外来の面接で聞かれること|現場が見ている点と、聞き返すこと


この記事のポイント
- ✓外来看護師の面接で聞かれることを
- ✓面接官が確かめたい点から整理しました
- ✓規模ごとに聞かれやすい質問
先日、病棟から外来への転職を考えている看護師さんから相談を受けました。「面接で『外来を希望する理由は?』と聞かれて、『夜勤がないからです』としか言えなかった。そうしたら落ちてしまった」と。
さらに話を聞くと、この方は内定をもらった別の病院で、面接では「外来配属」と言われていたのに、入職の書類には配属先の変更についての記載がなかったそうです。これ、知らない人が本当に多いんです。面接の受け答えだけでなく、面接の場で何を聞き返し、内定後に何を書面で確かめるかまでが、外来への転職の「面接」なんです。
この記事では、外来の面接で面接官が何を見ているのかを、外来という職場の中で起きていることから整理します。そのうえで、よく聞かれる質問とその答え方、職場の規模ごとに聞かれやすいこと、答えなくてよい質問、こちらから聞き返すべきこと、そして内定後に書面で確かめる労働条件まで、順番にお話しします。
外来の面接官は、何を確かめようとしているのか
まず、面接官の側から考えてみます。外来の看護師を採用するとき、現場は何を心配しているのでしょうか。
外来という職場の事情
外来は、受付時間に合わせて1日が動く職場です。午前の受付が終わっても診察は13時を過ぎることが多く、午後の受付が始まるまでの休憩は短くなりがちです。医療法の人員配置の標準では、外来は患者30人に対して看護職員1人が目安で、診療科ごとに1〜2人ずつで持ち場を回しています。
さらに、外来はパートの看護師さんが多い職場です。曜日ごとにメンバーが入れ替わり、1人が休むと残りの人に負担が一気にかかります。そして1日の流れは医師のペースで決まります。
こうした事情から、外来の面接官が特に心配しているのは、次のようなことです。
・短期間で辞めてしまわないか(少人数なので1人の退職の影響が大きい) ・医師のペースに合わせて動けるか ・少人数の中で、パートの方や他職種とうまくやれるか ・勤務できる曜日や時間が、職場のシフトと合うか ・「夜勤がない」「楽そう」というイメージだけで来ていないか
採用担当者が重視する3つの点
介護・医療職向けの求人サイトには、外来看護師の志望動機について、こう書かれています。
採用担当者は、志望動機から「外来を選んだ理由」「活かせる経験」「応募先を選んだ理由」の3点を重視しています。 出典: kaigojob.com
つまり、「なぜ病棟ではなく外来なのか」「これまでの経験を外来でどう使えるのか」「数ある外来の中で、なぜこの病院なのか」の3つです。面接で聞かれる質問の多くは、形を変えてこの3つを確かめるものだと考えてください。
面接官は誰か
面接官が誰かによっても、見ている点は少し変わります。大規模な病院では、看護部長や副部長が面接をし、外来の師長が同席することが多いです。看護部長は組織全体の中での適性や定着の見込みを、外来師長は現場で一緒に働けるかを見ています。クリニックでは、院長が直接面接することがほとんどで、院長自身との相性や、診療方針への理解が重視されます。
面接官が複数いる場合は、それぞれの立場を意識して答えると、伝わり方が変わります。
よく聞かれる質問1:なぜ外来を希望するのか
外来の面接で必ずと言っていいほど聞かれるのが、「なぜ外来なのか」です。
「夜勤がないから」だけでは不十分な理由
冒頭の方のように、「夜勤がないから」とだけ答えてしまうのは、よくある失敗です。夜勤がないことを理由にすること自体は、悪いことではありません。生活との両立は、長く働き続けるための大切な条件です。
問題は、それしか言わないことです。面接官から見ると、「夜勤がない職場なら、外来でなくてもいいのでは」「外来の忙しさを知ったら辞めてしまうのでは」と心配になります。
答え方の組み立て
外来を選んだ理由は、次の3つの部品で組み立てると伝わりやすくなります。
1つめは、きっかけです。病棟で退院後の患者さんの生活が気になった、外来に応援に行ったときに短い関わりの中での判断に手応えを感じた、家族の通院に付き添って外来の看護師の役割を知った、など、具体的な場面を1つ挙げます。
