放課後等デイサービスで派遣として働く|直接雇われる場合との差と、合う場面

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
放課後等デイサービスで派遣として働く|直接雇われる場合との差と、合う場面

この記事のポイント

  • ✓放課後等デイサービスで派遣として働くと
  • ✓任される仕事は直接雇用とどう変わるのか
  • ✓午後に人手が集中する1日の流れ

放課後等デイサービスで派遣として働くのは、ありか、なしか。結論から言うと、「保育士や児童指導員の資格があり、決まった曜日と時間だけ働きたい人」には合理的な選択肢です。一方で、「1人の子どもの成長に長く関わりたい人」や「いずれ児童発達支援管理責任者を目指したい人」には、直接雇用のほうが遠回りになりにくい傾向があります。

放課後等デイサービスの派遣求人は、ここ数年で目に見えて増えました。求人サイトで検索すると、保育士、児童指導員、送迎と見守りのスタッフといった職種が、時給1,500円前後から並んでいます。ただ、時給の高さだけで決めると、入ってから「思っていた働き方と違う」となりやすい職場でもあります。放課後等デイサービスは、1日の中で忙しさの山がはっきりしていて、少人数で子どもを見るため、1人ひとりの立ち位置が仕事の中身を大きく左右するからです。

この記事では、放課後等デイサービスという職場の中で何が起きているのかを整理したうえで、派遣として入った場合に任される範囲、直接雇われる場合との違い、求人票のどこを見れば実態が分かるのかを順番にまとめます。

放課後等デイサービスで派遣の求人が増えている理由

まず、なぜ放課後等デイサービスで派遣の求人がこれほど目立つのか。背景には、この職場ならではの事情が3つあります。

事業所の数が増え、資格者の取り合いになっている

放課後等デイサービスは、児童福祉法にもとづく障害児通所支援の1つです。障害のある小学生から高校生までが、学校の授業が終わったあとや長期休暇中に通い、生活能力の向上や社会との交流の機会を得るための場所です。2012年の制度開始以降、事業所の数は大きく増え、全国で2万か所を超える規模になっています。

事業所が増えれば、そこで働く人も必要になります。放課後等デイサービスには人員配置の基準があり、子どもの数に応じて、保育士や児童指導員を一定数以上置かなければなりません。つまり、資格を持つ人がいないと、事業所は運営そのものができない仕組みです。資格者の奪い合いが起きやすく、直接雇用の採用だけでは追いつかない事業所が、派遣会社に人を頼むようになりました。

忙しさが午後に集中する

2つ目の理由は、1日の忙しさの形です。放課後等デイサービスは、学校が終わる時間から子どもが集まってきます。平日であれば、午前中は子どもがいない時間帯で、事務作業や活動の準備、職員の打ち合わせにあてられます。子どもが来るのは14時から15時ごろ。そこから18時前後までが、人手がもっとも必要な時間です。

この「午後の数時間だけ人が足りない」という状態は、フルタイムの正職員を1人増やすだけでは解消しにくいものです。午前中の仕事量は正職員で足りているのに、午後だけ手が足りない。そこで、13時から18時、14時から19時といった短い時間だけ入ってくれる人を派遣で確保する形が広がりました。

急な欠員が運営に直結する

3つ目は、欠員の影響の大きさです。人員配置の基準を下回ると、事業所は報酬を減額されることがあります。職員が1人辞めただけで基準を満たせなくなる小規模な事業所では、次の採用が決まるまでのつなぎとして派遣を使うことが珍しくありません。

言い換えれば、放課後等デイサービスの派遣求人には「午後の定常的な人手として長く来てほしい求人」と「欠員を埋めるための一時的な求人」の2種類が混ざっています。どちらなのかによって、職場での扱われ方も、契約が続く見込みも大きく変わります。この見分け方は後の章で詳しく触れます。

資格を持つ人の賃金の相場感をつかんでおくと、派遣の時給が高いのか普通なのかを判断しやすくなります。保育士の平均的な年収や、雇用形態による違いは保育士の年収・単価相場にまとめられているので、比較の物差しとして一度目を通しておくと安心です。

放課後等デイサービスの1日と、派遣が入る時間帯

派遣として働く姿を具体的に想像するために、放課後等デイサービスの典型的な1日を見ておきます。事業所によって差はありますが、平日の流れはおおむね次のようになります。

