勤なし、駐車場完備の環境です。 出典: 求人ボックス

「車で作業物を取りに来れる方は在宅ワークも可能」と書かれていますが、この移動時間と燃料代について書かれていません。ここが商談で確認すべき穴です。

往復40分かかる場所に週2回通うなら、月あたり約5時間の無償労働が発生します。工賃が月2万円だとすると、この5時間を含めた実質の時間単価は大きく下がります。

聞くべきは次の3点です。受け渡しの頻度はどのくらいか。1回あたりの持ち帰り量はどのくらいか。交通費や運搬費の支給はあるか。

「1回で2週間分まとめて持ち帰れます」という回答なら、移動の負担は許容範囲です。逆に「週に3回来ていただきます」なら、その分を単価に織り込んで判断する必要があります。

確認4: 支払日と支払方法

内職の工賃は、家内労働法では品物を受け取った日から1か月以内の支払いが原則です。データ入力などの業務委託であれば、フリーランス保護新法により受領日から60日以内です。

ところが、実際の商談では支払日の話が出ないまま終わることが珍しくありません。作業を始めてから「支払いは月末締めの翌々月払いです」と言われて、初回の入金まで2か月以上待つことになるケースがあります。

聞き方はこうです。「締め日と支払日はいつでしょうか。初回の入金は、作業開始からおおよそ何日後になりますか」。

あわせて確認したいのが、振込手数料の負担です。工賃が月2万円で振込手数料550円が差し引かれると、実質の目減りは無視できません。手数料を作業者負担にすること自体は違法ではありませんが、事前に合意していない一方的な控除は問題になります。

そして、源泉徴収の有無も聞いておいてください。内職の工賃は、原則として源泉徴収の対象ではありませんが、業務の内容によっては扱いが変わります。確定申告が必要になる金額の目安については、国税庁の情報が一次情報です(https://www.nta.go.jp/)。

確認5: 仕事量の変動と、打ち切りの条件

これが最も見落とされる項目です。内職の仕事量は、発注元の生産計画に完全に連動します。繁忙期は月3万円分の作業があっても、閑散期はゼロということが実際に起こります。

聞き方はこうです。「月によって作業量はどのくらい変動しますか。過去1年で、作業が最も少なかった月はどのくらいでしたか」。

この質問に正直に答える事業者は信用できます。「季節によって半分になる月もあります」と言ってくれる相手なら、その前提で家計を組めます。逆に「安定して出せます」としか言わない事業者は、実態を把握していないか、隠しています。

もう1つ、契約の終了条件も確認します。「こちらの都合で辞める場合、どのくらい前に伝えればよいですか」「そちらの都合で作業をお願いできなくなる場合、事前の連絡はいただけますか」。

フリーランス保護新法では、6か月以上の継続的な業務委託を中途解除する場合、原則として30日前までの予告が必要とされています。この点を知っているかどうかで、事業者の対応が変わることがあります。

商談で出てくる募集条件の、行間を読む

募集要項に書かれている条件には、書かれていない前提が隠れています。もう1つ実例を見ます。

自宅で化粧品サンプルの封入、シール貼り、検品などの軽作業を行う業務委託の求人です。完全出来高制で、頑張った分だけ稼げます。既存スタッフの月平均収入は2万円~3万円です。未経験者歓迎で、30代~40代の主婦層を中心に活躍中です。毎日の空き時間を活用して収入アップを目指したい方におすすめです。扶養内勤務、在宅ワークが可能です。車で引き取りに来られる方のみ募集しています。勤務時間は0:00~23:00の間で、1日5時間から相談可能です。 出典: 求人ボックス

この文面から、商談で確認すべき点が3つ読み取れます。

第一に、「月平均収入は2万円~3万円」と「1日5時間から」を並べると、月100時間前後の作業でこの金額という規模感になります。商談では「その2万円から3万円という金額は、月に何時間くらいの作業をされている方の実績ですか」と聞いてください。ここを確認せずに始めると、必ずギャップが生まれます。

第二に、化粧品サンプルという商材は、衛生管理の要求が高い分野です。作業環境について細かい条件が付く可能性があります。「作業場所について、満たすべき条件はありますか」と先に聞いておけば、契約後に「その環境では困る」と言われる事態を避けられます。

第三に、「車で引き取りに来られる方のみ」という条件は、地理的な範囲が実質的に限定されていることを意味します。片道1時間かけて通えるかどうかは、始める前に自分で計算してください。

