子育てしながら内視鏡室で働く|シフトの融通と、頼れる制度


この記事のポイント
- ✓内視鏡室でママ看護師が子育てと両立するには
- ✓検査が予約制で日中に集まる強みと
- ✓午後の大腸検査やオンコールで帰りが遅れる弱みを知ることが先です
先日、内視鏡室で働く看護師さんから相談を受けました。「子どもが保育園に入って復職したのに、午後の大腸カメラが押すたびにお迎えに間に合わない。時短勤務を申し出たら、内視鏡室は時短だと回らないと言われた」という内容です。結論から言うと、3歳未満の子を育てている労働者が短時間勤務を求めることは、育児・介護休業法で事業主に措置が義務づけられています。つまり「部署の都合で時短は無理」は、それだけでは断る理由になりません。これ、知らない人が本当に多いんです。
とはいえ、制度があれば明日から楽になるわけでもありません。内視鏡室には、検査が予約制で日中に集まるという子育て向きの面と、処置が長引く、緊急内視鏡で呼ばれるという子育てに厳しい面が同居しています。この記事では、内視鏡室という職場の中で実際に何が起きているのかを整理したうえで、シフトの融通がききやすい職場の見分け方と、ママ看護師が頼れる制度をまとめます。
内視鏡室は、子育て中の看護師にとってどんな職場か
内視鏡室は、胃カメラ(上部消化管内視鏡)と大腸カメラ(下部消化管内視鏡)を中心に、ポリープ切除、胆道や膵臓の検査と処置(ERCP)、早期がんの内視鏡的切除(ESD)などを行う部署です。病棟と大きく違うのは、患者さんが入院しているとは限らず、外来や健診の受診者が予約時間に来て、検査が終われば帰っていくという点です。
この「予約制で日中に集まる」という性質が、子育て中の看護師に内視鏡室が選ばれる一番の理由です。病棟のような夜勤の三交代や二交代がなく、基本は平日の日勤です。検査枠は朝から夕方までの時間帯に組まれるので、勤務時間の見通しが立ちやすい。土日祝が休みの職場も多く、保育園の開所時間と噛み合いやすい働き方です。
一方で、内視鏡室には病棟にはない独特の忙しさがあります。1件ごとに患者さんが入れ替わり、そのたびに前処置の確認、鎮静剤の準備、検査中の介助、検査後の観察、スコープの洗浄と消毒が繰り返されます。胃カメラなら1件あたり10分前後で終わることもありますが、大腸カメラは挿入の難しさやポリープの有無で時間が大きく変わります。予定表どおりに終わる日もあれば、1件の処置が長引いて後ろがすべてずれ込む日もあります。
もう1つ見落とされがちなのが、緊急内視鏡です。吐血や下血、胆管炎、誤飲などで、夜間や休日に内視鏡が必要になることがあります。総合病院や急性期病院の内視鏡室では、看護師がオンコール(自宅待機して呼ばれたら出勤する当番)に入る体制を取っているところが少なくありません。夜勤がない代わりに、夜中に電話が鳴る可能性がある。ここが、子育てとの両立を考えるうえで最初に確認すべき点になります。
つまり、内視鏡室は「日中の予定が立ちやすい」という大きな強みを持ちながら、「午後の延長」と「緊急時の呼び出し」という2つの揺らぎを抱えた職場です。この2つの揺らぎを、職場の体制と制度でどこまで小さくできるか。子育てしながら続けられるかどうかは、ほぼそこで決まります。
内視鏡室の1日と、帰りが遅れる時間帯
内視鏡室の1日を追うと、どこで時間が押しやすいかが見えてきます。病院やクリニックによって細部は違いますが、多くの職場でおおむね次のような流れになります。
| 時間帯 | 主な業務 | 押しやすさ |
|---|---|---|
| 始業前後 | 機器の点検、スコープと処置具の準備、当日の予約患者の確認 | 低い |
| 午前 | 胃カメラ中心。前処置の確認、鎮静、検査介助、リカバリー観察 | 中程度 |
| 昼前後 | 大腸カメラの患者さんが下剤を飲み終える時間。排便状況の確認 | 中程度 |
| 午後 | 大腸カメラ、ポリープ切除、ERCPやESDなど時間のかかる処置 | 高い |
