個人クリニックの求人はどこで探すのか|募集の出方と、応募前に確かめること


この記事のポイント
- ✓吉井中央診療所の求人のように
- ✓診療所の名前で求人を探す人に向けて
- ✓個人クリニックの募集がどこに出るのか
結論から書きます。個人クリニックの求人は、大きな病院の求人と同じ探し方をすると、かなりの数を見落とします。小さな診療所ほど、ハローワークや自院のホームページ、地域の看護協会の窓口といった、お金のかからない場所にだけ募集を出す傾向があるからです。そして、「吉井中央診療所の求人」のように診療所の名前で検索する人は、もう1つ気をつけることがあります。名前に「診療所」と付いていても、実際には老人保健施設や通所リハビリ、相談窓口まで運営する医療法人のグループであることが珍しくない、という点です。
名前で探すと、1つの小さなクリニックの募集が出てくると思いがちです。ところが実際に出てくるのは、看護師、准看護師、介護職、医療事務、社会福祉士、夜勤専従のパートなど、職種も勤務先もばらばらの求人一覧だったりします。どの求人がどの建物の、どの時間帯の仕事なのかを読み分けないまま応募すると、「日勤の外来だと思っていたら、配属は併設の施設だった」ということが起こりえます。
この記事では、個人クリニックの募集がどこに出るのかを整理したうえで、名前で検索したときに何が見えるのか、クリニックの中で1日がどう動き、何人で回しているのか、そして応募の前に求人票と見学で何を確かめればよいのかを順番に解説します。
個人クリニックの募集は、どこに出ているのか
まず、募集の出方そのものを押さえておきます。大きな病院は、採用の担当部署があり、年間を通して複数の求人サイトや紹介会社を使います。一方で、院長1人と数人のスタッフで運営している個人クリニックには、採用を専門に担当する人がいません。院長か事務長、場合によっては院長の家族が、診療の合間に募集を出しています。この違いが、求人の出る場所をはっきり分けます。
個人クリニックの募集が出やすい場所は、おおむね次の6つです。
・ハローワーク(公共職業安定所) ・クリニック自身のホームページや、院内の掲示 ・都道府県の看護協会が運営するナースセンター ・民間の求人サイト(無料で掲載できるものを含む) ・看護師専門の紹介会社 ・知人や、すでに働いているスタッフからの紹介
このうち、個人クリニックがよく使うのはハローワークと自院のホームページです。理由は単純で、どちらも費用がかからないからです。紹介会社を通じて採用すると、クリニック側は採用が決まった人の年収の20〜35%程度を手数料として支払うのが一般的です。年収400万円の看護師を1人採用すれば、手数料は80万〜140万円ほどになります。売上の規模が限られる小さなクリニックにとって、この金額は小さくありません。そのため、紹介会社には欠員が長引いたときだけ頼み、普段はハローワークで募集を続ける、という使い方をしているクリニックが多く見られます。
ナースセンターは、看護師の無料職業紹介を行う公的な窓口で、全国の都道府県に置かれています。ハローワークと同じく費用がかからないため、地域の診療所や訪問看護ステーションの求人が集まりやすい場所です。ブランクがある人向けの復職研修の情報も同じ窓口で扱っているので、しばらく現場を離れていた人は一度のぞいてみる価値があります。
見落とされやすいのが、院内の掲示と知人からの紹介です。待合室に「看護師募集」の紙が貼ってあるだけで、ネット上にはどこにも出ていない募集は今でもあります。近所のクリニックで働きたいと考えているなら、受診のついでに掲示を見る、知り合いに声をかけておく、といった地道な方法が意外に効きます。
私が医療系の求人記事の編集を担当していたとき、取材でいくつかのクリニックに話を聞いたことがあります。そこで何度も聞いたのが、「求人サイトに出すと応募は増えるけれど、近くに住んでいて長く働ける人は、結局ハローワークか紹介で来る」という話でした。通勤の近さは、個人クリニックが採用で最も重視する点の1つです。遠方から応募するよりも、地元の窓口で探すほうが相手の求める人物像と合いやすい、という事情があります。
