工数管理とは何か|作業時間を記録して見積もりと進め方に活かす方法

@SOHO編集部
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工数管理とは何か|作業時間を記録して見積もりと進め方に活かす方法

この記事のポイント

  • ✓人日や人時といった単位の意味
  • ✓計算の仕方の例から整理しました
  • ✓作業時間の記録の始め方

工数管理とは何かを調べている人の多くは、「上司から工数を記録するように言われたが、何のためにやるのかが分からない」「見積もりがいつも外れて、締め切りの前に慌てている」といった悩みを抱えています。工数管理とは、仕事にかかった時間と人数を記録して集計し、最初の見積もりと比べて、次の計画や進め方に生かすことです。記録することそのものが目的ではなく、見積もりの精度を上げ、誰かに負担が偏っていないかを確かめ、仕事の値付けの根拠を持つための手段です。この記事では、工数の単位と計算の仕方、記録の始め方、見積もりと実績の比べ方、Excelでの集計表の作り方、続けるための決まりを整理します。作業時間の記録と承認までを1か所で回したい場合の選択肢として、プロジェクト管理ツールのPinatecaにも触れます。

工数管理とは何か

工数とは、ある仕事を終えるのに必要な作業の量を、時間と人数を掛け合わせて表したものです。製造や建設の現場で使われてきた言葉ですが、今ではソフトウェアの開発、Webサイトの制作、事務の仕事など、多くの仕事で使われています。工数の考え方について、業務の管理の道具を提供する会社は次のように説明しています。

「工数(マンアワー)」とは、「作業時間 × 人数」で表される仕事量の単位です。 工数管理とは、一つひとつの製品や工程に対して、「誰が」「どの作業に」「どれだけの時間を費やしたか」という実績データを収集・集計し、計画(標準)との差異を分析・管理することを指します。 出典: smartcraft.jp

この説明のとおり、工数管理の中心にあるのは「誰が、どの作業に、どれだけの時間を使ったか」の記録と、それを計画と比べることです。記録だけして比べなければ、ただの作業の日誌で終わってしまいます。記録を計画と比べ、ずれの原因を考えて、次の計画に反映させるところまでが工数管理です。

工数管理と混同されやすいのが、勤怠管理です。勤怠管理は、働く人が何時に出勤して何時に退勤したか、休憩をどれだけ取ったかを記録するもので、給与の計算や、働きすぎを防ぐために行います。工数管理は、その勤務の時間のうち、どの仕事にどれだけの時間を使ったかを記録するものです。

管理の種類 記録するもの 主な目的
勤怠管理 出勤と退勤の時刻、休憩の時間 給与の計算、働きすぎの防止
工数管理 仕事ごと、作業ごとに使った時間 見積もりの精度、負荷の偏りの確認、採算の把握

工数の単位と計算の仕方

工数は、時間と人数を掛け合わせた単位で表します。よく使われる単位は次の3つです。

単位 読み方 意味
人時 にんじ 1人が1時間で行う作業の量
人日 にんにち 1人が1日で行う作業の量
人月 にんげつ 1人が1か月で行う作業の量

たとえば、3人で4時間かかる作業は、3人×4時間で12人時です。1人で12時間かけても、同じ12人時になります。同じ工数でも、人数を多くすれば期間は短くなり、人数を少なくすれば期間は長くなる、というのが工数の考え方の基本です。

人日や人月に直すときは、1日や1か月を何時間とするかを決めておく必要があります。一般には、1人日を8時間、1人月を20人日(160時間)とすることが多いですが、会社やプロジェクトによって決め方が違います。取引先と工数で話をするときは、1人日を何時間で数えているのかを最初に確かめておきます。

計算の例を示します。Webサイトの制作で、デザインに24人時、ページの組み立てに32人時、確認と修正に16人時かかる見込みなら、合計は72人時です。1人日を8時間とすると9人日になり、2人で進めれば5日ほど、1人なら9日ほどかかる計算です。

ただし、工数の計算には注意点があります。人数を多くすれば期間が短くなるのは、作業を分けて同時に進められる場合だけです。前の作業が終わらないと次に進めない作業や、人に説明して引き継ぐのに時間がかかる作業では、人数を多くしても期間はそれほど縮みません。工数は作業の量を表すもので、期間をそのまま表すものではないと覚えておきます。

