訪問看護ステーションの面接で聞かれること|現場が見ている点と、聞き返すこと


この記事のポイント
- ✓訪問看護ステーションの面接で聞かれる質問と
- ✓少人数の事業所が本当に確かめたい点を整理しました
- ✓ブランクや短期離職など答えにくい質問への向き合い方
訪問看護ステーションの面接が近づいて、何を聞かれるのか不安になっていませんか。
病院の面接なら何度か経験がある。でも訪問看護は初めてで、どんな準備をすればいいのか分からない。こういう相談、本当によくあります。
大丈夫ですよ。訪問看護の面接は、形式ばった試験というより、小さなチームに一緒に入る人を探す話し合いに近いものです。聞かれることの多くは、この職場ならではの事情から出てきます。その事情が分かれば、答え方も、こちらから聞き返すことも、自然と見えてきます。
この記事では、訪問看護ステーションの面接が誰とどんな場で行われるのかから始めて、現場が本当に確かめたいこと、よく聞かれる質問と答え方、答えにくい質問への向き合い方、そして職場の実態を確かめるための逆質問と見学のポイントまでをお話しします。
訪問看護ステーションの面接は、誰とどんな場で行われるのか
まず、面接の場の様子を知っておきましょう。想像がつくだけで、緊張はずいぶん和らぎます。
訪問看護ステーションの面接官は、多くの場合、管理者本人です。管理者は保健師か看護師であることが決められていて、自分でも訪問に出ている人が少なくありません。法人の規模が大きければ、本部の人事担当者や法人の代表が同席することもあります。
場所は、事業所の事務所の一角や、小さな会議室であることが多いです。病院の面接のように、広い部屋で数人の面接官と向かい合うことはあまりありません。机を挟んで、管理者と1対1、あるいは2対1で話す形が一般的です。
時間は30分から1時間ほどです。面接のあとに、事務所の見学や、スタッフとの顔合わせ、場合によっては同行訪問の見学がセットになっていることもあります。
ここで知っておいてほしいのは、訪問看護ステーションにとって1人の採用がとても重いということです。
訪問看護ステーションを開くために必要な看護職員は、常勤換算で2.5人以上です。実際には看護師が数人から10人程度という事業所が多く、1人が加わるだけで、オンコールの回数も、受け入れられる利用者の数も変わります。反対に、採用した人がすぐに辞めると、残った人の負担が一気に増えます。
面接の日程にも、訪問看護ならではの事情があります。管理者は日中に訪問に出ていることが多いので、面接は訪問の合間の昼過ぎや、訪問が終わった夕方に設定されることがよくあります。急な利用者の対応で、面接の時間が少しずれることもあります。そういうときに慌てず待てるかどうかも、実は見られています。
だから管理者は、面接で「この人と一緒に働けるか」「長く続けてもらえそうか」をじっくり見ようとします。あなたを落とすための面接ではなく、お互いに合うかを確かめる場だと考えてください。
小さな事業所が、面接で本当に確かめたいこと
では、管理者は具体的に何を見ているのでしょうか。質問の形は事業所ごとに違っても、確かめたいことはおおむね共通しています。
1つめは、一人で利用者の家に入って判断できるかです。訪問看護では、病棟のようにすぐそばに医師や先輩がいません。状態の変化に気づき、その場で必要な対応をして、必要なら事務所や主治医に連絡する。これを一人で行う力があるか、あるいは身につけていけそうかを見ています。
2つめは、報告と相談ができるかです。一人で判断できることと、何でも一人で抱え込むことは違います。迷ったときにきちんと連絡してくれる人かどうかは、管理者にとってとても大切な点です。
3つめは、在宅の生活に合わせたケアを受け入れられるかです。利用者の家には病院の物品がそろっていません。家庭ごとのやり方や価値観に合わせる柔軟さがあるかを見ています。
4つめは、勤務条件が合うかです。オンコールに入れるか、車や自転車の運転ができるか、土日の勤務はどうか。条件が合わないまま採用すると、あとで双方が困るので、ここは率直に聞かれます。
5つめは、チームに馴染めそうかです。少人数の職場では、1人の雰囲気が全体に影響します。
面接で経験を詳しく聞かれる理由については、看護師の転職を支援する側からも、次のように説明されています。