時間帯 事業所で起きていること 派遣スタッフの関わり
午前 活動の準備、記録の整理、職員の打ち合わせ 入らないことが多い
13時〜14時 その日の子どもの確認、送迎ルートの確認 出勤して申し送りを受ける
14時〜15時半 学校や自宅への迎え、到着した子どもの受け入れ 受け入れ、見守り、迎えの同乗
15時半〜17時 宿題、集団での活動、個別の課題 活動の補助、個別の関わり
17時〜18時半 おやつ、帰りの準備、自宅への送り 見守り、送りの同乗
18時半以降 記録、翌日の準備、振り返り 記録の一部を担当して退勤

放課後等デイサービスの派遣求人に書かれている勤務時間を見ると、この流れがそのまま反映されています。

勤務時間13:00〜18:00 14:00〜19:00 15:00〜19:00 ※上記は一例です。放課後夕方の時間帯が中心で、勤務時間はご相談いただけます。 1日3時間 学校休業日(長期休暇等)は日中からの勤務となる場合があります。 出典: jp.stanby.com

注目したいのは、最後の一文です。夏休みや冬休み、春休みといった学校の休業日は、子どもが朝から来ます。10時から16時、9時から17時といった日中の時間帯に切り替わり、昼食の見守りや外出の活動も加わります。「午後だけの仕事」と思って申し込むと、長期休暇に入った途端に働く時間帯が変わり、家庭や他の仕事との両立が崩れることがあります。

私が以前、福祉系の媒体の取材で放課後等デイサービスを見学したとき、いちばん印象に残ったのが夏休み中の午前10時の様子でした。平日の午後とはまったく違い、子どもたちが朝から揃っていて、職員は昼食前の外遊びの準備に追われていました。施設長に話を聞くと、「長期休暇の人手をどう確保するかが1年でいちばん頭の痛い問題」とのことでした。派遣で入る人にとっても、ここは契約前に必ず確かめておくべき点です。

もう1つ、送迎の比重も放課後等デイサービスに固有の特徴です。子どもを学校や自宅まで迎えに行き、帰りは自宅まで送る事業所が多く、午後の時間の相当部分が送迎に割かれます。送迎の車に同乗するのか、運転までするのか、事業所に残って受け入れ側に回るのかで、仕事の中身はまったく変わります。派遣の求人で「送迎・見守り」とだけ書かれている場合は、運転の有無を必ず確認してください。

同じ資格でも、派遣だと任される範囲が変わる

放課後等デイサービスで働く人の役割は、大きく分けて次のようになっています。

・管理者:事業所全体の運営 ・児童発達支援管理責任者:一人ひとりの個別支援計画をつくり、見直す ・保育士、児童指導員:人員配置の基準に数えられる支援の中心 ・その他の職員:送迎、見守り、活動の補助など ・看護職員、機能訓練担当職員:医療的ケアや機能訓練が必要な事業所で配置

派遣として入る場合、多くは保育士か児童指導員として人員配置の基準に数えられる立場か、資格不要の送迎や見守りのスタッフです。ここで知っておきたいのは、同じ保育士の資格を持っていても、直接雇われている職員と派遣スタッフでは、任される範囲に差が出やすいという点です。

個別支援計画への関わり方

放課後等デイサービスの支援は、児童発達支援管理責任者がつくる個別支援計画にもとづいて行われます。計画をつくる過程では、実際に子どもと関わる職員の観察がもとになります。直接雇用の職員は、支援会議に参加して意見を出したり、モニタリングのための記録をまとめたりする立場になりやすいのに対し、派遣スタッフは「計画に書かれた支援を実行する側」にとどまることが多い傾向があります。

これは派遣だから軽んじられているというより、勤務時間の問題です。支援会議は子どもがいない午前中や、子どもが帰ったあとの夕方に行われます。午後の数時間だけ働く派遣スタッフは、そもそも会議の時間に職場にいません。結果として、計画づくりの経験は積みにくくなります。

保護者とのやりとり

保護者への連絡や面談も、直接雇用の職員が担うことが一般的です。送迎のときに保護者と顔を合わせる機会はあっても、子どもの様子について踏み込んだ話をするのは担当の職員か児童発達支援管理責任者、という線引きをしている事業所が多くあります。派遣スタッフが気づいたことは、記録や口頭で職員に伝え、職員から保護者へ、という流れです。

