院内保育の志望動機をどう書くか|ここを選んだ理由の組み立て方


この記事のポイント
- ✓院内保育の志望動機が書けないのは
- ✓その職場で何が起きているのかが見えていないからです
- ✓施設固有の理由の見つけ方
「院内保育の志望動機が、どうしても書けないんです」
このご相談、本当に多いんです。保育園の志望動機なら書けるのに、院内保育になると手が止まる。園の理念を調べようとしても、ホームページに数行しか載っていない。行事の写真もほとんどない。書く材料がないまま、「少人数の環境で一人ひとりと丁寧に関わりたい」という当たり障りのない文章になってしまう。
大丈夫ですよ。書けないのは、あなたの文章力の問題ではありません。院内保育所は病院の中にある施設なので、外から見える情報がそもそも少ないんです。材料が少ないところから書こうとすれば、誰でも手が止まります。
この記事では、材料の集め方から順番に整理していきます。何を調べれば書けるようになるのか、採用する側が本当に知りたがっていることは何なのか、そして立場別にどう書けばいいのか。最後に文例も載せます。読み終わるころには、自分の言葉で書き出せる状態になっているはずです。
志望動機が書けないのは、志望先の輪郭が見えていないから
まず、なぜ書けないのかをはっきりさせておきましょう。ここが分かると、次に何をすればいいかが見えてきます。
一般の保育園には、外に向けて発信される情報がたくさんあります。保育理念、年間行事、給食の方針、園舎の写真、保護者向けのお知らせ。ホームページを一通り読めば、その園が何を大事にしているかが分かります。志望動機は、そこから一点を選んで、自分の経験と結びつければ形になります。
院内保育所には、それがありません。理由は単純で、外部に向けて園児を募集する必要がないからです。預かるのは病院職員の子どもだけで、入園するのは病院の人事の動きに連動します。だから、外に見せるためのページを作る動機が病院側にないんです。あっても、募集要項の中に数行という規模になります。
もう一つ、そもそも「園の理念」が明文化されていない施設も珍しくありません。定員10名から30名程度の小規模施設が中心で、常勤の保育士が3名から5名という体制です。理念を文章にまとめる余裕がないまま、日々の保育を回している。これは手抜きではなく、人数の問題です。
ということは、理念から書き出そうとする限り、材料は見つかりません。書く出発点を変える必要があります。
出発点になるのは、その施設が「何のために存在しているか」です。院内保育所は、病院で働く職員が育児をしながら働き続けられるようにするために置かれています。看護師の離職理由の上位には、常に育児との両立が入ります。病院にとって院内保育所は、福利厚生であると同時に、人材を確保するための仕組みです。
この一点を押さえると、志望動機の軸が立ちます。あなたが保育をすることで、誰が助かるのか。子どもと保護者だけではありません。その保護者が働き続けられることで、病院の医療体制が保たれます。ここまで見えている人と、「子どもが好きだから」で止まっている人では、書ける内容がまったく違います。
採用する側が知りたいのは、実は3つだけ
志望動機を読む側が何を確かめようとしているかを知っておくと、書くべき内容が絞れます。院内保育所の採用担当が見ているのは、大きく3つです。
1つ目は、院内保育の特性を分かった上で応募しているか。これが最重要です。院内保育所は認可保育所とは仕組みが違います。園児は日によって人数が変わります。0歳から5歳までが同じ部屋で過ごす異年齢保育が基本になります。年齢別のカリキュラムを積み上げる運営ではありません。夜間保育がある施設なら、生活そのものを預かる時間帯があります。
こうした特性を知らずに入って、「思っていたのと違った」と短期間で辞めてしまう。これが採用側の一番の心配です。だから、特性を理解していることが文章から伝わるだけで、印象がかなり変わります。