2つめは、外来という職場への理解です。「外来では限られた時間の中で患者さんの状態を見極め、医師に適切に報告することが求められると理解しています」というように、外来の仕事を具体的に分かっていることを示します。
3つめは、生活との両立です。ここで初めて、「日勤の勤務で生活を整え、長く働き続けたいと考えています」と伝えます。順番を変えるだけで、同じ内容でも印象はまったく違います。
回答の例
「病棟で糖尿病の患者さんを担当していたとき、退院後に自己管理が続かず再入院される方が多いことが気になっていました。外来では、通院のたびに生活の様子を聞き、小さな変化に気づける立場にあると考えています。短い時間で状態を見極め、必要なことを医師に伝える役割に力を注ぎたいと思い、外来を希望しました。日勤の勤務で生活を整え、長く続けていきたいと考えています」
このように、具体的な場面、外来の役割への理解、長く働く意思の3つがそろうと、面接官の心配に答える形になります。
「なぜこの病院の外来なのか」も用意しておく
「外来を選んだ理由」と合わせて、「なぜこの病院なのか」も聞かれます。病院のサイトで、専門外来の種類、看護外来の有無、地域での役割、診療時間などを確認し、自分の経験や希望とつながる点を1つ見つけておいてください。「貴院では糖尿病の看護外来を設けていると拝見し」というように、具体的に触れると、下調べをしてきたことが伝わります。
よく聞かれる質問2:これまでの経験を外来でどう生かすか
次に多いのが、経験に関する質問です。応募する人の経歴によって、聞かれ方が変わります。
病棟経験がある場合
病棟経験がある方は、「病棟での経験を外来でどう生かしますか」と聞かれることが多いです。先ほどの求人サイトには、急性期の経験について、こう書かれています。
急性期での経験は、外来で特に求められる「迅速な対応力」や「緊急時の判断力」に直結します。多忙な業務を的確に対応してきた実績をメインにアピールしましょう。 出典: kaigojob.com
外来では、待合で具合が悪くなる患者さんや、電話で症状を訴える患者さんへの判断が毎日あります。病棟で急変に対応した経験、複数の患者さんを同時に受け持ちながら優先順位を判断した経験は、ここに直結します。具体的な場面を1つ挙げて、「その経験を外来の待合での観察や電話対応に生かしたい」とつなげてください。
慢性期や回復期の病棟にいた方は、患者さんや家族への説明、生活指導、退院支援の経験を挙げると、外来の療養指導や継続看護につなげやすいです。
ブランクがある場合
子育てや介護などでブランクがある方は、「ブランクへの不安はありませんか」と聞かれることがあります。
ここで大切なのは、不安を隠さず、どう補うかを具体的に伝えることです。「採血などの手技には不安がありますので、入職前に復職支援の研修に参加しました」「最初の数か月は、分からないことをその日のうちに確認するようにします」というように、行動で答えます。
家庭との両立で培った経験も、外来では生きます。同じ求人サイトには、家庭と仕事の両立で培った時間管理の力や生活者としての視点が、外来業務でも強みになると書かれています。通院する患者さんの多くは、仕事や家庭の事情を抱えながら治療を続けています。その事情を想像できることは、外来の看護師にとって大きな力です。
クリニックや他の外来の経験がある場合
別の外来からの転職なら、「前の職場を辞めた理由」を必ず聞かれます。前の職場の悪口にならないように、「前の職場ではこういう経験を積んだ。次はこういう経験を積みたいので、貴院を選んだ」という前向きな流れで答えてください。
たとえば、「前のクリニックでは看護業務に加えて受付や会計も担当し、患者さんの流れ全体を見る力がつきました。今後は、化学療法などの専門的な外来看護に関わりたいと考え、貴院を志望しました」という形です。
よく聞かれる質問3:勤務できる曜日と時間、残業
外来の面接で、病棟の面接より細かく聞かれるのが、勤務条件です。
なぜ勤務条件を細かく聞かれるのか
外来は、曜日ごとにシフトが組まれ、パートの方の勤務日が決まっている職場です。新しく入る人が「どの曜日の、どの時間帯に入れるか」によって、職場の人員配置が大きく変わります。
