60代で作業療法士を続ける|働ける場所と、勤務の組み立て方


この記事のポイント
- ✓60代の作業療法士が働ける場所と
- ✓体力に合わせた勤務の組み立て方をまとめました
- ✓週1日から始める選択肢
「この仕事、あと何年続けられるだろう」。
60代に入った作業療法士の方から、こういうご相談をよくいただきます。定年の話が現実味を帯びてきた。若い頃と同じ人数を同じペースで担当するのがきつくなってきた。けれど、40年近く積み上げてきた技術を、まだ手放したくない。
その気持ちは、とても自然なものです。そして安心していただきたいのですが、60代の作業療法士が働ける場所は、今かなり広がっています。ただし「今までと同じ働き方」を前提にすると、選択肢は急に狭く見えます。逆に、勤務の組み立て方を先に決めてから探すと、思っていたよりずっと多くの求人が視界に入ってきます。
この記事では、60代の作業療法士がどこで働けるのか、そして週何日、1日何時間という形をどう決めていくのかを、順番に整理していきます。
60代の作業療法士が置かれている状況を、まず落ち着いて眺める
最初に、市場の全体像を見ておきましょう。感情の話をする前に、事実を並べておくと気持ちが落ち着きます。これはカウンセリングでもよく使う順番です。
作業療法士という資格そのものは、比較的新しい国家資格です。1965年に理学療法士及び作業療法士法が成立し、そこから養成校が増えていきました。つまり今60代の方は、この職種が日本で本格的に広がっていく過程を、現場でまるごと経験してきた世代にあたります。回復期リハビリテーション病棟が制度化されたときも、介護保険が始まったときも、訪問リハビリが増えていったときも、現場にいた。この経験の厚みは、あとから買えるものではありません。
一方で、雇用の側の事情も変わりました。高年齢者雇用安定法の改正によって、企業や法人には70歳までの就業機会の確保が努力義務として求められるようになっています。医療機関や介護事業所も例外ではありません。定年後の再雇用、嘱託職員、パートという受け皿が、以前より整理された形で用意されるようになりました。制度の細かい適用範囲は事業所ごとに違いますので、詳しい要件は厚生労働省の案内や、勤務先の人事窓口で確認してください。
そしてもう1つ、需要側の変化があります。高齢化が進むほど、リハビリを必要とする人は増えます。特に在宅系、つまり訪問リハビリやデイケアの領域は、人手が慢性的に足りていません。ここで起きているのは「若い人が足りないから、経験者に来てほしい」という状況です。実際に求人サイトを眺めると、シニア歓迎と明記された作業療法士の募集が、常時一定数出ています。
だから、まず前提を1つ置き換えてください。60代は「雇ってもらえるかどうかを心配する年齢」ではありません。「どこで、どういう形で働くかを選ぶ年齢」です。この前提の置き換えができるかどうかで、その後の求人の見え方がまったく変わります。
相談の場でも、ここで表情が変わる方が多いです。「まだ選べる側なんですね」と言われることがあります。はい、選べます。ただし、選ぶための材料を持っている人だけが選べます。次の節から、その材料を並べていきます。
求人票の「例外事由3号ニ」は、むしろ味方だと考える
60代で求人を探し始めると、見慣れない言葉に出会います。「例外事由3号ニ」という表記です。
これは、募集で年齢を制限することが原則禁止されている中で、例外的に年齢を書いてよい場合を示した番号です。3号ニは、高年齢者の雇用を促進する目的で、特定の年齢層に限って募集する場合を指します。つまりこの表記がある求人は、「60歳以上の方に来てほしくて出している募集」だという意味になります。
実際の求人票では、次のような書かれ方をします。
【経験・資格】作業療法士 60歳以上の方、例外事由3号ニ(高年齢者の雇用を促進するため) 【求人の特徴】シニア応募OK シニア募集 60代... 出典: 求人ボックス
この一文を「年齢で区切られている」と受け取ると、少し寂しい気持ちになります。けれど読み方を変えると、これは「年齢を理由に落とさないと事業所が先に宣言している求人」です。応募の場でいちばん消耗するのは、年齢を伏せて探し、書類で落とされ、理由も分からないまま次を探す時間です。その消耗を最初から避けられる求人だと考えると、見え方が変わってきます。