探す順番としては、まず住んでいる地域のハローワークの求人検索とナースセンターで、通える範囲の診療所をすべて洗い出すことをすすめます。そのうえで、気になるクリニックのホームページに採用ページがあるかを確かめ、民間の求人サイトは条件の比較に使う、という流れにすると、見落としが減ります。
名前で検索すると、何が出てくるのか
次に、診療所の名前で求人を探したときの話です。ここでは「吉井中央診療所の求人」を例に、名前で検索したときにどんな情報が出てくるのかを見ていきます。
この名前で検索すると、医療法人としての求人サイトやハローワークの求人、民間の求人サイトの一覧が出てきます。一覧に並ぶのは、診療所の看護師や准看護師、医療事務員だけではありません。介護老人保健施設の介護職、通所リハビリテーションの介護職員、理学療法士や作業療法士、相談窓口の社会福祉士、清掃員、そして老健の夜勤専従パートまで含まれています。つまり、名前は「診療所」でも、実態は医療と介護の複数の事業所を運営する医療法人のグループです。
実際に、同じ法人の求人の中には、次のような老健の夜勤の募集があります。
仕事内容介護老人保健施設グッドウェルの夜勤業務です。 ≪夜勤1回 25,000円≫ 最大90床を『5人体制』で行います。 ・夜勤者全員で助け合い協力しながらですので、夜勤未経験や 1人夜勤に不安を感じた方、安心して働けます。 2時間の仮眠休憩がとれます。 *ダブルワーク、OKです。(副業可) *週一回の勤務でも、ご応募可能です。 出典: jp.stanby.com
この求人の勤務条件の欄には、1か月単位の変形労働時間制で、就業時間は16時30分から翌9時30分、休憩は120分と書かれています。休日は勤務表によって決まり、週1回や決まった曜日など、相談に応じるとあります。
ここから読み取れることは、2つあります。1つは、同じ法人の名前で出ている求人でも、仕事の中身と時間帯がまったく違うということです。外来の看護師の求人には「残業なし・日勤のみでも可」と書かれている一方で、老健の夜勤は16時間を超える拘束時間の仕事です。名前で検索して一覧を眺めるだけでは、この違いに気づきにくくなります。
もう1つは、グループであることの利点です。1つの小さなクリニックだけで働くと、異動の選択肢がなく、家庭の事情で夜勤をやめたい、逆に夜勤を増やして収入を上げたい、といった希望に応える余地がほとんどありません。医療と介護の複数の事業所がある法人なら、外来から施設へ、施設から外来へといった配置の相談がしやすくなります。同じ法人の中で経験の幅を広げられる点は、単独の個人クリニックにはない特徴です。
なお、高崎市では地域包括支援センターを「あんしんセンター」と呼んでいて、同じ法人の社会福祉士の求人に出てくる名前はその窓口を指していると見られます。こうした名称は自治体ごとに違うので、求人票で見慣れない施設名が出てきたら、その施設が何をしている場所なのかを先に調べておくと、配属先の見当がつきます。
名前で検索して応募先を決めるときは、次の3点を必ず確かめてください。
・その求人の勤務先は、法人のどの事業所か(診療所、老健、通所リハビリなど) ・勤務時間は日勤か、夜勤か、変形労働時間制か ・入職後に、他の事業所へ異動する可能性があるか
求人票に「変更範囲」という欄がある場合は、そこも読みます。2024年4月から、労働条件を示すときに、仕事の内容や勤務地が将来どこまで変わりうるかを明示することが求められるようになりました。「変更なし」と書かれていれば、その事業所のその仕事に限った採用だと読めます。
個人クリニックの中の1日と、何人で回しているのか
ここからは、個人クリニックという職場の中で何が起きているのかを見ていきます。病院で働いてきた人がクリニックに移ると、仕事の量よりも、仕事の流れと人数の違いに戸惑うことが多いからです。
内科の無床診療所を例に、1日の流れを追ってみます。午前の診療が9時から12時、午後の診療が15時から18時、木曜の午後と日曜・祝日が休診、土曜は午前のみ、というのが、よくある形です。