また、午後の診察が延びたときに残業ができるか、土曜の外来に入れるか、急な休みが出たときに代わりに入れるか、といったことも、少人数の外来では重要な情報です。
正直に、でも伝え方を工夫する
勤務条件については、正直に答えてください。入職後に「実は水曜は入れない」となると、職場にも自分にも負担がかかります。
子どもの送り迎えなどで時間に制約がある場合は、制約だけを伝えるのではなく、「どうすればできるか」を合わせて伝えます。「平日は17時までの勤務を希望します。月に数回であれば、家族に協力を頼んで延長にも対応できます」というように、できる範囲を具体的に示すと、面接官は配置を考えやすくなります。
残業について聞かれたとき
「残業はできますか」と聞かれたら、できる範囲を正直に答えます。ここで無理に「大丈夫です」と答えてしまうと、入職後に苦しくなります。
同時に、この質問は、こちらからその職場の残業の実態を聞き返すきっかけにもなります。「外来の診察が延びた場合、実際にはどのくらいの残業が多いでしょうか」と自然に聞けます。
※残業代や休憩の扱いについては、労働基準法の決まりがあります。労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えることが定められています。つまり、面接で「昼休憩は取れたら取る感じです」と言われたら、実態を確かめておく必要があるということです。
職場の規模によって、聞かれやすいことが違う
同じ外来でも、病院の規模によって面接で重視される点は変わります。応募先に合わせて準備してください。
大学病院・大規模病院
大規模病院の外来は、診療科ごとに分業が進み、化学療法室や内視鏡室など専門の部門があります。面接では、「どの分野に関心がありますか」「将来どんな看護師になりたいですか」といった、専門性やキャリアの方向性を聞かれることが多いです。
また、部署の異動がある病院では、「外来以外への配属になった場合はどうしますか」と聞かれることもあります。ここは正直に答えつつ、後の章でお話しする「変更の範囲」を必ず書面で確かめてください。
中規模の地域病院
中規模病院の外来では、複数の診療科の兼務や、救急対応、病棟応援があることが多いです。面接では、「複数の診療科を担当することに抵抗はありませんか」「救急の対応経験はありますか」「病棟の応援に入ることはできますか」といった、柔軟性を確かめる質問が出やすいです。
オンコール(夜間や休日の呼び出し当番)の有無についても、この段階で確認しておいてください。夜勤のない働き方を期待して外来を選んだのに、オンコールがあったというのはよくあるすれ違いです。
クリニック
クリニックでは、院長が直接面接することがほとんどです。看護業務に加えて、受付や会計の手伝い、電話対応、清掃などを担うことが多いので、「看護以外の業務もお願いすることがありますが大丈夫ですか」と聞かれます。
また、少人数の職場なので、人柄や相性が重視されます。「前の職場の人間関係はどうでしたか」「どんなときにストレスを感じますか」といった質問も出やすいです。院長の診療方針に共感できる点を1つ伝えられると、印象が良くなります。
専門特化型の外来
透析クリニックなら穿刺の経験、美容クリニックなら接客の経験やカウンセリングへの抵抗感、健診センターなら採血の件数への対応など、分野に特有の質問が出ます。応募先の分野で求められる技術を事前に調べ、経験がない場合は、どう身につけるつもりかを答えられるようにしておいてください。
どの規模でも共通して聞かれやすいのが、「パートの方や他の職種と、どのように連携してきましたか」という質問です。外来は受付、クラーク、検査部門など多くの職種の受け渡しで成り立っているので、情報を丁寧に引き継いだ経験や、立場の違う人と調整した経験を1つ用意しておくと安心です。
答えなくてよい質問もある
面接では、答える必要のない質問をされることもあります。これ、知らない人が本当に多いんです。
公正な採用選考の考え方
厚生労働省は、公正な採用選考のために、応募者の適性や能力に関係のない事項で採否を決めないよう、事業主に求めています。具体的には、次のような事項を面接で尋ねることは、就職差別につながるおそれがあるとされています。
