放課後等デイサービスへ転職するという選択|前の職場との落差と、決め手


この記事のポイント
- ✓放課後等デイサービスへの転職を考える人向けに
- ✓保育園・学童・介護・学校から移ったときに感じやすい落差を整理しました
- ✓午後から本番になる1日の流れ
放課後等デイサービスへの転職を考えているなら、結論から言います。 この職場は「子どもが好き」だけで選ぶと、かなりの確率で落差に驚きます。 ただし、落差の中身を先に知っておけば、自分に合う事業所を見分けるのは難しくありません。
放課後等デイサービス(以下、放デイ)の求人は、保育士、児童指導員、介護職、元教員と、幅広い経歴の人を対象に出されています。 それだけ入口が広い職場ですが、裏を返すと、前の職場の常識をそのまま持ち込んでつまずく人も多いということです。
この記事では、放デイという職場の中で何が起きているのかを、1日の流れ、人の配置、前職ごとの落差、そして事業所を選ぶ決め手の順に整理します。 求人票のどの行を見れば実態が分かるかも、具体的に書いていきます。
放課後等デイサービスの1日は「午後から本番」
まず押さえておきたいのは、放デイの時間の流れが、保育園や介護施設とはまったく違うという点です。
放デイは、障害のある小学生から高校生までが、学校の授業が終わったあとや、土曜日、夏休みなどの長期休暇に通う福祉サービスです。 つまり、子どもが来るのは基本的に午後です。
平日のよくある流れ
事業所によって違いはありますが、平日はおおむね次のように動きます。
・10時ごろ 出勤、前日の記録の確認、活動の準備 ・11時から13時 個別支援計画の見直し、保護者への連絡、教材づくり ・13時から14時 昼休憩 ・14時30分ごろ 学校へお迎えの送迎(複数の学校を回る) ・15時30分ごろ 到着、おやつ、宿題、個別の課題 ・16時30分ごろ 集団での活動(運動、制作、買い物の練習など) ・17時30分ごろ 帰りの会、自宅への送迎 ・18時30分から19時 記録、ミーティング、片付け
子どもが事業所にいるのは、実質2時間から3時間ほどです。 その短い時間に、送迎、おやつ、宿題、活動、帰りの支度が詰まっています。
午前中は子どもがいないので、ゆったりした職場に見えるかもしれません。 実際は、記録や計画の見直し、保護者との連絡、活動の準備にあてる時間で、この時間の使い方が事業所の質を大きく左右します。
土曜日と長期休暇は別の職場になる
土曜日や夏休み、冬休みは、子どもが朝から来ます。 9時ごろから17時ごろまで、平日の3倍近い時間を子どもと過ごすことになります。
外出の活動を入れる事業所も多く、公園、プール、公共交通機関を使った移動の練習など、職員の目配りが一気に増えます。 長期休暇の期間は、平日と同じ人数ではとても回らないため、パート職員を増やしたり、シフトを組み直したりして対応しています。
求人票に「土曜出勤あり」「長期休暇はシフト変動あり」と書かれていたら、それはこの負荷の話です。 正直なところ、ここを軽く見て入職し、夏休み明けに辞めてしまう人は珍しくありません。
人員配置から見える、職員1人あたりの負荷
放デイの働き方を理解するうえで、人員配置の基準は避けて通れません。
基準は「子ども10人に職員2人以上」
放デイでは、利用定員10人までの場合、児童指導員または保育士を2人以上配置し、そのうち1人以上は常勤である必要があります。 加えて、個別支援計画の作成を担う児童発達支援管理責任者を1人置くことになっています。
定員10人の事業所が多いのは、この基準と報酬の仕組みが関係しています。 基準ぎりぎりの2人体制だと、送迎に1人が出ている間、事業所に残る職員は1人になります。 実際には加算を取るために3人から4人を配置している事業所が多いものの、基準だけを満たす事業所が存在するのも事実です。
送迎の時間帯が一番手薄になる
放デイで事故やヒヤリハットが起きやすいのは、送迎の時間帯です。 お迎えに職員が出払い、事業所には先に着いた子どもと少人数の職員だけ、という状況が生まれるからです。
面接や見学では、「お迎えの時間帯、事業所には何人残っていますか」と聞いてみてください。 この質問に具体的な人数で答えられる事業所は、配置をきちんと考えています。 あいまいな答えが返ってきたら、その時間帯の負荷は職員個人に寄っていると考えたほうがよいです。
