個人クリニックの1日の流れ|朝から終業までの動き方を追う


この記事のポイント
- ✓個人クリニックの1日の流れを
- ✓閉院後の締めまで時間順に追いました
- ✓看護師と医療事務の動きの違い
個人クリニックの1日は、どう流れていくのか。結論から言うと、「朝は開院前の準備から始まり、午前に患者が集中し、昼に2時間前後の長い休憩をはさんで、午後は夕方に再び混み、診療が終わってから締めの作業をして帰る」という形が一般的です。
つまり、診療時間だけを見て「9時から18時半まで」と思っていると、実際に職場にいる時間はもっと長くなります。これ、知らない人が本当に多いんです。
この記事では、無床の個人クリニック(内科や小児科のような外来中心の診療所)を例に、朝から終業までの動きを時間順に追います。そのうえで、曜日による違い、職種による動きの違い、そして求人票の勤務時間から1日の実態を読む方法をお話しします。
個人クリニックの1日を決めている3つの条件
時間を追う前に、個人クリニックの1日の形を決めている条件を整理しておきます。
診療時間が午前と午後に分かれている
多くの個人クリニックは、午前診と午後診に分かれています。よく見られるのは、午前が9時から12時半、午後が15時から18時半という形です。間の2時間半ほどは診療をしていません。
この休みの時間に、院長は往診や学校医の仕事、書類の作成、休息をとります。職員は昼休憩に入ります。病院のように交代で休憩をとるのではなく、職員全員が一斉に休むのが個人クリニックの特徴です。
職員が少ない
看護師が2〜3人、医療事務が2〜4人程度の規模が多く、1日の中で誰がどの仕事をするかが、その日の出勤者で変わります。パートの職員が午前だけ、午後だけ入ることも多いので、時間帯によって人数が変わります。
院長が1人
院長が診察室にいる時間が、そのまま職員の忙しさを決めます。院長の診察が速ければ患者の流れも速くなり、職員の動きもそれに合わせて速くなります。
クリニックの働き方が病院とどう違うのかについて、医療職の情報サイトは次のように紹介しています。
プライベートや家庭との両立がしやすいクリニックは看護師の転職先として人気があります。初めてクリニックへの転職を考えている方はその仕事内容や働き方が気になりますよね。 今回は、クリニックで働く看護師の仕事内容や病棟との違い、向いているタイプについてご紹介していきます。 出典: co-medical.com
「家庭との両立がしやすい」と言われる理由は、夜勤がなく、終業の時刻がある程度読めることにあります。一方で、昼に長い休憩をはさむ分、朝から夜までの拘束時間は長くなります。どちらが自分の生活に合うかは、1日の流れを具体的に知ってから判断するのが確実です。
朝の準備(8時15分から9時)
出勤と着替え
多くのクリニックでは、診療開始の30〜45分前に職員が出勤します。更衣室で白衣やユニフォームに着替え、身だしなみを整えます。
開院の準備
ここからが朝の仕事です。個人クリニックでは、準備のほとんどを看護師と医療事務で分担します。
看護師の準備
・診察室と処置室の清掃、ベッドのシーツの交換 ・血圧計、心電図、吸引器などの機器の電源を入れて動作を確認する ・ワクチンを保管する冷蔵庫の温度を記録する ・滅菌が済んだ器具を棚に戻す ・その日の予約患者のカルテを見て、採血や検査の準備をする
医療事務の準備
・受付と待合室の清掃 ・電子カルテとレセプトコンピュータの起動 ・釣り銭の確認 ・予約の一覧と、前日に電話で受けた変更の確認 ・問診票や各種書類の補充
朝礼
小さなクリニックでも、開院の5〜10分前に全員で短い朝礼をするところが多いです。その日の予約の数、出勤している職員、院長からの連絡事項、注意が必要な患者の情報などを共有します。
8時55分ごろには入口の鍵を開けます。開院を待っていた患者が、ドアの前に並んでいることもよくあります。
午前の診療(9時から12時半)
開院直後の受付の山
午前の診療が始まると、まず受付に患者が集中します。医療事務は、保険証やマイナ保険証による資格の確認、初診の患者への問診票の案内、再診の患者のカルテの呼び出しを並行して進めます。