・本籍や出生地に関すること ・家族の職業、続柄、健康状態、収入、資産など家族に関すること ・住宅の状況(間取り、部屋数、住宅の種類など) ・生活環境や家庭環境に関すること ・宗教、支持政党、人生観、尊敬する人物、思想に関すること ・購読している新聞や雑誌、愛読書に関すること
つまり、「ご両親は何のお仕事をされていますか」「支持している政党はありますか」といった質問には、答える義務はないということです。詳しくは厚生労働省のサイトで、公正な採用選考についての案内を確認できます。
結婚や出産の予定を聞かれたとき
男女雇用機会均等法では、募集や採用で性別を理由に差別することが禁止されています。女性にだけ結婚や出産の予定を聞くことは、この考え方に反するおそれがあります。
ただし、外来の面接では、勤務できる曜日や時間を確かめる流れで、家庭の事情について聞かれることがあります。この場合は、「勤務できる時間」という仕事に関係する部分だけを答えれば十分です。「子どもは何人ですか」と聞かれても、「平日は17時までの勤務であれば、安定して勤務できます」と、勤務条件に置き換えて答えることができます。
どう対応するか
面接の場で「その質問には答えられません」と強く言うのは、なかなか難しいものです。やわらかく「勤務に関係する部分でお答えすると」と置き換えて答える方法が現実的です。
実際に、ある看護師さんから、面接で家族の職業や持ち家かどうかを細かく聞かれたという相談を受けたことがあります。その方は結局、その病院の内定を辞退しました。面接での質問の仕方は、その職場が働く人をどう扱うかを映していることがあります。反対に、勤務に関係することだけを丁寧に聞いてくれる面接官のいる職場は、入職後も働く人の事情を尊重してくれることが多いです。
※不適切な質問を理由に不採用になったと考えられる場合は、ハローワークや都道府県の労働局に相談できます。
面接当日の流れと、見学を組み合わせるコツ
外来の面接は、面接だけで終わらせず、見学と組み合わせると得られる情報がぐっと増えます。ここでは、当日の流れと準備についてお話しします。
見学は午前中にお願いする
外来の本当の姿は、午前の混雑している時間にしか見えません。面接の日程を調整するときに、「面接の前に、午前中の外来を少し見学させていただけますか」とお願いしてみてください。午後の空いた時間に見学すると、落ち着いた職場だと誤解したまま入職することになりかねません。
見学が面接と同じ日に組めない場合は、別の日に改めてお願いしても失礼にはあたりません。見学で見ておきたいのは、忙しいときの看護師同士の声のかけ方、医師が看護師に指示を出すときの口調、待合の患者さんへの接し方、受付と看護師のやりとりです。休憩室や更衣室を案内してもらえるなら、そこの雰囲気も手がかりになります。案内してくれた看護師さんに「お昼休憩は何時ごろ取れていますか」と軽く聞いてみると、面接よりも率直な答えが返ってくることがあります。
面接の時間帯にも意味がある
外来の面接は、診察が落ち着く午後の時間に設定されることが多いです。面接官が外来師長なら、午前の診察を終えた直後で疲れていることもあります。受け答えは結論から短く伝え、長く話しすぎないように意識してください。
持ち物と準備
履歴書と職務経歴書のほかに、看護師免許証の写しを求められることがあります。職務経歴書には、配属されていた病棟の診療科、病床数、受け持っていた患者数、経験した処置や検査の介助を具体的に書いておくと、面接官が外来での配置を考えやすくなります。
私が面接で失敗したこと
私自身、事務所勤めから独立する前、何度か転職の面接を受けました。ある事務所の面接で、条件のことを聞くと印象が悪くなると思い込み、残業の実態も業務の範囲も聞かずに入所を決めてしまったことがあります。入ってみると、面接で聞いていた業務とはまったく違う仕事が中心で、深夜までの作業が当たり前でした。雇用契約書をよく読むと、業務の範囲は「事務所の業務全般」と広く書かれていました。
聞かなかったのも、書面を読み込まなかったのも、自分です。あのときに学んだのは、面接で聞き返すことは失礼ではなく、お互いの誤解を防ぐための大切な作業だということでした。外来の面接でも、同じことが言えます。
こちらから聞き返すこと