2つ目は、続けられそうかどうか。少人数の職場なので、1人辞めるとシフトが組めなくなります。採用する側にとって、定着するかどうかは切実な問題です。志望動機に「なぜこの働き方が自分に合っているのか」が入っていると、続ける見通しが伝わります。
3つ目は、保護者と向き合えるか。院内保育所の保護者は、同じ病院で働く医療職です。夜勤明けでへとへとの保護者に、どう声をかけるのか。急な残業で迎えが遅れる保護者に、どんな顔で対応するのか。ここを想像できているかどうかが見られます。
今まで保育士としての勤務歴がある場合、その経験が院内保育園で歓迎されるスキルになる可能性があります。 出典: hoiku-labo.com
経験がある方は、その経験をそのまま書けばいいわけではありません。経験の中から、院内保育の場面で使えるものを選んで書く。ここが大事です。たとえば「延長保育の担当をしていた」という経験は、院内保育では強い材料になります。迎えが遅れる場面が日常的にあるからです。「異年齢のふれあい活動を担当していた」も同じです。異年齢保育が基本になる施設では、直接つながります。
志望動機を組み立てる4つの材料
では、実際に何を材料にして書けばいいのか。4つの引き出しがあります。この4つのうち、2つか3つを組み合わせると、自然な文章になります。
1つ目の引き出しは、働き方への納得です。院内保育所は、一般の保育園とは違う働き方になります。行事が少ない、書類が比較的少ない、保護者の数が限られている、その代わりシフトが不規則になることがある。この違いを、自分がどう受け止めているかを書きます。
ただし、ここで気をつけたいことがあります。「行事が少ないから」「書類が少ないから」を志望動機の中心に置くと、楽をしたいように読まれます。同じ内容でも、「行事の準備に追われるより、日々の関わりに時間を使いたい」と書けば、方向性の話になります。事実は同じで、向いている先が違うだけです。
2つ目の引き出しは、少人数への適性です。定員が小さい施設では、一人ひとりの子どもを深く見られます。これに魅力を感じる人は多く、それは正しい理由です。ただ「一人ひとりと丁寧に関わりたい」だけだと、どこの園でも通用する文章になります。自分の経験の中から、少人数だからこそできたことの具体例を1つ添えてください。それだけで、他の応募者と差がつきます。
3つ目の引き出しは、医療現場への理解です。ご家族に医療職がいる、自分が医療機関で働いた経験がある、家族の入院に付き添った経験がある。こうした接点があれば、書く価値があります。接点がなくても、「医療職の勤務実態を調べた上で応募している」ことが伝われば十分です。
保護者がどういう働き方をしている人たちなのかを、応募前に一度確認しておくことをお勧めします。夜勤を含む交代制で、責任も重い職種です。看護師の年収・単価相場を見ておくと、どういう勤務実態と待遇の中で子どもを預けているのかがつかめます。相手の状況が分かると、志望動機に書く言葉も具体的になります。
4つ目の引き出しは、自分の生活との整合です。転職の理由が生活面にある方は、それを隠さなくて大丈夫です。自宅から近い、通勤経路が変わらない、家族の事情で日勤のみを希望している。こうした事情は、むしろ定着の見通しとして評価されます。ただし、それだけで終わらせず、他の引き出しと組み合わせてください。
その施設に固有の理由を、どうやって見つけるか
志望動機で一番効くのは、その施設でなければ書けない内容です。でも、情報が少ない。ではどこから取るのか。実は、取れる場所は3つあります。
1つ目は求人票です。ここには、思っているより多くの情報が入っています。
定員と現在の在籍児数。書いてあれば、その施設の規模感が分かります。定員30名に対して在籍12名なら、余裕のある運営をしている可能性があります。定員いっぱいなら、日々は忙しいけれど施設としては安定しています。
開所時間。7時台から始まって19時まで開いているなら、病院職員の勤務に合わせた長時間開所です。深夜帯の勤務が並んでいれば、夜間保育を行っています。
職員構成。常勤とパートの内訳が書いてあれば、体制の厚みが見えます。
