外来を辞めたいと思ったとき|出ていく前に切り分けておくこと


この記事のポイント
- ✓外来を辞めたいと感じた看護師さんへ
- ✓外来ならではの辞めたい理由を切り分け
- ✓法律で確かめられること
先日、外来で働く看護師さんから相談を受けました。「昼休憩がほとんど取れないのに、残業代は定時の後の分しかつかない。医師の機嫌で1日の空気が変わるのも疲れた。もう外来を辞めたい」と。
話を聞いていくと、この方が本当に困っていたのは、外来という仕事そのものではありませんでした。休憩が取れていない時間が労働時間として扱われていないこと、そして、つらいと感じたときに相談できる相手がいないことでした。
外来を辞めたいという気持ちは、とても自然なものです。ただ、辞める前に「何が原因でつらいのか」を切り分けておかないと、次の職場でも同じことが起きます。これ、知らない人が本当に多いんです。
この記事では、外来という職場で辞めたい気持ちが生まれやすい理由を整理したうえで、その原因を切り分ける方法、法律で確かめられること、院内での異動という選択、そして辞めると決めたときの手順と退職後のお金の話まで、順番にお話しします。
外来で「辞めたい」が生まれやすいのは、職場の構造に理由がある
まず、外来で辞めたい気持ちが生まれやすい理由を、職場の構造から見ていきます。自分を責める前に、ここを知っておいてください。
外来は、受付時間に合わせて1日が動く職場です。午前の受付が12時までなら、診察が終わるのは13時を過ぎることがよくあります。午後の受付が13時半から始まれば、その間の休憩は30分あるかないか。つまり、昼休憩は「午前の診察が延びた分だけ削られる」構造になっています。
人員体制も、辞めたい気持ちに関係します。医療法の人員配置の標準では、外来は患者30人に対して看護職員1人が目安です。これは最低限の基準なので、多くの外来は診療科ごとに1〜2人ずつで持ち場を回しています。1人が休むと、残りの人に負担が一気にのしかかります。
さらに、外来はパートの看護師さんが多い職場です。午前だけ、週3日だけ、という人が混ざっているので、午後や夕方の人手は薄くなりがちです。常勤の看護師は、パートの方が帰った後の時間帯や、委員会活動、物品管理など、見えにくい仕事を引き受けることになります。「常勤ばかりが大変」と感じやすい理由はここにあります。
そして、外来の1日は医師のペースで動きます。医師によって診察のスタイルが違い、曜日によって担当が変わると、準備の仕方も動き方も変わります。医師の言動が職場の雰囲気を大きく左右するので、相性が合わない医師がいると、その曜日が来るたびに気が重くなります。
外来で辞めたいと感じる理由として、よく聞くのは次のようなものです。
・昼休憩が取れない、取れても短い ・午後の診察が延びて、残業が当たり前になっている ・医師の言動がきつい、機嫌で空気が変わる ・少人数なので、人間関係に逃げ場がない ・常勤とパートの負担に差がある ・患者さんとの関わりが短く、看護をしている実感がない ・看護技術が落ちていく不安がある ・待ち時間への苦情を受け止め続けて疲れた
見てみると、これらは大きく3つに分けられます。「職場の運営の問題」「外来という働き方と自分の相性の問題」「自分の心と体の状態の問題」です。次の章で、この切り分け方を具体的にお話しします。
まず切り分ける:職場の問題か、働き方の相性か、心と体の状態か
辞めたいと感じたとき、最初にやってほしいのが、原因の切り分けです。紙に書き出すと整理しやすいので、ぜひやってみてください。
職場の運営の問題
昼休憩が取れない、残業代が正しくつかない、人員が足りない、パワハラに当たる言動がある。こうしたものは、職場の運営の問題です。
つまり、「外来だから仕方ない」ではなく、「この病院の運営がそうなっている」ということです。同じ外来でも、休憩を交代で確実に取らせている病院はありますし、診察が延びた分を残業として正しく扱っている病院もあります。
このタイプの問題は、法律で確かめられることが多いです。後の章で詳しくお話ししますが、休憩や残業代には労働基準法の決まりがあります。職場に改善を求めることもできますし、改善されないなら、辞める理由として十分に正当です。
外来という働き方との相性の問題