工数管理が役立つ仕事の例

工数管理は、開発や製造の現場だけのものではありません。仕事の種類ごとに、工数管理がどのように役立つかの例を示します。

Webサイトの制作

Webサイトの制作では、デザイン、ページの組み立て、確認と修正の作業ごとに工数を記録します。記録がたまると、ページ1枚あたりにかかる工数の目安が分かり、ページ数から見積もりを出せるようになります。取引先からの修正の依頼にかかった工数を記録しておくと、修正の回数を契約で決めるときの根拠にもなります。

事務の仕事

請求書の作成、データの入力、問い合わせへの対応など、事務の仕事でも工数管理は役立ちます。毎月決まって発生する作業に何時間かかっているかが分かれば、自動にできる作業や、外部に任せられる作業を見つけられます。月末に作業が集中している場合は、その前の週に前倒しできる作業がないかを考える材料にもなります。

文章の作成

記事や資料の文章を書く仕事では、調べる時間、書く時間、見直す時間に分けて記録すると、どこに時間がかかっているかが分かります。調べる時間が長いなら、よく使う資料を手元に整理しておく、書く時間が長いなら、構成を先に決めてから書き始める、といった改善の手がかりになります。

ソフトウェアの開発

開発の仕事では、設計、作る作業、試験、不具合の修正に分けて記録するのが一般的です。不具合の修正に多くの工数がかかっているなら、試験の進め方や、設計の段階の確認を見直すきっかけになります。

工数管理をする目的

工数管理を始めるときは、何のために記録するのかを、記録する人全員で確かめておくことが大切です。目的が分からないまま記録を頼まれると、記録は面倒な作業にしか感じられず、不正確な数字が並ぶことになります。工数管理の主な目的は、次の4つです。

1つ目は、見積もりの精度を上げること

過去に似た仕事でどれだけの工数がかかったかの記録があれば、次の仕事の見積もりを根拠のある数字で出せます。記録がなければ、見積もりは毎回勘に頼ることになり、外れたときに原因も分かりません。

2つ目は、負担の偏りを見つけること

人ごとの工数を集計すると、特定の人に仕事が集まっていないかが分かります。忙しさは外から見えにくいので、数字で見えるようにしておくと、偏りに早く気づいて仕事を分け直せます。

3つ目は、仕事の採算を知ること

工数管理を紹介している会社は、工数管理の役割を次のように説明しています。

工数管理とは、プロジェクトや事業を完了させるために必要な「業務時間」と「人数」を把握し、管理することを言います。 出典: jobma.jp

仕事ごとにかかった工数が分かれば、その仕事に使った人の費用(人件費)を計算できます。受け取った金額と比べれば、その仕事が利益を生んだのか、赤字だったのかが分かります。利益の出にくい種類の仕事が分かれば、値付けを見直したり、進め方を変えたりする判断ができます。

4つ目は、進め方の改善

作業ごとの工数を見ると、思っていたより時間がかかっている作業が見えてきます。打ち合わせに多くの時間を使っている、確認と修正の繰り返しが多い、といった問題が数字で分かれば、どこを改善すればよいかがはっきりします。

作業の分け方を決める

工数を記録する前に、作業をどのように分けて記録するかを決めます。分け方が細かすぎると記録の手間が増え、粗すぎると集計しても改善のヒントが得られません。

分け方は、「何の仕事か」と「何の作業か」の2つの軸で決めると整理しやすくなります。

軸 例
何の仕事か(案件・プロジェクト) A社のサイト制作、B社の保守、社内の業務
何の作業か(作業の区分) 打ち合わせ、設計、制作、確認と修正、連絡、移動

作業の区分は、5つから8つ程度にとどめます。区分が多すぎると、記録する人がどれに当てはまるか迷い、人によって選び方がばらばらになります。迷いやすい作業は、区分の説明を一覧にして共有しておきます。たとえば「取引先とのメールのやり取りは『連絡』、社内の打ち合わせは『打ち合わせ』」のように決めておきます。

見落とされやすいのが、どの案件にも属さない作業です。社内の会議、事務の手続き、勉強の時間などは、どの案件にも当てはまらないため、記録から抜けがちです。「社内の業務」のような区分を用意して、こうした時間も記録しておくと、1日のうち案件に使える時間が実際にはどれくらいなのかが分かります。

