耳鼻科クリニックの1日の流れ|朝から終業までの動き方を追う


この記事のポイント
- ✓耳鼻科クリニックの1日の流れを
- ✓終業後の片付けまで時間の順に追いました
- ✓診療助手それぞれの動き方と
耳鼻科クリニックで働くことを考え始めると、「朝は何時に入って、昼休みには何をして、何時に帰れるのだろう」と、1日の具体的な姿が気になりますよね。
求人票には「9時から18時半」「休憩2時間半」といった数字が並んでいても、その間に職場の中で何が起きているのかまでは書かれていません。
先にお伝えしておくと、耳鼻科クリニックの1日は、「朝の立ち上げ」「午前の波」「長い昼休み」「夕方の波」「締めの片付け」という5つの場面でできています。
特徴的なのは、昼休みが長いこと、そして夕方に子どもと仕事帰りの患者さんが重なって、もう一度大きな波が来ることです。
この記事では、よくある耳鼻科クリニックの1日を、時間の順に追っていきます。時刻はあくまで一例ですが、流れの形はどのクリニックでもよく似ています。
開院前の30分から45分で、その日の診療が決まる
耳鼻科クリニックの朝は、診療が始まる30分から45分ほど前に始まります。午前の診療が9時からなら、スタッフは8時15分から8時30分ごろに出勤するのが一般的です。
着替えを済ませたら、まず行うのが機械の立ち上げです。
耳鼻科の診察室には、耳鼻科専用の診療ユニットと呼ばれる装置があります。患者さんが座る椅子の横に、鼻や耳の中を吸い取る吸引の管、薬のスプレー、光源、ファイバースコープ(鼻や喉の奥を見る細い内視鏡)の接続口がまとまった機械です。電源を入れ、吸引がきちんと効くか、スプレーの薬液が補充されているかを確かめます。
ネブライザー(鼻や喉に薬を霧状にして当てる機械)も、台数分の電源を入れ、薬液とマウスピースの準備をします。花粉の季節は吸入の患者さんが多いので、ここの準備が遅れると午前中ずっと列が詰まります。
看護師は、ファイバースコープを消毒する洗浄機や消毒液の状態を確認します。消毒液には使える期限と濃度の基準があり、朝のうちに確認して記録を付けるクリニックが多くあります。耳鼻科の朝の仕事の中で、いちばん「決まった手順を正確に」が求められる場面です。
聴力検査の防音室では、検査の機械の電源を入れ、ヘッドホンやボタンの動作を確かめます。
受付では、パソコンと電子カルテ、レセプトのシステム、自動精算機やレジを立ち上げます。そして、その日の予約の状況を確認します。
最近の耳鼻科クリニックは、Webや電話の順番予約を取り入れているところが増えています。予約の受け付け方は、クリニックの公式サイトにも案内されています。
新規の方も再診の方も、web・電話のどちらでも予約いただけます。診察前日の20時より予約が可能です。 ※できるだけ予約を取っていただくようにお願いいたします。 出典: ikebuchi-clinic.info
このように前日の夜から予約が入る仕組みの場合、朝の時点で午前の予約がすでに埋まり始めています。受付のスタッフは、予約の人数を見て、その日の午前がどのくらい混みそうかをつかみ、スタッフ同士で共有します。
予約をしていない患者さんが、開院前から入口に並ぶクリニックもあります。寒い季節は、少し早めに待合室を開けるかどうかを判断するのも朝の仕事です。
8時55分ごろ、医師が診察室に入り、スタッフ全員で短く声をかけ合って、診療が始まります。朝礼を行うクリニックでは、ここで「今日は手術が1件」「午後の看護師は1人少ない」といった情報を伝えます。
午前の診療は、始まりと終わりに波が来る
9時に受付が始まると、最初の30分から1時間で一気に患者さんが流れ込みます。開院前から待っていた人、予約の早い番号の人、仕事の前に寄る人が重なるからです。
受付では、保険証やマイナ保険証の確認、問診票の受け渡し、診察券の発行を、途切れずに続けます。
問診票には、耳、鼻、喉のどこに症状があるか、いつからか、熱はあるか、といった項目が並んでいます。受付の人はこれをざっと見て、めまいがひどい人や、発熱のある人がいれば、すぐに看護師に伝えます。めまいの患者さんは座っていられないこともあるので、横になれる場所へ案内します。