患者さんとの関わりが短くて物足りない、看護技術を磨きたい、割り込みが多くて集中できない。こうしたものは、外来という働き方と自分の性質の相性の問題です。
このタイプの問題は、同じ病院の中で異動したり、同じ外来でも別の部門や別の規模の職場を選んだりすることで、解決できることがあります。たとえば、関わりの短さがつらいなら、化学療法や透析、糖尿病の療養指導など、同じ患者さんと長く関わる部門があります。技術を磨きたいなら、救急外来を持つ病院や、病棟に戻る選択もあります。
心と体の状態の問題
眠れない、朝起きると体が重い、休日も仕事のことが頭から離れない、以前は楽しめたことが楽しめない。こうした状態が2週間以上続いているなら、原因の切り分けより先に、心と体を休ませることを優先してください。
※このケースでは、まず医療機関を受診してください。看護師さんは自分の不調を後回しにしがちですが、心身の不調で休職する場合、健康保険の傷病手当金を受け取れることがあります。辞めるかどうかは、体調が落ち着いてから考えても遅くありません。
書き出すときのコツ
紙に「辞めたい理由」を思いつくだけ書いて、それぞれの横に「職場」「相性」「心身」のどれに当たるかを書いてみてください。1つの理由が複数に当たることもあります。
私がこの作業をお勧めするのは、自分自身の経験があるからです。独立する前、事務所勤めをしていたころに「辞めたい」と強く思った時期がありました。書き出してみると、仕事の内容ではなく、特定の上司とのやりとりと、深夜まで続く作業の2つがほとんどを占めていました。原因が分かったことで、「この事務所を辞める」ことと「この仕事を辞める」ことは別だと気づけたんです。
外来の看護師さんも同じです。「外来を辞めたい」のか、「この病院の外来を辞めたい」のか、「看護師を辞めたい」のか。ここが分かるだけで、次の一歩がまったく変わります。
昼休憩と残業代:法律で確かめられること
外来の辞めたい理由で最も多い「休憩が取れない」「残業代がつかない」について、法律で確かめられることを整理します。
休憩時間の決まり
労働基準法第34条では、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に与えなければならないと定めています。
そして、休憩は「労働から完全に離れられる時間」でなければなりません。つまり、休憩室にいても電話番を任されている、患者さんに呼ばれたら対応しなければならない、という状態は、法律上の休憩とは言えない可能性が高いんです。これは「手待ち時間」と呼ばれ、労働時間として扱われます。
外来でよくあるのが、「昼休憩中も内線が鳴ったら出る」「診察が延びた分、休憩は各自で取ってと言われるが、実際には取れない」というケースです。これ、知らない人が本当に多いんですが、休憩が取れなかった時間は、本来は労働時間です。
残業代の決まり
労働基準法第37条では、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて働かせた場合、25%以上の割増賃金を支払うことが定められています。
外来でよくあるのが、「始業前の準備時間」と「診察後の片付け時間」が残業として扱われていないケースです。受付開始前に処置室の準備をするよう指示されているなら、その時間は労働時間です。つまり、「タイムカードを押す前の準備」「押した後の片付け」が当たり前になっているなら、残業代が正しく支払われていない可能性があります。
まず自分でできること
いきなり職場と対立する必要はありません。まずは、自分の実際の労働時間を記録してください。出勤した時刻、準備を始めた時刻、休憩に入れた時刻と戻った時刻、診察が終わった時刻、退勤した時刻。手帳でもスマートフォンのメモでも構いません。1〜2か月分あれば、実態が見えてきます。
記録を持って、まずは看護師長や事務長に相談します。「休憩が取れていない日がこれだけあります」と具体的に伝えると、話が進みやすくなります。
それでも改善されない場合は、各都道府県の労働局にある総合労働相談コーナーや、労働基準監督署に相談できます。相談は無料で、匿名での相談も受け付けています。詳しくは厚生労働省のサイトから確認できます。
※未払いの残業代を請求したい場合は、弁護士に相談してください。請求できる期間には時効があり、2020年4月以降に支払われるべき賃金は、当面3年とされています。