工数の記録を始める手順

ここからは、工数の記録を始める手順を説明します。小さなチームが、これまで工数を記録していなかった状態から始める場合で示します。

  1. 記録の目的を決め、チームに伝えます。「次の見積もりに使う」「負担の偏りを見る」など、何に使うのかを具体的に伝えます。
  2. 案件と作業の区分の一覧を作ります。
  3. 記録の単位を決めます。15分単位か30分単位にするのが一般的です。1分単位で記録しようとすると手間がかかりすぎ、1時間単位では短い作業が抜け落ちます。
  4. 記録する時期を決めます。1日の終わりにまとめて記録するのか、作業を切り替えるたびに記録するのかを決めます。
  5. 記録する場所を決めます。表計算のシートでも、工数の記録の道具でもかまいません。全員が同じ場所に記録することが大切です。
  6. まず2週間試し、記録しにくい点や、区分の分かりにくい点を集めて直します。

試しの2週間が終わったら、記録をつけた人に、記録にかかった時間と、迷った点を聞きます。1日の記録に10分以上かかっているなら、区分を減らすか、記録の単位を粗くします。どの区分に入れるかで迷った作業があれば、区分の説明に書き足します。

最初から完璧な記録を目指す必要はありません。最初の数週間は、記録する習慣をつけることを優先し、数字の精度は少しずつ上げていきます。

記録の精度を上げる工夫

工数の記録は、思い出しながら書くほど不正確になります。1日の終わりにまとめて書こうとすると、午前中に何をどれだけしたかを正確に思い出すのは難しく、だいたいの数字で埋めることになります。記録の精度を上げるための工夫を整理します。

1つ目は、作業を切り替えるときに一言メモを残すことです。「10時、A社の修正に着手」「11時半、B社のメール対応へ」のように、時刻と作業だけを手元のメモに書いておけば、夕方に記録するときに正確な時間を出せます。

2つ目は、タイマーを使うことです。作業を始めるときに計測を始め、終えたときに止める道具を使えば、記録の手間も減り、数字も正確になります。パソコンの画面の端に、今どの作業の時間を計っているかが見えるようにしておくと、切り替えのときに止め忘れることも減ります。

3つ目は、中断された時間の扱いを決めておくことです。作業の途中で電話が入った、別の人に質問された、といった中断は、1回ごとには短くても、積み重なると大きな時間になります。5分以上の中断は別の作業として記録する、といった決まりを作っておくと、どの作業に時間が取られているのかが見えてきます。

4つ目は、記録の時刻を決めることです。昼休みの前と、終業の前の1日2回、記録をする時間を決めておくと、思い出す範囲が半日分で済み、正確さが保てます。

Excelで工数の集計表を作る

工数の記録は、専用の道具がなくても、Excelやスプレッドシートで始められます。ここでは、1行に1件の記録を入れていく形の表の作り方を説明します。

記録の表を作る

1行目に、次の列の見出しを入れます。

列 入れる内容
日付 作業した日
担当者 作業した人
案件 何の仕事か
作業の区分 何の作業か
時間 作業した時間(0.5時間単位など)
メモ 作業の内容の補足

案件、作業の区分、担当者の列は、プルダウンから選ぶ形にしておくと、表記のずれを防げます。[データ]タブの[データの入力規則]で、入力値の種類を[リスト]にし、選べる値を設定します。表全体は、[挿入]タブの[テーブル]でテーブルにしておくと、行が増えても集計が崩れません。

集計の表を作る

記録がたまったら、別のシートに集計の表を作ります。集計には、ピボットテーブルを使うのが便利です。ピボットテーブルとは、たくさんの記録を、選んだ項目ごとに自動で合計してくれる表のことです。

  1. 記録の表のどこか1つのセルを選び、[挿入]タブの[ピボットテーブル]を選びます。
  2. 新しいシートに作る設定にして、[OK]を押します。
  3. 行に「案件」、列に「作業の区分」、値に「時間」を入れると、案件ごと、作業の区分ごとの時間の合計が表になります。
  4. 行を「担当者」に変えれば、人ごとの時間の合計が見られます。

日付の列で絞り込めば、週ごと、月ごとの集計もできます。担当者と案件の両方を行に入れれば、誰がどの案件にどれだけの時間を使ったかも、1つの表で見られます。毎週決まった曜日に集計の表を更新し、チームで見る時間を作ると、記録が役に立っている実感が持てます。

見積もりと実績を比べる

工数管理の効果がもっともはっきり表れるのは、見積もりと実績を比べるときです。仕事が終わったら、最初の見積もりの工数と、実際にかかった工数を、作業の区分ごとに並べます。