| 終業前 | 鎮静後の患者さんの覚醒確認、帰宅指導、洗浄と消毒、翌日の準備 | 高い |
午前は胃カメラが中心で、1件の時間が比較的読みやすいため、予定どおりに進むことが多い時間帯です。問題は午後です。大腸カメラの患者さんは、当日に腸管洗浄剤(下剤)を飲んで腸をきれいにしてから検査に入ります。排便の状態が十分でなければ待ってもらうことになり、その分だけ検査開始が遅れます。さらに、検査中にポリープが見つかれば切除することがあり、1件の所要時間が読めなくなります。ESDのように数時間かかる処置が午後に入っている日は、それだけで終業時刻が後ろにずれやすくなります。
終業前にも時間を取られます。鎮静剤を使った患者さんは、検査が終わってもすぐには帰れません。リカバリー室で覚醒を確認し、ふらつきがないか、付き添いがいるか、車の運転をしないかを確認してから帰宅してもらいます。最後の患者さんが覚醒するまで、看護師は部屋を離れられません。
そしてスコープの洗浄と消毒です。内視鏡は患者さんの体内に入る機器なので、1件ごとに用手洗浄と自動洗浄機での消毒を行います。洗浄の流れを検査の場と分けている施設もあります。
洗浄室は内視鏡室とは別に、扉を隔てたところに設けてあります。別々にすることで、床がぬれず清潔さを保っている。これも当院の内視鏡室のこだわりポイントです。 出典: tsurumi-cl.com
子育て中の看護師にとって大事なのは、この洗浄や片付けを誰が担っているかです。洗浄専任の看護助手や臨床工学技士がいる職場なら、看護師は時間になれば介助から抜けやすくなります。反対に、看護師が介助と洗浄の両方を担っている職場では、最後の1件が終わってから片付けまでが看護師の仕事になり、どうしても帰りが遅れます。
言い換えると、帰りが遅れるかどうかは看護師個人の手際ではなく、午後の枠の組み方と洗浄の分担でほぼ決まります。面接で「午後は何時ごろまで検査が入りますか」「スコープの洗浄はどなたが担当していますか」と聞くのは、決して失礼な質問ではありません。
病院・クリニック・健診センターで違う、シフトの融通
同じ内視鏡室でも、どこの内視鏡室かによって働き方はまったく違います。子育て中に選ぶなら、まずこの違いを押さえておくと職場選びで迷いにくくなります。
| 職場 | 検査の中心 | オンコール | 午後の延長 | 子育てとの相性 |
|---|---|---|---|---|
| 総合病院・急性期病院 | 検査に加え、ERCPやESD、緊急内視鏡 | ある職場が多い | 起きやすい | 人数が多ければ配慮を受けやすいが、当番の扱いが鍵 |
| 消化器内科クリニック | 胃カメラと大腸カメラ、日帰りのポリープ切除 | ほとんどない | 予約の詰め方次第 | 日勤のみで予定が立ちやすいが、少人数で休みの代わりが見つかりにくい |
| 健診センター | 健診の胃カメラが中心 | ない | 起きにくい | 終業時刻が安定しやすい。繁忙期は検査数が増える |
総合病院の内視鏡室は、検査件数が多く、治療内視鏡や緊急対応も担います。看護師の人数も多いので、時短勤務の人がいても他のスタッフで回しやすく、「子育て中の人は午前のみ」「オンコールは当番から外す」といった配慮がすでに仕組みになっていることがあります。一方で、人数の少ない病院だと、オンコールを全員で分け合わないと回らず、「あなただけ外すのは難しい」という話になりがちです。
消化器内科クリニックは、日帰りでできる検査と処置が中心で、夜間の緊急対応はほとんどありません。夜中に呼ばれる心配がない点は大きな魅力です。ただし、看護師が数名という体制が多く、子どもの急な発熱で休むと、その日の検査枠そのものに影響が出ます。休みやすさは、院長の考え方とパートの看護師を何人抱えているかで大きく変わります。専門医の資格を持つ医師が検査を行うクリニックも増えています。
内視鏡検査と手術はすべて、日本消化器内視鏡学会専門医、指導医、日本大腸肛門病学会専門医、指導医の資格を持つ医師が行います。 出典: musashikosugi-naishikyo.com