児童発達支援管理責任者との距離
もう1つ見ておきたいのが、児童発達支援管理責任者(児発管)が現場にどれくらいいるかです。 児発管は個別支援計画を作り、保護者と面談し、支援の方向性を決める役割を持っています。
複数の事業所を運営する法人では、児発管が掛け持ちに近い形で動いていることもあります。 その場合、現場の職員が「この子への関わり方、これで合っているのか」と迷ったときに相談できる相手が近くにいません。 転職先を選ぶときは、児発管が常駐しているか、ミーティングに参加しているかを確認しておくと安心です。
送迎と保護者対応、放デイにしかない仕事
放デイの仕事を「子どもの支援」だけだと思って入ると、送迎と保護者対応の比重に驚きます。 この2つは、保育園にも学校にも介護施設にも、同じ形では存在しない仕事です。
送迎は「移動」ではなく支援の一部
放デイの送迎は、学校から事業所へ、事業所から自宅へと、1日に少なくとも2回あります。 複数の特別支援学校や小学校の特別支援学級を回る事業所では、お迎えだけで1時間近くかかることもあります。
送迎車の中は、職員の目が届きにくい空間です。 隣の子とのトラブル、シートベルトを外してしまう、窓を開けようとする。 運転する職員とは別に添乗の職員が乗るのが基本ですが、人手が足りない日は運転手1人で回すこともあり、これは事業所の姿勢が一番表に出るところです。
また、学校で先生から「今日は午後から少し不安定でした」と引き継ぎを受けるのも送迎の職員です。 この一言を事業所に持ち帰って共有できるかどうかで、その日の関わり方が変わります。 送迎は運転の技術だけでなく、情報を運ぶ役割も担っています。
保護者との距離が近い
保育園でも保護者対応はありますが、放デイでは距離感がさらに近くなります。 自宅まで送り届けるので、玄関先で毎日のように保護者と顔を合わせます。 その場で「最近、家で荒れていて」「学校でこんなことがあったみたいで」と相談を受けることも珍しくありません。
加えて、放デイは保護者が事業所を選んで契約するサービスです。 複数の事業所を曜日ごとに使い分けている家庭も多く、保護者はほかの事業所と比べながら通わせています。 支援の方針に納得してもらえなければ、利用日数が減ったり、別の事業所に移ったりすることもあります。
そのため、連絡帳や記録には、その日の様子を具体的に書くことが求められます。 「楽しく過ごしました」ではなく、「集団遊びの途中で抜けたが、声をかけると5分後に自分から戻ってきた」のように、個別支援計画の目標とつながる書き方です。 前職で記録を簡潔に済ませてきた人ほど、ここに時間がかかります。
面接で見ておきたいポイント
送迎と保護者対応の負担は、求人票にはほとんど書かれません。 面接では「送迎は1日に何ルートありますか」「保護者からの相談は、現場の職員と児発管のどちらが受けていますか」と聞いてみてください。 現場の職員が1人で抱え込まない仕組みがあるかどうかが、長く働けるかの分かれ目になります。
前の職場ごとに感じる落差
ここからが本題です。 放デイへの転職で感じる落差は、前の職場によって中身が違います。
保育園から移る場合
保育士から放デイに移る人は多く、資格もそのまま人員配置に数えられます。 ただし、落差ははっきりあります。
1つ目は、対象年齢です。 保育園では未就学児が中心ですが、放デイでは小学1年生から高校3年生までが同じ空間にいます。 高校生の体格は大人とほとんど変わらず、感情が高ぶったときの対応は、乳幼児への関わりとは別の技術が必要です。
2つ目は、時間帯です。 保育園は朝が忙しく、夕方は延長保育で落ち着いていく流れですが、放デイは午後から一気に忙しくなります。 朝型の生活に慣れている人ほど、最初の数か月は疲れを感じやすいです。
3つ目は、行事の少なさです。 運動会や発表会の準備に追われる働き方から離れたい人にとっては、これは大きな利点になります。
学童保育から移る場合
学童保育の経験者は、放課後の時間の流れにはすぐ馴染めます。 落差を感じやすいのは、「一人ひとりの支援計画に沿って関わる」という点です。