記録と情報の共有

放課後等デイサービスでは、その日の活動や子どもの様子を記録に残します。派遣スタッフも記録を書きますが、事業所の記録システムにどこまで入れるか、過去の記録をどこまで読めるかは事業所によって違います。個人情報を扱う職場なので、派遣スタッフの閲覧範囲を絞っている事業所もあります。子どもの特性や過去の経緯を知らないまま関わると、支援がちぐはぐになりかねません。入職時にどこまで情報を共有してもらえるのかは、面談で確かめておきたいところです。

派遣だから担いやすい役割もある

一方で、派遣スタッフのほうが力を発揮しやすい場面もあります。たとえば、集団活動の中での見守りや、個別の課題に取り組む子どもへのつき添いです。会議や保護者対応、書類仕事に時間を取られない分、子どもと向き合う時間そのものは、正職員より長くなることもあります。「事務や調整より、子どもと直接関わる時間を大事にしたい」という人にとっては、派遣という形がむしろ合っている場合もあるのです。

直接雇われる場合との違いを、条件ごとに比べる

ここからは、派遣と直接雇用の違いを、働く条件の面から整理します。比べるのは、放課後等デイサービスに直接パートとして雇われる場合と、派遣会社から派遣される場合です。

項目 派遣 直接雇用のパート
時給の目安 保育士・児童指導員で1,400円〜1,900円程度 1,100円〜1,500円程度
雇用主 派遣会社 事業所を運営する法人
仕事の指示 派遣先の事業所から受ける 事業所から受ける
契約期間 3か月ごとの更新が多い 期間の定めがないか1年ごと
同じ職場で働ける期間 原則として同じ部署で3年まで 上限なし
賞与 ないことが多い 寸志程度の事業所もある
研修 派遣会社の研修が中心 法人内の研修に参加しやすい
職場を変える手間 派遣会社が次を紹介する 自分で探す

時給の目安は、求人サイトに出ている首都圏や関西圏の求人を見た範囲での相場です。地域によって差があります。

時給が高く見える理由

派遣の時給が直接雇用より高く見えるのは、派遣会社が事業所から受け取る派遣料金の中から支払われているからです。事業所は、自分で採用や教育をする手間を派遣会社に払っている形になります。派遣料金と派遣スタッフの賃金の差、いわゆるマージン率は、業界全体でおおむね3割前後と言われています。派遣会社には、このマージン率をインターネットなどで公開する義務があるので、登録前に確認できます。

時給が高いのは確かに派遣のわかりやすい利点です。ただし、賞与や昇給、退職金まで含めて年間で比べると、差が縮まるか、逆転することもあります。2020年4月から派遣スタッフにも同一労働同一賃金の考え方が適用されるようになり、派遣会社は派遣先の職員との均衡を考えた待遇にするか、労使協定で定めた水準の待遇にするかを選ぶことになりました。自分がどちらの方式で待遇を決められているのかは、派遣会社に聞けば答えてもらえます。

社会保険と有給休暇

社会保険は、派遣会社の基準で加入します。週の労働時間や月の賃金、契約の見込み期間などの条件を満たせば、健康保険と厚生年金に加入することになります。派遣会社の多くは従業員数の多い企業なので、短時間で働く人の加入の対象も広がっています。週3日、1日5時間程度の働き方でも加入の対象になる可能性があるので、「扶養の範囲で働きたい」と考えている人は、勤務日数を決める前に派遣会社と相談しておく必要があります。

有給休暇も、派遣会社から付与されます。放課後等デイサービスは子どもの利用予定をもとに職員の配置を組むため、急な休みが取りにくい職場です。派遣であれば、休む連絡は派遣会社と派遣先の両方に入れることになり、代わりの人を派遣会社が手配してくれる場合もあります。

3年という期限

派遣法では、同じ派遣先の同じ部署で働ける期間は原則として3年までです。放課後等デイサービスの場合、事業所がほぼ1つの部署なので、3年たつと同じ事業所では派遣として働けなくなります。その先も同じ事業所で働き続けたい場合は、事業所に直接雇われるか、派遣会社に無期雇用で雇われるか、といった選択肢を考えることになります。

子どもにとって、見慣れた大人がいることは大きな安心材料です。3年という区切りは、放課後等デイサービスで派遣として働く人がいちばん意識しておくべき制度上の制約だと、私は考えています。