休憩や残業の問題は、辞めることでしか解決できないわけではありません。ただ、改善を求めても変わらない職場なら、それは辞める理由として十分に正当です。法律はあなたの味方です。
医師やスタッフとの関係がつらいとき
外来の辞めたい理由で次に多いのが、人間関係です。少人数の職場なので、1人との関係がこじれると、毎日がつらくなります。
パワーハラスメントに当たるかを確かめる
労働施策総合推進法、いわゆるパワハラ防止法では、職場のパワーハラスメントを「優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害されるもの」と定めています。
つまり、医師と看護師のように立場に差がある関係で、業務上の必要を超えた言動によって働く環境が悪くなっているなら、パワハラに当たる可能性があるということです。
厚生労働省の指針では、パワハラの代表的な類型として6つが挙げられています。身体的な攻撃、精神的な攻撃(人格を否定する発言や、他の人の前での威圧的な叱責など)、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害です。
外来でよく聞くのは、患者さんの前で大声で叱責される、準備が遅いと物に当たられる、特定の看護師だけ無視される、といったものです。こうした言動が繰り返されているなら、我慢する必要はありません。
事業主には、パワハラの相談窓口を設けることが義務づけられています。病院の中に相談窓口があるはずなので、まずはそこを確認してください。窓口が機能していない場合は、先ほどの総合労働相談コーナーに相談できます。
記録を残しておく
人間関係のトラブルで大切なのは、記録です。いつ、どこで、誰に、何を言われたか、周りに誰がいたか。できるだけその日のうちに書き留めておいてください。
これは、あるクリニックで働いていた看護師さんのケースです。院長から毎日のように「使えない」と言われ続けて、心身の調子を崩しました。本人は「私が仕事ができないから仕方ない」と思い込んでいたんです。記録をつけ始めてみると、同じ言葉が他のスタッフにも向けられていたことが分かりました。原因が自分ではなく、職場の側にあると気づいたことで、ようやく辞める決心がつきました。
※パワハラによって心身の不調が出ている場合や、損害賠償を考えている場合は、弁護士に相談してください。
パワハラではないけれど合わない場合
言動が法律上のパワハラに当たらなくても、相性が合わないことはあります。外来は医師によって診察のスタイルが違うので、「この先生の日だけつらい」ということも起きます。
この場合は、担当の曜日や診療科を変えてもらえないか相談してみる価値があります。外来は持ち場の調整がしやすい職場なので、師長に「この先生の日の動き方がうまくつかめない」と相談すると、配置を考えてもらえることがあります。
辞める前に、院内での異動という選択を考える
原因を切り分けてみて、「外来という働き方と自分の相性の問題」や「特定の人との相性の問題」だと分かったら、病院を辞める前に、院内での異動を考えてみてください。
異動のメリット
病院を変わらずに部署を変えれば、雇用契約はそのままです。つまり、勤続年数が途切れず、有給休暇の日数も、退職金の計算も引き継がれます。これ、知らない人が本当に多いんですが、年次有給休暇は勤続年数に応じて増えていく仕組みなので、転職すると付与日数がリセットされてしまいます。
また、病院の仕組みや電子カルテ、他部署の人の顔を知っているので、新しい職場に入るときの負担が小さく済みます。
どこへ異動するか
外来の中で持ち場を変える方法があります。一般外来から、化学療法室、内視鏡室、透析室、健診センターなど、専門の部門に移ると、同じ外来でも働き方がかなり変わります。
病棟へ戻る方法もあります。外来で物足りなさを感じている方や、看護技術を磨きたい方には、病棟に戻ることで仕事の手応えを取り戻せることがあります。ただし、夜勤が再び始まるので、生活との兼ね合いを考える必要があります。
地域連携室や入退院支援の部署など、看護師の経験を活かしながら、患者さんの生活に長く関わる部署もあります。外来で患者さんの生活背景に触れてきた経験は、こうした部署で役に立ちます。
異動を相談するときの伝え方