学童では、子どもが安全に楽しく過ごせるように見守ることが中心です。 放デイでは、個別支援計画に書かれた目標(たとえば「順番を待てるようになる」「困ったときに言葉で伝えられる」)を意識しながら、活動の中で関わり方を工夫します。 記録もその目標に沿って書くため、見守った内容を言葉にする作業が増えます。
介護職から移る場合
介護職から放デイに移る人は、身体介助の負担が減ることを理由に挙げることが多いです。 実際、重症心身障害児を受け入れる事業所を除けば、入浴や排泄の全面的な介助はそれほど多くありません。
代わりに増えるのが、行動面への対応です。 急に走り出す、大きな声を出す、他の子とトラブルになる。 こうした場面で、叱るのではなく、原因を探して環境を調整する考え方が求められます。 高齢者介護で「なぜこの行動が出るのか」を考えてきた経験は、ここで活きます。
学校の教員から移る場合
元教員の人は、授業や学習支援の力を高く評価されます。 一方で、学校とは違い、放デイは子どもが「来たいから来る」場所です。 課題をやらせる関わり方が強すぎると、子どもが通うのを嫌がることもあります。
また、学校では組織が大きく、役割分担が明確でしたが、放デイは少人数です。 送迎の運転、おやつの準備、掃除、保護者への連絡まで、全員で分担します。 「授業に集中したい」という気持ちで入ると、雑務の多さに驚くはずです。
資格の有無で、任される範囲と待遇が変わる
放デイは「無資格・未経験歓迎」の求人が多い職場です。 ただし、資格があるかないかで、事業所の中での位置づけははっきり変わります。
人員配置に数えられる資格
先ほど触れた人員配置の基準で数えられるのは、児童指導員と保育士です。 児童指導員は、国家資格ではなく「任用資格」と呼ばれるもので、次のような条件のどれかを満たすと名乗れます。
・大学や大学院で、社会福祉学、心理学、教育学、社会学のいずれかを専攻して卒業した ・小学校、中学校、高校などの教員免許を持っている ・社会福祉士、精神保健福祉士の資格を持っている ・高校卒業後、児童福祉事業で2年以上の実務経験がある ・学歴を問わず、児童福祉事業で3年以上の実務経験がある
これ、自分では気づいていない人が意外と多い条件です。 教員免許を持っている人や、大学で心理学を学んだ人は、それだけで児童指導員として配置に数えられる可能性があります。 応募する前に、自分の卒業証明書や免許状を確認しておくと、条件交渉の材料になります。
無資格で入った場合に任される範囲
以前は、障害福祉サービスの経験者も配置の人数に数えることができました。 しかし、令和3年度の報酬改定でこの枠がなくなり、配置基準に数えられるのは児童指導員と保育士に絞られました。 その結果、無資格の職員は「指導員」や「支援員」として、配置の人数とは別枠で採用されることが多くなっています。
無資格の場合、子どもと関わる仕事そのものは大きく変わりません。 違いが出るのは、時給や基本給、資格手当、そして個別支援計画の会議でどこまで意見を求められるかです。 また、無資格のまま実務経験を積めば、2年または3年で児童指導員の任用資格に届くので、放デイは「働きながら資格の条件を満たせる職場」でもあります。
保育士が評価される場面と、評価されにくい場面
保育士は、未就学の子が通う児童発達支援を併設している事業所では特に重宝されます。 一方で、中高生が中心の事業所では、保育の経験だけでは対応の引き出しが足りないと感じる場面も出てきます。 求人票で「対象年齢」を確認し、未就学児から小学校低学年が多い事業所を選ぶと、保育士としての経験をそのまま活かしやすくなります。
運営母体と事業所のタイプで、職場の空気は別物になる
同じ「放課後等デイサービス」という名前でも、中身は事業所ごとに大きく違います。 転職で失敗しないためには、運営している法人の種類と、事業所のタイプを分けて見ることが欠かせません。
運営母体の違い
放デイは、株式会社や合同会社などの営利法人、社会福祉法人、NPO法人など、さまざまな法人が運営しています。 それぞれに傾向があります。