こうした専門性の高いクリニックは件数も多く、看護師にも手際が求められます。子育て中でも力を発揮しやすい一方、1日の検査数が多い職場は午後に押しやすいので、予約枠の設計を確認しておくと安心です。
健診センターの内視鏡は、健康診断や人間ドックの胃カメラが中心です。受診者は基本的に健康な人で、治療的な処置はほとんど行わず、検査は午前中にまとまることが多い。そのため終業時刻が安定しやすく、子育て中の看護師には選ばれやすい職場です。ただし、企業健診が集中する時期は1日の件数が増え、忙しさが一気に上がります。
どれが正解というより、「オンコールがあるか」「少人数か」「午後にどれだけ枠があるか」の3点で、自分の家庭の状況に合う職場を選ぶのが現実的です。パートナーや親族が夜間に子どもを見られる家庭なら病院も選択肢に入りますし、ひとりで送り迎えを担う時期ならクリニックや健診センターのほうが無理がありません。
子育て中に頼れる制度(育児・介護休業法)
ここからは、制度の話です。育児・介護休業法は2025年に大きく改正され、4月と10月の2段階で施行されました。内視鏡室で働くママ看護師に直接かかわる部分を整理します。正確な要件は厚生労働省の資料で確認してください(厚生労働省)。
| 制度 | 対象になる子 | 内容のポイント |
|---|---|---|
| 短時間勤務制度 | 3歳未満 | 1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を事業主が講じる |
| 所定外労働の制限 | 小学校就学前(2025年4月から拡大) | 請求すれば所定労働時間を超える労働をさせない |
| 時間外労働の制限 | 小学校就学前 | 請求すれば時間外労働は月24時間、年150時間まで |
| 深夜業の制限 | 小学校就学前 | 請求すれば22時から5時までの労働をさせない |
| 子の看護等休暇 | 小学校3年生修了まで(2025年4月から拡大) | 1年に5日、子が2人以上なら10日。学級閉鎖や入園式、卒園式なども対象 |
| 柔軟な働き方を実現するための措置 | 3歳から小学校就学前(2025年10月から) | 事業主が複数の措置から2つ以上を選んで用意し、労働者が1つを選んで使う |
内視鏡室で特に効くのは、所定外労働の制限です。つまり、請求すれば「定時を過ぎても検査が終わらないから残って」という働かせ方ができなくなります。午後の大腸カメラが押してお迎えに間に合わない問題は、まさにここで守られる範囲です。以前は対象が3歳未満までだったので、子どもが3歳を過ぎると残業を断る根拠がなくなっていました。2025年4月からは小学校に入る前まで請求できるようになっています。これ、改正を知らずに「もう3歳だから無理」と諦めている人が本当に多いんです。
子の看護等休暇も使い勝手が良くなりました。以前は病気やけがの看病と予防接種などが中心でしたが、感染症による学級閉鎖、入園式や卒園式といった行事も取得事由に加わりました。対象も小学校3年生の修了までに広がっています。有給か無給かは法律で決まっておらず職場ごとの定めになるので、就業規則を確認してください。
2025年10月から始まった柔軟な働き方を実現するための措置は、3歳から小学校に入るまでの子を育てる労働者のために、事業主が始業時刻の変更、テレワーク、短時間勤務、休暇の付与、保育施設の設置運営などから2つ以上を選んで制度化するものです。内視鏡室の場合、テレワークは現実的でないため、始業時刻の変更や短時間勤務が選ばれることが多いはずです。事業主には、子どもが3歳になる前の適切な時期に、これらの制度を個別に知らせ、利用するかどうかの意向を確認する義務もあります。
大事なのは、これらの制度は「お願い」ではなく「請求」や「申出」だという点です。書面で出すと記録が残り、言った言わないの話になりません。制度を使ったことを理由に、不利益な配置転換や評価の引き下げを行うことは法律で禁止されています。※実際に不利益な扱いを受けている場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)への相談や、弁護士への相談を検討してください。