また、訪問看護ステーションで働くために必要とされるスキルとの適合性をみる意図や、即戦力を求めているところもあるため、これまで経験した業務を聞きたいのです。 出典: ns-pace-career.com
つまり、経験の質問は、立派な経歴を並べてもらうためではありません。訪問看護で必要な力と、あなたの経験がどう重なるのかを知りたいのです。この視点を持っておくと、次の節から書く質問への答え方がぐっと楽になります。
よく聞かれる質問1:志望動機と、なぜ在宅を選ぶのか
訪問看護の面接で、ほぼ必ず聞かれるのが志望動機です。そして、病院で働いてきた人の場合は、ほとんどの場合「なぜ病院ではなく訪問看護なのですか」という形で聞かれます。
ここでよくある失敗は、病院の不満から話してしまうことです。
「夜勤がつらかった」「業務に追われて患者さんと向き合えなかった」。気持ちとしては本当のことだと思います。でも、それだけを話すと、管理者は「訪問看護にもつらいことはあるけれど、大丈夫だろうか」と心配になります。
答えるときは、「前の職場で感じたこと」を「訪問看護でしたいこと」につなげて話しましょう。
たとえば、こんな形です。
「病棟で退院支援に関わるなかで、退院した患者さんがご自宅でどう暮らしているのかを知らないまま送り出していることが気になっていました。ご自宅での生活を支える側に回り、ご本人やご家族と長く関わりたいと考え、訪問看護を志望しました」
このように、きっかけとなった具体的な場面を1つ入れると、話に厚みが出ます。
そのうえで、「なぜこの事業所なのか」も用意しておきましょう。事業所のホームページや求人情報を読み、力を入れている分野を確かめます。精神科の訪問看護に強い、小児の利用者が多い、看取りに力を入れている、リハビリ職が多いなど、事業所ごとに特色があります。
「御事業所が看取りのケアに力を入れていると知り、病棟で終末期の患者さんを担当した経験を生かせると考えました」と、自分の経験と事業所の特色を結びつけられれば十分です。
こういう相談がよくあります。「立派な志望動機が思いつかない」と。大丈夫ですよ。訪問看護の管理者が知りたいのは、立派な理想ではなく、あなたが在宅で働く姿を具体的に想像できているかどうかです。小さな場面1つで、それは十分に伝わります。
よく聞かれる質問2:これまでの経験と、一人で判断した場面
次に多いのが、これまでの経験についての質問です。「どの診療科で何年働きましたか」「どんな業務をしてきましたか」と聞かれます。
ここで大切なのは、経験の年数や科の名前を並べるだけで終わらせないことです。前の節で書いたとおり、管理者が知りたいのは、あなたの経験と訪問看護で必要な力がどう重なるかです。
訪問看護で役に立つ経験には、たとえば次のようなものがあります。
・点滴、在宅酸素、胃ろう、ストーマ、褥瘡の処置などの医療処置 ・急変時の初期対応や、状態の変化に気づいて医師に報告した経験 ・退院支援や、家族への介護指導の経験 ・終末期のケアや看取りの経験 ・認知症の患者さんへの対応 ・リーダー業務や、多職種との調整の経験
これらのうち、応募する事業所の利用者に関係が深いものを2つか3つ選び、具体的な場面とともに話せるようにしておきます。
もう1つ、よく聞かれるのが「一人で判断した経験」や「判断に迷ったときにどうしたか」です。訪問看護ならではの質問ですね。
答えるときは、「状況、自分の判断、誰にどう相談したか、結果」の順で話すと伝わりやすくなります。
「夜勤中に、術後の患者さんの呼吸の様子がいつもと違うと感じました。数値はまだ基準の範囲内でしたが、経過を見て悪化する傾向があったので、リーダーに相談したうえで当直の医師に報告しました。早めに対応したことで、大事に至りませんでした」
大事なのは、一人ですべて解決した話である必要はないということです。むしろ、適切なタイミングで相談できた話のほうが、訪問看護の管理者には安心材料になります。
経験が浅い人や、病院以外の職場から来た人も、心配しすぎなくて大丈夫です。介護施設での経験、クリニックでの経験、あるいは子育てや家族の介護の経験も、在宅の生活を理解する力として話せます。
よく聞かれる質問3:オンコール、運転、勤務条件
訪問看護の面接では、勤務条件についての質問がかなり具体的に出てきます。病院の面接よりも踏み込んで聞かれると感じる人が多いかもしれません。