・株式会社の多店舗展開型は、マニュアルや研修が整っていて、未経験でも仕事の流れを覚えやすい傾向があります。一方で、利用人数や加算の取得といった数字の管理が現場に求められることもあります。 ・社会福祉法人は、児童養護施設や障害者支援施設などを併せて運営していることが多く、法人内での異動や、福祉の他分野への経験の広げ方があります。給与表や退職金の制度が整っている場合が多い点も特徴です。 ・NPO法人や小規模な合同会社は、保護者や元教員が立ち上げたケースもあり、理念がはっきりしている分、代表者の考え方がそのまま職場の空気になります。
どれがよいという話ではありません。 「仕組みの中で働きたいか」「理念に共感して一緒に作りたいか」で、合う法人が変わるということです。
事業所のタイプの違い
支援の中身でも、事業所はいくつかのタイプに分かれます。
・余暇や遊びを中心にする事業所 ・学習支援に力を入れる事業所 ・運動療育や感覚統合の活動を軸にする事業所 ・ソーシャルスキルや生活の自立を練習する事業所 ・医療的ケアが必要な子どもや重症心身障害児を受け入れる事業所
重症心身障害児を受け入れる事業所では、看護師の配置が必要になり、たんの吸引や経管栄養などに関わる場面もあります。 介護職の経験がある人には身体介助の経験が活きますが、「身体介助から離れたい」と考えて転職する人には合いません。 求人票の「対象児童」「主な活動内容」の行は、給与の行と同じくらい丁寧に読んでください。
給与の水準と、年収が伸びにくい構造
転職の判断で避けられないのが、給与の話です。 ここは率直に書きます。放デイの給与水準は、決して高くありません。
福祉業界全般に言える話ですが、『給与が少ない』『賞与がない』など、報酬面で辞めたいと感じる方も多いです。平成29年の『障害福祉サービス等経営実態調査結果』によると、放課後等デイサービスに配置されている常勤の児童指導員の平均年収は259万円、保育士の平均年収は272万円と、日本全体の平均年収(436万円〉を大きく下回っています。 出典: succeed-jinzai.jp
この調査は少し前のものですが、その後の処遇改善の加算を踏まえても、大きく構造が変わったわけではありません。 放デイの収入は、国が定める報酬が中心で、事業所が自由に料金を上げることはできないからです。
年収が伸びにくい理由
年収が伸びにくい理由は、主に3つあります。
・定員10人規模の事業所が多く、1事業所あたりの売上に上限がある ・子どもが来る時間が短く、1日の稼働時間が限られる ・役職の数が少なく、昇進のルートが児発管か管理者に限られる
逆に言えば、年収を上げるルートは見えやすい職場でもあります。 児童発達支援管理責任者になるには、実務経験と研修の修了が必要ですが、この役職に就くと手当が付く事業所がほとんどです。 また、複数の事業所を運営する法人では、エリアの管理者を目指す道もあります。
保育士の資格を持っている場合、保育園に残った場合との比較もしておきましょう。 保育士の年収の目安や地域による差は、保育士の年収・単価相場のページで職種全体の相場と一緒に確認できます。 放デイの求人と並べて見ると、提示された条件が相場のどのあたりにあるのかが分かります。
介護職から移る場合も同じです。 介護職員の年収・単価相場には、介護職員としての年収や時給の相場がまとまっているので、今の条件と転職先の条件を同じ物差しで比べられます。
求人票で見るべき行と、見学で聞くべき質問
放デイの求人票は、どこも似た文言が並びがちです。 「子どもの笑顔に囲まれた職場」「アットホーム」といった言葉からは、実態はほとんど分かりません。
求人票で必ず確認する行
・定員と、1日の平均利用人数 ・療育の方針(運動、学習、生活スキル、余暇活動のどれに重きを置いているか) ・受け入れている障害の種類や程度(重症心身障害児に対応しているか) ・送迎の担当と、運転の有無(運転が必須か、送迎専任のスタッフがいるか) ・勤務時間と、土曜日や長期休暇のシフト ・記録の方法(紙か、タブレットなどの記録システムか) ・研修の内容(入職時の研修があるか、外部研修の費用補助があるか)
とくに「療育の方針」は重要です。 放デイには、遊びや余暇を中心にした事業所もあれば、運動療育や学習支援に特化した事業所もあります。 自分の経験が活きる方向と、事業所の方針がずれていると、どれだけ条件がよくても長続きしません。