オンコールと緊急内視鏡をどう扱うか
病院の内視鏡室で働くとき、子育てとの両立で一番もめやすいのがオンコールです。私が相談を受けたケースでも、残業そのものより、オンコールの当番表に名前が入ることへの不安のほうが大きいという声が目立ちました。
オンコールは、自宅で待機して、緊急内視鏡が必要になれば病院に向かう当番です。呼ばれない夜も多いのですが、呼ばれたら30分から1時間程度で病院に着く必要があり、夜間に子どもを誰かに預けられることが前提になります。ひとり親の家庭や、パートナーが夜勤のある仕事をしている家庭では、当番そのものが成り立ちません。
ここで先ほどの制度が関係します。オンコールで呼び出されて出勤すれば、それは所定労働時間外の労働です。所定外労働の制限を請求していれば、呼び出しの対象から外すよう求める根拠になります。また、22時から5時の呼び出しは深夜業の制限にもかかわります。ただし、待機そのものを労働時間とみなすかどうかや、当番の手当の扱いは職場の定めと実態によって判断が分かれる部分があります。※オンコールの扱いで職場と意見が食い違う場合は、社会保険労務士や弁護士に個別に相談してください。
制度の根拠がある一方で、現実の職場では「当番を外れる人がいると、残った人の回数が増える」という問題が起きます。子育て中の人をオンコールから外す代わりに、休日の日勤を多めに担当する、年末年始の連休中の当番だけは相談して調整する、といった形で落ち着いている職場もあります。制度で守られる部分と、職場での話し合いで決める部分を分けて考えると、感情的なこじれを避けやすくなります。
私自身の失敗談も書いておきます。以前、ある看護師さんから相談を受けたとき、私は条文の説明を優先して「請求すれば外れられます」とだけ伝えてしまいました。その方は上司に法律の話を正面から切り出し、結果として当番からは外れたものの、同僚との関係がぎくしゃくしてしまったそうです。法律で守られるのは事実です。ただ、請求の出し方には順番があります。まず自分が引き受けられる範囲(休日日勤ならできる、など)を示し、そのうえで書面で請求する。この順番にしていれば、同じ結果でも職場の受け止め方は違ったはずで、今でも反省しています。
求人票と面接で確かめること
内視鏡室の求人票は、「日勤のみ」「残業少なめ」「土日休み」と書かれていることが多く、どこも同じように見えます。実態を知るには、書かれていない部分を確かめる必要があります。
まず求人票で見るのは、次の項目です。
・勤務時間が「8時30分から17時」のように終業時刻まで書かれているか、「実働7.5時間」のようにぼかしているか ・オンコールの有無と、ある場合の当番の回数や手当 ・「時短勤務可」「子育て中のスタッフ在籍」といった記載があるか ・内視鏡室専属の配属か、外来と兼務か ・看護助手や臨床工学技士など、洗浄を担うスタッフがいるか
外来と兼務の場合は注意が必要です。午前は内視鏡、午後は外来という配置だと、内視鏡の午後の延長は避けやすい一方、外来の終わりが遅い日に巻き込まれます。どちらの部署の終わり方で帰れるのかを確かめておきましょう。
面接では、次のように具体的に聞くと実態が見えます。
・「午後の大腸カメラは、だいたい何時ごろに最後の患者さんが入りますか」 ・「定時で帰る人がいる日、残りの検査は誰が見ていますか」 ・「今、時短勤務やオンコール免除を使っている看護師さんはいますか」 ・「子どもの急な発熱で休むとき、代わりはどうしていますか」
特に3つ目の質問は重要です。すでに制度を使っている人がいる職場は、制度が紙の上だけでなく運用されている証拠です。「前例がない」という返事なら、入職後に最初の1人になる覚悟が必要になります。