「辞めたい」ではなく、「こういう経験を積みたい」と伝えるほうが、話が前向きに進みやすいです。たとえば、「外来で慢性疾患の患者さんと関わる中で、もっと継続的に療養支援に関わりたいと考えるようになりました」というように、今の経験から次の希望につなげて話してください。
ただし、異動の希望がすぐに通るとは限りません。人員の都合で、半年から1年待つこともあります。その間の心身の状態と相談しながら、待つか、転職するかを決めてください。
雇用形態を変えるという選択
部署ではなく、雇用形態を変える方法もあります。常勤からパートに切り替えて、午前だけ、週3日だけの勤務にする。外来はもともとパートの看護師さんが多い職場なので、この切り替えを受け入れている病院は少なくありません。
つまり、「外来の仕事は嫌いではないけれど、常勤の負担が重い」という方にとっては、辞めずに負担を減らせる選択肢になるということです。ただし、勤務時間が減ると、社会保険の加入条件や、有給休暇の付与日数、賞与の有無が変わることがあります。切り替える前に、就業規則と雇用契約書で条件を確認し、分からないところは人事の担当者に書面で説明してもらってください。
残ると決めたとき、自分の側で変えられること
切り分けてみた結果、「今すぐ辞めるほどではない」と感じた方もいると思います。その場合に、自分の側で変えられることをお話しします。職場を変えるのは時間がかかりますが、自分の動き方は明日から変えられます。
休憩を「取りに行く」
外来で休憩が削られる職場では、休憩は「空いたら取るもの」になりがちです。これを「交代で取りに行くもの」に変えてみてください。午前の診察が終わりかけたら、「先に休憩いただいて、13時15分に戻ります」と同僚に声をかけておく。戻る時刻を伝えておくと、相手も予定を立てやすくなります。
1人で言い出しにくい場合は、同じ持ち場の人と「休憩は交代で必ず取ろう」と決めておくと、声をかけやすくなります。休憩が確保できていない日を記録しておくことも、先ほどお話しした通り、職場に改善を求める材料になります。
医師ごとの動き方をメモにする
医師との関係がつらい原因の多くは、その先生の診察の進め方がつかめていないことにあります。どのタイミングで何を準備してほしいのか、どんな言い方で報告すると受け取ってもらいやすいのか。こうしたことを、先生ごとにメモにしておくと、同じ曜日が来たときの気の重さがずいぶん変わります。
これは相手に合わせて我慢するということではありません。相手の動きを予測できるようにして、自分の負担を減らすための工夫です。パワハラに当たる言動がある場合は、先ほどお話しした相談窓口と記録で対応してください。
仕事の外に、話せる相手を持つ
外来は少人数の職場なので、職場の中で愚痴を言える相手がいないことがよくあります。同じ看護師でも別の病院で働く友人、看護学校の同期、家族など、職場の外に話せる相手を1人持っておくと、気持ちの逃げ場になります。
期限を決めて様子を見る
「3か月だけ、この工夫を続けてみる」と期限を決めておくのもお勧めです。期限がないと、我慢がずるずると続いてしまいます。3か月後にもう一度、辞めたい理由を書き出してみて、変わっていなければ、次の行動に移る判断材料になります。
反対に、3か月のあいだに休憩が取れる日が増えた、特定の先生の日の動き方がつかめてきた、という変化があれば、それは「外来が合わない」のではなく「慣れるまでの時期だった」ということかもしれません。外来は、診療科ごと、医師ごとのルールを覚えきるまでに半年ほどかかることが珍しくない職場です。どちらの結果になっても、期限を決めて確かめたこと自体が、次の判断を納得のいくものにしてくれます。
辞めると決めたときの手順
いろいろ考えたうえで、やはり辞めると決めた場合の手順を、法律の決まりと合わせて整理します。
いつまでに伝えればいいか
期間の定めのない雇用契約(いわゆる正社員や、期間の定めのないパート)の場合、民法第627条では、退職の申し入れから2週間が経過すれば雇用契約は終了すると定められています。
つまり、法律上は2週間前に伝えれば辞められます。ただし、就業規則には「退職の1か月前までに申し出ること」のように書かれていることが多いです。円満に辞めたいなら、就業規則の期間に合わせて伝えるのが現実的です。外来の場合は、シフトが1か月単位で組まれていることが多いので、1〜2か月前に伝えると、職場の調整がしやすくなります。