募集主体。病院名そのものが募集元なら直営、保育事業者の名前が出ていれば委託です。
これらを読み取った上で、「開所時間の長さから、保護者の勤務に合わせて柔軟に対応する体制が求められていると理解しています」と書けば、求人票を読み込んだことが伝わります。これだけで、他の応募者との差は出ます。
2つ目は、病院そのものの情報です。院内保育所のページは薄くても、病院のホームページは充実しています。病床数、診療科、看護部の方針、職員向けの福利厚生の案内。特に看護部のページは読む価値があります。多くの病院が、看護師の働きやすさを打ち出しています。そこに院内保育所への言及があれば、病院が保育所をどう位置づけているかが分かります。
当院には,子どもを持つ職員が安心して働けるよう,院内保育所を設けています。四季折々の行事や発表会など,子どもの成長に沿って工夫をこらした保育を心がけています。 出典: h-osaki.jp
このような文章が載っていれば、それが志望動機の材料になります。行事や発表会に触れているなら、その施設は少人数ながら行事を大事にしています。「子どもの成長に沿って」という言葉があるなら、異年齢保育の中で個々の発達を見る方針が読み取れます。数行でも、書いてあることには意味があります。
3つ目は、見学です。これが最も強い材料になります。見学を断る施設はほとんどないので、応募の前に申し込んでください。見たことを志望動機に書けば、それは他の誰にも書けない内容になります。
見学で見るべきものを挙げておきます。保育室の広さと子どもの密度。保育士同士の声のかけ方。給食が病院の厨房から来るのか、専用の調理室があるのか。園庭の代わりに何を使っているのか。病院本体との距離。この5つは、見れば分かります。
そして、見学の最後に必ず聞いてほしいことがあります。「典型的な1日の流れを教えてください」。この質問には、その施設の実態が全部詰まっています。何時に何人来て、誰が休憩に入り、午睡の間に何をして、夕方の引き渡しをどうさばいているのか。ここを聞けた人と聞かなかった人では、志望動機の密度がまったく違ってきます。
立場別に、どこを軸にすればいいか
同じ院内保育でも、どの立場から応募するかで書くべき軸が変わります。4つの立場に分けて整理します。
保育園から転職する方の場合。一番強い材料は、認可保育所での経験がそのまま使えることです。子どもの発達段階の理解、保護者対応、記録の書き方、感染症への対応。これらは院内保育でも同じように必要です。その上で、なぜ認可保育所ではなく院内保育を選ぶのかを書く必要があります。
ここで正直になっていい部分があります。行事の準備や書類の量に追われて、子どもと向き合う時間が足りないと感じていた。これは多くの保育士が抱える実感で、隠す必要はありません。「保育以外の業務に時間を取られる状況を変えたい」ではなく、「子どもと過ごす時間の割合を増やしたい」と書けば、前向きな表現になります。同じ気持ちを、どちらの向きから書くかの違いです。
新卒の方の場合。経験がないので、実習で感じたことが軸になります。実習先で異年齢の関わりを見た経験、少人数のクラスを担当した経験、保護者対応を見学した経験。どれか1つでも具体的に書けると強くなります。
新卒の方に伝えたいのは、経験がないことを弱点として書かなくていいということです。院内保育所は少人数なので、育てる側も一人ひとりに手をかけられます。前の職場のやり方を持ち込まない人のほうが馴染みやすい、という面もあります。「学ばせていただきたい」よりも、「一人ひとりの様子をよく見て覚えていきたい」のほうが、具体的で伝わります。
ブランクがある方の場合。心配される方が多いのですが、これも書き方次第で十分に伝わります。
ブランクの理由が育児であれば、それ自体が材料になります。自分が子どもを預けて働いた経験がある人は、預ける側の気持ちが分かります。院内保育所の保護者は、まさに預けて働いている人たちです。この一致は、他の応募者にはない強みになります。