まず、オンコールです。「オンコールには対応できますか」「月に何回くらいなら入れますか」と聞かれます。
オンコールとは、夜間や休日に利用者や家族からの電話を当番の看護師が携帯で受け、必要があれば訪問する仕組みです。24時間対応をしている事業所では、看護師が交代で担当します。
ここで無理をして「何回でも大丈夫です」と答えるのはおすすめしません。入職してから生活が回らなくなり、つらくなるのはあなたです。
子育てや家族の介護などで難しい事情があるなら、「平日の夜は難しいですが、週末であれば月2回程度は対応できます」のように、できる範囲を具体的に伝えましょう。できない理由だけでなく、できることを添えるのがポイントです。
次に、運転です。多くの事業所では、車で訪問します。都市部では自転車や電動自転車のところもあります。「普通自動車の運転免許はありますか」「普段運転していますか」「軽自動車の運転に不安はありませんか」と聞かれます。
免許はあってもペーパードライバーという人は、正直に伝えてください。練習の期間を設けてくれる事業所や、自転車で回れるエリアを担当させてくれる事業所もあります。隠して入職し、訪問先への運転で事故を起こしてしまうほうが、ずっと大きな問題になります。
そのほか、勤務できる曜日や時間、希望する雇用形態(常勤か非常勤か)、入職できる時期も聞かれます。
私自身、以前の転職で、条件のことを聞くのは失礼なのではと遠慮して、ほとんど確かめないまま入ったことがあります。入ってから、思っていた働き方と違うことに気づき、しばらく苦しい思いをしました。条件の話は、わがままではなく、長く働くための準備です。
よく聞かれる質問4:将来像と、長く働けるか
面接の後半では、「今後どのように働いていきたいですか」「将来の目標はありますか」と聞かれることがよくあります。
少人数の事業所にとって、採用した人が長く働いてくれるかどうかはとても大切です。この質問には、あなたが訪問看護の仕事を続けていく姿をどのくらい具体的に描けているかを知りたい、という意図があります。
回答の例として、看護師の転職情報サイトでは次のような形が紹介されています。
【回答例】 将来は管理者を目指しています。 前職の病棟勤務の中で、リーダー業務や後輩育成を行っていました。その中でマネジメント力の大切さを学び、管理者の仕事に興味を持つようになりました。 訪問看護ステーションの責任者になることで、訪問看護師としての市場価値も上げられると考えています。 まずは、御事業所の看護師として経験や知識を培い、管理者にふさわしい看護師になりたいです。 出典: co-medical.com
この例のよいところは、「まずは御事業所の看護師として」と、目の前の仕事から始める姿勢が示されている点です。管理者を目指すこと自体は、事業所にとっても心強い話です。
ただ、みんなが管理者を目指す必要はありません。
「在宅での看取りのケアを深めたい」「認知症の方への関わり方を学び、ご家族の支えにもなれる看護師になりたい」「子育てが落ち着いたら、オンコールも含めて常勤として力を発揮したい」。こうした答えも、長く働く意思がきちんと伝わります。
訪問看護の分野では、在宅ケアに関する認定看護師や、医師の手順書に基づいて一定の医療行為を行う特定行為研修といった学びの道もあります。興味があれば、将来の目標として触れてもよいでしょう。
一方で、「数年経験を積んだら独立したい」という話は、伝え方に気をつけてください。事業所によっては歓迎されますが、「すぐに辞めてしまうのでは」と受け取られることもあります。独立を考えているなら、まずはこの事業所で何年くらい、どんな経験を積みたいのかを添えて話すと安心してもらえます。
答えにくい質問に、どう向き合うか
面接には、答えにくい質問もあります。聞かれたらどうしようと、前の晩に眠れなくなる人もいますよね。
あなたは一人じゃありません。多くの人が同じところで悩んでいます。よくある3つの場面を、一緒に見ていきましょう。
1つめは、ブランクがある場合です。「ブランクの期間は何をしていましたか」「現場に戻ることに不安はありませんか」と聞かれます。