看護師の朝は、診療開始の30分ほど前に始まります。診察室と処置室の準備、心電図や血圧計などの機器の確認、滅菌した器具の補充、その日に予約の入っている予防接種のワクチンの数の確認などを済ませます。診療が始まると、問診の聞き取り、血圧や体温の測定、採血、注射や点滴、心電図、診察の介助、検査の説明と、患者さんの流れに合わせて動きます。冬はインフルエンザの予防接種と発熱外来が重なり、午前中だけで予定の倍近い患者さんが来ることもあります。
12時に午前の受付が終わっても、すぐに休憩には入れません。最後の患者さんの処置と会計が済むまでは、片付けも始められないからです。昼休みは2時間から3時間と長めに見えますが、その間に院長の往診に同行する、検査会社に出す検体をまとめる、物品を発注する、といった仕事が入ることがあります。午後の診療が18時に終わっても、受付の締め切り間際に来た患者さんの対応で、実際に帰れるのは18時半を過ぎる日もあります。
人員体制は、院長1人に対して、看護師が常勤とパートを合わせて2人から4人、医療事務が2人から3人というのが、一般的な規模の目安です。病院と大きく違うのは、看護師の配置に関する細かな基準が、ベッドのない診療所にはないという点です。病棟のように「患者何人に看護師1人」という数字で人数が決まるわけではなく、院長がその時の患者数と経営状況を見て人数を決めています。
この体制から生まれる特徴は3つあります。
1つ目は、1人が休むと影響が大きいことです。看護師が3人のクリニックで1人が体調を崩すと、残りの2人で1日を回すことになります。有給休暇を取るときは、他のスタッフと早めに調整する必要があります。
2つ目は、職種の境目があいまいなことです。受付が混んでいれば看護師が電話を取り、医療事務が検査の準備を手伝う、といった協力が日常的にあります。病院のように仕事の分担がはっきり決まっている環境に慣れている人ほど、最初は違和感を覚えます。
3つ目は、院長との距離が近いことです。院長の診療方針や人柄が、職場の雰囲気をほぼそのまま決めます。相性が良ければ非常に働きやすく、合わなければ逃げ場がない、というのが個人クリニックの現実です。正直なところ、給与よりもこの点で辞める人のほうが多いと感じます。
一方で、夜勤がなく、休診日が決まっていて、生活の予定を立てやすいのは大きな利点です。子育てや介護と両立したい人、夜勤で体調を崩した経験がある人にとって、この働き方の安定は何よりの条件になります。
同じ看護師資格でも、診療科で任される範囲が変わる
個人クリニックは、診療科によって看護師の仕事の中身が大きく変わります。資格は同じでも、何を任されるのかは、そのクリニックが何を診ているかで決まります。求人を比べるときは、給与や休日より先に、診療科ごとの仕事の違いを押さえておくと、入職後のずれを防げます。
内科は、採血、点滴、心電図、予防接種、生活習慣病の患者さんへの説明など、病棟で身につけた基本の技術をそのまま使う場面が多い科です。慢性疾患で通い続ける患者さんが多く、同じ人と長く関わるので、顔と名前を覚えて体調の変化に気づく力が求められます。
整形外科は、リハビリテーションを併設していることが多く、理学療法士と一緒に働きます。看護師の仕事は、注射や関節の処置の介助、骨密度の検査、ギプスや装具の準備などが中心になります。高齢の患者さんが多く、午前中に患者さんが集中する傾向があります。
皮膚科や美容を扱うクリニックは、処置の介助に加えて、レーザー機器の準備や施術後の説明、商品の案内を任されることがあります。自費診療の割合が高いクリニックでは、接客に近い対応や、売上につながる説明を求められる場合もあるので、求人票の仕事内容をよく読む必要があります。
小児科は、予防接種と感染症の対応が仕事の大きな部分を占めます。子どもの採血や吸入、保護者への説明が中心で、季節によって忙しさが大きく変わります。予防接種のスケジュール管理を任されることも多い科です。
透析を行うクリニックは、個人クリニックの中でも少し性質が違います。1日の中で患者さんが決まった時間に来て、穿刺から回収まで同じ手順を繰り返します。朝と午後の2つのクールで回すことが多く、夜間透析を行うクリニックでは夕方から夜の勤務が入ります。専門の技術が身につく一方で、「夜勤なし」だけで選ぶと勤務時間が想定と違うことがあります。