ブランク中に何をしていたかも、書ける範囲で触れてください。地域の子育て支援に参加していた、保育に関する本を読んでいた、資格の更新講習を受けた。小さなことで構いません。空白の期間に何もしていなかったわけではない、と伝わればいいんです。
他業種から来る方の場合。無資格でも保育補助として働ける施設があるので、この道は現実的に開かれています。認可外保育施設では、有資格者の割合が必要職員数の3分の1以上であればよいとされる範囲があるためです。
他業種の経験は、意外な形で活きます。接客業なら保護者対応、事務職なら記録や書類、医療機関での勤務経験があるなら病院の仕組みへの理解。自分の経歴の中から、保育の現場で使えるものを1つ選んで結びつけてください。
確かに、院内保育は向き不向きがあるかもね。どんな人が向いているのか知るために、院内保育で働いている人の体験談を紹介するわね。 出典: hoikubatake.jp
向き不向きがあるのは事実です。だからこそ、志望動機の中で「自分は向いている」と言い切るより、「こういう部分が自分に合っていると考えている」と根拠を添えるほうが、読む側には誠実に映ります。
施設の形態によって、書くべき志望動機は変わる
同じ院内保育でも、施設の形によって求められているものが違います。ここを見分けて書き分けられると、通り方が変わります。
まず、直営か委託かです。病院が自分で運営している直営の施設では、保育士も病院の職員として採用されます。給与も福利厚生も病院の規程に紐づきます。この場合、採用する側は「病院の一員として長く働いてくれる人」を探しています。志望動機には、その病院そのものへの関心を入れる余地があります。病院の理念や、地域での役割に触れると、直営ならではの内容になります。
一方、保育事業者に委託している施設では、雇い主は事業者です。事業者は複数の施設を運営していることが多く、系列内での異動や、将来的に園長を目指す道筋があります。この場合は、保育士としてどう成長したいかを書くほうが噛み合います。事業者の保育方針は、事業者のホームページに載っているので、そこから材料を取れます。募集主体の名前を見れば、どちらなのかは分かります。
次に、夜間保育の有無です。深夜帯の勤務時間が求人票に並んでいる施設では、夜勤を担える人かどうかが採用の分かれ目になります。夜勤に入る意思があるなら、それを明確に書いてください。書かれていないと、採用側は「日勤希望なのだろう」と受け取ります。夜勤帯は預かる子どもが少なく、夕食から入浴、寝かしつけまでを担う、生活そのものを支える時間です。この内容を理解していることが伝わると、志望動機の説得力が一段上がります。
逆に、夜勤を引き受けられない事情がある方は、その旨をはっきり書いてください。隠して入職しても、必ずどこかで打診が来ます。最初に伝えておけば、施設側もシフトの組み方を考えられます。書きにくいと感じるかもしれませんが、早く伝えるほど良い結果になります。
3つ目が、定員の規模です。定員50名を超える施設では、年齢別のクラス編成があり、行事も年間計画で組まれます。認可保育所に近い運営なので、認可保育所での経験がそのまま活きます。定員20名以下の施設では、異年齢保育が中心で、その日の登園人数に合わせて動く柔軟さが求められます。同じ「院内保育の志望動機」でも、どちらに応募するかで強調すべき経験が入れ替わります。
求人票から施設の形を読み取って、それに合わせて軸を変える。この一手間があるだけで、「どこにでも出せる文章」から「この施設に出した文章」に変わります。
避けたほうがいい書き方と、その言い換え
書かないほうがいい表現をいくつか挙げておきます。どれも、少し向きを変えるだけで使える表現になります。
「子どもが好きだから」だけで終わる。これは、保育士を志望する人全員に当てはまるので、選ぶ理由になっていません。好きという気持ちは前提として、その先を書いてください。何をしているときに手応えを感じるのか。どんな場面が記憶に残っているのか。