さらに別の募集では、稼働条件がより具体的に指定されています。

ご自宅でできる封入・組立・手帳のカバー掛けなどの軽作業です。工作作業が好きな方におすすめで、週4日以上、1日最低3時間作業時間の取れる方が対象となります。受付時間内(9:00~18:00)に連絡可能で商品の受け渡しができる方、昼休み(12:00~13:00)は応相談にて昼休みや時間外の受け渡しも可能です。 出典: 求人ボックス

「週4日以上、1日最低3時間」という条件が明示されているのは、実は誠実な募集です。条件を先に出す事業者は、後から条件を変えにくい。逆に、条件が曖昧な募集ほど、始めてから拘束が増えていきます。商談では「この週4日という条件は、作業量が少ない月でも変わりませんか」と確認してください。

商談での聞き方と、記録の残し方

質問内容が分かっても、実際に口に出すのは勇気が要ります。角が立たない言い回しをいくつか用意しておくと楽です。

5つの質問をまとめて出す言い回し

「長く続けたいと思っているので、先に条件を確認させていただいてもよろしいでしょうか」と前置きすると、ほぼすべての事業者が受け入れてくれます。長く続けたいという意思表示とセットにするのがコツです。

そのうえで、次の順で聞きます。単価と1時間あたりの目安数量。不良が出たときの工賃と材料の扱い。受け渡しの頻度と持ち帰り量。締め日と支払日。作業量の変動幅と、辞めるときの予告期間。

5つで終わりにしてください。それ以上聞くと、警戒されていると受け取られることがあります。

商談後に必ず送る1通のメール

これが最も重要な実務です。商談が終わったら、その日のうちにメールを送ります。内容は確認事項の書き起こしです。

「本日はお時間をいただきありがとうございました。伺った内容を、私の理解として以下にまとめます。認識に相違がありましたらご指摘ください。工賃は1個〇円、締めは月末、支払いは翌月〇日、不良が出た場合は手直しのうえ再納品、材料の受け渡しは週1回、作業量は月により変動あり。以上の理解で進めさせていただきます」。

このメールが、後日の証拠になります。相手が「相違ありません」と返信すれば完璧ですし、返信がなくても「異議を述べなかった」という事実は残ります。冒頭の単価を下げられた相談事例も、このメール1通があれば話が変わっていました。

書面での契約書がもらえない場合でも、このメールは自分で作れます。相手の協力は要りません。ここは必ずやってください。

通話で商談する場合の記録

電話やオンライン通話で商談することもあります。この場合も、終わったあとに同じメールを送ります。通話の録音については、自分が当事者である会話を録音すること自体は法的な問題になりませんが、無断録音を証拠として使う場面は限定的です。基本はメールでの事後確認で足ります。

商談の途中で断るべきサイン

条件を聞いた結果、契約しないほうがいい相手だと分かることがあります。次のサインが出たら、その場で決めなくて構いません。「検討して明日ご連絡します」と言って持ち帰ってください。

登録料や材料費を先に求められる

内職の仕事を得るために、こちらから先にお金を払う必要は原則としてありません。「講習費」「登録料」「材料の保証金」「専用キットの購入」といった名目で先払いを求められた場合、その時点で強く疑ってください。

内職商法と呼ばれる手口では、高額な機材や教材を購入させたうえで、実際の仕事はほとんど回ってきません。契約書にサインしてしまった場合でも、契約書面の交付から一定期間内であればクーリングオフができる類型があります。ただし、判断が難しいケースが多いので、金銭を支払う前に必ず消費生活センターか弁護士に相談してください。※この段階では自己判断で進めないほうが安全です。

契約書も、条件を書いたものも一切出てこない

「うちは昔からずっと口約束でやっています」という説明は、それ自体が法令上の問題を含みます。物品の製造加工なら家内労働手帳の交付義務があり、データ入力などの業務委託ならフリーランス保護新法の取引条件明示義務があります。

書面が出てこない場合でも、先ほどの確認メールを送れば実質的に代替できます。ただし、書面を出さないという姿勢自体が、他の場面での対応を予測させます。

単価の質問に対して、金額以外の話で返される

「頑張った分だけ稼げますよ」「みなさん楽しくやっていらっしゃいます」。単価を聞いているのに金額が返ってこない相手は、金額を言いたくない事情があります。2回聞いて具体的な数字が出てこなければ、そこで見切ってください。

作業内容の説明が毎回変わる

商談の中で「主に封入です」と言っていたのに、後半で「時期によっては配送のお手伝いもお願いします」と追加されるパターンがあります。在宅の内職として応募したのに、実質的に出勤が必要な業務が混ざってくるケースです。