求人票を読むときは、次の3つを順番に確認してください。
1つ目は、年齢に関する記載です。シニア歓迎、60代活躍中、例外事由3号ニ、このいずれかがあるかどうか。あれば、応募のハードルは確実に下がります。
2つ目は、勤務日数と勤務時間の下限です。「週1日以上で相談可」と書いてあるか、「週2日から」と書いてあるか。ここが自分の希望より厳しければ、他の条件がどれだけ良くても後で苦しくなります。
3つ目は、未経験やブランクへの扱いです。「施設未経験やブランクがある方も可」と書かれている求人は、教える体制を持っています。逆にこの記載がない求人は、即戦力として1人で回すことを期待している可能性があります。どちらが良い悪いではなく、自分がどちらを望むかで選んでください。
この3点を見るだけで、応募先の絞り込みはかなり楽になります。求人票は情報量が多くて疲れますから、見る場所を先に決めておくのが実務的です。
60代の作業療法士が働ける場所を、施設の種類ごとに整理する
「働ける場所」と一口に言っても、中身はかなり違います。体力の使い方も、求められる役割も、時間の融通の効き方も違う。ここを混ぜたまま探すと、応募してから「思っていたのと違った」となります。種類ごとに見ていきましょう。
訪問リハビリテーション
利用者の自宅へ出向いて、生活の場で支援する形です。60代の求人が最も多く出ている領域の1つです。
利点は、1件ごとに区切りがつくことと、1日の件数を調整しやすいことです。移動の合間に休憩を挟めますし、直行直帰を認めている事業所なら、朝晩の事業所往復がなくなります。生活の場を直接見て提案するという仕事は、経験の厚みがそのまま質に変わる領域でもあります。
注意点は、移動そのものが体力を使うことです。多くの求人で普通自動車運転免許が必須になっています。雨の日の乗り降り、駐車場の確保、夏場の車内温度。この積み重ねが、想像より効きます。応募前に「1日何件、移動距離はどのくらいか」を必ず聞いてください。
介護老人保健施設、特別養護老人ホーム
施設内で完結するため移動がありません。設備が整っており、他職種がすぐ近くにいる環境です。急変時に1人で判断を迫られる場面が少ないのは、精神的な負担の面でかなり大きい違いになります。
一方で、集団体操やレクリエーションの担当が入ることが多く、立ちっぱなしの時間が長くなりがちです。腰や膝に不安がある方は、1日の中で座って行う業務がどれくらいあるかを確認しておくと安心です。
通所リハビリテーション、デイケア、デイサービス
日中の決まった時間帯に集中する形です。1日3〜4時間の勤務から相談できる求人も出ています。午前だけ、午後だけという組み方ができる事業所もあります。
生活のリズムを崩さずに働けるのが最大の利点です。夜勤や当直がないこともほとんどですから、睡眠を削らずに済みます。60代で最も守るべきものは睡眠です。ここを削らない働き方は、それだけで長続きします。
精神科領域、放課後等デイサービスなど
精神科訪問リハビリや、児童の分野に移る方もいます。身体的な負荷が比較的軽く、対話と観察が中心になる領域です。
ただし、これまで身体障害領域だけを歩んできた方にとっては、評価の視点が変わります。未経験可と書かれていても、慣れるまでの数か月は学び直しの時間が必要だと見込んでおいてください。その時間を確保できる勤務日数から始めるのが現実的です。
病院の回復期、急性期
これまでと同じ環境で続ける選択です。慣れた場所であることの安心感は、他に代えがたいものがあります。
ただ、記録や会議、後輩の指導といった付帯業務が積み上がりやすい環境でもあります。定年後の再雇用で「業務は同じ、給与だけ下がった」という形になっていないか。ここは事前に、担当範囲を文書で確認しておくことをおすすめします。
迷ったときの決め方
種類を並べても、どれを選べばいいか決まらない。そういうときは、次の順番で消していってください。
最初に、移動できるかどうかで分けます。運転に不安があるなら、訪問系は外します。ここで候補は半分になります。