困ったときに誰に言うか

派遣で働く場合、仕事の指示は事業所から受けますが、雇用主は派遣会社です。この二重の関係は、トラブルのときに効いてきます。たとえば、契約書に書かれていない運転を急に頼まれた、休憩が取れない日が続いている、職員から強い口調で注意され続けている、といった場面です。直接雇用であれば事業所の中で相談先を探すしかありませんが、派遣であれば派遣会社の担当者に伝えることで、派遣会社から事業所へ改善を求めてもらえます。

派遣会社には、派遣スタッフからの苦情を受け付ける担当者を置くことが義務づけられています。契約時に渡される就業条件の明示書に、苦情の申し出先が書かれているので、最初に目を通しておきましょう。反対に、担当者の連絡がつきにくい、相談しても事業所に伝えてもらえないという派遣会社は、放課後等デイサービスのように少人数で閉じた職場では特に不安が残ります。登録する派遣会社を選ぶ段階で、福祉の分野の派遣実績があるか、担当者が事業所を訪問しているかを確かめておくと安心です。

求人票のどこを見れば実態が分かるか

放課後等デイサービスの派遣求人は、似たような言葉が並んでいて違いが見えにくいのが難点です。「未経験OK」「残業ほぼなし」「週2日から」といった文言は、どの求人にも書かれています。実態をつかむには、次の6つの点に注目してください。

1. 職種名に「児童指導員」「保育士」とあるか、「支援員」とあるか

「児童指導員」「保育士」と職種名が書かれていて資格が必須の求人は、人員配置の基準に数えられる立場として求められている可能性が高い求人です。時給は高めですが、その分、子どもの支援の中心として期待されます。

一方、「支援員」「送迎・見守り」「資格不要」と書かれている求人は、基準の外で補助にあたる立場です。時給は低めになる代わりに、責任の重さも違います。自分がどちらの立場で働きたいのかを先に決めておくと、求人を絞りやすくなります。

2. 「学校休業日」の扱いが書かれているか

先ほど触れたとおり、長期休暇中の勤務時間は放課後等デイサービスに固有の論点です。求人票に書かれていない場合は、派遣会社の担当者に「夏休みは何時から何時になるか」「長期休暇中だけ勤務日数が増えることはあるか」を具体的に聞いてください。

3. 運転の有無と、使う車

送迎の運転をするかどうかは、仕事の負担も、事故が起きたときの責任の範囲も大きく変わる点です。運転がある場合は、使う車の大きさ、1回の送迎で乗せる人数、ルートの長さ、万が一の事故の際の保険の扱いを確認しておきます。子どもを乗せた車での事故は、心理的な負担も非常に大きくなります。運転に不安があるなら、運転なしの条件で探したほうが長く続けやすいでしょう。

4. 対象の子どもの年齢と特性

小学生が中心の事業所と、中高生が中心の事業所では、活動の内容も関わり方も違います。また、重症心身障害児を対象にした事業所では、医療的ケアや身体の介助の比重が大きくなります。求人票に対象が書かれていなければ、派遣会社を通じて確認しましょう。

5. 定員と職員数

放課後等デイサービスの多くは、定員10名程度の小規模な事業所です。定員10名に対して、その日に何人の職員がいるのか。職員の数が基準ぎりぎりの事業所では、派遣スタッフでも1人で複数の子どもを見る時間が長くなります。見学のときに、職員の人数と子どもの人数の比率を自分の目で確かめるのが、もっとも確実です。

6. 「紹介予定派遣」かどうか

紹介予定派遣は、一定期間を派遣として働いたあと、本人と事業所が合意すれば直接雇用に切り替わる仕組みです。派遣期間は最長6か月です。「いずれは正職員として働きたいが、職場の雰囲気を見てから決めたい」という人には、紹介予定派遣が向いています。

求人票を読み比べるときは、時給の数字だけでなく、上の6つを表にして横に並べるだけでも、職場の違いがはっきり見えてきます。

放課後等デイサービスの派遣が合う場面、合わない場面

ここまでの内容をもとに、派遣という形が合う場面と合わない場面を整理します。

派遣が合う場面

1つ目は、働ける時間帯が限られている場合です。子育て中で、午前中は家事や自分の用事にあてたい、夕方には家に戻りたいという人にとって、13時から18時のような勤務時間は組みやすいものです。派遣会社が事業所との条件交渉を代わりにしてくれるので、「週3日、この時間だけ」という希望も通りやすくなります。