診察室では、医師の診察と処置が数分ずつ、次々に進みます。
看護師や診療助手は、医師の横で次の処置の準備をし、終わった器具を回収します。耳鏡、鼻鏡、膿盆といった器具は、使ったらすぐに洗浄と滅菌の工程へ回します。1日に何十本も使うので、回収が遅れると次の患者さんの分が足りなくなります。
子どもの患者さんが来ると、診察室の空気が変わります。耳の中を見る、鼻水を吸う、というだけでも、小さな子は怖がって動きます。保護者に抱っこしてもらい、スタッフが頭と腕をそっと支えて、医師が素早く処置を終えます。
私自身、子どもが小さかった頃に中耳炎で耳鼻科へ通っていました。泣き叫ぶ子を膝に乗せて、スタッフの方と2人がかりで支えた日のことを、今でもよく覚えています。終わったあと、スタッフの方が「よく頑張ったね、お母さんも大丈夫でしたか」と声をかけてくれて、張りつめていた気持ちがふっとゆるみました。あの数秒の声かけも、耳鼻科の1日の中に何十回も繰り返されている仕事なのだと思います。
診察が終わった患者さんの一部は、ネブライザーの部屋へ移ります。診療助手や受付の人が誘導し、数分の吸入が終わったら次の人と交代してもらいます。
点滴の患者さんがいる場合は、看護師が別の部屋で準備をします。突発性難聴やめまいの治療で、数日続けて点滴に通う患者さんもいます。点滴のあいだは、定期的に様子を見に行きます。
10時から11時ごろは、少し流れが落ち着く時間帯です。この間に、聴力検査やアレルギー検査の採血、検査結果の説明の準備などを進めます。
そして11時半から12時ごろ、午前の受付終了が近づくと、もう一度患者さんが増えます。午前中に家事を済ませた人や、昼休みに抜けてきた人が駆け込むからです。
受付の終了時刻は、クリニックによって決まっています。受付を締め切ったあとも、待合室に残っている患者さんの診察が終わるまで診療は続きます。花粉の季節には、12時に受付を締めても、最後の患者さんの会計が終わるのは13時近くになることもあります。
昼休みは長い。けれど、すべてが休憩ではない
耳鼻科クリニックの1日で、他の診療科といちばん違うのが昼休みです。
午前の診療が12時半ごろに終わり、午後の診療が15時ごろから始まる形が多く、昼休みは2時間から2時間半ほどあります。
ただ、この時間がまるごと休憩になるわけではありません。
午前の診療が終わると、まず片付けの時間があります。診察ユニットの清拭、吸引の管の洗浄、ネブライザーの部屋の片付け、使った器具の洗浄と滅菌を進めます。ファイバースコープの消毒の記録も付けます。この片付けに、午前の混み具合によって20分から40分ほどかかります。
受付と医療事務では、午前の会計の確認や、電子カルテの入力内容の確認を行います。月初めは、レセプト(診療報酬の請求書)を作る時期にあたり、昼休みの一部をその作業に使うクリニックもあります。
片付けが終わると、ようやく本当の休憩です。
休憩の過ごし方は、クリニックの場所と、自分の家の距離によってずいぶん変わります。職場の休憩室でお弁当を食べて横になる人、近くのお店に出かける人、家が近くて一度帰る人がいます。求人票の「休憩時間」が長いクリニックでも、休憩室が狭かったり、外に出にくい場所だったりすると、長い昼休みがかえって疲れる、という声を聞くこともあります。
もう1つ、昼休みに仕事が入るクリニックがあります。
日帰り手術を行うクリニックでは、午前と午後の外来の間を手術の時間にあてることがあります。この場合、看護師は昼休みの前半を手術の準備と介助に使い、手術後の患者さんの様子を見守ったあとに、遅めの休憩を取ります。
インフルエンザの予防接種の時期は、昼休みの一部を接種の時間にしているクリニックもあります。医師が往診に出る時間にあてているところもあります。
昼休みに何が入るのかは、求人票だけでは分かりにくいところです。面接や見学のときに、「昼休みはどう過ごされていますか」と聞いてみると、職場の雰囲気まで伝わってきますよ。