次に、立っている時間で分けます。腰や膝に不安があるなら、集団体操の担当が固定で入る職場は外します。
最後に、1人で判断する場面の多さで分けます。訪問は基本的に1人です。その場で判断し、その場で対応します。この緊張感が心地よいという方もいれば、負担に感じる方もいます。どちらが良いかではなく、自分がどちらで消耗しないかで決めてください。
この3つで絞ると、たいてい1つか2つに残ります。残った種類の中から、通勤時間の短い順に見ていけば十分です。
週何日、1日何時間で組むか。順番を間違えないこと
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
60代の働き方を考えるとき、多くの方が「まず求人を探して、条件が合うものがあれば応募する」という順番で動きます。これだと、うまくいきません。求人票の条件は魅力的に書かれていますから、体力の想定より少し多めの勤務を受けてしまい、3か月後に苦しくなります。
順番を逆にしてください。先に「自分が無理なく続けられる形」を決めて、それに合う求人だけを見る。
決め方はこうです。
まず、1週間のうち、完全に休む日を何日確保したいかを決めます。60代では、連勤の翌日に回復しきらないことが増えます。中1日空ける形にできるかどうかで、半年後の状態がまったく違います。
次に、1日の勤務時間を決めます。フルタイムは実働8時間が基本です。求人票では「9:00〜20:00の間で実働8時間のシフト制(休憩60分)」といった書かれ方をします。ここに残業が加わることも想定しておく必要があります。
【経験・資格】作業療法士・普通自動車運転免許(AT限定可) 未経験可 【勤務時間】9:00〜20:00の間で実働8時間のシフト制(休憩60分) 残業⽉平均10時間 出典: 求人ボックス
実働8時間に残業が月平均10時間。この条件が自分に合うのかどうかを、応募前に一度、紙に書いて眺めてみてください。合わないと感じたなら、時短やパートの求人に絞ればいいだけです。
最後に、移動時間を勤務時間に足して考えます。ここを忘れる方が本当に多いです。実働6時間でも、片道1時間の通勤なら、拘束は8時間になります。訪問系なら、利用者宅の間の移動も体力を使います。「実働何時間か」ではなく「家を出てから帰るまで何時間か」で判断してください。
パートやシニア向けの求人には、時給1900円台から2015円といった水準が提示されている例もあります。週2日から3日で組めば、生活のリズムを保ちながら収入を確保できます。金額の大きさより、続けられるかどうかで判断する。これが60代の勤務設計の原則です。
相談の現場で多い、60代の転職のつまずき方
キャリアの相談を受けていて、60代の医療職の方に共通して見られるつまずき方が、いくつかあります。先にお伝えしておきますので、避けてください。
1つ目は、「今の職場が限界になってから探し始める」パターンです。心身が消耗してから動くと、判断が雑になります。目の前の求人に飛びついて、条件を詰めずに決めてしまう。そして半年後にまた同じ状態になる。転職活動は、まだ余力があるうちに始めるのがいちばん安全です。
2つ目は、履歴書に経歴を全部書こうとして手が止まるパターンです。40年分の経歴を丁寧に書こうとすると、量が膨大になり、書き終わらないまま時間が過ぎます。採用する側が知りたいのは、直近の10年で何をしてきたか、そして自分の事業所で何を任せられるかです。古い経歴は施設名と在籍期間だけで十分です。
これは私が相談を受けていて、何度も見てきた光景です。ある方は書類作成で3か月止まっていました。一緒に整理して、直近の担当領域だけを1枚にまとめたところ、その週のうちに応募できました。書けないのは能力の問題ではなく、書く範囲を決めていなかっただけです。
3つ目は、年齢を引け目に感じて、希望条件を先に下げてしまうパターンです。面接の場で「何でもやります」「体力はまだあります」と言ってしまう。その結果、想定より重い勤務を任されることになります。