在宅医療を中心にするクリニックでは、看護師が医師の訪問診療に同行し、患者さんの自宅や施設を回ります。運転を求められることもあり、外来とは求められる力がまったく違います。
准看護師を募集しているクリニックも少なくありません。准看護師は医師や看護師の指示のもとで仕事をする資格ですが、実際の現場では、外来の業務の範囲で看護師と大きく変わらない仕事を任されることが多くあります。ただし、給与には差が付けられているのが一般的なので、求人票では資格ごとの給与の欄を分けて確認してください。
求人を選ぶときは、自分がこれまでの経験で何ができて、次にどんな技術を身につけたいのかを先に言葉にしておくと、診療科の選択に迷いが少なくなります。
給与と待遇は、病院と同じ物差しで比べない
個人クリニックの給与を病院の給与と並べると、多くの場合、クリニックのほうが低く見えます。これは、病院の看護師の年収には夜勤手当が大きく含まれていて、クリニックにはそれがないからです。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、看護師の平均年収は500万円前後です。ただし、この数字には病院で夜勤をしている看護師が多く含まれています。夜勤手当は1回あたり数千円から1万円程度で、月に4回から8回入れば、年間では数十万円の差になります。日勤だけの個人クリニックの常勤看護師は、地域や診療科にもよりますが、年収350万〜450万円ほどの範囲で募集されていることが多い印象です。パートの時給は、地方で1,400〜1,800円、都市部で1,700〜2,200円程度が目安になります。
給与の比べ方として大切なのは、月給の額面ではなく、次の項目をそろえて比べることです。
・賞与の算定の基準と、前年度の実績(「年2回」とだけ書かれている場合は、何か月分かを必ず聞く) ・残業代が1分単位か、30分単位か、固定残業代として含まれているか ・退職金の有無(個人クリニックでは、中小企業退職金共済に加入しているかどうかで判断することが多い) ・年間休日の日数と、休診日以外の休みの取り方
社会保険にも、個人クリニックならではの事情があります。個人経営の診療所では、健康保険が協会けんぽではなく、医師国民健康保険組合に加入している場合があります。この場合、厚生年金には加入していても、健康保険の給付の内容が協会けんぽと違うことがあり、たとえば傷病手当金や出産手当金の扱いが組合ごとに異なります。求人票の「加入保険」の欄に「医師国保」と書かれていたら、給付の内容を確認しておくと安心です。
先ほど紹介したグループの求人の中には、看護助手の募集で「年収400万以上可」「年間休日120日以上可」と書かれたものがあります。「可」という表現は、条件がそろえばその水準に届く、という意味で、全員がその額になるわけではありません。夜勤の回数や資格、経験年数によって変わるので、応募の前に、自分の場合はどの程度になるのかを聞いておく必要があります。
休みについては、クリニックの休診日がそのまま休日になるので、平日の午後に休みがあり、土曜の午前は出勤、という形が一般的です。年間休日で比べると、病院の4週8休と大きくは変わらないこともありますが、まとまった連休は取りにくい傾向があります。お盆と年末年始の休診期間がどのくらいあるかも、求人票か面接で確かめておくとよいでしょう。
応募の前に、求人票で確かめること
ここまでの内容を踏まえて、応募の前に求人票で確かめることを整理します。個人クリニックの求人票は、書かれている情報が少ないことが多いので、書かれていないことを見つける読み方が必要になります。
1つ目は、診療時間と勤務時間の関係です。診療時間が18時までなら、勤務時間は18時15分や18時30分までになっているはずです。診療時間と勤務時間の終わりが同じになっている求人は、片付けの時間が勤務時間に入っていない可能性があります。受付の締め切りが何時かも、あわせて見ておきます。
2つ目は、昼休みの長さと、その間の仕事です。休憩が2時間以上あるクリニックは、往診の同行や検査の準備が昼休みに入ることがあります。休憩中に電話番をする決まりがないかも、確かめたい点です。