子育てや介護、体調の回復などの理由は、そのまま伝えて大丈夫です。そのうえで、復帰に向けてしていることを話しましょう。復職支援の研修に参加した、看護の雑誌や本で最新の情報を学び直している、といったことで十分です。「不安はありますが、同行訪問で学びながら慣れていきたいです」と、不安を正直に認めつつ前向きな姿勢を示すと、管理者も支え方を考えやすくなります。
2つめは、前の職場を短い期間で辞めている場合です。「前の職場を辞めた理由を教えてください」と聞かれます。
ここでは、前の職場の悪口にならないように気をつけます。事実を短く伝え、そこから学んだことと、今回の職場選びで大切にしていることにつなげます。
「前の職場では、オンコールの担当が少人数に集中する体制で、生活との両立が難しくなりました。今回は、オンコールを複数人で分担している事業所で、長く働きたいと考えています」
このように話せば、辞めた理由がそのまま、次の職場に求める条件の説明になります。
3つめは、訪問看護が未経験の場合です。「訪問看護の経験がありませんが、大丈夫ですか」と聞かれることがあります。
未経験であることは、恥ずかしいことではありません。訪問看護で働く人の多くは、病院など別の場所で経験を積んでから移ってきています。できることとできないことを整理して伝え、どんな支援があれば早く一人立ちできるかを、こちらからも聞いてみてください。
心理学では、不安を感じる状況をあらかじめ言葉にしておくと、実際の場面で落ち着いて対処しやすくなると言われます。答えにくい質問への答えを、声に出して一度練習しておくだけで、当日の緊張はかなり違ってきますよ。
面接で聞き返すこと:体制を確かめる質問
面接の終わりに、「何か質問はありますか」と聞かれます。いわゆる逆質問ですね。
ここは、あなたが事業所を見極めるための大切な時間です。訪問看護ステーションは組織が小さく、事業所ごとの差がとても大きいので、遠慮せずに確かめたいことを聞きましょう。
聞いておきたいことを、テーマごとに挙げます。
【人員と体制】 ・看護師は何人いて、常勤と非常勤はそれぞれ何人ですか ・リハビリ職や事務員はいますか ・ここ1年で入職した人と退職した人は何人くらいですか
【教育と相談】 ・同行訪問は、どのくらいの期間、何回ほどありますか ・一人で訪問するようになるまで、どのように段階を踏みますか ・訪問中に判断に迷ったとき、誰に電話で相談できますか
【オンコール】 ・オンコールは何人で分担していて、1人あたり月に何回くらいですか ・待機手当と、出動したときの手当はそれぞれいくらですか ・夜間に出動した翌日の勤務は、どのように調整していますか ・入職後、いつからオンコールに入りますか
【1日の働き方】 ・1日の訪問件数はどのくらいですか ・記録はどこで、どのくらいの時間をかけて書いていますか ・訪問に使う車は事業所のものですか、自分の車ですか
これを全部聞く必要はありません。求人票や面接の中で分かったことは省き、自分にとって大事なものを3つから5つに絞ってください。
聞き方にもコツがあります。「オンコールは多いですか」と聞くと、答える側も「普通ですよ」としか言えません。「1人あたり月に何回くらいですか」と、数字で答えられる形で聞くと、実態が分かります。
オンコールの待機手当は、1回あたり1,000〜3,000円程度の事業所が多く、出動したときの手当は別に支払われるのが一般的です。
給与の提示額を判断するときには、看護師全体の相場も知っておくと安心です。看護師の年収・単価相場では、公的な統計をもとに、年齢や地域ごとの看護師の給与の水準がまとめられています。訪問看護は夜勤手当がない代わりにオンコール手当がつくので、月給だけでなく手当を含めた年収で比べることがポイントです。
見学と同行訪問で、見ておくこと
面接と一緒に、事務所の見学や同行訪問の見学をさせてもらえることがあります。見学の案内がなければ、こちらからお願いしてみましょう。見学を快く受け入れてくれるかどうかも、事業所の雰囲気を知る手がかりになります。
事務所の見学では、次のような点を見てみてください。
まず、スタッフ同士の会話です。訪問看護ステーションで同僚が顔をそろえるのは、朝の申し送りと夕方の記録の時間くらいです。可能ならその時間帯に見学させてもらうと、質問しやすい雰囲気か、誰かを責めるような言い方をする人がいないかが分かります。