事業所が60代の方に期待しているのは、体力ではありません。若い職員がまだ持っていない判断の速さと、利用者や家族への対応の落ち着きです。ここを言葉にできると、面接の空気が変わります。「重度の方の生活動作の評価を長く担当してきました」「ご家族への説明の場面を任されてきました」。具体的な場面を1つか2つ、言えるように準備しておいてください。
4つ目は、家族と話さずに決めてしまうパターンです。勤務日数が変われば、家の中の時間の使い方も変わります。介護や孫の世話を担っている方は特に、先に家庭側の予定を並べてから勤務を決めてください。後から調整しようとすると、どちらも中途半端になります。
面接で聞かれること、そしてこちらから聞いておくこと
60代の応募では、面接の内容が若い頃とは違います。技術の確認より、働き方のすり合わせが中心になります。ここを想定しておくと、当日の緊張がかなり減ります。
事業所側からよく聞かれるのは、次のような点です。
体力面をどう考えているか。これは意地悪な質問ではなく、事業所として無理をさせたくないから聞いています。「連勤は中1日空けたい」「1日の訪問は4件までなら安定して回せる」というように、具体的な数で答えてください。抽象的に「まだ大丈夫です」と答えるより、こちらのほうが信頼されます。
いつまで働きたいか。何年という数字を求められているわけではありません。長く続ける意思があるかどうかを確認しています。「体調を見ながら、無理のない範囲で長く続けたい」で十分です。
年下の職員と働くことに抵抗はないか。医療や介護の現場では、上司が20歳以上年下ということが普通に起こります。ここで「経験があるので教えられます」と答えると、少し警戒されます。「その事業所のやり方を先に覚えたい」という姿勢を見せるほうが、現場は安心します。
そして、こちらから必ず聞いておきたいことが4つあります。
1つ目は、1日の具体的な流れです。始業から終業まで、何を何時にやるのか。訪問系なら1日の件数と移動距離。施設なら集団体操や記録の時間帯。ここを聞かずに入ると、想像と違うことが必ず起きます。
2つ目は、記録の方法です。紙なのか電子カルテなのか、どのシステムを使っているのか。パソコンの操作に不安があるなら、この段階で正直に伝えておいてください。入職後に苦しむより、先に「慣れるまで少し時間がかかる」と言っておいたほうが、確実に楽になります。
3つ目は、勤務日数を後から変えられるかどうかです。週3日で始めて、慣れたら週4日にする。逆に体調に合わせて減らす。この調整に応じてもらえる事業所かどうかは、長く続けるうえで決定的な差になります。
4つ目は、更新の条件です。嘱託や有期雇用の場合、契約は何年ごとに更新されるのか、上限年齢の定めがあるのか。ここは聞きにくいと感じる方が多いのですが、聞いて嫌がられることはありません。むしろ、先を見て働こうとしている人だと受け取られます。
面接は、選ばれる場ではなく、お互いに確認し合う場です。60代の転職では特にそうです。この意識で臨むと、質問が自然に出てきます。
体力と気持ちを保つための、日常の組み立て
働ける場所が見つかっても、続けられなければ意味がありません。ここでは、日々の組み立て方についてお伝えします。
まず睡眠です。60代で最も守るべきものは睡眠だと、先に書きました。これは精神論ではありません。睡眠が削られると、判断の速さと感情の安定が同時に落ちます。リハビリの現場では、この2つが仕事の質そのものです。夜勤や早番遅番の混在する勤務は、可能なら避けてください。避けられないなら、勤務日数を減らして総量を調整してください。
次に、回復の時間を勤務表に組み込むことです。60代では、疲労が翌日に持ち越されます。連勤を続けると、疲れが取れないまま次の週に入り、それが積み上がっていきます。週の中に完全に休む日を作る。これを「余裕があれば」ではなく、勤務条件の1つとして最初から入れてください。
そして、気持ちの面です。相談を受けていて多いのが、「若い職員のペースについていけない」という言葉です。この感覚はつらいものですが、少し整理してみてください。ついていけないのはスピードの話で、仕事の質の話ではありません。