3つ目は、看護師が何人いるかです。求人票には書かれていないことが多いので、問い合わせか見学のときに聞きます。常勤とパートの内訳が分かると、休みの取りやすさの見当がつきます。
4つ目は、なぜ今募集しているのかです。欠員の補充なのか、患者さんが増えたことによる増員なのか、産休や育休の代わりなのか、で、入職後の状況が大きく変わります。同じクリニックが1年中求人を出している場合は、人の入れ替わりが激しい可能性があります。ハローワークの求人は受付日が載っているので、何度も同じ内容で出ていないかを見ておくと参考になります。
5つ目は、仕事内容の範囲です。「看護業務全般」とだけ書かれている場合は、受付や会計、清掃まで含まれるのかを聞いておきます。職種の境目があいまいなのが個人クリニックの特徴だと先に書きましたが、それがどこまでなのかは、クリニックによって大きく違います。
6つ目は、試用期間中の条件です。試用期間中は時給や月給が下がる、社会保険の加入が遅れる、といった条件になっていないかを確かめます。
応募書類の書き方にも少し触れておきます。個人クリニックでは、院長が自分で履歴書を読み、応募者に電話をかけることが多くあります。文章の丁寧さや、読みやすい書き方は、そのまま人柄の印象になります。敬語の使い方や、結論を先に書く文書の組み立て方を一度見直しておくと、応募書類や送付状を書くときに役に立ちます。
見学と面接で、聞き返しておくこと
個人クリニックは、見学を受け入れているところが多くあります。求人票だけでは分からない職場の空気は、実際に行ってみないとつかめません。見学の申し込みは、応募の意思がまだ固まっていなくても失礼にはあたりません。「応募を検討しているので、一度見学させていただけますか」と伝えれば十分です。
見学では、次の点を見ておきます。
・待合室の混み具合と、患者さんの年齢層 ・スタッフ同士の声のかけ方や、院長とスタッフの話し方 ・処置室や器具の片付けの状態 ・電子カルテか紙のカルテか、予約の仕組みがどうなっているか
特に、スタッフ同士の声のかけ方は、院長との相性と同じくらい大切な情報です。忙しい時間帯に、誰かが困っているのを他のスタッフが自然に手伝っているかどうかで、人間関係の見当がつきます。
面接では、聞かれることに答えるだけでなく、こちらからも聞き返します。個人クリニックの面接は、院長と1対1か、院長と事務長の2人で行われることが多く、病院の面接よりも会話に近い形で進みます。聞き返しておきたいのは、次のような内容です。
・前任の方は、どのくらいの期間働いていましたか ・看護師は何人で、1日に何人ずつ出勤していますか ・繁忙期は、何時ごろまで診療が続くことが多いですか ・急な休みが必要になったとき、どのように調整していますか ・賞与は、前年度にはどのくらい出ていましたか
お金の話を面接で聞くのは気が引ける、という人は多いですが、入職後に「思っていた条件と違う」と分かるほうが、お互いにとって損失が大きくなります。聞き方を丁寧にすれば、条件を確かめること自体で評価が下がることはほとんどありません。
私自身も、編集の仕事で取引先を選ぶとき、最初の打ち合わせで報酬の支払い時期や修正の回数を聞くのをためらい、あとで困った経験があります。後から聞くほうが、相手にとってもこちらにとっても話しにくくなります。聞くべきことは、最初に聞くのがいちばん角が立ちません。
見学と面接が終わったら、その日のうちに、気づいたことと聞いた内容を書き留めておきます。複数のクリニックを比べるとき、記憶だけに頼ると、条件と雰囲気の印象が混ざってしまうからです。
クリニックの外に、もう1つの働き方を持つという考え方
最後に、個人クリニックで働くことを、もう少し長い目で見ておきます。日勤だけで、休診日が決まっているクリニックの働き方は、時間の予定が立てやすい分、仕事以外の時間を計画的に使えるという特徴があります。