次に、記録と情報共有の仕組みです。タブレットや専用のシステムで記録しているのか、紙の記録が中心なのか。利用者の情報を、スタッフ全員がすぐに確認できる状態になっているか。記録の仕組みが整っている事業所ほど、残業が少なく、オンコールの引き継ぎもスムーズな傾向があります。
そして、ホワイトボードや予定表です。訪問の予定がどのように組まれ、誰がどのくらいの件数を担当しているかが見えることがあります。特定の人に件数が偏っていないかも、さりげなく見ておきましょう。
同行訪問の見学ができる場合は、看護師が利用者の家でどのように振る舞っているかを見ます。挨拶の仕方、家族との話し方、物品の扱い方。ここにその事業所の看護の考え方が表れます。
見学のあとで、「実際に働いている看護師さんに、少しお話を聞けますか」とお願いしてみるのもよい方法です。管理者から聞く話と、スタッフから聞く話が大きく違わなければ、安心材料になります。
訪問に使っている車や自転車も、見られるなら見ておきましょう。車がきれいに整えられ、訪問用の物品が決まった場所にそろっているかどうかで、事業所の仕事の進め方が伝わってきます。物品の補充を誰がいつ行っているのか、個人に任されているのかも、働き始めてからの負担に関わる点です。
見学で気になったことは、その日のうちにメモしておきましょう。複数の事業所を比べるとき、記憶だけでは印象が混ざってしまいます。
面接の前日と当日の準備
最後に、面接の前日と当日の準備をまとめておきます。準備が整っていると、それだけで気持ちが落ち着きます。
服装は、清潔感のあるスーツやオフィスカジュアルが基本です。見学や同行訪問がある場合は、動きやすい靴を選んでおくと安心です。利用者の家に上がることもあるので、脱ぎ履きしやすい靴と、きれいな靴下を意識しておきましょう。
持ち物は、履歴書と職務経歴書、看護師免許証の写し、筆記用具、メモ帳です。運転について聞かれることが多いので、運転免許証も持っていきます。事業所から指定された書類があれば、前日に確認しておきます。
履歴書や職務経歴書には、経験した診療科や業務だけでなく、訪問看護で生かせる医療処置や、退院支援などの経験を具体的に書いておくと、面接での話のきっかけになります。
前日には、事業所の場所と行き方を確認しておきましょう。訪問看護ステーションは住宅地の中や、マンションの一室にあることもあり、初めてだと見つけにくいことがあります。車で行く場合は、駐車場があるかも確かめておきます。
当日は、約束の時間の5分前くらいに着くようにします。早く着きすぎると、少人数で訪問の準備をしている時間帯に迷惑をかけることがあるので、近くで少し待ってから訪ねるのがよいでしょう。
面接の直前には、話したいことを3つだけメモに書いておくと安心です。志望のきっかけになった場面、生かせる経験、確かめたい条件。この3つが手元にあれば、緊張して頭が真っ白になっても、話の軸に戻ってこられます。
面接の前には、深呼吸を3回ほどしてみてください。息をゆっくり吐くことで、体の緊張がほぐれ、頭も整理されます。
面接の練習を誰かに手伝ってもらいたいときは、職業選択や働き方の相談に乗る国家資格であるキャリアコンサルタントに相談する方法もあります。ハローワークなどの公的な窓口にも配置されているので、一人で練習するのが不安な人は利用してみてください。
面接のあとに、確かめておくこと
面接が終わってほっとしたら、その日のうちにもう1つだけ作業をしておきましょう。面接で聞いたことと、見学で見たことの整理です。
オンコールの回数、手当の金額、同行訪問の期間、1日の訪問件数。面接で聞いた数字を、忘れないうちに書き出しておきます。複数の事業所を受けているなら、同じ項目で表にしておくと、あとで比べるときにとても楽になります。
採用の連絡は、1週間ほどで届くことが多いです。小さな事業所では、管理者が訪問の合間に連絡をするので、少し遅れることもあります。10日ほど経っても連絡がなければ、「先日面接していただいた者ですが、選考の状況を伺えますか」と、やわらかく問い合わせて大丈夫です。
内定の連絡を受けたら、入職を決める前に、労働条件を書面で確認してください。雇い入れのときには、賃金、労働時間、休日、仕事の内容などの労働条件を書面などで明示することが、法律で使用者に義務づけられています。
