訪問看護ステーションで求められる資格|無くても入れる範囲はどこまでか【2026年版】


この記事のポイント
- ✓訪問看護ステーションで働くときに求められる資格を
- ✓看護師・准看護師・リハビリ職・事務職ごとに整理しました
- ✓法律で決まっている人員の基準
訪問看護ステーションで働いてみたいけれど、自分の資格で入れるのか分からない。准看護師でも大丈夫なのか、認定看護師のような資格が無いと相手にされないのか、事務なら無資格でもいいのか。そうした疑問を持って調べている方に向けて、この記事を書きます。
結論から言うと、訪問看護ステーションで求められる資格は「職種ごとに法律で決まっている部分」と「法律では求められていないのに、求人票で事実上求められている部分」の2層に分かれています。この2つを混ぜて考えると、本当は応募できるのに諦めてしまったり、逆に入ってから任される範囲の狭さに驚いたりします。
この記事では、まず法律が決めている人員の基準を確認し、そのうえで看護師、准看護師、リハビリ職、事務職のそれぞれが入れる範囲と任される範囲を整理します。後半では、運転免許や臨床経験のような「資格ではない条件」の読み方、入ってから取る資格、そしてステーションを立ち上げる側に必要な要件まで順番にまとめます。
法律が決めているのは「誰が何人いればよいか」
訪問看護ステーションは、介護保険法と健康保険法にもとづいて指定を受ける事業所です。指定を受けるためには、人員、設備、運営の基準を満たす必要があります。このうち資格に関わるのが人員の基準です。これ、知らない人が本当に多いんです。「訪問看護で働くための資格」という独立した資格は存在せず、決まっているのは「事業所として、どの資格を持った人を何人置くか」だけなんです。
人員の基準を整理すると、次のようになります。
| 職種 | 必要な資格 | 必要な人数 |
|---|---|---|
| 看護職員 | 保健師、看護師、准看護師 | 常勤換算で2.5人以上(うち1人は常勤) |
| 理学療法士など | 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士 | 事業所の実情に応じた適当数(置かなくてもよい) |
| 管理者 | 保健師または看護師 | 常勤の1人 |
| 事務職員 | 基準上の定めなし | 置くかどうかは事業所の判断 |
つまり、法律が「この資格が無いと働けない」と線を引いているのは、看護の仕事をする看護職員と、リハビリをするリハビリ職、そして管理者だけです。事務の仕事には資格の定めがありません。
常勤換算という言葉も確認しておきます。常勤換算とは、パートや非常勤の人の勤務時間を足し合わせて、常勤の人が何人分働いているかに直した数字です。たとえば常勤の労働時間が週40時間の事業所で、週20時間働く非常勤の看護師は0.5人と数えます。常勤の看護師が2人と、週20時間の非常勤が1人いれば、ちょうど2.5人です。
この基準は最低ラインです。2.5人ぎりぎりの事業所は、1人が休むと基準を割るおそれがあるため、パートの看護師を常に探しています。資格を持っていて週に数日しか働けない人でも歓迎されやすいのは、この仕組みがあるからです。逆に言えば、少人数の事業所ほど「看護職員として数えられる資格があるかどうか」を重く見ます。
人員基準の細かい解釈は、自治体によって運用が異なる部分があります。※開設や指定申請のように判断を誤ると困る場面では、必ず指定権者である都道府県や市の担当窓口に確認してください。厚生労働省の公式サイトでも、基準省令や解釈通知を確認できます。
看護師と保健師は、入れる範囲にほぼ制限がない
看護師と保健師の免許を持っている人は、訪問看護ステーションで任される仕事の範囲にほぼ制限がありません。利用者さんの家を一人で訪問し、状態を観察し、主治医の指示にもとづいて医療処置を行い、家族に助言をする。訪問看護の中心となる仕事を、すべて担えます。
とくに大事なのが、訪問看護計画書と訪問看護報告書です。訪問看護は主治医が出す訪問看護指示書にもとづいて行いますが、その指示を受けて「どんな目標で、何をするか」を計画書にまとめ、実施した内容を報告書にまとめて主治医に提出します。基準では、この計画書と報告書を作るのは看護師等(准看護師を除く)とされています。つまり、計画を立てて主治医とやりとりする役割は、看護師か保健師にしか任せられないということです。
管理者になれるのも、保健師か看護師だけです。管理者はステーションの運営全体に責任を持ち、人員の配置やオンコールの体制、利用者さんの受け入れ判断を担います。将来、管理者やステーションの立ち上げを考えている人にとっては、看護師か保健師の免許があることが出発点になります。