期間の定めのある雇用契約(契約期間が決まっているパートなど)の場合は、少し事情が違います。民法第628条では、やむを得ない事由があるときは期間の途中でも解除できるとされていますが、原則は契約期間の満了までは働くことが前提です。ただ、契約期間が1年を超える場合は、1年を過ぎればいつでも退職できるという規定もあります(労働基準法第137条)。
※辞めさせてもらえない、損害賠償を請求すると言われた、といった場合は、労働基準監督署か弁護士に相談してください。
有給休暇の消化
退職前に有給休暇を消化することは、労働者の権利です。使用者には時季変更権(業務の都合で取得日を変えてもらう権利)がありますが、退職日を超えて変更することはできません。つまり、退職日までに残っている有給休暇は、原則として使えるということです。
ただし、外来は少人数の職場なので、引き継ぎの期間を考えて、退職日と有給消化の日程を早めに師長と相談しておくと、トラブルになりにくいです。
引き継ぎで残しておくもの
外来の引き継ぎで大切なのは、担当していた医師ごとの診察の癖、物品の置き場所と発注のタイミング、定期受診の患者さんの中で注意が必要な方の情報、電話でよく受ける問い合わせへの対応などです。これらを簡単なメモにしておくと、残る人が助かりますし、自分も気持ちよく次へ進めます。
退職の意思は書面でも残しておく
口頭で師長に伝えただけでは、「聞いていない」「まだ正式ではない」と扱われることがあります。退職届を提出し、受け取った日付が分かる形にしておくと安心です。つまり、いつ申し入れたかを後から証明できるようにしておくということです。退職届の書式が職場で決まっている場合は、それに従ってください。受け取ってもらえない場合は、内容証明郵便で送る方法もあります。
辞めた後のお金と、次の職場の探し方
最後に、辞めた後の暮らしについてお話しします。ここを考えずに辞めてしまうと、焦って次の職場を決めて、また同じことを繰り返しやすくなります。
失業給付
雇用保険に加入していた方は、退職後にハローワークで手続きをすると、基本手当(いわゆる失業給付)を受け取れることがあります。自己都合で退職した場合、受け取りが始まるまでに給付制限期間があります。2025年4月からは、この期間が原則1か月に短縮されました。
一方、休憩が取れない、残業代が支払われない、パワハラを受けたといった理由で退職した場合は、「特定受給資格者」や「特定理由離職者」として扱われ、給付制限がかからないことがあります。つまり、先ほどお話しした労働時間の記録や、ハラスメントの記録が、ここでも役に立つということです。
健康保険と年金
退職すると、勤務先の健康保険から外れます。任意継続(退職後2年まで前の健康保険に加入し続ける方法)、国民健康保険への加入、家族の扶養に入る方法のいずれかを選びます。保険料は人によって違うので、市区町村の窓口や加入していた健康保険組合に確認してください。
次の職場の年収の目安
外来から別の職場に移るとき、年収がどう変わるかは気になるところです。病棟に戻れば夜勤手当がつくぶん上がりやすく、クリニックや健診センターに移ると下がりやすい傾向があります。看護師の年収や時給の相場を、勤務先の種類ごとにまとめたページがあるので、次の職場を考える目安にしてください。看護師の年収・単価相場
同じことを繰り返さないために
少し意外な話をします。外来で禁煙の支援に関わったことがある看護師さんなら、次の言葉に見覚えがあるかもしれません。
禁煙は直線的に成功するものではなく、波があって当然です。禁煙外来では、こうした経過も含めてサポートします。「失敗した」と感じた時こそ、相談する価値があります。 出典: tsuneda-clinic.com
外来の看護師さんは、患者さんにこうして「失敗しても相談していい」と伝える側にいます。でも、自分の働き方については、1人で抱え込んでしまう方がとても多いんです。職場選びも、1回でうまくいくとは限りません。「外来を選んだのは失敗だった」と感じたときこそ、誰かに相談してください。
次の職場を探すときは、求人票で病床数、1日の外来患者数、休憩の取り方、残業の実態、常勤とパートの割合を確認し、見学は午前の混雑している時間にお願いしてください。今回の辞めたい理由を書き出したメモを見ながら、同じ原因がないかを1つずつ確かめると、選び直しの精度が上がります。