加えて、雇用契約を結ぶ前に、労働条件通知書で所定労働時間、休日、時間外労働の有無を確認してください。求人票の内容と契約書の内容が違っていたら、その場で質問するのが一番です。入職してから「聞いていた話と違う」と言っても、書面に残っていないと主張しにくくなります。
看護師の働き方を選ぶときは、給与の相場も知っておくと、時短で収入が下がる幅を冷静に見積もれます。勤務先の種類ごとの年収や、雇用形態による違いは、看護師の年収・単価相場にまとまっています。時短勤務やパートを選ぶ前に、年収がどの程度変わるのかを確かめておくと、家計の見通しを立てやすくなります。
内視鏡の経験は、時短中もキャリアとして積み上がる
子育て中は、「今は時短だから、キャリアは止まっている」と感じやすいものです。しかし、内視鏡室の経験は、働く時間が短くても専門性として積み上がりやすい分野です。
内視鏡室の看護師に求められるのは、鎮静中の呼吸と循環の観察、検査中の体位の介助、ポリープ切除などで使う処置具の扱い、そして洗浄と消毒の手順です。これらは一度身につければ、病院からクリニック、健診センターへと職場が変わっても通用します。子育ての時期に合わせて職場を移るとき、「内視鏡介助ができる」ことは求人側から見て即戦力の条件になります。
さらに専門性を示す資格として、日本消化器内視鏡学会が認定する消化器内視鏡技師があります。看護師などの資格を持ち、内視鏡業務の実務経験を積んだ人が、講習と試験を経て取得するものです。受験に必要な経験年数や講習の条件は学会の規定で決まっているので、目指す場合は学会の案内を確認してください。資格手当を設けている病院もあり、時短勤務の期間を経験年数として積み上げていけば、子どもが大きくなったときに役割を広げやすくなります。
経験のある医師のもとで働くと、介助の質も上がります。
これまでに5万件以上の内視鏡検査・内視鏡治療を経験。略歴)横浜市立大学附属市民総合医療センター内視鏡部松島病院大腸肛門病センター 出典: tsurumi-cl.com
このように件数の多い医師がいるクリニックでは、検査の手順が決まっていて、看護師の動きも標準化されていることが多いです。時短勤務で抜ける時間があっても、手順が決まっていれば引き継ぎがしやすく、子育て中の看護師が働き続けやすい環境になります。
一方で、病院で治療内視鏡を学びたい、ERCPやESDの介助まで経験したいという希望があるなら、子どもの預け先が確保できる時期に、段階的に病院の内視鏡室へ戻るという選択肢もあります。子育ての時期と学びたい内容の時期を、無理に一致させる必要はありません。
復職の前に、家族と職場で決めておくこと
制度と職場選びが整っても、実際に両立が崩れるのは「想定外の1日」です。内視鏡室の場合、朝の時点では予定どおりだったのに、午後に緊急の処置が入り、さらに保育園から発熱の電話がかかってくる。こうした日をどう乗り切るかを、復職の前に決めておくと、職場でも家庭でも慌てずに済みます。
まず家庭で決めておきたいのは、お迎えの代わりを誰が担うかです。パートナー、親族、ファミリー・サポート・センター、病児保育のうち、どれを何番目に頼るかを順番で決めておきます。病児保育は自治体によって事前登録が必要で、当日の朝に空きがなければ使えません。登録だけは復職前に済ませておくと、いざというときの選択肢が1つ増えます。
次に、職場との連絡のルールです。内視鏡室は当日の検査枠が決まっているため、看護師が1人休むと、介助につく人の割り振りをその場で組み直す必要があります。休む連絡を何時までに、誰に、どの手段で入れるかを最初に確認しておきましょう。始業の1時間前までに連絡があれば枠を調整できる、という職場は多いものです。連絡の時刻が早いほど、職場の負担は小さくなり、休んだことへの気まずさも残りにくくなります。
さらに、途中で抜ける場合の引き継ぎも決めておくと安心です。午後に保育園から呼ばれたとき、担当している患者さんが鎮静から覚めていない状態で抜けるわけにはいきません。「リカバリー中の患者さんは誰に引き継ぐか」「使った物品の片付けは誰に頼むか」を、あらかじめチームで共有しておけば、呼ばれた瞬間に迷わず動けます。