報酬の面でも差があります。医療保険の訪問看護基本療養費は、保健師、助産師、看護師が訪問した場合、週3日目までで1日5,550円です。准看護師が訪問した場合は5,050円になります。事業所の収入は訪問した人の資格で変わるため、求人票で「正看護師」と書かれている背景には、この報酬の差もあります。
一方で、看護師の免許があれば誰でもすぐに一人で訪問できるわけではありません。免許は「法律上やってよい範囲」を示すだけで、「一人で判断できる力」を保証するものではないからです。そのため多くのステーションでは、入職後にしばらく先輩と一緒に訪問する同行訪問の期間を設けています。期間は事業所によって違い、2週間ほどで独り立ちするところもあれば、3か月かけるところもあります。
助産師について補足しておくと、助産師の免許を取るには看護師の国家試験に合格している必要があるため、実際には看護師の免許も併せて持っている人がほとんどです。訪問看護ステーションでは、看護師として、あるいは産後の母子への訪問などで専門性を生かして働く形になります。
看護師の働き方全体の中で訪問看護の給与がどのくらいの位置にあるかを知りたい場合は、看護師の年収・単価相場が参考になります。公的な統計をもとに、年齢や地域ごとの看護師の給与水準をまとめたページなので、訪問看護の求人を見るときの物差しとして使えます。
准看護師は入れるが、任される範囲に線が引かれる
准看護師の方から「訪問看護ステーションで働けますか」と聞かれることがあります。答えは、働けます。准看護師は人員基準の看護職員に含まれており、常勤換算の2.5人にも数えられます。
ただし、任される範囲には線が引かれます。ここは正確に知っておいてください。
1つめは、先ほど触れた訪問看護計画書と報告書です。准看護師はこれを作ることができません。訪問そのものは行えますが、計画を立てるのは看護師か保健師で、准看護師はその計画にもとづいて訪問する立場になります。
2つめは、管理者になれないことです。どれだけ経験を積んでも、准看護師の免許のままでは管理者にはなれません。
3つめは報酬です。医療保険では先ほどの通り1日あたりの報酬が低くなり、介護保険でも准看護師が訪問した場合は所定の単位数の90%で算定します。事業所から見ると、同じ時間を訪問しても入る収入が少なくなるということです。
これらの線引きは、准看護師の力量を低く見ているという意味ではありません。准看護師の免許は、医師や看護師の指示を受けて看護を行うことを前提にしているため、在宅で計画を立てて主治医と直接やりとりする役割は看護師に任せる、という法律の組み立てになっているのです。訪問先での観察や処置、家族への声かけといった日々の看護そのものは、准看護師も同じように担います。長く病棟や診療所で経験を積んできた准看護師が、訪問の現場で頼りにされている例はいくらでもあります。
こうした理由から、求人票には「正看護師のみ」と書かれていることが多くなります。准看護師を採用しないと決めている事業所もあれば、「准看護師可」と明記している事業所もあります。後者は、計画を立てる看護師が十分にいて、訪問の手を増やしたい事業所であることが多いです。
私のところに届く相談でも、准看護師の方が「面接では歓迎されたのに、入ってみたら計画書に関わらせてもらえず、看護師との役割の差がつらかった」と話していたことがありました。これは事業所が悪いというより、法律の線引きを入職前に双方が確認していなかったことが原因です。准看護師として応募するときは、面接で「准看護師の方は、どの範囲の訪問を担当していますか」「計画書や報告書にはどう関わりますか」と聞いておくと、入ってからの落差を小さくできます。
准看護師から看護師の免許を取る道もあります。准看護師として7年以上の業務経験があれば、通信制の看護師学校養成所(2年課程)で学んで看護師国家試験の受験資格を得られます。働きながら学ぶ人も多いので、将来も訪問看護を続けたい人は選択肢に入れておくとよいでしょう。※入学要件や学費は学校によって異なるため、各養成所の募集要項で確認してください。
リハビリ職、事務職、看護補助者という入口
看護師の免許が無くても、訪問看護ステーションで働く道はあります。代表的なのが、リハビリ職、事務職、そして看護補助者です。
リハビリ職は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の国家資格を持っている人です。訪問看護ステーションからのリハビリは「訪問看護の一環」として行われ、自宅での歩行や移乗の練習、住まいの環境に合わせた動作の工夫、飲み込みや言葉の訓練などを担います。病院のリハビリ室と違い、実際の段差や家具の配置の中で練習できるのが特徴です。