この時間帯は、朝のうちに受診したい高齢の患者、出勤前に来る会社員、空腹で採血をしたい患者が重なります。内科なら、健康診断や生活習慣病の定期検査で、空腹時の採血を午前に指定することが多いからです。
看護師の午前の動き
看護師は、診察室と処置室の間を行き来します。
・診察前の血圧や体温の測定と、問診の確認 ・院長の診察の介助 ・採血、注射、点滴の実施 ・点滴中の患者の様子の観察 ・心電図や迅速検査の実施 ・診察後の説明と、次回の予約の案内
処置室で点滴をしている患者が2〜3人いて、同時に診察室で院長の介助をし、電話も鳴る。午前の10時から11時半ごろが、1日のうちで最も密度が高い時間になるクリニックが多いです。
電話の対応
午前中は電話も多くかかってきます。「今日の午後は予約できますか」「熱があるのですが受診してもいいですか」。予約や事務的な問い合わせは医療事務が、症状についての相談は看護師が受ける、と分けているクリニックが一般的です。
午前の受付終了
12時ごろに午前の受付を締め切るクリニックが多いです。受付を締めても、待合室に残っている患者の診察が終わるまでは診療が続きます。午前診の最後の患者が帰るのは、12時半から13時ごろになることもあります。
昼休み(12時半から15時)
午前の片付け
最後の患者が帰ったら、すぐに休憩というわけではありません。
・使った器具の洗浄と滅菌の準備 ・採血した検体の整理(検査会社の回収に合わせて保管) ・午前の会計の確認 ・カルテの記載漏れの確認
この片付けに15〜30分ほどかかります。
休憩
片付けが終わると、職員は昼休憩に入ります。休憩室でお弁当を食べる人、近くのお店に出かける人、家が近ければ一度帰宅する人もいます。
休憩の長さは、法律で最低限の基準が決まっています。労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に与えることになっています。つまり、休憩を2時間与えることは、法律上は問題ありません。
ただし、休憩は「労働から完全に離れられる時間」でなければなりません。休憩中に電話番を頼まれている、院長に呼ばれたらすぐに対応しなければならない、という状態なら、それは休憩ではなく労働時間にあたる可能性があります。
午後の準備
休憩が終わると、午後の診療が始まる15分ほど前から準備に戻ります。午後の予約の確認、機器の再確認、処置室の整頓。院長が往診から戻ってくるのもこの時間です。
午後の診療(15時から18時半)
午後の前半
午後の診療が始まった直後は、午前ほど混まないことが多いです。高齢の患者は午前に来ることが多く、午後の前半は比較的落ち着いています。
この時間を使って、看護師は物品の補充や発注、ワクチンの在庫の確認をします。医療事務は、午前の会計の入力の確認や、紹介状の返事の整理、健康診断の結果の書類づくりを進めます。
夕方の山
16時半ごろから、また患者が増えてきます。学校が終わった子どもと保護者、仕事帰りの会社員。小児科や内科では、17時から18時が午後のピークになります。
小児科なら、夕方は子どもの予防接種や、日中に熱を出した子どもの受診が重なります。泣いている子どもを落ち着かせながら、採血や接種を進める。保護者への説明も欠かせません。
受付の締め切りと最後の患者
18時ごろに午後の受付を締め切るクリニックが多いです。ただ、「もう少しで着くので診てもらえませんか」という電話が入ることもあります。受け付けるかどうかは院長の判断です。
最後の患者の診察と会計が終わるのは、18時半から19時ごろになります。
閉院後の締め(18時半から19時半)
看護師の締め
・使った器具の洗浄と滅菌 ・処置室と診察室の清掃、ベッドのシーツの交換 ・ワクチンの冷蔵庫の温度の記録 ・翌日の予約患者の確認と、検査の準備 ・医療廃棄物の整理
医療事務の締め
・レジの締めと、その日の売上の集計(日計表の作成) ・カルテの入力内容と会計の突き合わせ ・翌日の予約の確認 ・受付と待合室の清掃
採血した検体は、検査会社が夕方に回収に来ることが多いので、その時間までに検体の整理と伝票の記入を済ませておきます。