作業の区分 見積もり 実績 差
打ち合わせ 4人時 7人時 3人時多い
設計 12人時 11人時 1人時少ない
制作 32人時 34人時 2人時多い
確認と修正 8人時 15人時 7人時多い
合計 56人時 67人時 11人時多い

この例では、合計で11人時多くかかっていて、その大部分は確認と修正、打ち合わせの区分で生まれていることが分かります。制作の作業そのものの見積もりはほぼ合っていたのに、修正のやり取りと打ち合わせを少なく見込んでいた、という癖が見えてきます。

ずれが分かったら、その原因を考えます。修正が多かったのは、最初に取引先と仕上がりの形をすり合わせる時間が足りなかったからかもしれません。打ち合わせが多かったのは、決めることが途中で増えたからかもしれません。原因が分かれば、次の見積もりで確認と修正の工数を多めに見込む、最初の打ち合わせで決めることを増やす、といった手が打てます。

見積もりと実績の比べ方として役立つのが、比率で見ることです。実績を見積もりで割ると、この例では約1.2倍です。過去の仕事の比率がいつも1.2倍前後なら、次の見積もりを最初から1.2倍しておく、という調整ができます。

工数をもとに見積もりを出す

工数の記録がたまってきたら、それを使って見積もりを出します。工数をもとにした見積もりは、次の流れで作ります。

  1. 依頼された仕事を、作業の区分ごとに分けます。
  2. 過去の似た仕事の記録から、作業の区分ごとの工数を見積もります。
  3. 見積もりと実績の比率の癖があれば、それを掛けて調整します。
  4. 予定外のことへの備えとして、合計の1〜2割程度の余裕を足すかどうかを決めます。
  5. 合計の工数に、1時間あたりの単価を掛けて、金額を出します。

1時間あたりの単価は、人件費、道具や事務所の費用、利益を含めて決めます。単価を決めずに「なんとなくこの金額」で見積もると、工数が見積もりを超えたときに赤字になります。工数と単価の両方を根拠として持っておくと、取引先に金額の理由を説明しやすくなり、値引きを求められたときにも、どの作業を減らせば金額を下げられるかを具体的に話せます。

工数から日程の計画を立てる

工数が見積もれたら、それを日程の計画につなげます。工数は作業の量なので、そのままでは「いつ終わるか」は分かりません。担当する人が、1日に何時間その仕事に使えるかを掛け合わせて、初めて期間が出てきます。

たとえば、40人時の仕事を1人で担当する場合、その人が1日8時間をすべてこの仕事に使えるなら5日で終わります。しかし実際には、会議やメール、他の案件の作業もあるので、この仕事に使えるのは1日5時間ほどかもしれません。その場合は8日かかる計算になります。

工数 1日に使える時間 必要な日数
40人時 8時間 5日
40人時 5時間 8日
40人時 3時間 約14日

日程を立てるときによくある失敗は、1日に使える時間を勤務の時間と同じに考えてしまうことです。工数の記録をつけていると、案件以外の作業に1日のどれくらいの時間を使っているかが分かるので、1日に使える時間を現実に近い数字で見積もれます。これも工数管理の大きな効果の1つです。

複数の案件を同時に抱えている人の場合は、案件ごとの工数を足し合わせ、その人の使える時間を超えていないかを確かめます。超えているなら、日程をずらすか、他の人に一部を任せるかを、計画の段階で決めておきます。

工数管理を続けるための決まり

工数管理は、始めるより続けるほうが難しい取り組みです。記録が止まる原因と、続けるための決まりを整理します。

記録の手間を最小にする

記録の手間が大きいと、忙しい時期から記録が止まります。記録の単位を30分にする、前の週の記録を複製して直すだけにする、作業の区分を少なくするなど、1日の記録が数分で終わる形にします。

記録した数字を使っているところを見せる

記録した数字が何にも使われていないと、記録する人は意味を感じなくなります。週に1回の集計の結果をチームで共有し、「この数字をもとに、来週の割り当てを変えた」「次の見積もりをこう直した」と、使っていることを見せます。

記録の数字で人を評価しない

工数の記録で、人の働きぶりを評価しないことも大切です。記録が少ない人を「仕事をしていない」と見ると、記録する人は時間を多めに書くようになり、記録が実態から離れます。工数の記録は、計画と進め方を良くするための数字であって、人を評価するための数字ではないと、全員で確かめておきます。

記録のし忘れを責めない

記録のし忘れはどうしても起きます。し忘れを責めると、思い出せない時間を適当に埋めるようになり、かえって数字が不正確になります。週に1回、記録の抜けを確かめる時間を作り、思い出せる範囲で埋めるくらいの気持ちで続けます。