ただ、リハビリ職の配置には注意点があります。国は、訪問看護ステーションが看護の役割を十分に果たしているかを重視しており、リハビリ職の訪問が看護職員の訪問より多い事業所には、報酬を減らす仕組みを設けています。そのため、リハビリ職を多く抱える事業所では、看護職員の採用を急いでいる場合があります。リハビリ職として応募するときは、事業所の看護職員とリハビリ職の人数の比率を確認しておくと、事業所の方針や安定性が見えてきます。
事務職には、法律上の資格の定めがありません。無資格でも応募できます。仕事の中心は、電話の受付、訪問の予定表づくり、そして請求の事務です。訪問看護の請求は少し特殊で、介護保険の分は介護給付費として国保連に、医療保険の分は訪問看護療養費として審査支払機関に請求します。同じ利用者さんでも状態によって保険が切り替わるため、どちらの保険で訪問したのかを取り違えない正確さが求められます。
資格の定めはありませんが、医療事務の知識があると採用で有利になりますし、入ってからの覚えも早くなります。医療事務の資格として代表的なのが、医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)です。医療機関の受付や診療報酬の請求に必要な知識を問う試験で、学科と実技の両方があります。病院やクリニックの請求とは帳票が違うものの、保険の仕組みを体系的に理解している人は訪問看護の請求にもなじみやすくなります。
看護補助者は、看護師の指示のもとで身の回りのお世話や物品の準備などを手伝う人です。訪問看護では、体の大きな利用者さんの入浴や移動の介助など、1人では安全に行えない訪問に看護師と一緒に入ることがあります。医療保険では、看護補助者が同行した場合にも複数名訪問看護加算を算定できる場合があるため、介護職員初任者研修などを持つ人を看護補助者として雇う事業所もあります。医療処置は行えないので、任される範囲は介助と準備に限られます。
介護の資格を持つ人が訪問看護の周辺で働くときの給与の目安は、介護職員の年収・単価相場で確認できます。介護職員の給与を統計から整理したページなので、看護補助者や訪問介護との比較に使えます。
資格ではないのに求められる、運転免許と臨床経験
求人票を見ていると、資格欄に「普通自動車運転免許」「臨床経験3年以上」と書かれていることがよくあります。これは法律の基準ではありません。それでも、事実上の条件として扱われているのが実態です。
まず運転免許です。訪問看護は利用者さんの家を回る仕事なので、移動の手段が欠かせません。地方や郊外では、1件あたりの移動に15分から30分かかることも珍しくなく、車でなければ1日に4件、5件と回れません。そのため、普通自動車免許(AT限定可)を必須にしている求人が大半です。
一方で、都市部には電動自転車やバイクで回るステーションもあります。駐車場を確保しにくい住宅地では、自転車のほうが早く着くからです。運転に自信がない人や、ペーパードライバーの人は、「移動は自転車中心」と書かれた都市部の求人を探すと選択肢が広がります。免許はあるけれど運転から離れている人は、面接で「最初は同行訪問で運転に慣れる期間がありますか」と聞いてみてください。社用車の車種や、事故のときの保険の扱いも確認しておくと安心です。
次に臨床経験です。「臨床経験3年以上」という条件が多いのは、訪問看護が一人で判断する場面の多い仕事だからです。病棟なら急変時にすぐ先輩や医師を呼べますが、訪問先ではまず自分が状態を見て、主治医に連絡するかどうかを決めなければなりません。事業所としては、ある程度の経験がある人のほうが安心して送り出せます。
ただし、この条件は絶対ではありません。教育の体制が整っているステーションでは、臨床経験が浅い人や新卒の看護師を受け入れているところもあります。経験年数の条件を満たしていなくても、同行訪問の期間が長い、研修の仕組みがある、管理者にいつでも電話で相談できる、といった体制の事業所なら応募してみる価値があります。求人票に「未経験可」「ブランク可」と書かれている場合は、そのあとに教育の中身が具体的に書かれているかを見てください。書かれていない場合は、面接で必ず確認します。
もう1つ、見落としやすい条件が「精神科経験」です。精神科に特化した訪問看護ステーションでは、精神科訪問看護を行うための届出が必要で、その要件として、精神科の病棟や外来で1年以上働いた経験があるか、精神科訪問看護に関する研修を修了していることが求められます。精神科での経験が無い人でも、入職後に研修を受ければ要件を満たせる場合があるため、「精神科経験者優遇」と書かれた求人でも、研修を受けさせてもらえるかを聞いてみるとよいでしょう。
入ってから取る資格:認定看護師、特定行為研修、ケアマネジャー
訪問看護ステーションで働き始めてから、キャリアの幅を広げるために資格を取る人もいます。入るときに必須ではありませんが、持っていると任される範囲や事業所の評価が変わるものを整理します。