見学で聞いておきたい質問
見学ができるなら、次の質問をしてみてください。
・お迎えの時間帯に、事業所に残る職員は何人ですか ・記録にかかる時間は、1日どれくらいですか ・子ども同士のトラブルが起きたとき、どう対応していますか ・保護者との面談は、誰がどれくらいの頻度で行っていますか ・この1年で、職員は何人入れ替わりましたか
最後の質問は聞きにくいかもしれません。 でも、入れ替わりが激しい事業所ほど、残った職員に負荷が集中しています。 答えにくそうにされたら、それ自体が1つの答えです。
実際に取材して気づいた、合う人と合わない人の違い
私は以前、福祉や教育の事業所を見学させてもらう機会が何度かありました。 放デイを初めて訪ねたとき、午前中に伺ったら、職員の方が静かにパソコンに向かっていて、子どもは1人もいませんでした。 「今日は利用が少ない日なのかな」と思ったのですが、実際は午後に向けた記録と準備の時間でした。 午後に改めて伺うと、同じ場所とは思えないほど賑やかで、職員の方は送迎と対応で一度も座っていませんでした。
このとき気づいたのは、放デイの仕事は「子どもと遊ぶ時間」と「それを支える準備の時間」がくっきり分かれているということです。 どちらか片方しか見ていないと、職場の姿を見誤ります。
合いやすい人
・短い時間で状況を判断し、切り替えるのが得意な人 ・子どもの行動を「困った行動」ではなく「理由のある行動」として見られる人 ・記録や計画づくりを、支援の一部として前向きに捉えられる人 ・保護者と話すことに抵抗がない人
合いにくい人
・朝から夕方までの規則正しい勤務時間を最優先したい人 ・決まった手順どおりに進める仕事を好む人 ・運転に強い不安がある人(送迎を担当しない求人を選ぶ必要があります)
合いにくい側に当てはまっても、事業所の選び方で解決できることは多いです。 送迎専任のスタッフがいる事業所、午前中に児童発達支援を併設していて朝から勤務が組める事業所など、働き方の幅は意外と広くあります。
転職活動の進め方と、面接でよく聞かれること
放デイの求人は通年で出ていますが、動きやすい時期と、入職後に楽になる時期があります。
入職の時期は「長期休暇の前」を避ける
放デイで一番負荷が高いのは、夏休みと冬休み、春休みです。 その直前に入職すると、仕事の流れを覚える前に、朝から夕方までの長時間シフトに入ることになります。
おすすめなのは、長期休暇が明けた9月や1月、または新学期が落ち着く5月前後の入職です。 平日の午後だけの流れで子どもの特徴と事業所のやり方を覚え、そのあとで長期休暇を迎えるほうが、無理がありません。 逆に3月末の入職は、新しく通い始める子どもが増える時期と重なるため、慣れるまでの負担が大きくなりがちです。
面接でよく聞かれること
放デイの面接では、次のような質問がよく出ます。
・なぜ前の職場ではなく、放課後等デイサービスを選んだのか ・障害のある子どもと関わった経験はあるか ・子どもが急に大きな声を出したとき、どう対応するか ・運転はできるか、送迎を担当できるか ・土曜日や長期休暇の勤務に入れるか
特に「子どもが急に大きな声を出したとき」のような場面の質問は、正解を探すより、自分の考え方を順序立てて話すことが大切です。 「まず周りの子の安全を確保する」「そのあと、何がきっかけだったかを探す」「落ち着いてから本人と話す」のように、関わりの順番を言葉にできると、経験の有無にかかわらず評価されやすくなります。
見学と体験勤務を必ず入れる
放デイは事業所ごとの差が大きいので、見学をせずに決めるのはおすすめしません。 可能であれば、子どもが来ている午後の時間帯に見学させてもらってください。 午前中だけの見学では、先ほど書いたように、職場の半分しか見えません。
体験勤務や短時間の実習を受け入れている事業所もあります。 実際に送迎車に同乗し、おやつから帰りの会までを一緒に過ごすと、自分がその流れに乗れるかどうかが体でわかります。
転職を決める前に整理しておきたいこと
最後に、転職を決める前に自分の中で整理しておきたいことを挙げておきます。
前の職場を離れる理由を言葉にする