1人で働く人の工数管理

工数管理は、チームだけでなく、1人で働くフリーランスや在宅で働く人にも役立ちます。1人で働く場合は、自分の時間がそのまま収入に直結するため、どの仕事にどれだけの時間を使っているかを知ることの意味は、むしろ大きくなります。

1人で始めるときは、案件と、大まかな作業の区分だけを記録すれば十分です。1か月記録を続けたら、案件ごとの合計の時間と、受け取った報酬を並べて、1時間あたりの報酬を計算します。

案件 報酬 かかった時間 1時間あたり
A社の記事の作成 60,000円 30時間 2,000円
B社の資料の作成 40,000円 32時間 1,250円
C社のデータの整理 30,000円 12時間 2,500円

この例のように並べると、報酬の額は大きくても、時間がかかって1時間あたりでは低くなっている仕事が見えてきます。そうした仕事は、値付けを見直すか、進め方を変えて時間を減らせないかを考えます。逆に、1時間あたりの報酬が高い仕事は、同じ種類の仕事の割合を広げることを検討する材料になります。

1人で働く人にとって、工数の記録はもう1つの役割を持ちます。働きすぎに気づくことです。在宅で1人で働いていると、仕事と生活の区切りがあいまいになり、気づかないうちに長い時間働いていることがあります。1週間の合計の時間を見ると、自分の働き方を外から見直すきっかけになります。

業務委託の請求に工数を使うとき

業務委託やフリーランスの働き方では、工数の記録が、そのまま請求の根拠になることがあります。時間単位で報酬を決める契約や、あらかじめ決めた時間を超えた分を追加で請求する契約では、作業した時間の記録が欠かせません。

業務委託の請求に工数を使うときは、次の点に気をつけます。

  • 契約の前に、時間単位なのか、案件単位なのか、月額の固定なのかを文書で確かめる
  • 時間単位の場合、打ち合わせや連絡、移動の時間を数えるかどうかを確かめる
  • 記録の単位(15分単位、30分単位など)を取引先と合わせる
  • 作業の内容が分かるメモを付けて記録し、請求のときに一覧として出せるようにする
  • 月の途中で、見込みの時間を超えそうなときは、早めに取引先に伝える

特に最後の点は大切です。月の終わりに、見込みを大きく超えた時間の請求が届くと、取引先は驚き、信頼を損ねます。超えそうだと分かった時点で、「今月は見込みより10時間ほど多くかかりそうです。理由はこの修正の追加です」と伝えておけば、取引先も対応を考えられます。

作業時間の記録と承認までを1か所で回したいときの候補

チームでタスクを管理している道具と同じ場所で、作業時間の記録と承認までを回したい場合の選択肢の1つが、プロジェクト管理ツールのPinatecaです。公式の使い方の案内によると、Pinatecaの稼働タイムシートでは、案件と作業の区分(開発、打合せ、修正対応など)を行にして、月曜から日曜までのマスに時間を入れ、行ごとの週の合計と日ごとの合計がその場で出ます。前の週をそのまま複製できるので、毎週同じ案件を持っている人は数字を直すだけで入力が終わります。

入力した週の記録は、下書き、提出済み、承認済み、差し戻しの状態で管理でき、承認する権限を持つ人は、メンバーの代わりに入力することもできます。メンバーと案件の組み合わせごとに、時給、一括、月額の契約を登録でき、承認した稼働時間と契約を突き合わせると、その月の明細が出ると案内されています。公式の料金ページによると、稼働タイムシートは0.5時間刻みの入力、担当者別・案件別・作業別の集計とCSVの書き出し、稼働報告書と業務完了報告書の作成に対応した追加のオプションで、1人あたり月額980円(税抜)、年払いなら1人あたり月額780円(税抜)です。数えるのは稼働を入力する人だけで、見るだけや承認するだけの管理者は数えないとされています。タスクの管理そのものは、5人まで、ボード10個までなら無料で使えます。

Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

表計算で十分に回っているなら、無理に道具を変える必要はありません。案件や人数が増えて、集計や承認のやり取りに時間がかかるようになったときが、道具を考える時期です。