面接の最後に「何か質問はありますか」と聞かれたとき、「特にありません」で終わらせるのはもったいないです。外来の働きやすさは、求人票からは分からないことがほとんどだからです。
外来の人員体制
「外来の看護師は何人で、常勤とパートの内訳はどうなっていますか」
パートが多い職場では、午後や夕方を少数の常勤で回すことになりがちです。自分がどの時間帯を担うことになるかが見えてきます。
担当する診療科
「配属は特定の診療科ですか、それとも複数の科を担当しますか」
固定か兼務かで、覚えることの量と1日の動き方が大きく変わります。
休憩と残業の実態
「昼休憩は交代で取れていますか」「診察が延びた場合の残業は、どのくらいの時間になることが多いですか」
先ほどお話しした通り、外来は休憩が削られやすい構造があります。実態を聞くことは失礼ではありません。
救急、オンコール、病棟応援
「救急対応やオンコールはありますか」「病棟の応援に入ることはありますか」
日勤中心の働き方を期待しているなら、ここは必ず聞いてください。
異動の可能性
「外来に配属された後、病棟などへの異動はありますか」
ここは次の章でお話しする「変更の範囲」とつながる、とても大切な質問です。
聞き方のコツ
これらをすべて聞くと、条件ばかり気にしているように見えるのではと心配になるかもしれません。そういうときは、「長く働きたいので、実際の働き方を具体的にイメージしておきたくて」と前置きをしてから聞くと、前向きな質問として受け取ってもらえます。
質問はすべてを一度に聞く必要はありません。面接の途中で勤務条件の話が出たときに休憩や残業のことを聞き、最後の質問の時間には人員体制と異動の可能性に絞る、というように分けると自然です。聞いた答えは、面接が終わったらすぐにメモしておいてください。後で労働条件通知書と照らし合わせるときの材料になります。
答えがあいまいだったとき
「そのときの状況によりますね」「みんなうまくやっていますよ」と、はっきりした答えが返ってこないこともあります。その場で問い詰める必要はありません。ただ、あいまいだった項目は、見学のときに現場の看護師さんに聞いてみる、内定後に書面で確かめる、という形で、別の方法で必ず確認してください。
内定から入職までに、書面で確かめること
面接で聞いたことは、口頭の約束にとどめず、書面で確かめてください。ここを飛ばすと、冒頭の方のように「外来と言われていたのに」ということが起きます。
労働条件の明示義務
労働基準法第15条では、使用者は労働契約を結ぶときに、賃金、労働時間、就業の場所、従事する業務などの労働条件を明示しなければならないと定められています。特に重要な項目は、書面などで明示することが義務づけられています。
2024年4月からの「変更の範囲」の明示
2024年4月からは、労働条件の明示のルールが改正され、就業の場所と従事する業務について、「雇い入れ直後」だけでなく「変更の範囲」も明示することが義務づけられました。
つまり、労働条件通知書に「雇い入れ直後の業務:外来における看護業務」と書かれていても、「変更の範囲:看護部門の業務全般」と書かれていれば、将来的に病棟へ異動になる可能性があるということです。反対に、「変更の範囲:外来における看護業務」と書かれていれば、外来から動かないことが前提になります。
外来で働き続けたい方は、この「変更の範囲」の記載を必ず確認してください。面接で「異動はない」と言われていたのに、書面の変更の範囲が広く書かれている場合は、入職前に確認し、必要なら書面の修正をお願いしてください。
その他に確認すること
・始業と終業の時刻、休憩時間 ・所定時間外労働(残業)の有無 ・休日(土曜の勤務、休診日の扱い) ・賃金の内訳(基本給、各種手当、賞与の有無) ・試用期間の有無と、その間の条件 ・有期契約の場合は、契約期間と更新の基準
※労働条件通知書の内容が面接で聞いた内容と大きく違う場合や、入職後に明示された条件と実態が違う場合は、労働基準監督署か弁護士に相談してください。労働基準法では、明示された労働条件が事実と異なる場合、労働者は即時に労働契約を解除できると定められています。
年収の水準も比べておく