私が相談を受けてきた中でも、両立がうまくいっている人ほど、制度の話より先にこうした段取りを職場と共有していました。制度は最後の守りで、日々を回すのは段取りです。つまり、請求書を出す前に、段取りの紙を1枚つくっておく。これが遠回りに見えて一番の近道です。
運営者として見てきた、長く続く人の働き方
フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、医療職で長く働き続けている人には共通点があります。それは、1つの職場にすべてを預けず、「今の自分の生活に合う働き方」を時期ごとに選び直していることです。子どもが小さい時期はクリニックの日勤パート、手が離れてきたら病院の内視鏡室に戻る、さらに余裕ができたら得意分野を活かして副業を始める、というように、働き方を段階的に組み替えています。
医療の現場は勤務先に出向く働き方が基本ですが、看護師の知識を活かせる仕事は現場の外にもあります。健康に関する記事の監修、医療系の記事の執筆、オンラインでの健康相談などは、子どもが寝たあとの時間にも取り組めます。看護師の資格や臨床経験を活かして自宅でできる仕事の具体例は、看護師におすすめの在宅ワーク5選|臨床経験を活かす副業【2026年版】で紹介しています。時短勤務で減った収入を少しだけ補いたいときの選択肢として、知っておいて損はありません。
また、個人で仕事を受けるときは、仲介の中間マージンが乗らない直接取引のほうが、同じ依頼額でも手元に残る金額が厚くなります。手数料0%で依頼者と直接やり取りできる仕組みは、依頼する側にとっても受ける側にとっても無駄がなく、限られた時間で働く子育て中の人ほど、その差を実感しやすいと感じています。
内視鏡室は、予約制で日中に検査が集まるという点で、看護師の職場の中でも子育てと両立しやすい部類に入ります。午後の延長とオンコールという2つの揺らぎは、職場選びと制度の使い方で小さくできます。所定外労働の制限も、子の看護等休暇も、2025年の改正で使える範囲が広がりました。遠慮せず、書面で、順番を踏んで使ってください。法律はあなたの味方です。
よくある質問
Q. 内視鏡室は子育て中の看護師でも働きやすいですか?
検査が予約制で日中に集まり、夜勤がない職場が多いため、看護師の職場の中では両立しやすい部類です。ただし午後の大腸カメラや処置が長引くと終業が遅れやすく、病院ではオンコールがあることもあります。クリニックや健診センターは緊急対応がほとんどなく、終業時刻が安定しやすい傾向があります。
Q. 子どもが3歳を過ぎても残業を断れますか?
2025年4月の育児・介護休業法の改正で、所定外労働の制限を請求できる対象が小学校就学前の子を育てる労働者まで広がりました。請求すれば、定時を超える労働をさせないことが事業主に求められます。事業の正常な運営を妨げる場合の例外はあるため、書面で請求し、職場と調整するのが確実です。
Q. 病院の内視鏡室でオンコールを免除してもらうことはできますか?
呼び出されて出勤すれば所定外労働になるため、所定外労働の制限や深夜業の制限を請求していれば、呼び出しの対象から外すよう求める根拠になります。待機の扱いや手当は職場によって判断が分かれるので、就業規則を確認し、意見が食い違う場合は社会保険労務士や弁護士に相談してください。
Q. 内視鏡室で働くと、どんなキャリアにつながりますか?
鎮静中の観察、検査や処置の介助、洗浄と消毒の手順は、病院、クリニック、健診センターのどこでも通用する専門性です。実務経験を積めば、日本消化器内視鏡学会が認定する消化器内視鏡技師を目指すこともできます。時短勤務の期間も経験として積み上がるため、子どもの成長に合わせて役割を広げやすい分野です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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