最近は、クリニックで常勤やパートとして働きながら、看護師の経験を活かした在宅の仕事を組み合わせる人も増えています。健康相談の窓口、医療系の記事の監修や執筆、オンラインでの問い合わせ対応などがその例です。看護師が臨床経験を活かして取り組める在宅の仕事の種類と始め方は、看護師におすすめの在宅ワーク5選|臨床経験を活かす副業【2026年版】で詳しくまとめています。クリニックの勤務先に副業の規定があるかどうかは、就業規則で必ず確認してください。
医療の知識を生かした仕事を組み合わせるかどうかを考えるときは、まず本業の収入が相場のどのあたりにあるかを知っておくと、自分の時間の使い方を考える材料になります。看護職の年収と単価の相場は、看護師の年収・単価相場で職種全体の統計とあわせて確認できます。
同じ法人の中に通所リハビリや老健がある職場では、理学療法士や作業療法士と一緒に働く機会も多くあります。リハビリの専門職が訪問の形で働く場合の仕事の流れについては、理学療法士・作業療法士の訪問リハビリ副業|高時給を狙う方法【2026年版】が参考になります。職種の違う同僚がどのような働き方をしているのかを知っておくと、チームの中での自分の役割も見えやすくなります。
20年ほどフリーランスと在宅ワークの市場を見てきた運営者の立場から言えば、長く働き続けている人ほど、1つの勤務先にすべてを預けていない傾向があります。本業の職場を大切にしながら、そこで得た経験を別の形で役立てる場を少しずつ持っている人は、職場の人間関係や経営の変化に振り回されにくくなります。個人クリニックのように、院長の方針ひとつで職場が大きく変わる環境では、この考え方が特に意味を持ちます。
もう1つ、運営者として見てきた実感として、仲介の手数料がかからない直接の取引は、依頼する側と受ける側の双方にとって得になりやすい、ということがあります。紹介会社を通さずにハローワークや知人の紹介で採用するクリニックが多いのも、根は同じ話です。同じ予算で、クリニックはより良い条件を出せ、働く側はより多くを受け取れます。在宅の仕事でも、手数料0%で依頼者と直接やりとりできる場を使えば、同じ仕事量でも手元に残る報酬が厚くなります。
個人クリニックの求人を探すことは、給与や休日を比べる作業に見えて、実際には「どんな院長と、何人の同僚と、どんな1日を過ごすか」を選ぶ作業です。募集の出る場所を広く押さえ、名前で検索したときは勤務先の事業所まで読み分け、求人票に書かれていないことは見学と面接で聞き返す。この順番を守れば、入職してからの「こんなはずではなかった」は、かなり減らせます。
よくある質問
Q. 個人クリニックの求人は、求人サイトだけで探せば十分ですか?
十分とは言えません。個人クリニックは採用の費用を抑えるため、ハローワークや自院のホームページ、ナースセンター、院内の掲示だけに募集を出すことがよくあります。通える範囲で働きたいなら、まずハローワークとナースセンターで地域の診療所を洗い出し、民間の求人サイトは条件の比較に使うと見落としが減ります。
Q. 診療所の名前で検索すると、介護職や夜勤の求人まで出てくるのはなぜですか?
名前に「診療所」と付いていても、老人保健施設や通所リハビリ、相談窓口などを運営する医療法人のグループであることが多いためです。同じ法人名の求人でも勤務先と時間帯がまったく違うので、応募前に勤務先の事業所、日勤か夜勤か、異動の可能性の3点を求人票で確かめてください。
Q. 個人クリニックの看護師の給与は、病院より低いのですか?
額面では低く見えることが多いですが、主な理由は夜勤手当がないことです。日勤のみの常勤では年収350万〜450万円ほどの範囲で募集されることが多く、比べるときは月給ではなく、賞与の実績、残業代の計算方法、退職金、年間休日をそろえて見ることが大切です。
Q. 個人クリニックの見学は、応募を決める前にお願いしてもよいですか?
問題ありません。「応募を検討しているので見学させていただけますか」と伝えれば十分です。見学では待合室の混み具合、スタッフ同士の声のかけ方、院長との話し方、カルテや予約の仕組みを見ておくと、求人票では分からない職場の実態をつかめます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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