締めの作業を終えて、着替えて退勤するのは、19時から19時半ごろ。朝8時15分に出勤していれば、職場にいる時間は11時間を超えます。そこから昼休みの2時間前後を引いたものが、実際の労働時間です。
1日の流れが崩れるとき
ここまで書いたのは、順調に進んだ日の流れです。実際の個人クリニックでは、予定どおりにいかない日も少なくありません。流れが崩れる典型的な場面と、そのときの動き方を書いておきます。
急に具合の悪い患者が来たとき
待合室で患者の顔色が急に悪くなる、呼吸が苦しそうになる。こうしたとき、受付の職員が気づいて看護師を呼び、看護師が状態を確認して院長に伝えます。必要なら処置室のベッドに移し、酸素や点滴の準備をし、救急車を呼んで病院への搬送を手配します。
この間、他の患者の診察は止まります。待合室の患者に事情を伝え、待ち時間が延びることを案内するのは医療事務の役割です。1件の救急搬送で、午前の診療が30分以上遅れることもあります。
院長の往診や会議が長引いたとき
昼休みに往診に出た院長が、患者の状態によって戻りが遅れることがあります。午後の診療の開始時刻に院長がいなければ、待合室に患者がたまっていきます。職員は、先に問診や血圧の測定、検査を進めて、院長が戻ったらすぐに診察に入れるように準備を整えます。
電子カルテや機器が止まったとき
電子カルテやレセプトコンピュータが動かなくなると、受付も会計も止まります。多くのクリニックでは、紙の受付票や手書きの会計の控えを用意していて、復旧までは紙で対応します。復旧後に、紙の記録をシステムに入力し直す作業が残業につながることもあります。
流れが崩れた日の終業時刻
こうした出来事が重なった日は、閉院の時刻が遅れ、締めの作業も後ろにずれます。問題は、その延びた時間がきちんと労働時間として記録されているかです。タイムカードを押してから片付けをしている、という職場は要注意です。延びた日の退勤時刻は、手帳などに自分でも記録しておくことをおすすめします。
曜日によって1日の形が変わる
個人クリニックの1週間は、毎日が同じ流れではありません。曜日ごとの違いを見ておきます。
月曜日と連休明け
週末や連休の間に具合が悪くなった患者が集中するので、1週間でいちばん混む日になります。医療事務は受付の対応に追われ、看護師は処置が立て込みます。連休明けの1日は、午前診が13時を過ぎても終わらないことがあります。
半日診療の曜日
木曜日や水曜日の午後を休診にしているクリニックが多くあります。この日は午前の診療と片付けだけで終わります。
土曜日
土曜日は午前だけ、あるいは午後の早い時間まで診療するクリニックが多いです。平日に来られない会社員や、学校が休みの子どもが集中するので、午前だけでも平日並みかそれ以上に混みます。
週の勤務の組み方
平日に長い1日を働き、半日の曜日と土曜の午前を組み合わせて、1週間の労働時間を調整する。個人クリニックでよく見られる働き方です。
ここで知っておいてほしいのが、労働時間の上限の決まりです。労働基準法では、原則として1週40時間、1日8時間を超えて働かせることはできません。ただし、常時10人未満の労働者を使う保健衛生業の事業場(小規模な診療所が含まれます)は特例として、1週44時間まで認められています。
さらに、1か月単位の変形労働時間制を取り入れて、日によって労働時間が8時間を超える日と短い日を組み合わせているクリニックもあります。この制度を使うには、就業規則などで定め、事前に勤務の予定を示す必要があります。
つまり、「平日は長いけれど週の合計では収まっている」という働き方は、制度の条件を満たしていれば適法です。反対に、就業規則にも労使協定にも何も定めがないまま、毎日9時間以上働かせているなら、残業代の支払いが必要になります。
看護師と医療事務で、1日の忙しさの山が違う
同じクリニックで働いていても、看護師と医療事務では、1日の中で忙しくなる時間帯がずれています。
看護師の山
看護師が最も忙しいのは、処置と検査が集中する午前の10時から11時半ごろと、予防接種や子どもの受診が重なる夕方です。一方で、午後の前半は比較的落ち着いていて、物品の管理や準備に時間を使えます。
医療事務の山