午後の診療は、夕方にいちばん大きな波が来る
15時前後に午後の診療が始まります。スタッフは始まる15分ほど前に戻り、機械の状態と、器具の補充を確かめます。
午後の始まりは、比較的ゆるやかです。高齢の方や、未就園の子どもを連れた保護者が中心で、診察も落ち着いて進みます。この時間帯に、午前に回せなかった検査や、聴力の再検査、補聴器の相談などを入れるクリニックもあります。
流れが変わるのは16時を過ぎた頃からです。
学校や保育園が終わった子どもたちが、保護者に連れられてやってきます。耳鼻科は、子どもの鼻水、中耳炎、滲出性中耳炎の経過観察など、定期的に通う子が多い診療科です。17時を過ぎると、今度は仕事を終えた大人が加わります。
こうして、17時から18時ごろに、1日でいちばん大きな波が来ることが多いのです。
待合室は子どもの声でにぎやかになり、受付には次々に患者さんが並びます。子どもの処置の介助が続き、ネブライザーの部屋も満員になります。受付では「あと何人くらいですか」という問い合わせが増えます。
このとき大切になるのが、スタッフ同士の声のかけ合いです。
「吸入、2番空きました」「次の子、処置あります」「会計、先に3人入ります」。短い言葉で状況を伝え合い、手の空いた人が詰まっているところへ入ります。忙しい時間ほど、誰がどこを見ているかを全員で共有できているクリニックは、流れが止まりません。
花粉の季節や冬は、この夕方の波が特に大きくなります。午後の受付を予定より早く締め切ることもあり、その判断を電話で問い合わせてきた患者さんに伝えるのも、受付の大事な仕事になります。
18時半ごろに受付を締め切ったあとも、残っている患者さんの診察、処置、会計が続きます。最後の患者さんが帰るのは、19時前後になることもあります。
終業後は、明日の朝のために片付ける
最後の患者さんを見送ったら、1日の締めの仕事です。
受付と医療事務では、その日の会計を締めます。レジや自動精算機の現金を数え、システム上の金額と合っているかを確かめます。合わないときは、原因が分かるまで確認を続けることになるので、ここは落ち着いて丁寧に進めたいところです。翌日の予約の状況も確認しておきます。
看護師と診療助手は、診察ユニットの清拭、吸引の管の洗浄、ネブライザーの片付け、器具の洗浄と滅菌を進めます。ファイバースコープは最後に洗浄と消毒をして、乾燥させて保管します。消毒液の状態を確かめ、必要なら交換の予定を記録します。
ガーゼ、綿球、薬液、ネブライザーの薬などの補充もこの時間に行います。翌朝の準備を少しでも軽くするためです。
最後に、待合室と診察室の掃除、ごみの片付け、戸締まりをして、1日が終わります。
片付けにかかる時間は、クリニックの規模や混み具合によって20分から30分ほどです。常勤のスタッフが帰れるのは、19時から19時半ごろになることが多いでしょう。
こうして1日を振り返ると、耳鼻科クリニックの常勤は、朝8時半ごろから夜19時過ぎまで職場にいて、実際に働く時間は8時間前後、という形になりやすいことが分かります。
拘束時間は長めです。けれど、長い昼休みがあることで、1日を2つに分けて体を休められる、と感じる人もいます。
1日の中で起きやすい、予定外の出来事
ここまでの流れは、いわば「予定どおりに進んだ日」の姿です。実際の耳鼻科クリニックでは、1日のうちに何度か、予定外の出来事が割り込んできます。どんなことが起きやすいのかを知っておくと、いざというときに慌てずにすみますよ。
まず多いのが、鼻血の患者さんです。
鼻血が止まらずに、ティッシュで押さえながら駆け込んでくる方がいます。高齢で血液をさらさらにする薬を飲んでいる方は、なかなか止まらないこともあります。受付の人はすぐに看護師に伝え、看護師は止血の準備をして、医師の手が空きしだい処置に入れるようにします。順番を待っている他の患者さんには、「急ぎの処置の方を先にお通ししています」と伝えます。
次に、めまいの患者さんです。