20年この市場を見てきた立場からの観察
ここからは、フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見えていることをお話しします。
運営者として長く見てきた限りでは、組織を辞めた後にうまく次の働き方を見つける人には、共通点があります。辞めた理由を「職場のせい」「自分のせい」と一言で片づけず、何が合わなかったのかを具体的に言葉にできていることです。そして、長く仕事が続く人ほど、単発の作業ではなく「この人に任せると安心」という関係づくりに時間を使っています。外来で医師や患者さんに信頼されていた経験は、職場が変わっても、組織の外で仕事をするときにも、確実に生きてきます。
もう1つ見えているのは、間に仲介が入らない直接の関係のほうが、双方にとって無理がないということです。手数料が乗らなければ、依頼する側は同じ予算でより丁寧に頼め、受ける側は手数料0%のぶん手取りが厚くなります。医療系の記事の監修や健康相談など、看護の知識を組織の外で生かす仕事でも、この構造は変わりません。
組織の外で仕事を受ける場合は、フリーランス保護新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が2024年11月から施行されています。発注者には、業務の内容や報酬額、支払期日を書面などで明示する義務があり、報酬は受け取りから60日以内に支払うことが定められています。つまり、外来を辞めて副業や独立を考える場合も、法律が働く人を守る仕組みはちゃんと用意されているということです。
辞めるかどうか、どこへ移るかを1人で決めきれないときは、キャリアの相談を専門にする人の力を借りるのも1つの方法です。国家資格であるキャリアコンサルタントの役割や試験の概要をまとめたページがあります。キャリアコンサルタント
職場や転職の悩みを相談できる仕事がどのように行われているかをまとめたガイドもあります。相談先を探すときの手がかりにしてください。職場・転職・キャリア相談のお仕事
外来を辞めたいと感じることは、看護師として失格ということではありません。原因を切り分けて、確かめられることを確かめてから動けば、辞めても辞めなくても、次の一歩は必ず今より良いものになります。法律はあなたの味方です。
よくある質問
Q. 外来の看護師が辞めたいと感じる一番多い理由は何ですか?
昼休憩が取れない、診察が延びて残業が当たり前になっている、医師との関係がつらいといった理由が多く聞かれます。外来は受付時間に合わせて1日が動き、少人数で持ち場を回すため、休憩が削られやすく人間関係に逃げ場がありません。辞める前に、職場の運営の問題か、働き方との相性か、心身の状態かを切り分けることが大切です。
Q. 外来で昼休憩が取れないのは違法ですか?
労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければなりません。休憩中も電話番をしている、呼ばれたら対応しなければならない状態は、法律上の休憩とは言えない可能性があります。まず実際の労働時間を記録し、改善されなければ労働基準監督署に相談できます。
Q. 外来を辞めるには何日前に伝えればいいですか?
期間の定めのない雇用契約なら、民法上は申し入れから2週間で退職できます。ただし就業規則で1か月前などと定められていることが多く、外来はシフトが月単位で組まれるため、1〜2か月前に伝えると調整がスムーズです。契約期間の決まったパートの場合は事情が異なるので、契約書を確認してください。
Q. 外来を辞めずに働き方を変える方法はありますか?
院内での異動を考えてみてください。化学療法室や透析室、健診センターなどの専門部門、病棟、地域連携室など、同じ病院でも働き方は大きく変わります。雇用契約が続くので、勤続年数や有給休暇の日数も引き継がれます。異動を相談するときは「辞めたい」ではなく、積みたい経験として伝えると話が進みやすくなります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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