1つめは認定看護師です。日本看護協会が認定する資格で、特定の分野で熟練した看護を行う看護師を指します。訪問看護と関係が深いのは、在宅ケア、緩和ケア、皮膚・排泄ケア、摂食嚥下障害看護などの分野です。受験するには、看護師として通算5年以上の実務経験(うち認定分野で3年以上)を持ったうえで、教育機関で半年から1年ほどの教育課程を修了する必要があります。教育課程の費用は受講料だけで数十万円から100万円を超えることもあり、休職や勤務調整が必要になるため、事業所の支援制度があるかどうかで取りやすさが大きく変わります。
2つめは特定行為研修です。これは資格ではなく、厚生労働省が定める研修です。修了すると、医師があらかじめ作った手順書にもとづいて、気管カニューレの交換や褥瘡の壊死組織の除去など、決められた特定行為を看護師の判断で行えるようになります。在宅では医師がその場にいないため、手順書にもとづいてすぐ対応できる看護師がいることの価値は大きくなります。
これらの資格や研修は、報酬にも関わっています。医療保険の訪問看護には、緩和ケアや褥瘡ケアなどの専門の研修を受けた看護師、あるいは特定行為研修を修了した看護師が計画的な管理を行った場合に算定できる専門管理加算があり、月1回2,500円が加わります。事業所にとっては収入を増やせる人材になるため、資格手当をつけたり、研修費を負担したりするステーションが増えています。
3つめは介護支援専門員(ケアマネジャー)です。看護師や准看護師として5年以上かつ900日以上の実務経験があれば、介護支援専門員実務研修受講試験を受けられます。訪問看護ステーションに居宅介護支援事業所が併設されている場合は、ケアマネジャーとして働く道も開けますし、ケアプランの考え方を知っていると、ケアマネジャーとの連携がぐっと円滑になります。
私が以前、ある看護師さんから相談を受けたときのことです。「認定看護師を取らないと訪問看護では通用しないのか」と焦っていました。話を聞いてみると、まだ訪問看護で働いた経験がなく、資格を先に取ってから入ろうと考えていたのです。つまり、順番が逆でした。認定看護師の受験には分野での実務経験が必要ですし、在宅で何が求められるかを知らないまま分野を選ぶと、せっかくの資格が生かしにくくなります。まず現場に入り、自分が深めたい分野が見えてから取るほうが、費用と時間を無駄にしません。
資格の取り方やキャリアの方向に迷ったときは、キャリアコンサルタントに相談する方法もあります。職業選択や能力開発の相談に乗る国家資格で、ハローワークなどの公的な窓口にも配置されています。
立ち上げる側に求められる要件と費用
最後に、訪問看護ステーションを立ち上げる側に必要な要件を整理します。「看護師の資格が無いと開業できないのか」という疑問を持つ人は多く、競合の記事でもこの点がよく扱われています。
在宅医療の需要が高まる今、訪問看護ステーションを自分で立ち上げてみようと考えている看護師や医療従事者の方もいます。「訪問看護ステーションの立ち上げに資格は必要なの?」など、立ち上げに対して多くの疑問・不安を感じているでしょう。 出典: wiseman.co.jp
結論から言うと、開設者そのものに看護師の資格は求められていません。求められているのは法人格です。訪問看護ステーションの指定を受けられるのは法人に限られ、個人事業主のままでは開設できません。株式会社、合同会社、一般社団法人、NPO法人、医療法人などが開設者になれます。つまり、看護師ではない経営者が法人を作り、看護師を管理者として雇えば、ステーションは立ち上げられるということです。
その代わり、管理者には常勤の保健師か看護師を置く必要があり、先ほどの人員基準(看護職員の常勤換算2.5人以上)も満たさなければなりません。開設者が看護師の場合は、自分が管理者を兼ねる形が多くなります。
費用についても触れておきます。
開業資金がなくては事業の立ち上げはできません。訪問看護ステーションの開業資金は開業する地域や規模によって異なりますが、800〜1,500万円ほどの資金が必要と言われています。 出典: wiseman.co.jp
内訳は、法人の設立費用、事務所の賃料と改装、社用車、パソコンや請求ソフト、そして開業から収入が入るまでの人件費と運転資金です。訪問看護の報酬は、サービスを提供した翌月に請求し、実際に入金されるのはさらにその翌月になるため、最初の2か月から3か月は収入がほとんど無い状態で給与を払い続けることになります。この運転資金を甘く見て資金が尽きるケースが、立ち上げの失敗でいちばん多いものです。