2つ目は、ほかの仕事と組み合わせる場合です。午前中に別の仕事をしている人、たとえば在宅で事務やライティングの仕事をしている人が、午後だけ放課後等デイサービスで働くという組み合わせは現実的です。本業のかたわらの副業として週2日だけ入る人もいます。ただし、ほかの勤め先と労働時間が合算されることや、社会保険の加入の判断が勤め先ごとに行われることは、頭に入れておく必要があります。

3つ目は、放課後等デイサービスという職場が自分に合うかを確かめたい場合です。保育園や学校から転職を考えている人が、いきなり正職員として入るのではなく、まず派遣で数か月働いてみる。合わなければ派遣会社に相談して別の職場に移る、合えば紹介予定派遣や直接雇用を検討する。この使い方は、派遣のもっとも合理的な使い方の1つです。

4つ目は、ブランクがある場合です。資格は持っているけれど数年現場を離れていた人にとって、派遣会社の研修や担当者のフォローは、復帰の足がかりになります。

派遣が合わない場面

1つ目は、特定の子どもの成長に長く関わりたい場合です。放課後等デイサービスの子どもたちは、小学1年生から高校3年生まで、10年以上同じ事業所に通うこともあります。派遣は3年という期限があり、契約が更新されない可能性もあります。長い時間軸での関わりを大切にしたいなら、最初から直接雇用を選んだほうが迷いは少なくなります。

2つ目は、児童発達支援管理責任者を目指す場合です。児童発達支援管理責任者になるには、障害のある人や子どもへの支援の実務経験と、所定の研修の修了が必要です。実務経験は派遣でも積めますが、個別支援計画づくりや支援会議に関わる経験は、先に述べたとおり派遣では積みにくくなります。研修の受講に事業所の推薦が必要になる場面もあります。キャリアの先を見据えるなら、直接雇用のほうが近道です。

3つ目は、職場の人間関係の中心に入っていきたい場合です。少人数の事業所では、職員同士の連携がそのまま支援の質になります。派遣スタッフは勤務時間が短く、会議にも出ないため、職場の意思決定から少し離れた位置に立つことになります。その距離感を気楽と感じるか、物足りないと感じるかで、向き不向きが分かれます。

派遣で入る前に身につけておきたい知識とスキル

最後に、放課後等デイサービスで派遣として働くうえで、あらかじめ持っておきたい知識とスキルを整理します。

資格と任用の要件

保育士の資格があれば、保育士として人員配置の基準に数えられます。児童指導員は資格の名前ではなく任用の要件で、社会福祉学、心理学、教育学、社会学のいずれかを大学で専修して卒業した人、教員免許を持つ人、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持つ人などが該当します。高校卒業後に児童福祉の事業で2年以上の実務経験を積んだ人も該当します。自分が児童指導員の要件を満たすかどうか分からない場合は、卒業証明書や免許状を用意して、派遣会社に確認してもらいましょう。

特性の理解と、行動への対応

放課後等デイサービスに通う子どもには、発達障害や知的障害のある子どもが多く含まれます。特性の基本的な理解、パニックになったときの落ち着かせ方、自分や他人を傷つけそうな場面での安全の確保の仕方は、どの事業所でも求められます。派遣会社によっては、障害福祉の基礎研修を用意しているところもあります。

虐待防止と身体拘束の考え方

障害福祉の事業所では、虐待防止の研修と、身体拘束をしないための取り組みが義務づけられています。派遣スタッフであっても、事業所の方針に沿って行動する責任があります。「危ないから押さえる」という対応が、場合によっては不適切な身体拘束にあたることを知っておいてください。

記録を書く力

その日に子どもがどんな様子だったか、何ができて何につまずいたかを、事実と解釈を分けて短く書く力は、派遣スタッフでも重宝されます。記録は個別支援計画の見直しの材料になるからです。「楽しそうだった」ではなく「〇〇の活動で最後まで座って取り組み、終わったあと自分から片付けた」と具体的に書けると、職員からの信頼が一気に上がります。