外来に移ると、夜勤手当がなくなるぶん、病棟より年収が下がるのが一般的です。労働条件通知書の賃金を見るときは、同じ地域、同じ規模の職場と比べて妥当かを確かめておくと安心です。看護師の年収や時給の相場を、勤務先の種類ごとにまとめたページがあるので、比較の目安にしてください。看護師の年収・単価相場
20年この市場を見てきた立場からの観察
ここからは、フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見えていることをお話しします。
運営者として長く見てきた限りでは、仕事の条件で後から揉める人と揉めない人の違いは、最初の段階で「確かめるべきことを確かめたか」にあります。面接で聞き返し、内定後に書面で確かめる。この手間を惜しまない人ほど、入ってからのずれが小さく、長く働き続けています。そして長く続く人ほど、単発の作業ではなく「この人に任せると安心」という関係づくりに時間を使っています。外来で医師や他職種との受け渡しを丁寧にこなしてきた看護師さんは、この力をすでに持っています。
もう1つの観察は、間に仲介が入らない直接の関係のほうが、条件の確認もやりとりもシンプルになり、双方にとって無理がないということです。手数料が乗らなければ、依頼する側は同じ予算でより丁寧に頼め、受ける側は手数料0%のぶん手取りが厚くなります。組織の外で看護の知識を生かす仕事を受ける場合も、2024年11月に施行されたフリーランス保護新法で、発注者は業務内容や報酬、支払期日を明示することが義務づけられ、報酬は受け取りから60日以内に支払うことが定められています。面接で身につけた「条件を書面で確かめる習慣」は、ここでもそのまま役に立ちます。
面接の準備や、どの外来を選ぶかを1人で決めきれないときは、キャリアの相談を専門にする人の力を借りるのも1つの方法です。国家資格であるキャリアコンサルタントの役割や試験の概要をまとめたページがあります。キャリアコンサルタント
職場や転職の悩みを相談できる仕事がどのように行われているかをまとめたガイドもあります。相談先を探すときの手がかりにしてください。職場・転職・キャリア相談のお仕事
外来の面接は、選ばれる場であると同時に、あなたが職場を選ぶ場でもあります。聞かれることに備え、聞き返すことを用意し、書面で確かめる。この3つをそろえて臨んでください。法律はあなたの味方です。
よくある質問
Q. 外来看護師の面接で「なぜ外来なのか」にはどう答えればいいですか?
病棟などでの具体的なきっかけ、外来の役割への理解、長く働き続けたい意思の3つで組み立てると伝わりやすくなります。「夜勤がないから」だけで終わらせると、外来でなくてもよいのではと受け取られがちです。生活との両立は最後に添える形にし、応募先の専門外来や看護外来など、その病院を選んだ理由にも触れておきましょう。
Q. 外来の面接で家族のことを聞かれたら答えなければいけませんか?
家族の職業や健康状態、住宅の状況などは、厚生労働省が公正な採用選考の観点から尋ねるべきでないとしている事項で、答える義務はありません。勤務できる曜日や時間を確かめる流れで家庭の事情を聞かれた場合は、「平日は17時まで勤務できます」のように、勤務条件に置き換えて答えれば十分です。
Q. 外来の面接でこちらから質問すべきことは何ですか?
外来の看護師の人数と常勤パートの内訳、担当が固定か兼務か、昼休憩と残業の実態、救急対応やオンコールの有無、病棟応援や異動の可能性を聞いておくと、入職後のずれを防げます。条件ばかり気にしているように見えるのが心配なら、「長く働きたいので具体的にイメージしておきたい」と前置きしてから聞くと前向きに受け取られます。
Q. 外来で採用されたのに病棟へ異動になることはありますか?
病院によってはあります。2024年4月から、労働条件の明示で就業場所と業務の「変更の範囲」を示すことが義務になりました。労働条件通知書の変更の範囲が「看護部門の業務全般」なら異動の可能性があり、「外来における看護業務」なら外来が前提です。外来で働き続けたい場合は、入職前に必ずこの記載を確認してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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