ぐるぐる回るような強いめまいで、歩くのもつらい状態で来院する方がいます。吐き気を伴うことも多いので、横になれる場所と、吐いたときのための袋やタオルをすぐに用意します。付き添いの方がいない場合は、帰り道の安全まで気を配る必要があります。
子どもの鼻や耳に、おもちゃのビーズや小さな部品が入ってしまった、という相談も耳鼻科ならではです。
保護者は動揺していることが多いので、受付の人はまず落ち着いて状況を聞き取ります。取り出す処置のときは、子どもが動かないように支える人手がいるので、他の診察との順番を調整します。
機械のトラブルもあります。
診療ユニットの吸引が弱くなる、ネブライザーが1台止まる、電子カルテやレセプトのシステムがつながらなくなる、といったことです。吸引やネブライザーは台数に余裕がないと流れが止まるので、どの機械が止まったときに誰に連絡するのか、紙で受付を続ける手順はどうなっているのかを、クリニックの中で決めておくと安心です。
もう1つ、発熱のある患者さんの対応も、1日の中で何度も発生します。
喉の痛みや咳、熱のある方を、他の患者さんと同じ場所で待たせないように、別の待合スペースや車の中で待ってもらう仕組みを持つクリニックがあります。受付の人は、電話や問診票で発熱を確認したら、案内の場所と順番を伝え、診察室の準備を看護師と調整します。
こうした出来事は、1つひとつは数分で終わります。けれど、忙しい時間帯に重なると、流れ全体に響きます。だからこそ、耳鼻科クリニックでは「予定外のことが起きたら、まず誰に伝えるか」を全員が分かっていることが、何より大切なのです。
土曜日と、半日休診の日の流れ
耳鼻科クリニックの1週間を見ると、平日とは違う流れの日が2つあります。土曜日と、平日の午後を休診にしている日です。
土曜日は、午前だけ診療するクリニックがほとんどです。
学校や仕事が休みの日なので、子ども連れの保護者と、平日に来られない働く世代が一度に集まります。診療時間は半日でも、患者さんの数は平日の1日分に近くなることがあり、耳鼻科の1週間の中で、いちばん密度の高い時間になりやすいのです。
土曜の朝は、平日よりも早く入口に列ができます。受付の終了時刻を過ぎても待合室がいっぱいで、最後の患者さんが帰るのが13時半ごろになることもあります。土曜に出勤するスタッフは、この密度の高い半日を担当することになります。
土曜日に出勤できる人を歓迎する求人が多いのは、このためです。常勤でも「土曜は月に2回」「交代で出る」など決まり方はさまざまなので、面接で回数を確かめておきましょう。
一方で、平日の半日休診の日もあります。
木曜日の午後や水曜日の午後を休診にしている耳鼻科クリニックは多く、常勤のスタッフは、この日の午後が休みになります。日曜と祝日の休みに加えて、平日にもう半日の休みがある、という形です。
半日休診の日は、午前の診療が終わったら片付けをして、そのまま帰ります。平日の半日休みを使って、役所や銀行、子どもの学校の用事、自分の通院を済ませる人も多く、この休み方が合っていると感じるスタッフは少なくありません。
ただし、クリニックによっては、休診の午後に器具の点検や院内の勉強会、スタッフの面談を入れていることもあります。月に何回くらいそうした予定が入るのかも、聞いておくとよいでしょう。
手術のある日は、1日の組み立てが変わる
日帰り手術を行う耳鼻科クリニックでは、手術の日だけ、1日の組み立てが大きく変わります。手術を行わないクリニックで働く場合も、知っておくと職場を比べるときの目安になりますよ。
手術の日の朝は、いつもの立ち上げに加えて、手術の準備があります。
看護師は、手術に使う器具のセットを確認し、手術室の機械の電源を入れ、麻酔や点滴の準備をします。受付では、手術を受ける患者さんの来院時刻と、同意書や術前の検査結果がそろっているかを確認します。
手術は、午前の外来の途中から、あるいは昼休みの時間に行われることが多くあります。
手術のあいだは、看護師のうち1人から2人が手術室に入るので、外来の人手が少なくなります。その間の外来では、診療助手や受付の人が、処置の準備や器具の回収をいつもより多く引き受けることになります。手術のある日は、外来の予約の数をあらかじめ減らしているクリニックもあります。