とくに訪問看護では、面接で口頭で聞いたことと書面の内容が合っているかを見ておきたい点がいくつかあります。オンコール手当と出動手当の金額、訪問に自分の車を使う場合のガソリン代や車の手当、試用期間の長さと条件、固定残業代が含まれているかどうか、などです。
書面に書かれていないことや、面接で聞いた話と違うところがあれば、入職前に遠慮なく確認しましょう。「面接でオンコール手当は1回2,000円と伺いましたが、書面に記載が見当たらなかったので確認させてください」と、事実として聞けば角は立ちません。
こういう相談もよくあります。「内定をもらったのに、確認するのは気が引ける」と。でも、入職前に確かめておくことは、あなたにとっても事業所にとっても、あとのすれ違いを防ぐ大切な手順です。
運営者として見てきた、面接で「合う職場」に出会う人
フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、仕事の相手とうまく続く関係は、最初のやり取りの段階で、条件と期待をきちんと言葉にしていることが多いと感じます。これは、雇われる働き方でも、仕事を直接受ける働き方でも変わりません。
面接で条件の質問を遠慮した人は、入ってから「こんなはずではなかった」と感じやすく、早い段階で離れていく傾向があります。反対に、オンコールの回数や手当、相談できる相手のことを最初にはっきり確かめた人は、多少の大変さがあっても「聞いていたとおりだ」と納得して働き続けています。
直接やり取りをする関係では、間に入る人がいないぶん、依頼する側は同じ予算で頼みたいことを頼めて、受ける側は手元に残るものが厚くなります。その代わり、条件を確かめる責任は自分たちにあります。訪問看護ステーションの面接も、それと似ています。小さな組織なので、管理者と直接話し、その場で多くのことが決まります。聞けば答えてもらえる距離の近さを、ぜひ味方にしてください。
もう1つ感じるのは、条件を確かめるときの言葉がやわらかい人ほど、相手からも本音を引き出せているということです。問い詰めるのではなく、「長く続けたいので、先に知っておきたいのですが」と前置きしてから聞く。それだけで、管理者も身構えずに、良いところも大変なところも話してくれるようになります。条件の確認は、相手を疑うことではなく、一緒に働く準備を始めることなのだと思います。
面接は、選ばれる場であると同時に、あなたが選ぶ場でもあります。緊張して当然ですし、うまく話せないことがあっても大丈夫です。この記事で整理したことを1つか2つ手元に持って、あなたらしく話してきてくださいね。
よくある質問
Q. 訪問看護ステーションの面接は何分くらいですか?
面接そのものは30分から1時間ほどが一般的です。面接官は管理者本人であることが多く、事務所の一角で1対1か2対1で話します。そのあとに事務所の見学やスタッフとの顔合わせ、同行訪問の見学がセットになることもあるので、当日は余裕を持って2時間ほど予定を空けておくと安心です。
Q. オンコールに対応できない場合、面接で正直に伝えても大丈夫ですか?
正直に伝えて大丈夫です。できないことを隠して入職すると、あとで生活が回らなくなり、事業所にとっても困る結果になります。「平日の夜は難しいが週末なら月2回程度は可能」のように、できる範囲を具体的に伝えてください。オンコールなしの非常勤を用意している事業所もあります。
Q. 逆質問で給与や手当のことを聞くのは失礼ですか?
失礼ではありません。訪問看護はオンコール手当や出動手当など手当の仕組みが事業所ごとに違うため、確かめておくことが長く働くための準備になります。「待機手当と出動時の手当はそれぞれいくらですか」のように、数字で答えられる形で聞くと、実態が分かりやすくなります。
Q. 訪問看護が未経験でも、面接で不利になりませんか?
未経験だけで不利になることは多くありません。訪問看護で働く人の多くは、病院など別の場所で経験を積んでから移ってきています。医療処置や退院支援、急変時に報告した経験など、在宅で生かせる経験を具体的に話し、同行訪問の期間や相談の仕組みをこちらからも確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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