若い職員が速いのは当然です。そして、その速さだけでは扱えない場面が現場には必ずあります。認知症のある方が強い拒否を示したとき、家族の意見が食い違って調整が必要なとき、これまでの生活歴を踏まえた提案が必要なとき。こういう場面で頼りにされるのは、経験を積んだ人です。
自分の役割を「速く回すこと」から「難しい場面を引き受けること」に置き換える。この転換ができると、職場での立ち位置が安定します。そして不思議なもので、この転換ができた方は、周囲との関係も良くなります。競争しなくなるからです。
最後に、体の使い方です。移乗介助や立位保持の介助では、腰への負担が積み上がります。若い頃と同じ姿勢で入ると、確実に痛めます。福祉用具を使う、他職種に声をかけて2人で行う、この判断を早めにしてください。「自分でできる」と思って1人で抱えた結果、数か月の休職になった方を何人も見てきました。頼るのは、能力が落ちたからではなく、長く続けるための技術です。
収入と年金、社会保険まわりで先に確認しておくこと
働き方を決めるとき、収入の設計を避けて通ることはできません。ただしこの領域は、個々の状況で結論が変わります。ここでは「何を確認すべきか」だけをお伝えします。
厚生年金を受け取りながら働く場合、賃金と年金額の組み合わせによって、年金の一部が調整される仕組みがあります。この仕組みの適用範囲や基準額は改定されることがありますので、必ずご自身の年金記録を持って日本年金機構の窓口か、年金事務所で確認してください。インターネット上の一般論だけで判断すると、後で想定と違う結果になります。
社会保険についても同様です。勤務時間や勤務日数によって、健康保険や厚生年金に加入するかどうかが変わります。加入すれば保険料の負担が発生しますが、その分の保障もあります。どちらが有利かは、配偶者の状況や現在の保険の入り方によって変わります。
もう1つ、雇用形態による違いも押さえておきたいところです。正職員、嘱託職員、パートで、賞与や住宅手当の扱いが変わります。求人票の中には、嘱託職員にも賞与と住宅手当を支給すると明記しているものもあります。月給の額面だけでなく、こうした手当を含めた年間の総額で比べてください。
月給27.3万円から、年間休日120日といった条件が出ている求人もあります。ただし、これは常勤を前提とした水準です。週2日や3日の勤務にすれば、当然その分は下がります。ここで大切なのは、下がった収入をどこで補うかを先に考えておくことです。年金と組み合わせるのか、後で述べるような別の働き方を足すのか。ここを決めずに勤務日数だけ減らすと、不安が残り続けます。
現場の仕事に、在宅でできる仕事を足すという考え方
60代の働き方には、もう1つの軸があります。現場の勤務を減らした分を、自宅でできる仕事で補うという組み方です。
作業療法士としての知識と経験は、文章にすると価値が出ます。医療や介護の分野は、正確に書ける人が慢性的に足りていません。用語を間違えず、制度の前提を理解したうえで書ける人は、それだけで貴重です。実際、専門領域を持つ書き手の単価は、一般的なテーマだけを扱う書き手より高く設定される傾向があります。分野別の相場感については著述家,記者,編集者の年収・単価相場に職種ごとのデータをまとめていますので、金額の目安を掴む材料になります。
こうした仕事を始めるうえで、最初の壁になりやすいのがパソコン操作です。カルテ入力はできても、文書作成やオンラインでのやり取りは別物だと感じる方が多い。ここは順番に慣れれば済む話です。50代・60代のパソコンスキルアップ|在宅ワークに必要な最低限のスキルでは、在宅の仕事を受けるうえで実際に必要になる操作だけを絞って解説しています。全部を覚える必要はありません。
文書の書き方そのものに不安がある方は、資格を1つ取ってみるのも手です。ビジネス文書検定は、報告書や依頼文の型を体系的に学べる内容で、医療現場の記録とは違う書き方を整理するのに役立ちます。
現場の仕事を続けながら、副業として訪問リハビリの枠を足す方もいます。理学療法士・作業療法士の訪問リハビリ副業|高時給を狙う方法【2026年版】では、本業と両立させる場合の時間の組み方を扱っています。ただし、勤務先の就業規則で副業が認められているかは必ず先に確認してください。