「アットホームな雰囲気に惹かれた」。求人票にこの言葉があると、つい使いたくなります。でも、少人数というのは人員に余裕がないという意味でもあります。雰囲気に惹かれたと書くと、実態を知らずに応募していると読まれる可能性があります。「少人数の体制で、一人ひとりの様子を継続して見られる点に惹かれた」と具体化してください。
「残業が少ないから」「行事が少ないから」。事実として正しくても、これを中心に置くと続かないと見られます。同じ内容を、「日々の保育に集中できる環境で働きたい」と書き換えます。
「福利厚生が充実しているから」。院内保育所は病院の福利厚生施設ですが、働く側の待遇が特別良いわけではありません。認可外保育施設には処遇改善等加算が原則として入らないため、給与水準は認可保育所より低めに出ることもあります。待遇を理由にすると、事実確認をしていないと思われかねません。
「自分を成長させたい」。悪くはないのですが、主語が自分だけになっています。保育は相手がいる仕事なので、誰のために何をするのかが入っていないと、印象が薄くなります。
「病院のためにお役に立ちたい」。これは逆に主語が大きすぎます。あなたが向き合うのは、目の前の子どもと保護者です。そこを飛ばして病院全体の話にすると、具体性が消えます。
こうして並べると、共通する失敗の形が見えてきます。抽象的すぎるか、自分の都合だけを書いているか、実態を調べていないか。この3つです。逆に言えば、具体的で、相手のことが入っていて、調べた形跡があれば、それで通ります。
そのまま使える文例と、組み立ての手順
文例を3つ載せます。ただし、そのまま書き写すのではなく、構造だけを参考にしてください。自分の言葉に置き換えたときに初めて、読む側に届きます。
保育園から転職する方の例。
「前職では2歳児クラスを担当し、延長保育の時間帯も受け持っていました。お迎えが遅くなる保護者の方に、その日の様子をどう伝えれば安心してもらえるかを考え続けた3年間でした。院内保育は、勤務の都合でお迎えの時間が読めない保護者の方が多い環境だと理解しています。見学の際に伺った1日の流れの中でも、夕方の引き渡しが柔軟に行われていることが印象に残りました。これまで延長保育で積み重ねてきた関わり方を、この環境で活かしたいと考えています」
新卒の方の例。
「実習で、0歳児から5歳児までが一緒に過ごす時間を見学しました。年上の子が年下の子に自然に手を貸す場面が何度もあり、年齢で区切らない環境だからこそ育つものがあると感じました。貴施設は異年齢での保育が基本と伺っています。一人ひとりの発達の違いを丁寧に見ながら、子ども同士の関わりを支えられる保育士になりたいと考えています。まずは子どもの名前と様子を早く覚え、日々の小さな変化に気づけるようになりたいです」
ブランクから復帰する方の例。
「出産を機に一度現場を離れ、5年間子育てに専念してきました。自分が子どもを預けて働いた経験を通じて、朝の受け入れのときにかけてもらう一言がどれほど支えになるかを知りました。院内保育所を利用されるのは、交代制の勤務で働く医療職の方々だと理解しています。慌ただしい朝でも、安心して預けて仕事に向かっていただけるような受け入れをしたいと考えています。ブランクの間も地域の子育て支援の集まりに参加し、子どもと関わる機会は持ち続けてきました」
3つとも、同じ組み立て方をしています。自分の経験を具体的に1つ書く。それが院内保育のどの場面とつながるかを書く。その施設について調べた事実か、見学で見たことを1つ入れる。最後に、入ってから何をしたいかを書く。この4段構成です。
書き出せないときは、この順番で箇条書きにしてみてください。文章にするのは最後で構いません。材料が並べば、つなぐのは難しくありません。
書く前に、自分の条件を整理しておく
最後に、志望動機を書く前にやっておいてほしいことがあります。自分の条件を、紙に書き出して整理することです。
夜勤を引き受けられるか。ここが一番大きな分かれ目です。病院は24時間動いているので、夜間保育を行っている施設があります。日勤専従として採用されても、施設が夜間を開けている限り、いずれ打診が来ます。夜勤を避けたいなら、夜間保育を行っていない施設を選ぶのが確実です。