放デイへの転職理由として多いのは、「保育園の行事が負担」「介護の身体介助がつらい」「学校の働き方に疲れた」といったものです。 理由自体は正当です。 ただ、それが放デイで解決するのか、別の形で同じ問題が起きるのかは、分けて考える必要があります。
たとえば、人間関係が理由で辞めたいなら、職員が少ない放デイでは、関係の良し悪しが働きやすさに直結します。 少人数の職場は、合えば居心地がよく、合わなければ逃げ場がありません。
数年後にどうなっていたいかを決める
放デイで数年働いたあとの道は、大きく3つです。
・児童発達支援管理責任者として、計画づくりと保護者支援の中心に立つ ・保育や教育の現場に戻り、発達支援の経験を活かす ・相談の仕事へ広げ、子どもや家族、働く大人のキャリアの悩みに関わる
3つ目の道を考える人は、キャリアの相談に関わる資格を調べておくと方向性が見えやすくなります。 職場や転職の悩みを聞く仕事がどのように依頼されているかは、職場・転職・キャリア相談のお仕事に仕事内容の傾向がまとまっています。
運営者の立場から見た、長く働ける職場の条件
フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から、1つだけ付け加えます。
働き方の相談を長く見てきて感じるのは、続く人と続かない人の差は、仕事内容よりも「自分の時間の使い方を自分で説明できるか」にあるということです。 放デイの仕事で言えば、午前中の準備の時間を、単なる待ち時間ではなく支援の質を上げる時間として使える人ほど長く続いています。
もう1つは、お金の流れの話です。 放デイの報酬は国が定めていて、事業所の努力だけでは大きく変わりません。 それでも、本部の管理費や外部への委託費が重なるほど、現場の職員に回る額は薄くなります。 在宅ワークの世界で手数料0%の直接取引を続けてきたのは、間に入る取り分が少ないほど、同じ予算で受け手の手取りが厚くなり、発注する側も受ける側も長く続くと見てきたからです。 転職先を選ぶときも、「その法人のお金が、どれくらい現場に届いているか」という視点を持っておくと、条件の見え方が変わります。
放デイへの転職は、合う人にとっては、子どもの成長を間近で見られる手応えのある選択です。 落差を知ったうえで選べば、それは「思っていたのと違う」ではなく、「分かっていて選んだ職場」になります。
よくある質問
Q. 放課後等デイサービスへの転職に資格は必要ですか?
必須ではありません。保育士や児童指導員の任用資格があれば人員配置に数えられるため採用で有利ですが、無資格で指導員として働ける求人もあります。児童指導員の任用資格は、大学で社会福祉学や心理学、教育学を専攻した場合や、児童福祉事業での実務経験を積んだ場合などに得られるので、自分が該当するか確認してみてください。
Q. 放課後等デイサービスの勤務時間は何時から何時までが一般的ですか?
平日は10時ごろから19時ごろまでの勤務が多く、子どもが来る午後から夕方に忙しさが集中します。土曜日や夏休みなどの長期休暇は、朝9時ごろから子どもが来るため、勤務時間が前にずれます。求人票ではシフトの例と、土曜出勤や長期休暇の勤務の扱いを必ず確認してください。
Q. 保育園から放課後等デイサービスに転職すると給料は下がりますか?
事業所によりますが、同じ地域の保育園と比べて大きな差が出ないことが多く、下がる場合も上がる場合もあります。放デイは報酬が国の基準で決まるため伸びにくい一方、児童発達支援管理責任者になると手当が付くことが一般的です。基本給、処遇改善の手当、賞与の有無を分けて比べるのが確実です。
Q. 運転が苦手でも放課後等デイサービスで働けますか?
働けます。送迎専任のドライバーを雇っている事業所や、職員が添乗だけを担当する事業所もあります。ただし、少人数の事業所では職員全員が運転を分担することが多いため、求人票の「普通自動車免許必須」の記載と、面接で送迎の担当体制を確認しておくことが大切です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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