工数の記録を振り返る場の持ち方

工数の記録は、チームで振り返る場があって初めて、計画と進め方の改善につながります。振り返りは、案件が終わったときと、毎月の終わりの2つの時期に行うと効果的です。

案件が終わったときは、その案件の見積もりと実績を作業の区分ごとに並べ、ずれの大きかった区分について、原因を話し合います。原因が分かったら、次に似た案件の見積もりを出すときの注意として、見積もりの表の横に書き残しておきます。

毎月の終わりには、人ごと、案件ごとの合計の時間を並べ、負担が偏っていなかったか、案件以外の作業に多くの時間が取られていなかったかを確かめます。案件以外の作業が多すぎるなら、会議の数を減らせないか、事務の手続きを簡単にできないかを考えます。

振り返りの場では、数字が悪かった人を責めないことが何より大切です。見積もりより時間がかかったのは、見積もりが甘かったか、途中で予定外のことが起きたかのどちらかで、作業した人の力の問題とは限りません。原因を仕組みの側に探す話し合いにすると、メンバーは正直な数字を記録し続けてくれます。

工数管理でよくある失敗

工数管理を始めたチームで、よく起きる失敗を整理します。

1つ目は、記録を集めるだけで、比べたり使ったりしないことです。記録が増えるほど手間だけが積み上がり、やがて誰も記録しなくなります。最初に「何に使うか」を決め、その目的に必要な集計だけを続けます。

2つ目は、作業の区分を細かくしすぎることです。区分が20も30もあると、記録する人が迷い、同じ作業が人によって別の区分に入ります。区分は少なく始め、必要に応じて分けます。

3つ目は、見積もりを実績に合わせて後から直してしまうことです。見積もりと実績のずれを小さく見せたくなる気持ちは分かりますが、見積もりを後から直すと、ずれから学ぶ機会がなくなります。最初の見積もりは、そのまま残しておきます。

4つ目は、管理する人だけが数字を見ていることです。数字を見て改善できるのは、実際に作業している人です。集計の結果は、チーム全員が見られる場所に共有します。

外部の協力者と時間を取り決めるときに見てきたこと

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、外部の協力者と長く仕事が続く関係ほど、作業の時間の記録を、請求のためだけでなく、次の見積もりの話し合いにも使っています。「前回はこの作業に何時間かかったので、今回はこのくらいで見込みましょう」と、記録をもとに話せる関係では、見積もりの食い違いが減り、双方が納得したうえで仕事を始められます。

中間の手数料が乗らない直接の取引では、受け手の手取りが厚くなり、依頼する側は同じ予算でより多くの作業を頼めます。その形を長く続けるうえでも、作業の時間を正直に記録して共有することが、双方の信頼の土台になります。

工数管理の仕組みを整える仕事や、業務の進め方を見直す仕事は、外部の専門家に頼める仕事でもあります。業務の進め方に道具やAIを取り入れる支援はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で、社内の仕組みを作る開発の仕事はアプリケーション開発のお仕事で紹介しています。デザインの仕事を工数で見積もるときの相場の感覚は、デザイナーの年収・単価相場で確かめられます。

よくある質問

Q. 工数管理と勤怠管理は何が違いますか?

勤怠管理は、出勤と退勤の時刻や休憩の時間を記録するもので、給与の計算や働きすぎの防止に使います。工数管理は、勤務の時間のうち、どの仕事のどの作業にどれだけの時間を使ったかを記録するもので、見積もりの精度を上げたり、負担の偏りや仕事の採算を確かめたりするために使います。

Q. 工数の人日や人月はどう計算しますか?

工数は時間と人数を掛け合わせて表します。3人で4時間かかる作業は12人時です。人日や人月に直すときは、1人日を何時間、1人月を何日とするかを決めておく必要があり、一般には1人日を8時間、1人月を20人日とすることが多いです。取引先と話すときは、この数え方を最初に確かめておきます。

Q. 工数はどのくらいの単位で記録すればよいですか?

15分単位か30分単位で記録するのが一般的です。1分単位では手間がかかりすぎて続かず、1時間単位では短い作業が抜け落ちます。記録の単位は、チームの中でそろえておくことが大切です。業務委託の請求に使う場合は、取引先と記録の単位を合わせておきます。

Q. 工数管理が続かないのはなぜですか?

記録の手間が大きいこと、記録した数字が何にも使われていないこと、記録の数字で人を評価してしまうことが、主な原因です。1日の記録が数分で終わる形にし、週に1回の集計の結果をチームで共有して使っていることを見せると、続けやすくなります。工数の記録は、計画を良くするための数字だと全員で確かめておきます。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年5月20日最終更新:2026年10月17日
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