そして、雇用ではなく業務委託という形で働く選択肢もあります。シニア・60代からのフリーランスの始め方|定年後に経験を活かす働き方【2026年版】では、定年後に経験を仕事に変えていく手順を、契約や税務の注意点まで含めて整理しています。
いきなり全部を切り替える必要はありません。現場の勤務を週3日残しながら、残りの時間で少しずつ試す。この形なら、失敗しても生活が揺らぎません。
20年この市場を見てきて感じる、60代の作業療法士の本当の強み
在宅ワークと業務委託の市場を20年運営してきた立場から、1つお伝えしたいことがあります。
長く仕事が途切れない人には、共通点があります。技術が飛び抜けて高い人ではありません。「この人に頼むと、こちらが楽になる」と思われている人です。確認の連絡が的確で、判断に迷ったときに相談してくれて、期日の見通しを先に伝えてくれる。この当たり前のことを、当たり前に続けられる人のところに、仕事は集まり続けます。
そして、この能力は年齢とともに落ちません。むしろ、長く現場にいた人ほど自然に身についています。60代の作業療法士が持っている強みは、実はここです。関節可動域の測定が速いことではなく、チームの中で摩擦を起こさずに物事を進められること。事業所の側から見れば、これは採用の理由として十分に大きい。
もう1つ、収入の構造についても触れておきます。同じ仕事でも、間に何社も入る形と、依頼者と直接やり取りする形では、手元に残る額が変わります。中間のマージンが乗らない直接取引なら、依頼する側は同じ予算でより多くを頼めますし、受ける側の手取りは厚くなります。手数料0%という条件が意味を持つのは、金額そのものより、この「双方が得をする」構造が続くからです。運営者として見てきた限り、この形で始めた人は、単発で終わらずに関係が長く続く傾向があります。
60代からの働き方を考えるとき、多くの方が「あと何年働けるか」で考えます。その問いを、少しだけ変えてみてください。「どういう形なら、あと10年続けられるか」。
週5日で3年もつ働き方と、週3日で10年続く働き方。総量では後者のほうが大きくなります。そして何より、後者のほうが日々が穏やかです。
焦らなくて大丈夫です。あなたが積み上げてきた経験は、この先も必要とされ続けます。必要なのは、その経験を無理なく差し出せる形を、1つ見つけることだけです。
よくある質問
Q. 60代でも作業療法士の求人はありますか?
あります。求人サイトではシニア歓迎、60代活躍中と明記された作業療法士の募集が常時出ています。特に訪問リハビリ、デイケア、老健などの在宅系や介護保険領域は人手が不足しており、経験者を求める募集が多い傾向です。年齢を制限しない一般募集にも応募できますので、選択肢は思っている以上に広いと考えてください。
Q. 求人票にある「例外事由3号ニ」とはどういう意味ですか?
募集で年齢を明示することが原則禁止されている中で、高年齢者の雇用を促進する目的なら年齢を書いてよい、という例外の番号です。この表記がある求人は、60歳以上の方に来てほしくて出している募集だという意味になります。年齢を理由に落とされる心配が少ない求人だと考えて構いません。
Q. 週1日や2日だけの勤務でも働けますか?
可能です。パートやシニア向けの募集では、週1日以上で勤務相談可、1日3〜4時間から可、Wワーク可といった条件が出ています。時短勤務を認めている事業所も少なくありません。ただし勤務日数が減れば収入も下がりますので、年金や他の仕事と組み合わせて生活の設計を先に立てておくと安心です。
Q. 年金を受け取りながら働くと、年金は減りますか?
賃金と年金額の組み合わせによって年金の一部が調整される仕組みがありますが、基準額や適用の範囲は改定されることがあり、個々の状況で結果が変わります。一般論だけで判断せず、ご自身の年金記録を持って日本年金機構の窓口や年金事務所で確認してください。勤務日数を決める前に相談しておくと、後で想定とずれずに済みます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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