その場で「在宅の作業のみでお願いできますか」と確認し、曖昧な返事なら見送ってください。始めてから断るほうが、はるかに角が立ちます。

商談は通ったのに続かない人の共通点

条件を確認して契約したのに、数か月で辞めてしまう人がいます。理由の多くは、商談の段階ですでに決まっています。

時間の見積もりを楽観していた

「1日2時間なら余裕がある」と思って契約したものの、実際には材料の受け取り、作業場所の準備と片付け、納品の梱包、記録の記入といった付帯作業が発生します。この付帯作業に30分から1時間かかることは珍しくありません。

商談で「作業以外に、準備や記録でどのくらい時間がかかりますか」と聞いておけば、この誤差は防げます。既存の作業者を見ている事業者なら、答えられます。

家族の理解を取っていなかった

在宅の軽作業は、家の中に材料が入ってきます。段ボール3箱分の材料が玄関を占領し、リビングのテーブルが作業台になる。家族が想定していないと、これが摩擦になります。

商談の段階で持ち帰り量を確認しておけば、家族に説明できます。「週に1回、これくらいの箱が2つ来る」と事前に共有しておくだけで、続けやすさが変わります。

誰とも話さない時間の長さを想定していなかった

在宅の作業は孤独です。単価にも作業内容にも不満がないのに、この孤立感で辞めていく人を何度も見てきました。在宅ワーク全般に共通する課題で、対処法も知られています。在宅ワーカーのメンタルヘルスケア|孤独・燃え尽きを防ぐ5つの習慣【2026年版】には、燃え尽きを防ぐための具体的な習慣がまとまっています。作業時間を区切る、週に一度は人と会う予定を入れるといった単純なことが効きます。

やめどきと、辞めるときの手順

続ける話をしたので、辞める話もします。無理に続けるべき契約ではありません。

数字で判断する3つの基準

第一に、3か月続けて1時間あたりの仕上がり量が伸びていない場合。速度が伸びない作業は構造的に合っていない可能性が高い。

第二に、不良の指摘が減らない場合。判定基準が言語化されていない現場では、いくら努力しても改善できません。改善案を出しても基準が示されないなら、その契約は続きません。

第三に、支払いが1度でも遅れた場合。ここは特に慎重に見てください。1回の遅延は資金繰りの問題を示唆しており、次に起こるのは単価の切り下げか、支払いの停止です。

支払いが遅れたときの動き方

まず、催促はメールで行ってください。電話だけで済ませると記録が残りません。「〇月分の工賃について、お支払い予定日を教えていただけますか」という中立的な文面で構いません。

2週間経っても入金がない場合は、支払期日と金額を明記した再度の連絡を送ります。それでも動かない場合、フリーランス保護新法の対象となる取引であれば、公正取引委員会や厚生労働省が設けている相談窓口に相談できます。家内労働法の対象であれば、都道府県の労働局が窓口です。※金額が大きい場合や、相手が連絡を絶った場合は、早めに弁護士に相談してください。少額であっても、放置すると時効の問題が出てきます。

辞めるときの作法

材料はすべて返却し、進行中の分は仕上げてから伝えるのが基本です。予告期間について取り決めがある場合はそれに従い、なければ2週間から1か月前に伝えるのが実務上の目安です。

理由は簡潔で構いません。「体調面の都合で継続が難しくなりました」で十分です。内職を扱う事業者は地域内で横のつながりを持っていることがあるので、最後まで丁寧に終えるほうが得です。

条件を確認する力は、次の仕事でも効く

ここまで商談の話をしてきましたが、この5点を聞ける人は、軽作業の内職以外の在宅ワークでも通用します。単価、成果物の基準、納品の方法、支払日、契約の終了条件。この構造はどの業務委託でも同じだからです。

単価の階段は、確認力から上がっていく

在宅ワークには、手を動かす量ではなく成果物の品質で単価が決まる仕事があります。文章を書く仕事の相場感は著述家,記者,編集者の年収・単価相場に、開発系の相場感はソフトウェア作成者の年収・単価相場にまとまっています。

こうした分野へ移るとき、最初の壁になるのは技術ではなく契約交渉です。逆に言えば、内職の商談で条件を確認する練習を積んでいる人は、この壁を越えやすい。文書作成の基礎を体系的に押さえるならビジネス文書検定が、IT寄りの案件を視野に入れるならCCNA(シスコ技術者認定)が、それぞれ入口として機能します。