手術が終わると、患者さんには回復のための部屋でしばらく休んでもらいます。
看護師は、出血がないか、痛みや気分の悪さがないかを定期的に確かめ、帰宅してよい状態になったら、自宅での過ごし方や、出血したときの連絡先を説明します。付き添いの方と一緒に帰るのを見送るまでが、手術の日の仕事です。
手術のあるクリニックは、覚えることが多く、日によって忙しさの形が変わります。その一方で、外来だけでは経験できない仕事に関われるので、手術の介助の経験を活かしたい看護師には向いている職場です。求人票に「日帰り手術」と書かれていたら、手術は週に何回あるのか、そのときの外来の人員はどうしているのかを確かめておきましょう。
季節によって、1日の姿はこんなに変わる
ここまで見てきた1日は、ある程度落ち着いた時期の姿です。耳鼻科クリニックは季節による差が大きいので、忙しい時期と落ち着いた時期を並べてみますね。
| 場面 | 花粉の季節(2月から4月)の1日 | 夏の落ち着いた時期の1日 |
|---|---|---|
| 開院前 | 入口に列ができ、早めに待合室を開ける | 予約の確認と準備で落ち着いて始まる |
| 午前 | 受付から吸入まで途切れず、受付終了後も診察が続く | 始まりと終わりに小さな波が来る程度 |
| 昼休み | 片付けが長引き、休憩が短くなりやすい | 片付けのあとに十分休める。器具の棚卸しや勉強会を入れることも |
| 午後 | 受付を早めに締め切る日がある | 検査や補聴器の相談など、時間をかける診療を入れやすい |
| 終業 | 片付けと補充で帰りが遅くなりやすい | 定時に近い時間に帰れることが多い |
花粉の季節の忙しさは、正直なところ、体にこたえます。1日の患者さんの数が、落ち着いた時期の1.5倍から2倍近くになるクリニックもあるからです。
でも、大丈夫ですよ。この忙しさは、毎年ほぼ同じ時期に来て、同じ時期に終わります。先が見える忙しさなので、クリニックも準備ができますし、働く人も「ここを越えれば落ち着く」と分かったうえで乗り切れます。
冬も、もう1つの山です。子どもの中耳炎や副鼻腔炎、風邪の患者さんが増え、インフルエンザの予防接種の時期と重なると、受付の仕事量が大きく増えます。
一方、夏から秋にかけての落ち着いた時期は、新しく入った人が仕事を覚えるのにちょうどよい期間です。器具の場所、処置の準備の順番、電子カルテの操作を、焦らずに身に付けられます。
職種によって、1日の中で見ている場所が違う
同じ1日でも、職種によって、どこを見て、何を気にかけているかは違います。3つの働き方の1日を、簡単に比べてみましょう。
常勤の看護師は、朝の消毒液と機械の確認から始まり、午前は処置の介助、点滴、検査、午後は子どもの処置と夕方の波への対応、終業時にはファイバースコープの消毒と記録で締めくくります。1日を通して「安全に、清潔に」を守る役割で、特に朝と夜の管理の仕事は、看護師が責任を持つことが多いところです。看護職の年収の水準や経験年数による違いは、看護師の年収・単価相場で年齢別の推移と一緒に確かめられるので、クリニックで働く場合の条件を考える材料になります。
午前だけのパートで働く受付の人は、8時半ごろに入り、開院前の準備、朝の波、午前の受付終了の波を担当して、13時前後に上がります。午前の2つの波をまるごと経験する働き方です。午後の忙しい時間を担当しないぶん、家庭の用事や子どもの迎えと両立しやすい、という傾向があります。
診療助手は、診察室とネブライザーの部屋、器具の洗浄の場所を行き来しながら、1日を通して「流れを止めない」ことに集中します。医療行為は行いませんが、器具の回収が1分遅れるだけで診察が止まる職場なので、1日の歩数はかなり多くなります。