通勤時間はどれくらいまで許容できるか。早番が7時台に始まる施設だと、自宅からの距離が生活を左右します。
給与の下限はどこか。院内保育所の給与水準には幅があります。正社員で月給18万円台から27万円台、パートで時給1,100円台から1,350円程度という範囲が一つの目安です。地域差と運営形態の差の両方が含まれています。提示された条件が相場のどのあたりなのかを知っておくと、判断しやすくなります。保育士の年収・単価相場で雇用形態別のレンジを確認しておくと、基準が持てます。
こうした条件がはっきりすると、志望動機も書きやすくなります。なぜなら、条件に合う施設だけを選んで応募することになるからです。合わない施設に無理やり理由をひねり出そうとするから、書けなくなるんです。
自分の経験をどう言葉にすればいいか分からないときは、第三者に話してみるのも有効です。話しているうちに、自分でも気づいていなかった軸が出てくることがよくあります。キャリアの相談を専門にしている人に頼るという選択肢もあります。職場・転職・キャリア相談のお仕事では、そうした相談業務がどういう内容で成り立っているのかが説明されています。国家資格として体系化されたものもあるので、キャリアコンサルタントの要件を見ておくと、誰に相談すればいいのかの目安になります。
働き方の市場を長く見てきた立場から、ひとつ観察を書いておきます。運営者として見てきた限りでは、長く続く人ほど、自分が何を提供できるかより先に、相手が何に困っているかを考えています。院内保育でいえば、夜勤明けの保護者が朝に何を一番ありがたく感じるか。その想像が先に立っている人は、志望動機も自然と具体的になります。逆に、自分の希望だけを並べた文章は、どれだけ丁寧に書いても薄く見えます。間に何層も人が挟まる働き方より、相手と直接向き合える距離にいる働き方のほうが、この想像力は早く育ちます。院内保育所は、保護者の顔と勤務シフトを全部覚えられる距離にある職場です。
志望動機が書けないと悩んでいる時点で、あなたは真面目にこの仕事と向き合っています。あとは材料を集めるだけです。求人票を読み直して、病院のページを開いて、見学を申し込む。それだけで、書けることは必ず出てきます。あなたは一人じゃありません。
よくある質問
Q. 院内保育の志望動機が書けないのはなぜですか?
院内保育所は外部に園児を募集する必要がないため、理念や行事といった外向けの情報がほとんど公開されていないからです。理念から書き出そうとすると材料が見つかりません。求人票の定員や開所時間、病院の看護部のページ、そして見学で見た事実を材料にすると書き出せます。
Q. 採用する側は志望動機の何を見ていますか?
主に3点です。院内保育の特性を理解した上で応募しているか、少人数の職場で続けられそうか、医療職である保護者と向き合えるか。特に1つ目が重視されます。日によって園児数が変わること、異年齢保育が基本になることを踏まえて書かれていると印象が変わります。
Q. ブランクがあっても院内保育に応募できますか?
できます。育児によるブランクはむしろ材料になります。自分が子どもを預けて働いた経験は、預ける側の気持ちが分かるという強みになり、院内保育所の保護者はまさに預けて働く人たちだからです。ブランク中に子育て支援に参加していたなど、小さな取り組みも書き添えてください。
Q. 「アットホームな雰囲気に惹かれた」と書いてもいいですか?
避けたほうが無難です。少人数は人員に余裕がないという意味でもあるため、実態を知らずに応募していると読まれる可能性があります。「少人数の体制で、一人ひとりの様子を継続して見られる点に惹かれた」のように、何が良いのかを具体化した表現に置き換えてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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