医療事務が最も忙しいのは、開院直後の受付と、診察が終わった患者が一斉に会計に並ぶ午前の後半です。また、閉院後の締めの作業は医療事務の比重が大きくなります。
さらに、月の初めには、前月分の診療報酬の請求(レセプト)の作業が加わります。請求の締め切りは翌月の10日なので、1日から10日ごろまでは、日中の業務の合間や閉院後に請求の点検を進めることになります。この時期だけ、医療事務の終業時刻が遅くなるクリニックは珍しくありません。
医療事務の請求業務は、知識があるかどうかで作業の速さが大きく変わります。医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)では、受付や会計、請求の知識を問う資格の内容をまとめているので、月初めの作業に備えて何を学べばよいかの参考になります。
外来だけではない、在宅診療のクリニックの1日
ここまでは外来中心のクリニックの話でしたが、個人クリニックの中には、患者の自宅を訪問して診療する在宅診療を中心にしているところもあります。その場合、1日の流れはまったく違います。
在宅診療のクリニックの1日は、朝の打ち合わせでその日の訪問先と順番を確認するところから始まります。院長と看護師、運転を担当する職員がチームを組み、車で患者の自宅を回ります。1件の訪問は20〜30分程度で、移動の時間をはさみながら、午前と午後で合わせて10件前後を回る形がよく見られます。
訪問の合間には、訪問看護ステーションやケアマネジャーとの電話での連絡、薬局への処方の連絡が入ります。夕方にクリニックに戻ってからは、訪問の記録と、翌日の予定の調整です。夜間や休日に患者の容体が変わったときに対応する、オンコールの当番がある点も、外来のクリニックとは違います。
在宅診療を行っているクリニックの中には、職員どうしで学ぶ時間を大切にしているところもあります。ある在宅診療のクリニックは、次のように書いています。
在宅診療という分野を広く知っていただけるような、また日々の診療で感じる様々な疑問点に対してスタッフ間で学びの時間を持ち、学会発表等で新しい情報を発信していく予定です。 出典: ichi.clinic
外来のクリニックの1日は「来院する患者を順番に受ける」流れですが、在宅診療のクリニックの1日は「こちらから患者のもとに出向く」流れです。求人票に「訪問診療」「往診同行」「運転あり」と書かれていたら、1日の過ごし方がこちらに近いと考えてください。
診療科によって、1日の山の位置が変わる
ここまで内科や小児科を例にしてきましたが、診療科が変われば、1日のどこが忙しいかも変わります。代表的な科の特徴を並べておきます。
整形外科
高齢の患者が多く、開院直後から午前中に来院が集中します。リハビリテーションの部門を持つクリニックでは、リハビリ目的の患者が毎日のように通うので、待合室が混み合う時間が長くなります。夕方には、仕事帰りの人や部活動でけがをした学生が加わり、もう1つの山ができます。看護師は、注射の介助、ギプスや包帯の処置、レントゲン撮影への誘導などで、診察室と処置室を行き来します。
皮膚科、耳鼻咽喉科
処置の数が多く、1人あたりの診察時間は短めです。そのぶん患者の回転が速く、受付と会計の忙しさが1日を通して続きます。耳鼻咽喉科は、花粉症の時期の午前中が特に混み合います。
眼科
検査の比重が大きい科です。視力や眼圧などの検査を視能訓練士や看護師が行ってから、院長の診察に進みます。白内障の手術を行っている眼科では、手術日を決めていて、その日は外来を午前だけにして午後を手術にあてる、といった組み方がよく見られます。手術日の看護師の1日は、手術の準備、介助、術後の説明と、外来の日とはまったく違う流れになります。
美容クリニック
多くが完全予約制で、診療時間も10時から19時、11時から20時など、他の科より遅い時間帯に設定されています。仕事帰りに施術を受けたい患者に合わせているためです。1日の流れは、予約の枠に沿って進むので、突発的な混雑は起きにくい反面、終業時刻が遅くなります。
透析クリニック
透析を専門にするクリニックは、1日の形が特殊です。朝7時台から患者の穿刺と透析の開始が始まり、午前と午後の2つの枠(クール)で患者を入れ替えます。仕事を持つ患者のために、夕方から夜にかけての夜間透析を行うクリニックもあります。昼の長い休みはなく、早番や遅番のシフトで回すのが一般的です。