自分のキャリアを考える時間を持つ

派遣という働き方は、自由度が高い反面、数年先の自分の姿を自分で描かないと、同じ場所をぐるぐる回ることになりかねません。放課後等デイサービスで経験を積んだ先に、児童発達支援管理責任者を目指すのか、保育や教育の現場に戻るのか、相談の仕事に進むのか。こうした方向を考えるときに、キャリアの相談を専門にする人の力を借りる方法もあります。キャリアの相談にどんな専門家が関わっているのかはキャリアコンサルタントで資格の内容から紹介されていますし、相談の仕事そのものについては職場・転職・キャリア相談のお仕事で具体的に解説されています。

働き方の選択肢として、派遣をどう位置づけるか

フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、雇用の形を選ぶときに長く満足している人には、共通点があります。それは、時給の高さそのものより、「自分がいまどの段階にいて、この働き方で何を得たいのか」を言葉にできていることです。

放課後等デイサービスの派遣でいえば、「長期休暇以外は午後だけ働き、午前中は自分の仕事にあてる」「半年だけ派遣で働いて、放課後等デイサービスが自分に合うかを確かめる」といった目的がはっきりしている人ほど、契約更新のたびに迷うことが少なく、職場からも頼られています。反対に、「時給が高いから」だけで入った人は、長期休暇の勤務時間の変化や、会議に出られない立場に戸惑いやすい傾向があります。

もう1つ見えてくるのは、続く人ほど「この人がいると助かる」という関係を職場の中で早めにつくっていることです。派遣であっても、記録を丁寧に書く、気づいたことをその日のうちに職員へ伝える、子どもの小さな変化を見逃さない。こうした積み重ねがあると、契約の更新は自然に続き、紹介予定派遣や直接雇用の声がかかることもあります。雇用の形は入口にすぎず、その後の働きやすさは、職場との関係の中でつくられていくものです。

働き方の形と中身がつながっているかどうかは、雇用でも業務委託でも同じです。間に入る事業者が少なく、双方が直接条件を話し合える関係では、依頼する側は同じ予算で必要なことを頼みやすく、受ける側は手数料0%のぶん手取りが厚くなります。派遣は、その間に派遣会社が入る代わりに、職場探しや条件交渉、トラブルの窓口を任せられる働き方です。どちらが優れているかではなく、いまの自分に何が必要かで選ぶのが、いちばん後悔の少ない決め方だと考えています。

放課後等デイサービスで派遣として働くなら、時給の数字の前に、長期休暇の勤務時間、運転の有無、人員配置の中での自分の立場、そして3年という期限の先をどうするかを確かめてください。そのうえで派遣を選ぶのであれば、午後の限られた時間で子どもと向き合える、無理のない働き方になるはずです。

よくある質問

Q. 放課後等デイサービスの派遣は、資格がなくても働けますか?

働ける求人はあります。送迎の同乗や見守り、活動の補助といった仕事は、資格不要で募集されていることが多いです。ただし保育士や児童指導員として人員配置の基準に数えられる立場ではないため、時給は資格が必要な求人より低めになります。働きながら実務経験を積み、児童指導員の任用要件を満たす道もあるので、将来の方向も含めて派遣会社に相談するとよいでしょう。

Q. 夏休みなどの長期休暇中は、勤務時間が変わりますか?

変わることが多いです。学校の休業日は子どもが朝から通うため、事業所の開所時間が日中に移り、派遣スタッフの勤務も10時から16時などに切り替わる場合があります。午後だけ働く前提で家庭やほかの仕事の予定を組んでいる人は、契約前に長期休暇中の勤務時間と日数を派遣会社を通じて必ず確認してください。

Q. 派遣で働いた期間は、児童発達支援管理責任者の実務経験になりますか?

障害のある子どもへの直接支援の業務であれば、雇用の形にかかわらず実務経験として扱われるのが一般的です。ただし、証明書を発行するのは雇用主である派遣会社になる場合があり、業務内容の記載も必要です。後から証明を取るのは手間がかかるため、働いた事業所名、期間、業務内容を自分でも記録しておくと安心です。

Q. 派遣から直接雇用に切り替えることはできますか?

できます。最初から紹介予定派遣を選べば、最長6か月の派遣期間のあと、本人と事業所が合意すれば直接雇用に移れます。通常の派遣で働いていて事業所から声がかかった場合も、派遣会社との契約内容を確認したうえで切り替えられることがあります。まずは派遣会社の担当者に希望を伝え、手続きの流れを確認してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年3月30日最終更新:2026年9月21日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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