受付や医療事務として働く場合、会計や保険の確認、レセプトの知識は、勤務の中で少しずつ身に付けていくことができます。知識を体系的に整理したいときは、医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)で試験の範囲や受け方が紹介されているので、自分のペースで学ぶ目安にできます。
1日の流れから、自分に合うかどうかを考える
耳鼻科クリニックの1日を追ってきました。最後に、この流れが自分に合いそうかを考えるためのヒントをまとめますね。
まず、長い昼休みをどう感じるかです。1日を2つに分けて休めるのがありがたいと感じる人もいれば、朝から夜まで職場にいるのがつらいと感じる人もいます。家が近いか、昼休みに外に出られるかで、感じ方はずいぶん変わります。
次に、夕方の波との付き合い方です。子どもの声がにぎやかな時間帯に、落ち着いて声をかけ続けられるか。忙しいときに、周りのスタッフと短い言葉で助け合えるか。ここは、耳鼻科で長く働けるかどうかに関わるところです。
そして、決まった手順をきちんと守ることが苦にならないか。器具の洗浄と消毒、会計の締めといった仕事は、毎日同じことを、同じ正確さで繰り返します。
もし、どれか1つでも「少し不安だな」と感じたら、それは悪いことではありません。働く時間帯を午前だけにする、落ち着いた時期に入る、見学で実際の夕方の様子を見せてもらう、といった方法で、負担を小さくすることができます。
1人で考えていると、不安ばかりがふくらむこともありますよね。そんなときは、誰かに話してみるのも1つの方法です。職場・転職・キャリア相談のお仕事では、キャリアの相談に乗る人がどんな話を聞いているのかが紹介されているので、相談することの見当が付きます。
また、医療の現場で身に付けた知識は、クリニックの外でも活かせます。看護師におすすめの在宅ワーク5選|臨床経験を活かす副業【2026年版】には、臨床の経験を在宅で活かせる仕事がまとめられていて、昼休みや午後の空いた時間の使い方を考えるきっかけにもなります。
働く場所を選ぶときに、条件の数字だけでなく、そこで流れている1日の時間を思い浮かべてみる。仲介を挟まずに働き手と職場が直接つながるほど、こうした実態は伝わりやすくなり、双方の納得感も、働く人の手取りの厚さも変わってきます。あなたが無理なく続けられる1日が、きっと見つかりますよ。
よくある質問
Q. 耳鼻科クリニックの常勤は、何時から何時まで働くことが多いですか?
朝8時15分から8時30分ごろに出勤し、夜19時から19時半ごろに帰る形が多く見られます。午前の診療が9時から12時半ごろ、午後が15時から18時半ごろで、間に2時間から2時間半の昼休みがあります。職場にいる時間は長めですが、実際に働く時間は8時間前後になることが一般的です。
Q. 耳鼻科クリニックの昼休みは、本当に休めますか?
片付けが終わったあとは休める職場が多いですが、すべてが休憩になるわけではありません。午前の器具の洗浄や清拭に20分から40分ほどかかり、日帰り手術や予防接種を昼休みに行うクリニックもあります。面接や見学のときに、昼休みの過ごし方と、昼に仕事が入る頻度を聞いておくと安心です。
Q. 耳鼻科クリニックで一番忙しい時間帯はいつですか?
午前の開始直後と受付終了前、そして夕方の17時から18時ごろに波が来ることが多いです。特に夕方は、学校や保育園帰りの子どもと、仕事帰りの大人が重なるため、1日でいちばん混み合います。花粉の季節や冬は、この波がさらに大きくなり、受付を早めに締め切る日もあります。
Q. 耳鼻科クリニックで働き始めるなら、どの時期がよいですか?
夏から秋にかけての落ち着いた時期は、仕事を覚えやすい期間です。器具の場所や処置の準備の順番、電子カルテの操作を焦らずに身に付けてから、2月以降の花粉の季節を迎えられます。繁忙期の真ん中に入ると、覚える前に速さを求められることがあるので、入職の時期も含めて考えるとよいでしょう。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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