同じ「個人クリニック」でも、科が違えば出勤の時刻も、昼休みの長さも、帰る時刻も違います。求人を見るときは、診療科と診療時間をセットで確認してください。
入職したばかりの1日と、慣れてからの1日
同じクリニックでも、入職したばかりの頃と慣れてからでは、1日の感じ方が大きく変わります。
入職して最初の数週間
最初の数週間は、先輩の後ろについて1日の流れを覚えるところから始まります。個人クリニックでは、病院のような研修の期間がないことが多く、初日から患者の対応に入ることもあります。
私が以前相談を受けたケースでは、病棟で8年働いた看護師さんが、個人クリニックに移って最初の1週間で「自分が何もできない人間に思えた」と話していました。採血も注射も病棟で何千回としてきたのに、物品の置き場所が分からない、電子カルテの操作が分からない、院長の診察のテンポについていけない。技術はあるのに、職場の流れを知らないことで、1日がうまく回らなかったのです。
これは能力の問題ではありません。職場の流れを覚えるまでの時間の問題です。多くの人が、1〜3か月ほどで1日の流れが体に入り、余裕を持って動けるようになります。
慣れてからの1日
流れを覚えると、次に何が起きるかを先に読んで動けるようになります。朝の予約の一覧を見て、今日は午前に採血が多いと分かれば、準備の段取りを変える。夕方に予防接種の予約が集中していれば、午後の前半のうちに問診票をそろえておく。
慣れてからの1日は、忙しさそのものは変わらなくても、「追われる1日」から「自分で組み立てる1日」に変わります。個人クリニックで働く面白さを感じられるのは、この段階からです。
パートで入る場合の1日
個人クリニックには、パートの募集も多くあります。パートの1日は、常勤とは形が違います。
午前だけのパート
8時30分から13時ごろまでの勤務がよく見られます。開院の準備から午前の診療、午前の片付けまでを担当し、昼休みに入る前に退勤します。1日で最も混む時間帯を担うので、短い時間でも密度は高くなります。長い昼休みをはさまないため、拘束時間が短いのが利点です。
午後だけのパート
14時45分ごろから19時ごろまでの勤務です。午後の準備から夕方の山、閉院後の締めまでを担当します。子どもが学校から帰った後に家族に預けられる人や、午前に別の仕事をしている人が選ぶことがあります。
繁忙期だけの応援
予防接種の時期や健康診断の時期だけ、週に数日入る形の募集もあります。1日の中身は、接種や採血など特定の業務に絞られることが多いです。
パートで働く場合も、労働時間や休憩の決まりは常勤と同じように適用されます。6時間を超えて働く日には休憩が必要ですし、年次有給休暇も、所定の労働日数に応じて付与されます。これ、パートの方ほど知らない人が本当に多いんです。
扶養の範囲で働きたい場合は、年収の見込みを計算したうえで、繁忙期に勤務日数が増えたときの扱いを面接で確認しておくと安心です。
始業前の準備と着替えは、労働時間になるのか
1日の流れを追ってきて、気になった方もいると思います。「朝の準備や、閉院後の片付けは、給料が出ているのか」。
先日、あるクリニックの看護師さんから、こんな相談を受けました。「勤務時間は8時45分からと言われているのに、8時15分には来て掃除と機器の準備をするように言われている。その30分は、タイムカードを押す前の時間なので給料に入っていない」。
結論から言うと、使用者の指示で行っている準備や片付けは、労働時間にあたる可能性が高いです。最高裁判所は、使用者から義務付けられた作業服への着替えなどについて、労働時間にあたると判断しています。つまり、「着替えてから8時45分に持ち場にいるように」「開院前に掃除を済ませるように」と指示されているなら、その時間も労働時間として扱うべきだということです。
毎日30分が労働時間から外れていれば、月に20日勤務で10時間になります。1年で考えると、決して小さくありません。
※実際に未払いの賃金を請求したい場合は、勤務時間の記録(タイムカードの写し、出勤時刻のメモなど)を残したうえで、労働基準監督署や弁護士に相談してください。