法人の形は、設立費用を抑えるなら合同会社を選ぶ方法があります。株式会社に比べて登録免許税などの設立費用が少なくて済み、訪問看護ステーションの運営にも支障はありません。資金の調達では、日本政策金融公庫の創業向けの融資を使う人も多くいます。
開業費用と収支の具体的な試算は、【看護師の独立】訪問看護ステーション開設の初期費用と収支シミュレーションで詳しくまとめています。初期費用の内訳と、利用者数ごとの月の収支を試算した記事なので、立ち上げを具体的に考え始めた人は合わせて読んでみてください。
※法人の設立や定款の目的の書き方、指定申請の書類は、専門家に相談しながら進めるのが安全です。定款の事業目的に訪問看護が入っていないと指定を受けられないといった、つまずきやすい点があります。
運営者として見てきた、資格より効いてくるもの
フリーランスや在宅ワークの市場を長く見てきた運営者の立場から、資格について1つ付け加えておきます。
資格は入口を開けるものであって、そこで長く働けるかどうかを決めるものではありません。これは訪問看護に限らず、専門職の働き方全般で見てきたことです。資格の欄を埋めることに時間を使った人より、「自分はどの範囲なら一人で判断でき、どこからは相談が必要か」を言葉にできる人のほうが、職場を変えても、働き方を変えても仕事を続けています。訪問看護で言えば、看護師の免許を持っていることより、主治医やケアマネジャーに状況を短く正確に伝えられることのほうが、現場では信頼につながります。
求人票を読むときにも、この視点は役に立ちます。資格欄に条件がたくさん並んでいる求人ほど良い職場だとは限りません。条件を細かく書くのは、教育に手をかける余裕がなく、最初から一人で回せる人を求めているからという場合もあります。反対に、資格欄は看護師の免許だけで、その下に同行訪問の期間や相談の仕組みが丁寧に書かれている求人は、人を育てるつもりのある事業所であることが多いです。資格欄は「何を持っていれば応募できるか」を読む場所で、「入ってからどう支えてもらえるか」は教育や体制の欄から読み取ります。この2つを分けて読むだけで、求人の見え方はかなり変わります。
もう1つは、資格の範囲を正しく知っていることが、自分を守るという点です。准看護師が計画書を作ってしまう、事務職が利用者さんの状態について判断を伝えてしまう。こうしたことは、人手の足りない小さな事業所ほど起こりやすくなります。善意であっても、資格の範囲を超えた行為は本人と事業所の両方を危うくします。自分の資格で「やってよいこと」と「やってはいけないこと」の線を知っておくことが、どの職場に行っても通用するいちばんの備えです。
訪問看護ステーションは、看護師だけでなく、准看護師、リハビリ職、事務職、看護補助者と、さまざまな資格の人が組み合わさって動いています。自分の資格でどこまで任されるのかを求人票と面接で確かめ、足りない部分は入ってから経験と研修で埋めていく。その順番で考えれば、今の資格のままでも入れる場所は思っているより多いはずです。法律は、範囲を知っている人の味方です。
よくある質問
Q. 訪問看護ステーションで働くのに、特別な資格は必要ですか?
訪問看護専用の資格はありません。看護の仕事をするには保健師、看護師、准看護師のいずれかの免許、リハビリをするには理学療法士などの国家資格が必要です。事務職には資格の定めがありません。多くの求人で普通自動車免許や臨床経験を条件にしていますが、これは法律ではなく事業所ごとの条件です。
Q. 准看護師でも訪問看護ステーションに就職できますか?
就職できます。准看護師は人員基準の看護職員に含まれます。ただし訪問看護計画書と報告書は作れず、管理者にもなれません。報酬も看護師より低く算定されるため、「正看護師のみ」の求人も多くあります。応募時は「准看護師可」の求人を選び、担当する訪問の範囲を面接で確認してください。
Q. 運転免許が無くても訪問看護師として働けますか?
地方や郊外では車での移動が前提のため、免許が必須の求人が大半です。一方、都市部には電動自転車やバイクで訪問するステーションもあり、免許が無くても応募できる場合があります。免許はあっても運転に不安がある場合は、同行訪問で運転に慣れる期間があるかを面接で確認すると安心です。
Q. 看護師の資格が無くても訪問看護ステーションを開業できますか?
開設者に看護師の資格は求められていません。必要なのは法人格で、株式会社や合同会社などの法人を作れば開設者になれます。ただし常勤の保健師か看護師を管理者に置き、看護職員を常勤換算で2.5人以上そろえる必要があります。開業資金は800万円から1,500万円ほどが目安とされています。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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