専門知識を持つ人が在宅で働く実例としては、法律事務所のパラリーガルの働き方|在宅・時短勤務の現状【2026年版】税理士試験合格者の在宅ワーク事情|科目合格が武器になる理由【2026年版】が参考になります。どちらも、資格や知識が単価にどう反映されるかが具体的に書かれています。

無料で始められる学習手段は増えています。業務委託で受けられる仕事の幅も広がっており、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事アプリケーション開発のお仕事、企業のAI導入を支援するAIコンサル・業務活用支援のお仕事といった分野は、在宅前提の募集が多い領域です。転職という形を取らずに、副業として一部だけ受けることもできます。

市場の構造と、契約条件の関係

在宅ワークの市場を長く運営してきた立場から言えば、トラブルが起きる契約には共通した構造があります。間に入る事業者の数が多いほど、条件が曖昧になり、単価が下がり、支払いが遅れます。

理由は単純で、二次請け三次請けの事業者は、自分たちも上から条件を絞られているからです。発注元が単価を下げれば、その分は下流に流れます。作業者は、その最下流にいます。商談で「作業物の発注元はどのような業種の会社ですか」と聞いたとき、はっきり答えられる事業者は元請けに近い。ここが、条件の安定性を測る簡便な指標になります。

運営者として見てきた限りでは

長く続く作業者ほど、単価交渉ではなく関係づくりに時間を使っています。納期の連絡を自分から入れる、不良を見つけたら報告する、次回の受け渡し日を提案する。この3つができる人は、依頼者側の管理コストがほぼゼロになるので、優先的に仕事が回ります。結果として、交渉しなくても年間の総額が安定します。

もう1つ、運営者として見てきた限りでは、中間マージンが乗らない直接の取引ほど、双方が得をしています。仲介が薄い構造では、依頼者は同じ予算でより多くの作業を頼めますし、受け手は同じ作業で手取りが厚くなる。手数料0%という条件の意味は、金額の大小ではなく、この「双方が得をする」構造が長く続くかどうかにあります。仲介が厚い案件には、構造的に値下げの圧力がかかり続けるため、作業者が定着しにくい。長期のデータで見ると、これがそのまま継続率の差として表れます。

商談で条件を細かく確認することは、この構造を見抜く作業でもあります。単価を答えられる、不良の基準を示せる、支払日を即答できる。この3つがそろう相手は、自分の商流を把握しています。把握している相手との契約は、長く続きます。逆に、どれか1つでも濁される場合、その曖昧さは必ず後から作業者の負担として跳ね返ってきます。

聞くことは失礼ではありません。むしろ、聞かずに始めて途中で辞めるほうが、双方にとって損です。在宅の軽作業や内職の商談に臨む皆さんは、この5点だけを手元に書き出して、そのまま持っていってください。それだけで、防げるトラブルの大半は防げます。

よくある質問

Q. 在宅の軽作業や内職の商談で、条件を細かく聞くと印象が悪くなりませんか?

悪くなりません。発注する側は、始めてから「思っていたのと違う」と辞められるほうが損失が大きいため、事前に確認する応募者は歓迎されます。「長く続けたいので先に条件を確認させてください」と前置きすれば、ほぼすべての事業者が受け入れてくれます。質問は5点程度に絞るのが適切です。

Q. 内職の契約書がもらえない場合、どう自衛すればよいですか?

商談の当日中に、確認した内容を書き起こしたメールを自分から送ってください。工賃の単価、締め日、支払日、不良品の扱い、受け渡しの頻度を列挙し「認識に相違があればご指摘ください」と添えます。相手の協力なしに作れる記録で、後日に単価や条件を変更されたときの証拠として機能します。

Q. 内職を始めるのに登録料や材料費を先に払う必要はありますか?

原則としてありません。講習費、登録料、保証金、専用キットの購入などを先に求められた場合は、内職商法の可能性を疑ってください。金銭を支払う前に消費生活センターや弁護士へ相談することを強くおすすめします。契約書面の交付後、一定期間内であればクーリングオフができる類型もあります。

Q. 内職の工賃が支払われないとき、どこに相談すればよいですか?

まずメールで支払予定日を確認し、記録を残してください。2週間動きがなければ、シール貼りや組立など物品の加工であれば家内労働法の窓口である都道府県の労働局、データ入力などの業務委託であればフリーランス保護新法を所管する公正取引委員会や厚生労働省の相談窓口が使えます。金額が大きい場合は弁護士へ。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年4月19日最終更新:2026年9月13日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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