もっとも、小さなクリニックでは、院長も職員も「昔からこうだった」と、悪気なく続けていることが多いのです。まずは、始業時刻を実際の準備の開始時刻に合わせてもらえないか、話し合ってみることから始めてもよいでしょう。
求人票の勤務時間から、1日の実態を読む
最後に、求人票に書かれた勤務時間から、ここまで見てきた1日の流れを読み取る方法をお伝えします。
「8:30〜19:00(休憩2時間)」の読み方
こう書かれていれば、実際の労働時間は8時間30分です。1日8時間を超えているので、1か月単位の変形労働時間制などで調整しているか、残業代が出ているはずです。どちらなのかを面接で確認してください。
「診療終了後、片付けあり(30分程度)」
片付けの時間が勤務時間に含まれているかを確認します。「終業時刻は診療終了の30分後」と書かれていれば含まれていますが、「診療終了後に片付け」とだけ書かれていれば、あいまいです。
週の休みの書き方
「木曜午後・土曜午後・日曜・祝日休み」のように書かれていれば、半日の曜日を組み合わせて週の労働時間を調整しているクリニックです。「週休2日」と書かれていても、丸1日の休みが週2日あるとは限りません。
「残業月10時間程度」
残業の目安が書かれている場合は、それが月初めの請求の時期に偏っていないかを、医療事務なら特に確認します。
1日の流れを知ったうえで、年収や勤務時間を病院と比べたい場合は、看護師のクリニック転職ガイド|病棟との年収・働き方の違いで、病棟とクリニックの年収や働き方の違いを整理しています。また、看護師の年収の統計上の相場は、看護師の年収・単価相場で年代別や地域別にまとめているので、提示された条件を比べる材料になります。
働く人の相談を長く見てきた限りでは、個人クリニックに入って「思っていたのと違う」と感じる人の多くは、仕事の内容よりも、1日の時間の使われ方でつまずいています。昼休みが長いことを知らずに入り、夜の帰りが遅いことに驚く。朝の準備が給料に入っていないことに、後から気づく。どれも、入る前に1日の流れを知っていれば防げたことです。
労働時間や休憩の決まりは、職場の大きさにかかわらず、働く人を守るために作られています。自分の1日を具体的に思い描いて、納得できる職場を選んでください。法律はあなたの味方です。
よくある質問
Q. 個人クリニックの昼休みが2時間以上あるのは普通ですか?
午前診と午後診の間に2時間から2時間半ほどの休みがあるクリニックは多く、珍しくありません。労働基準法は休憩の最低限の長さを定めていますが、長い休憩を与えること自体は問題ありません。ただし、休憩中に電話番などを頼まれている場合は、その時間が労働時間にあたる可能性があります。
Q. 個人クリニックでは何時に出勤して何時に帰ることが多いですか?
診療開始の30分から45分前に出勤し、午後の診療が終わってから30分ほど片付けや締めをして帰る形が一般的です。午前9時開始、午後18時半終了のクリニックなら、8時15分ごろに出勤し、19時から19時半ごろに退勤する流れになります。昼休みをはさむので、職場にいる時間は長くなります。
Q. 開院前の掃除や準備の時間に給料は出ますか?
院長の指示で行っている準備や掃除は、労働時間にあたる可能性が高く、本来は賃金の対象になります。勤務時間の開始より前に来るよう指示されているのに、その時間が給料に含まれていない場合は、まず始業時刻の扱いを話し合ってみてください。解決しない場合は、記録を残して労働基準監督署に相談できます。
Q. 医療事務は月初めに忙しくなると聞きましたが本当ですか?
本当です。前月分の診療報酬の請求の締め切りが翌月10日なので、月の1日から10日ごろまでは、日中の受付や会計の合間や閉院後に請求の点検を進めることになります。この時期だけ終業時刻が遅くなるクリニックは多いので、面接で月初めの残業の目安を確認しておくと安心です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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